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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1218618
審判番号 不服2007-23244  
総通号数 128 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-08-23 
確定日 2010-06-17 
事件の表示 特願2002-208443「情報処理装置及び用紙パラメータ設定方法」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 2月19日出願公開、特開2004- 54417〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成14年7月17日の出願であって、平成19年2月5日付けで手続補正がなされ、同年4月12日付けの拒絶の理由の通知に対して、同年6月18日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたが、同年7月17日付けで拒絶をすべき旨の査定がされ、これに対し同年8月23日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年9月19日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成19年9月19日付けの手続補正についての却下の決定
[結論]
平成19年9月19日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)本件補正
平成19年9月19日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、平成19年6月18日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項(以下「補正前の請求項」という。)1?8並びに明細書【0006】及び【0007】を、平成19年9月19日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項(以下「補正後の請求項」という。)1?8並びに明細書【0006】及び【0007】に補正したものである。補正後の請求項1?8は、以下のとおりである。

「【請求項1】 用紙タイプに対応する用紙の名称を含むパラメータを読み出し、読み出された用紙の名称を含むパラメータに基づき用紙の名称を選択する画面を含む印刷設定画面を表示させ、前記印刷設定画面で設定された印刷設定に基づき印刷を実行するプリンタドライバと、
前記プリンタドライバとは独立した、用紙タイプに対応する用紙の名称を含むパラメータを記憶するデータベースと、
前記プリンタドライバの指示によって、所定の用紙タイプに対応する用紙の名称を含むパラメータを読み出すためのインターフェースと、
前記データベースに用紙タイプに対応する用紙の名称を含むパラメータを追加、及び前記データベースから用紙タイプに対応する用紙の名称を含むパラメータを削除する管理ツールとを有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】 前記データベースは、複数の用紙タイプに対応する用紙の名称を含むパラメータを含む用紙タイプブロックで構成され、前記複数の用紙タイプブロックは、それぞれが異なる種類の用紙タイプに対応することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】 前記パラメータは、用紙タイプの識別子、用紙タイプを給紙可能な給紙口の情報、用紙タイプを排紙可能な排紙口の情報、及び印刷品位に関連する属性情報と変換データを含むことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】 前記管理ツールは、前記用紙タイプブロックへのポインタのリンクを張り替えることにより、用紙タイプに対応する用紙の名称を含むパラメータを追加、及び削除することを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項5】 プリンタドライバは、用紙タイプに対応する用紙の名称を含むパラメータを読み出し、読み出された用紙の名称を含むパラメータに基づき用紙の名称を選択する画面を含む印刷設定画面を表示させ、前記印刷設定画面で設定された印刷設定に基づき印刷を実行し、
データベースは、前記プリンタドライバとは独立した、用紙タイプに対応する用紙の名称を含むパラメータを記憶し、
インターフェースは、前記プリンタドライバの指示によって、所定の用紙タイプに対応する用紙の名称を含むパラメータを読み出し、
管理ツールは、前記データベースに用紙タイプに対応する用紙の名称を含むパラメータを追加、及び前記データベースから用紙タイプに対応する用紙の名称を含むパラメータを削除することを特徴とする用紙パラメータ設定方法。
【請求項6】 前記データベースは、複数の用紙タイプに対応する用紙の名称を含むパラメータを含む用紙タイプブロックで構成され、前記複数の用紙タイプブロックは、それぞれが異なる種類の用紙タイプに対応することを特徴とする請求項5記載の用紙パラメータ設定方法。
【請求項7】 前記パラメータは、用紙タイプの識別子、用紙タイプを給紙可能な給紙口の情報、用紙タイプを排紙可能な排紙口の情報、及び印刷品位に関連する属性情報と変換データを含むことを特徴とする請求項5記載の用紙パラメータ設定方法。
【請求項8】 前記管理ツールは、前記用紙タイプブロックへのポインタのリンクを張り替えることにより、用紙タイプに対応する用紙の名称を含むパラメータを追加、及び削除することを特徴とする請求項6記載の用紙パラメータ設定方法。」

本件補正は、補正前の請求項1?8に記載した発明を特定するために必要な事項である「パラメータ」について「用紙の名称を含む」との限定を付加する補正、及び、「印刷設定画面」について「用紙の名称を選択する画面を含む」との限定を付加する補正をしたものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例の記載

