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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1219028
審判番号 不服2009-4467  
総通号数 128 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-03-02 
確定日 2010-06-25 
事件の表示 特願2005- 4524「弾球遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 4月14日出願公開、特開2005- 95698〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第一、手続きの経緯
本願は、平成10年6月22日に出願した特願平10-192414号の一部を平成17年1月11日に新たな特許出願としたものであって、平成20年6月18日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、同年8月20日付けで手続補正がなされ、平成21年1月22日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年3月2日に拒絶査定不服の審判請求がなされるとともに、同年同月9日付け手続補正書によって明細書の一部が補正されたものである。
なお、当審において、同年12月25日付けで審査官による前置報告書の内容を添付して審尋を行い、平成22年3月9日に回答書が提出されている。

第二、平成21年3月9日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成21年3月9日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(1)補正前・後の本願発明
本件補正は、補正前(平成20年8月20日付け手続補正により補正された特許請求の範囲)の請求項1乃至5のうち、請求項1に記載された、
「弾球遊技機であって、
前面側に遊技杭(14)が設けられ、開口部(10)が設けられた遊技盤(A)と、
遊技盤の該開口部の背面側に設けられた表示装置で、前面側に設けられた表示部の表示状態を可変表示する表示装置(40)と、
該表示部の前面側に設けられた透明板(30)と、
該透明板の前面側における表示部の前面側の領域と、該透明板の後面側における表示部の前面側の領域に設けられた付設部材で、遊技杭と風車と入賞口の少なくともいずれかからなる付設部材と、
を有し、
表示部の前面側に2つの遊技球通過領域で、該透明板の前面側に設けられた第1遊技球通過領域(R1)と、該透明板の後面側と表示部との間に設けられた第2遊技球通過領域(R2)とからなる2つの遊技球通過領域が設けられ、
透明板における所定領域で、表示部による可変表示が停止した際の表示領域に対応する領域には、付設部材が設けられていない非設領域が設けられていることを特徴とする弾球遊技機。」を、

「弾球遊技機であって、
前面側に遊技杭(14)が設けられ、開口部(10)が設けられた遊技盤(A)と、
遊技盤の該開口部の背面側に設けられた表示装置で、前面側に設けられた表示部の表示状態を可変表示する表示装置(40)と、
該表示部の前面側に設けられ、前面側の面が遊技盤の前面側の面と略同一面上に設けられた透明板(30)と、
該透明板の前面側における表示部の前面側の領域と、該透明板の後面側における表示部の前面側の領域に設けられた付設部材で、遊技杭と風車と入賞口の少なくともいずれかからなる付設部材と、
を有し、
表示部の前面側に2つの遊技球通過領域で、該透明板の前面側に設けられた第1遊技球通過領域(R1)と、該透明板の後面側と表示部との間に設けられた第2遊技球通過領域(R2)とからなる2つの遊技球通過領域が設けられ、
透明板における所定領域で、表示部による可変表示が停止した際の表示領域に対応する領域には、付設部材が設けられていない非設領域が設けられていることを特徴とする弾球遊技機。」と補正するものである(下線部は補正部分)。

上記補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「表示部の前面側に設けられた透明板(30)」について、その「前面側の面」と「遊技盤の前面側の面」との位置関係を「略同一面上に設けられた」と限定するものであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(2)そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明1」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのか(上記改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(あ)刊行物に記載された発明
刊行物1;特開平7-250954号公報
刊行物ア;特開平9-711号公報
刊行物イ;特開平7-155442号公報
刊行物ウ;実願平5-56685号(実開平7-24381号)の
CD-ROM

