• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する H04J
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する H04J
管理番号 1218529
審判番号 訂正2010-390031  
総通号数 128 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-08-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2010-04-06 
確定日 2010-05-24 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第4312794号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4312794号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 請求の要旨
本願は,日本国への平成16年4月30日付け特許出願に基づいた優先権主張を伴う,平成17年4月27日付け国際出願であって,平成21年5月22日に設定登録がなされたが,平成22年4月6日付けで本件審判請求がなされた。
本件審判請求の要旨は,特許第4312794号発明の特許請求の範囲を審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり,すなわち,以下(1)(2)のとおり訂正することを求めるものである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の【請求項9】における一部記載である
「送信側に対して前記変調方式情報の復調に成功したことを通知する」を,
「送信側に対して前記ユーザーデータに対応する前記変調方式情報前記変調方式情報の復調に成功したことを通知する」に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の【請求項9】における一部記載である
「前記復調情報が生成された後で受信するスロットには変調方式情報が存在しないものとして,前記復調に成功した変調方式情報を使用して,」を,
「前記復調情報が生成された後,変調方式情報が存在しないスロットは前記復調に成功した変調方式情報を使用して,」に訂正する。

なお,訂正前の請求項9,及び,(1)訂正事項1,(2)訂正事項2により訂正された訂正後の請求項9は以下のとおりである。
(訂正前)
「少なくとも各サブキャリアの変調方式を受信側に通知するための変調方式情報およびユーザデータを含む複数のスロットで構成される通信フレームを用いてマルチキャリア変調方式で無線通信を行なう無線通信システムに適用される復調器であって,
受信したスロットから前記変調方式情報を抽出し,前記抽出した変調方式情報を復調する変調方式情報復調部と,
前記変調方式情報の復調に成功したかどうかを判定し,前記復調に成功した場合,送信側に対して前記変調方式情報の復調に成功したことを通知するための復調情報を生成する復調情報生成部と,
前記復調情報が生成された後で受信するスロットには変調方式情報が存在しないものとして,前記復調に成功した変調方式情報を使用して,同一の通信フレームに含まれる各スロット内の前記ユーザデータに相当する各サブキャリアを復調するユーザデータ復調部と,を備えることを特徴とする復調器。」

(訂正後)
「少なくとも各サブキャリアの変調方式を受信側に通知するための変調方式情報およびユーザデータを含む複数のスロットで構成される通信フレームを用いてマルチキャリア変調方式で無線通信を行なう無線通信システムに適用される復調器であって,
受信したスロットから前記変調方式情報を抽出し,前記抽出した変調方式情報を復調する変調方式情報復調部と,
前記変調方式情報の復調に成功したかどうかを判定し,前記復調に成功した場合,送信側に対して前記ユーザーデータに対応する前記変調方式情報の復調に成功したことを通知するための復調情報を生成する復調情報生成部と,
前記復調情報が生成された後,変調方式情報が存在しないスロットは前記復調に成功した変調方式情報を使用して,同一の通信フレームに含まれる各スロット内の前記ユーザデータに相当する各サブキャリアを復調するユーザデータ復調部と,を備えることを特徴とする復調器。」(下線箇所が実質的な訂正箇所である。)

第2 当審の判断
1.訂正の目的の適否,新規事項の有無,及び拡張・変更の存否について

(1)訂正事項1について
本件の願書に添付した明細書又は図面(以下,「当初明細書」という。)の段落【0049】?【0076】には,本件に係る発明の第1の実施形態が開示され,その中の例えば段落【0057】には「MLIに基づき,ユーザデータの各サブキャリアの復調方式を指定する」との記載され,一方,この「MLI」に関しては,当初明細書の冒頭部分である段落【0006】に「ユーザデータを送信する各サブキャリアの変調方式を受信側に通知するための変調方式情報206(Modulation Level Information:以下,「MLI」と呼称する。)」との記載されているから,訂正前の請求項9に記載された「変調方式情報」には,少なくとも「ユーザデータに対応した」変調方式情報が含まれることは明らかである。また,当初明細書の他発明の実施形態についても同様の記載が開示されている。
したがって,訂正事項1は,特許請求の範囲を減縮するものであり,しかも当初明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであって,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。

(2)訂正事項2について
本願発明により解決される課題については,当初明細書の段落【0024】【0025】に,各々,
「しかしながらOFDM/MTPC方式では,同一の通信フレームに存在する各スロットのMLIはすべて同一である。従って,受信側でMLIの復調に一度成功すれば,その復調に成功したMLIを,同一の通信フレームに存在するすべてのスロットに含まれているユーザデータを復調するために使用することができる。逆に,受信側でMLIの復調に成功した場合は,その後に受信するスロットに含まれているMLIは必要がないといえる。すなわち,図20に示すように,例えば,受信側で第1のスロットを受信したときにMLIの復調に成功した場合,その後の第2のスロットから第Nのスロットに含まれているMLIは不要なデータとなる。このため,送信側は不要なMLIを送信し続けており,その結果,伝送効率を低下させていた。」
「本発明は,このような事情に鑑みてなされたものであり,不要なMLIの送信を止めることによって伝送効率の向上を図ることができる無線通信システムを提供することを目的とする。」と記載されており,
訂正前の請求項9における「前記復調に成功した場合,送信側に対して前記変調方式情報の復調に成功したことを通知する」との構成の意味するところは,通知後に,送信側は変調方式情報の送信を止め,それによって伝送効率の向上を図ることにある。
にもかかわらず,訂正前の請求項9における「前記復調情報が生成された後で受信するスロットには変調方式情報が存在しないものとして,前記復調に成功した変調方式情報を使用して,同一の通信フレームに含まれる各スロット内の前記ユーザデータに相当する各サブキャリアを復調する」との記載では,「復調情報が生成された後で受信するスロット」にも「変調方式情報」が依然として存在し,すなわち,送信側は「変調方式情報」を送信し続けることとになるから,上記課題を何ら解決できない発明ということになってしまう。また,逆に,送信側が「変調方式情報」を送信し続けた場合,受信側から送信側に「前記変調方式情報の復調に成功したことを通知する」ことの技術的意義乃至意味もなくなってしまう。
したがって,訂正前の請求項9に記載された発明は,全体として,技術的なまとまりを欠く,不明りょうな発明となっていることは明白である。
上記訂正事項2は,この不明瞭な発明を本来の解決すべき技術課題に沿って,訂正するものであり,「前記復調情報が生成された後,変調方式情報が存在しないスロットは前記復調に成功した変調方式情報を使用して,」に相当する実施例は,例えば,段落【0052】に,「次に,移動局装置では,第2のスロットにおいてMLIの復調に成功した。このため,移動局装置は,基地局装置に対してMLIの復調に成功したことを通知するACKを送信する。基地局装置は,ACKを受信した後,次の通信フレームまでMLIを送信する必要が無いので,MLIの送信を中止する。すなわち,当該通信フレーム内では,MLIを含まないスロットを移動局装置に対して送信する。・・・」等明らかに開示されているところである。
したがって,訂正事項2は,不明りょうな記載の釈明というべきであって,当初明細書に記載した事項の範囲内においてしたもので,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。
なお,当初明細書の段落【0031】【0097】等に「・・・無視し・・・」との記載があり,「存在しないものとし」と「無視し」が事実上同義表現といえるから,訂正前の請求項9中の「前記復調情報が生成された後で受信するスロットには変調方式情報が存在しないものとして」に対応する構成がこれらの段落に記載されているということもできるが,当該箇所に係る実施例は,MLIを含むスロット数が少なくとも2回以上送信されるものであり,しかもこのスロット数については受信側で了解していることを前提とする実施例である。したがって,スロット数についての事項を含まない請求項9に係る発明とは直接的には関係しないから,上記「実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない」との結論に影響を及ぼすものではない。

以上のとおりであるから,上記訂正事項1,2は,特許法第126条第1項第1,3号に揚げる事項を目的とし,第2項乃至第4項の規定に適合する。

2.独立特許要件について
訂正後の特許請求の範囲の請求項9,請求項9を引用する形式で記載された請求項12,及び前記請求項12を引用する形式で記載された請求項13に係る発明が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものか否かについて検討する。
本件に係る国際出願の国際調査報告書には,本件に関連すると認められる文献として以下のものが引用されている。
(1)中西 俊之 他,「サブキャリア適応変調方式を用いた1セル繰り返しOFDM/TDMAシステムにおける干渉低減技術に関する検討」,電子情報通信学会技術研究報告,社団法人電子情報通信学会,2003年1月16日,pp.59-64,RCS2002-239