原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-75000号公報(平成11年3月16日出願公開。以下「引用例」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

A.「【0007】【発明が解決しようとする課題】このように、従来、プリンタドライバでは、プリンタドライバにより表示されるダイアログを介してユーザが設定した内容により、プリンタドライバの画像処理、プリンタの動作を制御する処理がなされる。すなわち、ユーザはプリンタにおいて印刷を行うとき、プリンタドライバが表示するダイアログの各設定項目について熟知し、それらを適切に設定しなければならない。
【0008】しかしながら、特に、プリンタドライバによる画像処理、プリンタの動作制御に関する項目については設定項目が多数あり、それらをすべて適切に設定するのは非常に面倒な作業である。
【0009】また、画像処理等にあまり詳しくないユーザの場合はそれらに関する項目を適切に設定するのは困難である。
【0010】さらに、印刷品位に関する設定は、プリンタの仕様等に依存し、用いる用紙の種類やインクカートリッジ等によって結果が異なるので、設定品位を種々変化させ実際にサンプルを印刷してないとユーザには判断ができないことが多い。
【0011】本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、印刷制御に関わる設定を効果的に簡便化する情報処理装置および印刷システムおよび印刷装置およびそれらの制御方法を提供することを目的とする。特に、2値化処理、色補正処理、インク濃度、インクの色バランス処理などのプリンタドライバの画像処理に関する設定および印刷品位などのプリンタ制御に関する設定を簡便化することを目的とする。」(第4ページ第5欄第23行目?第4ページ第6欄第1行目)

B.「【0012】【課題を解決するための手段】そのために本発明では、接続された印刷装置に対して印刷用データを提供する情報処理装置であって、印刷装置で用いるプリント剤の種類、印刷装置で用いるプリント媒体の種類および印刷装置で印刷する画像の種類を指定する指定手段と、印刷装置で用いることができるプリント剤の種類、印刷装置で用いることができるプリント媒体の種類および印刷装置で印刷可能な画像の種類の組合せに画像処理および印刷制御に関するデータを対応させたテーブルを記憶する記憶手段と、前記指定手段によって指定されたプリント剤の種類、プリント媒体の種類および印刷する画像の種類の組合せに応じて、前記記憶手段のテーブルよりデータを得て画像処理情報および印刷制御情報を生成する生成手段と、該生成手段によって生成された画像処理情報に基づく画像データと印刷制御情報とを含む印刷用データを前記印刷装置に送信する送信手段とを備えたことを特徴とする。」(第4ページ第6欄第3行目?第4ページ第6欄第19行目)

