• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 H01P
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01P
管理番号 1219565
審判番号 不服2008-330  
総通号数 128 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-01-07 
確定日 2010-07-09 
事件の表示 特願2000-597894「ワイドバンドインピーダンスカプラー」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 8月10日国際公開、WO00/46921、平成14年10月29日国内公表、特表2002-536904〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2000年2月1日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1999年2月2日、フィンランド)を国際出願日とする出願であって、平成19年2月9日付けで拒絶理由が通知され、同年8月20日付けで手続補正されたが、同年10月2日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成20年1月7日に拒絶査定不服の審判が請求されたものである。

第2 本願発明
特許請求の範囲の請求項4に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成19年8月20日付けで手続補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項4に記載された以下のとおりのものと認める。

「第1信号ラインのインピーダンスを第2信号ラインのインピーダンスにマッチングするための構造体であって、
誘電体材料で作られた壁と、
前記壁の中にあるテーパーされた信号ライン部であって、該信号ライン部は第1端及び第2端を有し、前記第1端は前記第1信号ラインに接続され、前記第2端は前記第2信号ラインに接続される、前記テーパーされた信号ライン部と
を備え、
前記第1信号ラインはマイクロストリップラインであり、前記第2信号ラインは非対称的なストリップラインである、前記構造体。」

第3 引用発明
A 原審の拒絶理由に引用された特開平3-64202号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

イ.「〔産業上の利用分野〕
本発明は、レーダ及び衛星通信等に使用されるマイクロ波用パッケージに関するものである。
〔従来の技術〕
第4図は、1988年1月に雑誌MSN&CTのP10?P19に掲載された従来のマイクロ波用パッケージのフィードスルーを示したものであり、同図(a)は上面から見た伝送線路のパターン図、同(b)は側面図、同図(c)は等価回路図である。第4図において、1は伝送線路、2a,2bは各々のセラミック基板、3a,3bはこれらセラミック基板2a,2bの一面に形成されたグランドパターン、4は分布定数線路、5はキャパシタである。
すなわち、従来のマイクロ波用パッケージのフィードスルーは、第4図(a)に示すように、トリプレート部つまり基板が2枚重なっている部分13の中で伝送線路1をステップ状にすることにより整合をとっている。そして、その整合部は、同図(c)に示すような等価回路で置き換えられる。この時、同図から分かるように整合は、3つの分布定数線路4とステップ部及びマイクロストリップとトリプレートの境界部の4つのキャパシタ5によりとられている。」(1頁左下欄10行?右下欄12行)

ロ.「〔実施例〕
以下、本発明の実施例を図について説明する。
第1図は本発明の一実施例によるマイクロ波用パッケージのフィードスルーを示すものであり、同図(a)は上面から見た伝送線路のパターン図、同図(b)は側面図、同図(c)は等価回路図である。すなわち、この実施例のマイクロ波用パッケージのフィードスルーが第4図に示した従来例のものと異なる点は、第1図(a)から分かるように伝送線路1のパターンを、そのマイクロストリップとトリプレート13の変換部においてテーパー状にして、そのフィードスル一部における伝送線路1にテーパー部11,12を施したことである。なお図中、同一符号は同一または相当部分を示している。
このように構成されたマイクロ波用パッケージのフィードスルーによると、伝送線路1におけるテーパー部分11,12の等価回路は、第1図(c)に示したように、無数の分布定数線路4とキャパシタ5の組み合わせから成り立つことになるので、2枚の基板2a,2bを接合する時に多少の位置ずれが生じた場合でも、その無数の素子(分布定数線路4とキャパシタ5)の一部の素子の定数が変化するに過ぎず、全体の整合状態の変化の割合が小さくなる。このため、組立時の位置ずれに対する特性変化の割合の小さいマイクロ波用パッケージを得ることができる。
なお、上記実施例では、マイクロストリップとトリプレートの境界部がテーパー部11,12の間にあるものを示したが、第2図,第3図に示すようにテーパー部11及び12の端面にあってもよく(第2図はテーパー部がマイクロストリップ部,第3図はトリプレート部に属している)、いずれの場合も上記実施例と同様の効果を奏する。」(2頁左上欄17行?左下欄9行)