(2)Tomoaki Yoshiki et al.,‘High bit rate transmission scheme with a multilevel transmit power control for the OFDM based adaptive modulation systems’,Vehicular Technology Conference,2001.VTC2001 Spring.IEEE VTS 53rd,2001年5月6日,pp.727-731
(3)特開2002-9734号公報

上記引用文献(1)?(3)は,本件の優先権主張の日以前に公知になっているが,訂正後の請求項9に係る発明の技術的な特徴ともいうべき,「前記復調情報が生成された後,変調方式情報が存在しないスロットは前記復調に成功した変調方式情報を使用して,同一の通信フレームに含まれる各スロット内の前記ユーザデータに相当する各サブキャリアを復調するユーザデータ復調部」について記載も示唆もないから,請求項9に係る発明が,引用文献(1)?(3)に記載された発明と同一とすることはもとより,引用文献(1)?(3)に記載された発明に基づいて容易に発明できたものとすることもできない。また,請求項12,13についても,請求項9を引用して記載しているから,同様に,引用文献(1)?(3)に記載された発明と同一とすることはもとより,引用文献(1)?(3)に記載された発明に基づいて容易に発明できたものとすることもできない。
そして,本件特許に対し,無効の審判は請求されておらず,他に特許出願の際独立して特許を受けることができないとすべき理由も見当たらない。
したがって,訂正後の請求項9,12,13に係る発明は,特許法第126条第5項の規定に適合する。

第3 むすび
したがって,本件審判の請求は,特許法第126条第1項乃至第5項の規定に適合するものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
無線通信システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のスロットで構成される通信フレームを用いてマルチキャリア変調方式で無線通信を行なう無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:以下、「OFDM」と呼称する。)伝送方式を採用した無線通信システムが知られている。このOFDMは、マルチキャリア変調方式の一種で、従来のシングルキャリア変調方式に比べて、障害物により伝搬路が錯綜した場合に発生するマルチパスフェージングに対して、耐性が大きいという特徴がある。
【0003】
しかしながら、OFDM信号であっても、マルチパスフェージングにより、図15に示すように、特定周波数のサブキャリアの受信電力が低下して、所望の信号波対雑音電力比(Signal to Noise Power Ratio:以下、「SNR」と呼称する。)が得られない場合には、一部のデータが復調不能となり、システムとしての伝送容量が低下する。
【0004】
このような課題を解決するために、図16に示すように、マルチパスフェージングにより受信電力の減衰が大きいサブキャリアは低い多値数の変調方式で、受信電力の減衰が小さいサブキャリアは高い多値数の変調方式で伝送する適応変調方式を適用すると共に、データを伝送するサブキャリアの送信電力を、所望のSNRを得られるように調整するマルチレベル送信電力制御方式(Multilevel Transmit Power Control:以下、「MTPC」と呼称する。)を適用する手法が提案されている。このMTPC方式は、マルチパスフェージングへの対策として、送信電力の最大値等についての制限、サブキャリアの効率的な利用という観点から注目されている方式である。
【0005】
図17は、OFDM/MTPC方式を採用する無線通信システムのフレームフォーマットの一構成例を示す図である。このフレームフォーマットは、例えば、基地局装置から移動局装置へのダウンリンクに際して用いられる。図17に示すように、伝送フレーム(通信フレーム)201は、10個のスロット202-1?202-10により構成される。また、各スロット202-1?202-10は、大きく分けて同期/制御データ部203およびユーザデータ部204の2つの部分から構成されている。
【0006】
同期/制御データ部203には、伝搬路の推定に用いられる受信側に既知の伝搬路推定用データ列205(Channel Estimation word:以下、「CE」と呼称する。)、およびユーザデータを送信する各サブキャリアの変調方式を受信側に通知するための変調方式情報206(Modulation Level Information:以下、「MLI」と呼称する。)が含まれている。これらは各サブキャリアの変調方式および各サブキャリアの送信電力を定義するものであり、OFDM/MTPC方式の特徴となっている。なお、MLIは、通信フレーム毎に更新される。
【0007】
図17に示すフレームフォーマットの信号を送信する場合、同期/制御データ部203についてはOFDM方式で送信する。すなわち、全てのサブキャリアについて、同じ変調方式に統一すると共に、同じ送信電力で送信する。
【0008】
また、ユーザデータ部204については、MTPC方式で送信する。すなわち、サブキャリア毎に変調多値数の異なる変調方式で送信すると共に、サブキャリア毎に送信電力を制御する。具体的には、次のように行なう。
(1)サブキャリア毎の変調方式は、同期/制御データ部のMLIで指定された変調方式とする。
(2)サブキャリア毎に受信側で所望の受信SNRが得られるように、伝搬路の品質に応じて各サブキャリアの送信電力を調整する。
(3)伝搬路の品質が極めて悪いサブキャリアには送信電力を与えず、キャリアホールとしてよい。
【0009】
一般的な通信においては、フレーム長に対して伝搬路の変動速度が遅いため、同一フレーム内では送信電力、変調方式を変更する必要はない。従って、同一の通信フレーム内では送信電力および変調方式を変更する必要はない。このため、同一の通信フレーム内ではMLIはすべて同一となっている。
【0010】
次に、OFDM/MTPC通信システムに適用される移動局装置の構成例について説明する。図18に示すように、移動局装置208は、受信回路209および送信回路210を備えている。受信アンテナ211が受信したRF信号は、RFコンバータ212によってダウンコンバートされて受信回路209に入力される。受信回路209に入力されたRFコンバータ212の出力信号は、アナログ/デジタル変換回路213に入力され、アナログ信号からデジタル信号に変換される。アナログ/デジタル変換回路213から出力されるデジタル信号は、デマルチプレクサ214に入力され、図17に示すスロットの構成に合わせてCE部205、MLIシンボル部206、およびユーザデータシンボル部204にそれぞれ分離して出力される。
【0011】
フーリエ変換回路(FFT回路)215-1は、デマルチプレクサ214の出力信号をフーリエ変換し、受信CEを再生する。伝搬路推定回路216は、フーリエ変換回路215-1から入力された受信CEと、参照用CEとを比較し、伝搬路特性を推定する。
【0012】
フーリエ変換回路(FFT回路)215-2は、デマルチプレクサ214の出力信号をフーリエ変換し、受信MLIシンボルを再生する。伝搬路補償回路217は、再生された受信MLIシンボルに対して、伝搬路推定回路216の推定結果に基づいて伝搬路補償を行なう。シンボル復調回路218は、伝搬路補償回路217によって伝搬路補償された受信MLIシンボルから、MLIを復調する。誤り検出回路219は、シンボル復調回路218の出力信号から誤り検出符号などにより誤りを検出する。
【0013】
復調方式指定回路220は、復調されたMLIに基づき、ユーザデータの各サブキャリアの復調方式を指定する。
【0014】
フーリエ変換回路(FFT回路)215-3は、デマルチプレクサ214の出力信号をフーリエ変換し、受信ユーザデータを再生する。伝搬路補償回路221は、再生された受信ユーザデータシンボルに対して、伝搬路推定回路216の推定結果に基づいて伝搬路補償を行なう。シンボル復調回路222は、伝搬路補償回路221で伝搬路補償を施された受信ユーザデータシンボルを、復調方式指定回路220の指定する各サブキャリアのユーザデータシンボル部の復調方式で復調する。復号回路223は、シンボル復調回路222で復調された符号化ユーザデータに対して、誤り訂正、伸張処理を行い、ユーザデータを復号する。
【0015】
図18に示す受信回路209の中で、CE、MLI、ユーザデータを復調する部分を以下のようにまとめることができる。
(1)FFT回路215-1から構成されるCE復調部。
(2)FFT回路215-2と伝搬路補償回路217とシンボル復調回路218と誤り検出回路219とから構成されるMLI復調部224。
(3)FFT回路215-3と伝搬路補償回路221とシンボル復調回路222と復号回路223とから構成されるユーザデータ復調部225。
【0016】
また、送信データ(ユーザデータ)は、送信回路210に入力される。送信回路210では、送信データに対して、例えば、符号化処理、変調処理、伝搬路推定回路216から入力される伝搬路推定結果信号を情報データとして基地局にフィードバックする処理などが行なわれる。そして、デジタル/アナログ変換され、RFコンバータ226によってRF信号にアップコンバートされて、送信アンテナ227によって送信される。
【0017】
次に、OFDM/MTPC通信システムに適用される基地局装置の構成例について説明する。図19に示すように、基地局装置230は、送信回路231と受信回路232とを備えている。送信回路231では、変調方式送信電力指定回路233が、受信回路232で受信データとして取得された伝搬路推定結果信号に基づき、ユーザデータ(送信データ)送信時の各サブキャリアの送信電力、ユーザデータ送信時の各サブキャリアの変調方式を決定する。
【0018】
符号回路234は、ユーザデータ(送信データ)の圧縮符号化、誤り訂正符号の付加等の処理を行ない、シンボル変調回路235は、変調方式送信電力指定回路233で決定された各サブキャリアの変調方式に基づき、符号回路234で符号化されたユーザデータを変調する。送信電力制御回路236は、シンボル変調回路235の出力信号を、サブキャリア毎に変調方式送信電力指定回路233で決定された値に調整し、IFFT回路237は、送信電力制御回路236の出力信号を逆フーリエ変換して出力する。
【0019】
MLI生成回路238は、変調方式送信電力指定回路233で決定されたユーザデータ送信時の各サブキャリアの変調方式に基づき、MLIを生成する。シンボル変調回路239は、MLI生成回路238で生成されたMLIを変調する。IFFT回路240は、シンボル変調回路239の出力信号を逆フーリエ変換して出力する。
【0020】
CE生成回路241は、CEを生成し、IFFT回路242は、CE生成回路241で生成されたCEを、逆フーリエ変換して出力する。
【0021】
マルチプレクサ243は、3つのIFFT回路(237、240、242)の出力信号を、図17のスロットの構成となるように多重する。デジタル/アナログ変換回路244は、マルチプレクサ243の出力を、デジタル信号からアナログ信号に変換する。デジタル/アナログ変換回路244から出力されるアナログ信号は、RFコンバータ245によってRF信号にアップコンバートされ、送信アンテナ246によって送信される。
