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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01Q 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01Q |
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管理番号 | 1219115 |
審判番号 | 不服2007-33857 |
総通号数 | 128 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-08-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-12-14 |
確定日 | 2010-06-24 |
事件の表示 | 特願2002-253201「誘電体アンテナ及びそれを内蔵する移動体通信機」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 3月25日出願公開、特開2004- 96314〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成14年8月30日の出願であって、平成19年1月16日付け拒絶理由通知に対して、同年3月19日付けで手続補正がされたが、同年11月13日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月14日に拒絶査定不服の審判が請求され、平成20年1月8日付けで手続補正がされたものである。 第2 補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成20年1月8日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.本願発明と補正後の発明 上記手続補正(以下、「本件補正」という。)は補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された 「矩形のアンテナ形成面と外周端面とを有する積層誘電体と、 当該アンテナ形成面上において当該アンテナ形成面外周に隣接して延び、かつ第1共振周波数に共振可能な第1線状エレメントと、 当該線状エレメント基端に接続した給電端子と、 当該線状エレメント基端の近傍から当該アンテナ形成面上で分岐する線状導電体と、 当該線状導電体先端に接続したグランド端子と、 当該第1線状エレメントに囲まれた当該アンテナ形成面の空白領域上で当該第1線状エレメントの途中から分岐して当該線状導電体の途中に終着し、かつ当該第1共振周波数とは異なる第2共振周波数に共振可能な第2線状エレメントと、を含み、 当該第2線状エレメントが、当該第1共振周波数と当該第2共振周波数とを近接させることによって広帯域化するか、又は、当該第1共振周波数と当該第2共振周波数とを離すことによってデュアルバンド化するかを、使用目的に合わせて決定可能に構成してある ことを特徴とする誘電体アンテナ。」 という発明(以下、「本願発明」という。)を、 「矩形のアンテナ形成面と外周端面とを有する積層誘電体と、 当該アンテナ形成面上において当該アンテナ形成面外周に隣接して延び、かつ第1共振周波数に共振可能な第1線状エレメントと、 当該線状エレメント基端に接続した給電端子と、 当該線状エレメント基端の近傍から当該アンテナ形成面上で分岐して当該第1線状エレメントとともに逆F型アンテナを構成する線状導電体と、 当該線状導電体先端に接続したグランド端子と、 当該第1線状エレメントに囲まれた当該アンテナ形成面の空白領域上で当該第1線状エレメントの途中から分岐して当該線状導電体の途中に終着し、かつ当該第1共振周波数とは異なる第2共振周波数に共振可能な1波長ループ状の第2線状エレメントと、を含み、 当該第2線状エレメントが、当該第1共振周波数と当該第2共振周波数とを近接させることによって広帯域化するか、又は、当該第1共振周波数と当該第2共振周波数とを離すことによってデュアルバンド化するかを、使用目的に合わせて決定可能に構成してある ことを特徴とする誘電体アンテナ。」 という発明(以下、「補正後の発明」という。)に変更することを含むものである。 2.新規事項の有無、補正の目的要件について 本件補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において、補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された、「線状導電体」に関し、「当該第1線状エレメントとともに逆F型アンテナを構成する」と限定を付加し、また、「第2線状エレメント」に関し、「1波長ループ状の」と限定を付加して、特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許法第17条の2第3項(新規事項)及び平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号(補正の目的)の規定に適合している。 3.独立特許要件について 本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、上記補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのかどうかについて以下に検討する。 (1)補正後の発明 上記「1.本願発明と補正後の発明」の項で補正後の発明として認定したとおりである。 (2)引用発明 A 原審の拒絶理由に引用された特開平11-136017号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 イ.「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、携帯型通信機器等に用いられるアンテナ装置に関する。」(2頁1欄) ロ.「【0009】本発明は、少しだけ周長が異なる閉ループ状の放射電極を2つ形成して2つの共振を合成することにより、広帯域アンテナを実現している。ここでは、複共振化による広帯域法を採用したため、外形寸法が小さいまま広帯域化が実施されている。すなわち、図6に示す、ループ状の放射電極を有するアンテナは、リターンロス特性において一定の周波数帯に1つのピークしか現われないが、本発明では閉ループの放射電極を2つ有するため、一定の周波数帯にピークが2つ現われる。この2つのピークを接近させ重ねることにより広帯域化が可能となる。」(3頁3欄) ハ.「【0013】 【発明の実施の形態】図1は、本発明のアンテナ装置の第1実施形態の構成図である。この図1に示すアンテナ装置10は、共振周波数1.9GHzのアンテナ装置である。誘電体基体11の材料としては、使用する周波数帯域で比誘電率が安定し、低損失であることが望ましく、本実施形態では、Al2 O3 系セラミック誘電体(1.9GHzでの比誘電率8)が採用される。この誘電体基体11の表面に形成される導体膜は、銀、銅等の良導体が望ましく、本実施形態では銅導体ペーストが使用され、スクリーン印刷法により誘電体基体11の表面に導体膜が形成され、還元雰囲気中で焼成される。 【0014】誘電体基体11の寸法は10mm×10mm×4mmtであり、誘電体基体11の上面に、縁端に沿って幅0.5mmの閉ループ状の第1の放射電極21を、その内側に、その第1の放射電極21から0.5mmの間隔を置いて幅0.5mmの閉ループ状の第2の放射電極22を形成し、これら2つの閉ループ状の放射電極21,22を幅1.5mmの短絡導体23で短絡している。誘電体基体11の側面に形成された接地用導体13は1mmの幅であり、第1の放射電極21とグランド電極15を接続している。第1および第2の放射電極21,22に高周波電力を給電するための励振用導体14は接地用導体13と平行して形成されている。また、励振用導体14、接地用導体13は、図示しない回路基板上へアンテナを装着、固定するための実装用電極として使用することも可能である。」(3頁3?4欄) 上記引用例1の記載及び図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、上記摘記事項ハ.の記載、及び図1によれば、アンテナ装置は、矩形の上面と外周端面とを有する誘電体基体(11)と、上面上において上面外周に隣接して延びた第1放射電極(21)を含んでいる。 また、アンテナ装置は、前述の第1放射電極(21)に接続した励振用導体(14)と、接地用導体(13)と、第1放射電極(21)に囲まれた上面の空白領域上で第1放射電極(21)と短絡導体(23)で接続した第2放射電極(22)と、を含んでいる。 また、上記摘記事項ロ.の記載によれば、第1放射電極(21)は、第1共振周波数に共振可能であり、第2放射電極(22)は、第1共振周波数とは異なる第2共振周波数に共振可能である。 したがって、上記引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が開示されている。 「矩形の上面と外周端面とを有する誘電体基体(11)と、 当該上面上において当該上面外周に隣接して延び、かつ第1共振周波数に共振可能な第1放射電極(21)と、 当該第1放射電極(21)に接続した励振用導体(14)と、 接地用導体(13)と、 当該第1放射電極(21)に囲まれた当該上面の空白領域上で当該第1放射電極(21)と短絡導体(23)で接続し、かつ第1共振周波数とは異なる第2共振周波数に共振可能な第2放射電極(22)と、を含む、 アンテナ装置。」 B 原審の拒絶理由に引用された特開平10-327012号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 ニ.「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、携帯型通信機器等に用いられるアンテナ装置に関する。」(2頁2欄) ホ.「【0027】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について説明する。図2は、本発明のアンテナ装置の第1実施形態を示す図、図3は、図2に示すアンテナ装置の下面図である。図2に示すアンテナ装置20は、正方形の上下面を有する直方体形状の誘電体基体21を備えており、その誘電体基体21の上面には、その上面の四辺に沿うように水平に一周する閉ループ状の放射導体膜22が形成されており、この放射導体膜22の長さは送信対象電磁波の一波長になるように調整されている。また誘電体基体21の下面には、図3に示すように、水平に広がる接地導体膜23が形成されており、この接地導体膜23は一辺の一部が切り欠かれた形状を有している。