上記引用例1の記載及び図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、上記摘記事項イ.、ロ.における「第3図に示すようにテーパー部11及び12の端面にあってもよく(第2図はテーパー部がマイクロストリップ部,第3図はトリプレート部に属している)、いずれの場合も上記実施例と同様の効果を奏する。」との記載、及び第3図によれば、マイクロ波用パッケージのフィードスルーは、伝送線路(1)のインピーダンスをトリプレート部(13)のストリップラインのインピーダンスに整合するためのものであって、セラミックで作られた壁と、前記壁の中にあるテーパー部(11)であって、該テーパー部(11)は第1端及び第2端を有し、前記第1端は前記伝送線路(1)に接続され、前記第2端は前記トリプレート部(13)のストリップラインに接続される、前記テーパー部(11)とを備えていることが読み取れる。
また、前記伝送線路(1)はマイクロストリップラインであり、前記トリプレート部(13)のストリップラインはストリップラインであることが見て取れる。

したがって、引用例1には以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。

「伝送線路(1)のインピーダンスをトリプレート部(13)のストリップラインのインピーダンスに整合するためのマイクロ波用パッケージのフィードスルーであって、
セラミックで作られた壁と、
前記壁の中にあるテーパー部(11)であって、該テーパー部(11)は第1端及び第2端を有し、前記第1端は前記伝送線路(1)に接続され、前記第2端は前記トリプレート部(13)のストリップラインに接続される、前記テーパー部(11)と
を備え、
前記伝送線路(1)はマイクロストリップラインであり、前記トリプレート部(13)のストリップラインはストリップラインである、前記マイクロ波用パッケージのフィードスルー。」

B 原審の拒絶理由に引用された特開平5-199020号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

ハ.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、回路を構成する回路部品及び集積回路を、一面開放のパッケージ本体に収容し、側壁を貫通する接続端子を備え、該開放面に蓋を鑞付けして、内部を気密に封止する高周波用回路パッケージに関する。」(2頁1欄)

ニ.「【0013】
【作用】即ち、接続端子1,11は、内部収容回路と接続する貫通導体3,31の一端は、収容回路と同面位置としてあり、外部にて接続する導体面6はそれより高く段差が設けてあるので、図3に示すように、数個の回路パッケージ8(81) を列設し、相隣れる接続端子1(11) 間を金リボン15にてボンディング接続するのに、ボンディング面が接続導体面6であり、奥まらず略オープン状態にて接続作業が容易確実に行え、小形微細化にも支障なく十分に対応できる。
【0014】この段差を設けるのに、図1のように、角材B4にスルーホール5を設けて、接続導体面6と貫通導体3とを連結し、その長さ分段差が得られる。又、図2のように、角材B41に接続導体55を被着形成し、一端面を接続導体面6とし、他端面を貫通導体31に重置接続させて連結し、両端面間の距離分の段差が得られる。
【0015】尚、何れの接続端子1,11においても、その特性インピーダンスを所望の値に整合させることができる。これは、チップ側導体(貫通導体3,33、スルーホール5及び接続導体55)の構造の異なる部分毎に、マイクロストリップラインや角形同軸線路等に見立て、パターン形状を変えるだけで所望の特性インピーダンス値に合わせることは可能である。
【0016】かくして、本発明により、列設した高周波用回路パッケージの接続端子間を接続するのに、生産性及び信頼性を阻害することの無い回路パッケージ構造を提供することが可能となる。」(3頁3?4欄)

