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審決分類 審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  E05C
審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  E05C
審判 全部無効 2項進歩性  E05C
管理番号 1218548
審判番号 無効2008-800228  
総通号数 128 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-08-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2008-10-28 
確定日 2010-05-31 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3593062号「扉止め装置及び扉」の特許無効審判事件についてされた平成21年 6月22日付け審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の決定(平成21年(行ケ)第10202号平成21年11月6日決定言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1.手続きの経緯
本件特許第3593062号(以下、「本件特許」という。)は、平成13年6月1日に出願(特願2001-167372号)されたものであって、平成16年9月3日に、その特許権の設定登録がなされ、その後、請求人・寺西捷夫より、その請求項1及び2に係る発明について、特許無効審判が請求されたものである。
本件特許無効審判における経緯は、以下のとおりである。

平成20年10月28日 無効審判請求(請求人)
平成21年 1月19日 答弁書の提出(被請求人)
平成21年 5月21日 口頭審理陳述要領書の提出(請求人)
平成21年 5月21日 口頭審理陳述要領書の提出(被請求人)
平成21年 5月21日 口頭審理
平成21年 6月22日 審決(審判請求成立)
平成21年 7月27日 知的財産高等裁判所出訴(平成21年(行ケ)第10202号)
平成21年 9月29日 訂正審判請求(訂正2009-390117)
平成21年11月 6日 知的財産高等裁判所審決取消決定(特許法181条2項の規定に基づく審決取消し(差戻し))
平成21年11月19日 通知書(訂正請求のための期間指定通知(指定期間10日))の発送
平成22年 1月 4日 特許法第134条の3第5項により、訂正審判の請求書(訂正2009-390117)に添付された特許請求の範囲、明細書を援用する、無効審判の訂正の請求書副本の請求人への発送


第2.訂正の請求について
1.訂正の内容
被請求人は平成21年11月19日付け期間指定通知(指定期間10日)に対して訂正請求をしなかったので、被請求人が行った平成21年9月2日付けの訂正審判請求(訂正2009-390117号)は、特許法第134条の3第5項の規定により、その訂正審判の請求書に添付された訂正した明細書を援用した、指定期間の末日になされた、訂正請求とみなし、特許第3593062号に係る明細書(以下、「本件特許明細書」という。)を訂正するものと認められる。
そして、その内容は以下のとおりである。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1記載の
「(ニ)ケースには、係止軸を非係止位置から係止位置に移動させる操作手段が設けられていること。」を、
「(ニ)ケースには、下端に係止ピンを形成した係止軸を非係止位置から係止位置に移動させる操作手段が設けられており、前記係止軸は当該操作手段に対して移動でき弾性部材によって係止位置の方向に付勢されていること。」と訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1記載の
「(ホ)ケースには、扉が開閉して扉側装置が床面側装置の上方に位置すると、扉側装置の磁石により金属製ストッパー板が上方に回動して当接する底壁が形成されていること。」を、
「(ホ)ケースには、扉が開閉して扉側装置が床面側装置の上方に位置すると、扉側装置の磁石により金属製ストッパー板が上方に回動して当接する当該ケースの底面全体を覆う底壁が形成されていること。」と訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1記載の
「(ヘ)ケースの底壁には、底壁に当接した金属製ストッパー板を係止して、扉の開閉を規制する係止突起が設けられていること。」を
「(ヘ)ケースの底壁には、前記金属製ストッパーと当接する平らな当接面と、当該平らな当接面に当接した金属製ストッパー板を係止して、扉の開閉を規制する係止突起が設けられていること。」と訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1記載の
「(ト)ケースの底壁には、ケース内の非係止位置にある係止軸を係止位置に突出させて、ケースの底壁に当接して係止突起に係止された金属製ストッパー板の係止凹部に係止軸を係止させる挿通孔が形成されていること。」を、
「(ト)ケースの底壁には、前記係止軸下端の係止ピンを出没自在に案内し、ケース内の非係止位置にある係止軸を係止位置に突出させて、ケースの底壁に当接して係止突起に係止された金属製ストッパー板に形成された係止凹部に前記係止軸下端の係止ピンを係止させる挿通孔が形成されていること。」と訂正する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項2記載の
「(ハ)ケースには、係止軸を非係止位置から係止位置に移動させる操作手段が設けられていること。」を、
「(ハ)ケースには、下端に係止ピンを形成した係止軸を非係止位置から係止位置に移動させる操作手段が設けられており、前記係止軸は当該操作手段に対して移動でき弾性部材によって係止位置の方向に付勢されていること。」と訂正する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項2記載の
「(ニ)ケースには、床面に固定される基台と基台に回動自在に取り付けられた金属製ストッパー板とからなる床面側装置の上方に、扉が開閉して扉側装置が位置すると、扉側装置の磁石により金属製ストッパー板が上方に回動して当接する底壁が形成されていること。」を、
「(ニ)ケースには、床面に固定される基台と基台に回動自在に取り付けられた金属製ストッパー板とからなる床面側装置の上方に、扉が開閉して扉側装置が位置すると、扉側装置の磁石により金属製ストッパー板が上方に回動して当接する当該ケースの底面全体を覆う底壁が形成されていること。」と訂正する。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項2記載の
「(ホ)ケースの底壁には、底壁に当接した金属製ストッパー板を係止して、扉の開閉を規制する係止突起が設けられていること。」を、
「(ホ)ケースの底壁には、前記金属製ストッパーと当接する平らな当接面と、当該平らな当接面に当接した金属製ストッパー板を係止して、扉の開閉を規制する係止突起が設けられていること。」と訂正する。

(8)訂正事項8
本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項2には「(へ)ケースの底壁には、ケース内の非係止位置にある係止軸を係止位置に突出させて、ケースの底壁に当接して係止突起に係止された金属製ストッパー板に形成された係止凹部に係止軸を係止させる挿通孔が形成されていること。」と記載されていることから、訂正事項8の訂正前の「(ヘ)ケースの底壁には、ケース内の非係止位置にある係止軸を係止位置に突出させて、ケースの底壁に当接して係止突起に係止された金属製ストッパー板の係止凹部に係止軸を係止させる挿通孔が形成されていること。」の下線部分が誤記であることは明らかである。
したがって、訂正事項8は、特許請求の範囲の請求項2記載の
「(ヘ)ケースの底壁には、ケース内の非係止位置にある係止軸を係止位置に突出させて、ケースの底壁に当接して係止突起に係止された金属製ストッパー板に形成された係止凹部に係止軸を係止させる挿通孔が形成されていること。」を、
「(ヘ)ケースの底壁には、前記係止軸下端の係止ピンを出没自在に案内し、ケース内の非係止位置にある係止軸を係止位置に突出させて、ケースの底壁に当接して係止突起に係止された金属製ストッパー板に形成された係止凹部に前記係止軸下端の係止ピンを係止させる挿通孔が形成されていること。」と訂正するものと認められる。

(9)訂正事項9
特許明細書の段落【0005】の
「(ニ)ケースには、係止軸を非係止位置から係止位置に移動させる操作手段が設けられていること。」を、
「(ニ)ケースには、下端に係止ピンを形成した係止軸を非係止位置から係止位置に移動させる操作手段が設けられており、前記係止軸は当該操作手段に対して移動でき弾性部材によって係止位置の方向に付勢されていること。」と訂正する。

(10)訂正事項10
特許明細書の段落【0005】の
「(ホ)ケースには、扉が開閉して扉側装置が床面側装置の上方に位置すると、扉側装置の磁石により金属製ストッパー板が上方に回動して当接する底壁が形成されていること。」を、
「(ホ)ケースには、扉が開閉して扉側装置が床面側装置の上方に位置すると、扉側装置の磁石により金属製ストッパー板が上方に回動して当接する当該ケースの底面全体を覆う底壁が形成されていること。」と訂正する。

(11)訂正事項11
特許明細書の段落【0005】の
「(ヘ)ケースの底壁には、底壁に当接した金属製ストッパー板を係止して、扉の開閉を規制する係止突起が設けられていること。」を
「(ヘ)ケースの底壁には、前記金属製ストッパーと当接する平らな当接面と、当該平らな当接面に当接した金属製ストッパー板を係止して、扉の開閉を規制する係止突起が設けられていること。」と訂正する。

(12)訂正事項12
特許明細書の段落【0005】の
「(ト)ケースの底壁には、ケース内の非係止位置にある係止軸を係止位置に突出させて、ケースの底壁に当接して係止突起に係止された金属製ストッパー板の係止凹部に係止軸を係止させる挿通孔が形成されていること。」を、
「(ト)ケースの底壁には、前記係止軸下端の係止ピンを出没自在に案内し、ケース内の非係止位置にある係止軸を係止位置に突出させて、ケースの底壁に当接して係止突起に係止された金属製ストッパー板の係止凹部に前記係止軸下端の係止ピンを係止させる挿通孔が形成されていること。」と訂正する。

(13)訂正事項13
特許明細書の段落【0006】の
「(ハ)ケースには、係止軸を非係止位置から係止位置に移動させる操作手段が設けられていること。」を、
「(ハ)ケースには、下端に係止ピンを形成した係止軸を非係止位置から係止位置に移動させる操作手段が設けられており、前記係止軸は当該操作手段に対して移動でき弾性部材によって係止位置の方向に付勢されていること。」と訂正する。

(14)訂正事項14
訂正事項14が、本件特許明細書の段落【0006】の(二)を訂正するものであることは明らかであって、本件特許明細書の段落【0006】には「(ニ)ケースには、床面に固定される基台と基台に回動自在に取り付けられた金属製ストッパー板とからなる床面側装置の上方に、扉が開閉して扉側装置が位置すると、扉側装置の磁石により金属製ストッパー板が上方に回動して当接する底壁が形成されていること。」と記載されていることから、訂正事項14の訂正前の「属製ストッパー板とからなる床面側装置の上方に、扉が開閉して扉側装置が位置すると、扉側装置の磁石により金属製ストッパー板が上方に回動して当接する底壁が形成されていること。」は、誤記であって、訂正事項14は、特許明細書の段落【0006】の
「(ニ)ケースには、床面に固定される基台と基台に回動自在に取り付けられた金属製ストッパー板とからなる床面側装置の上方に、扉が開閉して扉側装置が位置すると、扉側装置の磁石により金属製ストッパー板が上方に回動して当接する底壁が形成されていること。」を、
「(ニ)ケースには、床面に固定される基台と基台に回動自在に取り付けられた金属製ストッパー板とからなる床面側装置の上方に、扉が開閉して扉側装置が位置すると、扉側装置の磁石により金属製ストッパー板が上方に回動して当接する当該ケースの底面全体を覆う底壁が形成されていること。」と訂正するものと認められる。