【0022】
図19に示す送信回路231の中で、CE、MLI、ユーザデータを変調する部分を以下のようにまとめることができる。
(1)CE生成回路241とIFFT回路242とから構成されるCE変調部247。
(2)MLI生成回路238とシンボル変調回路239とIFFT回路240とから構成されるMLI変調部248。
(3)符号回路234とシンボル変調回路235と送信電力制御回路236とIFFT回路237とから構成されるユーザデータ変調部249。
【0023】
また、受信アンテナ250が受信したRF信号は、RFコンバータ251によってダウンコンバートされ、受信回路232に入力される。受信回路232では、例えば、アナログ/デジタル変換処理、種々の信号への分離処理、種々の復調処理が行なわれて、受信データ(ユーザデータ)が出力される。
【非特許文献1】
電子情報通信学会RCS2002-239「サブキャリア適応変調方式を用いた1セル繰り返しOFDM/TDMAシステムにおける干渉低減技術に関する検討」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
しかしながらOFDM/MTPC方式では、同一の通信フレームに存在する各スロットのMLIはすべて同一である。従って、受信側でMLIの復調に一度成功すれば、その復調に成功したMLIを、同一の通信フレームに存在するすべてのスロットに含まれているユーザデータを復調するために使用することができる。逆に、受信側でMLIの復調に成功した場合は、その後に受信するスロットに含まれているMLIは必要がないといえる。すなわち、図20に示すように、例えば、受信側で第1のスロットを受信したときにMLIの復調に成功した場合、その後の第2のスロットから第Nのスロットに含まれているMLIは不要なデータとなる。このため、送信側は不要なMLIを送信し続けており、その結果、伝送効率を低下させていた。
【0025】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、不要なMLIの送信を止めることによって伝送効率の向上を図ることができる無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
(1)上記の目的を達成するため、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明に係る変調器は、複数のスロットで構成される通信フレームを用いてマルチキャリア変調方式で無線通信を行なう無線通信システムに適用される変調器であって、少なくとも伝搬路を推定するための伝搬路推定情報を含むヘッダ情報、各サブキャリアの変調方式を受信側に通知するための変調方式情報およびユーザデータを多重して前記スロットを生成するスロット生成部と、受信側から前記変調方式情報の復調に成功したことを通知するための復調情報を受信したかどうかを判定する判定部と、を備え、前記判定部が前記復調情報を受信したと判定した場合、前記スロット生成部は、前記復調情報を受信してから、当該通信フレーム内で前記変調方式情報を含まないスロットを生成することを特徴としている。
【0027】
このように、受信側から変調方式情報の復調に成功したことを通知するための復調情報を受信した場合、復調情報を受信してから、当該通信フレーム内で変調方式情報を含まないスロットを生成するので、不要な変調方式情報が送信されることがなくなる。これにより、スロット内で不要な変調方式情報が占める時間が無くなるので、その時間をユーザデータの伝送に使用することができるようになる。例えば、スロット内で不要な変調方式情報が占める時間を削除することによりスロット長を短くして、同一の通信フレーム内に存在するスロット数を増加させたり、また、スロット長は変更せずに不要な変調方式情報が占める時間にユーザデータを割り当てたりすることができるようになる。その結果、伝送効率の向上を図ることが可能となる。
【0028】
(2)また、本発明に係る変調器は、前記判定部が前記復調情報を受信したと判定した場合、前記スロット生成部は、前記復調情報を受信してからn個(nは自然数)の前記変調方式情報を含むスロットを生成した後、当該通信フレーム内で前記変調方式情報を含まないスロットを生成することを特徴としている。
【0029】
このように、復調情報を受信してからn個(nは自然数)の変調方式情報を含むスロットを生成した後、当該通信フレーム内で変調方式情報を含まないスロットを生成するので、時間的に余裕を持たせて負担の少ない処理を行なうことが可能となる。すなわち、送信回路では、復調情報を受信する以前からスロットの送信処理を始めているため、復調情報を受信した直後のスロットに対して変調方式情報を含まないようにすることは容易ではない。従って、復調情報を受信してから一定の時間を、変調方式情報を含まないスロットを生成するための準備に当てることが望ましい。また、復調情報を受信してからn個の変調方式情報を含むスロットの生成に要する時間を、変調方式情報を含まないスロットを生成するための準備に当てるようにしたので、スロット単位で時間の管理を行なうことが可能となる。
【0030】
(3)また、本発明に係る変調器は、複数のスロットで構成される通信フレームを用いてマルチキャリア変調方式で無線通信を行なう無線通信システムに適用される変調器であって、少なくとも伝搬路を推定するための伝搬路推定情報を含むヘッダ情報、各サブキャリアの変調方式を受信側に通知するための変調方式情報およびユーザデータを多重して前記スロットを生成するスロット生成部と、前記変調方式情報を含めるべきスロットの数を推定し、前記推定したスロットの数を受信側に通知するためのスロット数情報を生成するスロット数情報生成部と、を備え、前記スロット生成部は、前記スロット数情報を前記変調方式情報に付加して前記推定された数のスロットを生成した後、当該通信フレーム内で前記変調方式情報を含まないスロットを生成することを特徴としている。
【0031】
このように、変調方式情報を含めるべきスロットの数を推定し、スロット数情報を変調方式情報に付加して推定した数のスロットを生成した後、当該通信フレーム内で変調方式情報を含まないスロットを生成するので、不要な変調方式情報が送信されることがなくなる。これにより、スロット内で不要な変調方式情報が占める時間が無くなるので、その時間をユーザデータの伝送に使用することができるようになる。その結果、伝送効率の向上を図ることが可能となる。また、変調方式情報と共に、変調方式情報を含むスロットの数が送信されるので、受信側で変調方式情報の復調に成功するかどうかによって送信側の処理が影響を受けることが無くなると共に、送信側では、受信側から変調方式情報の復調に成功したことを送信側へ通知する復調情報を受信したかどうかを判定する処理が必要なくなり、送信側での処理を簡略化させることが可能となる。一方、受信側では、変調方式情報およびスロット数情報の復調に成功すれば、変調方式情報が含まれているスロットの数を把握することができる。これにより、受信側では、変調方式情報およびスロット数情報の復調に成功した後、変調方式情報およびスロット数情報が含まれているスロットを受信した場合は変調方式情報を無視し、変調方式情報が含まれていないスロットを受信した場合は既に復調した変調方式情報を用いてユーザデータを復調することができる。これにより、変調方式情報の復調に成功したことを送信側に通知する処理が必要なくなり、受信側での処理を簡略化させることが可能となる。
【0032】
(4)また、本発明に係る変調器は、前記スロット数情報生成部は、伝搬路推定情報に基づいて、前記変調方式情報を復調するために必要な信号電力が得られるスロット数を推定することを特徴としている。
【0033】
このように、伝搬路推定情報に基づいて、変調方式情報を復調するために必要な信号電力が得られるスロット数を推定するので、受信側で確実に変調方式情報の復調を行なうことが可能となる。また、受信側から変調方式情報の復調に成功したことを送信側へ通知する復調情報を受信したかどうかを判定する処理が必要なくなり、送信側での処理を簡略化させることが可能となる。
【0034】
(5)また、本発明に係る変調器は、前記スロット数情報は、すべて同一の数値を表わす情報であることを特徴としている。
【0035】
このように、スロット数情報が、すべて同一の数値を表わす情報であるため、受信側では、通信フレームの最初から受信したスロットの数をカウントすることにより、変調方式情報を含むスロットの数を把握することができると共に、変調方式情報を含むスロットと含まないスロットを明確に区別することが可能となる。
【0036】
(6)また、本発明に係る変調器は、前記スロット数情報は、前記変調方式情報を含むスロットの残りの送信回数を表わす情報であることを特徴としている。
【0037】
このように、スロット数情報が、変調方式情報を含むスロットの残りの送信回数を表わす情報であるため、仮に、受信側で変調方式情報を含むいずれかのスロットにおいて、受信回路において信号を検出することができず、スロットを見逃してしまったとしても、他のスロットにおいて変調方式情報およびスロット数情報の復調に成功すれば、当該通信フレームの最初から受信したスロット数をカウントすることなく、変調方式情報を含むスロットがあといくつ送信され、どの段階から変調方式情報を含まないスロットが送信されるのかを把握することが可能となる。これにより、受信側では、誤って変調方式情報が含まれていないスロットを含まれているものとして受信してしまうことを回避することが可能となる。
【0038】
(7)また、本発明に係る変調器は、前記スロット生成部は、前記変調方式情報を含まないスロットを生成する際に、前記スロット内で前記変調方式情報に割り当てられている時間を削除してスロット長を短くし、スロット長が短くなった結果、前記通信フレーム内に生じる空き時間に応じて、前記変調方式情報を含まずにスロット長が短くなったスロットを更に生成することを特徴としている。
【0039】
このように、変調方式情報を含まないスロットを生成する際に、スロット内で変調方式情報に割り当てられている時間を削除してスロット長を短くし、スロット長が短くなった結果、通信フレーム内に生じる空き時間に応じて、変調方式情報を含まずにスロット長が短くなったスロットを更に生成するので、従来と比較して同一の時間的長さを有する通信フレーム内に存在し得るスロット数を増加させることが可能となる。これにより、ユーザデータをより多く伝送させることができるため、伝送効率の向上を図ることが可能となる。
【0040】
(8)また、本発明に係る変調器は、前記スロット生成部は、前記スロット内で前記変調方式情報に割り当てられている時間に、前記変調方式情報に代えて前記ユーザデータを割り当てることにより、スロット長を変更せずに前記変調方式情報を含まないスロットを生成することを特徴としている。
【0041】