原査定の拒絶理由に引用され、本願出願前に頒布された特開平7-250954号公報(以下、「引用刊行物1」という。)には以下の記載がある。
(1-1)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パチンコ遊技機、アレンジボール遊技機、雀球遊技機、パチスロ遊技機など遊技球を遊技盤の遊技領域に遊技球を流下して遊技するとともに、遊技領域に設けた画像表示部によっても遊技を行なえる遊技機に関するものである。」、
(1-2)「【0005】
【発明が解決しようとする課題】・・・そこで、本発明は、画像表示部の大型化に対応することができ、しかも遊技球の流れの面白さを損なわない遊技機を提供することを目的とする。」、
(1-3)「【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面にもとづいて説明する。図1は代表的な遊技機であるパチンコ遊技機の遊技盤1の正面図であり、図2は表示部前面領域保護ユニット2と可変表示装置3を外した状態における遊技盤1の斜視図である。
【0025】遊技盤1は、厚手のベニヤ板の表面にガイドレール4やサイドケース5などの区画部材により囲まれた略円形の遊技領域6を形成し、該遊技領域6内の略上半部分に略半円形の貫通開口部7を開設し、該貫通開口部7に表示部前面領域保護ユニット2を嵌合して塞ぎ、表示部前面領域保護ユニット2のほぼ中央に本実施例では特別図柄表示装置として機能する可変表示装置3を取り付けて画像表示部8を前面に向け、該画像表示部8に対応する位置、即ち前方に画像表示部8を覆う状態で形成した表示保護面9により画像表示部8を保護してある。また、遊技領域6内の下半には障害釘を植設するとともに、特別図柄表示装置での可変表示ゲームを開始する条件を成立する始動口10、可変表示ゲームで大当りになった時などに行なう特別遊技状態で遊技者にとって不利な第1状態から遊技者にとって有利な第2状態に変換する変動入賞装置としてのアタッカー11、一般入賞口12、風車13などを配設し、遊技領域6の最下部にはアウト口14を開設してある。
【0026】表示部前面領域保護ユニット2は、画像表示部8を保護するとともに、遊技球が流下する球案内面を球径以上の間隔を配して前後方向に積層して形成することにより、大きな画像表示部8の設置で狭められた遊技球流下範囲を前後に拡大し、これにより遊技球の流下の面白さを表現できるようにしたものである。図面に示す実施例では画像表示部8に対応する位置に画像表示部8を覆う状態で形成された透明プラスチック製表示保護面9と、該表示保護面9の外方に配設され、遊技盤1の遊技領域6とほぼ面一状に延在して遊技球障害部材を形成した透光プラスチック製の第1球案内面15と、表示保護面9の外方に配設され、第1球案内面15の奥(後方)に遊技球の直径以上の間隙を配して第1球案内面15とほぼ平行に延在して遊技球障害部材を形成した第2球案内面16と、第1球案内面15を流下する遊技球を第2球案内面16に流入する球流入口17と、第2球案内面16を流下した遊技球を第1球案内面15側に流出する球流出口18とが主要な構成である。・・・
【0027】本実施例では表示保護面9を第2球案内面16のほぼ中央に該第2球案内面16と一体成形してあるので、第1球案内面15は、表示保護面9に対応する部分に四角形の開口部19を開設し、該開口部19の上開口縁に沿って庇状の球受部20を突設するとともに前記球流入口17を横長に開設し、球受部20の左右端部から下方に側部区画壁21を前方に突出した状態で縦方向に形成し、また、開口部19の開口縁或はその近傍から後方に向けて左右の仕切り側壁22,上仕切り壁23、及び下仕切り壁24をそれぞれ延設し、左右の仕切り側壁22の下部に前記球流出口18を開設し、下仕切り壁24のほぼ中央に前縁が切り欠かれた凹部25を形成する。・・・一方、第1球案内面15の表面には遊技球の流下方向に影響を与える遊技球障害部材としての障害柱28を球流入口17の上方に遊技球が通過できる間隔で並べて突設し、風車29を開口部19の横に夫々配置し、各風車29の上方(開口部19の側方)にも障害柱28を突設し、・・・」、
(1-4)「【0030】上記した構成からなる第1球案内面15の後方に止着する第2球案内面16は、ほぼ中央の少し下部寄りに可変表示装置3の前面部分が嵌合する大きさの窪部32を一体成型し、前方に突出した該窪部32の底部を表示保護面9とし、この表示保護面9の左右に位置する表面に遊技球障害部材として障害柱33を前方に向けて突設する。・・・」、
