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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1219590
審判番号 不服2008-23221  
総通号数 128 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-09-10 
確定日 2010-07-05 
事件の表示 特願2005-214851「コンテンツ提供プログラム及びコンテンツ取得プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 1月26日出願公開、特開2006- 24226〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯

本願は、特許法第41条に基づく優先権主張を伴う平成17年 7月25日(優先日:平成13年 2月22日、出願番号:特願2001-45905号)に出願した特願2002-20766号の一部を平成17年 7月25日に新たな特許出願としたものであって、平成20年 4月11日付けで拒絶理由が通知され、これに対して同年 6月17日付けで手続補正書が提出されたが、同年 8月14日付けで拒絶査定され、これに対して同年 9月10日付けで拒絶査定不服審判が請求されると共に、同年10月 9日付けで手続補正書が提出されたものである。

2.平成20年10月 9日付けでした手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成20年10月 9日付けでした手続補正を却下する。

[理由]

(1)補正の内容について

平成20年 6月17日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲は、平成20年10月 9日付けでした手続補正(以下、「本件補正」という。)により、以下のとおり補正された。

<<本件補正前の特許請求の範囲>>

「 【請求項1】
複数種類のコンテンツデータの中から顧客が所望する顧客所望コンテンツデータを選択させるための、移動可能な人物を表す人物画像、及び上記コンテンツデータに基づくコンテンツのジャンル毎の棚を表す店内画像を有する3次元画像を記憶する画像記憶手段と、
コンテンツ取得装置から送信された画像要求を受信する画像要求受信手段と、
上記画像要求受信手段により受信された上記画像要求に応じて上記画像記憶手段から上記3次元画像を検索して読み出し、当該読み出した上記3次元画像を上記コンテンツ取得装置に送信する画像送信手段と、
上記コンテンツ取得装置から上記3次元画像の表示状態に応じて送信された視聴要求を受信する視聴要求受信手段と、
上記視聴要求受信手段により受信された上記視聴要求に対応する上記コンテンツデータに基づく上記コンテンツの視聴用データをストリーミング形式で上記コンテンツ取得装置に送信するデータ送信手段と
を具え、
上記視聴要求受信手段は、
上記コンテンツ提供装置から上記3次元画像の上記表示状態としての複数の上記棚を有する上記店内画像内で上記人物画像が特定の上記棚の正面に向いたときに送信された、当該棚の上記ジャンルに属する上記コンテンツデータに基づく上記コンテンツの視聴を要求する上記視聴要求を受信する
コンテンツ提供装置。
【請求項2】
上記画像記憶手段は、
コンテンツ視聴要求用の選択項目を含む上記3次元画像を記憶し、
上記視聴要求受信手段は、
上記コンテンツ取得装置から上記3次元画像の上記表示状態としての当該3次元画像内の上記選択項目の表示状態に応じて送信された上記視聴要求を受信する
請求項1に記載のコンテンツ提供装置。
【請求項3】
上記視聴要求受信手段は、
上記コンテンツ取得装置から上記3次元画像の上記表示状態に応じて送信された、上記コンテンツデータのジャンル、当該コンテンツデータに基づく上記コンテンツのアーティスト及び又は上記コンテンツデータのタイトルを表す上記視聴要求を受信する
請求項1に記載のコンテンツ提供装置。
【請求項4】
上記データ送信手段は、
上記視聴要求に対応する上記コンテンツデータの再生時間よりも短い再生時間を有する上記視聴用データを上記ストリーミング形式で上記コンテンツ取得装置に送信する
請求項1に記載のコンテンツ提供装置。
【請求項5】
コンテンツ取得装置から送信された画像要求を受信する画像要求受信ステップと、
上記画像要求受信ステップで受信された上記画像要求に応じて、複数種類のコンテンツデータの中から顧客が所望する顧客所望コンテンツデータを選択させるための、移動可能な人物を表す人物画像、及び上記コンテンツデータに基づくコンテンツのジャンル毎の棚を表す店内画像を有する3次元画像を検索して上記コンテンツ取得装置に送信する画像送信ステップと、
上記コンテンツ取得装置から上記3次元画像の表示状態に応じて送信された視聴要求を受信する視聴要求受信ステップと、
上記視聴要求受信ステップで受信された上記視聴要求に対応する上記コンテンツデータに基づく上記コンテンツの視聴用データをストリーミング形式で上記コンテンツ取得装置に送信するデータ送信ステップと
を具え、
上記視聴要求受信ステップは、
上記コンテンツ提供装置から上記3次元画像の上記表示状態としての複数の上記棚を有する上記店内画像内で上記人物画像が特定の上記棚の正面に向いたときに送信された、当該棚の上記ジャンルに属する上記コンテンツデータに基づく上記コンテンツの視聴を要求する上記視聴要求を受信する
コンテンツ提供方法。
【請求項6】
上記画像送信ステップは、
上記画像要求に応じて、コンテンツ視聴要求用の選択項目を含む上記3次元画像を上記コンテンツ取得装置に送信し、
上記視聴要求受信ステップは、
上記コンテンツ取得装置から上記3次元画像の上記表示状態としての当該3次元画像内の上記選択項目の表示状態に応じて送信された上記視聴要求を受信する
請求項5に記載のコンテンツ提供方法。
【請求項7】
上記視聴要求受信ステップは、
上記コンテンツ取得装置から上記3次元画像の上記表示状態に応じて送信された、上記コンテンツデータのジャンル、当該コンテンツデータに基づく上記コンテンツのアーティスト及び又は上記コンテンツデータのタイトルを表す上記視聴要求を受信する
請求項5に記載のコンテンツ提供方法。
【請求項8】
上記データ送信ステップは、
上記視聴要求に対応する上記コンテンツデータの再生時間よりも短い再生時間を有する上記視聴用データを上記ストリーミング形式で上記コンテンツ取得装置に送信する
請求項5に記載のコンテンツ提供方法。
【請求項9】
コンテンツ提供装置に対して、
コンテンツ取得装置から送信された画像要求を受信する画像要求受信ステップと、
上記画像要求受信ステップで受信された上記画像要求に応じて、複数種類のコンテンツデータの中から顧客が所望する顧客所望コンテンツデータを選択させるための、移動可能な人物を表す人物画像、及び上記コンテンツデータに基づくコンテンツのジャンル毎の棚を表す店内画像を有する3次元画像を検索して上記コンテンツ取得装置に送信する画像送信ステップと、
上記コンテンツ取得装置から上記3次元画像の表示状態に応じて送信された視聴要求を受信する視聴要求受信ステップと、
上記視聴要求受信ステップで受信された上記視聴要求に対応する上記コンテンツデータに基づく上記コンテンツの視聴用データをストリーミング形式で上記コンテンツ取得装置に送信するデータ送信ステップと
を実行させ、
上記視聴要求受信ステップでは、
上記コンテンツ提供装置から上記3次元画像の上記表示状態としての複数の上記棚を有する上記店内画像内で上記人物画像が特定の上記棚の正面に向いたときに送信された、当該棚の上記ジャンルに属する上記コンテンツデータに基づく上記コンテンツの視聴を要求する上記視聴要求を受信させる
ためのコンテンツ提供プログラム。
【請求項10】
上記データ送信ステップでは、
上記視聴要求受信ステップで受信された上記視聴要求に対応する上記コンテンツデータに基づく上記コンテンツの視聴用データとして、複数の上記棚を有する上記店内画像内で上記人物画像が向いた特定の上記棚の上記ジャンルに属する複数の上記コンテンツデータの一部を、所定秒ずつ再生させるようにストリーミング形式で上記コンテンツ取得装置に送信させる
ための請求項9に記載のコンテンツ提供プログラム。
【請求項11】
上記店内画像は、
現実の店内をほぼ忠実に再現した3次元仮想現実空間画像である
請求項9に記載のコンテンツ提供プログラム。
【請求項12】
各種操作命令を入力するための入力手段と、
上記入力手段を介して入力された画像要求命令に応じてコンテンツ提供装置に画像要求を送信する画像要求送信手段と、
上記画像要求送信手段による上記画像要求の送信の結果、上記コンテンツ提供装置から上記画像要求に応じて送信された、複数種類のコンテンツデータの中から顧客が所望する顧客所望コンテンツデータを選択させるための、移動可能な人物を表す人物画像、及び上記コンテンツデータに基づくコンテンツのジャンル毎の棚を表す店内画像を有する3次元画像を受信する画像受信手段と、
上記画像受信手段により受信された上記3次元画像を所定の表示手段に表示するようにして、上記3次元画像が受信される毎に上記表示手段に先に表示している上記3次元画像に替えて当該受信された上記3次元画像を表示するように当該3次元画像の表示を切り替えると共に、上記入力手段を介して入力された表示状態変更命令に応じて上記表示手段に表示している上記3次元画像の上記表示状態を変更する表示制御手段と、
