• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
管理番号 1217334
審判番号 不服2006-22720  
総通号数 127 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-10-06 
確定日 2010-05-24 
事件の表示 特願2002-373482「書類作成システム」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 7月22日出願公開、特開2004-206323〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成14年12月25日の出願であって、平成18年9月1日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年10月23日付けで手続補正がなされ、その後、当審において平成21年8月5日付けで拒絶理由通知がなされ、それに対し、同年9月28日付けで手続補正がなされたものであり、その請求項1に係る発明は、平成21年9月28日付け手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。(以下、「本願発明」という。)
「パチンコ店舗の経営に際して必要な書類である変更承認申請書、変更届出書、遊技機入替明細書、封印シール番号対照一覧表、島図、AMマーク除却届出書、AMマーク貼付申請書、AMマーク貼付申請遊技機の型式名簿、AMマーク貼付遊技機明細表の何れかから選択される書類を提出すべき機関に対して許認可を得るためにコンピュータを用いて提出する書類作成システムにおいて、前記許認可を得るための複数の書類に関するデータを入力するための入力手段(1)と、必要な提出書類の電子データを作成する処理手段(2)と、該処理手段(2)で作成された書類の電子データが入力されて必要な書類をプリントアウトする出力手段(3)とを備え、前記処理手段(2)は書類作成に必要なデータを記憶する記憶手段(21)と、書類作成に関する処理を行う領域を処理手段内で選択する中央処理手段(22)と、各種書類を作成する作成ブロック(23)とで構成され、前記作成ブロック(23)は変更承認申請書及び変更届出書作成ブロック(23e)と、遊技機入替明細書作成ブロック(23h)と、封印シール番号対照一覧表作成ブロック(23i)と、島図作成ブロック(23g)と、AMマーク除却届出書作成ブロック(23j)と、AMマーク貼付申請書作成ブロック(23k)と、AMマーク貼付申請遊技機の型式名簿作成ブロック(23m)と、AMマーク貼付遊技機明細表作成ブロック(23n)とを有し、そして中央処理手段(22)により選択されて且つ前記入力手段から入力されたデータと記憶手段(21)から送出された書式データとを合成して前記出力手段(3)に出力するものであり、そして前記処理手段(2)で作成された書類の電子データが入力されて必要な書類を電子情報として配信する配信手段(62)を有し、前記中央処理手段(22)は、必要書類の作成に係るブロック(23e?23n)が指定されて入力手段(1)によって指定されデータを入力し、そして記憶ブロック(21)より書式データを抽出し、入力手段(1)で入力したデータと記憶ブロック(21)で抽出した書式データとを合成し、合成が完了すれば、その合成したデータを出力手段(3)に送り、出力手段(3)へすべてのデータの送信が完了すればそのデータをプリントアウトし、さらに所定の機関に前記合成データを配信する機能を有することを特徴とする書類作成システム。」

2.引用例
これに対して、当審において平成21年8月5日付けで通知した拒絶の理由に引用した下記の引用例には、それぞれ、次の事項が記載されている。

(引用例1)
特開2002-32611号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

A.「【特許請求の範囲】
・・・(中略)・・・
【請求項15】 所定の手続様式が格納された様式情報記憶手段と、
この様式情報記憶手段から取得した手続様式と、前記案件管理情報記憶手段から取得した案件管理情報とに基づいて、手続書類等の作成を支援する手続準備手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項14までのいずれかに記載の手続管理システム。
【請求項16】 前記手続準備手段により作成された手続書類のファイルを用いて、所定の手続先端末に手続を実行する手続実行手段をさらに備えることを特徴とする請求項15に記載の手続管理システム。
【請求項17】 手続を行うべき所定の手続先端末に通信回線を通じて依頼者端末等の他の端末から手続を実行するために、前記手続準備手段により作成された手続書類のファイルを当該他の端末に送信する手段をさらに備えることを特徴とする請求項15に記載の手続管理システム。」

