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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する G09F
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する G09F
管理番号 1218538
審判番号 訂正2010-390023  
総通号数 128 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-08-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2010-03-02 
確定日 2010-05-28 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3382936号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3382936号に係る明細書を平成22年4月27日付けの手続補正で補正された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第3382936号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし請求項12に係る発明は、平成14年12月20日にその特許権の設定登録がなされたものである。
平成22年3月2日に本件訂正審判の請求がなされた後、同年3月30日付けで訂正拒絶理由が通知された。これに対して、同年4月27日付けで、審判請求書に添付された訂正明細書及び審判請求書の請求の理由を補正する手続補正がなされるとともに意見書が提出された。


第2 請求の趣旨及び訂正事項の詳細
1 請求の趣旨
平成22年4月27日付けの手続補正による、審判請求書に添付された訂正明細書の補正は、実質的に訂正事項の一部の記載を本件特許に係る明細書(以下、「特許明細書」という。)の記載に戻すことを内容としているから、審判請求書の訂正事項の一部を削除する補正に相当する。よって、当該補正は審判請求書の要旨を変更するものではないと認められ、特許法第131条の2第1項の規定に適合するものと認められる。
したがって、本件の訂正審判の請求の趣旨は、特許明細書を平成22年4月27日付けの手続補正によって補正された訂正明細書(以下、単に「訂正明細書」という。)のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。

2 訂正事項の詳細
訂正明細書による訂正事項は、下記の訂正事項1ないし訂正事項9からなっている。
(1) 訂正事項1
特許明細書の特許請求の範囲の請求項1(以下、「特許明細書の請求項1」という。)の下記の記載を、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1(以下、「訂正明細書の請求項1」という。)に記載されたとおりの下記のように訂正する。

<特許明細書の請求項1>
【請求項1】 画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置であって、
前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、接続するための左右見開き接続手段と、
ユーザーから見て左右方向に見開きにされたときの前記「2つの表示板」を、「前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「約105度から約175度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、摩擦力やストッパやチルト機構やその他の手段により固定するための左右見開き固定手段と、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。

<訂正明細書の請求項1>
【請求項1】 略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置であって、
前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、接続するための左右見開き接続手段と、
前記「2つの表示板」を、「前記各表示板がユーザーから見て左右方向に見開きにされているときの前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が約180度となるように、固定するための完全左右見開き固定手段と、
ユーザーから見て左右方向に見開きにされたときの前記「2つの表示板」を、「前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「約120度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、ストッパにより固定するための中間左右見開き固定手段であって、
前記「2つの表示板」の、「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「前記各表示板が互いに折り畳まれた状態」から広げられて行く動作、をストップする機能と、
前記「2つの表示板」の、「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「ユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きにされた状態」から狭められて行く動作、をストップする機能と、を有する中間左右見開き固定手段と、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
(当審注:下線は訂正箇所を示す。)

(2) 訂正事項2
特許明細書の特許請求の範囲の請求項2(以下、「特許明細書の請求項2」という。)の下記の記載を、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項2(以下、「訂正明細書の請求項2」という。)に記載されたとおりの下記のように訂正する。

<特許明細書の請求項2>
【請求項2】 画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置であって、
前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、接続するための左右見開き接続手段と、
前記「2つの表示板」を、「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の見開き角度」が「それらが互いに折り畳まれた状態とユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きにされた状態との間の角度であって、約105度から約175度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、固定するための左右見開き固定手段と、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。

<訂正明細書の請求項2>
【請求項2】略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置であって、
前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、接続するための左右見開き接続手段と、
前記「2つの表示板」を、「ユーザから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の見開き角度」が約180度となるように、固定するための完全左右見開き固定手段と、
前記「2つの表示板」を、「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の見開き角度」が「それらが互いに折り畳まれた状態とユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きにされた状態との間の角度であって、約120度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、固定するための中間左右見開き固定手段であって、
前記「2つの表示板」の、「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の見開き角度」が「前記各表示板が互いに折り畳まれた状態」から広げられて行く動作、をストップする機能を有する中間左右見開き固定手段と、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
(当審注:下線は訂正箇所を示す。)

(3) 訂正事項3
特許明細書の特許請求の範囲の請求項3(以下、「特許明細書の請求項3」という。)の下記の記載を、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項3(以下、「訂正明細書の請求項3」という。)に記載されたとおりの下記のように訂正する。

<特許明細書の請求項3>
【請求項3】 画面をそれぞれ表示できる「2つ以上の表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置であって、
前記「2つ以上の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、接続するための左右見開き接続手段と、
前記「2つ以上の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」がユーザーから見て左右方向に見開きにされたとき、前記「2つの表示板」を、「前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「約105度から約175度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、固定するための左右見開き固定手段と、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。

<訂正明細書の請求項3>
【請求項3】略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置であって、
前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、接続するための左右見開き接続手段と、
前記「2つの表示板」を、「前記各表示板がユーザーから見て左右方向に見開きにされているときの前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が約180度となるように、固定するための完全左右見開き固定手段と、
前記「2つの表示板」がユーザーから見て左右方向に見開きにされたとき、前記「2つの表示板」を、「前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「約120度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、固定するための中間左右見開き固定手段と、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
(当審注:下線は訂正箇所を示す。)

(4) 訂正事項4
特許明細書の特許請求の範囲の請求項4、請求項5及び請求項6(以下、それぞれ、「特許明細書の請求項4」、「特許明細書の請求項5」及び「特許明細書の請求項6」という。)の「約105度から約175度まで」という記載を、いずれも「約105度から約170度まで」と訂正する。

(5) 訂正事項5
特許明細書の段落【0012】の下記の記載(以下、「特許明細書における本発明の内容1-(1)に係る記載」という。)を、訂正明細書の段落【0012】に記載されたとおりの下記(以下、「訂正明細書における本発明の内容1-(1)に係る記載」という。)のように訂正する。

<特許明細書における本発明の内容1-(1)に係る記載>
1-(1).画面をそれぞれ表示できるような「少なくとも2つの表示板(少なくとも2つの表示パネル)」を含んでおり、ユーザーがその片手の上に載せてその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置であって、前記の「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、互いに接続するための左右見開き接続手段と、ユーザーから見て左右方向に見開きにされたときの前記「2つの表示板」を、「前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「約105度から約175度までの範囲内のいずれかの角度(あるいは、約105度から約170度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約165度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約160度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約155度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約150度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約145度までの範囲内のいずれかの角度、又は約105度から約140度までの範囲内のいずれかの角度)」となるように、固定するための左右見開き固定手段と、を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。

<訂正明細書における本発明の内容1-(1)に係る記載>
1-(1)-1. 略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置であって、前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、接続するための左右見開き接続手段と、前記「2つの表示板」を、「前記各表示板がユーザーから見て左右方向に見開きにされているときの前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が約180度となるように、固定するための完全左右見開き固定手段と、ユーザーから見て左右方向に見開きにされたときの前記「2つの表示板」を、「前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「約120度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、ストッパにより固定するための中間左右見開き固定手段であって、前記「2つの表示板」の、「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「前記各表示板が互いに折り畳まれた状態」から広げられて行く動作、をストップする機能と、前記「2つの表示板」の、「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「ユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きにされた状態」から狭められて行く動作、をストップする機能と、を有する中間左右見開き固定手段と、を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
1-(1)-2. 略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置であって、前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、接続するための左右見開き接続手段と、前記「2つの表示板」を、「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の見開き角度」が約180度となるように、固定するための完全左右見開き固定手段と、前記「2つの表示板」を、「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の見開き角度」が「それらが互いに折り畳まれた状態とユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きにされた状態との間の角度であって、約120度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、固定するための中間左右見開き固定手段であって、記「2つの表示板」の、「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の見開き角度」が「前記各表示板が互いに折り畳まれた状態」から広げられて行く動作、をストップする機能を有する中間左右見開き固定手段と、を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
1-(1)-3. 略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置であって、前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、接続するための左右見開き接続手段と、前記「2つの表示板」を、「前記各表示板がユーザーから見て左右方向に見開きにされているときの前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が約180度となるように、固定するための完全左右見開き固定手段と、前記「2つの表示板」がユーザーから見て左右方向に見開きにされたとき、前記「2つの表示板」を、「前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「約120度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、固定するための中間左右見開き固定手段と、を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。

(6) 訂正事項6
特許明細書の段落【0012】の「1-(2)」、「2-(1)」、「2-(2)」「3-(1)」、「3-(2)」及び「3-(3)」における「約105度から約175度までの範囲内のいずれかの角度(あるいは、約105度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」という記載を、いずれも「約105度から約170度までの範囲内のいずれかの角度(あるいは」と訂正する。

(7) 訂正事項7
特許明細書の段落【0018】の「約175度から約105度(又は、約170度から約110度)まで」という記載を、「約105度から約170度まで(又は、約110度から約170度まで)」と訂正する。

(8) 訂正事項8
特許明細書の段落【0026】の「約105度から約175度まで(又は、約110度から約170度まで)」という記載を、「約105度から約170度まで(又は、約110度から約170度まで)」と訂正する。

(9) 訂正事項9
特許明細書の段落【0044】、段落【0045】及び段落【0047】の「約105度から約175度まで」という記載を、いずれも「約105度から約170度まで」と訂正する。


第3 当審の判断
上記の各訂正事項について、以下検討する。
1 訂正の目的、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更について
(1) 訂正事項1について
訂正事項1は、特許明細書の請求項1の記載を訂正するものであるところ、次の(ア)から(エ)の事項を内容としている。
(ア)「画面」について「略長方形の画面」と限定すること。
(イ)「片手支持可能な表示装置」が備える事項として、「前記『2つの表示板』を、『前記各表示板がユーザーから見て左右方向に見開きにされているときの前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度』が約180度となるように、固定するための完全左右見開き固定手段」という事項を付加することにより「片手支持可能な表示装置」を限定すること。
(ウ)「左右見開き固定手段」について、前記「完全左右見開き固定手段」と区別するために「中間左右見開き固定手段」と名称の変更をするとともに、「前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」を「約105度から約175度までの範囲内」から「約120度から約170度までの範囲内」に減縮すること。
(エ)「左右見開き固定手段」について、「ストッパにより固定するための」ものであって、「前記『2つの表示板』の、『前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度』が『前記各表示板が互いに折り畳まれた状態』から広げられて行く動作、をストップする機能と、前記『2つの表示板』の、『前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度』が『ユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きにされた状態』から狭められて行く動作、をストップする機能とを有する」と限定すること。
したがって、訂正事項1による特許明細書の請求項1の訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