(15)訂正事項15
特許明細書の段落【0006】の
「(ホ)ケースの底壁には、底壁に当接した金属製ストッパー板を係止して、扉の開閉を規制する係止突起が設けられていること。」を、
「(ホ)ケースの底壁には、前記金属製ストッパーと当接する平らな当接面と、当該平らな当接面に当接した金属製ストッパー板を係止して、扉の開閉を規制する係止突起が設けられていること。」と訂正する。

(16)訂正事項16
本件特許明細書の段落【0006】「(へ)ケースの底壁には、ケース内の非係止位置にある係止軸を係止位置に突出させて、ケースの底壁に当接して係止突起に係止された金属製ストッパー板に形成された係止凹部に係止軸を係止させる挿通孔が形成されていること。」と記載されていることから、訂正事項16の訂正前の「(ヘ)ケースの底壁には、ケース内の非係止位置にある係止軸を係止位置に突出させて、ケースの底壁に当接して係止突起に係止された金属製ストッパー板の係止凹部に係止軸を係止させる挿通孔が形成されていること。」の下線部分が誤記であることは明らかである。
したがって、訂正事項16は、特許明細書の段落【0006】の
「(ヘ)ケースの底壁には、ケース内の非係止位置にある係止軸を係止位置に突出させて、ケースの底壁に当接して係止突起に係止された金属製ストッパー板に形成された係止凹部に係止軸を係止させる挿通孔が形成されていること。」を、
「(ヘ)ケースの底壁には、前記係止軸下端の係止ピンを出没自在に案内し、ケース内の非係止位置にある係止軸を係止位置に突出させて、ケースの底壁に当接して係止突起に係止された金属製ストッパー板に形成された係止凹部に前記係止軸下端の係止ピンを係止させる挿通孔が形成されていること。」と訂正するものと認められる。


2.訂正の適否に関する当審の判断
(1)訂正事項1,5,9,13について
訂正事項1,5の訂正内容は、訂正前の請求項1,2に記載された「係止軸」を、「下端に係止ピンを形成した」および「当該操作手段に対して移動でき弾性部材によって係止位置の方向に付勢されている」と限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、特許明細書の発明の詳細な説明に関する訂正事項9,13は、訂正事項1,5の特許請求の範囲の訂正との整合性を図るための訂正であって、不明りょうな記載の釈明に該当する。

(2)訂正事項2,6,10,14について
訂正事項2,6の訂正内容は、訂正前の請求項1,2に記載された「底壁」を、「当該ケースの底面全体を覆う」と限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、特許明細書の発明の詳細な説明に関する訂正事項10,14は、訂正事項2,6の特許請求の範囲の訂正との整合性を図るための訂正であって、不明りょうな記載の釈明に該当する。

(3)訂正事項3,7,11,15について
訂正事項3,7の訂正内容は、訂正前の請求項1,2に記載された「底壁」には、「金属製ストッパーと当接する平らな当接面」が設けられていると限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、特許明細書の発明の詳細な説明に関する訂正事項11,15は、訂正事項3,7の特許請求の範囲の訂正との整合性を図るための訂正であって、不明りょうな記載の釈明に該当する。

(4)訂正事項4,8、12,16について
訂正事項4,8の訂正内容は、訂正前の請求項1,2に記載された「挿通孔」を、「係止軸下端の係止ピンを出没自在に案内し」及び「係止軸下端の係止ピンを係止させる」と限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、特許明細書の発明の詳細な説明に関する訂正事項12,16は、訂正事項4,8の特許請求の範囲の訂正との整合性を図るための訂正であって、不明りょうな記載の釈明に該当する。

(5)まとめ
以上のとおり、訂正事項1?16は、いずれも、特許請求の範囲の減縮、又は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、さらに、願書に添付した明細書及び図面に記載した事項の範囲内における訂正であり、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1?16は、特許法134条の2第1項ただし書き並びに同条第5項の規定において準用する同法第126条第3項及び第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。


第3.本件発明
上記「第2.2.」で示したとおり、本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1及び2に係る発明(以下、「本件発明1」及び「本件発明2」という。)は、訂正明細書および図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された 次の事項により特定されるとおりのものと認める。

「【請求項1】
下記の要件を備えたことを特徴とする扉止め装置。
(イ)開閉する扉に取り付けられる扉側装置と、床面に取り付けられる床面側装置とからなること。
(ロ)扉側装置は、扉に固定されるケースと、ケースの内部に収納される磁石と、ケース内に収納される係止軸とからなること。
(ハ)床面側装置は、床面に固定される基台と、基台に回動自在に取り付けられた金属製ストッパー板とからなり、金属製ストッパー板には、係止凹部が形成されていること。
(ニ)ケースには、下端に係止ピンを形成した係止軸を非係止位置から係止位置に移動させる操作手段が設けられており、前記係止軸は当該操作手段に対して移動でき弾性部材によって係止位置の方向に付勢されていること。
(ホ)ケースには、扉が開閉して扉側装置が床面側装置の上方に位置すると、扉側装置の磁石により金属製ストッパー板が上方に回動して当接する当該ケースの底面全体を覆う底壁が形成されていること。
(ヘ)ケースの底壁には、前記金属製ストッパーと当接する平らな当接面と、当該平らな当接面に当接した金属製ストッパー板を係止して、扉の開閉を規制する係止突起が設けられていること。
(ト)ケースの底壁には、前記係止軸下端の係止ピンを出没自在に案内し、ケース内の非係止位置にある係止軸を係止位置に突出させて、ケースの底壁に当接して係止突起に係止された金属製ストッパー板の係止凹部に前記係止軸下端の係止ピンを係止させる挿通孔が形成されていること。

【請求項2】
下記の要件を備えたことを特徴とする扉。
(イ)扉には、扉側装置が取り付けられていること。
(ロ)扉側装置は、扉に固定されるケースと、ケースの内部に収納される磁石と、ケース内に収納される係止軸とからなること。
(ハ)ケースには、下端に係止ピンを形成した係止軸を非係止位置から係止位置に移動させる操作手段が設けられており、前記係止軸は当該操作手段に対して移動でき弾性部材によって係止位置の方向に付勢されていること。
(ニ)ケースには、床面に固定される基台と基台に回動自在に取り付けられた金属製ストッパー板とからなる床面側装置の上方に、扉が開閉して扉側装置が位置すると、扉側装置の磁石により金属製ストッパー板が上方に回動して当接する当該ケースの底面全体を覆う底壁が形成されていること。
(ホ)ケースの底壁には、前記金属製ストッパーと当接する平らな当接面と、当該平らな当接面に当接した金属製ストッパー板を係止して、扉の開閉を規制する係止突起が設けられていること。
(ヘ)ケースの底壁には、前記係止軸下端の係止ピンを出没自在に案内し、ケース内の非係止位置にある係止軸を係止位置に突出させて、ケースの底壁に当接して係止突起に係止された金属製ストッパー板に形成された係止凹部に前記係止軸を下端の係止ピンを係止させる挿通孔が形成されていること。」


第4.請求人の主張の概要、及び、請求人の提出した証拠
請求人は、審判請求書によれば、「特許第3593062号発明の明細書の請求項1及び2に係る発明についての特許を無効とする、審判の費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、以下の甲第1号証乃至甲第5号証を証拠方法として提出している。

甲第1号証:特開2000-291311号公報
甲第2号証:特開平7-317424号公報
甲第3号証:特開2000-192707号公報
甲第4号証:実願昭59-171741号(実開昭61-87865号)のマイクロフイルム
甲第5号証:特開2000-80855号公報

そして、請求人は、審判請求書によれば、以下の無効理由1?3を主張しているものと認める。

(1)無効理由1
本件発明1及び2は、特許請求の範囲に記載された発明が発明の詳細な説明に記載されたものでないか、または発明が明確でないので、特許法第36条第6項第1号または第2号に規定する要件を満足せず、特許を受けることができないものであり、したがって、その特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきである。

(2)無効理由2
本件特許の発明の詳細な説明の記載は、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が、本件発明1及び2を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでなく、特許法第36条第4項に規定する要件を満足せず、特許を受けることができないものであり、したがって、本件特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきである。
なお、本件特許は、平成13年6月1日の出願であるから、請求人が主張する特許法第36条第4項第1号は、特許法第36条第4項の誤記であると認める。

(3)無効理由3
本件発明1及び2は、甲第1号証に記載された発明であるか、あるいは甲第1号証乃至甲第5号証に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号あるいは同法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

なお、審判請求人からは、特許法第134条の3第5項により、訂正審判の請求書(訂正2009-390117)に添付された特許請求の範囲、明細書を援用する、無効審判の訂正の請求書副本の送付に対して、期間内に回答書等の提出は無かった。


第5.被請求人の主張
被請求人は、審判事件答弁書によれば、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、上記無効理由1?3に理由はないと主張している。


第6.甲各号証に記載された事項
1.甲第1号証に記載された事項
甲第1号証は、特開2000-291311号公報であって、「ドアストッパ」について図面とともに、以下の事項が記載されている。
なお、下線は、当審にて付与した。