上記表示制御手段により上記表示手段に表示された上記3次元画像の上記表示状態に応じて視聴要求を上記コンテンツ提供装置に送信する視聴要求送信手段と、
上記視聴要求送信手段による上記視聴要求の送信の結果、上記コンテンツ提供装置から上記視聴要求に応じてストリーミング形式で送信された、当該視聴要求に対応する上記コンテンツデータに基づく上記コンテンツの視聴用データを受信するデータ受信手段と、
上記データ受信手段により受信された上記視聴用データをストリーミング再生して上記コンテンツの内容を視聴させる再生手段と
を具え、
上記表示制御手段は、
上記入力手段を介して入力された上記表示状態変更命令に応じて上記3次元画像の上記表示状態として、複数の上記棚を有する上記店内画像内で上記人物画像の位置を変更し、
上記視聴要求送信手段は、
複数の上記棚を有する上記店内画像内で上記人物画像が特定の上記棚の正面に向いたとき、当該棚の上記ジャンルに属する上記コンテンツデータに基づく上記コンテンツの視聴を要求する上記視聴要求を上記コンテンツ提供装置に送信する
コンテンツ取得装置。
【請求項13】
上記画像受信手段は、
上記画像要求に応じて上記コンテンツ提供装置から送信された、コンテンツ視聴要求用の選択項目を含む上記3次元画像を受信し、
上記表示制御手段は、
上記入力手段を介して入力された上記表示状態変更命令に応じて上記3次元画像の上記表示状態として当該3次元画像内の上記選択項目の表示状態を変更し、
上記視聴要求送信手段は、
上記3次元画像内の上記選択項目の上記表示状態に応じて上記視聴要求を上記コンテンツ提供装置に送信する
請求項12に記載のコンテンツ取得装置。
【請求項14】
上記視聴要求送信手段は、
上記3次元画像の上記表示状態に応じて上記コンテンツデータのジャンル、当該コンテンツデータに基づく上記コンテンツのアーティスト及び又は上記コンテンツデータのタイトルを表す上記視聴要求を上記コンテンツ提供装置に送信する
請求項12に記載のコンテンツ取得装置。
【請求項15】
上記データ受信手段は、
上記コンテンツ提供装置から上記視聴要求に応じて上記ストリーミング形式で送信された、当該視聴要求に対応する上記コンテンツデータの再生時間よりも短い再生時間を有する上記視聴用データを受信する
請求項12に記載のコンテンツ取得装置。
【請求項16】
上記再生手段は、
上記視聴用データをフェードイン処理及び又はフェードアウト処理して上記ストリーミング再生する
請求項15に記載のコンテンツ取得装置。
【請求項17】
各種操作命令を入力するための入力手段を介して入力された画像要求命令に応じてコンテンツ提供装置に画像要求を送信する画像要求送信ステップと、
上記画像要求送信ステップで上記画像要求を送信した結果、上記コンテンツ提供装置から上記画像要求に応じて送信された、複数種類のコンテンツデータの中から顧客が所望する顧客所望コンテンツデータを選択させるための、移動可能な人物を表す人物画像、及び上記コンテンツデータに基づくコンテンツのジャンル毎の棚を表す店内画像を有する3次元画像を受信する画像受信ステップと、
上記画像受信ステップで受信された上記3次元画像を所定の表示手段に表示するようにして、上記3次元画像が受信される毎に上記表示手段に先に表示している上記3次元画像に替えて当該受信された上記3次元画像を表示するように当該3次元画像の表示を切り替えると共に、上記入力手段を介して入力された表示状態変更命令に応じて上記表示手段に表示している上記3次元画像の上記表示状態を変更する表示制御ステップと、
上記表示制御ステップで上記表示手段に表示された上記3次元画像の上記表示状態に応じて視聴要求を上記コンテンツ提供装置に送信する視聴要求送信ステップと、
上記視聴要求送信ステップで上記視聴要求を送信した結果、上記コンテンツ提供装置から上記視聴要求に応じてストリーミング形式で送信された、当該視聴要求に対応する上記コンテンツデータに基づく上記コンテンツの視聴用データを受信するデータ受信ステップと、
上記データ受信ステップで受信された上記視聴用データをストリーミング再生して上記コンテンツの内容を視聴させる再生ステップと
を具え、
上記表示制御ステップは、
上記入力手段を介して入力された上記表示状態変更命令に応じて上記3次元画像の上記表示状態として、複数の上記棚を有する上記店内画像内で上記人物画像の位置を変更し、
上記視聴要求送信ステップは、
複数の上記棚を有する上記店内画像内で上記人物画像が特定の上記棚の正面に向いたとき、当該棚の上記ジャンルに属する上記コンテンツデータに基づく上記コンテンツの視聴を要求する上記視聴要求を上記コンテンツ提供装置に送信する
コンテンツ取得方法。
【請求項18】
上記画像受信ステップは、
上記画像要求に応じて上記コンテンツ提供装置から送信された、コンテンツ視聴要求用の選択項目を含む上記3次元画像を受信し、
上記表示制御ステップは、
上記入力手段を介して入力された上記表示状態変更命令に応じて上記3次元画像の上記表示状態として当該3次元画像内の上記選択項目の表示状態を変更し、
上記視聴要求送信ステップは、
上記3次元画像内の上記選択項目の上記表示状態に応じて上記視聴要求を上記コンテンツ提供装置に送信する
請求項17に記載のコンテンツ取得方法。
【請求項19】
上記視聴要求送信ステップは、
上記3次元画像の上記表示状態に応じて上記コンテンツデータのジャンル、当該コンテンツデータに基づく上記コンテンツのアーティスト及び又は上記コンテンツデータのタイトルを表す上記視聴要求を上記コンテンツ提供装置に送信する
請求項17に記載のコンテンツ取得方法。
【請求項20】
上記データ受信ステップは、
上記コンテンツ提供装置から上記視聴要求に応じて上記ストリーミング形式で送信された、当該視聴要求に対応する上記コンテンツデータの再生時間よりも短い再生時間を有する上記視聴用データを受信する
請求項17に記載のコンテンツ取得方法。
【請求項21】
上記再生ステップは、
上記視聴用データをフェードイン処理及び又はフェードアウト処理して上記ストリーミング再生する
ことを特徴とする請求項20に記載のコンテンツ取得方法。
【請求項22】
コンテンツ取得装置に対して、
各種操作命令を入力するための入力手段を介して入力された画像要求命令に応じてコンテンツ提供装置に画像要求を送信する画像要求送信ステップと、
上記画像要求送信ステップで上記画像要求を送信した結果、上記コンテンツ提供装置から上記画像要求に応じて送信された、複数種類のコンテンツデータの中から顧客が所望する顧客所望コンテンツデータを選択させるための、移動可能な人物を表す人物画像、及び上記コンテンツデータに基づくコンテンツのジャンル毎の棚を表す店内画像を有する3次元画像を受信する画像受信ステップと、
上記画像受信ステップで受信された上記3次元画像を所定の表示手段に表示するようにして、上記3次元画像が受信される毎に上記表示手段に先に表示している上記3次元画像に替えて当該受信された上記3次元画像を表示するように当該3次元画像の表示を切り替えると共に、上記入力手段を介して入力された表示状態変更命令に応じて上記表示手段に表示している上記3次元画像の上記表示状態を変更する表示制御ステップと、
上記表示制御ステップで上記表示手段に表示された上記3次元画像の上記表示状態に応じて視聴要求を上記コンテンツ提供装置に送信する視聴要求送信ステップと、
上記視聴要求送信ステップで上記視聴要求を送信した結果、上記コンテンツ提供装置から上記視聴要求に応じて上記ストリーミング形式で送信された、当該視聴要求に対応する上記コンテンツデータに基づく上記コンテンツの視聴用データを受信するデータ受信ステップと、
上記データ受信ステップで受信された上記視聴用データをストリーミング再生して上記コンテンツの内容を視聴させる再生ステップと
を実行させ、
上記表示制御ステップでは、
上記入力手段を介して入力された上記表示状態変更命令に応じて上記3次元画像の上記表示状態として、複数の上記棚を有する上記店内画像内で上記人物画像の位置を変更させ、
上記視聴要求送信ステップでは、
複数の上記棚を有する上記店内画像内で上記人物画像が特定の上記棚の正面に向いたとき、当該棚の上記ジャンルに属する上記コンテンツデータに基づく上記コンテンツの視聴を要求する上記視聴要求を上記コンテンツ提供装置に送信させる
ためのコンテンツ取得プログラム。
【請求項23】
上記データ受信ステップでは、
上記視聴要求送信ステップで上記視聴要求を送信した結果、上記コンテンツ提供装置から上記視聴要求に応じて上記ストリーミング形式で送信された、当該視聴要求に対応する上記コンテンツデータに基づく上記コンテンツの視聴用データとして、複数の上記棚を有する上記店内画像内で上記人物画像が向いた特定の上記棚の上記ジャンルに属する複数の上記コンテンツデータの一部を順次受信させ、
上記再生ステップでは、
上記データ受信ステップで受信された複数の上記コンテンツデータの一部を所定秒ずつストリーミング再生して上記コンテンツの内容を視聴させる
ための請求項22に記載のコンテンツ取得プログラム。
【請求項24】
上記店内画像は、
現実の店内をほぼ忠実に再現した3次元仮想現実空間画像である
請求項22に記載のコンテンツ取得プログラム。」