また、訂正事項1による特許明細書の請求項1の訂正は、上記(ア)の事項については本件特許に係る図面の【図1】等、上記(イ)の事項については特許明細書の段落【0026】、上記(ウ)の事項については特許明細書の段落【0018】及び【0024】、上記(エ)の事項については特許明細書の請求項1、段落【0010】及び段落【0018】の記載に基づくものであることから、本件特許の願書に添付した明細書又は図面に記載した事項から自明の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないと認められる。

訂正事項1によって特許明細書の請求項1の記載を訂正することに伴い、特許明細書の請求項1を引用する請求項10ないし請求項12についても実質的に訂正することになるところ、請求項10ないし請求項12の実質的な訂正も、請求項1の訂正と同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、本件特許の願書に添付した明細書又は図面に記載した事項から自明の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないと認められる。

したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第3項及び第4項の規定に適合すると認められる。

(2) 訂正事項2について
訂正事項2は、特許明細書の請求項2の記載を訂正するものであるところ、次の(ア)から(エ)の事項を内容としている。
(ア)「画面」について「略長方形の画面」と限定すること。
(イ)「片手支持可能な表示装置」が備える事項として、「前記『2つの表示板』を、『ユーザから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の見開き角度』が約180度となるように、固定するための完全左右見開き固定手段」という事項を付加することにより「片手支持可能な表示装置」を限定すること。
(ウ)「左右見開き固定手段」について、前記「完全左右見開き固定手段」と区別するために「中間左右見開き固定手段」と名称の変更をするとともに、「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の見開き角度」を「約105度から約175度までの範囲内」から「約120度から約170度までの範囲内」に減縮すること。
(エ)「左右見開き固定手段」について、「前記『2つの表示板』の、『ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の見開き角度』が『前記各表示板が互いに折り畳まれた状態』から広げられて行く動作、をストップする機能を有する」と限定すること。
したがって、訂正事項2による特許明細書の請求項2の訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

また、訂正事項2による特許明細書の請求項2の訂正は、訂正事項1による訂正と同様に本件特許の願書に添付した明細書又は図面に記載した事項から自明の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないと認められる。

さらに、訂正事項2によって特許明細書の請求項2の記載を訂正することに伴い、特許明細書の請求項2を引用する請求項10ないし請求項12についても実質的に訂正することになるところ、これらの請求項の実質的な訂正も、請求項2の訂正と同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、本件特許の願書に添付した明細書又は図面に記載した事項から自明の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないと認められる。

したがって、訂正事項2による訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第3項及び第4項の規定に適合すると認められる。

(3) 訂正事項3について
訂正事項3は、特許明細書の請求項3の記載を訂正するものであるところ、次の(ア)から(エ)の事項を内容としている。
(ア)「画面」について「略長方形の画面」と限定すること。
(イ)「2つ以上の表示板」を「2つの表示板」に減縮すること。
(ウ)「片手支持可能な表示装置」が備える事項として、「前記『2つの表示板』を、『前記各表示板がユーザーから見て左右方向に見開きにされているときの前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度』が約180度となるように、固定するための、完全左右見開き固定手段」という事項を付加することにより「片手支持可能な表示装置」を限定すること。
(エ)「左右見開き固定手段」について、前記「完全左右見開き固定手段」と区別するために「中間左右見開き固定手段」と名称の変更をするとともに、「前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」を「約105度から約175度までの範囲内」から「約120度から約170度までの範囲内」に減縮すること。
したがって、訂正事項3による特許明細書の請求項3の訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

また、訂正事項3による特許明細書の請求項3の訂正は、訂正事項1による訂正と同様に本件特許の願書に添付した明細書又は図面に記載した事項から自明の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないと認められる。

さらに、訂正事項3によって特許明細書の請求項3の記載を訂正することに伴い、特許明細書の請求項3を引用する請求項10ないし請求項12についても実質的に訂正することになるところ、これらの請求項の実質的な訂正も、請求項3の訂正と同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、本件特許の願書に添付した明細書又は図面に記載した事項から自明の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないと認められる。

したがって、訂正事項3による訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第3項及び第4項の規定に適合すると認められる。

(4) 訂正事項4について
訂正事項4の訂正による特許明細書の請求項4ないし請求項6の訂正は、特許明細書の各請求項における「約105度から約175度まで」という角度の範囲を「約105度から約170度まで」の角度の範囲に減縮するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

また、訂正事項4の訂正による特許明細書の請求項4ないし請求項6の訂正は、特許明細書の段落【0012】の記載に基づくものであることから、本件特許の願書に添付した明細書又は図面に記載した事項から自明の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないと認められる。

さらに、訂正事項4によって特許明細書の請求項4ないし請求項6を訂正することに伴い、特許明細書のこれらの請求項を引用する請求項7ないし請求項12についても実質的に訂正することになるところ、これらの請求項の実質的な訂正も、請求項4の訂正と同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、本件特許の願書に添付した明細書又は図面に記載した事項から自明の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないと認められる。

したがって、訂正事項4による訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第3項及び第4項の規定に適合すると認められる。

(5) 訂正事項5について
訂正事項5は、特許明細書の発明の詳細な説明の記載を、訂正事項1ないし訂正事項3による請求項1ないし請求項3の記載の訂正と整合するように訂正することを目的とするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当すると認められる。また、訂正事項1ないし訂正事項3と同様に、本件特許の願書に添付した明細書又は図面に記載した事項から自明の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないと認められる。
したがって、訂正事項5による訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第3項及び第4項の規定に適合すると認められる。

(6) 訂正事項6ないし訂正事項9について
訂正事項6ないし訂正事項9は、特許明細書の発明の詳細な説明の記載を、訂正事項4による請求項4ないし請求項6の記載の訂正と整合するように訂正することを目的とするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当すると認められる。また、訂正事項4と同様に、本件特許の願書に添付した明細書又は図面に記載した事項から自明の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないと認められる。
したがって、訂正事項6ないし訂正事項9による訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第3項及び第4項の規定に適合すると認められる。

2 独立特許要件について
特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正事項1ないし訂正事項4による訂正により、特許明細書の請求項1ないし請求項12に係る発明は実質的な訂正がなされたところ、訂正明細書の請求項1ないし請求項12に係るそれぞれの発明について、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見できない。
したがって、本件訂正後の請求項1ないし請求項12に係る各発明は、特許法第126条第5項に規定する独立特許要件を満たすものであると認められる。