C.「【0021】ホストコンピュータHCにおいて、1はCPUであり、ROM2に記憶されたOSによりそのシステム動作が制御される。4はCRTあるいはLCDなどの表示部であり、CPU1の制御にしたがって各種の表示を行うことができる。5は入力部であり、CPU1への各種入力を行う。以上のようなホストコンピュータHCにおいて、CPU1は、FDドライブ、HDドライブ等の外部記憶装置6から読み出した種々のアプリケーションプログラムおよび各印刷装置PR1、PR2に対応したプリンタドライバ(印刷制御プログラム)を実行する。例えば、アプリケーションプログラムに基づいて作成された出力情報は、プリンタドライバによって印刷装置PR1、PR2に対応する印刷制御コマンドに変換され、それぞれの印刷装置PR1、PR2に出力される。
【0022】また、ホストコンピュータHCのCPU1が実行するプリンタドライバによって、図3および図4に関して後述するようなダイアログが表示部4に表示される。プリンタドライバにより、さらにこれらのダイアログ内の項目の設定状態に応じて、印刷範囲の設定や印刷ジョブの制御、また印刷装置の制御コマンドの生成が行われる。すなわち、通常、ホストコンピュータHCのCPU1により実行されるアプリケーションによって、印刷前にはOSを介してプリンタドライバのこれらのダイアログを表示するための関数が呼び出され、一方、ユーザはこれによって表示されたダイアログを用いて印刷装置の制御条件を設定する。そして、アプリケーションにより、その後、印刷を実行するプリンタドライバの関数が呼び出される。
【0023】図2は、本実施形態のプリンタドライバが管理する印刷制御変数を表したものである。この印刷制御変数はホストコンピュータ上の一時記憶装置であるRAM3に記憶されプリンタドライバによって表示されるダイアログ内の設定値などがセーブされるものである。そして、プリンタドライバにより、印刷ジョブを行っているときや印刷装置の制御コマンドを生成するときに、この印刷制御変数が参照される。このようにして、ユーザがダイアログを用いて設定した内容が印刷制御に反映されることになる。
【0024】図2において、例えば印刷制御変数11はその変数名がpaperSize であり、印刷用紙サイズに対応する定数がセットされる。これは、次に説明する用紙設定ダイアログの用紙サイズメニューで選択された用紙サイズを参照するためのリファレンスとなる。
【0025】図3は用紙設定ダイアログの表示例を示す図である。
【0026】用紙設定ダイアログを用いて、ユーザは用紙サイズなどの印刷範囲に関連する設定を行う。図3において、12は用紙サイズに関する選択を行うためのメニューであり、用紙サイズ名称がメニューアイテムとして表示される。プリンタドライバにより、この用紙メニューで選択された用紙サイズに応じて印刷範囲が制御される。13は拡大縮小率設定欄であり、プリンタドライバにより、ここへの入力値に応じて描画データの拡大縮小率が制御される。14および15は印刷方向設定アイコンであり、選択されたアイコンに応じて、プリンタドライバにより印刷方向が制御される。また、プリンタドライバにより、エリア16に用紙のサイズ、印刷方向と画像の関係を表す図が表示される。
【0027】図4は、プリントダイアログの表示例を示す図である。
【0028】ダイアログにおけるテキストフィールド19の入力値に応じてプリンタドライバによりコピー部数が制御される。全ページボタン20が選択されたときは、プリンタドライバによりドキュメントの全ページが印刷される。また、ボタン21が選択されたときは、プリンタドライバにより、テキストフィールド22および23によって指定される初めのページと終わりのページ番号の範囲が印刷される。
【0029】BJカートリッジメニュー24では、プリンタに搭載されているカートリッジの種類を選択する。このポップアップメニューの内容を図5に示す。本実施形態のプリンタは、上述したように、ブラックカートリッジ、標準カラーカートリッジ、淡インクカラーカートリッジの3種類のインクジェットカートリッジのいずれかについて交換により用いることができる。ブラックカートリッジはプリント剤としてのブラックインクを用い、モノクロ印刷を高速に印刷するのに適する。標準カラーカートリッジはプリント剤としてのシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各インクを用い、カラー印刷が可能である。淡インクカラーカートリッジは標準カラーカートリッジのインクより低濃度のシアン、マゼンタ、イエローと標準濃度のブラックインクをプリント剤として用い、低濃度インクのドットの重ね打ちも含めた印字方法により、低濃度インク各色で最高4値まで階調表現ができるものである。淡インクカラーカートリッジは、写真などの自然画像をなめらかな階調表現で印刷するのに適したものである。
【0030】図4において、用紙の種類メニュー25では、印刷を行う用紙の種類を選択することができる。用紙の特性によりインクの最適な打ち込み量やプリンタが印刷開始前に用紙を引き込む量が異なるため、ユーザに印刷を行う用紙の種類を選択させ、これにより、プリンタドライバは適切な色処理を行ったりプリンタの印刷コマンドに本メニューの内容を反映させる処理を行う。本実施形態では、普通紙、高品位専用紙、光沢紙、光沢フィルム、はがき、光沢はがき、BJクロス、Tシャツ転写紙、バックプリントフィルム、OHPフィルム、封筒、厚紙の用紙の種類をサポートし、そのため、用紙の種類メニュー25は、これらをメニューアイテムとして有している。図6にこのポップアップメニューの内容を示す。」(第5ページ第8欄第8行目?第6ページ第10欄第8行目)