このように、スロット内で変調方式情報に割り当てられている時間に、変調方式情報に代えてユーザデータを割り当てることにより、スロット長を変更せずに変調方式情報を含まないスロットを生成するので、従来と比較して同一の時間的長さを有するスロット内におけるユーザデータが占める割合を増加させることが可能となる。これにより、ユーザデータをより多く伝送させることができるため、伝送効率の向上を図ることが可能となる。本発明は、例えば、TDMA(Time Division Multiple Access:時分割多重接続)のように、スロット長を一定にしなければならないシステムにおいて好適である。
【0042】
(9)また、本発明に係る復調器は、少なくとも各サブキャリアの変調方式を受信側に通知するための変調方式情報およびユーザデータを含む複数のスロットで構成される通信フレームを用いてマルチキャリア変調方式で無線通信を行なう無線通信システムに適用される復調器であって、送信側の請求項1記載の変調器で生成され無線を介して受信したスロットから前記変調方式情報を抽出し、前記抽出した変調方式情報を復調する変調方式情報復調部と、前記変調方式情報の復調に成功したかどうかを判定し、前記復調に成功した場合、送信側に対して前記変調方式情報の復調に成功したことを通知するための復調情報を生成する復調情報生成部と、前記復調情報が生成された後、同一の通信フレームに存在する各スロット内の前記ユーザデータに相当する各サブキャリアを復調するために、前記復調に成功した変調方式情報を使用するユーザデータ復調部と、を備えることを特徴としている。
【0043】
このように、変調方式情報の復調に成功した場合、送信側に対して変調方式情報の復調に成功したことを通知するための復調情報を生成し、復調情報が生成された後、同一の通信フレームに存在する各スロット内のユーザデータに相当する各サブキャリアを復調するために、上記復調に成功した変調方式情報を使用するので、変調方式情報の復調に成功した後は、受信側では変調方式情報は不要となる。そして、復調情報が送信側に送信されることによって、送信側では復調情報受信後は、変調方式情報を含まないスロットを生成することができる。これにより、不要な変調方式情報が送信されることがなくなり、伝送効率の向上を図ることが可能となる。
【0044】
(10)また、本発明に係る復調器は、少なくとも各サブキャリアの変調方式を受信側に通知するための変調方式情報およびユーザデータを含む複数のスロットで構成される通信フレームを用いてマルチキャリア変調方式で無線通信を行なう無線通信システムに適用される復調器であって、受信したスロットから、前記変調方式情報、および前記変調方式情報に付加され同一の前記通信フレーム内に存在する前記変調方式情報を含むスロットの数を示すスロット数情報を抽出する抽出部と、前記抽出した変調方式情報およびスロット数情報を復調する変調方式・スロット数情報復調部と、前記変調方式情報およびスロット数情報の復調に成功したかどうかを判定し、前記復調に成功した場合、前記スロット数を抽出し、抽出したスロット数に基づいて前記変調方式情報およびスロット数情報を含む最後のスロットを特定し、前記特定したスロットの次のスロット以降、同一の通信フレームに存在する各スロットの前記ユーザデータに相当する各サブキャリアを復調するために、前記復調に成功した前記変調方式情報を使用するユーザデータ復調部と、を備えることを特徴としている。
【0045】
このように、受信したスロットから、変調方式情報およびスロット数情報を抽出し、その変調方式情報およびスロット数情報の復調に成功した場合、スロット数を抽出し、抽出したスロット数に基づいて変調方式情報およびスロット数情報を含む最後のスロットを特定するので、変調方式情報およびスロット数情報が含まれているスロットと含まれていないスロットとを明確に区別することが可能となる。また、上記特定したスロットの次のスロット以降、同一の通信フレームに存在する各スロットのユーザデータに相当する各サブキャリアを復調するために、上記復調に成功した変調方式情報を使用するので、変調方式情報およびスロット数情報の復調に成功した後は、受信側では変調方式情報は不要となる。そして、送信側では、スロット数情報を変調方式情報に付加して推定した数のスロットを生成した後、当該通信フレーム内で変調方式情報を含まないスロットを生成するので、不要な変調方式情報が送信されることがなくなる。これにより、スロット内で不要な変調方式情報が占める時間が無くなるので、その時間をユーザデータの伝送に使用することができるようになる。その結果、伝送効率の向上を図ることが可能となる。
【0046】
(11)また、本発明に係る基地局装置は、上記いずれかに記載の変調器を備え、(12)また、本発明に係る移動局装置は、上記いずれかに記載の復調器を備えることを特徴としている。(13)また、本発明に係る無線通信システムは、上記基地局装置と移動局装置と、から構成される。
【0047】
このような構成により、不要な変調方式情報が送信されることがなくなるので、スロット内で不要な変調方式情報が占める時間が無くなり、その時間をユーザデータの伝送に使用することができるようになる。その結果、伝送効率の向上を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、不要な変調方式情報が送信されることがなくなるので、スロット内で不要な変調方式情報が占める時間が無くなり、その時間をユーザデータの伝送に使用することができるようになる。その結果、伝送効率の向上を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る無線通信システムの概要を示す図である。基地局装置1は、セル2内に存在する移動局装置3との間で、周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)で双方向通信を行なう。基地局装置1から移動局装置3への送信(ダウンリンク)は周波数f1を用いて、MTPC方式で行なう。また、移動局装置3から基地局装置1への送信(アップリンク)は周波数f2を用いる。アップリンクの通信方式やフレームフォーマットについては、特に限定されず、従来から知られている通信方式およびフレームフォーマットを用いることができる。
【0050】
第1の実施形態に係る無線通信システムでは、受信側としての移動局装置が、MLIの復調に成功したら、送信側としての基地局装置は、MLIの送信を中止する。この動作を実現するために、この無線通信システムでは、移動局装置が、MLIの復調に成功した場合、その復調に成功したことを示す復調情報としてのACK(ACKnowledgement)を基地局装置へ送信し、それ以降、同一の通信フレームに存在するスロットにはMLIが無いものとしてユーザデータを復調する。また、ユーザデータを復調する際には、既に復調に成功しているMLIを使用する。これらの概要について図2を参照して説明する。
【0051】
図2は、第1の実施形態に係る無線通信システムにおける基地局装置と移動局装置とのデータ伝送シーケンスを示す図である。図2では、紙面の上方から下方に向かって時間が経過するものとする。基地局装置は、CE、MLI、およびユーザデータを含む第1のスロットを移動局装置に対して送信する。移動局装置では、第1のスロットについてMLIの復調に失敗したとき、基地局装置は、ACKを受信していないので、第2のスロットにもCE、MLI、およびユーザデータを含めて送信する。
【0052】
次に、移動局装置では、第2のスロットにおいてMLIの復調に成功した。このため、移動局装置は、基地局装置に対してMLIの復調に成功したことを通知するACKを送信する。基地局装置は、ACKを受信した後、次の通信フレームまでMLIを送信する必要が無いので、MLIの送信を中止する。すなわち、当該通信フレーム内では、MLIを含まないスロットを移動局装置に対して送信する。移動局装置では、ACKを送信した後に受信するスロットには、MLIが無く、CE、およびユーザデータのみが含まれているものとして受信を行ない、ユーザデータの復調を行なう。次に、このような機能を発揮する移動局装置および基地局装置の構成について説明する。
【0053】
図3は、第1の実施形態に係る移動局装置の構成を示すブロック図である。図18に示す従来の移動局装置と同一の機能を果たすブロックについては、同一の符号を付して説明する。図3に示すように、移動局装置100は、受信回路101および送信回路102を備えている。受信アンテナ211が受信したRF信号は、RFコンバータ212によってダウンコンバートされて受信回路101に入力される。受信回路101に入力されたRFコンバータ212の出力信号は、アナログ/デジタル変換回路213に入力され、アナログ信号からデジタル信号に変換される。アナログ/デジタル変換回路213から出力されるデジタル信号は、デマルチプレクサ214に入力され、図17に示すスロットの構成に合わせてCE部205、MLIシンボル部206、およびユーザデータシンボル部204にそれぞれ分離して出力される。
【0054】
フーリエ変換回路(FFT回路)215-1は、デマルチプレクサ214の出力信号をフーリエ変換し、受信CEを再生する。伝搬路推定回路216は、フーリエ変換回路215-1から入力された受信CEと、参照用CEとを比較し、伝搬路特性を推定する。
【0055】
フーリエ変換回路(FFT回路)215-2は、デマルチプレクサ214の出力信号をフーリエ変換し、受信MLIシンボルを再生する。伝搬路補償回路217は、再生された受信MLIシンボルに対して、伝搬路推定回路216の推定結果に基づいて伝搬路補償を行なう。シンボル復調回路218は、伝搬路補償回路217によって伝搬路補償された受信MLIシンボルから、MLIを復調する。
【0056】
誤り検出回路219は、シンボル復調回路218の出力信号から誤り検出符号などにより誤りを検出する。そして、誤り検出回路219は、シンボル復調回路218の出力信号に誤りを検出しなかった場合は、MLIの復調に成功したことを示す復調情報としてのACKの送信を要求する信号を送信回路102および受信動作制御回路103へ出力する。
【0057】
復調方式指定回路220は、復調されたMLIに基づき、ユーザデータの各サブキャリアの復調方式を指定する。
【0058】
フーリエ変換回路(FFT回路)215-3は、デマルチプレクサ214の出力信号をフーリエ変換し、受信ユーザデータを再生する。伝搬路補償回路221は、再生された受信ユーザデータシンボルに対して、伝搬路推定回路216の推定結果に基づいて伝搬路補償を行なう。シンボル復調回路222は、伝搬路補償回路221で伝搬路補償を施された受信ユーザデータシンボルを、復調方式指定回路220の指定する各サブキャリアのユーザデータシンボル部の復調方式で復調する。復号回路223は、シンボル復調回路222で復調された符号化ユーザデータに対して、誤り訂正、伸張処理を行い、ユーザデータを復号する。
【0059】
図3に示す受信回路101の中で、CE、MLI、ユーザデータを復調する部分を以下のようにまとめることができる。
(1)FFT回路215-1から構成されるCE復調部。
(2)FFT回路215-2と伝搬路補償回路217とシンボル復調回路218と誤り検出回路219とから構成されるMLI復調部224。
