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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B27N |
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管理番号 | 1218099 |
審判番号 | 不服2008-28299 |
総通号数 | 127 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-07-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-11-06 |
確定日 | 2010-06-07 |
事件の表示 | 特願2002-374304「重量物のダンネージ」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 7月22日出願公開、特開2004-202840〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
【1】手続きの経緯 本願は、平成14年12月25日の出願であって、平成20年9月29日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月6日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年12月8日に手続補正がなされたものである。 その後、前置報告書の内容について、審判請求人の意見を求めるために平成21年10月29日付けで審尋がなされ、同年12月25日に当該審尋に対する回答書が提出された。 【2】本願発明 1.本願発明 本願の請求項1に係る発明は、平成20年12月8日付けの手続補正により補正された明細書の、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものと認める。 「圧縮強度が3?30MPaで、且つ25MPaの圧縮荷重を付与した場合の沈み込み率が25%以下のパーティクルボードで形成したことを特徴とする重量物のダンネージ。」(以下「本願発明」という。) 2.刊行物に記載された発明 (1)刊行物1 原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である、特開昭51-124174号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の記載がある。 (イ)「この発明は、多種の粉砕されたリグノセルローズ材料のいずれによつても鉄道用枕木を製造することができる方法に関するものである。 鉄道は毎年、腐朽によりもはや使用に耐えられなくなつた多くの鉄道用枕木の除去と交換という処理問題に悩んでいる。丈夫な新しい鉄道用枕木を製造する価格だけでなく、古いクレオソート処理された木材の枕木を大気や陸地を汚染することなく処理する適切な方法がないということである。」(第1頁左下欄第19行?右下欄第7行) (ロ)「この発明は複数の独立した型を利用してパーチクルボード製鉄道用枕木を製造する方法に向けられたものである。」(第2頁左上欄第11?13行) (ハ)「鉄道用枕木の引張と曲げの強さは重要であるので、木質のあるいは繊維性の種類のものの量をより多く含んでいるリグノセルローズ材料を用いることが望ましい。」(第3頁左上欄第2?6行) (ニ)「本発明の方法において前述したリグノセルローズパーチクルと結合剤とろうの配合混合物を特別に計量して上に説明したばかりのそれぞれの型10へ入れる。最初に型に入れられたまだ圧縮されていない混合物の高さはもちろん最終的に圧縮されたものの厚さよりもはるかに大きい。このまだ圧縮されていない混合物は、型内に均一に分配されなければならない。そしてその量は混合物を究極の所定の厚さに圧縮するためには圧力板26への所定の圧力が要求されるようなものである。所定の圧力は、特定の応用によつて指定された最終製品に要求される強さと密度の要因により再び変化させることができる。測定重量の混合物を型10に充填したらすぐに圧力板26を混合物の上に挿入し、型をプレスへと移送する。」(第3頁右下欄第17行?第4頁左上欄第11行) 上記各記載、及び各図面の記載を含む刊行物1の記載、並びに当業者の技術常識からみて、刊行物1には、以下の発明が記載されているものと認められる。 「パーチクルボードで形成した製品に要求される強さと密度を有する鉄道用枕木。」(以下「刊行物1記載の発明」という。) 3.対比・判断 本願発明と刊行物1記載の発明とを対比すると、刊行物1記載の発明の「パーチクルボード」は、本願発明の「パーティクルボード」に相当する。また、刊行物1記載の発明の「鉄道用枕木」と本願発明の「重量物のダンネージ」は、ともに、「重量物に用いる下敷材」である点で共通する。 したがって両者は、 「パーティクルボードで形成した重量物に用いる下敷材。」の点で一致し、以下の各点で相違している。 (相違点1) 本願発明の下敷材は、ダンネージであるのに対し、刊行物1記載の発明のそれは、鉄道用枕木である点。 (相違点2) 本願発明の下敷材は、圧縮強度が3?30MPaであるのに対し、刊行物1記載の発明のそれは、製品に要求される強さと密度を有するものの、圧縮強度が不明な点。 (相違点3) 本願発明の下敷材は、25MPaの圧縮荷重を付与した場合の沈み込み率が25%以下であるのに対し、刊行物1記載の発明のそれは、製品に要求される強さと密度を有するものの、沈み込み率が不明な点。 上記各相違点について検討する。 (相違点1について) 本願発明も、刊行物1記載の発明も、ともに、木質材料を用いた重量物に用いる下敷材という点で共通の技術分野に属する。そして、両者は、ともに、従来、木質材料として天然木を用いていたことに起因する再処理、再利用、コスト等の問題を解決することを目的としたものである。してみると、刊行物1記載の発明を、従来周知の天然木を用いた重量物のダンネージに適用することは、当業者が容易になし得る事項である。 (相違点2について) 重量物の下敷材であるダンネージに、所定の圧縮強度が要求されることは、当業者であれば、当然承知してる事項である。そして、具体的にどの程度の圧縮強度が必要であるかは、そのダンネージがどのようなもの(どの程度の重量の、どのような形状のもの)に、どのように用いるかによって、決まるべき値であるから、刊行物1記載の発明をダンネージに適用するに際して、その圧縮強度を必要であれば3?30MPaとすることは、当業者が適宜採用しうる事項である。 (相違点3について) 本願発明における「25MPaの圧縮荷重を付与した場合の沈み込み率」の指し示す技術的意味は必ずしも明確ではない(例えば、圧縮強度が3MPaであるダンネージの、25MPaの圧縮荷重を付与した場合の沈み込み率をどのように定義し、どのように測定するのかは、本願明細書を参酌しても不明である。)が、本願明細書の【0023】の「圧縮荷重を付与した場合の沈み込みの度合い、すなわち、沈み込み率・・・は、上記した密度や圧縮強度と密接な関係があり、上記した密度や圧縮強度を好ましい範囲で確保するためには、パーティクルボードの沈み込み率を、25MPaの圧縮荷重を付与した場合で25%以下にすることが好ましい。」の記載に基づけば、上記(相違点2について)の圧縮強度と同様に、その値は、用いる対象や用い方によって決めるべきものであって、当業者が適宜決定しうる事項である。 そして、本願発明の作用・効果も刊行物1記載の発明及び周知技術から当業者が予測し得る範囲のものであって格別なものではない。 したがって、本願発明は、刊行物1記載の発明及び周知技術に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 【3】むすび 以上のとおりであるから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願発明は特許を受けることができない。 したがって、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-03-31 |
結審通知日 | 2010-04-06 |
審決日 | 2010-04-19 |
出願番号 | 特願2002-374304(P2002-374304) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B27N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 上田 泰、草野 顕子 |
特許庁審判長 |
神 悦彦 |
特許庁審判官 |
山口 由木 山本 忠博 |
発明の名称 | 重量物のダンネージ |
代理人 | 津波古 繁夫 |
代理人 | 吉迫 大祐 |
代理人 | 田村 弘明 |
代理人 | 渡辺 良幸 |