(1-5)「【0033】・・・この様にして表示部前面領域保護ユニット2を組み立てると、第2球案内面16のほぼ中央に位置する表示保護面9が第1球案内面15のほぼ中央に開口する開口部19内に位置する。したがって、前方からは、表示保護面9によって保護された画像表示部8が第1球案内面15のほぼ中央に見える。また、第1球案内面15と第2球案内面16との間に遊技球の直径以上の間隙、即ち遊技球が流下できる空間が形成され、この第2球案内面16上の空間は、障害柱33が前後方向に横切り、上部は球流入口17を介して、また下部は球流出口18を介してそれぞれ第1球案内面15側と連通する。」、
(1-6)「【0036】この様にして表面部前面領域保護ユニット2を遊技盤1に取り付けると、第1球案内面15が遊技盤1の遊技領域6とほぼ面一になり、また、遊技盤1の貫通開口部7内に第2球案内面16という遊技球の流下路が遊技盤1の厚みの範囲内遊技盤表面に沿って形成される。
【0037】したがって、上記した遊技盤1を装着したパチンコ遊技機で遊技した場合に、発射された遊技球が遊技領域6の上部に打ち込まれると、図7に示すように、先ず球流入口17に入らなかった遊技球はそのまま第1球案内面15を流下し、途中で該第1球案内面15に突設した障害柱28や風車29などに当って流下方向を変換しながら流下し、遊技者に遊技球の流下の面白みを感じさせることができる。そして、第1球案内面15を通過した遊技球は、始動口10、一般入賞口12、アタッカー11などの入賞具に入賞して遊技盤1の裏側に取り込まれ、いずれにも入賞しなかった遊技球はアウト口14にアウト球として取り込まれる。
【0038】また、遊技領域6の上部に打ち込まれて球受部20に受け止められて球流入口17に入った遊技球は、図7に示すように、上仕切り壁23上を左右いずれかに転動してから左右いずれかの第2球案内面16に流下し、第2球案内面16に突設してある障害柱33に当って流下方向を変換しながら流下し、底案内壁27上に落下する。そして、この第2球案内面16上を流下方向を変換しながら流下する遊技球(図7中ハッチングを付した遊技球)は透明な第1球案内面15を通して遊技者側から見える。したがって、遊技者側からは第1球案内面15上を流下する遊技球と第2球案内面16上を流下する遊技球とが前後方向に重なって見られ、これにより、遊技球の流路の幅が狭くても、遊技者に対して遊技球の流下の面白さを確実に感じさせることができ、また、第1球案内面15から奥に位置する第2球案内面16に三次元的に流下するとともに第1球案内面15と第2球案内面16との重合した球の流下により遊技球の新たな動きを表現することができる。なお、第1球案内面15の障害柱28と第2球案内面16の障害柱33とは重ならない位置に配置してあるので、いずれの障害柱28,33に当って流下方向を変換した遊技球であっても、流下方向の変換を前方の遊技者側から確実に視認することができる。」、
(1-7)「【0040】前述した実施例では第2球案内面16に障害柱33を形成して遊技球の流下方向を変化させただけであるが、この第2球案内面16に、第1球案内面15と同様に、球検出装置36や入賞口や変動入賞装置37や風車などを設けてもよい。即ち、第2球案内面16は、第1球案内面15の奥に形成した遊技球の新たな流下エリアなので、従来の遊技盤1の表面に取り付けていた様々な部材はそのまま装着可能である。」、
(1-8)「【0042】また、図12に示すように、第2球案内面16の下部に所謂チューリップなどの変動入賞装置37を設け、第2球案内面16を流下する遊技球の入賞によっても賞球を排出するなど遊技者に特典を付与するように構成してもよい。・・・」、
(1-9)【0046】また、表示保護面9に障害柱40などの遊技球障害部材を形成し、第2球案内面16を流下した遊技球を表示保護面9直前を流下させるようにしてもよい。この場合、遊技球障害部材は表示映像に重ならない位置、例えば図16に示すように、表示保護面9の左右に配置することが望まし。また、第2球案内面16側に一旦入った遊技球を表示保護面9直前に流下させるために、第1球案内面15と第2球案内面16との間の仕切り壁に上球流出口41を開設する。この様に構成すると、球流入口17から第2球案内面16側に入った遊技球の内、その一部の遊技球が上球流出口41から表示保護面9の直前に排出され、表示保護面9に形成した障害柱40等に当って流下方向を変換しながら流下する。したがって、遊技球の流下の面白みを一層増大することができ、しかも画像表示の邪魔になることもない。そして、表示保護面9の直前を流下した遊技球は、第1球案内面15の開口部19の下縁に形成した下仕切り壁24上に落下し、ここから第1球案内面15側に流下する。したがって、前記第1実施例と同様に始動口10やアタッカー11などに入賞し易い。
【0047】前述した第1球案内面15は単に透明なプラスチックで構成したが、・・・また、第2球案内面16を流下する遊技球の流下方向に影響を与える遊技球障害部材は、前述した実施例では第2球案内面16の表面から障害柱33を前方に向けて突設したが、これに限らず第1球案内面15の裏面に後方、即ち第2球案内面16に向けて形成してもよい。・・・」。