第4 むすび
以上検討のとおり、本件審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものに該当し同項の規定に適合するものであり、かつ、同条第3項ないし第5項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
片手支持可能な表示装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置であって、
前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、接続するための左右見開き接続手段と、
前記「2つの表示板」を、「前記各表示板がユーザーから見て左右方向に見開きにされているときの前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が約180度となるように、固定するための完全左右見開き固定手段と、
ユーザーから見て左右方向に見開きにされたときの前記「2つの表示板」を、「前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「約120度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、ストッパにより固定するための中間左右見開き固定手段であって、
前記「2つの表示板」の、「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「前記各表示板が互いに折り畳まれた状態」から広げられて行く動作、をストップする機能と、
前記「2つの表示板」の、「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「ユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きにされた状態」から狭められて行く動作、をストップする機能と、を有する中間左右見開き固定手段と、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
【請求項2】略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置であって、
前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、接続するための左右見開き接続手段と、
前記「2つの表示板」を、「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の見開き角度」が約180度となるように、固定するための完全左右見開き固定手段と、
前記「2つの表示板」を、「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の見開き角度」が「それらが互いに折り畳まれた状態とユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きにされた状態との間の角度であって、約120度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、固定するための中間左右見開き固定手段であって、
前記「2つの表示板」の、「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の見開き角度」が「前記各表示板が互いに折り畳まれた状態」から広げられて行く動作、をストップする機能を有する中間左右見開き固定手段と、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
【請求項3】略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置であって、
前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、接続するための左右見開き接続手段と、
前記「2つの表示板」を、「前記各表示板がユーザーから見て左右方向に見開きにされているときの前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が約180度となるように、固定するための完全左右見開き固定手段と、
前記「2つの表示板」がユーザーから見て左右方向に見開きにされたとき、前記「2つの表示板」を、「前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「約120度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、固定するための中間左右見開き固定手段と、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
【請求項4】画面をそれぞれ表示できる「2つ以上の表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置であって、
前記「2つ以上の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、接続するための左右見開き接続手段と、
前記「2つ以上の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」を、「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の見開き角度」が「それらが互いに折り畳まれた状態とユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きにされた状態との間の角度であって、約105度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、摩擦力やストッパやチルト機構やその他の手段により固定するための左右見開き固定手段と、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
【請求項5】次の(a)?(d)の内容を含むことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
(a)画面をそれぞれ出力する「複数の表示板」が、それぞれが表示する各画面がユーザーに対向することができるように、接続されている、
(b)表示装置の使用時の全体の大きさは、それをユーザーがその片手のみでも支持することができるような小型のサイズに構成されている、
(c)前記「複数の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、接続するための左右見開き接続手段を備えている、
(d)前記「複数の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」がユーザーから見て左右方向に見開きにされているとき、前記「2つの表示板」を、「前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「約105度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、摩擦力やストッパやチルト機構やその他の手段により固定するための左右見開き固定手段、を備えている。
【請求項6】次の(a)?(d)の内容を含むことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
(a)画面をそれぞれ出力する複数個の表示板が、それぞれが表示する各画面がユーザーに対向することができるように、接続されている、
(b)表示装置の使用時の全体の大きさは、それをユーザーがその片手のみでも支持することができるような小型のサイズに構成されている、
(c)ユーザーから見て縦方向の線を境にして、その右側部分と左側部分とを、互いに折り畳み可能で且つユーザーから見て左右方向に見開き可能に接続するための左右見開き接続手段を備えている、
(d)ユーザーから見て縦方向の線の右側部分と左側部分とを、「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記右側部分と左側部分との間の見開き角度」が「約105度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、摩擦力やストッパやチルト機構やその他の手段により固定するための左右見開き固定手段、を備えている。
【請求項7】請求項5又は6において、さらに、次の(e)の内容を含むことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
(e)表示装置の前記見開き時の表示画面は、ユーザーから見て縦方向の線の右側部分の画面の形状と同左側部分の画面の形状とが、ユーザーから見てほぼ左右均等で且つほぼ左右対称となるように、構成されている。
【請求項8】請求項5,6又は7において、さらに、次の(f)の内容を含むことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
(f)表示装置の前記見開き時の全体の形状は、ユーザーから見て縦方向の線の右側部分の平面の面積と同左側部分の平面の面積とが、ハードウェアとしてほぼ左右均等となるように、構成されている。
【請求項9】請求項5,6,7又は8において、さらに、次の(g)の内容を含むことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
(g)表示装置は「偶数個の表示板」から構成されており、表示装置の前記見開き時の全体の形状は、ユーザーから見て縦方向の線の右側部分の平面の面積及び厚さと同左側部分の平面の面積及び厚さとが、ハードウェアとしてほぼ左右均等となるように、構成されている。
【請求項10】請求項1から9までのいずれかにおいて、さらに、
前記表示板に「ユーザーによるデータ入力のために使用される、データ入力用画面」を表示するためのデータ入力用手段、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
【請求項11】請求項1から9までのいずれかにおいて、さらに、
テレビ放送局から電波又は有線により送信されるテレビ番組情報を無線を介して受信するためのテレビ番組情報無線受信手段と、
前記テレビ番組情報無線受信手段により受信されたテレビ番組情報を前記表示板に表示させるためのテレビ番組情報表示手段と、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
【請求項12】請求項1から9までのいずれかにおいて、さらに、
前記片手支持可能な表示装置から離れた場所に存在する外部の情報記録装置に記録されている外部情報を無線を介して受信するための外部情報無線受信手段と、
前記外部情報無線受信手段が受信した外部情報を前記表示板に表示させるための外部情報表示手段と、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、複数の表示板を備えた表示装置に係り、特に携帯時には携帯に便利なコンパクト・サイズでありながら使用時には比較的大きな見やすい表示画面を提供できる、あるいは使用時に複数の表示画面を提供できる、片手支持可能な表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の情報化の進展に伴い、携帯用のコンパクト・サイズの電子情報機器、例えばCD-ROM再生専用装置(例えばソニー株式会社の商品名「データディスクマン」)、VTR(ビデオテープレコーダー)、TV(テレビ)、A4版ファイル・サイズのノートブックパソコン(パーソナルコンピュータ)、電子手帳、などの携帯型電子情報機器が続々と製品化されている。
【0003】
これらの携帯型電子情報機器においては、その画面の出力のためのディスプレーパネルとしてLCD(液晶ディスプレー)パネルなどを使用した薄型ディスプレーが使用されている。そして、従来のノート型パソコンなどにおいては、一般に、この薄型ディスプレーとキーボードとが、周知の手段により、互いに折り曲げ自在に、且つ折り畳み自在に接続されている。そしてユーザーは、携帯時には、前記薄型ディスプレーとキーボードとを折り畳んだ状態で持ち運び、使用時には、これらのディスプレーとキーボードとを互いに上下方向に見開き状態にして使用するのが一般である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の携帯型電子情報機器においては、携帯の便利さを追求すればディスプレー装置などのサイズは小さいほどよいが、他方、ユーザーが使用するときの便宜を考えればディスプレー画面のサイズは見ずらくならない程度には大きくしておく必要がある、という二律背反の問題があった。そして、近年、このような二律背反の課題に着目して、携帯の便利さ(コンパクト化)と使用時のディスプレー画面の見やすさ(画面の大きさのある程度の確保)という2つの要請を同時に満たし、前記の二律背反の問題を一挙に解決することができる表示装置として、2つの表示板を接続し、不使用時には2つの表示板を収納又は携帯しやすいように折り畳み状態とし、使用時には2つの表示板を見開き状態とするような「折り畳み・見開き型の表示装置」が提案されている(例えば、特開平3-103889号公報)。
【0005】
しかしながら、このような従来から提案されている「折り畳み・見開き型の表示装置」においては、単に、不使用時には2つの表示板を収納又は携帯しやすいように折り畳み状態とし、使用時には2つの表示板を見開き状態とすることを提案するだけであり、「ユーザーが、外出先(戸外)などで、例えば立ったままで、その一方の片手だけを使って表示装置全体を容易且つ安定的に支持しながら、その他方の片手は、表示装置を支持すること以外の他の様々な動作を行うために(例えば電車の吊り革を掴むために)使用することができるようにできないか。」という問題意識(ニーズ)は、全く窺うことができない(前記公報などの先行技術文献には、このような問題意識については、何らの記載も示唆も無い)。
【0006】