<<本件補正後の特許請求の範囲>>

「 【請求項1】
コンテンツ提供装置に、
コンテンツ取得装置から送信された画像要求を受信する画像要求受信ステップと、
上記画像要求受信ステップで受信された上記画像要求に応じて、現実の店内をコンテンツデータに基づくコンテンツのジャンル毎の棚を有するようにほぼ忠実に再現して顧客に俯瞰的に見せるための3次元仮想現実空間画像である店内画像と、当該店内画像内で複数種類の上記コンテンツデータの中から顧客が所望する顧客所望コンテンツデータを選択させるために移動可能な人物を表す人物画像とを有する3次元画像を検索して上記コンテンツ取得装置に送信する画像送信ステップと、
上記コンテンツ取得装置から、上記3次元画像の上記店内画像内で上記人物画像が複数の上記棚のうち特定の棚の正面に向いたときに送信された、当該特定の棚の上記ジャンルに属する上記コンテンツデータに基づく上記コンテンツの視聴を要求する視聴要求を受信する視聴要求受信ステップと、
上記視聴要求受信ステップで受信された上記視聴要求に対応する上記コンテンツデータに基づく上記コンテンツの視聴用データとして、上記店内画像内で上記人物画像が向いた上記特定の棚の上記ジャンルに属する複数の上記コンテンツデータの一部を、所定秒ずつ再生させるようにストリーミング形式で上記コンテンツ取得装置に送信するデータ送信ステップと
を実行させるためのコンテンツ提供プログラム。
【請求項2】
コンテンツ取得装置に、
各種操作命令を入力するための入力手段を介して入力された画像要求命令に応じてコンテンツ提供装置に画像要求を送信する画像要求送信ステップと、
上記画像要求送信ステップで上記画像要求を送信した結果、上記コンテンツ提供装置から上記画像要求に応じて送信された、現実の店内をコンテンツデータに基づくコンテンツのジャンル毎の棚を有するようにほぼ忠実に再現して顧客に俯瞰的に見せるための3次元仮想現実空間画像である店内画像と、当該店内画像内で複数種類の上記コンテンツデータの中から顧客が所望する顧客所望コンテンツデータを選択させるために移動可能な人物を表す人物画像とを有する3次元画像を受信する画像受信ステップと、
上記画像受信ステップで受信された上記3次元画像を所定の表示手段に表示するようにして、上記3次元画像が受信される毎に上記表示手段に、先に表示している上記3次元画像に替えて当該受信された上記3次元画像を表示するように当該3次元画像の表示を切り替えると共に、上記入力手段を介して入力された表示状態変更命令に応じて上記3次元画像の上記店内画像内で上記人物画像の位置を変更する表示制御ステップと、
上記表示制御ステップで上記表示手段に表示された上記3次元画像の上記店内画像内で上記人物画像が複数の上記棚のうち特定の棚の正面に向いたとき、当該特定の棚の上記ジャンルに属する上記コンテンツデータに基づく上記コンテンツの視聴を要求する視聴要求を上記コンテンツ提供装置に送信する視聴要求送信ステップと、
上記視聴要求送信ステップで上記視聴要求を送信した結果、上記コンテンツ提供装置から上記視聴要求に応じて上記ストリーミング形式で送信された、当該視聴要求に対応する上記コンテンツデータに基づく上記コンテンツの視聴用データとして、上記店内画像内で上記人物画像が向いた上記特定の棚の上記ジャンルに属する複数の上記コンテンツデータの一部を順次受信するデータ受信ステップと、
上記データ受信ステップで受信された複数の上記コンテンツデータの一部を所定秒ずつストリーミング再生して上記コンテンツの内容を視聴させる再生ステップと
を実行させるためのコンテンツ取得プログラム。」

なお、審判請求人は、審判請求書を補正対象書類とする平成20年10月 9日付け手続補正書において、

「(2) 補正の根拠

・・・(中略)・・・

具体的に、平成20年10月9日(提出日)付手続補正書において補正した特許請求の範囲の請求項1は、当該特許請求の範囲を限定的に減縮するために、平成20年6月17日(提出日)付手続補正書において補正した特許請求の範囲の請求項9乃至請求項11の記載を組み合せたものとなっている。
また、平成20年10月9日(提出日)付手続補正書において補正した特許請求の範囲の請求項2は、当該特許請求の範囲を限定的に減縮するために、平成20年6月17日(提出日)付手続補正書において補正した特許請求の範囲の請求項22乃至請求項24の記載を組み合せたものとなっている。」
と記載し、平成20年10月 9日付け手続補正は、補正の目的に適合する旨主張している。