(甲1-イ)
「【特許請求の範囲】
【請求項1】ドアの開放度を規制すると共にドアを開放状態に保持するドアストッパにおいて、ドアまたは床の一方に設けられた磁石から成る係止部と、前記ドアまたは床の他方に設けられ前記磁石により吸引されて前記係止部に係止し前記ドアに閉塞方向に力が加わることで前記係止部から脱離する可動部と、ロック操作により開放状態にある前記ドアの閉塞を阻止しアンロック操作によりロック解除するロック部とを備えていることを特徴とするドアストッパ。
【請求項2】前記ロック部が、前記ドアに設けられてロック操作及びアンロック操作される操作体と、前記操作体のロック操作により前記ドアの閉塞を阻止すべく作動する作動体とから成ることを特徴とする請求項1に記載のドアストッパ。
【請求項3】前記作動体が、前記ドア側に上下動自在に設けられ、下動時にその下端が前記床側に係合して前記ドアの閉塞を阻止することを特徴とする請求項2に記載のドアストッパ。
【請求項4】前記操作体のロック操作時に前記作動体を下動可能にし、前記操作体のアンロック操作時に前記作動体を上動状態に保持する保持手段を備えていることを特徴とする請求項3に記載のドアストッパ。
【請求項5】前記可動部が、前記床に配設され床面とほぼ同一面を成す基体と、床面とほぼ同一面を成すように前記基体に一端が回転自在に支持された回転板とから成り、
前記係止部が、前記ドアに取り付けられるケースと、前記ケース内に保持された磁石とから成り、前記係止部のケース内に前記ロック部の一部が収容され、前記ドアの開放時に、前記回転板が前記磁石に吸引され、前記回転板の上端が上動して前記ケースの内壁に係止することで前記ドアの開放を阻止することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のドアストッパ。」

(甲1-ロ)
「【0005】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決するために、本発明は、ドアの開放度を規制すると共にドアを開放状態に保持するドアストッパにおいて、ドアまたは床の一方に設けられた磁石から成る係止部と、前記ドアまたは床の他方に設けられ前記磁石により吸引されて前記係止部に係止し前記ドアに閉塞方向に力が加わることで前記係止部から脱離する可動部と、ロック操作により開放状態にある前記ドアの閉塞を阻止しアンロック操作によりロック解除するロック部とを備えていることを特徴としている。
【0006】このような構成によれば、ドアをあるところまで開放すると、係止部の磁石により可動部が吸引されて係止部に係止し、これによりドアの開放が規制されると共に、ドアを開放状態に保持することができる。この状態で、ドアに閉塞方向へ力を加えると、磁石による可動部の吸引が解除されて可動部の係止が外れ、ドアを閉塞することが可能な状態になる。
【0007】そのため、可動部は磁石により吸引されて係止部に係止する構造でよく、平常時には、可動部を床側に設けたときに、可動部が床から突出しないようにすることが可能であり、また逆に床面に係止部の磁石を埋設し、磁石の吸引時のみ可動して係止部に係止するように可動部をドア側に設けたときにも、床面から係止部の磁石が突出しないようにすることが可能で、非常にコンパクトな構成にして床面の掃除の邪魔になったり足で引っ掛けたりすることを防止できる。
【0008】一方、ドアが開放状態に保持されているときに、ロック部をロック操作すれば、ロック部によってドアの閉塞を阻止することができるため、強い風などの外力がドアの閉塞方向に作用しても、ドアが勝手に閉塞してしまうことを容易に防止することが可能である。
【0009】また、本発明は、前記ロック部が、前記ドアに設けられてロック操作及びアンロック操作される操作体と、前記操作体のロック操作により前記ドアの閉塞を阻止すべく作動する作動体とから成ることを特徴としている。こうすると、操作体をロック操作或いはアンロック操作することで、作動体によりドアの閉塞が阻止或いは阻止解除される。このとき、ロック部が低所に配設されていても、足でも操作部を操作できるため、腰を曲げたりかがんだりする必要もなく、簡単な操作によりドアの閉塞阻止及び阻止解除を行うことができる。
【0010】また、本発明は、前記作動体が、前記ドア側に上下動自在に設けられ、下動時にその下端が前記床側に係合して前記ドアの閉塞を阻止することを特徴としている。この場合、作動体をドアの下部に上下動可能に設ければよいため、コンパクトな構成を実現することが可能である。
【0011】また、本発明は、前記操作体のロック操作時に前記作動体を下動可能にし、前記操作体のアンロック操作時に前記作動体を上動状態に保持する保持手段を備えていることを特徴としている。こうすれば、必要なときにだけ操作体をロック操作すれば、保持手段により作動体が下動可能になってドアの閉塞を阻止することができ、それ以外のときには操作体をアンロック操作すれば、作動体を上動した状態のままに保持できる。
【0012】また、本発明は、前記可動部が、前記床に配設され床面とほぼ同一面を成す基体と、床面とほぼ同一面を成すように前記基体に一端が回転自在に支持された回転板とから成り、前記係止部が、前記ドアに取り付けられるケースと、前記ケース内に保持された磁石とから成り、前記係止部のケース内に前記ロック部の一部が収容され、前記ドアの開放時に、前記回転板が前記磁石に吸引され、前記回転板の上端が上動して前記ケースの内壁に係止することで前記ドアの開放を阻止することを特徴としている。
【0013】こうすることで、可動部の基体及び回転板が床面から突出することがなく、床面の掃除の邪魔になったりや足が引っ掛かることもなく、非常にコンパクトな構成となる。」

(甲1-ハ)
「【0015】これらの図に示すように、一端側が蝶番により回転可能に支持されたドア1の他端側の下隅部には、ドアストッパの係止部10が取り付けられ、ドア1の開放度がほぼ全開(例えば約90゜や約180゜)したときの係止部10の下方における床面には、ドアストッパの可動部30が埋設されている。
【0016】係止部10は、ドア1に取り付けられるケース11と、ケース11内に保持された磁石25とから成る。そして、ケース11はドア1に直接ねじ止めされるほぼ四角形の板状の主部12と、この主部12の左端部を除く部分を包被して主部12に取り付けられる下面側が開口したカバー13とにより構成される。尚、14は主部12に形成された複数のねじ挿通孔である。
【0017】カバー13内の右下部には、磁石25を収容する磁石スペース15が形成されると共に、磁石25の中央の透孔26に挿通されて磁石25を支持するボス16がカバー13の内側に一体的に植設されている。ところで、この磁石25は、特に図1及び図3に示されるように、直方体状の磁石本体27と、磁石本体27を挟むように配設された2枚の四角形のヨーク板28とにより構成されている。
【0018】また、カバー13の左端面には、ロック部40を構成する操作体41が挿通される四角形の透孔17が形成されている。更に、カバー13内の左端部前寄りの位置に、ロック部40を構成する作動体45が上下動自在に収納される作動体スペース18が形成されている。更に、主部12の下端には、上端が前方に突出した断面L字状の左右に長尺の係止体19が一体形成され、この係止体19の段差部20に後述する可動部30の回転板が当接するようになっている。
【0019】次に、可動部30は、特に図1、図2及び図5に示されるように、床の所定位置に配設されねじ止めされる四角形状の薄型の基体31と、基体31に形成された四角形の凹部32と、この凹部32に配設されロール状に加工された前端部が支軸33を介して回転自在に支持された回転板34とにより構成され、基体31が薄型であるため、基体31が床面からほとんど突出することはなく床面とほぼ同一面を成し、回転板34も磁石25に吸引されない状態では基体31の上面と同一面を形成して床面とほぼ同一面を成す。
【0020】ここで、回転板34の左端部には、作動体45の下端部が挿脱自在に遊挿する楕円形状の透孔35が形成されており、この透孔35は上記した操作体41、作動体45や後述するばねと共にロック部40を構成する。尚、37は基体31を床に固定するための複数のねじ挿通孔である。
【0021】従って、ドア1がほぼ全開状態にまで開放されると、ドア1側の係止部10の磁石25により回転板34が吸引され、回転板34の後端部が上動して係止体19の段差部20に当接し、ドア1のそれ以上の開放が阻止されると共に、磁石25による回転板34の吸引状態が維持されることから、ドア1が開放状態に保持されるのである。一方、この状態からドア1を閉じるには、ドア1に対して閉塞方向(図6参照)に少し力を加えることにより、磁石25による回転板34の吸引が解除され、ドア1が簡単に閉塞方向に回転する。
【0022】続いて、ロック部40の操作体41は、特に図1、図4及び図6に示されるように、平面視L字状を成し、幅広の左端部がカバー13の透孔17から外部に導出され、右端部がカバー13内の磁石スペース15の上方位置においてカバー13の内面に一体形成された凸字状のボス22(図3参照)に回転可能に枢支されている。
【0023】また、ロック部40の作動体45は、特に図1に示されるように、円柱形状を成す上端部45a及び下半部45bと、これら上端部45a及び下半部45bの間に位置する直方体状の係合部45cとから成り、この作動体45の上端部45aに渦巻きばね46が巻回されてばね46の両端が、作動体スペース18におけるカバー13の上内面及び作動体45の係合部45cの上面にそれぞれ係止され、係合部45cを介して作動体45が下方に付勢されている。このとき、磁石25により吸引される前の状態における回転板34及び基体31の上面よりもわずかに上に、下動状態の作動体45の下端面が位置するように、作動体45を配設するのが望ましい。
【0024】ところで、操作体41のほぼ中央部にはボス42(図1参照)が一体的に形成され、作動体45の係合部45cの中央部に形成された上下に長い長孔47に、操作体41のボス42が遊挿して係合し、ボス22を中心にして操作体41が回転するようになっている。この操作体41の左端部が押し上げられた状態にあると、操作体41のボス42が長孔47の上面に当接し、後に詳述するように作動体45がばね46に抗して上動状態に保持される。一方、操作体41の左端部が押し下げられると、ばね46の付勢により作動体45が下動する。
【0025】このとき、操作体41の右端は、特に図1に示されるように、カバー13内において保持手段としての板ばね49に係合し、この板ばね49はほぼ凹字状を成し、その両端がカバー13の右側内面の係止部に係止され中央部が左方に突出して湾曲しており、この湾曲した中央部に操作体41の右端が摺接するようになっている。
【0026】そして、磁石25による回転板34の吸引によってドア1が開放状態に保持されているときに、操作体41のロック操作、つまり操作体41の左端部を下方に押し下げたときには、操作体41の右端が板ばね49の湾曲部分を下から上に向かって摺接し、作動体45がばね46の付勢により下動して作動体45の下端が回転板34の透孔35に嵌挿する。このとき、操作体41の右端が板ばね49の湾曲部分を乗り越える際に、いわゆるクリック感が生じるため、ロック操作を行ったという感触を操作者に与えることができる。
【0027】更に、操作体41の左端部が透孔17の下面に当接することで、操作体41の左端部の押し下げが規制されるため、操作体41の右端が湾曲部分を乗り越えた位置で停止し、作動体45の下端が回転板34の透孔35に嵌挿した状態に保持されてロック状態となり、ドア1に強い風などの外力が閉塞方向に働いてもドア1の閉塞が阻止されるのである。
【0028】また、操作体41をアンロック操作、つまり操作体41の左端部を上方に押し上げたときには、操作体41のボス42が長孔47の上面に当接しつつ作動体45がばね46に抗して押し上げられ、作動体45の下端が回転板34の透孔35から抜け出てロック状態が解除(アンロック状態)されると共に、作動体45が上動状態に保持される。
【0029】その際、操作体41の右端が板ばね49の湾曲部分を上から下に向かって摺接するが、操作体41の右端が湾曲部分を乗り越えたときに、板ばね49のばね力により操作体41に加わる時計回りのモーメントがばね46のばね力により操作体41に加わる反時計回りのモーメントを上回るように、板ばね49及びばね46のばね力を各々設定しておくのが望ましい。」