携帯情報端末(PDA)や携帯電話などの移動体通信機器に使用するための表示装置を考えるときは、ユーザーが、外出先(戸外)などで、例えば立ったままで、その両手の一方の片手だけで容易且つ安定的に表示装置を支持しながら使用できること、そして、表示装置を支持していない他方の片手は、例えば、ユーザーが、電子ペンで表示画面に文字を手書き入力したり、タッチパネル式の表示画面を指先でタッチして操作したり、テンキーを押して数字や文字を入力したり、トラックボール・マウス・パッド・ジョイスティクなどのポインティングデバイスを操作したり、他の操作キーやジョグ・ダイヤルなどを操作したり、通勤電車の吊り革を掴んだり、隣の人と握手したり、などのような様々な動作を行うために使用できるようにすることが、極めて重要なはずである。
【0007】
本発明は、このような従来技術に関する問題意識から構想されたものであって、「ユーザーが、例えば外出先(戸外)などで、例えば立ったままでも、その一方の片手だけを使って表示装置全体を極めて容易且つ安定的に支持することができる、片手支持可能な表示装置」を提供することを課題(目的)とするものである。さらに、本発明は、「ユーザーが、例えば外出先(戸外)などで、例えば立ったままでも、その一方の片手だけを使って表示装置全体を極めて容易且つ安定的に支持しながら、その他方の片手は、(例えば文字入力動作や電車の吊り革を掴む動作などのような)表示装置を支持すること以外の他の様々な動作を行うために使うことができる、片手支持可能な表示装置」を提供することを課題(目的)とするものである。
【0008】
このような本発明の課題は、従来の先行技術文献の中には全く記載も示唆も無く、従来技術からは容易に予想・認識することができない「新規な課題」である。
【0009】
すなわち、本発明者は、本願発明の上記「課題」は、少なくとも本願の原出願の出願日(1991年8月30日)当時は、まだ「公知・自明」にはなっていなかったと考える。なぜなら、この当時は、まだ、「2つの表示板を互いに接続して使用する表示装置」は全く市販などされていなかったし、その製品化の予定なども皆無であった。確かに、この当時、既に、上記公報のように「2つの表示板を折り畳み自在に接続する」という表示装置のアイデアは一部だが開示されていた。しかし、このようなアイデアを発想した発明者たちは、おそらく、「2つの表示板を互いに接続して使用する表示装置」を、「単に頭の中で(紙とペンだけで)構想しただけ」か又は「何らかの試作品を作っただけ(といっても、当時の技術水準では、『片手の上に載せて使用するような小型のもの』を試作することは実際上不可能で、仮に何らかの試作が行われたとしても、せいぜい『大型のもので机の上に据え置いて使用するようなもの』しか作れなかったはずである)」かのいずれかのレベル(技術水準)に止まっていたはずである。もし、「2つの表示板を互いに接続して使用する表示装置」が実際に市販されて多数の一般人が利用するような状況になれば、その多数の一般人の中から、このような表示装置について、「一方の片手だけに載せて使用できるようにしたい、そして、それだけでなく、さらに、一方の片手だけで極めて容易且つ安定的に支持して使用できるようにしたい(そして、他方の片手は文字入力や電車の吊り革を掴むなどの他の様々な動作のために使えるようにしたい)」と考える人も出てきて、そのような「ニーズ・課題」(本願発明の課題に相当するもの)が「公知・自明」のものとなるであろう。しかし、実際には、少なくとも本願の原出願の出願日(1991年8月30日)当時は、「2つの表示板を互いに接続して使用する表示装置」が実際に市販されて一般人が利用することはなく(分割出願である本願を提出する時点でも、まだ、市販されていない)、またその製品化の予定もなく、従ってまた、前記の「課題・ニーズ」が「公知・自明」のものとなることも無かったのである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(用語説明)本明細書において、「固定」には、(a)摩擦力やチルト機構などにより「半固定」する場合(ここで、「半固定」とは、「固定」の一形態であって、ユーザーがある程度強めの所定量以上の力を加えることにより状態を変更させる(すなわち、固定状態を解除して、前記各表示板(各表示パネル)間の角度を変更させる)ことができるような状態、を言う)や、(b)ストッパ(例えば、2つの表示板を接続する蝶番の回動を所定の角度でストップさせるもの)などを使用して「一時的に固定」する場合、なども含まれる。
【0011】
なお、上記の「固定手段」の一例としての「チルト機構」とは、2つの部材を接続するヒンジ部(蝶番)に装着・固定した軸とその軸に装着したコイルスプリングとにより前記2つの部材を任意の回転角度で保持できるようにした機構である。このような「チルト機構」は、従来より、例えばキーボードと薄型ディスプレイとを接続するノート型(ブック型)電子機器のヒンジ部(蝶番)などに設けられている周知の技術であって、例えば、実願平1-54228号(実開平2-145423号公報)のマイクロフィルム(この中の明細書の第4ページの第7-14行及び第4図参照)には、キーボードが備えられた本体側の固定金具と薄型ディスプレイが備えられた蓋体側の固定金具との間に装着された軸にコイルスプリングを装着すること等により、前記蓋体を前記本体に対して任意の回転角度で保持できるようにしたチルト機構が開示されている。
【0012】(本発明の内容)
1-(1)-1.略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置であって、前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、接続するための左右見開き接続手段と、前記「2つの表示板」を、「前記各表示板がユーザーから見て左右方向に見開きにされているときの前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が約180度となるように、固定するための完全左右見開き固定手段と、ユーザーから見て左右方向に見開きにされたときの前記「2つの表示板」を、「前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「約120度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、ストッパにより固定するための中間左右見開き固定手段であって、前記「2つの表示板」の、「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「前記各表示板が互いに折り畳まれた状態」から広げられて行く動作、をストップする機能と、前記「2つの表示板」の、「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「ユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きにされた状態」から狭められて行く動作、をストップする機能と、を有する中間左右見開き固定手段と、を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
1-(1)-2.略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置であって、前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、接続するための左右見開き接続手段と、前記「2つの表示板」を、「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の見開き角度」が約180度となるように、固定するための完全左右見開き固定手段と、前記「2つの表示板」を、「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の見開き角度」が「それらが互いに折り畳まれた状態とユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きにされた状態との間の角度であって、約120度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、固定するための中間左右見開き固定手段であって、記「2つの表示板」の、「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の見開き角度」が「前記各表示板が互いに折り畳まれた状態」から広げられて行く動作、をストップする機能を有する中間左右見開き固定手段と、を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
1-(1)-3.略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置であって、前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、接続するための左右見開き接続手段と、前記「2つの表示板」を、「前記各表示板がユーザーから見て左右方向に見開きにされているときの前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が約180度となるように、固定するための完全左右見開き固定手段と、前記「2つの表示板」がユーザーから見て左右方向に見開きにされたとき、前記「2つの表示板」を、「前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「約120度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、固定するための中間左右見開き固定手段と、を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
1-(2).画面をそれぞれ表示できる「少なくとも2つの表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置であって、前記「2つの表示板」を、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にも、それらが互いに折り畳まれた状態にもできるように、接続するための左右見開き接続手段と、前記「2つの表示板」を、「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の見開き角度」が「それらが互いに折り畳まれた状態とユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きにされた状態との間の角度であって、約105度から約170度までの範囲内のいずれかの角度(あるいは、約105度から約165度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約160度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約155度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約150度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約145度までの範囲内のいずれかの角度、又は約105度から約140度までの範囲内のいずれかの角度)」となるように、摩擦力やストッパやチルト機構やその他の手段により固定するための左右見開き固定手段と、を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
2-(1).画面をそれぞれ表示できる「2つ以上の(複数の)表示板(2つ以上の表示パネル)」を含んでおり、ユーザーがその片手の上に載せてその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置であって、前記の「2つ以上の(複数の)表示板」の中の「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、接続するための左右見開き接続手段と、前記「2つ以上の(複数の)表示板」の中の「2つの表示板」がユーザーから見て左右方向に見開きにされたとき、前記「2つの表示板」を、「前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「約105度から約170度までの範囲内のいずれかの角度(あるいは、約105度から約165度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約160度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約155度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約150度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約145度までの範囲内のいずれかの角度、又は約105度から約140度までの範囲内のいずれかの角度)」となるように、固定するための左右見開き固定手段と、を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