ホ.「【0017】
【実施例】以下図面に示す実施例によって本発明を具体的に説明する。全図を通し同一符号は同一対象物を示す。図1に本発明の一実施例の回路パッケージを示し、(a)は構成斜視図、(b) は接続端子の拡大図、(c) は同矢視図、図2に本発明の他の実施例の回路パッケージを示し、(a) は構成斜視図、(b) は接続端子の拡大図、(c) は同矢視図、図3に本発明の回路パッケージの列設側面図を示す。
【0018】本実施例は何れも準ミリ波回路の回路パッケージに試作したものである。一実施例は、図1の(a) に示す如くで、回路パッケージ8は銅のパッケージ本体9と蓋91とから成り、回路を構成する回路部品及び集積回路を、一面開放のパッケージ本体9に収容し、周縁の側壁92を貫通する接続端子1を備え、開放面に蓋91を鑞付けして内部収容回路を気密に封止する構造である。
【0019】接続端子1は図1の(b)(c)に示すように、セラミックの角材A2と角材B4とから成り、角材A2は長 1.5×幅 1.2×厚 0.2mmで、一面に一端から長手方向に途中まで所定形状にメタライズしてタングステンの貫通導体3が被着してあり、又、角材B4は長1×幅 1.2×厚 0.8mmで、内面にタングステンをメタライズしたスルーホール5を厚方向の所定位置に設け、スルーホール5の両端はタングステンをメタライズして所定形状に成形した接続導体面6と接続面65とに導通している。
【0020】角材A2の貫通導体3の面に、角材B4をスルーホール5の一端の接続面65を貫通端子3に重置導通させて所定位置に積層させ、その外部面に所定の接地用導体7を被着させて一体に固化させて接続端子1が完成する。」(3頁4欄)

上記引用例2の記載及び図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、上記摘記事項ホ.の【0019】における「接続端子1は図1の(b)(c)に示すように、セラミックの角材A2と角材B4とから成り、角材A2は長 1.5×幅 1.2×厚 0.2mmで、一面に一端から長手方向に途中まで所定形状にメタライズしてタングステンの貫通導体3が被着してあり、又、角材B4は長1×幅 1.2×厚 0.8mm」との記載、及び図1によれば、高周波用パッケージの接続端子(1)の貫通導体(3)に接続される角材(A2)と角材(B4)間のストリップラインは非対称的であることが読み取れる。

したがって、引用例2には以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている。

「高周波用パッケージの接続端子(1)において、角材(A2)と角材(B4)間のストリップラインを非対称的にすること。」

第4 対比
本願発明と引用発明1とを対比する。
a.引用発明1の「伝送線路(1)」、「トリプレート部(13)のストリップライン」、「整合」、「セラミック」、及び「テーパー部(11)」は、本願発明の「第1信号ライン」、「第2の信号ライン」、「マッチング」、「誘電体材料」、及び「テーパーされた信号ライン部」に対応する構成であり、それぞれの間に実質的な差異はない。
b.引用発明1の「マイクロ波用パッケージのフィードスルー」は、構造体である。

したがって、本願発明と引用発明1は、以下の点で一致ないし相違する。

<一致点>

「第1信号ラインのインピーダンスを第2信号ラインのインピーダンスにマッチングするための構造体であって、
誘電体材料で作られた壁と、
前記壁の中にあるテーパーされた信号ライン部であって、該信号ライン部は第1端及び第2端を有し、前記第1端は前記第1信号ラインに接続され、前記第2端は前記第2信号ラインに接続される、前記テーパーされた信号ライン部と
を備え、
前記第1信号ラインはマイクロストリップラインであり、前記第2信号ラインはストリップラインである、前記構造体。」

<相違点>

「第2信号ライン」に関し、
本願発明は、「非対称的な」ものであるのに対し、引用発明1は、非対称的か否か不明である点。

第5 判断
そこで、上記相違点について検討する。
引用発明2の「高周波用パッケージの接続端子(1)」及び「角材(A2)と角材(B4)間のストリップライン」は、本願発明の「構造体」及び「第2信号ライン」にそれぞれ相当し、引用発明1と引用発明2は、いずれも共通の技術分野に属しており、引用発明1に引用発明2を採用することに特段の阻害要因は見あたらないから、引用発明1の「トリプレート部(13)のストリップライン」(第2信号ライン)に引用発明2を適用し、本願発明のように「非対称的な」ものとすることは当業者が容易に成し得ることである。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明1及び2から当業者が容易に予測できる範囲のものである。