D.「【0043】次に、図9のステップS2の処理である詳細設定の内容をプリンタドライバの印刷制御変数にセットする処理について説明する。図10はステップS2処理の詳細を示すフローチャートである。
【0044】まず、ステップS13において印刷制御変数の複製を作成する。これは、後述する処理で印刷設定が文書、グラフィックス、写真のときは印刷制御変数の一部を書き換えてしまう可能性があるためであり、オリジナルの値をそのままに保持するためであり、以降(ステップS3以降)の処理ではこの印刷制御変数の複製を実際のプリンタ制御に使用する。次に、ステップS14で印刷設定でマニュアル(図4に示すアイコンボタン30)が選択されたか否かを調べる。マニュアルが選択されたと判断したときは、何もせずに本処理が終了し、この場合は、図7および図8にて上述したように、ユーザがダイアログで設定したクオリティパネルとカラーパネルの値が画像処理、プリンタの動作制御のために使用される。
【0045】ステップS14で印刷設定がマニュアルでないと判断したときは、ステップS15に進み、詳細設定の内容が格納されているテーブルデータをメモリにロードする。
【0046】図11は印刷設定に対応する詳細設定のパラメータを格納するテーブル構造を示す図である。テーブルには、設定に係るBJカートリッジ、用紙の種類および印刷設定の組合せに対応づけられた詳細設定のパラメータである、印刷品位、ディザリング、色補正、マッチング方法、プロファイル、ガンマ補正、ガンマ値、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのバランス値、濃度の各値が順番に格納されている。このテーブルを参照するとき、プリンタドライバは、ユーザがプリントダイアログを介して設定したBJカートリッジ、用紙の種類および印刷設定から、それに対応した詳細設定の内容が格納されている、テーブルの先頭からのオフセット値を計算する。例えば、BJカートリッジ:標準カラー、用紙の種類:普通紙、および印刷設定:文書のときは(テーブルの先頭+offset21)のアドレスに参照すべきデータが格納されている。本実施形態のシステムをユーザに提供するための製造段階またはプリンタの特性やプリンタドライバの画像処理を熟知したサービスマン等は、BJカートリッジ、用紙の種類、および印刷するドキュメントの種類に応じて、推奨する設定、あるいは適当と思われる設定をこのテーブルにセットしておくことができる。
【0047】例えば、印刷品位については、選択されたインクカートリッジと用紙の種類により、印刷品位と印刷速度の関係を考慮して推奨される値をテーブルにセットしておく。図11に示す例では、「品位」に付した番号は図7に示したスライドバー36の各段階に対応し、最も高速に印刷ができる左側のモードを品位1として右に品位が上がるにつれて番号が増えるものとしてある。また、ディザリングについていえば、印刷設定が文書、グラフィックスのときは階調性よりもエッジ表現の特性が良く、また、処理負荷の軽いパターン処理をテーブルデータとしてセットしてある。ただし、本実施形態では、BJカートリッジが淡インクカラーのときはプリンタドライバの内部処理機能制限により誤差拡散としてある。このように、機能制限等に関する設定内容もこのテーブルに反映させることもできる。また、印刷設定が写真のときは、なめらかな階調表現性を重視し、誤差拡散がテーブルに設定してある。
【0048】以上のように、図10に示すステップS16では、ユーザが設定したBJカートリッジ、用紙の種類および印刷設定に基づき参照すべきデータが格納されているアドレスを計算する。そして、ステップS17で、テーブルより、印刷品位、ディザリング、色補正、マッチング方法、プロファイル、ガンマ補正、ガンマ値、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのバランス値、濃度の各値を印刷制御変数の複製にコピーし、ステップS18でロードしたテーブル領域を解放する。
【0049】以上のように、ユーザは、プリントダイアログにおいて、プリンタに搭載しているインクジェットカートリッジ、用紙および印刷ドキュメントの種類をそれぞれ選択するだけで、図10のフローチャートに基づき図11のテーブルデータより詳細設定の内容(プリンタドライバの画像処理や印刷装置制御のためのパラメータ)を図2の印刷制御変数に格納し、図9に示す印刷処理が行われるので、ユーザは印刷品位やディザリングなどのプリンタドライバの画像処理等に関する面倒な選択を行わなくても適切な設定で印刷を行うことができる。」(第7ページ第12欄第13行目?第8ページ第13欄第42行目)