(甲1-ニ)
上記段落【0019】にて示される【図1】?【図3】は、以下のとおりである。
【図1】



【図2】



【図3】



(甲1-ホ)
上記【図1】及び【図2】より、作動体45がケース10内に収納されていることは、明らかである。
また、係止体19は、回転体を係止する、段差部20とその周辺部分からなる係止突起(図2にて回転板34の先端が接触している部分)を有することも、段落【0018】及び【図1】?【図3】より明らかである。

上記(甲1-イ)?(甲1-ホ)の摘記事項等を総合して勘案すると、甲第1号証には下記の発明が実質的に記載されていると認められる(以下、「甲第1号証記載の発明」という)。

「下記の要件を備えたドアまたはドアストッパ。
(イ)開閉するドアに取り付けられる係止部と、床面に取り付けられる可動部とからなること。
(ロ)係止部は、ドアに固定されるケースと、ケースの内部に収納される磁石と、ケース内に収納される作動体とからなること。
(ハ)可動部は、床面に固定される基体と、基体に回動自在に取り付けられた磁石に吸引される回転板とからなり、当該回転板には、透孔が形成されていること。
(ニ)ケースには、上端部、下半部、係合部から成る作動体の下端を、回転板の透孔に嵌挿した位置から、透孔から抜け出てロック状態が解除された位置に移動させる操作体が設けられており、前記作動体は当該操作体に対して移動できばねによって下方に付勢されていること。
(ホ)ケースには、ドアが開閉して係止部が可動部の上方に位置すると、係止部の磁石により当該回転板が上方に回動して当接する係止体が形成されていること。
(ヘ)係止体には、係止体に当接した当該回転板を係止して、ドアの開閉を規制する係止突起が設けられていること。」


2.甲第2号証について
甲第2号証は、特開平7-317424号公報であって、「マグネット式ドア衝撃保護具」について図面とともに、以下の事項が記載されている。
なお、下線は、当審にて付与した。

(甲2-イ)
「【0012】図2に示す如く、マグネット式ドア衝撃保護具(1)は、固定座(2)と揺動部(3)から構成される保護具本体(11)と、ドア(9)の開閉移行路中に、保護具本体(11)と対応するドア(9)のかまちに取り付けられたマグネットケース(6)から構成される。
【0013】保護具本体(11)は、鴨居(93)に取り付ける固定座(2)と、該固定座(2)にピン(82)により軸着された揺動部(3)を備えている。揺動部(3)は、非磁性材料によって形成され、自由端側にマグネット(5)を磁極を下向けて具えている。自由端端部には、ドア(9)の上端の角に面当りするための当り面(33)と、滑り止め突起(32)を具えている。更に、揺動部(3)の上向きの揺動を補助するスプリング(81)の両端部を、夫々固定座(2)と揺動部(3)に嵌める。マグネット(5)が、磁力反発作用を受けていない通常の状態では、揺動部(3)の当り面(33)が、ドア(9)の開閉移行路に突出するように、固定座(2)に開設された揺動制限孔(24)に傾斜を付け、制限孔(24)の範囲内で、揺動部(3)は揺動自由である。
【0014】又、マグネットケース(6)は、非磁性材料によって形成され、保護具本体(11)に対応するドア(9)の閉じ側のかまちに取り付けられる。マグネットケース(6)は、揺動部(3)のマグネット(5)と反発する向きにドア用マグネット(7)を配備しており、ドア(9)が、当り面(33)と衝突する部分に金属製の保護プレート(61)を具えている。」

上記(甲2-イ)の摘記事項を勘案すると、甲2号証には以下の技術的事項が記載されている。
「マグネットケースが、ドア用マグネットを配備しいる、マグネット式ドア衝撃保護具」

3.甲第3号証について
甲第3号証は、特開2000-192707号公報であって、「戸当り」について図面とともに、以下の事項が記載されている。
なお、下線は、当審にて付与した。

(甲3-イ)
「【請求項1】(a)少なくとも一部が磁性体で作製され、床上に設けられたプレートと、(b)該プレートの上側に設けられた当接体と、(c)ドアの下部に固定された磁石とからなり、前記磁石が、下方に開放する凹部が形成されたケースと、当該ケースの内部に収納された磁石本体とからなり、前記磁石本体が、少なくとも一部が外部へ出没し得るように前記ケースの凹部に収納されてなる戸当り。」

(甲3-ロ)
「【0015】前記磁石本体が、合成樹脂製のカバーで覆われてなるのが好ましい。」

(甲3-ハ)
「【0026】磁石本体2bは、磁力を過度に弱めない程度の厚さの合成樹脂製のカバー2fで覆われているため、磁石本体2bが床面またはケーシング3の上面にあたったり、こすれたりして欠けたり、摩耗したりすることがない。」

上記(甲3-イ)?(甲3-ハ)の摘記事項を勘案すると、甲3号証には以下の技術的事項が記載されている。
「磁石本体が、合成樹脂製のカバーで覆われてなり、当該磁石本体が、ケースの凹部に収納されてなる戸当たり。」

4.甲第4号証について
甲第4号証は、実願昭59-171741号(実開昭61-87865号)のマイクロフイルムであって、「扉開閉用マグネットキャッチャー」について図面とともに、以下の事項が記載されている。
なお、下線は、当審にて付与した。

(甲4-イ)
「ケースとケース内に摺動自在に嵌装され、ケース外方に向けて弾発付勢される可動体からなり、可動体は吸着体として磁石に添装されたヨークを有し、可動体を押圧すればそれが係止され、再度押圧すれば係止が解除されて旧位置に復帰するようにした扉開閉用マグネットキャッチャーにおいて、ケース及び可動体は合成樹脂にて夫々一体成形され、可動体には磁石がその両側面を露出させて嵌装させる磁石装着孔を有し、可動体の前端面には前記磁石の露出両側面に添装されるヨークの前端が突出する並行状のスリットが開設されると共に、後端面には可動体とケースを連係する係止ピンの一方の折曲端が係入する無端案内溝をヨーク面と平行する一面に形成したコイルばね嵌挿桿が突設されており、(中略)扉開閉用マグネットキャッチャー。」(実用新案登録請求の範囲)

(甲4-ロ)
「第1図において1は合成樹脂により一体成形された可動体であり、可動体1には磁石装着孔2を有し、磁石3がその両側面を露出させて嵌装され、可動体1の前端面にはスリット4が開設されて、前記磁石3の露出した両側面に添装されたヨーク5の前端が突出し」

上記(甲4-イ)?(甲4-ロ)の摘記事項を勘案すると、甲4号証には以下の技術的事項が記載されている。
「合成樹脂により一体成形された可動体であり、可動体1には磁石装着孔2を有し、磁石3がその両側面を露出させて嵌装され、可動体1の前端面にはスリット4が開設されて、前記磁石3の露出した両側面にヨークが添装された、扉開閉用マグネットキャッチャー。」

5.甲第5号証について
甲第5号証は、特開2000-80855号公報であって、「戸の振れ止め装置」について図面とともに、以下の事項が記載されている。

(甲5-イ)
「【0011】18は被係合部材であって、取り付け座19の左右両側それぞれに上下2段に取り付け用孔20,21が設けられている。下側の取り付け用孔21は上下方向に長い取り付け位置調整用のものであり、これら取り付け用孔20,21を利用して被係合部材18が4本の木ねじ22により戸23の遊端下部の裏面側の所定位置に固定される。この戸23は、当該戸23によって開閉される開口部の一側辺に蝶番により枢着された片開き戸または両開き戸であって、閉じ限位置に達したとき、当該開口部を構成する枠などに受け止められるものではない。しかして前記被係合部材18は、平面形状において前記係合部材12と略同程度の巾と長さを有するもので、その戸開閉方向に長い底面24は、先端側程下がるように傾斜して、その上端に入り隅状の被係合部25が形成されるとともに、当該入り隅状の被係合部25から少し下方に離れた位置の傾斜底面24から下向きに突出する円錐状の突起31が突設され、さらに当該突起31より少し下方に離れた位置の傾斜底面24に永久磁石26が埋設されている。」