第6 先願発明
C 原審の拒絶理由に引用された本願の出願日前の他の出願であって、その出願後に出願公開された特願平10-205695号(特開平11-339898号)の願書に最初に添付された明細書又は図面(以下、「先願明細書」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

ヘ.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高周波回路用パッケージの高周波入出力部に使用される高周波用入出力端子およびそれを用いた高周波回路用パッケージに関する。」(2頁1欄)

ト.「【0023】次に、図3および図4は本発明の第2の高周波用入出力端子の実施の形態の一例を示すものであり、図3は図1と同様の斜視図、図4は図2と同様の上面図である。
【0024】これらの図において、11’は誘電体基板、12’は誘電体基板の下面に形成された下部接地導体、13’は誘電体基板11’の上面に形成された線路導体、14’は誘電体基板11’の上面に線路導体13’の一部を挟持して接合された誘電体壁部材、15’は誘電体壁部材14’の上面に形成された上部接地導体である。誘電体基板11’と誘電体壁部材14’との接合部でハーメチックシール部が構成されており、このハーメチックシール部の前後の部分の線路導体13’がマイクロストリップ線路13a’となり、ハーメチックシール部において誘電体基板11’と誘電体壁部材14’とに挟持された部位の線路導体13’がストリップ線路13b’となる。
【0025】この第2の高周波用入出力端子においても、ストリップ線路13b’の部分の線路幅は、ハーメチックシール部の両端においてはマイクロストリップ線路13a’の線路幅と等しくされてマイクロストリップ線路13a’と接続されており、テーパー部においては、線路導体13’の各辺を接線の傾きの変化が連続な曲線形状として狭くされている。すなわち、この線路幅の変化は、ストリップ線路13b’の全体にわたって線路導体13’の辺に対する接線の傾きの変化が連続的であるような曲線、つまりその曲線が変化する区間にわたって一階の導関数が連続であるような関数で表現される曲線の形状に従って変化しており、ストリップ線路13b’の両端部の線路幅の変化が終了する部位においては、その辺に対する接線がマイクロストリップ線路13a’の辺に対する接線と共通になるような構造となっている。従って、本発明の高周波用入出力端子におけるストリップ線路13b’の部分は、従来の高周波用入出力端子におけるストリップ線路3bのように一定の線路幅の部分を有していても、その線路幅が連続的に変化しており、急激かつ不連続な変化はないものとなっている。
【0026】このような本発明の第2の高周波用入出力端子によれば、ストリップ線路13b’の部分において従来の線路導体3のように線路導体13’の線路幅の急激な不連続部を有していないため、高い周波数の高周波信号に対しても急激な線路幅の変化によって反射特性が悪化することがなく、良好な伝送特性を有する高周波用入出力端子となる。」(4頁6欄)

チ.「【0032】本発明の高周波用入出力端子において、誘電体基板11・11’および誘電体壁部材14・14’としては、例えばアルミナやムライト等のセラミックス材料、ガラスセラミックス等の無機系材料、あるいはテフロン(PTFE)・ガラスエポキシ・ポリイミド等の有機樹脂系材料等が用いられる。
【0033】これら誘電体基板11・11’の厚みや幅、および誘電体壁部材14・14’の高さや幅・線路導体13・13’を挟持する部位の壁厚みは、伝送される使用高周波信号の周波数において必要とする特性に応じて適宜設定される。」(5頁7?8欄)