2-(2).画面をそれぞれ表示できる「2つ以上の表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置であって、前記「2つ以上の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」を、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にも、それらが互いに折り畳まれた状態にもできるように、接続するための左右見開き接続手段と、前記「2つ以上の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」を、「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の見開き角度」が「それらが互いに折り畳まれた状態とユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きにされた状態との間の角度であって、約105度から約170度までの範囲内のいずれかの角度(あるいは、約105度から約165度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約160度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約155度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約150度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約145度までの範囲内のいずれかの角度、又は約105度から約140度までの範囲内のいずれかの角度)」となるように、摩擦力やストッパやチルト機構やその他の手段により固定するための左右見開き固定手段と、を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
3-(1).次の(a)?(d)の内容を含むことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
(a)画面をそれぞれ出力する「複数の表示板」が、それぞれが表示する各画面がユーザーに対向することができるように、接続されている、
(b)表示装置の使用時の全体の大きさは、それをユーザーがその片手のみでも支持することができるような小型のサイズに構成されている、
(c)前記「複数の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」を、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にも、それらが互いに折り畳まれた状態にもできるように、接続するための左右見開き接続手段を備えている、
(d)前記「複数の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」がユーザーから見て左右方向に見開きにされているとき、前記「2つの表示板」を、「前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「約105度から約170度までの範囲内のいずれかの角度(あるいは、約105度から約165度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約160度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約155度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約150度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約145度までの範囲内のいずれかの角度、又は約105度から約140度までの範囲内のいずれかの角度)」となるように、固定するための左右見開き固定手段、を備えている。
3-(2).次の(a)?(d)の内容を含むことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
(a)画面をそれぞれ出力する「複数の表示板」が、それぞれが表示する各画面がユーザーに対向することができるように、接続されている、
(b)表示装置の使用時の全体の大きさは、それをユーザーがその片手のみでも支持することができるような小型のサイズに構成されている、
(c)前記「複数の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」を、折り畳み可能で且つユーザーから見て左右方向に見開き可能に接続するための左右見開き接続手段を備えている、
(d)前記「複数の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」を、「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の見開き角度」が「それらが互いに折り畳まれた状態とユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きにされた状態との間の角度であって、約105度から約170度までの範囲内のいずれかの角度(あるいは、約105度から約165度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約160度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約155度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約150度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約145度までの範囲内のいずれかの角度、又は約105度から約140度までの範囲内のいずれかの角度)」となるように、摩擦力やストッパやチルト機構やその他の手段により固定するための左右見開き固定手段、を備えている。
3-(3).次の(a)?(d)のような内容を含むことを特徴とする表示装置。
(a)画面をそれぞれ出力する複数個の表示板が、それぞれが表示する各画面がユーザーに対向することができるように、接続されている、
(b)表示装置の使用時の全体の大きさは、それをユーザーがその片手のみでも支持することができるような小型のサイズに構成されている、
(c)表示装置は、ユーザーから見て縦方向の線を境にして、その右側部分と左側部分とが、折り曲げ・折り畳み可能で且つユーザーから見て左右に見開き可能となっている、
(d)表示装置は、その使用時に、ユーザーから見て縦方向の線の右側部分と左側部分とを、「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記右側部分と左側部分との間の見開き角度」が「約105度から約170度までの範囲内のいずれかの角度(あるいは、約105度から約165度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約160度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約155度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約150度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約145度までの範囲内のいずれかの角度、又は約105度から約140度までの範囲内のいずれかの角度)」となるように、摩擦力やストッパやチルト機構やその他の手段により固定するための左右見開き固定手段、を備えている。
4-(1).本願発明(上記1,2又は3などに記載の発明)において、前記左右見開き固定手段が固定する「2つの表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」又は「ユーザーから見て縦方向の線の右側部分と左側部分との間の角度」は、表示装置の全体をユーザーがその片手で支持し易いような角度又はユーザーがその片手の上に載置し易いような角度であることが望ましい。
4-(2).上記3の発明は、「次の(e)(f)(g)のいずれか1つ、いずれか2つ、又は、全て」を含むことが望ましい。
(e)表示装置の使用時の表示画面は、ユーザーから見て縦方向の線から右側部分の画面の形状(又は、画面の面積及び形状)と、同左側部分の画面の形状(又は、画面の面積及び形状)とが、ユーザーから見たときにほぼ左右均等で且つほぼ左右対称となるように、構成されている。
(f)表示装置の使用時の全体の形状は、ユーザーから見て縦方向の線の右側部分の平面の面積と同左側部分の平面の面積とが、ハードウェアとしてほぼ左右均等となるように、構成されている。
(g)表示装置を構成する表示板は偶数個であり、表示装置の使用時の全体の形状は、ユーザーから見て縦方向の線の右側部分の厚さ(又は、厚さ及び平面の面積)と同左側部分の厚さ(又は、厚さ及び平面の面積)とが、ハードウェアとしてほぼ左右均等となるように、構成されている。
4-(3).上記1,2又は3の発明の表示装置であって、「偶数個の表示板」から構成されており、この「偶数個の表示板」の全部である偶数個の表示板又はその一部である偶数個の表示板が左右見開き状態で使用される場合における表示装置の全体は、その全体のほぼ中央部の「ユーザーから見て縦方向の線」を境として、ユーザーから見たときの前記線の右側部分の平面の面積及び厚さ寸法と、同左側部分の平面の面積及び厚さ寸法とが、ハードウェアとしてほぼ左右均等となるように構成されている、ことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
5.上記1,2,3又は4において、前記左右見開き固定手段は、前記の「2つの表示板」の接続部分に、「ユーザーがその片手の親指を安定的に置くことを可能にするための、断面略V字状の凹状(”谷”状)部分」を形成する作用を有している、ことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
6.上記1,2,3又は4において、前記左右見開き固定手段は、前記の「2つの表示板」の接続部分に、「ユーザーが、前記表示装置を、その片手の親指以外の指又は掌の上に安定的に載置することを可能にするための、断面略V字状の凸状(”山”状)部分」を形成する作用を有している、ことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
7.上記1から6までのいずれかにおいて、前記左右見開き固定手段は、前記左右見開き接続手段と一体的に構成されている(ハードウェア的に一体化されている)、ことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
なお、本発明において、「左右見開き固定手段が、左右見開き接続手段と一体的に構成されている(ハードウェア的に一体化されている)」ような場合とは、例えば、(1)前記左右見開き接続手段を構成する「ヒンジ部(蝶番)」の各部材に摩擦係数の高い素材を使用することにより、ヒンジ部(蝶番。接続部分)の摩擦係数を高めて、2つの表示板の間の角度が一時的に固定できるようにする場合(蝶番の接続面の摩擦係数を高くして、2つの表示板の間が所定の折り曲げ角度で一時的に固定できるようにしたもの、など)、(2)前記左右見開き固定手段を構成するストッパ部分と前記左右見開き接続手段とをプラスチック素材や金属素材などで一体成形する場合、などである。
8.上記1から6までのいずれかにおいて、前記左右見開き固定手段は、前記左右見開き接続手段又は前記表示板と容易に分離できないように構成されている、ことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
なお、本発明において、「左右見開き固定手段が、左右見開き接続手段又は表示板と容易に分離できないように構成されている」ような場合とは、例えば、(1)前記左右見開き固定手段と前記左右見開き接続手段(又は前記表示板)とが、プラスチック素材や金属素材などで一体成型されてハードウェア的に一体化されている場合(この場合は当然に「容易に分離できない」状態である)、(2)接着剤や溶接や係止用フックなどの手段を使用して、前記左右見開き固定手段を構成するストッパ部分を、前記左右見開き接続手段(又は前記表示板)に対して、容易に分離できないように固定している場合、(3)前記チルト機構(軸及びコイルスプリングなど)を2つの表示板の接続部分(ヒンジ部)に内蔵させた場合、などである。
9.上記1から8までのいずれかにおいて、さらに、前記表示板に、「ユーザーによるデータ入力のために使用される、データ入力用画面」すなわち「データ入力装置(の一部)としても使用され得る画面」を表示するためのデータ入力用画面表示手段、を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
10.上記1から8のいずれかにおいて、さらに、前記片手支持可能な表示装置から離れた場所に在る外部の情報記録装置に記録されている外部情報を無線を介して受信するための外部情報無線受信手段と、前記外部情報無線受信手段が受信した外部情報を前記表示板に表示させるための外部情報表示手段と、を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
11.上記1から8までのいずれかにおいて、さらに、テレビ放送局から電波又は有線により送信されるテレビ番組情報を無線を介して受信するためのテレビ番組情報無線受信手段と、前記テレビ番組情報無線受信手段により受信されたテレビ番組情報を前記表示板に表示させるためのテレビ番組情報表示手段と、を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
12.上記1から8までのいずれかにおいて、さらに、前記片手支持可能な表示装置から離れた場所に在る外部の情報記録装置に記録されている外部情報を無線を介して受信するための外部情報無線受信手段と、前記外部情報無線受信手段が受信した外部情報を前記表示板に表示させるための外部情報表示手段と、テレビ放送局から電波又は有線により送信されるテレビ番組情報を無線を介して受信するためのテレビ番組情報無線受信手段と、前記テレビ番組情報無線受信手段により受信されたテレビ番組情報を前記表示板に表示させるためのテレビ番組情報表示手段と、を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
この場合、ユーザーは、前記表示装置に、受信した「テレビ番組」と前記無線受信手段からの「外部情報」を表示させることができる。
13.上記1から8までのいずれかにおいて、さらに、前記片手支持可能な表示装置から離れた場所に在る外部の情報記録装置に記録されている外部情報を無線を介して受信するための外部情報無線受信手段と、前記外部情報無線受信手段が受信した外部情報を前記表示板に表示させるための外部情報表示手段と、前記表示板に、「ユーザーによるデータ入力のために使用される、データ入力用画面」すなわち「データ入力装置(の一部)としても使用され得る画面」を表示するためのデータ入力用画面表示手段と、を備えていることを特徴とする片手支持可能な表示装置。