(甲5-ロ)
「【0016】この実施形態によれば、図7に示すように戸23が閉じ限位置に達したとき、永久磁石26により引き上げられて上方に回動した床面2側の係合部材12の先端部が、戸23側の可動突起31をスプリング33の付勢力に抗して押し上げながら、被係合部材18の傾斜底面24とストッパー35との間の空間36内に進入し、先端が入り隅状被係合部25に係合したとき、スプリング33の付勢力で下降突出する可動突起31が係合部材12側の凹部(貫通円形孔)30内に嵌入することになる。従って、閉じ限位置にある戸23が閉じ限位置を越えて内側へ移動するのを傾斜姿勢の係合部材12により阻止する作用は、前の実施形態のものと同一であるが、戸23を開動させるときに当該戸23に作用する抵抗力は、可動突起31をスプリング33の付勢力に抗して押し上げなければならないので、前の実施形態のものよりも大きくなる。換言すれば、閉じ限位置にある戸23が外側へ揺れ動くのを防止する機能が強化される。」


第7.当審の判断
1.無効理由1について
(1)特許請求の範囲の記載不備1(特許法第36条第6項第1号)
本件発明1及び2の課題は、本件特許の明細書の段落【0003】に記載の以下のとおりである。
なお、記号(ア)?(エ)は、当審で付与した。
「【0003】
【発明が解決しようとする課題】
(ア)上記従来の扉止め装置は、扉側装置のケースの下部が開放され、磁石が剥き出し状態で設けられているので、見た目が悪く、開放された下部から埃や塵が入るという問題点があった。
(イ)また、金属製ストッパー板が磁石に引き寄せられて、磁石に衝撃的に圧接するので、金属音が発生すると共に、その衝撃により磁石の一部が破損して砕けたり、金属製ストッパー板が傷ついたりして、長期間使用することができないという問題点があった。
(ウ)磁石の一部が破損して床面に落ちると、誤って踏んで怪我する場合がある。
(エ)また、金属製ストッパー板が磁石に摺接するので、金属製ストッパー板及び磁石が傷つきやすく、メッキが剥がれたり、摩耗したり、錆が発生し易いという問題点もあった。」

そして、当該課題を解決するための手段として、訂正された発明の詳細な説明の段落【0005】、【0006】、【0015】、【0016】には、ケースの内部に収納される磁石とからなり、ケースには、扉側装置の磁石により金属製ストッパー板が上方に回動して当接する当該ケースの底面全体を覆う底壁が形成されており、ケースの底壁には、前記金属製ストッパーと当接する平らな当接面と、当該平らな当接面に当接した金属製ストッパー板を係止して、扉の開閉を規制する係止突起が設けられていることが記載されている。
そして、この点は、本件発明1及び2にも記載されている。
これら特定事項から、金属製ストッパー板の当接時には、磁石と金属製ストッパー板との間に底壁が存在していることは明らかであり、そのことにより、上記(ア)?(エ)記載の課題は、解決可能である。
したがって、請求人が主張するような、発明の詳細な説明に記載の課題を解決するための手段が本件発明1及び2に記載されていないと言うことはできない。
また、請求人は、上記(ア)に記載の課題を解決するための手段が本件発明1に記載されていないと主張するが、上記の通り、本件発明1の記載から、底壁が磁石を覆っていることは明らかであるから、当該主張は採用できない。
加えて、請求人は、上記(イ)及び(ウ)に記載の課題を解決する手段が本件発明1には記載されていないとも主張するが、磁石が底壁で覆われていることは既に述べたように明らかであり、さらに、磁石が底壁で覆われていることから、磁石と金属製ストッパーが直接的に圧接せず、底壁が緩衝の役割を果たすであろうことは想像に難くなく、緩衝部材があることにより、上記課題(イ)及び(ウ)は、解決できるものであって、上記(イ)及び(ウ)記載の課題を解決する手段が、本件発明1に記載されていないとまで言うことはできない。
さらに、請求人が主張する課題(c)「係止凹部の大きさを短くして、係止軸と係止凹部のクリアランスを小さくして係止軸が係止凹部内でガタついて遊ばないようにすること」及び(d)「金属製ストッパー板を正確に位置決めし、係止軸を押し下げたときに、金属製ストッパー自体を押し下げないようにすること」は、発明の詳細な説明に記載がなく、当該課題を解決する手段が特許請求の範囲に記載されているか否かとは、何ら関係がない。
以上のとおり、本件発明1及び2は、発明の詳細の説明に記載されており、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしている。

(2)特許請求の範囲の記載不備2(特許法第36条第6項第2号)
請求人は、本件発明1の「ケースには、床面に固定される基台と基台に回動自在に取り付けられた金属製ストッパー板とからなる床面側装置の上方に、扉が開閉して扉側装置が位置すると、扉側装置の磁石により金属製ストッパー板が上方に回動して当接する底壁が形成されている」では、底壁がケースの下部の全体に設けられているのか、それとも一部であるのか明確でない旨主張するが、底壁がケースの下部の全体に設けられているのか、それとも一部であるのかに関係なく、本件発明1の記載から「ケースに底壁が形成されている」ことは十分に理解でき、なんら不明な点はないし、訂正により底壁が、ケースの底面全体を覆う底壁と訂正されており、この点からも「ケースに底壁が形成されている」ことは十分に理解でき、不明な点はない。
また、請求人は、底壁の材質、底壁とケースの構成要素間の関係、ケースの構成及び底壁が平坦であるのか、金属製ストッパー板の先端が底壁に沿って摺動するのか明確でないと主張するが、これら点が明確でないからといって、本件発明1が理解できないほど不明りょうとなっているわけでもない。
本件発明2も上記同様の理由により、不明りょうとなっていない。
したがって、特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載されたものであり、特許を受けようとする発明も明確であり、特許法36条第6項第2号に規定する要件を満足している。


2.無効理由2について
(1)発明の詳細な説明の記載不備(特許法第36条第4項)
請求人は、本件発明1及び2は、その範囲が不明確であり、かつ発明の詳細な説明に記載された範囲を超えて請求しているため、当該不明確な部分や発明の詳細な説明に記載されている範囲を超えている部分については当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえないと主張し、例として、本件発明1及び2の記載では、底壁がケースの下面のどの程度を覆っているか、ケースの一部が開放されている場合にどのようにして塵や埃が入らないようにするか、どのようにして、任意の底壁の材質で、金属音が発生しない扉止め装置を作るのかが、当業者に理解できないし、明細書にも記載されていないと主張している。
しかしながら、底壁がケースの底面全体を覆っていることは、本件発明1及び2、並びに発明の詳細な説明には記載されていることから、底壁がケースの下面のどの程度を覆っているか容易に理解でき、塵や埃が入りにくいことも併せて理解可能であって、本件発明1及び2は、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているといえる。
さらに、金属製ストッパー板が磁石に直接的に接触することによって発生する金属音は、底壁があることにより発生しないこともまた容易に理解できるし、底壁の材質として金属製ストッパー板と接触して金属音が発生しないような材質を選択することもまた当業者なら容易に理解しうるものであって、この点に関しても、本件発明1及び2は、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているといえる。
したがって、上記主張は採用できず、発明の詳細な説明の記載に不備はない。
よって、発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項に規定する要件を満足している。


3.無効理由3について
(1)対比
本件発明1と、甲第1号証記載の発明とを対比する。
まず、甲第1号証記載の発明における、
「ドアストッパ」、「ドア」、「係止部」、「可動部」、「作動体」、「基体」、「透孔」、「操作体」、「ばね」は、
それぞれ、本件発明1における、
「扉止め装置」、「扉」、「扉側装置」、「床面側装置」、「係止軸」、「基台」、「係止凹部」、「操作手段」、「弾性部材」に相当する。
そして、甲第1号証記載の発明の作動体の下端が、「回転板の透孔に嵌挿した位置」及び「透孔から抜け出てロック状態が解除された位置」は、それぞれ、本件発明1の「非係止位置」及び「係止位置」に相当する。
また、甲第1号証記載の発明の磁石により吸引される回転板は、技術常識を参酌すると強磁性を示す金属であることから、本件発明1の「金属製ストッパー板」に相当する。
加えて、本願発明1の係止軸の下端に形成した「係止ピン」は、甲第1号証記載の発明の作動体の下半分の「下半部」に相当する。
さらに、甲第1号証記載の発明の「係止体」と本件発明1の「底壁」とは、「ケースに設けられた金属製ストッパー板(回転板)を係止する係止体」である点で共通する。

したがって、両者は、
「下記の要件を備えた扉止め装置。
(イ)開閉する扉に取り付けられる扉側装置と、床面に取り付けられる床面側装置とからなること。
(ロ)扉側装置は、扉に固定されるケースと、ケースの内部に収納される磁石と、ケース内に収納される係止軸とからなること。
(ハ)床面側装置は、床面に固定される基台と、基台に回動自在に取り付けられた金属製ストッパー板とからなり、金属製ストッパー板には、係止凹部が形成されていること。
(ニ)ケースには、下端に係止ピンを形成した係止軸を非係止位置から係止位置に移動させる操作手段が設けられており、前記係止軸は当該操作手段に対して移動でき弾性部材によって係止位置の方向に付勢されていること。
(ホ)ケースには、扉が開閉して扉側装置が床面側装置の上方に位置すると、扉側装置の磁石により金属製ストッパー板が上方に回動して当接する係止体が形成されていること。
(ヘ)係止体には、係止体に当接した金属製ストッパー板を係止して、扉の開閉を規制する係止突起が設けられていること。」
で一致し、以下の点で相違する。

[相違点]
本件発明1は、ケースの底面全体を覆う底壁が形成されており、ケースの底壁には、前記金属製ストッパーと当接する平らな当接面と、当該平らな当接面に当接した金属製ストッパー板を係止して、扉の開閉を規制する係止突起が設けられており、ケースの底壁には、前記係止軸下端の係止ピンを出没自在に案内し、ケース内の非係止位置にある係止軸を係止位置に突出させて、ケースの底壁に当接して係止突起に係止された金属製ストッパー板の係止凹部に前記係止軸下端の係止ピンを係止させる挿通孔が形成されているのに対して、甲第1号証記載の発明は、金属製ストッパー板を係止する係止体を有しているが、係止体は底壁とまではいえず、また、底壁に設けた挿通孔もない点。