(2)本件補正前後の各請求項の対応関係について

してみると、本件補正後の請求項1に係る発明は、本件補正前の請求項9に係る発明に対応するものである。

(3)補正の目的について

本件補正後の請求項1に係る発明の補正の内容は、審判請求人が主張するように、本件補正前の請求項9に係る発明の「データ送信ステップ」に、本件補正前の請求項10に係る発明の「上記視聴要求受信ステップで受信された上記視聴要求に対応する上記コンテンツデータに基づく上記コンテンツの視聴用データとして、複数の上記棚を有する上記店内画像内で上記人物画像が向いた特定の上記棚の上記ジャンルに属する複数の上記コンテンツデータの一部を、所定秒ずつ再生させるようにストリーミング形式で上記コンテンツ取得装置に送信させるための」との内容を付加する限定を行うと共に、本件補正前の請求項9に係る発明の「上記コンテンツデータに基づくコンテンツのジャンル毎の棚を表す店内画像を有する3次元画像」における当該「店内画像」を、本件補正前の請求項11に係る発明の内容である「現実の店内をほぼ忠実に再現した3次元仮想現実空間画像」に限定したものと認められるので、このような特許請求の範囲を限定する補正によっても、本件補正前の請求項9に係る発明と本件補正後の請求項1に係る発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるものと認められる。

したがって、平成20年10月 9日付け手続補正書によって補正された請求項1に係る補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(4)独立特許要件

本件補正後の請求項1に係る発明は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、本件補正後の請求項1に係る発明が特許出願の際、独立して特許を受けることができるものであるのかどうか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下検討する。

(4-1)本願補正発明

本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、平成20年10月 9日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1の記載された事項により特定されるとおりのものである。

(4-2)引用文献1に記載の発明

(引用文献1)

原査定の拒絶の理由に引用された特開平9-97349号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の内容が記載されている。
なお、下線は当審において付したものである。

(1a)「【0002】
【従来の技術】近年ハードウェア技術の進歩や3次元コンピュータグラフィックの描画技術の急速な発達に伴い、この描画技術を用いて『バーチャルウォークスルー』を実現するための研究が盛んになされている。『バーチャルウォークスルー』とは、三次元座標系で物体の位置や形状が定義された空間(仮想空間という)の中の光景を表示面に投影させ、操作者の操作に伴い、その投影像を切り換えることで、恰も仮想空間内を移動しているかのように感覚を操作者に与えるものである。このような研究の背景には、仮想店舗システム、仮想展示システム等という、仮想空間を用いた販売形態を実現しようという産業動向がある。
【0003】一般に店舗や展示場を用いた販売・展示はかなり大掛かりなものであるが、仮想店舗システム、仮想展示システムでは、これをコンピュ-タ・グラフィックスによって形成した仮想店舗、仮想展示場内で行う。この仮想展示場内で買い手側に『バーチャルウォークスルー』を行わせ、具体的な商品像を提供し購買意欲をそそる。このように『バーチャルウォークスルー』を実現すれば、例えば商品の試作機が未完成の段階でも、具体的な商品像を買い手側に提供できる。またマンションやオフィスビルの建造中に、『バーチャルウォークスルー』によってフロントの造り、部屋の間取り、インテリア等の立体的なイメージを買い手側に提供することもできる。
【0004】ただし当然のことながら、商品の仕様、利点、セールスポイント等は、このようなコンピュ-タ・グラフィックスの投影像のみでは伝えられない。またグラフィックスの表示のみでは無味乾燥であり、商品を購入させるだけの説得力が無い場合がある。このような点に鑑み『バーチャルウォークスルー』によって表示面に新たな画像が表れる毎に、その画像に対して、商品の仕様、利点、セールスポイント等の解説を読み上げ、『バーチャルウォークスルー』に臨場感を持たせることが行われる。このように『バーチャルウォークスルー』を実行すると共に、商品の仕様、利点、セールスポイント等の解説を読み上げて臨場感を持たせる装置をプレゼンテーション装置という。
【0005】次に、図19の説明図を参照しながら『ヴァーチャルウォークスルー』を用いた仮想展示会について説明を行う。図19は、『ヴァーチャルウォークスルー』を用いた仮想展示会について説明するための説明図である。本図に示すように、本仮想展示場には、仮想空間内に通路が設けられ、その通路沿いに、AVシステム101、オーディオシステム102、業務用カラーコピー機103といった展示物が展示されている。操作者がキーパッド等を操作してこれらの何れかのに視線を向けると、これらの展示内容のうち、視野内に入るものが、グラフィックスとしてディスプレィに表示される。また、これらのグラフィックスに対応して、これらの展示物のセールスポイント(解説)が読み上げられる。」