B.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自ら或いは仲介・代理人等を介して各種プロジェクトや手続等を行う者、特に官公庁・行政機関・司法機関等へ各種申請・届出・手続等を行う者が、その手続等の状況を容易に把握できる手続管理システムに関するものである。」

C.「【0058】サーバ1には、様式情報記憶手段17に蓄積された各種手続様式を利用して、次手続等の所望の書類を作成する手続準備手段12が備えられている。例えば、手続確認手段11により依頼者の次手続の実行意思が確認された場合に、様式情報記憶手段17からその次手続に対応した所定の手続様式の様式情報を取得すると共に、必要ならば案件管理情報記憶手段16に蓄積されている出願人や権利者等やその識別番号等の主体的情報や、出願番号や登録番号等の客体的情報をも取得して、次手続用の手続書類(手続用ファイル)を作成するのである。なお、この際、書類作成のために足りない情報があれば、管理者端末2や依頼者端末4から必要な情報が入力されて、手続書類中に加入される。
【0059】様式情報記憶手段17とは、上記様式情報を記憶する手段であり、通常はテキストファイルや所定形式の文書ファイルとして、或いは画像ファイル等のファイルとして記憶されている。
【0060】様式情報とは、所定手続を行う場合の書式であり、例えば特許法施行規則等に規定されている各様式の他、必要ならば譲渡証等のその他の書式や、管理者(代理人)専用の委任状等も含まれる。これら各書式は必要に応じて、手続指示手段を介して所望のものを指定することにより、依頼者端末等から取り出し可能とされている。
【0061】サーバ1には、手続準備手段12により作成された手続書類(手続ファイル)を用いて、次手続を行うべき手続先に、次手続を実行するための手続実行手段13が備えられている。例えば、次手続を行うべき手続先端末3と通信回線やネットワークを介してサーバ1が接続されており、前記手続ファイルをそのまま或いは所定形式に変換した後、サーバ1から手続先端末3にオンラインにて手続するための手段である。なお、サーバ1自体から手続先端末3に直接手続してもよいが、一旦、手続ファイルを管理者端末2ないし依頼者端末4に送信して、その管理者端末2ないし依頼者端末4から手続先端末3にオンラインにて手続を行ってもよい。
【0062】また、オンラインではなくオフラインにて手続先に手続できるよう構成してもよい。その場合には、手続準備手段12にて作成された手続ファイルをサーバ1や各端末2,4のプリンターにて出力し、或いは所定形式でフロッピーディスク等の記録媒体に出力して、それを手続先へ郵送等すればよい。」

D.「【0121】また、上記実施例では、サーバ1側に手続の管理を依頼する場合を中心に説明したが、手続を行おうとする依頼者が手続書類の作成を容易にするためのシステムとすることもできる。この場合、上述したように、サーバ1のウェブサイトに接続した後、メニュー画面で「手続の指示」を選択すると、取り出し可能な書式項目や手続名の一覧が表示されるので、依頼者端末4から所望の書式(様式)や手続名を選択すればよい。ここで、手続名が指示された場合には、その手続に対応した書式が取り出される。このようにして手続指示手段11にて書式の選択が行われると、手続準備手段12がその選択信号に基づいて、様式情報記憶手段17を検索して該当書式を抽出する。
【0122】抽出された様式情報は、依頼者端末4に電子メールの添付ファイル等で送信されるので、依頼者は必要ならばそのファイルを開いてそれに必要事項を加入して、プリンターで出力する。なお、プリンターにて出力後に、必要事項を加入してもよい。また、印書の他、フロッピーディスク等に所定形式で出力したり、或いは所定の送信ファイルにして手続先端末3へのオンライン手続に供してもよい。
【0123】なお、依頼者端末4から選択された書式を様式情報記憶手段17から取得した後、その書類をウェブページにて依頼者端末4に開示してもよい。この場合、その書式中の空欄には、ウェブページ上にて依頼者端末4から所定事項を入力可能としてもよい。そして、このようにして作成された書類は、依頼者端末4にて、プリンターやフロッピー(登録商標)に出力したり、ダウンロードして所定の手続先端末3へのオンライン手続用のファイルとして利用することができる。」