(2)判断
上記相違点について検討する。
上記相違点に係る構成は、被請求人も審判事件答弁書においても述べているように、扉側装置のケースの下部が開放され磁石が剥き出し状態で設けられているので、見た目が悪く、開放された下部から埃や塵が入るという問題点や、金属製ストッパー板が磁石に引き寄せられて磁石に衝撃的に圧接するので、金属音が発生すると共に、その衝撃により磁石の一部が破損して砕けたり、金属製ストッパー板が傷ついたりして、長期間使用することができないという問題点を解決するために案出されたものであって、磁石をケース内に収納して金属製ストッパー板が磁石に接触しないようにすることによって、埃や塵が入るのを防止でき、さらに見た目を良くし、金属製ストッパー板が磁石に直接的に接触することによって発生する金属音、磁石の損壊、金属製ストッパー板の損傷を防止でき、長期間使用することができるようにした扉止め装置を提供するものである。

そして、甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証、さらに、特開平10-227166号公報(段落【0011】【図1】【図2】等参照)、特開2000-87640号公報(段落【0041】【図8】等参照)、特開平10-205213号公報(段落【0008】、【0012】、【0015】)等にあるように、ドアに使用される磁石をケースに収納することは周知の技術的事項であり、さらに、甲第3号証、特開平10-227166号公報、特開2000-87640号公報、特開平10-205213号公報等に記載があるように、ストッパーを吸引する磁石を収容する床面と向き合う底壁を備えたケース状部材も、周知の技術的事項である。
したがって、甲第1号証記載の発明に磁石を保護するという本願発明1と同じ目的をもって、上記周知の技術的事項を採用することは一応可能である。
しかしながら、甲第1号証記載の発明に上記周知の技術的事項を採用したとすると、甲第1号証記載の発明の磁石25部分のみに磁石を保護する底壁を有するケースが設けられるだけであって、磁石25が設けられている部分以外の作動体の下半部が出没等する部分にまで底壁を有するケースを設けるための動機付けがない。
さらに、仮に磁石を保護する目的で甲第1号証記載の発明のケース11の底面全体を覆ったとすると、磁石が【図1】や【図3】に見られるように、ケースの底面に近い部分まで張り出して設けられていることから、底面全体を覆った底壁により、係止体(係止突起)までもが覆われてしまうことになり、回転板(ストッパー板)の係止ができなくなるとの、甲第1号証記載の発明に上記周知の技術的事項を採用するにあたっての阻害要因を有することとなる。

よって、甲1号証記載の発明に磁石の保護以外の目的をもって、磁石が設けられている部分以外の部分も含めてケースの底面全体を覆う底壁を形成し、ケースの底壁の磁石が設けられている部分以外の部分に、前記金属製ストッパーと当接する平らな当接面と、当該平らな当接面に当接した金属製ストッパー板を係止し、さらに、磁石が設けられている部分以外の部分のケースの底壁に、前記係止軸下端の係止ピンを出没自在に案内し、ケース内の非係止位置にある係止軸を係止位置に突出させて、ケースの底壁に当接して係止突起に係止された金属製ストッパー板の係止凹部に前記係止軸下端の係止ピンを係止させる挿通孔を形成することまでは、甲第1号証記載の発明および上記周知の技術的事項から、導き出すことはできない。

また、甲5号証には磁石を保護するようなケース及びケースの底壁に関する記載はない。

したがって、上記相違点に係る構成の変更は当業者が容易に為し得たこととは言えないから、本件発明1は、甲第1号証記載の発明、甲2?5号記載の技術的事項及び周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

また、本件発明1が、甲第1号証記載の発明とを対比すると上記相違点を有することから、本件発明1は、甲第1号証記載の発明と同一でもない。


(3)本件発明2について
本件発明2は、実質的に、本件発明1の扉止め装置を取り付けた扉である
と認める。
そして、甲第1号証記載の発明には、ドアストッパ(扉止め装置)を取り付けたドア(扉)が記載されているから、本件発明2と甲第1号証記載の発明との相違点は、上記「3.(1)」で示した相違点と同じである。

してみれば、本件発明2は、本件発明1と同様の理由により、甲第1号証記載の発明、甲第1?5号証記載の技術的事項及び周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

また、本件発明2が、甲第1号証記載の発明とを対比すると上記相違点を有することから、本件発明2は、甲第1号証記載の発明と同一でもない。


(4)まとめ
以上のとおり、本件発明1及び2は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2?5号証に記載された技術的事項及び周知の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものとすることはできないので、特許法第29条第2項の規定に該当せず、また、本件発明1及び2は、甲第1号証に記載された発明でもないので、特許法第29条第1項第3号の規定に該当もしない。

第8.むすび
以上のとおり、請求人の申し立てた理由および証拠による無効理由によっては、本件発明1及び2に係る特許を、無効とすることはできない。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項において準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