(1b)「【0036】
【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を参照しながら詳細に説明する。先ず、図1及び図2の説明図を参照しながら画像表示装置の外観について説明を行う。図1は、画像表示装置の外観を示す斜視図である。また図2は仮想展示会と表示面との対応を示す説明図である。本実施例においてプレゼンテーション装置は、仮想展示会を実行する。仮想展示会とは、従来技術で説明したように、家電商品や情報機器の販売促進のため、『ヴァーチャルウォークスルー』によって、具体的な商品像を買い手側に提示するシステムである。
【0037】図1に示すように、本実施例における画像表示装置は、表示面に仮想展示会内の様子を映ずるディスプレィ21と、操作者による操作がなされるキーパッド22及びマウス23と、ディスプレィ21に表示された眺めに対応する解説が出力されるスピーカ24とを有している。この表示面には、図2に示すように、仮想展示会中の光景が映ずるようになっている。そして、表示面上に映ずる仮想展示会の光景は、図1に示したキーパッド22及びマウス23に対する指示によって切り換わるようになっている。そのため、操作者は、このキーパッド22やマウス23に対して指示を行うと、恰も仮想展示会の中を歩行しているような感覚を得ることができる。
【0038】次に、図2、図3の説明図を参照しながら仮想展示会と表示面との対応について説明を行う。図2に示すように、表示面には、仮想展示会中に設けられている通路や展示物等の像が投影される。キーパッド22及びマウス23への操作によって視点は通路上を進んで行き、それに伴って、ディスプレィ22の表示面上の投影像は切り替わってゆく。この投影像の切り替わりによって操作者は恰も仮想空間中を歩行しているような感覚を得ることができる。
【0039】図2は、本実施例において採用している座標データフォーマットの説明図を示す。同図に示すように、本実施例における仮想空間直交座標系は、画面の水平方向をX軸に、画面の垂直方向をY軸に、画面の奥行き方向をZ軸に選んでいる。この座標系では、X、Y、Z軸はそれぞれ右向き、上向き、奥向きが正の方向とする。各点はこの直交座標系における1つの座標点(x,y,z)として取り扱う。
【0040】図4はプレゼンテーション装置の構成図である。本プレゼンテーション装置は、シーンデータ記憶部1と、音声エリア記憶部2と、レールデータ記憶部3と、視点位置レジスタ4と、視線方向ベクトルレジスタ5と、視線方向ベクトルレジスタ更新部6と、視点移動方向レジスタ7と、視点移動方向レジスタ更新部8と、レンダリング部9と、カーソル制御部10と、ピッキング処理部11と、音声データ記憶部12と、音声エリア検索部13と、音声再生部14と、移動速度算出部15と、視点位置レジスタ更新部16と、フレームバッファ17と、制御部19と、ディスプレィ21と、キーパッド22と、マウス23と、スピーカ24とを備えている。
【0041】シーンデータ記憶部1は、例えば磁気ディスクや光ディスクを用いた補助記憶装置または半導体メモリにより構成された主記憶装置などにより実現され、複数の三次元オブジェクトを記憶する。三次元オブジェクトとは、広義には三次元空間において、表示すべき物体の位置や形状を定義するオブジェクトであり、仮想空間における展示物や建造物等がこれに相当する。次に、図5の説明図を参照しながらシーンデータ記憶部1の記憶内容について説明を行う。
【0042】いま、表示すべき物体が図5(a)のふかん図に示すごとく、AVシステム101、オーディオシステム102、業務用カラーコピー機103の3つの立体の集合であるとする。本図における業務用カラーコピー機103、AVシステム101、オーディオシステム102は、図19において従来例として紹介した説明図に対応している。即ち、図19に示した業務用カラーコピー機103、AVシステム101、オーディオシステム102は、図5(a)では、それぞれ、個別の三次元オブジェクトになっている。同図(b)はこれらの表示物の前記三次元座標系における相対位置関係を示す上面図である。図2における仮想空間に対応するシーンデータ記憶部1の記憶内容を図6に示す。同図において、最初の列はシーン内の表示オブジェクトの識別子であり、2番目の列は各オブジェクトの中心の前記三次元空間内での位置を示す。最後の列は各オブジェクトの形状である。実際には、形状データとしては各オブジェクトを構成するすべての頂点の座標値が正確に記述されるが、本発明の主旨とは特に関係しないので抽象表現してある。
【0043】シーンデータ記憶部1の記憶内容は、本図における以外にもオブジェクトの色情報やオブジェクトを構成する各面に張り付けられるテクスチャ情報などを含んだものであってもよい。尚、このようなデータは汎用パソコン上で動作する市販のモデラーツールにより容易に作成することができる。音声エリア記憶部2は、音声エリア-通路の対応関係を示すテーブルを記憶する。このテーブルは、図7の一例に示すように、音声エリアの識別子と、その音声エリアがどのような解説を読み上げる領域であるかを示す領域名と、その領域に設けられた通路の両端点の座標と、この領域に対応する音声データの識別子とからなる。本図の記憶内容は、図8の仮想空間における地図と対応している。図7の地図は、上述したX-Z座標系上にあり、この地図の中の音声エリアは、X-Z座標系上の座標で表される。図7の記憶内容において、『音声エリア301』があり、その右隣に『フロント』があり、その右隣に『(20,0,80) (20,0,100)』があるが、これは、識別子301の音声エリアは、『フロント』であり、端点の座標が『(20,0,80) (20,0,100)』の通路を設けられていることを意味する。尚、この通路の端点を特定しための1組の座標は線分を形成する。このように端点の座標がなす線分を経路線分という。
【0044】また本図において『識別子302』があり、その右隣に『案内場』があり、その右隣に『(20,0,60) (20,0,80) 』があるが、これは、識別子302の音声エリアは、『案内場』であり、端点の座標が『(20,0,60) (20,0,80) 』からなる通路が設けられていることを意味する。また、この右隣に『402』と記述されていることは、この音声エリアは『識別子402』の音声データが解説として読み上げられることを意味する。
【0045】更に、『識別子305』があり、その右隣に『×××電気株式会社展示ブース』があり、その右隣に『(55,0,15) (55,0,70) 』があるが、これは、識別子305の音声エリアは、『×××電気株式会社展示ブース 』であり、端点の座標が『(55,0,15) (55,0,70) 』からなる通路が設けられていることを意味する。またこの右隣に『405』と記述されていることは、この音声エリアには、『識別子405』の音声データが設定されていることを意味する。尚、視線方向ベクトルレジスタ5において対応する音声データが存在しない場合はその旨を示す値であるNULLを付加する。
【0046】音声エリアと、音声データとの対応関係の一例を図9に示す。この音声エリア-解説テーブルは、図9の一例に示すように、縦の並びに、『301』、『302』、『303』・・・といった音声エリアの識別子が記述され、横の並びに、各音声エリアに対応する解説の音声データを示すポインタ情報と、その音声データの解説の読み上げに要する時間(図中の時間)とが記述されている。音声データのポインタとは、その音声データが格納されているメモリの先頭アドレスをいい、そのアドレスを表現すべきであるが、ここでは、本実施例の要旨をより明確にするため、その解説の内容を図示している。本図の一例では、『音声エリア301』があり、その右隣に『95年度××展示会に御来場頂きまして誠にありがとう御座います』があるが、これは、視点が『音声エリア301』に属すると、その右隣の識別子401の解説『95年度××展示会に御来場頂きまして誠にありがとう御座います』が読み上げられることを意味する。またこの組み合わせのの右隣に『3分』が存在することは、解説の読み上げに『3分』を要することを意味する。
【0047】また『音声エリア304』があり、その右隣に『昨年度の×××コンテストの審査結果を御案内致します・・・・』があるが、これは、視点が『音声エリア304』に属すると、識別子404の解説『○○○産業株式会社の展示ブースを御案内致します・・・・』が読み上げられることを意味する。またこの組み合わせの右隣に『2分』が存在することは、この解説の読み上げに『2分』を要することを意味する(尚、ここで紹介した解説の読み上げに要する時間は、後述する移動速度算出部15の計算によって算出される。)。
【0048】レールデータ記憶部3は、シーンデータ記憶部1と同様の記憶装置などにより実現され、個々の経路線分に一対一に対応する通路(レールともいう。)の前記三次元空間内での位置および形状を定義するレールデータを複数記憶している。ここで用いるデータ形式はシーンデータ記憶部1における三次元オブジェクトデータのデータ形式と同じであり、その作成についても同様の方法で可能である。ここで言う「レール」は、表示画面上で操作者が「通路」として認識できるものであれば何でもよく、鉄道のような2本の平行レール、モノレール、道路状のものなど、任意の形状のオブジェクトであってよい。また、レールの位置は、対応する経路線分の位置と一致する必要はない。一般的には、レールは経路線分に対して鉛直下方に一定の距離を置いて敷設される。図10(a)は図5に記憶された経路線分に対応する3つのレール201、202、203を図5(a)に書き加えた説明図である。同図(b)は、これらのレールの前記三次元座標系における相対位置関係を示す上面図である。この時、レールデータ記憶部3の記憶内容は図10(c)のようになる。
【0049】次に、図11の説明図を参照しながら視点の視線、視野、視点等に対しての情報が如何に処理されているかについて説明を行う
図11において、視点の位置は、仮想空間における座標で表され(図中の視点位(8、3、0))、また視点の視線は、視点が現在いる移動路が有する単位ベクトルで表される(図中の 視線方向ベクトル(0、0、1))。また現在自身がいる移動路の識別子と、これから進もうとしている移動路の識別子とを対応づけて記憶している(図中の移動路識別子(202、201))。この現移動路については、その始点、終点の座標を記憶している(図中の始点終点(端点2、端点1)。)。視線方向は、視点位置レジスタ4に記憶された現在の視点位置から仮想空間を眺める場合、視線の方向を示すベクトルである。このベクトルは、X軸を中心とした時計回りの回転角rx、Y軸を中心とした時計回りの回転角ryの組(rx,ry)で表され、(rx,ry)と対応する(0,0)はZ軸の正の向きを指すものとする。視線方向と、回転角(rx,ry)との関係を図11(b)、図11(c)に示す
尚、従来例として仮想展示場を示した図19は、視点位置レジスタ4に保持された視点位置が座標(55,20,15)、すなわち音声エリアID=305に対応する経路線分の第1点にあり、視線方向ベクトルレジスタ5に保持された視線方向が(-30゜,0゜)、すなわち正面から30度下方を見下ろした場合を想定している。
【0050】視点位置レジスタ4は、例えば主記憶装置の一部の領域が割り当てられ、前記三次元空間における現在の視点位置の座標値を保持する。視点位置レジスタ4は図2と同じ座標データフォーマットを用いて、(x,y,z)の3つの座標値の組として保持することになる。視線方向ベクトルレジスタ5は、例えば主記憶装置の別の一部の領域が割り当てられ、視線方向を記憶する。
【0051】視線方向ベクトルレジスタ更新部6は、カーソル制御部10を介して操作者からの指示を受け付けて視線方向ベクトルレジスタ5の記憶内容を更新する。具体的には、カーソルを画面の上端よりさらに上方向に移動させるような操作者の操作に対して、図11(b)、図11(c)に示すように、視線方向ベクトルレジスタ更新部6は、rxの値を一定の角度だけ増大させる。同様に、画面の下端に達した場合にはrxの値を一定の角度だけ減少させ、左端に達した場合には、ryの値を一定の角度だけ増大させ、右端に達した場合にはryの値を一定の角度だけ減少させる。
【0052】視点移動方向レジスタ7は、例えば主記憶装置の別の一部の領域が割り当てられ、現在の視点が存在する経路線分上での視点の移動方向を記憶している。具体的には、視点移動方向レジスタ7の記憶内容は0または1の値のみをとり、0の場合は、現在の視点の移動方向が、個々の経路線分定義の第1の点から第2の点に向かう方向であり、1の場合は、その逆方向であることを意味するものとする。
【0053】視点移動方向レジスタ更新部8は、カーソル制御部10を介して、操作者からの指示の指示を受け付けて、視点移動方向レジスタ7の記憶内容を反転する。レンダリング部9は、高速グラフィックスハードウェアおよびその制御ソフトウェアにより構成され、視点の視線方向で、仮想空間を眺めた場合に視点に映ずる画像をビットマップとして生成し、生成した画像をフレームバッファ17に書き込む。レンダリング部9では、三次元コンピュータグラフィックス生成方法として広く知られているモデルビュー変換、射影変換、ビューポート変換、照光処理、アンチエイリアス処理、テクスチャマッピング処理などの数々の処理がパイプライン的に施され、最終的な二次元ビットマップデータが生成される。ここで用いられる制御ソフトウェアの代表的なものにSilicon Graphics社の”OpenGL”がある。」