この場合、ユーザーは、前記表示装置に、「離れた場所にある情報記録装置からの情報(外部情報)」と「データ入力用画面」すなわち「データ入力装置(の一部)としても使用され得る画面」を表示させることができる。
14.上記1から8までのいずれかにおいて、さらに、テレビ放送局から電波又は有線により送信されるテレビ番組情報を無線を介して受信するためのテレビ番組情報無線受信手段と、前記テレビ番組情報無線受信手段により受信されたテレビ番組情報を前記表示板に表示させるためのテレビ番組情報表示手段と、前記表示板に、「ユーザーによるデータ入力のために使用される、データ入力用画面」すなわち「データ入力装置(の一部)としても使用され得る画面」を表示するためのデータ入力用画面表示手段と、を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
この場合、ユーザーは、前記表示装置に、受信した「テレビ番組」と、様々な情報を入力するための「データ入力用画面」すなわち「データ入力装置(の一部)としても使用され得る画面」を、表示することができる。
15.上記1から8までのいずれかにおいて、さらに、前記片手支持可能な表示装置から離れた場所に在る外部の情報記録装置に記録されている外部情報を無線を介して受信するための外部情報無線受信手段と、前記外部情報無線受信手段が受信した外部情報を前記表示板に表示させるための外部情報表示手段と、テレビ放送局から電波又は有線により送信されるテレビ番組情報を無線を介して受信するためのテレビ番組情報無線受信手段と、前記テレビ番組情報無線受信手段により受信されたテレビ番組情報を前記表示板に表示させるためのテレビ番組情報表示手段と、前記表示板に、「ユーザーによるデータ入力のために使用される、データ入力用画面」すなわち「データ入力装置(の一部)としても使用され得る画面」を表示するためのデータ入力用画面表示手段と、を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
この場合、ユーザーは、前記表示装置に、「テレビ番組」と「外部情報」と「データ入力用画面」すなわち「データ入力装置(の一部)としても使用され得る画面」を、表示させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
(第1実施例)図1は本発明の第1実施例に係る、CD-ROM再生専用装置を示す概略正面図である。なおこの図1には、本発明に強く関連する部分のみを示してあり、従来公知の部分、例えば電源を入れるためのキーや再生・停止・早送り・巻戻し・検索等を指示するためのキー、検索のためのキーワードを入力するためのキーなどは、図示を省略している。
【0014】
図1において、符号1は枠体(筐体)である。この枠体1の中には、CD-ROM駆動装置3、このCD-ROM駆動装置3からの信号を処理する信号処理装置4、前記信号処理装置4からの信号を受けてLCD(液晶ディスプレイ)画面を表示するためのLCD駆動装置6、電源などが収納されている。またこの枠体1は、前記LCD駆動装置6によりLCD画面が出力されるLCDパネル(表示板)5(本明細書では、符号5を、LCDパネルとLCD画面との両者を示すために用いている)を備えている。なお図1では、図示の便宜上CD-ROM駆動装置3は枠体1の外側に記載されているが、実際には枠体1の中の例えばLCD画面5を出力するLCDパネル5の裏側に収納されている。
【0015】
また符号2も枠体(筐体)で、この枠体2には、LCD画面7を表示するためのLCD駆動装置8などが収納され、またこのLCD駆動装置8によりLCD画面が出力されるLCDパネル(表示板)7(本明細書では、この符号7を、LCDパネルとLCD画面との両者を示すために用いている)が備えられている。
【0016】
また本実施例では、前記の枠体1と枠体2とは、図示のように、その端部同士が、3つの比較的小さい蝶番9と1つの比較的大きい蝶番10とにより、折り曲げ自在に接続(連結)されている。これにより、枠体1と枠体2とは、本実施例の平面図である図2に示すように、図2の(a)に示す約180度に見開かれた「左右完全見開き状態」から、図2(b)のような「左右半見開き状態」(図2(a)のように約180度に見開きにされた状態と、図2(c)のように各枠体1,2がそれぞれ画面が表示される側が互いに向き合うように折り畳まれた状態との間の状態)を経て、さらに図2(c)の「折り畳み状態」へと、自在に折り曲げることができるようになっている。また本実施例では、上記と逆に、図2(c)の状態から図2(b)の状態を経て図2(a)の状態にすることもできる。
【0017】
また本実施例では、枠体1と枠体2との間は、蝶番9及び10を構成する部材間の摩擦力により、任意の角度で一時的に固定(半固定)でき、その一時的に固定(半固定)した状態(例えば図2の(b)に示す状態で固定(半固定)した状態)で使用できるようになっている。またこのような「任意の角度での固定(半固定)」が前述のように単に摩擦力によるものであるときは、ユーザーは、所定量以上の力を加えることにより自由にその「固定(半固定)の角度」を変化させることができるようになっている。なお本実施例での前記蝶番9及び10については、従来周知のもの(例えばノート型パソコンのキーボードとディスプレイとを折り畳み・折り曲げ自在に接続する蝶番であって、摩擦力などにより、前記のキーボードとディスプレイとが「両者間の角度が少し折れ曲がっている状態」となるように保持できるようになっている蝶番など)を使用できる。
【0018】
また本実施例においては、蝶番9及び10の構造を従来周知の方法で工夫すること(例えば、ストッパを設けること等)により、2つの枠体1と枠体2の間が、例えば約105度から約170度まで(又は、約110度から約170度まで)の間の5段階の角度のいずれかの角度で、ストッパがかかって固定できるように構成するようにしてもよい。
【0019】
また本実施例では、図1に示すように、LCD画面5と枠体1の図示右側の端部との間隔、及びLCD画面7と枠体2の図示左側の端部との間隔は、極めて小さいものとなっている。そして、枠体1と枠体2を接続する蝶番のうち、2つのLCD5及び7に対向する端部の間を接続する3つの蝶番9は、比較的小さいものを使用している。したがって、本実施例においては、LCD画面5とLCD画面7との間の間隔は、「極めて小さいもの」となっている。そのため、ユーザーにとっては、LCD画面5とLCD画面7との間の間隔は「ほとんど無視できるもの」となっており、ユーザーにとっては、この「2つのLCD画面5及び7が合わさった、あたかも一つの大きな画面」として見ることができるようになっている。
【0020】
なお前記枠体2内のLCD駆動装置8と枠体1内の信号処理装置4とは、比較的大きい蝶番(ジョイント)10の中を通る信号線により接続されている(なお、このような、蝶番の中を通る信号線を介してLCD駆動装置と信号処理装置とを接続するという構成は、市販のノート型パソコン等において既に周知である)。そのため、1枚のCD-ROMを再生するとき、この再生信号は、信号処理装置4から2つのLCD駆動装置6及び8の双方に送られるので、2つのLCD画面5及び7は、互いに協働して1つの画面を表示できるようになっている。つまり、例えば、ユーザーがある百科事典を記録したCD-ROMを使用して「鯛」という魚を調べようとするとき、この鯛を検索して、鯛の写真をLCD画面5及び7に表示させるときは、一つの鯛の写真の映像がLCD画面5及び7の両方にまたがって大きく表示されることになる。
【0021】
また本実施例のLCD画面5及び7によって表示できる情報は、前述の鯛の写真のような映像だけでなく、文字などのデータでもよい。例えば、本などの書籍のそれぞれの1ページ分の文字データを一つの情報ブロックとしてCD-ROMに記憶させておき、ある1ページ分の文字データの情報ブロックをLCD画面5に表示するとともに、その次のページの1ページ分の文字データの情報ブロックをLCD画面7に表示するようにしてもよい。こうすれば、ユーザーは、このCD-ROM再生装置をあたかも本を見開き状態にして本を読んでいるのと同じ感覚で使用できる。
【0022】
以上のように、本実施例においては、2つのLCD画面5及び7を、一つの信号処理装置4からの信号が入力されるLCD駆動装置6及び8によりそれぞれ駆動されるようにして、この2つのLCD画面5及び7が協働して「合わせて一つの大きな画面」を形成できるようにすると共に、2つのLCD画面5及び7をそれぞれ含む枠体1及び2を、互いに折り曲げ・折り畳み自在に接続するようにしている。
【0023】
したがって、ユーザーは、このCD-ROM再生装置を使用するときは、図1及び図2(a)に示すように、2つの枠体1及び2を見開きの状態にして、LCD画面5及び7の2つの画面を合わせた大きな面積の画面に、情報を表示させることができる。
【0024】
またユーザーは、例えば通勤電車の中などにおいて、立ったまま、片手でこのCD-ROM再生装置を使用しようとするときは、図2の(b)に示すように、2つの枠体1及び2の間の角度を例えば約150度程度に折り曲げた状態(「半折り曲げ状態=半見開き状態」)でLCD画面5,7を見るようにすることもできる。また混雑した通勤電車内では、この2つの枠体1及び2の間の角度をさらに例えば約120度程度に折り曲げた状態(「半折り曲げ状態=半見開き状態」)に保持して使用することもできる。
【0025】
さらにユーザーは、このCD-ROM再生装置を戸外の移動時に携帯しようとするときは、図2の(c)に示すように、2つの枠体1及び2を折り畳み状態にすることにより、全体として、使用時の正面の面積の約半分であるコンパクトなサイズにして持ち運ぶことができる。
【0026】
また、この実施例においては、前記第1の枠体1と第2の枠体2を見開き状態にしたとき、これらの2つの枠体を、その両者の枠体1,2の各LCDパネル5,7の間の角度が「約180度の角度」で固定できるだけでなく、その両者の枠体1,2の各LCDパネル5,7の間の角度が「約105度から約170度まで(又は、約110度から約170度まで)の間の所定の角度(任意の角度)」で固定できる(例えば摩擦力やストッパやチルト機構により)ようにしている。よって、ユーザーは、本実施例による表示装置を、例えば、会社のデスクの上では約180度の角度に見開いた「完全見開き状態」で使用し、混雑している通勤電車の中では(他人に本実施例の装置が当たって迷惑がかかることのないように)例えば約105度?約120度の角度に見開いた「半見開き状態」で使用する等、周囲の状況に応じた使用ができるようになる。
【0027】
また、さらに、ユーザーは、例えば、通勤電車の中で立ったまま、本実施例の表示装置を使用する場合、両手のうち一方の手で電車の吊り革を掴みながら他方の手のみで表示装置を支持するときは、本実施例の表示装置を片手のみでも支えやすいように例えば約150度の角度に見開いた「半見開き状態=半折り曲げ状態」で使用し、また電車の中が混雑してきたら(他人に本実施例の表示装置が当たって迷惑がかかることのないように)例えば約105度?120度の角度に見開いた「半見開き状態=半折り曲げ状態」で使用する等、周囲の状況に即応したきめ細かい使用が可能になる。
【0028】
(第2実施例)次に、本発明の第2実施例に係るCD-ROM再生専用装置を、図3から図5に基づいて説明する。
【0029】
図3において、符号11?20は枠体(筐体)である。これらの各枠体11?20は、図示を省略している蝶番により、その互いに隣合うもの同士(例えば、枠体11と枠体12、枠体12と枠体13、というように)が、互いに折り曲げ自在に接続されている。またこれらの各枠体11?20には、LCD画面を表示するためのLCD駆動装置31?40が、それぞれ内蔵されている。また各枠体11?20の表面には、各LCD駆動装置31?40により各LCD画面21?30が出力されるLCDパネル21?30が備えられている。
【0030】
なお、この図3では、各LCD画面21?30は、あたかも隣合うもの同士が互いに接触しているかのように図示されているが、これは図示の便宜上そうなっているだけで、実際には、各LCD画面21?30の互いに隣合うもの同士の間には、所定の間隔が存在する。そして、この所定の間隔の間には、各枠体11?20の端部(図示せず)と、それらの各枠体11?20の互いに隣合う端部を互いに折り曲げ自在に接続する蝶番(図示せず)と、が存在している。
【0031】
また本実施例において、前記枠体11には、CD-ROM駆動装置50からの信号を処理する信号処理装置51が内蔵されている(図3では図示の関係で信号処理装置51を枠体11の外に記載しているが、実際にはこれは枠体11内に内蔵されている)。またこの信号処理装置51には、前記の枠体11?20の外部に備えられたCD-ROM駆動装置50からの信号が、有線又は無線を使用した公知の通信手段を介して入力されるようになっている。そしてこの信号処理装置51からの信号は、各LCD駆動装置31?40に入力されるようになっている。
【0032】
したがって、この第2実施例では、前記枠体11?20が、図3(正面図)及び図4(平面図)に示すように、その互いに隣合う枠体の平面同士の角度が約180度となるような見開き状態にされたとき、各LCD21?30の各画面が互いに協働して1つの大きな画面を構成するようになっている。そして、例えばCD-ROMから「鯛」という魚の情報を検索してCD-ROMに記録されている鯛の写真をLCD21?30により表示するときは、各LCDにより出力される全部で10個の画面21?30が合わさって一体となって、その一体となった1つの大画面の中に鯛の写真が表示されるようになっている。
【0033】
またこの第2実施例では、各枠体11?20の互いに隣合うもの同士を接続する蝶番(図示せず)は、図4の各点a?iに示す位置に、それぞれ設けられている。よって、この第2実施例を持ち運ぶときは、図5の平面図に示すように、各枠体11?20を前記の各点a?i毎に蝶番を介して折り曲げることにより、このCD-ROM再生装置全体を、持ち運びに便利な略直方体の形に変形させることができる。
【0034】