(3)FFT回路215-3と伝搬路補償回路221とシンボル復調回路222と復号回路223とから構成されるユーザデータ復調部225。
【0060】
また、受信動作制御回路103は、誤り検出回路219から入力されたACKの送信を要求する信号に基づいて、MLIが含まれないスロットを受信するように、MLI復調部224、ユーザデータ復調部225およびデマルチプレクサ214の動作を制御する。
【0061】
移動局装置100において、送信データ(ユーザデータ)は、送信回路102に入力される。送信回路102では、送信データに対して、例えば、符号化処理、変調処理、伝搬路推定回路216から入力される伝搬路推定結果信号を情報データとして基地局にフィードバックする処理などが行なわれる。そして、デジタル/アナログ変換され、RFコンバータ226によってRF信号にアップコンバートされて、送信アンテナ227によって送信される。
【0062】
さらに、送信回路102は、ACKの送信を要求する信号を受け取ると、ACK信号を生成して送信する。
【0063】
次に、第1の実施形態に係る基地局装置の構成について図4を参照して説明する。図19に示す従来の基地局装置と同一の機能を果たすブロックについては、同一の符号を付して説明する。図4に示すように、基地局装置110は、送信回路111および受信回路112を備えている。送信回路111では、変調方式送信電力指定回路233が、受信回路112で受信データとして取得された伝搬路推定結果信号に基づき、ユーザデータ(送信データ)送信時の各サブキャリアの送信電力、ユーザデータ送信時の各サブキャリアの変調方式を決定する。符号回路234は、ユーザデータ(送信データ)の圧縮符号化、誤り訂正符号の付加等の処理を行ない、シンボル変調回路235は、変調方式送信電力指定回路233で決定された各サブキャリアの変調方式に基づき、符号回路234で符号化されたユーザデータを変調する。送信電力制御回路236は、シンボル変調回路235の出力信号を、サブキャリア毎に変調方式送信電力指定回路233で決定された値に調整し、IFFT回路237は、送信電力制御回路236の出力信号を逆フーリエ変換して出力する。
【0064】
MLI生成回路238は、変調方式送信電力指定回路233で決定されたユーザデータ送信時の各サブキャリアの変調方式に基づき、MLIを生成する。シンボル変調回路239は、MLI生成回路238で生成されたMLIを変調する。IFFT回路240は、シンボル変調回路239の出力信号を逆フーリエ変換して出力する。
【0065】
CE生成回路241は、CEを生成し、IFFT回路242は、CE生成回路241で生成されたCEを、逆フーリエ変換して出力する。
【0066】
図4に示す送信回路111の中で、CE、MLI、ユーザデータを変調する部分を以下のようにまとめることができる。
(1)CE生成回路241とIFFT回路242とから構成されるCE変調部247。
(2)MLI生成回路238とシンボル変調回路239とIFFT回路240とから構成されるMLI変調部248。
(3)符号回路234とシンボル変調回路235と送信電力制御回路236とIFFT回路237とから構成されるユーザデータ変調部249。
【0067】
マルチプレクサ243は、3つのIFFT回路(237、240、242)の出力信号を、図17のスロットの構成となるように多重する。
【0068】
送信動作制御回路113は、受信回路112から入力されるACKを受信したことを通知する信号に基づいて、MLIを含まないスロットを生成するように、MLI変調部248、ユーザデータ変調部249、およびマルチプレクサ243の動作タイミングを制御する。
【0069】
デジタル/アナログ変換回路244は、マルチプレクサ243の出力を、デジタル信号からアナログ信号に変換する。デジタル/アナログ変換回路244から出力されるアナログ信号は、RFコンバータ245によってRF信号にアップコンバートされ、送信アンテナ246によって送信される。
【0070】
また、受信アンテナ250が受信したRF信号は、RFコンバータ251によってダウンコンバートされ、受信回路112に入力される。受信回路112では、例えば、アナログ/デジタル変換処理、種々の信号への分離処理、種々の復調処理が行なわれて、受信データ(ユーザデータ)が出力される。また、受信回路112では、受信アンテナ250が受信したRF信号に含まれるACKを復調し、送信回路111における送信動作制御回路113に出力される。さらに、受信回路132では、受信信号に基づいて伝搬路の状況が推定され、推定結果信号が送信回路131に出力される。
【0071】
次に、以上のように構成された第1の実施形態に係る移動局装置の動作について、図5に示すフローチャートを参照して説明する。移動局装置100では、受信回路101がCE、MLI、およびユーザデータを含むスロットを受信すると(ステップS1)、MLI復調部224においてMLIを復調する(ステップS2)。MLIには、誤り検査ビットなどが含まれており、MLI復調部224における誤り検出回路219がMLIの復調に成功したかどうか、すなわち、誤りを検出しないかどうかを判定する(ステップS3)。MLIの復調に失敗した場合、すなわち、誤りを検出した場合は、ステップS1に移行して、再び次のスロットを受信する態勢に入る。
【0072】
一方、ステップS3において、MLIの復調に成功した場合、すなわち、誤りを検出しなかった場合は、誤り検出回路219は、基地局装置に対してMLIの復調に成功したことを通知するためのACKの送信を要求する信号を送信回路102および受信動作制御回路103へ出力する。送信回路102は、ACKを基地局装置に対して送信し(ステップS4)、受信動作制御回路103は、ACKの送信を要求する信号に基づいて、MLIが含まれていないスロットを受信するように、MLI復調部224、ユーザデータ復調部225およびデマルチプレクサ214の動作を制御する。
【0073】
そして、ステップS2において復調したMLIに基づいてユーザデータを復調し(ステップS5)、当該通信フレームが完了したかどうかを判断する(ステップS6)。当該通信フレームが完了していない場合は、基地局装置から順次送信されてくるMLIを含まないスロット、すなわち、CEおよびユーザデータを含むスロットを受信し(ステップS7)、ステップS2において復調したMLIを用いてステップS7において受信したユーザデータを復調する(ステップS5)。当該通信フレームが完了するまでステップS5からステップS7の動作を繰り返し行なう。すなわち、MLIの復調に成功してから当該通信フレームが終了するまでの間は、受信スロットには、CEおよびユーザデータのみが含まれているものとして復調を行なう。ステップS6において、当該通信フレームが完了した場合は、ステップS1へ移行して、次の通信フレームからは再びMLIを含むスロットが送信されてくるものとして受信を行なう。
【0074】
次に、第1の実施形態に係る基地局装置の動作について、図6に示すフローチャートを参照して説明する。基地局装置110では、送信回路111が、変調方式および送信電力を決定する(ステップT1)。すなわち、MTPC方式では、基地局装置110は、移動局装置100からのフィードバックなどにより、伝搬路推定結果を把握していることが前提となっている。送信回路111は、伝搬路推定結果に基づいて、移動局装置100で所要のSNRが得られるようにサブキャリア毎に変調方式と送信電力を決定する。またそれと同時に、MLI生成回路238が生成するMLIを決定する(ステップT2)。次に、CE、上記決定したMLI、およびユーザデータを含むスロットを送信し(ステップT3)、当該通信フレームが完了したかどうかを判断する(ステップT4)。
【0075】
当該通信フレームが完了した場合は、ステップT1へ移行し、当該通信フレームが完了していない場合は、ACKを受信したかどうかを判断する(ステップT5)。ACKを受信していない場合は、ステップT3へ移行して、再びCE、MLI、およびユーザデータを含むスロットを送信する。一方、ステップT5において、ACKを受信した場合は、MLIを含まないスロット、すなわち、CE、およびユーザデータを含むスロットを送信する(ステップT6)。次に、当該通信フレームが完了したかどうかを判断し(ステップT7)、完了していない場合は、ステップT6へ移行し、当該通信フレームが完了するまでステップT6およびステップT7の動作を繰り返し行なう。一方、ステップT6において、当該通信フレームが完了した場合は、ステップT1へ移行し、再び伝搬路推定結果に基づいてMLIを決定し、MLIを含むスロットの送信を開始する。
【0076】
以上のように、第1の実施形態に係る無線通信システムによれば、不要なMLIが送信されることがなくなるので、スロット内で不要なMLIが占める時間が無くなり、その時間をユーザデータの伝送に使用することができるようになる。その結果、伝送効率の向上を図ることが可能となる。
【0077】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る無線通信システムについて説明する。図7は、第2の実施形態に係る無線通信システムにおける基地局装置と移動局装置とのデータ伝送シーケンスを示す図である。図7では、図2と同様に、紙面の上方から下方に向かって時間が経過するものとする。基地局装置は、CE、MLI、およびユーザデータを含む第1のスロットを移動局装置に対して送信する。移動局装置では、第1のスロットについてMLIの復調に失敗したとき、基地局装置は、ACKを受信していないので、第2のスロットにもCE、MLI、およびユーザデータを含めて送信する。
【0078】
次に、移動局装置では、第2のスロットにおいてMLIの復調に成功した。このため、移動局装置は、基地局装置に対してMLIの復調に成功したことを通知するACKを送信する。基地局装置は、ACKを受信した後、次の通信フレームまでMLIを送信する必要が無いので、MLIの送信を中止する。すなわち、当該通信フレーム内では、MLIを含まないスロットを移動局装置に対して送信する。
【0079】
ここで、第2の実施形態では、基地局装置は、ACKを受信してから、例えば、1スロット送信した後、MLIを含まないスロットを送信するものとする。これは、基地局装置では、ACKを受信したときには既に次のスロットを送信するための処理を開始しているため、ACKを受信した直後のスロットからMLIの送信を中止することが容易ではないことに対処するためである。
【0080】
図7に示すように、移動局装置では、第2のスロットにおいてMLIの復調に成功したため、基地局装置に対してACKを送信している。基地局装置では、ACKを受信したときには第3のスロットにMLIを含めて送信するための処理を開始しているので、そのままMLIを含んだスロットを送信する。そして、第4のスロットについては、MLIを含まないスロットを生成して送信を行なう。移動局装置では、第3のスロットにはMLIが含まれているものとして受信し、第4のスロット以降、当該通信フレームが終了するまでに受信するスロットには、MLIが無く、CE、およびユーザデータのみが含まれているものとして受信を行ない、ユーザデータの復調を行なう。なお、図7では、基地局装置においてACKを受信してから1スロット後からMLIを含まないスロットを送信する場合を説明したが、本発明は、これに限定されるわけではない。例えば、基地局装置においてACKを受信してから、MLIを含むn個(nは自然数)のスロットを生成してから、MLIを含まないスロットを生成するようにしても良い。