したがって、これらの記載をまとめると、引用刊行物1には、
「 遊技盤1の表面に略円形の遊技領域6を形成し、
該遊技領域6内の略上半部分に開設された略半円形の貫通開口部7に表示部前面領域保護ユニット2を嵌合して塞ぎ、該表示部前面領域保護ユニット2のほぼ中央に特別図柄表示装置として機能する可変表示装置3を取り付けて画像表示部8を前面に向け、
前記遊技領域6内の下半には障害釘を植設するとともに、特別図柄表示装置での可変表示ゲームを開始する条件を成立する始動口10、可変表示ゲームで大当りになった時などに行なう特別遊技状態で遊技者にとって不利な第1状態から遊技者にとって有利な第2状態に変換する変動入賞装置としてのアタッカー11、一般入賞口12、風車13などを配設し、
画像表示部の大型化に対応することができ、しかも遊技球の流れの面白さを損なわないパチンコ遊技機であって、
(A)前記表示部前面領域保護ユニット2は、前記画像表示部8に対応する位置、即ち前方に前記画像表示部8を覆う状態で形成された透明プラスチック製表示保護面9と、該表示保護面9の外方に配設され、前記遊技盤1の遊技領域6とほぼ面一状に延在して遊技球障害部材を形成した透明プラスチック製の第1球案内面15と、前記表示保護面9の外方に配設され、前記第1球案内面15の奥(後方)に遊技球の直径以上の間隙を配して前記第1球案内面15とほぼ平行に延在して遊技球障害部材を形成した第2球案内面16と、前記第1球案内面15を流下する遊技球を前記第2球案内面16に流入する球流入口17と、前記第2球案内面16を流下した遊技球を前記第1球案内面15側に流出する球流出口18とが主要な構成であり、
(A1)前記表示保護面9を前記第2球案内面16のほぼ中央に該第2球案内面16と一体成形し、前記第1球案内面15は、前記表示保護面9に対応する部分に四角形の開口部19を開設し、
(A2)前記表示部前面領域保護ユニット2を組み立てると、前記第2球案内面16のほぼ中央に位置する前記表示保護面9が前記第1球案内面15のほぼ中央に開口する前記開口部19内に位置し、
(A3)前記第1球案内面15の表面には遊技球の流下方向に影響を与える遊技球障害部材としての障害柱28を前記球流入口17の上方に遊技球が通過できる間隔で並べて突設し、風車29を前記開口部19の横に夫々配置し、各風車29の上方(開口部19の側方)にも障害柱28を突設し、
(A4)前記第1球案内面15の後方に止着する前記第2球案内面16は、ほぼ中央の少し下部寄りに前記可変表示装置3の前面部分が嵌合する大きさの窪部32を一体成型し、前方に突出した該窪部32の底部を前記表示保護面9とし、この表示保護面9の左右に位置する表面に遊技球障害部材として障害柱33を前方に向けて突設し、
(A5)前記第1球案内面15と前記第2球案内面16との間に遊技球の直径以上の間隙、即ち遊技球が流下できる空間が形成され、この第2球案内面16上の空間は、前記障害柱33が前後方向に横切り、
(A6)前記表面部前面領域保護ユニット2を前記遊技盤1に取り付けると、前記第1球案内面15が前記遊技盤1の遊技領域6とほぼ面一になり、また、前記遊技盤1の貫通開口部7内に第2球案内面16という遊技球の流下路が前記遊技盤1の厚みの範囲内で遊技盤表面に沿って形成され、
(B)発射された遊技球が前記遊技領域6の上部に打ち込まれると、
(B1)前記球流入口17に入らなかった遊技球はそのまま前記第1球案内面15を流下し、途中で該第1球案内面15に突設した前記障害柱28や風車29などに当って流下方向を変換しながら流下し、前記第1球案内面15を通過した遊技球は、前記始動口10、一般入賞口12、アタッカー11などの入賞具に入賞して前記遊技盤1の裏側に取り込まれ、いずれにも入賞しなかった遊技球はアウト口14にアウト球として取り込まれ、
(B2)球受部20に受け止められて前記球流入口17に入った遊技球は、上仕切り壁23上を左右いずれかに転動してから左右いずれかの前記第2球案内面16に流下し、前記第2球案内面16に突設してある前記障害柱33に当って流下方向を変換しながら流下し、底案内壁27上に落下し、
(B3)前記第2球案内面16上を流下方向を変換しながら流下する遊技球は透明な前記第1球案内面15を通して遊技者側から見え、該第1球案内面15の障害柱28と前記第2球案内面16の障害柱33とは重ならない位置に配置してあるので、いずれの障害柱28,33に当って流下方向を変換した遊技球であっても、流下方向の変換を前方の遊技者側から確実に視認することができ、
(C)前記障害柱33を形成した前記第2球案内面16に、前記第1球案内面15と同様に、球検出装置36や入賞口や変動入賞装置37や風車などを設けてもよく、
(D)前記第2球案内面16の下部に所謂チューリップなどの変動入賞装置37を設け、前記第2球案内面16を流下する遊技球の入賞によっても賞球を排出するなど遊技者に特典を付与するように構成してもよく、
(E)前記第1球案内面15と前記第2球案内面16との間の仕切り壁に上球流出口41を開設し、前記表示保護面9に障害柱40などの遊技球障害部材を表示映像に重ならない位置、例えば前記表示保護面9の左右に配置形成し、前記第2球案内面16を流下した遊技球を前記表示保護面9直前を流下させ、該表示保護面9に形成した障害柱40等に当って流下方向を変換しながら流下するようにしてもよく、
(F)前記第2球案内面16の表面から障害柱33を前方に向けて突設した、前記第2球案内面16を流下する遊技球の流下方向に影響を与える遊技球障害部材は、前記第1球案内面15の裏面に後方、即ち前記第2球案内面16に向けて形成してもよい、
パチンコ遊技機。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