E.「【0128】なお、上記各実施例では、主として特許事務の管理に適用した場合について説明したが、本発明のシステムは特許事務の管理に限らない。例えば、各種行政機関・官公庁(役所)・司法機関等への手続の管理や、各種申請書類等の作成や提出等に適用することもできる。」

上記A?Eの記載及び関連する図面を参照すると、次のことがいえる。

(あ)上記Cの段落【0058】に、「例えば、手続確認手段11により依頼者の次手続の実行意思が確認された場合に、様式情報記憶手段17からその次手続に対応した所定の手続様式の様式情報を取得する・・・」と記載され、また、上記Dの段落【0121】に、「・・・サーバ1のウェブサイトに接続した後、メニュー画面で「手続の指示」を選択すると、取り出し可能な書式項目や手続名の一覧が表示されるので、依頼者端末4から所望の書式(様式)や手続名を選択すればよい。ここで、手続名が指示された場合には、その手続に対応した書式が取り出される。」と記載されていることからすると、上記引用例1のものは、「様式情報記憶手段17に蓄積された各種手続様式」の中から、「次手続に対応した所定の手続様式の様式情報」を選択する動作を行っているものと解される。そして、そのような選択を行うことによって、次手続用の何れの「手続書類」を作成するかが選択されることになるものと解される。
また、上記Eの記載にあるように、上記引用例1のものは、「各種行政機関・官公庁(役所)・司法機関等」へ提出する「各種申請書類等」の作成にも適用されるものである。
よって、上記引用例1のものは、「各種行政機関・官公庁(役所)・司法機関等へ提出する各種申請書類の何れかから選択される書類をコンピュータを用いて提出する書類作成システム」に係るものであるということができる。

(い)上記Cの段落【0058】に、「なお、この際、書類作成のために足りない情報があれば、管理者端末2や依頼者端末4から必要な情報が入力されて、手続書類中に加入される。」と記載されており、上記引用例1のものは、「各種申請書類に関する情報を入力するための入力手段」を備えているということができる。

(う)上記引用例1のものにおける「サーバ1」は、「必要な提出書類の電子データを作成する処理手段」を備えているということができる。

(え)上記Cの段落【0062】の「手続準備手段12にて作成された手続ファイルをサーバ1や各端末2,4のプリンターにて出力し」との記載によれば、該「プリンター」は、「処理手段で作成された書類の電子データが入力されて必要な書類をプリントアウトする」機能を有するものであるということができる。
よって、上記引用例1のものにおける「サーバ1」は、「処理手段で作成された書類の電子データが入力されて必要な書類をプリントアウトする出力手段」を備えているということができる。

(お)「サーバ」のどの部分までを「処理手段」というかは任意であり、「サーバ」のうちの「処理手段」の中に、構成要素として「書類作成に必要なデータを記憶する記憶手段」が存在するということもできる。また、当然、「中央処理手段」も存在するということができる。

(か)上記引用例1のものにおける「サーバ1」の「処理手段」は、「入力手段」から入力されたデータと「記憶手段」から送出された書式データとを合成して「出力手段」に出力する動作を行っていると解される。

(き)上記Cの段落【0061】に、「サーバ1には、手続準備手段12により作成された手続書類(手続ファイル)を用いて、次手続を行うべき手続先に、次手続を実行するための手続実行手段13が備えられている。例えば、次手続を行うべき手続先端末3と通信回線やネットワークを介してサーバ1が接続されており、前記手続ファイルをそのまま或いは所定形式に変換した後、サーバ1から手続先端末3にオンラインにて手続するための手段である。」と記載されており、上記引用例1のものは、「処理手段で作成された書類の電子データが入力されて必要な書類を電子情報として配信する配信手段」を備えているということができる。