【0081】
以上のように、第2の実施形態に係る無線通信システムによれば、ACKを受信してからn個(nは自然数)のMLIを含むスロットを生成した後、当該通信フレーム内でMLIを含まないスロットを生成するので、時間的に余裕を持たせて負担の少ない処理を行なうことが可能となる。また、ACKを受信してからn個のMLIを含むスロットの生成に要する時間を、MLIを含まないスロットを生成するための準備に当てるようにしたので、スロット単位で時間の管理を行なうことが可能となる。
【0082】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る無線通信システムについて説明する。MTPC方式の前提として、基地局装置は伝搬路状況を把握している。このため、移動局装置においてMLIの復調が成功するために必要なスロット数を推定することが可能である。このため、第3の実施形態に係る無線通信システムでは、基地局装置において、MLIに、MLIを含むスロット数を示す情報を付加する。移動局装置では、MLIおよびスロット数を示す情報の復調に成功すると、MLI含むスロットの数を把握することができる。
【0083】
図8は、第3の実施形態に係る移動局装置の構成を示すブロック図である。図3に示す第1の実施形態に係る移動局装置と同一の機能を果たすブロックについては、同一の符号を付して説明する。図8に示すように、移動局装置120は、受信回路121および送信回路122を備えている。受信アンテナ211が受信したRF信号は、RFコンバータ212によってダウンコンバートされて受信回路121に入力される。受信回路121に入力されたRFコンバータ212の出力信号は、アナログ/デジタル変換回路213に入力され、アナログ信号からデジタル信号に変換される。アナログ/デジタル変換回路213から出力されるデジタル信号は、デマルチプレクサ214に入力され、図17に示すスロットの構成に合わせてCE部205、MLIシンボル部206、およびユーザデータシンボル部204にそれぞれ分離して出力される。
【0084】
フーリエ変換回路(FFT回路)215-1は、デマルチプレクサ214の出力信号をフーリエ変換し、受信CEを再生する。伝搬路推定回路216は、フーリエ変換回路215-1から入力された受信CEと、参照用CEとを比較し、伝搬路特性を推定する。
【0085】
フーリエ変換回路(FFT回路)215-2は、デマルチプレクサ214の出力信号をフーリエ変換し、受信MLIシンボルを再生する。伝搬路補償回路217は、再生された受信MLIシンボルに対して、伝搬路推定回路216の推定結果に基づいて伝搬路補償を行なう。
【0086】
ベクトル加算回路123は、伝搬路補償回路217の出力信号と記憶回路124の出力信号とをベクトル加算する。記憶回路124は、ベクトル加算回路123の出力信号を保存する。切替回路125は、伝搬路補償回路217の出力信号とベクトル加算回路123の出力信号とを切り替える。シンボル復調回路218は、切替回路125から出力されるMLIシンボルから、MLIを復調する。誤り検出回路219は、シンボル復調回路218の出力信号から誤り検出符号などにより誤りを検出する。
【0087】
ここで、ベクトル加算回路123によるベクトル加算処理について図9に示すフローチャートを参照して説明する。ここでは、MLIを変調した後の第Nスロットを受信した際のベクトル加算処理の動作を説明する。また、復調動作開始時は、切替回路125は、伝搬路補償回路217の出力信号を出力するように設定されている。
【0088】
図9において、まず、第Nスロットを受信し(ステップR1)、ベクトル加算を行なわずに受信した第NスロットのMLIを復調する(ステップR2)。誤り検出回路219で、MLIが正しく復調できたか否かを判断し(ステップR3)、MLIが正しく復調できなかった場合は、切替回路125をベクトル加算回路123側に切り替える(ステップR4)。
【0089】
ベクトル加算回路123は、伝搬路補償回路217から出力される第NスロットのMLIシンボル部と、記憶回路124に保存されている第1スロットから第(N-1)スロットまでのMLIシンボル部のベクトル加算結果と、をベクトル加算する(ステップR5)。記憶回路124は、ベクトル加算回路123から出力される第1スロットから第NスロットまでのMLIシンボル部のベクトル加算結果を保存する(ステップR6)。そして、シンボル復調回路218がベクトル加算結果を復調する(ステップR7)。
【0090】
次に、切替回路125を伝搬路補償回路217の方に切り替えて(ステップR8)、誤り検出回路219において、ベクトル加算結果が正しく復調できたか否かを判定する(ステップR9)。ステップR9における判定の結果、ベクトル加算結果の復調に失敗したと判定されたときは、ステップR1に戻り、次の第(N+1)スロットを受信する。以降、上記の規則に則って動作する。ステップR3およびステップR9の判定の結果、復調に成功したと判定されたときは、記憶回路124に保存されているデータを破棄する(ステップR10)。MLIの復調に成功した場合には、同一の通信フレームに存在するスロット内のユーザデータは、そのMLIを用いて復調する。次の通信フレームを受信するとき、再び上記の方法でMLIの復調を行なう。
【0091】
すなわち、同一の通信フレーム内の各スロットのMLIは同じであるのに対して、それらのスロットに含まれる雑音成分には相関がない。従って、上記のようにベクトル加算を行なうことによって、希望信号電力の方だけを強めることができ、SNRを改善することができる。
【0092】
また、図8において、誤り検出回路219は、シンボル復調回路218の出力信号に誤りを検出しなかった場合は、MLIの復調に成功したことを示すデータをMLI送信スロット数抜出し回路126へ出力する。
【0093】
復調方式指定回路220は、復調されたMLIに基づき、ユーザデータの各サブキャリアの復調方式を指定する。
【0094】
フーリエ変換回路(FFT回路)215-3は、デマルチプレクサ214の出力信号をフーリエ変換し、受信ユーザデータを再生する。伝搬路補償回路221は、再生された受信ユーザデータシンボルに対して、伝搬路推定回路216の推定結果に基づいて伝搬路補償を行なう。シンボル復調回路222は、伝搬路補償回路221で伝搬路補償を施された受信ユーザデータシンボルを、復調方式指定回路220の指定する各サブキャリアのユーザデータシンボル部の復調方式で復調する。復号回路223は、シンボル復調回路222で復調された符号化ユーザデータに対して、誤り訂正、伸張処理を行い、ユーザデータを復号する。
【0095】
図8に示す受信回路121の中で、CE、MLI、ユーザデータを復調する部分を以下のようにまとめることができる。
(1)FFT回路215-1から構成されるCE復調部。
(2)FFT回路215-2と伝搬路補償回路217とベクトル加算回路123と記憶回路124と切替回路125とシンボル復調回路218と誤り検出回路219とから構成されるMLI復調部127。
(3)FFT回路215-3と伝搬路補償回路221とシンボル復調回路222と復号回路223とから構成されるユーザデータ復調部225。
【0096】
また、MLI送信スロット数抜出し回路126は、誤り検出回路219から誤りを検出しなかった旨のデータが入力されたときは、シンボル復調回路218から入力されるMLIから送信スロット数を抜き出して、MLI受信制御回路128に出力する。すなわち、第3の実施形態に係る無線通信システムでは、基地局装置がMLIを含むスロットをいくつ送信するのかを示すスロット数情報がMLIに付加されるのである。従って、シンボル復調回路218がMLIの復調に成功した場合は、MLIを含むスロットの数を把握することができる。
【0097】
MLI受信制御回路128は、MLI送信スロット数抜出し回路126から入力される送信スロット数に基づいて、デマルチプレクサ214、MLI復調部127、およびユーザデータ復調部225の動作を制御する。すなわち、受信スロット数が、MLI受信制御回路128が把握したスロット数に到達するまでは、MLIを含むスロットが送信されてくるため、これを無視してユーザデータの復調処理を行ない、受信スロット数が、MLI受信制御回路128が把握したスロット数に到達した後は、MLIを含まないスロットが送信されてくるものとしてユーザデータの復調処理を行なう。ユーザデータの復調処理を行なうに当たっては、シンボル復調回路218において既に復調に成功したMLIを使用する。
【0098】
なお、以上の説明では、伝搬路補償回路217によって伝搬路補償された信号をベクトル加算回路123に入力し、伝搬路補償回路217の出力信号とベクトル加算回路123の出力信号とを切替回路125で切り替えてシンボル復調回路218に入力する形態を示したが、本発明は、これに限定されるわけではない。例えば、デマルチプレクサ214の出力信号を直接ベクトル加算回路123に入力し、デマルチプレクサ214の出力信号とベクトル加算回路123の出力信号とを切替回路125で切り替えてFFT回路215-2に入力する構成を採っても良い。
【0099】
移動局装置120において、送信データ(ユーザデータ)は、送信回路122に入力される。送信回路122では、送信データに対して、例えば、符号化処理、変調処理、伝搬路推定回路216から入力される伝搬路推定結果信号を情報データとして基地局にフィードバックする処理などが行なわれる。そして、デジタル/アナログ変換され、RFコンバータ226によってRF信号にアップコンバートされて、送信アンテナ227によって送信される。
【0100】
次に、第3の実施形態に係る基地局装置の構成について図10を参照して説明する。図4に示す第1の実施形態に係る基地局装置と同一の機能を果たすブロックについては、同一の符号を付して説明する。図10に示すように、基地局装置130は、送信回路131および受信回路132を備えている。送信回路131では、変調方式送信電力指定回路233が、受信回路132で受信データとして取得された伝搬路推定結果信号に基づき、ユーザデータ(送信データ)送信時の各サブキャリアの送信電力、ユーザデータ送信時の各サブキャリアの変調方式を決定する。符号回路234は、ユーザデータ(送信データ)の圧縮符号化、誤り訂正符号の付加等の処理を行ない、シンボル変調回路235は、変調方式送信電力指定回路233で決定された各サブキャリアの変調方式に基づき、符号回路234で符号化されたユーザデータを変調する。送信電力制御回路236は、シンボル変調回路235の出力信号を、サブキャリア毎に変調方式送信電力指定回路233で決定された値に調整し、IFFT回路237は、送信電力制御回路236の出力信号を逆フーリエ変換して出力する。