本願出願前に頒布された特開平9-711公報(以下、「周知刊行物ア」という。)には、以下の記載がある。
(ア-1)「【0004】本発明は・・・その目的は、遊技用表示パネルを最大で遊技領域一杯にまで拡張可能にした遊技板を提供することにある。」、
(ア-2)「【0010・・・また、遊技用表示パネル2は、・・・遊技内容に関連する数字や図柄を可視表示する。・・・」、
(ア-3)「【0013】・・・また、複数の数字や図形を組み合わせるスロットマシーンタイプのゲームでも遊技領域1aの全面を使用すれば表示が大きくなって見易くしかも迫力が出る。」。

本願出願前に頒布された特開平7-155442号公報(以下、「周知刊行物イ」という。)には、以下の記載がある。
(イ-1)「【0027】ここで、パチンコ台11の表示盤12中における表示装置20の表示面積、すなわち、スクリーン21の面積は、前述した拡大投影機能により、従来の機械的表示装置や電気光学的表示装置の表示面積より格段に大きくすることができる・・・」。

本願出願前に頒布された実願平5-56685号(実開平7-24381号)のCD-ROM(以下、「周知刊行物ウ」という。)には、以下の記載がある。
(ウ-1)「【0010】
ここで、制御ドライバ回路により制御駆動される液晶表示素子を介して放射される投影機4の光画像は投影レンズ5により必要な倍率に拡大されて透光性光画像表示部2に投映表示される。この投映表示された光画像はパチンコの前面から監視される。
・・・」、
(ウ-2)「【0016】
更に、上述の通りフロントパネル1全体を透光性光画像表示部とすることができる材料により構成することにより、透光性光画像表示部の構成を何等変更することなしにフロントパネル1の任意のところを透光性光画像表示部として特定して、ここに任意の大きさの画像を投影表示することができる。」。

(い)本願補正発明1と引用発明との比較・検討
(い-1)引用発明の「パチンコ遊技機」は、本願補正発明1の「弾球遊技機」に相当し、以下同様に、「障害釘」は「遊技杭(14)」に、「貫通開口部7」は「開口部(10)」及び「開口部」に、「遊技盤1」は「遊技盤(A)」及び「遊技盤」に、「可変表示装置3」は「表示装置」及び「表示装置(40)」に、「画像表示部8」は「表示部」に、「透明プラスチック製の第1球案内面15」は「透明板(30)」及び「透明板」に、それぞれ相当する。
(い-2)引用発明の「障害釘」は、「遊技盤1の表面に」形成された「遊技領域6内の下半に植設」されるものであるから、引用発明は本願補正発明1の「前面側に遊技杭(14)が設けられる、遊技盤(A)」に相当する技術事項を有しているといえる。
(い-3)引用発明の「可変表示装置3」は、「遊技盤1の表面に」形成された「遊技領域6内の略上半部分に開設された略半円形の貫通開口部7に嵌合」される「表示部前面領域保護ユニット2のほぼ中央に取り付け」られ、可変表示ゲームを行う「特別図柄表示装置として機能」し、「画像表示部8を前面に向け」るものであり、また引用発明の「画像表示部8を覆う状態で形成された透明プラスチック製表示保護面9」は、「表示保護面9直前を、第2球案内面16を流下した遊技球を流下させ」るものであるから、引用発明は本願補正発明1の「遊技盤の(該)開口部の背面側に設けられた表示装置で、前面側に設けられた表示部の表示状態を可変表示する表示装置(40)」に相当する技術事項を有しているといえる。