(1c)「【0083】(a)図4におけるシーンデータ記憶部1、音声エリア記憶部2、レールデータ記憶部3、音声データ記憶部11の記憶内容は、光ディスク等の記録媒体の交換によって、適宜更新可能なようにしてよい。
(b)(a)の説明において記憶内容は光ディスク等によって更新されると言及してたが、通信網を介して更新可能してよいこともいうまでもない。即ち、プレゼンテーション装置がISDNやLAN等のデジタルネットワーク用の通信インターフェィスを装着して、ISDNやLANのデータサーバのアクセスを行い、必要なデータを読み出し、読み出したデータでこれらの記憶内容を更新してもよい。」

したがって、上記した全ての摘記事項を参酌すると、引用文献1には、以下の構成が記載されているといえる。

(ア)上記摘記事項(1c)の「【0083】・・・(中略)・・・即ち、プレゼンテーション装置がISDNやLAN等のデジタルネットワーク用の通信インターフェィスを装着して、ISDNやLANのデータサーバのアクセスを行い、必要なデータを読み出し、読み出したデータでこれらの記憶内容を更新してもよい。」の記載によれば、当該「プレゼンテーション装置」が「データサーバのアクセスを行い、必要なデータを読み出し」は、当該「データサーバ」に、当該「プレゼンテーション装置」から送信された当該「必要なデータ」の「更新」のための当該「アクセス」を受信する工程及び当該「必要なデータ」を送信する工程を実行させる処理手順であるものと解することができる。

また、上記摘記事項(1b)の「【0040】図4はプレゼンテーション装置の構成図である。本プレゼンテーション装置は、シーンデータ記憶部1と、音声エリア記憶部2と、レールデータ記憶部3と、視点位置レジスタ4と、視線方向ベクトルレジスタ5と、視線方向ベクトルレジスタ更新部6と、視点移動方向レジスタ7と、視点移動方向レジスタ更新部8と、レンダリング部9と、カーソル制御部10と、ピッキング処理部11と、音声データ記憶部12と、音声エリア検索部13と、音声再生部14と、移動速度算出部15と、視点位置レジスタ更新部16と、フレームバッファ17と、制御部19と、ディスプレィ21と、キーパッド22と、マウス23と、スピーカ24とを備えている。【0041】シーンデータ記憶部1は、例えば磁気ディスクや光ディスクを用いた補助記憶装置または半導体メモリにより構成された主記憶装置などにより実現され、複数の三次元オブジェクトを記憶する。三次元オブジェクトとは、広義には三次元空間において、表示すべき物体の位置や形状を定義するオブジェクトであり、仮想空間における展示物や建造物等がこれに相当する。次に、図5の説明図を参照しながらシーンデータ記憶部1の記憶内容について説明を行う。」の記載によれば、上記「必要なデータ」を送信する工程は、当該「音声データ記憶部」に必要な「音声データ」を当該「プレゼンテーション装置」に送信する工程と、当該「シーンデータ記憶部」に必要な「三次元オブジェクト」を当該「プレゼンテーション装置」に送信する工程が少なくとも含まれるものと解することができる。

したがって、上記摘記事項(1b)及び上記摘記事項(1c)によれば、引用文献1には、「データサーバに、プレゼンテーション装置から送信された三次元オブジェクト及び音声データの更新のためのアクセスを受信する工程、音声データを当該プレゼンテーション装置に送信する工程及び三次元オブジェクトを当該プレゼンテーション装置に送信する工程を実行させる処理手順」が記載されているといえる。

(イ)上記摘記事項(1a)の「【0002】【従来の技術】近年ハードウェア技術の進歩や3次元コンピュータグラフィックの描画技術の急速な発達に伴い、この描画技術を用いて『バーチャルウォークスルー』を実現するための研究が盛んになされている。『バーチャルウォークスルー』とは、三次元座標系で物体の位置や形状が定義された空間(仮想空間という)の中の光景を表示面に投影させ、操作者の操作に伴い、その投影像を切り換えることで、恰も仮想空間内を移動しているかのように感覚を操作者に与えるものである。このような研究の背景には、仮想店舗システム、仮想展示システム等という、仮想空間を用いた販売形態を実現しようという産業動向がある。」の記載及び上記摘記事項(1b)の「【0036】・・・(中略)・・・本実施例においてプレゼンテーション装置は、仮想展示会を実行する。仮想展示会とは、従来技術で説明したように、家電商品や情報機器の販売促進のため、『ヴァーチャルウォークスルー』によって、具体的な商品像を買い手側に提示するシステムである。・・・(中略)・・・【0038】次に、図2、図3の説明図を参照しながら仮想展示会と表示面との対応について説明を行う。図2に示すように、表示面には、仮想展示会中に設けられている通路や展示物等の像が投影される。キーパッド22及びマウス23への操作によって視点は通路上を進んで行き、それに伴って、ディスプレィ22の表示面上の投影像は切り替わってゆく。この投影像の切り替わりによって操作者は恰も仮想空間中を歩行しているような感覚を得ることができる。」の記載によれば、上記(ア)の「アクセスを受信する工程」で受信された「アクセス」に応じて、上記(ア)の「上記三次元オブジェクトを上記プレゼンテーション装置に送信する工程」の当該「三次元オブジェクト」は、当該「展示物」を有する当該「仮想店舗」を当該「操作者」に見せるために、当該「三次元」の「仮想空間」の「光景」を当該「表示面に投影」するための当該「物体の位置や形状」を「定義」するものと解することができる。

したがって、上記(ア)、上記摘記事項(1a)及び上記摘記事項(1b)によれば、引用文献1には、「上記アクセスを受信する工程で受信されたアクセスに応じて、展示物を有する仮想店舗内を操作者に見せるために、三次元の仮想空間の光景を表示面に投影するための物体の位置や形状を定義する上記三次元オブジェクトを上記プレゼンテーション装置に送信する工程」が記載されているといえる。