 
発明の名称 (54)【発明の名称】
扉止め装置および扉
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の要件を備えたことを特徴とする扉止め装置。
(イ)開閉する扉に取り付けられる扉側装置と、床面に取り付けられる床面側装置とからなること。
(ロ)扉側装置は、扉に固定されるケースと、ケースの内部に収納される磁石と、ケース内に収納される係止軸とからなること。
(ハ)床面側装置は、床面に固定される基台と、基台に回動自在に取り付けられた金属製ストッパー板とからなり、金属製ストッパー板には、係止凹部が形成されていること。
(ニ)ケースには、下端に係止ピンを形成した係止軸を非係止位置から係止位置に移動させる操作手段が設けられており、前記係止軸は当該操作手段に対して移動でき弾性部材によって係止位置の方向に付勢されていること。
(ホ)ケースには、扉が開閉して扉側装置が床面側装置の上方に位置すると、扉側装置の磁石により金属製ストッパー板が上方に回動して当接する当該ケースの底面全体を覆う底壁が形成されていること。
(ヘ)ケースの底壁には、前記金属製ストッパーと当接する平らな当接面と、当該平らな当接面に当接した金属製ストッパー板を係止して、扉の開閉を規制する係止突起が設けられていること。
(ト)ケースの底壁には、前記係止軸下端の係止ピンを出没自在に案内し、ケース内の非係止位置にある係止軸を係止位置に突出させて、ケースの底壁に当接して係止突起に係止された金属製ストッパー板に形成された係止凹部に前記係止軸下端の係止ピンを係止させる挿通孔が形成されていること。
【請求項2】
下記の要件を備えたことを特徴とする扉。
(イ)扉には、扉側装置が取り付けられていること。
(ロ)扉側装置は、扉に固定されるケースと、ケースの内部に収納される磁石と、ケース内に収納される係止軸とからなること。
(ハ)ケースには、下端に係止ピンを形成した係止軸を非係止位置から係止位置に移動させる操作手段が設けられており、前記係止軸は当該操作手段に対して移動でき弾性部材によって係止位置の方向に付勢されていること。
(ニ)ケースには、床面に固定される基台と基台に回動自在に取り付けられた金属製ストッパー板とからなる床面側装置の上方に、扉が開閉して扉側装置が位置すると、扉側装置の磁石により金属製ストッパー板が上方に回動して当接する当該ケースの底面全体を覆う底壁が形成されていること。
(ホ)ケースの底壁には、前記金属製ストッパーと当接する平らな当接面と、当該平らな当接面に当接した金属製ストッパー板を係止して、扉の開閉を規制する係止突起が設けられていること。
(ヘ)ケースの底壁には、前記係止軸下端の係止ピンを出没自在に案内し、ケース内の非係止位置にある係止軸を係止位置に突出させて、ケースの底壁に当接して係止突起に係止された金属製ストッパー板に形成された係止凹部に前記係止軸下端の係止ピンを係止させる挿通孔が形成されていること。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、扉を所定位置まで開いたり又は閉じたりすると、床面に設けられた金属製ストッパー板によって扉が係止され、扉の開閉を規制する扉止め装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の扉止め装置は、特許第2983530号公報、特許第2990601号公報に開示されているように、開閉する扉に取り付けられる扉側装置と、床面に取り付けられる床面側装置とからなり、扉側装置のケースの下部に剥き出し状態で磁石が設けられ、扉が開いて扉側装置が床面側装置の上方に位置すると、床面側装置に回動自在に取り付けられた金属製ストッパー板が、扉側装置の磁石により上方に回動し、剥き出しの磁石に直接当接して係止され、扉の開閉を規制するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の扉止め装置は、扉側装置のケースの下部が開放され、磁石が剥き出し状態で設けられているので、見た目が悪く、開放された下部から埃や塵が入るという問題点があった。また、金属製ストッパー板が磁石に引き寄せられて、磁石に衝撃的に圧接するので、金属音が発生すると共に、その衝撃により磁石の一部が破損して砕けたり、金属製ストッパー板が傷ついたりして、長期間使用することが出来ないという問題点があった。磁石の一部が破損して床面に落ちると、誤って踏んで怪我する場合がある。また、金属製ストッパー板が磁石に摺接するので、金属製ストッパー板及び磁石が傷つきやすく、メッキが剥がれたり、摩耗したり、錆が発生し易いという問題点もあった。
【0004】
本願発明は、上記問題点に鑑み案出したものであって、磁石をケース内に収納して金属製ストッパー板が磁石に接触しないようにすることによって、埃や塵が入るのを防止でき、さらに見た目を良くし、金属製ストッパー板が磁石に直接的に接触することによって発生する金属音、磁石の破損、金属製ストッパー板の損傷を防止でき、長期間使用することが出来るようにした扉止め装置を提供することを第1の目的とする。またこの扉止め装置が取り付けられた扉を提供することを第2の目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の扉止め装置は、上記第1の目的を達成するため、下記の手段を有する。
(イ)開閉する扉に取り付けられる扉側装置と、床面に取り付けられる床面側装置とからなること。
(ロ)扉側装置は、扉に固定されるケースと、ケースの内部に収納される磁石と、ケース内に収納される係止軸とからなること。
(ハ)床面側装置は、床面に固定される基台と、基台に回動自在に取り付けられた金属製ストッパー板とからなり、金属製ストッパー板には、係止凹部が形成されていること。
(ニ)ケースには、下端に係止ピンを形成した係止軸を非係止位置から係止位置に移動させる操作手段が設けられており、前記係止軸は当該操作手段に対して移動でき弾性部材によって係止位置の方向に付勢されていること。
(ホ)ケースには、扉が開閉して扉側装置が床面側装置の上方に位置すると、扉側装置の磁石により金属製ストッパー板が上方に回動して当接する当該ケースの底面全体を覆う底壁が形成されていること。
(ヘ)ケースの底壁には、前記金属製ストッパーと当接する平らな当接面と、当該平らな当接面に当接した金属製ストッパー板を係止して、扉の開閉を規制する係止突起が設けられていること。
(ト)ケースの底壁には、前記係止軸下端の係止ピンを出没自在に案内し、ケース内の非係止位置にある係止軸を係止位置に突出させて、ケースの底壁に当接して係止突起に係止された金属製ストッパー板に形成された係止凹部に前記係止軸下端の係止ピンを係止させる挿通孔が形成されていること。
【0006】
請求項2記載の扉は、上記第2の目的を達成するため、下記の手段を有する。
(イ)扉には、扉側装置が取り付けられていること。
(ロ)扉側装置は、扉に固定されるケースと、ケースの内部に収納される磁石と、ケース内に収納される係止軸とからなること。
(ハ)ケースには、下端に係止ピンを形成した係止軸を非係止位置から係止位置に移動させる操作手段が設けられており、前記係止軸は当該操作手段に対して移動でき弾性部材によって係止位置の方向に付勢されていること。
(ニ)ケースには、床面に固定される基台と基台に回動自在に取り付けられた金属製ストッパー板とからなる床面側装置の上方に、扉が開閉して扉側装置が位置すると、扉側装置の磁石により金属製ストッパー板が上方に回動して当接する当該ケースの底面全体を覆う底壁が形成されていること。
(ホ)ケースの底壁には、前記金属製ストッパーと当接する平らな当接面と、当該平らな当接面に当接した金属製ストッパー板を係止して、扉の開閉を規制する係止突起が設けられていること。
(ヘ)ケースの底壁には、前記係止軸下端の係止ピンを出没自在に案内し、ケース内の非係止位置にある係止軸を係止位置に突出させて、ケースの底壁に当接して係止突起に係止された金属製ストッパー板に形成された係止凹部に前記係止軸下端の係止ピンを係止させる挿通孔が形成されていること。
【0011】
【発明の実施の形態】
本願発明の一つの実施の形態を図1乃至図7に基づいて説明する。図1は、扉止め装置の扉側装置の一つの実施の形態を示す分解斜視図である。図2は、図1の前壁を外した正面図である。図3は、図1の動きを説明した正面図である。図4は、図1の組み立てた状態を示す組立斜視図である。図5は、扉止め装置の使用状態を示す斜視図である。図6、7は、扉止め装置の使用状態を示す一部断面にした側面図である。
【0012】
扉止め装置Aは、開閉する扉Dに取り付けられる扉側装置1と、床面Fに取り付けられる床面側装置50とからなる。扉側装置1は、扉Dに固定されるケース2と、ケース2の内部に収納される磁石13とからなり、ケース2の底壁8に係止突起8aが設けられている。床面側装置50は、床面Fに固定される基台53と、基台53に回動自在に取り付けられた金属製ストッパー板52とからなり、扉Dが開閉して扉側装置1が上方に位置すると、扉側装置1の磁石13により金属製ストッパー板52が上方に回動し、金属製ストッパー板52がケース2の底壁8に当接して係止突起8aに係止され、扉Dの開閉を規制するようになっている。この金属製ストッパー板52には、係止凹部51が形成されている。扉側装置1は、金属製ストッパー板52の係止凹部51に係止可能な係止軸25を有する。ケース2には、係止軸25を非係止位置から係止位置に移動させる操作手段20が設けられている。
【0013】
さらにケース2は、係止軸25が係止凹部51に係止する係止位置と係止軸25が係止凹部51に係止していない非係止位置で、操作手段20又は係止軸25を保持する保持手段45を備えている。操作手段20又は係止軸25の一側には案内溝40が形成され、案内溝40には第1の係合部41と第2の係合部42が形成されている。保持手段45は、係合突起46を有し、この係合突起46が操作手段20又は係止軸25の案内溝40に摺動自在に案内され、案内溝40の第1の係合部41に係合すると係止軸25を係止位置で保持し、案内溝40の第2の係合部42に係合すると係止軸25を非係止位置で保持するようになっている。
【0014】
操作手段20は第1の弾性部材37により係止軸25の反係止方向に付勢されている。操作手段20と係止軸25は、別々に形成され、どちらか一方に形成された突起27が他方に形成された凹部29に係合して連結されている。凹部29は縦長状に形成され、突起27が摺動自在に係合している。係止軸25は、突起27の摺動範囲内で、操作手段20に対して移動でき、第2の弾性部材33によって係止方向に付勢されている。
【0015】
さらに壁止め装置Aについて詳細に説明する。ケース2は、前壁3と、両側壁4,5と、上壁6と、後壁7と、底壁8からなる、密閉された箱形形状に形成され、前壁3がネジ等によって着脱自在に取り付けられるようになっている。前壁3には、第1の仕切壁9と、第2の仕切壁10が設けられている。ケース2は、側壁4と第1の仕切壁9と底壁8によって、収納室11が形成され、第1の仕切壁9と第2の仕切壁10によって、摺動室12が形成されている。底壁8には、端部に係止突起8a,8aが設けられ、略中央に挿通孔8bが形成されている。一方の係止突起8aは、底壁8の一方に突設形成され、他方の係止突起8aは、前壁3の下端によって形成されている。
【0016】
収納室11内には、磁石13が設けられている。磁石13は、略中心に形成された透孔13aに、後壁7に設けられた支軸14を通すことによって、収納室11内で固定されているが、これに限定されるものではなく、単に収容室11内に着脱自在に嵌合できるようにしても構わないのは勿論である。上壁6には、摺動室12に連通する開口15が形成されている。操作手段20は、矩形ガイド軸21と、ガイド軸21の上端に設けられた押圧板22とからなる。ガイド軸21の内側には、矩形状の係止軸25を軸方向に摺動自在に収納する収納凹部23が形成されている。
【0017】
係止軸25は、下端に係止ピン26が一体に形成されている。係止軸25の側面には、突起27が形成されている。ガイド軸21は、収納凹部23に軸方向に沿って伸びる縦長状の凹部29が形成されている。係止軸25は、突起27が凹部29に摺動自在に係合して、ガイド軸21に連結されている。
【0018】
収納凹部23の上段部31には、バネ受け穴32が形成され、このバネ受け穴32にバネ33の一端が取り付けられている。バネ33の他端は、係止軸25の上端に形成されたバネ受け穴24に取り付けられている。このようにして、係止軸25は、突起27の穴部29の摺動範囲内で、ガイド軸21に対して移動でき、バネ(第2の弾性部材)33によって係止方向(下方)に付勢されている。
【0019】
操作手段20は、ガイド軸21が摺動室12内に摺動自在に設けられ、押圧板22がケース2から突出して上壁6上に位置する。係止軸25は、これの係止ピン26が底壁8に形成された挿通孔8bに出没自在に案内される。
【0020】