(い-4)引用発明の「第1球案内面15」について検討すると、引用発明は、「表面部前面領域保護ユニット2を遊技盤1に取り付けると、第1球案内面15が遊技盤1の遊技領域6とほぼ面一にな」るものであり、「第1球案内面15の後方に止着する第2球案内面16は、ほぼ中央の少し下部寄りに可変表示装置3の前面部分が嵌合する大きさの窪部32を一体成型」するものであるから、引用発明は本願補正発明1の「(該)表示部の前面側に設けられ、前面側の面が遊技盤の前面側の面と略同一面上に設けられた透明板(30)」に相当する技術事項を有しているといえる。
(い-5)引用発明は、「画像表示部8を覆う表示保護面9の外方に配設され、遊技球障害部材を形成した第1球案内面15と、表示保護面9の外方に配設され、第1球案内面15の奥(後方)に第1球案内面15とほぼ平行に延在して遊技球障害部材を形成した第2球案内面16」とを備え、「表示保護面9を第2球案内面16のほぼ中央に該第2球案内面16と一体成形し、第1球案内面15は、表示保護面9に対応する部分に四角形の開口部19を開設し」、「第1球案内面15の表面には遊技球の流下方向に影響を与える遊技球障害部材としての障害柱28を並べて突設し、風車29を開口部19の横に夫々配置し、各風車29の上方(開口部19の側方)にも障害柱28を突設し」、「第2球案内面16は、表示保護面9の左右に位置する表面に遊技球障害部材として障害柱33を前方に向けて突設し」、「第2球案内面16に、第1球案内面15と同様に、入賞口や変動入賞装置37や風車などを設けてもよ」いものである。そうすると、引用発明は本願補正発明1の「(該)透明板の前面側における表示部の前面側の領域と、該透明板の後面側における表示部の前面側の領域に設けられた付設部材で、遊技杭と風車と入賞口の少なくともいずれかからなる付設部材」の技術事項と比較して「(該)透明板の前面側における領域と、該透明板の後面側における領域に設けられた付設部材で、遊技杭と風車と入賞口の少なくともいずれかからなる付設部材」において一致する。
また、引用発明の「発射された遊技球」は、第1球案内面15及び第2球案内面16を流下するものである。そうすると、引用発明は本願補正発明1の「表示部の前面側に2つの遊技球通過領域で、(該)透明板の前面側に設けられた第1遊技球通過領域(R1)と、該透明板の後面側と表示部との間に設けられた第2遊技球通過領域(R2)とからなる2つの遊技球通過領域が設けられ、」の技術事項と比較して「2つの遊技球通過領域で、(該)透明板の前面側に設けられた第1遊技球通過領域と、該透明板の後面側に設けられた第2遊技球通過領域とからなる2つの遊技球通過領域が設けられ、」において一致する。
(い-6)引用発明は、「表示保護面9に障害柱40などの遊技球障害部材を表示映像に重ならない位置、例えば表示保護面9の左右に配置形成」するものである。そうすると、引用発明は本願補正発明1の「透明板における所定領域で、表示部による可変表示が停止した際の表示領域に対応する領域には、付設部材が設けられていない非設領域が設けられている」の技術事項と比較して「表示部の表示領域に対応する領域には、付設部材が設けられていない非設領域が設けられている」において一致する。