上記(あ)?(き)の事項を踏まえると、引用例1には、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用例1記載の発明」という。)
「各種行政機関・官公庁(役所)・司法機関等へ提出する各種申請書類の何れかから選択される書類をコンピュータを用いて提出する書類作成システムにおいて、前記各種申請書類に関する情報を入力するための入力手段と、必要な提出書類の電子データを作成する処理手段と、該処理手段で作成された書類の電子データが入力されて必要な書類をプリントアウトする出力手段とを備え、前記処理手段は、書類作成に必要なデータを記憶する記憶手段と中央処理手段とを備えるものであるとともに、前記入力手段から入力された情報と前記記憶手段から送出された書式データとを合成して前記出力手段に出力するものであり、さらに、前記処理手段で作成された書類の電子データが入力されて必要な書類を電子情報として配信する配信手段を有する書類作成システム。」

(引用例2)
特開平11-349104号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

F.「【0024】次に遊技機の廃棄商品管理システムについて図2を参照して説明する。遊技機の廃棄商品管理システムは、図2に示すように、環境システムホストコンピューター30と遊技機の管理をする遊技事業協同組合31と密接に関連して接続されている。遊技事業協同組合31は、遊技機33が設置されているホール(排出者)32からの入れ替え通知(変更承認申請書、メーカー保証書)を受け取るとその審査を行い環境システムホストコンピューター30に登録される。又、この遊技事業協同組合31はホール32に入れ替えされて設置されている遊技機33にバーコード化されたデータ(少なくともメーカー、製造番号、排出者)を有する廃棄用ラベル38を遊技機33に貼り付けるか又は取り付けるよう指示する。この遊技機33の廃棄処理に関しては環境システムホストコンピューター30に産業廃棄物管理票37として電子マニフェストに登録管理できるようになっている。」

(引用例3)
特開2002-175484号公報(以下、「引用例3」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

G.「【0021】発行手段45は、ユーザに発行する書類に基づいてデータベース43から所定のフォーマットを読み出すと共に、データベース42からフォーマットに対応するデータ内容を読み出し、フォーマットの所定位置にデータ内容を導入して書類を完成させる。契約書20a、支払依頼書20b、領収書20d等のユーザ宛ての書類は発送手段46からユーザ2に発送される。なお、発送手段46による発送は、書類自体の送付、あるいは、通信手段を介した送信で行うことができる。また、レンタル契約処理手段4内における契約受付を処理するために、発行手段45は契約受付フォーマットファイル43c中のフォーマットに契約ファイル42cのデータ内容を導入して契約受付票20cを発行し、管理手段49に送る。」

H.「【0034】出力手段40は、ユーザに発行する書類に基づいてデータベース43から所定のフォーマットを読み出すと共に、データベース42からフォーマットに対応するデータ内容を読み出し、フォーマットの所定位置にデータ内容を導入して書類を完成させ、見積り、契約書フォーマット、契約書、支払依頼書、領収書等をユーザ2に発送する。なお、契約書フォーマットは、ユーザ2側において電子署名された後、第2支援手段6からデータ入力手段に戻され、契約ファイル42cに記憶され、必要があれば契約書をユーザに送信あるいは送付する。また、レンタル契約処理手段4内における契約受付を処理するために、出力手段40は契約受付情報を管理手段49に送る。なお、データベース43内に第1の態様と同様に契約受付フォーマットファイル43cを設け、契約ファイル42cのデータ内容を導入して契約受付票20cを発行することもできる。」

I.「【0044】次に、本発明のレンタル契約システムを、レンタル製品の入替システムに適用した一構成例を図10の概略ブロック図を用いて説明する。なお、以下の例では、パチンコやスロットマシン等の遊技機をレンタル製品とした場合で説明する。」

(引用例4)
特開平11-47381号公報(以下、「引用例4」という。)には、次の事項が記載されている。

J.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は遊戯機ディスプレイ試験装置に関し、特に、弾球式遊戯機の液晶ディスプレイ(液晶表示装置)の動作試験、認定機関(公安当局)への申請書類用のハードコピー作成、プログラム開発、デバッグ等に使用して好適な遊戯機ディスプレイ試験装置に関する。」

(引用例5)
「我ら!業革党、パチンコ必勝ガイド2001年度11.4号、日本、2001.11.04発行、第13巻、第24号、67頁」(以下、「引用例5」という。)には、次の事項が記載されている。