上記先願明細書の記載及び図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、上記摘記事項ト.の【0023】?【0025】の記載、図3及び図4によれば、高周波用入出力端子は、マイクロストリップ線路(13a’)のインピーダンスをストリップ線路(13b’)のインピーダンスにマッチングするためのものであって、誘電体材料で作られた誘電体壁部材(14’)と、前記誘電体壁部材(14’)の中にあるテーパー部であって、該テーパー部は第1端及び第2端を有し、前記第1端は前記マイクロストリップ線路(13a’)に接続され、前記第2端は前記ストリップ線路(13b’)に接続される、前記テーパー部とを備えていることが読み取れる。
また、前記マイクロストリップ線路(13a’)はマイクロストリップラインであり、前記ストリップ線路(13b’)はストリップラインである。

したがって、先願明細書には以下の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されている。

「マイクロストリップ線路(13a’)のインピーダンスをストリップ線路(13b’)のインピーダンスにマッチングするための高周波用入出力端子であって、
誘電体材料で作られた誘電体壁部材(14’)と、
前記誘電体壁部材(14’)の中にあるテーパー部であって、該テーパー部は第1端及び第2端を有し、前記第1端は前記マイクロストリップ線路(13a’)に接続され、前記第2端は前記ストリップ線路(13b’)に接続される、前記テーパー部と
を備え、
前記マイクロストリップ線路(13a’)はマイクロストリップラインであり、前記ストリップ線路(13b’)はストリップラインである、前記高周波用入出力端子。」

第7 対比・判断
本願発明と先願発明とを対比する。
c.先願発明の「マイクロストリップ線路(13a’)」、「ストリップ線路(13b’)」、「誘電体壁部材(14’)」、及び「テーパー部」は、本願発明の「第1信号ライン」、「第2の信号ライン」、「壁」、及び「テーパーされた信号ライン部」に対応する構成であり、それぞれの間に実質的な差異はない。
d.引用発明1の「高周波用入出力端子」は、構造体である。

したがって、本願発明と先願発明は、以下の点で一致し、以下の点で一応相違する。

<一致点>

「第1信号ラインのインピーダンスを第2信号ラインのインピーダンスにマッチングするための構造体であって、
誘電体材料で作られた壁と、
前記壁の中にあるテーパーされた信号ライン部であって、該信号ライン部は第1端及び第2端を有し、前記第1端は前記第1信号ラインに接続され、前記第2端は前記第2信号ラインに接続される、前記テーパーされた信号ライン部と
を備え、
前記第1信号ラインはマイクロストリップラインであり、前記第2信号ラインはストリップラインである、前記構造体。」

<相違点>

「第2信号ライン」に関し、
本願発明は、「非対称的な」ものであるのに対し、先願発明は、非対称的か否か不明である点。

そこで、上記相違点について検討する。
先願明細書の上記摘記事項チ.の【0033】には、「これら誘電体基板11・11’の厚みや幅、および誘電体壁部材14・14’の高さや幅・線路導体13・13’を挟持する部位の壁厚みは、伝送される使用高周波信号の周波数において必要とする特性に応じて適宜設定される。」と記載されており、誘電体基板(11’)の厚みと誘電体壁部材(14’)の厚みとが異なることは、先願明細書において想定されていることである。その場合は、先願発明の「ストリップ線路(13b’)」(第2信号ライン)は、非対称的なものとなるわけであるから、上記相違点は実質的なものではなく、本願発明と先願発明とは、実質的に同一である。

第8 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。また、本願発明は、先願明細書に記載された発明と同一であり、しかも、先願明細書に記載された発明をした者が本願発明の発明者であるとも、又、本願の出願の時に、その出願人が先願明細書の出願人と同一であるとも認められないから、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2010-01-28 
結審通知日 2010-02-10 
審決日 2010-02-24 
出願番号 特願2000-597894(P2000-597894)
審決分類 P 1 8・ 161- Z (H01P)
P 1 8・ 121- Z (H01P)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮崎 賢司  
特許庁審判長 竹井 文雄
特許庁審判官 萩原 義則
高野 洋
発明の名称 ワイドバンドインピーダンスカプラー  
代理人 西島 孝喜  
代理人 箱田 篤  
代理人 宍戸 嘉一  
代理人 小川 信夫  
代理人 大塚 文昭  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 中村 稔  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