E.図4、及び、適記C【0030】から、ダイアログに用紙の種類のメニューを表示し、選択できることが読み取れる。

F.図10、及び、適記D【0046】?【0049】から、ユーザが設定した用紙の種類より、参照すべきデータのあるアドレスを計算し、テーブルの先頭より計算したアドレスにある計算したアドレスにあるプリンタドライバの画像処理や印刷装置制御のためのパラメータ格納し、印刷処理を行うことが読み取れる。

以上の記載によれば、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「印刷装置で用いることができるプリント剤の種類、印刷装置で用いることができるプリント媒体の種類および印刷装置で印刷可能な画像の種類の組合せに画像処理および印刷制御に関するデータを対応させたテーブルを有し、
用紙の種類、および印刷するドキュメントの種類に応じて、推奨する設定、あるいは適当と思われる設定をこのテーブルにセットしておくことができ、
アプリケーションプログラムに基づいて作成された出力情報は、プリンタドライバによって印刷制御コマンドに変換され、印刷装置に出力され、
プリンタドライバによって、ダイアログが表示部に表示され、
ダイアログにおいて、プリンタに搭載している用紙および印刷ドキュメントの種類をそれぞれ選択するだけで、参照すべきデータが格納されているアドレスを計算し、テーブルデータよりプリンタドライバの画像処理や印刷装置制御のためのパラメータ格納し、印刷処理を行う機能を有し、
ダイアログにおいて用紙の種類メニューでは、印刷を行う用紙の種類を選択することができ、普通紙、高品位専用紙、光沢紙、光沢フィルム、はがき、光沢はがき、BJクロス、Tシャツ転写紙、バックプリントフィルム、OHPフィルム、封筒、厚紙の用紙の種類をサポートし、メニューアイテムとして有する、印刷装置に対して印刷用データを提供する情報処理装置。」


(3)対比
本願補正発明と引用発明を対比する。

引用発明の「普通紙、高品位専用紙、光沢紙、光沢フィルム、はがき、光沢はがき、BJクロス、Tシャツ転写紙、バックプリントフィルム、OHPフィルム、封筒、厚紙」は、本願補正発明の「用紙の名称」に相当する。
引用発明の「ダイアログ」は、プリンタドライバによって表示部に表示され、用紙の種類メニューでは、印刷を行う用紙の種類を選択することができ、かつ、用紙の種類をメニューアイテムとして有しているので、引用発明の「ダイアログ」は、本願補正発明の「用紙の名称を選択する画面を含む印刷設定画面」に相当する。
引用発明は、ダイアログにおいて、用紙および印刷ドキュメントの種類をそれぞれ選択するだけで、テーブルデータよりプリンタドライバの画像処理や印刷装置制御のためのパラメータを印刷制御変数に格納し、出力情報がプリンタドライバによって印刷制御コマンドに変換され、印刷処理を行う機能を有するものであるので、引用発明の「プリンタドライバ」は、本願補正発明の「印刷設定画面で設定された印刷設定に基づき印刷を実行する」機能を有しているといえる。
したがって、引用発明と本願補正発明の「プリンタドライバ」は、「用紙の名称を選択する画面を含む印刷設定画面を表示させ、前記印刷設定画面で設定された印刷設定に基づき印刷を実行する」点で一致する。
引用発明のテーブルには用紙タイプに対応する用紙の名称を含むデータが格納されており、引用発明のプリント媒体の種類は用紙の種類に相当することは明らかだから、引用発明の「プリント剤の種類、印刷装置で用いることができるプリント媒体の種類および印刷装置で印刷可能な画像の種類の組合せに画像処理および印刷制御に関するデータ」は、本願補正発明の「用紙タイプに対応する用紙の名称を含むパラメータ」に相当する。
引用発明は、出力情報がプリンタドライバによって印刷制御コマンドに変換され、印刷装置に出力されるもので、プリンタドライバによって表示されるダイアログにおいて、用紙および印刷ドキュメントの種類をそれぞれ選択するだけで、テーブルデータよりプリンタドライバの画像処理や印刷装置制御のためのパラメータを格納し、印刷処理を行う機能を有しているので、引用発明は、本願補正発明の「プリンタドライバの指示によって、所定の用紙タイプに対応する用紙の名称を含むパラメータを読み出すためのインターフェース」を有しているといえる。
さらに、引用発明と本願補正発明は共に情報処理装置である点で一致する。