K.「申請書類(諸元表)の書式」(最上段16?17行目)

(引用例6)
「PACHISURO LAND、パチスロ攻略マガジン3月号、日本、1993.03.01発行、第2巻、第3号、100?101頁」(以下、「引用例6」という。)には、次の事項が記載されている。

L.「メーカーが公安委員会の検定を受ける際の申請書」(101頁右上最上段10?11行目)

(引用例7)
「パチンコ社会派宣言、パチンコ必勝ガイド 1993 9.19号、日本、1993.09.19発行、第5巻、第29号、48?50頁」(以下、「引用例7」という。)には、「AMシール」に関する事項が記載されている。

3.対比
本願発明と引用例1記載の発明とを対比すると、次のことがいえる。

(ア)引用例1記載の発明における「各種申請書類」と、本願発明における「パチンコ店舗の経営に際して必要な書類である変更承認申請書、変更届出書、遊技機入替明細書、封印シール番号対照一覧表、島図、AMマーク除却届出書、AMマーク貼付申請書、AMマーク貼付申請遊技機の型式名簿、AMマーク貼付遊技機明細表」とは、「複数の書類」である点で共通するものである。
そして、引用例1記載の発明における「各種行政機関・官公庁(役所)・司法機関等」は、本願発明における「書類を提出すべき機関」に相当するものである。
よって、本願発明と引用例1記載の発明とは、ともに、「複数の書類の何れかから選択される書類を提出すべき機関に対してコンピュータを用いて提出する書類作成システム」に係るものである点で共通するものである。

(イ)引用例1記載の発明における「前記各種申請書類に関する情報」と本願発明における「前記許認可を得るための複数の書類に関するデータ」とは、「前記複数の書類に関するデータ」である点で共通するものである。
よって、本願発明と引用例1記載の発明とは、ともに、「前記複数の書類に関するデータを入力するための入力手段」を備える点で共通するものである。

(ウ)「必要な提出書類の電子データを作成する処理手段」、「該処理手段で作成された書類の電子データが入力されて必要な書類をプリントアウトする出力手段」、「書類作成に必要なデータを記憶する記憶手段」、「前記処理手段で作成された書類の電子データが入力されて必要な書類を電子情報として配信する配信手段」は、本願発明と引用例1記載の発明とが共通に備える構成である。

(エ)本願発明と引用例1記載の発明とにおける「処理手段」は、「書類作成に必要なデータを記憶する記憶手段と中央処理手段とを備えるものであるとともに、入力手段から入力されたデータと前記記憶手段から送出された書式データとを合成して出力手段に出力するもの」である点で共通するものである。

上記(ア)?(エ)の事項を踏まえると、本願発明と引用例1記載の発明とは、次の点で一致し、また、相違するものと認められる。

(一致点)
本願発明と引用例1記載の発明とは、ともに、
「複数の書類の何れかから選択される書類を提出すべき機関に対してコンピュータを用いて提出する書類作成システムにおいて、前記複数の書類に関するデータを入力するための入力手段と、必要な提出書類の電子データを作成する処理手段と、該処理手段で作成された書類の電子データが入力されて必要な書類をプリントアウトする出力手段とを備え、前記処理手段は、書類作成に必要なデータを記憶する記憶手段と中央処理手段とを備えるものであるとともに、前記入力手段から入力されたデータと前記記憶手段から送出された書式データとを合成して前記出力手段に出力するものであり、さらに、前記処理手段で作成された書類の電子データが入力されて必要な書類を電子情報として配信する配信手段を有する書類作成システム。」
である点。

(相違点)
相違点1:「複数の書類」が、本願発明においては、「パチンコ店舗の経営に際して必要な書類である変更承認申請書、変更届出書、遊技機入替明細書、封印シール番号対照一覧表、島図、AMマーク除却届出書、AMマーク貼付申請書、AMマーク貼付申請遊技機の型式名簿、AMマーク貼付遊技機明細表」であり、かつ「許認可を得るため」のものであるのに対し、引用例1記載の発明においては、「各種行政機関・官公庁(役所)・司法機関等へ提出する各種申請書類」であり、かつ「許認可を得るため」のものであるとはされていない点。