(ウ)上記摘記事項(1a)の「【0005】次に、図19の説明図を参照しながら『ヴァーチャルウォークスルー』を用いた仮想展示会について説明を行う。図19は、『ヴァーチャルウォークスルー』を用いた仮想展示会について説明するための説明図である。本図に示すように、本仮想展示場には、仮想空間内に通路が設けられ、その通路沿いに、AVシステム101、オーディオシステム102、業務用カラーコピー機103といった展示物が展示されている。操作者がキーパッド等を操作してこれらの何れかのに視線を向けると、これらの展示内容のうち、視野内に入るものが、グラフィックスとしてディスプレィに表示される。また、これらのグラフィックスに対応して、これらの展示物のセールスポイント(解説)が読み上げられる。」の記載及び上記摘記事項(1b)の「【0036】・・・(中略)・・・本実施例においてプレゼンテーション装置は、仮想展示会を実行する。仮想展示会とは、従来技術で説明したように、家電商品や情報機器の販売促進のため、『ヴァーチャルウォークスルー』によって、具体的な商品像を買い手側に提示するシステムである。」の記載によれば、当該「操作者」が「操作して」、当該「展示物」に「視線」を向けると当該「視線」を向けられた当該「展示物のセールスポイント」が「読み上げられる」ものと解することができる。

また、上記摘記事項(1b)の「【0044】また本図において『識別子302』があり、その右隣に『案内場』があり、その右隣に『(20,0,60) (20,0,80) 』があるが、これは、識別子302の音声エリアは、『案内場』であり、端点の座標が『(20,0,60) (20,0,80) 』からなる通路が設けられていることを意味する。また、この右隣に『402』と記述されていることは、この音声エリアは『識別子402』の音声データが解説として読み上げられることを意味する。」によれば、当該「音声データ」は、上記「展示物のセールスポイント」である当該「解説」に基づいて「読み上げられる」ものと解することができる。

そして、上記(ア)の「音声データを当該プレゼンテーション装置に送信する工程」は、上記「展示物のセールスポイント」に基づいて「読み上げられる」ために必要な上記「音声データ」を提供するための工程であるものと解することができる。

したがって、上記(ア)、上記摘記事項(1a)及び上記摘記事項(1b)によれば、引用文献1には、「操作者が操作して上記仮想店舗の展示物の光景に仮想空間内の視線を向けると当該視線を向けられた展示物のセールスポイントに基づく音声データを読み上げるために、当該展示物のセールスポイントの音声データを上記プレゼンテーション装置に送信する工程」が記載されているといえる。

上記(ア)?(ウ)を考慮して、上記摘記事項(1a)?(1c)の記載を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用文献1発明」という。)が記載されているといえる。

「 データサーバに、
プレゼンテーション装置から送信された三次元オブジェクト及び音声データの更新ためのアクセスを受信する工程と、
上記アクセスを受信する工程で受信されたアクセスに応じて、展示物を有する仮想店舗内を操作者に見せるための三次元の仮想空間の光景を表示面に投影するための物体の位置や形状を定義する上記三次元オブジェクトを上記プレゼンテーション装置に送信する工程と、
操作者が操作して上記仮想店舗の展示物の光景に仮想空間内の視線を向けると当該視線を向けられた展示物のセールスポイントに基づく音声データを読み上げるために、当該展示物のセールスポイントの音声データを上記プレゼンテーション装置に送信する工程と
を実行させる処理手順。」

(4-3)本願補正発明と引用文献1発明との対比

本願補正発明と引用文献1発明を対比する。

引用文献1発明の「データサーバ」は、プレゼンテーションの内容に対応する三次元オブジェクト及び音声データを提供しているから、本願補正発明の「コンテンツ提供装置」に相当する。

また、引用文献1発明の「プレゼンテーション装置」は、当該コンテンツ提供装置からコンテンツを読み出しているから、本願補正発明の「コンテンツ取得装置」に相当する。

そして、本願補正発明の「コンテンツ取得装置から送信された画像要求を受信する画像要求受信ステップ」と、引用文献1発明の「プレゼンテーション装置から送信された三次元オブジェクト及び音声データの更新のためのアクセスを受信する工程」とは、後記の点で相違するものの、当該「三次元オブジェクト」がコンテンツ取得装置の画面に画像として表示するための情報であり、当該「更新のためのアクセス」は当該表示するための情報をその更新のために要求する処理であるから、共に「コンテンツ取得装置から送信された3次元の表示情報の要求を受信する受信ステップ」である点で共通する。

また、本願補正発明の「上記画像要求受信ステップで受信された上記画像要求に応じて、現実の店内をコンテンツデータに基づくコンテンツのジャンル毎の棚を有するようにほぼ忠実に再現して顧客に俯瞰的に見せるための3次元仮想現実空間画像である店内画像と、当該店内画像内で複数種類の上記コンテンツデータの中から顧客が所望する顧客所望コンテンツデータを選択させるために移動可能な人物を表す人物画像とを有する3次元画像を検索して上記コンテンツ取得装置に送信する画像送信ステップ」と、引用文献1発明の「上記アクセスを受信する工程で受信されたアクセスに応じて、展示物を有する仮想店舗内を操作者に見せるための三次元の仮想空間の光景を表示面に投影するための物体の位置や形状を定義する上記三次元オブジェクトを上記プレゼンテーション装置に送信する工程」とは、後記の点で相違するものの、当該「仮想店舗」は恰も当該「展示物」を備える仮想空間内を移動しているかのような感覚を操作者に与えるものであり、当該「三次元の仮想空間の光景を表示面に投影するための物体の位置や形状を定義する上記三次元オブジェクト」は当該「仮想店舗」を有する「三次元」の「光景」を当該「表示面」に表示するための情報であるから、共に「上記表示情報の要求受信ステップで受信された上記表示情報の要求に応じて、店内を再現して展示物を顧客に見せるための3次元仮想現実空間画像である店内画像を有する3次元画像の表示情報を上記コンテンツ取得装置に送信する送信ステップ」である点で共通する。

また、本願補正発明の「上記視聴要求受信ステップで受信された上記視聴要求に対応する上記コンテンツデータに基づく上記コンテンツの視聴用データとして、上記店内画像内で上記人物画像が向いた上記特定の棚の上記ジャンルに属する複数の上記コンテンツデータの一部を、所定秒ずつ再生させるようにストリーミング形式で上記コンテンツ取得装置に送信するデータ送信ステップ」と、引用文献1発明の「操作者が操作して上記仮想店舗の展示物の光景に仮想空間内の視線を向けると当該視線を向けられた展示物のセールスポイントに基づく音声データを読み上げるために、当該展示物のセールスポイントの音声データを上記プレゼンテーション装置に送信する工程」とは、後記の点で相違するものの、当該「音声データ」は音声出力するためのデータであり、当該「展示物のセールスポイントの音声データ」は、展示物のセールスポイントの内容を含むデータであるから、共に、「視聴用データを再生させるために、コンテンツデータを上記コンテンツ取得装置に送信する送信ステップ」である点で共通する。

また、本願補正発明の「実行させるためのコンテンツ提供プログラム」と、引用文献1発明の「実行させる処理手順」とは、後記の点で相違するものの、共に「実行させること」という点で共通する。

したがって、両者は、

(一致点)
「コンテンツ提供装置に、
コンテンツ取得装置から送信された3次元の表示情報の要求を受信する受信ステップと、
上記表示情報の要求受信ステップで受信された上記表示情報の要求に応じて、店内を再現して展示物を顧客に見せるための3次元仮想現実空間画像である店内画像を有する3次元画像の表示情報を上記コンテンツ取得装置に送信する送信ステップと、
視聴用データを再生させるために、コンテンツデータを上記コンテンツ取得装置に送信する送信ステップと
を実行させること。」

である点で一致し、

(相違点1)

本願補正発明は、表示情報として画像を要求し、そのため、
画像要求を受信する画像要求受信ステップと、画像を検索して送信する画像送信ステップを備えるのに対し、

引用文献1発明は、表示情報として画像データを要求し、そのため、
画像データの要求を受信する受信ステップと、画像を検索することなく画像データを送信する送信ステップを備える点。