【0101】
MLI生成回路238は、変調方式送信電力指定回路233で決定されたユーザデータ送信時の各サブキャリアの変調方式に基づき、MLIを生成する。また、MLI生成回路238は、後述するMLI送信スロット数推定回路133から入力される推定データに基づいて、MLIを含ませるスロットの数を示すデータをMLIに付加する。シンボル変調回路239は、MLI生成回路238で生成されたMLIを変調する。IFFT回路240は、シンボル変調回路239の出力信号を逆フーリエ変換して出力する。
【0102】
CE生成回路241は、CEを生成し、IFFT回路242は、CE生成回路241で生成されたCEを、逆フーリエ変換して出力する。
【0103】
図10に示す送信回路131の中で、CE、MLI、ユーザデータを変調する部分を以下のようにまとめることができる。
(1)CE生成回路241とIFFT回路242とから構成されるCE変調部247。
(2)MLI生成回路238とシンボル変調回路239とIFFT回路240とから構成されるMLI変調部248。
(3)符号回路234とシンボル変調回路235と送信電力制御回路236とIFFT回路237とから構成されるユーザデータ変調部249。
【0104】
マルチプレクサ243は、3つのIFFT回路(237、240、242)の出力信号を、図17のスロットの構成となるように多重する。
【0105】
MLI送信スロット数推定回路133は、受信回路132から入力される伝搬路推定結果信号に基づいて、変調方式送信電力指定回路233が指定する変調方式と送信電力で何個のスロットを送信すればよいかを推定し、推定結果をMLI生成回路238および送信動作制御回路134に出力する。
【0106】
送信動作制御回路134は、MLI送信スロット数推定回路133から入力される推定結果に基づいて、推定した数のMLIを含むスロットを生成するように、そして、その生成したスロットの数が推定した数に到達した以降は、MLIを含まないスロットを生成するように、MLI変調部248、ユーザデータ変調部249、およびマルチプレクサ243の動作タイミングを制御する。
【0107】
デジタル/アナログ変換回路244は、マルチプレクサ243の出力を、デジタル信号からアナログ信号に変換する。デジタル/アナログ変換回路244から出力されるアナログ信号は、RFコンバータ245によってRF信号にアップコンバートされ、送信アンテナ246によって送信される。
【0108】
また、受信アンテナ250が受信したRF信号は、RFコンバータ251によってダウンコンバートされ、受信回路132に入力される。受信回路132では、例えば、アナログ/デジタル変換処理、種々の信号への分離処理、種々の復調処理が行なわれて、受信データ(ユーザデータ)が出力される。さらに、受信回路132では、受信信号に基づいて伝搬路の状況が推定され、推定結果信号が送信回路131に出力される。
【0109】
次に、以上のように構成された第3の実施形態に係る移動局装置の動作について、図11に示すフローチャートを参照して説明する。移動局装置120では、受信回路121がCE、MLI、およびユーザデータを含むスロットを受信すると(ステップP1)、MLI復調部127においてMLIを復調する(ステップP2)。MLIには、誤り検査ビットなどが含まれており、MLI復調部127における誤り検出回路219がMLIの復調に成功したかどうか、すなわち、誤りを検出しないかどうかを判定する(ステップP3)。MLIの復調に失敗した場合、すなわち、誤りを検出した場合は、ステップP1に移行して、再び次のスロットを受信する体勢に入る。
【0110】
一方、ステップP3において、MLIの復調に成功した場合、すなわち、誤りを検出しなかった場合は、MLI送信スロット数抜出し回路126において、MLIを含むスロット数(MLI送信スロット数)を取得する(ステップP4)。このスロット数は、例えば、3であるとする。移動局装置120では、3スロットを受信するまでは、MLIを含むスロットが送信されてくるものとして受信し、4スロット目から当該通信フレーム内ではMLIを含まないスロットが送信されてくるものとして受信する。
【0111】
そして、ステップP2において復調したMLIに基づいてユーザデータを復調し(ステップP5)、MLI送信スロット数(上記の例では「3」)分のスロットを受信したかどうかを判断する(ステップP6)。MLI送信スロット数分のスロットを受信していない場合は、MLIを含むスロット、すなわち、CE、MLI、およびユーザデータを含むスロットを受信する(ステップP7)。ここで、ステップP2においてMLIの復調に成功しているため、ステップP7で受信したMLIは無視する。
【0112】
次に、ステップP6において、MLI送信スロット数分のスロットを受信した場合は、基地局装置から順次送信されてくるMLIを含まないスロット、すなわち、CEおよびユーザデータを含むスロットを受信する(ステップP8)。そして、ステップP2において復調したMLIを用いてステップP8において受信したユーザデータを復調する(ステップP9)。当該通信フレームが完了するまでステップP8からステップP10の動作を繰り返し行なう。すなわち、MLIの復調に成功してから当該通信フレームが終了するまでの間は、受信スロットには、CEおよびユーザデータのみが含まれているものとして復調を行なう。ステップP10において、当該通信フレームが完了した場合は、ステップP1へ移行して、次の通信フレームからは再びMLIを含むスロットが送信されてくるものとして受信を行なう。
【0113】
次に、第3の実施形態に係る基地局装置の動作について、図12に示すフローチャートを参照して説明する。基地局装置130では、送信回路131が、変調方式および送信電力を決定する(ステップQ1)。すなわち、MTPC方式では、基地局装置130は、移動局装置120からのフィードバックなどにより、伝搬路推定結果を把握していることが前提となっている。送信回路131は、伝搬路推定結果に基づいて、移動局装置120で所要のSNRが得られるようにサブキャリア毎に変調方式と送信電力を決定する。次に、送信回路131におけるMLI送信スロット数推定回路133が、移動局装置120において何スロット分のMLIをベクトル加算すれば所要のSNRが得られるのかを推定して、送信すべきスロット数を決定する(ステップQ2)。ここで、移動局装置120が、上記決定された数のスロット数を受信したとしても、MLIの復調に失敗してしまうと、次の通信フレームまでユーザデータの復調ができなくなるため、上記決定するスロット数は、移動局装置120においてMLIを復調するために必要な信号電力が十分に得られるように決める。
【0114】
次に、MLI生成回路238が生成するMLIを決定し(ステップQ3)、CE、上記決定したMLI、およびユーザデータを含むスロットを送信する(ステップQ4)。ここで、例えば、MLIを含むスロット数が「3」に決まったとすると、送信回路131は、3スロットだけMLIを付加したスロットを送信する。そして、4スロット以降は、次の通信フレームまでMLIを含まないスロットを送信する。すなわち、MLI送信スロット数分のスロットを送信したかどうかを判断し(ステップQ5)、MLI送信スロット数分のスロットを送信していない場合は、ステップQ4へ移行する。一方、MLI送信スロット数分のスロットを送信した場合は、MLIを含まないスロット、すなわち、CE、およびユーザデータを含むスロットを送信する(ステップQ6)。次に、当該通信フレームが完了したかどうかを判断し(ステップQ7)、完了していない場合は、ステップQ6へ移行する。一方、完了した場合は、ステップQ1へ移行し、再び伝搬路推定結果に基づいてMLIを決定し、MLIを含むスロットの送信を開始する。
【0115】
なお、上記のように、MLIを含むスロット数をすべて同一の数値(上記の例では「3」)を表わす情報であるとすることにより、移動局装置では、通信フレームの最初から受信したスロットの数をカウントすることにより、MLIを含むスロットの数を把握することができると共に、MLIを含むスロットと含まないスロットを明確に区別することが可能となる。
【0116】
また、MLIを含むスロット数を、MLIを含むスロットの残りの送信回数を表わす情報であるとすることにより、仮に、移動局装置の受信回路において信号を検出することができず、スロットを見逃してしまったとしても、他のスロットにおいてMLI(およびスロット数情報)の復調に成功すれば、当該通信フレームの最初から受信したスロット数をカウントすることなく、MLIを含むスロットがあといくつ送信され、どの段階からMLIを含まないスロットが送信されるのかを把握することが可能となる。これにより、移動局装置では、誤ってMLIが含まれていないスロットを含まれているものとして受信してしまうことを回避することが可能となる。
【0117】
さらに、上記の第1の実施形態に係る無線通信システムでは、ACKの受信を待ってMLIを含まないスロットを生成するため、MLIを含むスロットが移動局装置の状況によって変化していた。これに対し、第3の実施形態に係る無線通信システムでは、移動局装置においていずれかのMLIを含むスロットの復調に成功すれば、MLIを含むスロット数が明らかになるので、移動局装置における処理が簡略化される。
【0118】
以上のように、第3の実施形態に係る無線通信システムによれば、不要なMLIが送信されることがなくなるので、スロット内で不要なMLIが占める時間が無くなり、その時間をユーザデータの伝送に使用することができるようになる。その結果、伝送効率の向上を図ることが可能となる。
【0119】
(第4の実施形態)
第4の実施形態に係る無線通信システムでは、上記のように、MLIを含まないスロットを生成する際に、スロット内でMLIに割り当てられている時間を削除してスロット長を短くする。そして、スロット長が短くなった結果、一つの通信フレーム内に生じる空き時間の大きさに応じて、MLIを含まずにスロット長が短くなったスロットを更に生成する。
【0120】
図13は、第4の実施形態に係る無線通信システムのフレームフォーマットの一構成例を示す図である。例えば、一つの通信フレームのフレーム長を固定の2msとし、CEに10μs、MLIに10μs、そしてユーザデータに80μsを割り当てるものとする。図13では、第1のスロットから第3のスロットまではMLIが含まれているが、第4のスロット以降にはMLIは含まれていない。このため、MLIを含むスロットのスロット長が100μsであるのに対し、MLIを含まないスロットのスロット長は90μsとなる。フレーム長は2msと一定であるため、従来の技術のように、すべてのスロットでMLIを送信する場合は、一通信フレームあたり20スロットであったのに対して、第4の実施形態では、22スロットまで送信することが可能となる。
【0121】
このように、第4の実施形態に係る無線通信システムによれば、従来と比較して同一の時間的長さを有する通信フレーム内に存在し得るスロット数を増加させることが可能となる。これにより、ユーザデータをより多く伝送させることができるため、伝送効率の向上を図ることが可能となる。