なおこの第2実施例は、特にイベントなどに使用する巨大画面ディスプレーとして利用するとメリットが大きい。このような巨大画面ディスプレーは、従来は運搬や保管が大変困難であったが、本実施例によればそれが解消できる。
【0035】
(第3実施例)次に図6は、本発明の第3実施例に係るCD-ROM再生装置を示す平面図である。この実施例では、各枠体11?20を接続する蝶番は、図6のj?rに示す各点の位置にそれぞれ設けられている。よって、この実施例に係る装置を持ち運ぶときは、図6のように、各枠体11?20を、枠体11を一番内側にしてそれに連なる他の枠体12?20(いわばキャタピラーのような形状のもの)を、順次にいわば巻物のようにくるくると丸めていくことにより、このCD-ROM再生装置全体を、持ち運びに便利な略円柱状に変形させることができる。
【0036】
(第4実施例)次に本発明の第4実施例に係る携帯用TV(テレビ)を図7に基づいて説明する。この第4実施例の外側の形状は図1に示す第1実施例とほとんど同じである。違うのは、この図1の実施例にあった再生・停止・早送り・巻戻し等を指示するキー(図1では図示を省略している)の代わりに、テレビ用の番組のチャンネルを切り替えるためのキーや音声量を調節するキーやスピーカーなど(いずれも図7では図示を省略している)が備えられている点である。
【0037】
すなわち、図7において、枠体1a及び枠体2aには、それぞれTV用の液晶ディスプレー画面(LCD画面)5a及び7aが備えられている。そしてこれらの枠体1aの端部と枠体2aの端部は、蝶番9a及び10aにより、互いに折り曲げ・折り畳み自在に接続されている。また本実施例において、枠体1aと枠体2aにはそれぞれ、TV用の受信機(図示せず)と、この受信機からのテレビ信号を処理してLCD駆動装置に送る信号処理装置(図示せず)と、前記の各LCD画面5a及び7aに番組情報を出力するためのLCD駆動装置(図示せず)と、が内蔵されている。
【0038】
よって、この第4実施例に係る携帯用TVでは、ユーザーは、携帯時には枠体1aと2aを折り畳んで(図2の(c)参照)コンパクトにしてもち運ぶことができる。またユーザーは、使用時にはこれを図7のように見開き状態にして、例えばLCD画面5aには1チャンネルの番組を表示させるとともに、LCD画面7aには3チャンネルの番組を表示させることにより、2つの番組を同時に視聴することができるようになる。また、この場合、例えばLCD画面5aとLCD画面7aを「合わせて1つの大きな画面」となるように協働させて、この2つのLCD画面5aと7aとにより構成される「合わせて1つの大きな画面」に1チャンネルの番組を表示させるようにしてもよい。すなわち、第4実施例においては、TV用の受信機からの1つの番組のテレビ信号のみを1つの信号処理装置により処理して、その処理された信号を、各枠体1a及び2aのそれぞれに内蔵されたLCD駆動装置に供給するようにすることにより、「LCD画面5a及び7aを合わせた1つの大きな画面」に1つの番組を表示させるようにしてもよい。こうすれば、各LCD画面5aと7aを合わせた1つの横長の(パノラマの)画面が実現できるので、映画番組などの横長の映像もそのまま表示できるようになる。
【0039】
以上本発明の実施例について説明してきたが、本発明はこれらの各実施例に限定されるものではないことは勿論である。本発明は、例えば以下に述べるような構成をも含んでいるものと理解すべきである。
【0040】
例えば、前記の実施例ではCD-ROM再生専用装置の例を示しているが、本発明は、VTRや磁気ディスク記録再生装置やICカードを使用した記録再生装置やパーソナル・コンピュータのように、記録装置及び記録のための入力装置を含む電子機器にも適用することができる。また単に画面への表示だけでなく、音声や振動や光などをも出力できる電子機器にも適用できる。
【0041】
また本発明の表示装置は、単にCD-ROM等の記録媒体からの情報を表示するために使用するだけでなく、「ユーザーが情報を入力するときに使用する、情報入力用画面」を表示することができるディスプレー、例えば、「ユーザーが電子ペン等を使用して手書き文字などの情報を入力するための、電子ペン等を操作するための操作画面」を表示することができるディスプレー、タッチパネル機能を備えたディスプレー(タッチパネルを兼ねるディスプレー)であってユーザーが指先でデータを入力できるようにしたディスプレー、などでもよい。以上のように、本発明の表示装置は、「入力装置(入力装置の一部)としても使用できるディスプレー」をも含むものである。
【0042】
また本発明は、単にFDやCD-ROMのような記憶媒体から読み出した情報を表示するディスプレー装置に限られるものではなく、例えばTV(テレビ)放送局から無線電波により送られてくる情報(テレビ番組)又は有線テレビ(CATV)局からケーブル(有線)を介して送られてくる情報(テレビ番組)を、画面に表示するための表示装置にも、適用することができる。
【0043】
また、前記の図1に示した第1実施例では、CD-ROM駆動装置3は枠体1に内蔵させているが、本発明では、このCD-ROM駆動装置3を枠体1及び2から分離させて別個のユニットとし、この別個のユニットであるCD-ROM駆動装置(このCD-ROM駆動装置以外に、本明細書の段落0042などの中で言及しているようなパーソナル・コンピュータの一部として使用される記録装置などでもよい)から無線電波により枠体1内の信号処理装置4に信号を送信し、この信号処理装置4が無線で受信した情報を、枠体1,2の表示パネルの画面に表示するようにしてもよい。
【0044】
【発明の効果】
1.本発明の基本的効果.
本発明では、「少なくとも2つの表示板(2つの表示パネル)を約105度から約170度までの間のいずれかの角度で固定するための左右見開き固定手段」を備えている。したがって、本発明では、ユーザーが、表示装置全体をその一方の片手のみで支持しようとするとき、前記左右見開き固定手段により形成される「断面略V字状の凹状部分(裏側から見ると、凸状部分)」又はその近傍の部分を、前記片手による支持の「取っ掛かり」とすることができる。よって、本発明によれば、ユーザーは、外出先(戸外)などで、例えば立ったままでも、2つの表示板を含む表示装置全体を、その一方の片手のみで容易且つ安定的に支持することができるようになる。
【0045】
すなわち、本発明では、前記の「ユーザーが、その片手の上に載せて、その片手だけで支持しながら使用できる(あるいは、小型の表示装置である)」という構成と、前記の「左右見開き固定手段」という構成とにより、「少なくとも2つ以上の表示板を見開き状態で使用するとき、ユーザーが、その片手の親指を、前記各表示板の左右見開き接続部分の表面側(ユーザー側)の断面略V字状の凹状部分(すなわち、約105度から約170度までの間のいずれかの角度に折り曲げられている”谷”状部分)に当てることにより、又は/及び、その片手の親指以外の指又は掌を、前記各表示板の見開き接続部分の裏面側(ユーザーに対向していない側)の”山”状の部分に当てることにより、ユーザーは、前記の表示板の全体を、ユーザーの片手だけで極めて容易且つ安定的に支持しながら使用することができる」という効果が得られる。
【0046】
また、本発明において、2つの表示板を含む表示装置がユーザーから見て左右見開き状態にされているときの、ユーザーから見て縦方向の線から左側の部分と右側の部分とのそれぞれの表示画面の形状をほぼ左右均等・左右対称に構成するようにしたとき(又は、ユーザーから見て縦方向の線から左側の部分と右側の部分とのそれぞれの平面の面積をほぼ左右均等に構成するようにしたとき)は、ユーザーは、前記左側部分の画面(又はその平面)と右側部分の画面(又はその平面)との全体を、その両眼からほぼ左右均等に見渡すことができるので、前記の2つの表示板による左右見開きの画面の全体が、ユーザーにとって大変に見やすいものとなる。
【0047】
さらに、本発明の「偶数個の表示板を備えた表示装置」において、前記の各表示板が左右見開き状態にされたときの、ユーザーから見て縦方向の線から見て左側の部分と右側の部分とのそれぞれの平面の面積と厚さ寸法をハードウェアとしてほぼ左右均等に構成するようにしたときは、ユーザーがその片手の親指を前記各表示板の接続部分の表面側(ユーザーに対向している側)すなわち断面略V字状の凹状部分(約105度から約170度までの間のいずれかの角度に折り曲げられている”谷”状部分)に当てた場合、又は/及び、その片手の親指以外の指又は掌を前記各表示板の接続部分の裏面側(ユーザーに対向していない側)の”山”状部分及びその周辺部分に当てるようにした場合、表示装置全体が、「前記線近傍の”谷”状部分又は/及び”山”状部分」を支点として(前記線の位置を支点として)、左右の均衡(バランス)が取れた状態(「ヤジロベエ」のような状態)となるので、片手だけでも極めて容易且つ安定的に各表示板を支持できるようになる。
【0048】
2.上記の本発明の効果を図8を参照して説明すると、次の(1)?(4)のとおりである。
【0049】
(1)図8(a)の場合の作用
図8(a)は、「互いに厚さ寸法が同一ではない2つの表示板(2つの表示パネル)91,92を、約180度の角度での完全見開きの状態に固定して成る表示装置を、ユーザーが片手で支持している場合」(本発明の範囲外)を示している。
【0050】
この場合は、ユーザーは、片手の親指93を前記2つの表示板91,92の表示画面側(ユーザーに対向する側)の何処かの場所に当てることになるが、その表示画面側は全体として約180度の水平面となっており、「親指を当てるときの、『取っ掛かり』となってくれるような部分(例えば、本発明における前記「断面略V字状の凹状部分」のような”谷”の部分)」が存在しないため、前記親指93の存在にも拘わらず前記各表示板91,92は「図示左右方向に、ぶれやすく、移動しやすい」状態となり、前記親指93により各表示板91,92を容易且つ安定的に支持することはできない。
【0051】
また、前記の片手の親指以外の指又は掌は、前記各表示板91,92の裏面側(ユーザーに対向しない側)に当てられるが、前記各表示板91,92の裏面側も全体として約180度の角度の略水平面となっており、「その親指以外の指又は掌を当てたときの、『取っ掛かり』になってくれる部分」が存在しないので、前記各表示板91,92は「図示左右方向に、ぶれやすく、移動しやすい」状態となり、前記親指以外の指又は掌により各表示板91,92を強く安定的に支持することはできない。
【0052】
以上より、この図8(a)の場合は、ユーザーが表示装置全体を片手だけで支持するときは、極めて不安定な支持しかできない。
【0053】
(2)図8(b)の場合の作用
次に、図8(b)は、「互いに厚さ寸法が異なる2つの表示板(2つの表示パネル)91,92を、ユーザーが自分の手で約130度くらいの角度で見開き状態にした(但し、前記2つの表示板を『前記約130度の左右見開き状態で固定(半固定を含む)すること』は、為されていない)まま、ユーザーが片手で支持している場合」(本発明の範囲外)を示している。
【0054】
この場合は、ユーザーは、片手の親指93を前記2つの表示板91及び92の接続部分の表示画面側(ユーザーに対向している側)に当てることになるので、この「断面略V字状の凹状の”谷”状部分(図8(b)の矢印Aで示す部分)」が「親指93を当てるときの、『取っ掛かり』のような部分」に一応はなってくれる。そのため、この「取っ掛かり」に当てられる親指93の存在により、前記各表示板91,92は、「図示左右方向に、ぶれること、移動すること」が少しは防止されるようになる。
【0055】
また、前記各表示板91,92の裏面側(ユーザーに対向していない側)は、前記各表示板91及び92が約130度の角度に突出する”山”状になっており、この「”山”状部分」が「前記親指以外の指又は掌を当てるに際しての『取っ掛かり』のような部分」に一応はなってくれるので、前記各表示板91,92が「図示左右方向に、ぶれること、移動すること」が、少しは防止されるようになっている。
【0056】
しかし、この図8(b)の場合は、前記の各表示板91と92との間の約130度くらいの角度での見開き状態が「固定(半固定を含む)」されてはいない(ユーザーが自分の手の力だけで約130度くらいの角度になるように支持しているだけである)。したがって、この図8(b)の場合は、各表示板91と92との間の角度は、図の矢印Bで示すように、「(約130度の角度のままで一定ということではなく)常にブラブラ・グラグラと不安定に変動してしまう状態」にある。よって、この図8(b)の場合は、各表示板91,92は、ユーザーが片手で支持している間、ずっと、図の矢印Bのように互いの接続部分の角度がブラブラと不安定に変動してしまう(前記の「各表示板91と92との間の角度(約130度)」が固定されておらず、一定していない)ので、ユーザーは、到底、片手のみで各表示板91,92を容易且つ安定的に支持することはできない。
【0057】
よって、ユーザーが各表示板91,92に表示された情報を見ようとしても、各表示板91,92が図の矢印Bのように常にブラブラ・グラグラと動いてしまうので、大変に見難く読み難くなってしまう(目も疲れてしまう)。また、本来的にブラブラと前記角度が変動してしまう2つの表示板91,92をユーザーが自分の手で約130度の角度に保持し続けなくてはならないので、ユーザーは手に不自然な力を入れ続ける必要があり、疲れてしまう。また、電子ペン94(図8(b)参照)を使用して文字を手書き入力するなどのペン入力操作や指先入力操作(タッチパネル方式での入力操作)をしようとする場合でも、入力操作時に発生するペン先又は指先からの押圧力により表示板92の位置が図の矢印Bのようにブラブラと大きく変動してしまい、大変に不安定であるため、手書き入力などのペン入力操作やタッチパネル式画面への指先の押圧操作などの「入力操作」が極めて難しくなってしまう。
【0058】
(3)図8(c)の場合の作用
次に、図8(c)は、本願発明の一実施形態で、「互いに厚さ寸法の異なる2つの表示板(2つの表示パネル)91,92が、約180度の完全見開き状態と折り畳み状態との間の、例えば約130度の角度で固定されている場合」である。
【0059】