したがって、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。
一致点
弾球遊技機であって、
前面側に遊技杭が設けられ、開口部が設けられた遊技盤と、
遊技盤の該開口部の背面側に設けられた表示装置で、前面側に設けられた表示部の表示状態を可変表示する表示装置と、
該表示部の前面側に設けられ、前面側の面が遊技盤の前面側の面と略同一面上に設けられた透明板と、
該透明板の前面側における領域と、該透明板の後面側における領域に設けられた付設部材で、遊技杭と風車と入賞口の少なくともいずれかからなる付設部材と、
を有し、
2つの遊技球通過領域で、該透明板の前面側に設けられた第1遊技球通過領域と、該透明板の後面側に設けられた第2遊技球通過領域とからなる2つの遊技球通過領域が設けられ、
表示部の表示領域に対応する領域には、付設部材が設けられていない非設領域が設けられている、弾球遊技機。

相違点1
付設部材が、本願補正発明1では透明板の前面側における表示部の前面側の領域と、該透明板の後面側における表示部の前面側の領域に設けられるのに対し、引用発明では透明板の前面側及び後面側における表示部(画像表示部8)の外方の領域(第1球案内面15の表面、及び第2球案内面16の表面)、並びに表示部の前面側の領域(表示保護面9の左右)である点。
相違点2
透明板の前面側及び後面側に設けられた2つの遊技球通過領域が、本願補正発明1では、表示部の前面側に設けられるのに対し、引用発明では表示部(画像表示部8)の外方に設けられる点。
相違点3
透明板の後面側に設けられた第2遊技球通過領域が、本願補正発明1では、透明板の後面側と表示部との間に設けられたのに対し、引用発明では透明板の後面側における表示部(画像表示部8)の外方(第2球案内面16の表面)、及び表示部の前面側(表示保護面9直前を流下)に設けられた点。
相違点4
付設部材が設けられていない非設領域が、本願補正発明1では、透明板における所定領域で、表示部による可変表示が停止した際の表示領域に対応する領域であるのに対し、引用発明では表示保護面9の表示映像に重なる位置である点。