ケース2の上壁6には、有底筒状のバネ受け部35が形成され、このバネ受け部35にバネ37の一端が取り付けられている。このバネ37の他端は、操作手段20の押圧板22に形成されたバネ受け穴28に圧接し、操作手段20を係止軸25の反係止方向(上方)に付勢している。なお、バネ受け穴28は、バネ受け部35を遊嵌する。
【0021】
操作手段20のガイド軸21には、略ハート状の案内溝40が形成されている。案内溝40は、上部に第1の係合部41が形成され、下部に第2の係合部42が形成されている。前壁3には、針金部材によって形成された保持手段45の下端が一対の挟持突起3a,3bに挟持されて固定されている。この保持手段45は、先端が略直角に折曲されて係合突起46が形成され、素材の弾性により撓むようになっている。この係合突起46は、ガイド軸21の案内溝40に摺動自在に案内され、案内溝40の第1の係合部41と第2の係合部42に係合し、ガイド軸21を保持する。
【0022】
上記ケース2は、図5に示すように、開閉する扉Dの下部にネジ49,49、接着剤等によって取り付けられる。床面側装置50は、図5,6に示すように、床面Fに固定される基台53と、基台53に回動自在に取り付けられた金属製ストッパー板52とからなる。金属製ストッパー板52に形成された係止凹部51は、開口によって構成されている。金属製ストッパー板52は、円盤状の基台53に形成された矩形状凹部55内に一端が回動自在に取り付けられるようにして設けられている。この基台53は、床面Fにネジ56、接着剤等によって固定されている。
【0023】
扉止め装置Aは、上記構成を有し、通常は係止軸25が、図2に示すように、非係止位置、即ちケース2内に収納されている。この時、保持手段45の係合突起46が、案内溝40の第2の係合部42に係合して、ガイド軸21を保持している。
【0024】
操作手段20、即ち押圧板22をバネ(第1の弾性部材)37の弾性に抗して押圧操作すると、ガイド軸21が押し下げられ、バネ(第2の弾性部材)33を介して係止軸25の係止ピン26を押し出す。保持手段45の係合突起46が、図3に示すように、案内溝40の第1の係合部41に係合し、係止軸25が係止位置に突出して保持される。
【0025】
また、操作手段20、即ち押圧板22をバネ(第1の弾性部材)37の弾性に抗して押圧し、この押圧を解除すると、保持手段45の係合突起46が案内溝40の第1の係合部41から外れ、バネ(第1の弾性部材)37の弾性により、ガイド軸21及び係止軸25が反係止方向に移動する。保持手段45の係合突起46が、図2に示すように、案内溝40の第2の係合部42に係合し、係止軸25が非係止位置、即ちケース2内に収納されて保持される。
【0026】
このように、扉止め装置Aは、操作手段20、即ち押圧板22の押圧操作のみで係止軸25を係止位置、非係止位置に切り替えることができる。なお、保持部材45の係合突起46は、図3に示すように、案内溝40を反時計方向に回転する。係止軸25は、ガイド軸21に対して摺動し、さらにバネ(第2の弾性部材)33によって係止方向に付勢されているので、係止軸25が係止位置にあるとき、この係止軸25に強い力が加わった場合、係止軸25がバネ(第2の弾性部材)33に抗して反係止方向に摺動することができ、係止軸25及びケース2の壊れを防止することができる。
【0027】
扉Dを開いた時の扉側装置1の下部の床面Fの所定位置に、図5に示すように、床面側装置50の基台53をネジ56等によって固定しておくと、扉Dを開いた時に金属製ストッパー板52がケース2内の磁石13の磁力によって先端が引き上げられるように回動し、金属製ストッパー板52の先端がケース2の底壁8に当接して係止突起8aに係止され、扉Dの開閉を規制する(図6参照)。前記したように、押圧板22を押圧操作すると係止ピン26が係止位置に突出し、図7に示すように、この係止ピン26が金属製ストッパー板52の係止凹部51に係止される。そのため、扉Dは、開いた状態で床面側装置50に止められる。
【0028】
再度、押圧板22を押圧操作すると係止ピン26が非係止位置に戻り、図6に示すように、この係止ピン26が金属製ストッパー板52の係止凹部51から外れるので、扉Dを閉じる方向に回動することができる。このように、扉Dを開いた状態で床Fに固定し、この固定を解除する一連の作業は、押圧板22を踏む動作だけで行うことができるので、無理に脚を曲げ腰を屈めて行わないで、立ったままでできるので、手足腰の不自由な人でも簡単に行うことができる。
【0029】
本願発明の他の実施の形態を図8乃至図12に基づいて説明する。図8は、扉止め装置の他の実施の形態を示す全体斜視図である。図9は、図8の扉側装置の背面から視た斜視図である。図10は、図8の側面図である。図11は、図8の平面図である。図12は、図8の正面図である。
【0030】
扉止め装置Bは、開閉する扉Dに取り付けられる扉側装置61と、床面Fに取り付けられる床面側装置50とからなる。扉側装置61は、扉Dに固定されるケース62と、ケース62の内部に収納される磁石73とからなり、ケース62の底壁68に係止突起69が設けられている。床面側装置50は、床面Fに固定される基台53と、基台53に回動自在に取り付けられた金属製ストッパー板52とからなり、扉Dが開閉して扉側装置61が上方に位置すると、扉側装置61の磁石73により金属製ストッパー板52が上方に回動し、金属製ストッパー板52がケース62の底壁68に当接して係止突起69に係止され、扉Dの開閉を規制するようになっている。
【0031】
さらに壁止め装置Bについて詳細に説明する。床面側装置50は、前述した通りなので、説明を省略する。ケース62は、合成樹脂により一体成形されており、磁石73を収容する収容膨大部63と、収容膨大部63を囲むフランジ65とからなる。さらに、ケース62は、後壁66と底壁68を有する密閉形状に形成されている。後壁66には、収納凹部67が形成されている。収納凹部67内には、磁石73を着脱自在に取り付ける取付板70,71,72が形成されている。フランジ65の両側には、ネジ通し孔75,76が形成されている。底壁68には、端部に係止突起69が設けられている。
【0032】
上記ケース62は、図8,図11(b)に示すように、開閉する扉Dの下部にネジ、接着剤等によって取り付けられる。ネジで取り付ける場合は、ネジ77,77をケース62のネジ通し孔75,76に通し、このネジ77,77を扉Dにねじ込むことによって、扉Dに取り付けられる。ケース62は、後壁66の収納凹部67が扉Dに塞がれるので、収納凹部67内が密閉され、塵や埃が入り込むことがない。床面側装置50は、図8に示すように、扉Dを開いた時の扉側装置61の下部の床面Fの所定位置にネジ56等によって固定される。
【0033】
扉止め装置Bは、上記構成を有し、扉Dを開いた時に金属製ストッパー板52がケース62内の磁石73の磁力によって先端が引き上げられるように回動し、金属製ストッパー板52の先端がケース62の底壁68に当接して係止突起69に係止され、扉Dの開放を規制する(図10参照)。なお、ケース62の底壁68に係止突起69が設けられていない場合は、金属製ストッパー板52の先端がケース62の底壁68に当接して扉Dの一側に係止され、扉Dの開閉を規制する。
【0034】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本願発明に係る扉止め装置は、開閉する扉に扉側装置が取り付けられ、床面に床面側装置が取り付けられ、扉を開閉して床面側装置の上部に扉側装置が位置すると、床面側装置の金属製ストッパー板が扉側装置のケース内の磁石によって引き上げられ、金属製ストッパー板がケースの底壁に当接して係止突起に係止され、扉の開閉を規制する。このように、本願発明に係る扉止め装置は、磁石がケース内に収納され、磁石が剥き出しになっていないので、見た目を良くすることができ、ケース内に塵や埃が入ることを防止することができるという効果がある。
【0035】
また、本願発明に係る扉止め装置は、金属製ストッパー板がケースの底壁に当接して係止突起に係止されるので、金属製ストッパー板が扉に接触することがなく、扉を傷つけないという効果がある。さらにまた、金属製ストッパー板は、ケースの底壁に接触し、磁石に直接的に接触することがないので、直接接触の衝撃により発生する金属音、磁石の破損、金属製ストッパー板の損傷、金属製ストッパー板が磁石に摺接することによる金属製ストッパー板及び磁石の摩耗、傷による錆の発生等を防止することができ、長期間使用することが出来るという効果がある。
【0036】
本願発明に係る扉止め装置は、開閉する扉に取り付けられた扉側装置に、金属製ストッパー板の係止凹部を係止する係止軸が設けられているので、上記効果に加え、扉を床面に取り付けられた床面側装置に回動不能に固定することが出来るという効果がある。
【0037】
本願発明に係る扉は、扉側装置が取り付けられ、扉を開閉して床面に取り付けられた床面側装置の上部に扉側装置が位置すると、床面側装置の金属製ストッパー板が扉側装置のケース内の磁石によって引き上げられ、金属製ストッパー板がケースの底壁に当接して係止突起に係止されて開閉が規制される。このように、本願発明に係る扉は、磁石がケース内に収納され、磁石が剥き出しになっていない扉側装置が取り付けられているので、見た目を良くすることができ、ケース内に塵や埃が入ることを防止することができるという効果がある。
【0038】
また、本願発明に係る扉は、金属製ストッパー板がケースの底壁に当接して係止突起に係止されるので、金属製ストッパー板が扉に接触することがなく、扉を傷つけないという効果がある。さらにまた、金属製ストッパー板が、ケースの底壁に接触し、磁石に直接的に接触することがないので、直接接触の衝撃により発生する金属音、磁石の破損、金属製ストッパー板の損傷、金属製ストッパー板が磁石に摺接することによる金属製ストッパー板及び磁石の摩耗、傷による錆の発生等を防止することができ、長期間使用することが出来るという効果がある。
【0039】
本願発明に係る扉は、取り付けられた扉側装置に、金属製ストッパー板の係止凹部を係止する係止軸が設けられているので、上記効果に加え、床面に取り付けられた床面側装置に回動不能に固定されることが出来るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】扉止め装置の扉側装置の一つの実施の形態を示す分解斜視図である。
【図2】図1の前壁を外した正面図である。
【図3】図1の動きを説明した正面図である。
【図4】図1の組み立てた状態を示す組立斜視図である。
【図5】扉止め装置の使用状態を示す斜視図である。
【図6】扉止め装置の使用状態を示す一部断面にした側面図である。
【図7】扉止め装置の使用状態を示す一部断面にした側面図である。
【図8】扉止め装置の他の実施の形態を示す全体斜視図である。
【図9】図8の扉側装置の背面から視た斜視図である。
【図10】図8の側面図である。
【図11】図8の平面図である。
【図12】図8の正面図である。
【符号の説明】
A 扉止め装置
B 扉止め装置
D 扉
F 床面
1 扉側装置
2 ケース
3 前壁
3a 挟持突起
3b 挟持突起
4 側壁
5 側壁
6 上壁
7 後壁
8 底壁
8a 係止突起
8b 挿通孔
9 第1の仕切壁
10 第2の仕切壁
11 収納室
12 摺動室
13 磁石
13a 透孔
14 支軸
15 開口
20 操作手段
20a 揺動操作レバー
20b 上下スライド操作レバー
21 ガイド軸
22 押圧板
22a 開口
22b 開口
23 収納凹部
24 バネ受け穴
25 係止軸
26 係止ピン
27 突起
28 バネ受け穴
29 凹部
31 上段部
32 バネ受け穴
33 バネ(第2の弾性部材)
35 バネ受け部
37 バネ(第1の弾性部材)
40 案内溝
41 第1の係合部
42 第2の係合部
45 保持手段
46 係合突起
49 ネジ
50 床面側装置
51 係止凹部
52 金属製ストッパー板
53 基台
55 凹部
56 ネジ
61 扉側装置
62 ケース
63 収容膨大部
65 フランジ
66 後壁
67 収納凹部
68 底壁
69 係止突起
70 取付板
71 取付板
72 取付板
73 磁石
75 ネジ通し孔
76 ネジ通し孔
77 ネジ
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2009-06-05 
結審通知日 2009-06-09 
審決日 2010-04-20 
出願番号 特願2001-167372(P2001-167372)
審決分類 P 1 113・ 121- YA (E05C)
P 1 113・ 536- YA (E05C)
P 1 113・ 537- YA (E05C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 辻野 安人  
特許庁審判長 木村 史郎
特許庁審判官 大森 伸一
赤木 啓二
登録日 2004-09-03 
登録番号 特許第3593062号(P3593062)
発明の名称 扉止め装置及び扉  
代理人 秋山 重夫  
代理人 高田 修治  
代理人 高田 修治  

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