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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B66B |
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管理番号 | 1218754 |
審判番号 | 不服2008-1616 |
総通号数 | 128 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-08-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-01-21 |
確定日 | 2010-06-16 |
事件の表示 | 特願2002- 71300「指示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年12月18日出願公開、特開2002-362844〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯及び本願発明 本願は、平成14年3月15日(パリ条約による優先権主張2001年3月28日欧州特許庁)に出願されたものであって、平成14年5月10日付けで翻訳文提出書が提出され、平成19年4月19日付けの拒絶理由通知に対して同年7月20日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、同年10月18日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成20年1月21日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年2月19日付けの手続補正書によって審判請求書の請求の理由を補正するとともに同日付けの手続補正書によって明細書を補正する手続補正がなされ、その後、当審における平成21年6月8日付けの書面による審尋に対して同年12月9日付けで回答書が提出されたものである。 そして、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記平成20年2月19日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「エレベータ装置用指示装置であって、該指示装置(1)はエレクトロルミネッセント指示器(2)と、音声再生装置(3)とを備えており、前記音声再生装置(3)が前記エレクトロルミネッセント指示器(2)の後側に配置され、前記エレクトロルミネッセント指示器(2)は、厚膜エレクトロルミネセンスの原理に従って構成されていることを特徴とする指示装置。」 なお、上記平成20年2月19日付けの審判請求書の請求の理由を補正する手続補正書において、上記平成20年2月19日付けの明細書を補正する手続補正における上記請求項1についての補正(以下、「本件補正」という。)は限定的減縮に該当するとの主張がなされているが、本件補正は、本件補正前の請求項1を削除するとともに本件補正前の請求項1を引用する請求項6を新たな請求項1としたものであり、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の第4項第1号に掲げる請求項の削除に該当すると認められる。したがって、上記平成20年2月19日付けの明細書を補正する手続補正についての補正却下の決定は行わない。 2.原査定の拒絶の理由に引用された特開平3-166180号公報(以下、「引用文献」という。) 2-1.引用文献に記載された事項 引用文献には、次の事項が特に第15図とともに記載されている。 (ア)「2.特許請求の範囲 (1)エレベータカーの方向及び位置を含む情報データを処理する主プロセッサを有し、かつ少なくとも1個のカーを有するエレベータシステムに関して、エレベータカーの状態に関係する情報を乗客に表示するためのエレベータ情報表示システムであって、上記表示システムは、 少なくとも図形表示されるカー方向及び数値表示されるフロア位置を含むエレベータカーの状態に関する情報を表示するために、エレベータカーに関連して配置された画面上に、相対的な明暗領域を発生させ変化させる「オン」または「オフ」のいずれか一方の状態に動作するマトリクス状ピクセルを有するエレクトロルミネセンス(EL)表示画面と、 上記表示画面と上記主プロセッサ間に接続され、電気信号によってエレベータシステム用主プロセッサと連絡し、主プロセッサから受けるカー状態に関するデータに基づいて表示コマンド情報を電気信号によって上記EL表示画面に与えるエレクトロルミネセンス表示インタフェース盤、 から構成されていることを特徴とするEL表示システム。」(特許請求の範囲の請求項1) (イ)第15図において、「EL表示画面」の側方に「スピーカ18」が配置されて描かれている。 2-2.引用発明 したがって、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「エレベータ情報EL表示システムであって、該EL表示システムはEL表示画面と、スピーカ18とを備えており、前記スピーカ18が前記EL表示画面の側方に配置されたEL表示システム。」 3.対比 引用発明における「エレベータ情報EL表示システム」は、その構造及び機能等からみて、本願発明における「エレベータ装置用指示装置」に相当し、以下、同様に「EL表示画面」は「エレクトロルミネッセント指示器(2)」に、「スピーカ18」は「音声再生装置(3)」に、それぞれ相当する。 そうすると、本願発明と引用発明は、 「エレベータ装置用指示装置であって、該指示装置はエレクトロルミネッセント指示器と、音声再生装置とを配置した指示装置。」 である点で一致し、次の(1)及び(2)の点で相違する。 (1)「エレクトロルミネッセント指示器」と「音声再生装置」との配置関係が、本願発明においては、「音声再生装置がエレクトロルミネッセント指示器の後側に配置され」ているのに対して、引用発明においては、本願発明における「音声再生装置(3)」に相当する「スピーカ18」が本願発明における「エレクトロルミネッセント指示器(2)」に相当する「EL表示画面」の「側方」に配置されている点(以下、「相違点1」という。)。 (2)本願発明においては、「エレクトロルミネッセント指示器」が「厚膜エレクトロルミネセンスの原理に従って構成されている」のに対して、引用発明においては、本願発明における「エレクトロルミネッセント指示器(2)」に相当する「EL表示画面」がどのような原理に従って構成されているのかが不明である点(以下、「相違点2」という。)。 4.相違点1及び2についての判断 (1)相違点1について 「エレベータ装置用指示装置」において「エレクトロルミネッセント指示器」と「音声再生装置」との配置関係をどのように設定するかは、当業者が必要に応じて適宜選択可能な設計事項にすぎない。しかも、本願発明のように「音声再生装置がエレクトロルミネッセント指示器の後側に配置」されるようにすることは、周知技術(以下、「周知技術1」という。必要であれば、拒絶査定において例示された特許第3127208号公報及び特開平8-168037号公報を参照されたい。)である。 (2)相違点2について 本願発明のように、「エレクトロルミネッセント指示器」を「厚膜エレクトロルミネセンスの原理に従って構成」することは、周知技術(以下、「周知技術2」という。必要であれば、上記平成21年6月8日付けの書面による審尋における前置報告書において例示された特開2000-311783号公報及び実願昭63-102604号(実開平2-24498号)のマイクロフィルムを参照されたい。)である。 そして、この周知技術2を引用発明に適用することにより、相違点2に係る本願発明の発明特定事項とする程度のことは、当業者が容易に想到することができたことである。 また、本願発明を全体としてみても、その有する作用効果は、引用発明並びに周知技術1及び2が有する作用効果を加え合わせた以上のものとはいえない。 5.まとめ 以上のように、本願発明は、引用発明並びに周知技術1及び2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-01-13 |
結審通知日 | 2010-01-19 |
審決日 | 2010-02-01 |
出願番号 | 特願2002-71300(P2002-71300) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B66B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 大塚 多佳子、志水 裕司 |
特許庁審判長 |
深澤 幹朗 |
特許庁審判官 |
金澤 俊郎 大谷 謙仁 |
発明の名称 | 指示装置 |
代理人 | 大崎 勝真 |
代理人 | 川口 義雄 |
代理人 | 坪倉 道明 |
代理人 | 小野 誠 |