相違点2:本願発明においては、「中央処理手段」が「書類作成に関する処理を行う領域を処理手段内で選択する」ものであり、「入力手段から入力されたデータ」が「中央処理手段により選択されて且つ入力手段から入力されたデータ」となっているのに対し、引用例1記載の発明においては、そのようになっているとはされていない点。

相違点3:本願発明においては、「処理手段」を構成する構成要素として「各種書類を作成する作成ブロック」を含むものであり、該「作成ブロック」が「変更承認申請書及び変更届出書作成ブロックと、遊技機入替明細書作成ブロックと、封印シール番号対照一覧表作成ブロックと、島図作成ブロックと、AMマーク除却届出書作成ブロックと、AMマーク貼付申請書作成ブロックと、AMマーク貼付申請遊技機の型式名簿作成ブロックと、AMマーク貼付遊技機明細表作成ブロックと」を有するものであるのに対し、引用例1記載の発明においては、「処理手段」を構成する構成要素としてそのような「作成ブロック」を含むとはされていない点。

相違点4:本願発明においては、「中央処理手段」の具体的機能として、「必要書類の作成に係るブロックが指定されて入力手段によって指定されデータを入力し、そして記憶ブロックより書式データを抽出し、入力手段で入力したデータと記憶ブロックで抽出した書式データとを合成し、合成が完了すれば、その合成したデータを出力手段に送り、出力手段へすべてのデータの送信が完了すればそのデータをプリントアウトし、さらに所定の機関に前記合成データを配信する機能」を有するとされているのに対し、引用例1記載の発明においては、「中央処理手段」の具体的機能として、そのような具体的機能を有するとはされていない点。

4.当審の判断
そこで、上記相違点1?4について検討する。

(相違点1について)
パチンコ店舗の経営に際して、許認可を得るために種々の書類が必要であることは、上記引用例2の「変更承認申請書」、上記引用例3の「書類」、上記引用例4の「認定機関(公安当局)への申請書類」、上記引用例5の「申請書類」、上記引用例6の「メーカーが公安委員会の検定を受ける際の申請書」等に見られるように、周知事項である。また、上記引用例7の「AMシール」についても、その除去の届出や、貼付の申請等に種々の書類が必要であることは、周知事項にすぎない。
してみれば、引用例1記載の発明において、上記周知事項を参酌し、「複数の書類」を「パチンコ店舗の経営に際して必要な書類である変更承認申請書、変更届出書、遊技機入替明細書、封印シール番号対照一覧表、島図、AMマーク除却届出書、AMマーク貼付申請書、AMマーク貼付申請遊技機の型式名簿、AMマーク貼付遊技機明細表」とし、かつ「許認可を得るため」のものとすることは、当業者が適宜になし得ることにすぎない。

(相違点2について)
引用例1記載の発明において、「入力手段から入力された情報(データ)と記憶手段から送出された書式データとを合成して出力手段に出力する」に際しては、当然、書類のどの領域に情報(データ)を当てはめるかを選択しなければ、書類を作成することができないものと解される。そして、そのような、書類のどの領域に情報(データ)を当てはめるかの選択を、「中央処理手段」に行わせるようにすることは、ごく自然なことである。
よって、引用例1記載の発明において、「中央処理手段」を「書類作成に関する処理を行う領域を処理手段内で選択する」ものとし、「入力手段から入力されたデータ」を「中央処理手段により選択されて且つ入力手段から入力されたデータ」とすることは、当業者が適宜になし得ることにすぎない。