すると、本願補正発明と引用発明とは、次の点で一致する。
一致点
「用紙の名称を選択する画面を含む印刷設定画面を表示させ、前記印刷設定画面で設定された印刷設定に基づき印刷を実行するプリンタドライバと、
用紙タイプに対応する用紙の名称を含むパラメータと、
前記プリンタドライバの指示によって、所定の用紙タイプに対応する用紙の名称を含むパラメータを読み出すためのインターフェースと、
を有することを特徴とする情報処理装置。」

一方、両者は次の点で相違する。

相違点1
本願補正発明のプリンタドライバは、用紙タイプに対応する用紙の名称を含むパラメータを読み出し、読み出された用紙の名称を含むパラメータに基づき用紙の名称を選択する画面を含む印刷設定画面を表示させるものであるのに対し、引用発明では、本願補正発明の印刷設定画面に相当するダイアログを表示させているが、表示のための具体的な構成が明らかでない点。

相違点2
本願補正発明は、パラメータをプリンタドライバと独立したデータベースに記憶しているのに対し、引用発明ではパラメータをテーブルに記憶している点。

相違点3
本願補正発明は、データベースに用紙タイプに対応する用紙の名称を含むパラメータを追加、及び前記データベースから用紙タイプに対応する用紙の名称を含むパラメータを削除する管理ツールを有しているのに対し、引用発明は本願補正発明の管理ツールに相当する具体的な手段を有していない点。

(4)当審の判断
上記相違点について検討する。

(相違点1についての検討)
メニューに表示されている項目を選択して機能実行を行う対話式システムにおいて、テーブルに設定されているパラメータ等のデータを読み出して、表示形式に変換してメニュー形式の表示を行うことは、特開平4-107727号公報(第2ページ右上欄第2行目?右下欄第8行目参照。)、特開平6-161694号公報(第3ページ【0014】、【0015】参照。)に記載されているように本願出願前周知の技術である。したがって、引用発明のプリンタドライバにおいて、上記周知技術を適用して、パラメータを読み出してパラメータに基づき印刷設定画面であるダイアログを表示させるように構成することは、当業者であれば容易に成し得ることである。

(相違点2、3についての検討)
引用発明は、テーブルのデータを参照するとき、用紙の種類等に基づき参照すべきデータが格納されているアドレスを計算して対象となる各種変数を得ているため、引用発明のテーブルとテーブルをアクセスする機能は、周知のデータベースが有する機能と実質的に相違するものではない。そして、データを他のソフトウエアと独立させてデータベースとして構築することは周知の技術であるので、引用発明のテーブルに代えて、独立したデータベースを採用することに格別の困難性は認められない。
また、データ管理のためのツールを具備したデータベースは周知であるので(例えば、特開昭61-206053号公報、特開平4-233664号公報)、データベースを採用するにあたり、用紙の種類も含めた各種の値を追加、削除等を行うための管理ツールを具備させることは、当業者であれば容易に想到し得ることである。

また、本願補正発明の構成によって生じる効果も、当業者が予測できるものである。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成19年9月19日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、同年6月18日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「用紙タイプに対応するパラメータを読み出し、読み出されたパラメータに基づき印刷設定画面を表示させ、前記印刷設定画面で設定された印刷設定に基づき印刷を実行するプリンタドライバと、
前記プリンタドライバとは独立した、用紙タイプに対応するパラメータを記憶するデータベースと、
前記プリンタドライバの指示によって、所定の用紙タイプに対応するパラメータを読み出すためのインターフェースと、
前記データベースに用紙タイプに対応するパラメータを追加、及び前記データベースから用紙タイプに対応するパラメータを削除する管理ツールとを有することを特徴とする情報処理装置。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、前記2.(2)に記載したとおりである。

(2)当審の判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から、「パラメータ」の限定事項である「用紙の名称を含む」との構成、及び「印刷設定画面」の限定事項である「用紙の名称を選択する画面を含む」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記2.(4)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-04-16 
結審通知日 2010-04-20 
審決日 2010-05-06 
出願番号 特願2002-208443(P2002-208443)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 内田 正和  
特許庁審判長 江嶋 清仁
特許庁審判官 安久 司郎
中野 裕二
発明の名称 情報処理装置及び用紙パラメータ設定方法  
代理人 内尾 裕一  

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