また、誘電体基体21の側面には、図2に示すように、互いに平行に上下方向に延び双方が放射導体膜22に接続されてなる一対の給電導体膜24が形成されており、一対の給電導体膜24のうちの一方の給電導体膜26は接地導体膜23とも接続され、もう一方の給電導体膜25は、図3に示すように、誘電体基体21の下面にまで達している。 【0028】このように構成されたアンテナ装置20には、誘電体基体21の上面に閉ループ状の放射導体膜22が形成されているため、1波長ループアンテナ構造を有し、放射導体膜22から放出される電磁波は、この放射導体膜22を含む平面に垂直な方向に最大利得の電磁波である。また、誘電体基体21の下面には、水平に広がる接地導体膜23が形成されているため、放射導体膜22から放出された電磁波のうちの接地導体膜23に向かう電磁波は接地導体膜23で反射される。つまりアンテナ装置20からは、放射導体膜を含む平面に垂直であって、かつ接地導体膜から放射導体膜に向かう方向に最大利得の電磁波が放射される。従って、アンテナ装置20を、例えば携帯電話に取り付ける場合に、人間が携帯電話を使用する際に接地導体膜23が人間と放射導体膜22との間に位置するように取り付けると、人間側には電磁波は放射されず、放射される電磁波は効率よく通信に使用される。また、アンテナ装置20は、誘電体基体21の表面に導体膜を形成することにより構成されているため小型化が図られる。また、放射導体膜22の形成にあたりスルーホールの形成は不要であり、製造コストの削減が図られる。 【0029】以下に、アンテナ装置20の製造方法について述べる。先ず、誘電体基体の材料を選定する。この誘電体基体の材料は、送受信される電磁波の周波数帯域において比誘電率が10?100程度で安定している材料が好ましく、例えばSr(Ni1/3 Nb2/3 )O3 系セラミックが好適である。この材料は送受信される電磁波の周波数が6GHzのときの比誘電率が30であり、Q値が1000である。」(5頁7?8欄) ヘ.「【0032】電磁波の共振周波数を1.9GHzとするとλ=61.9mmとなるため、アンテナ装置20を一波長ループアンテナとして使用するには、放射導体膜の周長LをL=61.9mmにすればよく、図2に示すように正方形状に放射導体膜を形成するには、放射導体膜の一辺の長さxをx=15.5mmにすればよい。また、1波長ループアンテナのインピーダンスは、一般的には100Ω以上の高インピーダンスであるが、放射導体膜の幅や、放射導体膜の、一方の給電導体膜に接続される部分と、放射導体膜の、他方の給電導体膜に接続される部分との間隔を調整することによりインピーダンスを低下させて給電効率を向上させることができる。例えばインピーダンスを50Ωとするには、放射導体膜の幅を2mmとし、給電導体膜の間隔を1mmとすればよい。」(6頁9欄) 上記引用例2の記載及び図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、上記摘記事項ホ.の記載、及び図2によれば、アンテナ装置は、1波長ループ状の放射導体膜(22)を含んでいる。 したがって、上記引用例2には、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が開示されている。 「1波長ループ状の放射導体膜(22)を含むアンテナ装置。」 (3)対比・判断 補正後の発明と引用発明1とを対比する。 a.引用発明1の「上面」、「誘電体基板(11)」、「第1放射電極(21)」、「励振用導体(14)」、及び「接地用導体(13)」は、その機能において、補正後の発明の「アンテナ形成面」、「積層誘電体」、「第1線状エレメント」、「給電端子」、及び「グランド端子」にそれぞれ相当する。 b.引用発明1の「と短絡導体(23)で接続し」と、補正後の発明の「の途中から分岐して当該線状導電体の途中に終着し」とは、いずれも、「と接続し」という点で一致する。 c.引用発明1の「第2放射電極(22)」と、補正後の発明の「第2線状エレメント」とは、いずれも、「第2線状エレメント」という点で一致する。 d.引用発明1の「アンテナ装置」は、誘電体基板(11)の上面上に放射電極を備えているから、誘電体アンテナということができる。 したがって、補正後の発明と引用発明1は、以下の点で一致ないし相違している。 (一致点) 「矩形のアンテナ形成面と外周端面とを有する積層誘電体と、 当該アンテナ形成面上において当該アンテナ形成面外周に隣接して延び、かつ第1共振周波数に共振可能な第1線状エレメントと、 当該線状エレメントに接続した給電端子と、 グランド端子と、 当該第1線状エレメントに囲まれた当該アンテナ形成面の空白領域上で当該第1線状エレメントと接続し、かつ当該第1共振周波数とは異なる第2共振周波数に共振可能な第2線状エレメントと、を含む、 誘電体アンテナ。」 (相違点1) 「給電端子」に関し、 補正後の発明は、当該線状エレメント「基端」に接続しているのに対し、引用発明1は、「基端」に接続していない点。 (相違点2) 補正後の発明は、「当該線状エレメント基端の近傍から当該アンテナ形成面上で分岐して当該第1線状エレメントとともに逆F型アンテナを構成する線状導電体」を含むのに対し、引用発明1は、その様な構成を含まない点。 (相違点3) 「グランド端子」に関し、 補正後の発明は、「当該線状導体先端に接続し」たものであるのに対し、引用発明1は、「当該線状導体先端に接続し」ていない点。 (相違点4) 「第2線状エレメント」の「接続」に関し、 補正後の発明は、第1線状エレメント「の途中から分岐して当該線状導電体の途中に終着し」たものであるのに対し、引用発明1は、「第1放射電極(21)と短絡導体(23)で接続し」ている点。 (相違点5) 「第2線状エレメント」に関し、 補正後の発明は、「1波長ループ状の」ものであるのに対し、引用発明1は、その様な限定がない点。 (相違点6) 補正後の発明は、「当該第2線状エレメントが、当該第1共振周波数と当該第2共振周波数とを近接させることによって広帯域化するか、又は、当該第1共振周波数と当該第2共振周波数とを離すことによってデュアルバンド化するかを、使用目的に合わせて決定可能に構成し」てあるのに対し、引用発明1は、その様な構成がない点。 そこで、まず、上記相違点1乃至4について検討する。 誘電体アンテナにおいて、線状エレメント基端の近傍からアンテナ形成面上で分岐して線状エレメントとともに逆F型アンテナを構成する線状導電体を含むことは、例えば、特開2002-100915号公報(図11)、特開2000-196339号公報(図1)に開示されるように周知であるから、引用発明1に周知技術を付加して、補正後の発明のように「当該線状エレメント基端の近傍から当該アンテナ形成面上で分岐して当該第1線状エレメントとともに逆F型アンテナを構成する線状導電体」を含むこと(相違点2)は当業者が容易に成し得ることである。また、その際、インピーダンスを考慮して、引用発明1の「励振用導体(14)」(給電端子)を、補正後の発明のように、当該線状エレメント「基端」に接続すること(相違点1)、引用発明1の「接地用導体(13)」(グランド端子)を、補正後の発明のように、「当該線状導体先端に接続す」ること(相違点3)、引用発明1の「第2放射電極(22)」(第2線状エレメント)を、補正後の発明のように、第1線状エレメント「の途中から分岐して当該線状導電体の途中に終着す」ること(相違点4)は当業者が適宜成し得ることである。 次に、上記相違点5について検討する。 引用発明2の「放射導体膜(22)」は、その機能において、補正後の発明の「第2線状エレメント」に相当し、引用発明1の「第2放射電極(22)」(第2線状エレメント)に引用発明2を適用することに格別の困難性はないから、引用発明1の「第2放射電極(22)」(第2線状エレメント)を、補正後の発明のように、「1波長ループ状の」ものとすることは当業者が容易に成し得ることである。 次に、上記相違点6について検討する。 誘電体アンテナにおいて、線状エレメントの第1共振周波数と第2共振周波数とを近接させることによって広帯域化するか、又は、当該第1共振周波数と当該第2共振周波数とを離すことによってデュアルバンド化するかを、使用目的に合わせて決定可能に構成することは、例えば、特開平9-219619号公報、特開2001-196840号公報に開示されるように周知であるから、引用発明1に周知技術を付加して、補正後の発明のように、「当該第2線状エレメントが、当該第1共振周波数と当該第2共振周波数とを近接させることによって広帯域化するか、又は、当該第1共振周波数と当該第2共振周波数とを離すことによってデュアルバンド化するかを、使用目的に合わせて決定可能に構成す」ることは当業者が容易に成し得ることである。 そして、補正後の発明の作用効果も、引用発明1、2及び周知技術から当業者が容易に予測できる範囲のものである。 以上のとおり、補正後の発明は引用発明1、2及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4.結語 したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 平成20年1月8日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は、上記「第2 補正却下の決定 1.本願発明と補正後の発明」の項で「本願発明」として認定したとおりである。 2.引用発明 引用発明は、上記「第2 補正却下の決定」の項中の「3.独立特許要件について」の項中の「(2)引用発明」の項で認定したとおりである。 3.対比・判断 本願発明は上記補正後の発明から当該本件補正に係る限定を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成に当該本件補正に係る限定を付加した補正後の発明が、上記「第2 補正却下の決定」の項中の「3.独立特許要件について」の項で検討したとおり、引用発明1、2及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであるから、本願発明も同様の理由により、容易に発明できたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明1、2及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-04-26 |
結審通知日 | 2010-04-30 |
審決日 | 2010-05-11 |
出願番号 | 特願2002-253201(P2002-253201) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(H01Q)
P 1 8・ 121- Z (H01Q) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 宮崎 賢司、安井 雅史、鈴木 圭一郎 |
特許庁審判長 |
石井 研一 |
特許庁審判官 |
松元 伸次 萩原 義則 |
発明の名称 | 誘電体アンテナ及びそれを内蔵する移動体通信機 |