(相違点3について)
引用例1記載の発明は、「各種書類を作成する」機能を有するものである点においては、本願発明と同様のものである。
そして、処理手段中の特定の機能を司るところのソフトウェア手段を含めた部分を、特定の機能ブロックと称することは、当業者が適宜になし得ることにすぎないから、「各種書類を作成する」機能部分を「各種書類を作成する作成ブロック」と称することも、当業者が適宜になし得ることにすぎず、また、各種書類毎にレイアウト等が異なるのであるから、それぞれの書類を作成する機能ブロックを設けてそれぞれの書類毎の「作成ブロック」と称することも、当業者が適宜になし得ることにすぎない。
さらに、上記「相違点1について」で検討したように、引用例1記載の発明において、「複数の書類」を「パチンコ店舗の経営に際して必要な書類である変更承認申請書、変更届出書、遊技機入替明細書、封印シール番号対照一覧表、島図、AMマーク除却届出書、AMマーク貼付申請書、AMマーク貼付申請遊技機の型式名簿、AMマーク貼付遊技機明細表」とすることは、当業者が適宜になし得ることにすぎないのであるから、それぞれの書類に対応させて個別に「作成ブロック」を設けることは、当業者が適宜になし得ることにすぎない。
ここで、例えば、「変更承認申請書」と「変更届出書」とが一連の書類で同時に提出するようなものである場合に、それらを作成するブロックを、一つの「作成ブロック」と称するようにすることも、当業者が適宜になし得ることである。
よって、引用例1記載の発明において、「処理手段」を構成する構成要素として「各種書類を作成する作成ブロック」を含ませるようにし、該「作成ブロック」が「変更承認申請書及び変更届出書作成ブロックと、遊技機入替明細書作成ブロック)と、封印シール番号対照一覧表作成ブロックと、島図作成ブロックと、AMマーク除却届出書作成ブロックと、AMマーク貼付申請書作成ブロックと、AMマーク貼付申請遊技機の型式名簿作成ブロックと、AMマーク貼付遊技機明細表作成ブロックと」を有するものとすることは、当業者が適宜になし得ることにすぎない。

(相違点4について)
上記「相違点3について」で検討したように、引用例1記載の発明において、それぞれの書類に対応させて個別に「作成ブロック」を設けることは、当業者が適宜になし得ることにすぎない。
してみれば、それぞれの書類に対応させて個別に設けた「必要書類の作成に係るブロック」を指定して、当該書類の「作成ブロック」を動作させ、「入力手段」によって当該書類に係るデータの入力動作を行うようにすることは、当業者が適宜になし得ることにすぎない。
そして、入力手段から入力されたデータと記憶手段から送出された書式データとを合成して出力手段に出力すること、及び、処理手段で作成された書類の電子データが入力されて必要な書類を電子情報として配信することは、上記一致点で示したように、本願発明も、引用例1記載の発明も、同様に行われるものであり、そのための具体的動作として、記憶ブロックより書式データを抽出し、入力手段で入力したデータと記憶ブロックで抽出した書式データとを合成し、合成が完了した時点でその合成したデータを出力手段に送り、出力手段へすべてのデータの送信が完了した時点でそのデータをプリントアウトし、さらに所定の機関に合成データを配信するような動作を行わせるようにすることは、当業者が適宜になし得ることにすぎない。
よって、引用例1記載の発明において、「中央処理手段」の具体的機能として、「必要書類の作成に係るブロックが指定されて入力手段によって指定されデータを入力し、そして記憶ブロックより書式データを抽出し、入力手段で入力したデータと記憶ブロックで抽出した書式データとを合成し、合成が完了すれば、その合成したデータを出力手段に送り、出力手段へすべてのデータの送信が完了すればそのデータをプリントアウトし、さらに所定の機関に前記合成データを配信する機能」を有するものとすることは、当業者が適宜になし得ることにすぎない。

(本願発明の作用効果について)
そして、本願発明の構成によってもたらされる効果も、引用例1記載の発明及び上記周知事項から当業者が容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1記載の発明及び上記周知事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-03-29 
結審通知日 2010-03-30 
審決日 2010-04-12 
出願番号 特願2002-373482(P2002-373482)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 和田 財太  
特許庁審判長 長島 孝志
特許庁審判官 飯田 清司
田口 英雄
発明の名称 書類作成システム  
代理人 高橋 敏邦  
代理人 高橋 敏忠  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