この場合は、ユーザーは、片手の親指93を、前記2つの表示板91及び92の接続部分の表示画面側(ユーザーに対向している側)の「(2つの表示板91,92の接続部分の)断面略V字状の凹状に固定された”谷”状部分」((図8(c)の矢印A参照)に当てることになるので、この「断面略V字状の凹状に固定された”谷”状部分」が「親指93を当てるときの、『取っ掛かり』のような部分」となってくれる。そのため、この「取っ掛かりのような部分(”谷”状部分)」に当てられた親指93の存在により、前記各表示板91,92は、「図示左右方向に、ぶれること、移動すること」がほぼ完全に防止される。
【0060】
また、この場合は、ユーザーの前記片手の親指以外の指又は掌は、前記各表示板91,92の裏面側(ユーザーに対向していない側)に当てられるが、この裏面側は、前記各表示板91及び92が約130度の角度で固定されているため、「断面略V字状に突出・固定された”山”状部分」となっている(2つの表示板の接続部分のユーザーに対向する側が断面略V字状の凹状の”谷”状部分となっている場合は、その反対側(裏側)は、当然に、断面が略V字状の突状の”山”状部分となる)。そこで、この場合は、この裏面側の「断面が略V字状の突状に固定された”山”状部分」が、「前記の片手の親指以外の指又は掌を当てるときの『取っ掛かり』のような部分」となってくれる。そのため、前記の親指93の存在によるだけでなく、この「取っ掛かりのような部分(”山”状部分)」に当てられた親指以外の指又は掌の存在によっても、前記各表示板91,92が「図示左右方向に、ぶれること、移動すること」が、ほぼ完全に防止される。
【0061】
そして、この場合は、各表示板91,92が約130度の角度で見開き「固定(半固定を含む)」されているため、各表示板91,92の裏面側(ユーザーに対向しない側)の全体形状が、ユーザーの片手の「掌(手のひら)」の自然な形にフィットしやすい状態となる(なぜなら、人間の手をリラックスさせたときの自然な形とは、ちょうど「卵をつかむ」ときのような形であるが、このときの「掌(手のひら)」の形は、ちょうど「断面が略V字状の凹状」となるから)。
【0062】
そして、前記”谷”状部分を「取っ掛かり」として表面側(ユーザーに対向している側)に掛けられたユーザーの親指94と、その裏側の前記”山”状部分を「取っ掛かり」として裏面側(ユーザーに対向していない側)に掛けられたユーザーの親指以外の指又は掌とが、前記2つの表示板91,92を、その表面側と裏面側とからそれぞれ強固に安定的に支持するようになるので、表示装置をユーザーの片手の上に載せれば、ユーザーの片手のみでも、表示装置が全体として極めて容易且つ安定的に支持されるようになる。
【0063】
特に、電子ペン94による文字の手書き入力や指先による入力(タッチパネル方式)などの入力操作をするときでも、前記のように、2つの表示板91と92の間の角度が固定(半固定を含む)されているので、ペン先や指先から所定の押圧力を表示板92に与えても、表示板92が「ブラブラ・グラグラとぐらつく」ことはなく、入力ペンによる手書き入力などの入力操作やタッチパネル式画面への指先の操作などの「入力操作」が大変に安定的に且つ容易にできるようになる。
【0064】
(4)図8(d)の場合の作用
次に、図8(d)は、本願発明の一実施形態を示すもので、「互いに平面の面積と厚さ寸法がほぼ同一の2つの表示板(2つの表示パネル)91,92が、約130度の角度で見開かれた状態で固定されている場合」である。
【0065】
この場合も、図8(c)で前述したのと同様に、ユーザーは、片手のみでも極めて容易且つ安定的に表示装置を支持することができる。さらに、特に、この例では、前記各表示板91と92は、それらの各平面の面積と各厚さ寸法とが互いにハードウェアとしてほぼ左右均等となっているので、図8(d)に示すように、ユーザーが片手の親指を前記表面側の「断面略V字状の凹状部分=”谷”状部分=デルタ状部分(図の矢印Aで指示する部分)」に当てて、親指以外の指又は掌を各表示板91,92の裏面側の「断面略V字状に突出した”山”状部分」に当てたとき、表示装置全体が、前記の”谷”状部分と”山”状部分とを支点として、その左右の均衡(バランス)が保たれた「ヤジロベエ」のような状態になり、その結果、片手だけでも極めて「左右に安定した状態」で支持できるようになる。
【0066】
すなわち、この図8(d)の場合は、前記「断面略V字状の凹状部分=”谷”状部分(図の矢印Aで指示する部分)」を通る線(ユーザーから見て縦方向の線)を境として、表示装置の右側部分と左側部分とが、ハードウェアとしてその平面や厚さ寸法がほぼ左右均等にバランスするように構成されているので、ユーザーが片手のみでも大変に左右にバランス良く支持できるようになる。
【0067】
3.次に、本発明の効果について、さらに、図9を参照して説明する。図9(a)に示すように、従来より、「キーボード104と、表示画面105aを表示するための表示パネル105とを、互いに折り畳み・見開き自在に接続したノート型パソコン」が販売されている。図9(a)は、この従来のノート型パソコンを元に、それをユーザーの片手の「掌(手のひら)」だけで支持できるように小型化したものを、本発明との比較のために特別に仮想的に用意して、それをユーザーが一方の片手だけで支持したときの動作を仮想的に示したものである。
【0068】
この場合は、ユーザーの親指101と小指102と掌103とにより、キーボード104の左右両側面と下面とを、それぞれ左右両側から及び下方向から支持することになる。そして、ユーザーは、他方の片手で、キーボード104を操作することができる。
【0069】
しかし、このような小型のノート型パソコンは、キーボード104と表示板105とが「ユーザーから見て左右方向(横方向)の線(図9(a)の一点鎖線Q参照)」を境にして折り曲げられている点で、2つの表示板が「ユーザーから見て上下方向(縦方向)の線(図9(b)の一点鎖線R参照)」を境にして折り曲げられている本発明とは、根本的に、その課題・構成・作用・効果を異にしている。
【0070】
すなわち、本発明では、図9(b)に示すように、2つの表示板(表示パネル)107,108が、「ユーザーから見て上下方向(縦方向)の線(図9(b)の一点鎖線R参照)」を境にして折り曲げ固定されている。
【0071】
そして、本発明では、この「ユーザーから見て上下方向(縦方向)の線R」に沿って、前記「断面略V字状の凹状部分(”谷”状部分)」が形成されている(図9(b)及び図9(c)の符号P参照)。そして、この「断面略V字状の凹状の”谷”状部分」Pが、ユーザーが前記2つの表示板107,108を安定的に支持するためにユーザーの親指106を掛けるための「取っ掛かり」となってくれている。また、本発明では、前記「断面略V字状の凹状の”谷”状部分」Pの裏側の「”山”状部分」が、ユーザーが前記2つの表示板107,108の裏面(ユーザーと対向していない側)にユーザーの親指以外の指又は掌を当てるための「取っ掛かり」となってくれている。
【0072】
以上のように、本発明では、図9(b)の符号Rで示す「ユーザーから見て上下方向(縦方向)の線」を境として、表示装置の右側部分と左側部分とを、前記の折り曲げられた任意の角度で(すなわち、断面が略V字状になった状態で)固定することが、可能になっている。
【0073】
したがって、本発明では、ユーザーがその片手で表示装置全体を支持するとき(又は、ユーザーが表示装置全体を片手の上に載置するとき)、ユーザーは、前記の折り曲げられた部分(「ユーザーから見て上下方向(縦方向)の線」又はその近傍の部分)に形成される「断面略V字状の凹状の”谷”状部分」に親指を掛けてそこを「取っ掛かり」にして表示装置を支持すること(又は、前記の断面略V字状の凹状の”谷”状部分の反対側の”山”状部分を「取っ掛かり」にして、表示装置を片手の親指以外の指又は掌の上に置くこと)により、前記表示装置の全体を極めて容易且つ安定的に支持することが可能になる。
【0074】
すなわち、一般に、▲1▼「平板状(表面が水平面状)の物体」を片手のみで支持すること(又は、平板状の物体を片手の掌の上に載置すること)と、▲2▼「断面が略V字状の凹部(”谷”状)になっている物体」を片手のみで支持すること(又は、「断面が略V字状の凹部になっている物体の裏面の”山”状部分」を片手の親指以外の指又は掌の上に載置すること)とを比較すると、後者(▲2▼)の方が格段に容易であることは、経験上もまた理論上も明らかである。
【0075】
すなわち、前者(▲1▼)の平板状の物体では、片手で持つときに、持つときの「取っ掛かり」が無いので、必要以上の握力が必要になり、片手の神経を集中させなくてはならないので、大変に緊張し疲れてしまう。これに対して、後者(▲2▼)の断面略V字状の物体では、前記の略V字状の”谷”状の部分とその裏側の”山”状部分がユーザーの手(指及び掌)で持つときの「取っ掛かり」となってくれるので、この部分を持てば小さな握力でも(すなわち、ユーザーが手に力を入れないで自然にリラックスした状態でも)容易に安定して持ち続けることができる。
【0076】
すなわち、前者(▲1▼)の平板状の物体では、それを片手の「掌(手のひら)」の上に載せようとしても、平板状なので、掌の上をズルズルと滑ってしまい易いため、そのズルズルと滑るのを防ごうとして必要以上の力を不自然な形で入れる必要があり、且つ、必要以上に神経を集中・緊張させる必要があり、その結果、長時間支持し続けようとすると過度の疲労(肩凝り、眼精疲労など)の原因となってしまう。
【0077】
これに対して、後者(▲2▼)の断面略V字状の物体では、極めて容易且つ安定的に、表示装置全体を、片手の「掌」の上で支持することが可能になる。
【0078】
なぜなら、まず、人間の片手の「掌」そのものが、もともと(自然にリラックスした状態においては)、「断面が略V字状の凹状」となっている(すなわち、片手で本や書類やタマゴなどの物を普通に支持している状態又は自然にリラックスした状態の片手の断面形状は、ちょうど「断面が略V字状の凹状=”谷”状」となっている)。そして、一般に、前記の表面側(ユーザー側)の断面略V字状の凹状の”谷”状部分の裏面側の”山”状の部分は、人間の片手の「掌」の中にちょうどうまくスッポリと収まり易い(人間の掌(手のひら)の形は、もともと、リラックスした状態では、ちょうど「断面が略V字状の凹状」となっているため)。したがって、本発明の左右見開き固定手段により形成される前記の各表示板間が断面略V字状に固定(半固定を含む)された表示装置は、ユーザーにとって、極めて小さな力で、リラックスした状態で、容易且つ安定的に、その片手の「掌」の上に載置し続けることを可能にするものなのである。
【0079】
以上のように、本発明によれば、前記左右見開き固定手段により、ユーザーが表示装置の全体を片手だけで支持すること又は片手の掌の上に載置することが、極めて容易になる。よって、本発明によれば、ユーザーが、外出中(戸外で)、例えば通勤電車内や路上などの様々な場所で、立ったままでも、表示装置を片手だけで支持しながら、又は表示装置を片手の掌の上に載置・支持しながら、安定的に使用し続けることが極めて容易になる。
【0080】
4.さらに、本発明の付加的効果の一つについて説明する。本発明(の一態様)においては、表示装置の使用時の表示画面の形状が、前記の「2つの表示板を含む表示装置の全体」のほぼ中央部分のユーザーからみて縦方向の線から右側部分の画面の面積及び形状と、同左側部分の画面の面積及び形状とが、ユーザーから見たときにほぼ左右均等・左右対称となるように、構成されている。したがって、この本発明(の一態様)によれば、ユーザーが前記各表示板により構成された「表示画面の全体」を見るときに、その画面全体が前記縦方向の線(以下「中心線」という)を中心にほぼ左右対称・左右均等に分けられるため、ユーザーにとって極めて見易い画面が得られるようになっている。すなわち、一般に、人間の視神経においては、文書や画像を見る場合に、左右の2つの目(左右両眼)で見つめるため、見る対象の全体は、両眼の位置からみて左右対称・左右均等になっている方が格段に見易いという性質を有している。だから、従来の本や新聞や雑誌などの紙媒体でも、その表示部分は、ユーザーからみて縦方向の中心線(本や新聞を中間で折り曲げる線。仮想の線をも含む)を中心として、左右対称・左右均等になるように配置されている。表示された画面全体が前記の中心線を中心に左右対称・左右均等に配置されていないと、人間の視神経(左右均等が視神経にとっては自然である)に過度の負荷を与えて必要以上に視神経の疲労を与えてしまうことになるが、本発明ではこのような不都合を有効に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るCD-ROM再生装置を示す正面図である。
【図2】図1の実施例を動作別に示す平面図である。
【図3】本発明の第2実施例に係るCD-ROM再生装置を示す正面図である。
【図4】第2実施例を示す平面図である。
【図5】第2実施例の折り畳んだ状態を示す平面図である。
【図6】本発明の第3実施例を示す平面図である。
【図7】本発明の第4実施例を示す平面図である。
【図8】本発明の作用・効果を説明するための図である。
【図9】本発明の作用・効果を説明するための図である。
【符号の説明】
1,2,11?20,1a,2a 枠体
3,50 CD-ROM駆動装置
4,51 信号処理装置
5,7,21?30,5a,7a LCD画面(LCDパネル)
6,8,31?40 LCD駆動装置
9,10,9a,10a 蝶番(ジョイント)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2010-05-17 
出願番号 特願2002-196984(P2002-196984)
審決分類 P 1 41・ 853- Y (G09F)
P 1 41・ 851- Y (G09F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 柿崎 拓大野 克人加藤 恵一  
特許庁審判長 北川 清伸
特許庁審判官 村田 尚英
岡田 吉美
登録日 2002-12-20 
登録番号 特許第3382936号(P3382936)
発明の名称 片手支持可能な表示装置  

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