【0122】
(第5の実施形態)
第5の実施形態に係る無線通信システムでは、上記のように、MLIを含まないスロットを生成する際に、スロット内でMLIに割り当てられている時間に、MLIに代えてユーザデータを割り当てる。そして、スロット長を変更せずにMLIを含まないスロットを生成する。本実施形態は、例えば、TDMAのように、スロット長を一定にしなければならないシステムに好適である。
【0123】
図14は、第5の実施形態に係る無線通信システムのフレームフォーマットの一構成例を示す図である。例えば、一つの通信フレームのフレーム長を固定の2msとし、CEに10μs、MLIに10μs、そしてユーザデータに80μsを割り当てるものとする。MLIを含まないスロットについては、MLIのために割り当てられていた区間をユーザデータ区間に置き換えて、もともと割り当てられていたユーザデータの区間を拡張する。すなわち、MLIに10μsの時間が割り当てられていたため、これに代えてユーザデータを割り当てることによって、ユーザデータに割り当てられる区間が、10μs増えて、合計で90μsとなる。この方式では、一通信フレームあたりのスロット数は、20スロットと従来の技術と同じであるが、一スロットあたりに占めるユーザデータが大きくなっているため、伝送効率を向上させることが可能となる。
【0124】
以上のように、第5の実施形態によれば、従来と比較して同一の時間的長さを有するスロット内におけるユーザデータが占める割合を増加させることが可能となる。これにより、ユーザデータをより多く伝送させることができるため、伝送効率の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】第1の実施形態に係る無線通信システムの概要を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る無線通信システムにおける基地局装置と移動局装置とのデータ伝送シーケンスを示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る移動局装置の構成を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態に係る基地局装置の構成を示すブロック図である。
【図5】第1の実施形態に係る移動局装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施形態に係る基地局装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】第2の実施形態に係る無線通信システムにおける基地局装置と移動局装置とのデータ伝送シーケンスを示す図である。
【図8】第3の実施形態に係る移動局装置の構成を示すブロック図である。
【図9】ベクトル加算回路によるベクトル加算処理を示すフローチャートである。
【図10】第3の実施形態に係る基地局装置の構成を示すブロック図である。
【図11】第3の実施形態に係る移動局装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】第3の実施形態に係る基地局装置の動作を示すフローチャートである。
【図13】第4の実施形態に係る無線通信システムのフレームフォーマットの一構成例を示す図である。
【図14】第5の実施形態に係る無線通信システムのフレームフォーマットの一構成例を示す図である。
【図15】直交周波数分割多重システムにおけるスペクトルを示す図である。
【図16】マルチレベル送信電力制御方式を用いた直交周波数分割多重システムにおけるスペクトルを示す図である。
【図17】マルチレベル送信電力制御方式を用いた直交周波数分割多重システムにおけるフレームフォーマットを示す図である。
【図18】OFDM/MTPC通信システムに適用される移動局装置の構成例を示すブロック図である。
【図19】OFDM/MTPC通信システムに適用される基地局装置の構成例を示すブロック図である。
【図20】MLIの復調に成功した後のスロットの様子を示す図である。
【符号の説明】
【0126】
103 受信動作制御回路
113 送信動作制御回路
123 ベクトル加算回路
124 記憶回路
125 切替回路
126 MLI送信スロット数抜出し回路
128 MLI受信制御回路
133 MLI送信スロット数推定回路
134 送信動作制御回路
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスロットで構成される通信フレームを用いてマルチキャリア変調方式で無線通信を行なう無線通信システムに適用される変調器であって、
少なくとも伝搬路を推定するための伝搬路推定情報を含むヘッダ情報、各サブキャリアの変調方式を受信側に通知するための変調方式情報およびユーザデータを多重して前記スロットを生成するスロット生成部と、
受信側から前記変調方式情報の復調に成功したことを通知するための復調情報を受信したかどうかを判定する判定部と、を備え、
前記判定部が前記復調情報を受信したと判定した場合、前記スロット生成部は、前記復調情報を受信してから、当該通信フレーム内で前記変調方式情報を含まないスロットを生成することを特徴とする変調器。
【請求項2】
前記判定部が前記復調情報を受信したと判定した場合、前記スロット生成部は、前記復調情報を受信してからn個(nは自然数)の前記変調方式情報を含むスロットを生成した後、当該通信フレーム内で前記変調方式情報を含まないスロットを生成することを特徴とする請求項1記載の変調器。
【請求項3】
複数のスロットで構成される通信フレームを用いてマルチキャリア変調方式で無線通信を行なう無線通信システムに適用される変調器であって、
少なくとも伝搬路を推定するための伝搬路推定情報を含むヘッダ情報、各サブキャリアの変調方式を受信側に通知するための変調方式情報およびユーザデータを多重して前記スロットを生成するスロット生成部と、
前記変調方式情報を含めるべきスロットの数を推定し、前記推定したスロットの数を受信側に通知するためのスロット数情報を生成するスロット数情報生成部と、を備え、
前記スロット生成部は、前記スロット数情報を前記変調方式情報に付加して前記推定された数のスロットを生成した後、当該通信フレーム内で前記変調方式情報を含まないスロットを生成することを特徴とする変調器。
【請求項4】
前記スロット数情報生成部は、伝搬路推定情報に基づいて、前記変調方式情報を復調するために必要な信号電力が得られるスロット数を推定することを特徴とする請求項3記載の変調器。
【請求項5】
前記スロット数情報は、すべて同一の数値を表わす情報であることを特徴とする請求項3または請求項4記載の変調器。
【請求項6】
前記スロット数情報は、前記変調方式情報を含むスロットの残りの送信回数を表わす情報であることを特徴とする請求項3または請求項4記載の変調器。
【請求項7】
前記スロット生成部は、前記変調方式情報を含まないスロットを生成する際に、前記スロット内で前記変調方式情報に割り当てられている時間を削除してスロット長を短くし、スロット長が短くなった結果、前記通信フレーム内に生じる空き時間に応じて、前記変調方式情報を含まずにスロット長が短くなったスロットを更に生成することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の変調器。
【請求項8】
前記スロット生成部は、前記スロット内で前記変調方式情報に割り当てられている時間に、前記変調方式情報に代えて前記ユーザデータを割り当てることにより、スロット長を変更せずに前記変調方式情報を含まないスロットを生成することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の変調器。
【請求項9】
少なくとも各サブキャリアの変調方式を受信側に通知するための変調方式情報およびユーザデータを含む複数のスロットで構成される通信フレームを用いてマルチキャリア変調方式で無線通信を行なう無線通信システムに適用される復調器であって、
受信したスロットから前記変調方式情報を抽出し、前記抽出した変調方式情報を復調する変調方式情報復調部と、
前記変調方式情報の復調に成功したかどうかを判定し、前記復調に成功した場合、送信側に対して前記ユーザーデータに対応する前記変調方式情報の復調に成功したことを通知するための復調情報を生成する復調情報生成部と、
前記復調情報が生成された後、変調方式情報が存在しないスロットは前記復調に成功した変調方式情報を使用して、同一の通信フレームに含まれる各スロット内の前記ユーザデータに相当する各サブキャリアを復調するユーザデータ復調部と、を備えることを特徴とする復調器。
【請求項10】
少なくとも各サブキャリアの変調方式を受信側に通知するための変調方式情報およびユーザデータを含む複数のスロットで構成される通信フレームを用いてマルチキャリア変調方式で無線通信を行なう無線通信システムに適用される復調器であって、
受信したスロットから、前記変調方式情報、および前記変調方式情報に付加され同一の前記通信フレーム内に存在する前記変調方式情報を含むスロットの数を示すスロット数情報を抽出する抽出部と、
前記抽出した変調方式情報およびスロット数情報を復調する変調方式・スロット数情報復調部と、
前記変調方式情報およびスロット数情報の復調に成功したかどうかを判定し、前記復調に成功した場合、前記スロット数を抽出し、抽出したスロット数に基づいて前記変調方式情報およびスロット数情報を含む最後のスロットを特定し、前記特定したスロットの次のスロット以降、同一の通信フレームに存在する各スロットの前記ユーザデータに相当する各サブキャリアを復調するために、前記復調に成功した前記変調方式情報を使用するユーザデータ復調部と、を備えることを特徴とする復調器。
【請求項11】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の変調器を備えることを特徴とする基地局装置。
【請求項12】
請求項9または請求項10記載の復調器を備えることを特徴とする移動局装置。
【請求項13】
請求項11記載の基地局装置と、請求項12記載の移動局装置と、から構成される無線通信システム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2010-05-14 
出願番号 特願2006-512827(P2006-512827)
審決分類 P 1 41・ 853- Y (H04J)
P 1 41・ 851- Y (H04J)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐々木 洋高野 洋  
特許庁審判長 山本 春樹
特許庁審判官 萩原 義則
猪瀬 隆広
登録日 2009-05-22 
登録番号 特許第4312794号(P4312794)
発明の名称 無線通信システム  
代理人 福地 武雄  
代理人 福地 武雄  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