そこで、上記相違点について検討する。
相違点1乃至3について
相違点1乃至3は密接に関連しているのでまとめて検討する。
引用発明には「透明プラスチック製の第1球案内面15」及び「画像表示部8を覆う状態で形成された透明プラスチック製表示保護面9」並びに「表示保護面9を第2球案内面16と一体成形」の技術事項が示されているから、引用発明には「透明な第1球案内面15及び透明な第2球案内面16」が示唆されているといえる。そして、弾球遊技機の分野において、表示部の表示領域を大きくすることは、例えば周知刊行物ア乃至ウのように周知・慣用の技術であることを考慮すれば、引用発明における表示部の表示領域を透明な表示部前面領域保護ユニット2の大きさの範囲内で大きくして、表示部の前面側に、透明板の前面側及び後面側に設けられた付設部材を位置させること及び表示部の前面側に、透明板の前面側及び後面側に設けられた2つの遊技球通過領域を位置させること並びに透明板の後面側と表示部との間に第2遊技球通過領域を設けることは当業者が容易になし得ることである。そして、この際に「第1球案内面15及び第2球案内面16」が透明であることは上記のとおりであるから、表示部の視認性及び表示面の保護において不都合は起こらないことは明らかである。したがって、当該相違点1乃至3に係る本願補正発明1を特定する事項とすることは、引用発明及び周知・慣用の技術に基づいて当業者が容易になし得ることである。

相違点4について
表示部に図柄や背景画像などをどのように表示させ、また配置させるかは当業者が適宜採用できる設計上の事項であり、表示部による可変表示が停止した際に遊技者が注目する当該表示部の図柄表示領域の視認性を良くすることは当業者が当然に考慮すべき事項であるから、引用発明の「表示映像に重なる位置を非設領域とする技術」に基づいて「表示部による可変表示が停止した際の図柄表示領域に対応する領域を非設領域」とすることは当業者が容易になし得ることである。そして、弾球遊技機の分野において、表示部の表示領域を大きくすることは、例えば周知刊行物ア乃至ウのように周知・慣用の技術であることを考慮すれば、引用発明における表示部の表示領域を透明な表示部前面領域保護ユニット2の大きさの範囲内で大きくして、表示部の前面側に、透明板の前面側及び後面側に設けられた付設部材を位置させることは当業者が容易になし得ることである。また、この際に表示部による可変表示が停止した際の図柄表示領域を遊技球障害部材の設けられていない表示保護面9の領域として、上記相違点4に係る本願補正発明1を特定する事項とすることは、引用発明及び周知・慣用の技術に基づいて当業者が容易になし得ることである。

また、引用発明は、「画像表示部の大型化に対応することができ、しかも遊技球の流れの面白さを損なわない」ものであるから、本願補正発明1が格別の効果を奏するものとは認められない。

したがって、本願補正発明1は、引用発明及び周知・慣用の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(う)補正却下の決定のむすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第三、本願発明について
平成21年3月9日付けの手続補正は上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1乃至5に係る発明は、上記平成20年8月20日付けで補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至5に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明1」という。)は、前記「第二、[理由](1)補正前・後の本願発明」に補正前として記載したとおりである。

(ア)刊行物に記載された発明
原査定の拒絶理由に引用された引用刊行物1(特開平7-250954号公報)及び周知刊行物ア乃至ウに記載された事項は前記「第二、[理由](2)(あ)刊行物に記載された発明」に記載された事項と同様であるから、援用する。

(イ)本願発明1と引用発明との対比・判断
本願補正発明1は、前記「第二、[理由](1)」で検討したように、本願発明1を特定するために必要な事項である「表示部の前面側に設けられた透明板(30)」について、その「前面側の面」と「遊技盤の前面側の面」との位置関係を「略同一面上に設けられた」と限定するものである。
そうすると、本願補正発明1は、本願発明1の発明特定事項を全て含み、さらに他の発明特定事項を付加したものに相当するものであって、その本願補正発明1が、前記「第二、[理由](2)(い)」に記載したとおり、引用発明及び周知・慣用の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明1も、同様の理由により、引用発明及び周知・慣用の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(ウ)むすび
以上のとおり、本願発明1は、引用発明及び周知・慣用の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2010-04-22 
結審通知日 2010-04-27 
審決日 2010-05-10 
出願番号 特願2005-4524(P2005-4524)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 郡山 順安久 司郎高橋 三成  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 澤田 真治
川島 陵司
発明の名称 弾球遊技機  
代理人 長屋 直樹  
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