(相違点2)

本願補正発明は、人物画像が複数の棚のうち特定の棚の正面に向いたときに、店内画像内で上記人物画像が向いた上記特定の棚のジャンルに属するコンテンツデータを再生し、そのため、
3次元画像が、コンテンツデータに基づくコンテンツのジャンル毎の棚を有するように顧客に俯瞰的に見せるための店内画像と、当該店内画像内で複数種類の上記コンテンツデータの中から顧客が所望する顧客所望コンテンツデータを選択させるために移動可能な人物を表す人物画像を有するのに対し、

引用文献1発明は、顧客の仮想空間内の視線が展示物の方向に向いたときに、当該展示物に対応するコンテンツデータを再生し、そのため、
3次元画像が、展示物を有するように顧客に見せるための店内画像を備えるものの、コンテンツデータに基づくコンテンツのジャンル毎の棚を有するように顧客に俯瞰的に見せるための店内画像を備えておらず、また、上記人物画像も備えていない点。

(相違点3)

本願補正発明は、コンテンツ取得装置から送信された視聴要求に基づいて視聴用データを再生し、そのため、
コンテンツの視聴を要求する視聴要求を受信する視聴要求受信ステップと、上記視聴要求受信ステップで受信された視聴要求に対応するコンテンツデータに基づくコンテンツの視聴用データとして、コンテンツデータを再生させるように、ストリーミング形式で上記コンテンツ取得装置に送信するデータ送信ステップを備えるのに対し、

引用文献1発明は、視聴用データを再生するものの、コンテンツ取得装置から送信する視聴要求に基づいて再生するのではなく、当該視聴用データの要求に応じて既に更新されている視聴用データを単に再生しており、そのため、
上記視聴要求受信ステップを備えておらず、
コンテンツデータを上記コンテンツ取得装置に送信する送信ステップを備えるものの、当該送信ステップが上記のようなデータ送信ステップではない点。

(相違点4)

本願補正発明は、複数のコンテンツデータの一部を、所定秒ずつ再生させるのに対し、

引用文献1発明は、そのような構成でない点。

(相違点5)

店内画像が、

本願補正発明では、現実の店内をほぼ忠実に再現した3次元仮想現実空間画像であるのに対し、

引用文献1発明では、店内を再現した3次元仮想現実空間画像であるものの、それが現実の店内をほぼ忠実に再現したものではない点。

(相違点6)

本願補正発明は、コンテンツ提供装置に実行させるコンテンツ提供プログラムであるのに対し、

引用文献1発明は、コンテンツ提供装置に実行させる処理手順である点。

(4-4)相違点についての判断

(相違点1について)

例えば、特開2000-99612号公報(段落【0049】及びその関連箇所等参照。)等にみられるように、実在の店舗を撮影した画像を用いて進みたい方向や見たいものをクリックして要求すると、次に表示されるはずの画像を検索し送信するバーチャルショップは周知事項である。

してみると、引用文献1発明において、上記周知技術を適用し、表示情報として画像を要求し、そのため、画像要求を受信する画像要求受信ステップと、画像を検索して送信する画像送信ステップを備えることは、当業者であれば適宜になし得る設計的事項にすぎないものである。

したがって、相違点1に係る本願補正発明の構成は、引用文献1発明及び周知事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。

(相違点2について)

例えば、特開平8-87605号公報(段落【0024】乃至段落【0031】及びその関連箇所等参照。)及び特開2001-338077号公報(段落【0037】乃至段落【0038】及びその関連箇所等参照。)等にみられるように、顧客に俯瞰的に見せる画像と顧客の化身となる人物画像を有する3次元画像内において当該人物画像が向く方向を示すことにより、3次元空間内の物と顧客の位置関係を顧客に提示することは周知事項である。

してみると、引用文献1発明において、上記周知事項を適用し、3次元空間内の物と顧客の位置関係を提示するために、顧客の仮想空間内の視線の向きに代えて、人物画像の向きを採用し、そのため、3次元画像が、顧客に俯瞰的に見せるための店内画像と、当該店内画像内で移動可能な人物を表す人物画像を備えることは、当業者であれば適宜になし得る設計的事項にすぎないものである。

また、例えば、特開2000-268046号公報(段落【0004】、段落【0025】、段落【0039】及びその関連箇所等参照。)等にみられるように、3次元仮想空間内でコンテンツデータを選択するに当たり、顧客が自身の移動や視野を複数のジャンル毎の棚に向けて操作して、特定の棚のジャンルに属するコンテンツデータを選択的に認識するために、当該棚を有するように3次元画像を顧客に提示することは、周知事項である。

してみると、引用文献1発明において、上記周知事項を適用し、展示物の方向に向いたときに、当該展示物に対応するコンテンツデータを再生するに当たり、複数の棚のうち特定の棚の正面に向いたときに、上記店内画像内で向いた上記特定の棚のジャンルに属する上記コンテンツデータを再生し、そのため、3次元画像が備える店内画像を、コンテンツデータに基づくコンテンツのジャンル毎の棚を有するように顧客に見せ、当該店内画像内で複数種類の上記コンテンツデータの中から顧客が所望する顧客所望コンテンツデータを選択させることは、当業者であれば適宜になし得る設計的事項にすぎないものである。

したがって、相違点2に係る本願補正発明の構成は、引用文献1発明及び周知事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。

(相違点3について)

例えば、特開平11-345261号公報(段落【0023】乃至段落【0042】、段落【0058】乃至段落【0064】及びその関連箇所等参照。)等にみられるように、センタ装置と端末からなり、コンテンツの提供を行うコンテンツ提供システムにおいて、コンテンツリスト要求を受信し、当該コンテンツリスト要求に対応するコンテンツをストリーミング形式で送信することは、周知事項である。

してみると、引用文献1発明において、上記周知事項を適用し、コンテンツ取得装置から送信する視聴要求に基づいて視聴用データを再生し、そのため、コンテンツの視聴を要求する視聴要求を受信する視聴要求受信ステップと、上記視聴要求受信ステップで受信された視聴要求に対応するコンテンツデータに基づくコンテンツの視聴用データとして、コンテンツデータを再生させるように、ストリーミング形式で上記コンテンツ取得装置に送信するデータ送信ステップを備えることは、当業者であれば適宜になし得る設計的事項にすぎないものである。

したがって、相違点3に係る本願補正発明の構成は、引用文献1発明及び周知事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。

(相違点4について)

顧客にコンテンツを提供するに当たり、その視聴のため、複数のコンテンツデータの一部を、所定秒ずつ再生させることは、周知技術である。

してみると、引用文献1発明において、上記周知技術を採用し、複数のコンテンツデータの一部を、所定秒ずつ再生させることは、当業者であれば適宜になし得る設計的事項にすぎないものである。

したがって、相違点4に係る本願補正発明の構成は、引用文献1発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。

(相違点5について)

例えば、例えば、特開2000-99612号公報(段落【0049】及びその関連箇所等参照。)等にみられるように、実在の店舗を撮影した画像を用いたバーチャルショップは周知事項である。

してみると、引用文献1発明において、上記周知事項を適用し、現実の店内をほぼ忠実に再現した3次元仮想現実空間画像を採用することは、当業者であれば適宜になし得る設計的事項にすぎないものである。

したがって、相違点5に係る本願補正発明の構成は、引用文献1発明及び周知事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。

(相違点6について)

プログラムによってサーバーの処理手順を実行することは周知技術である。

してみると、引用文献1発明において、上記周知技術を適用し、コンテンツ提供装置に処理手順を実行させるに当たり、コンテンツ提供プログラムを採用することは、当業者であれば適宜になし得るものである。

そして、本願補正発明の作用効果も,引用文献1発明、周知事項及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

(4)本件補正についてのむすび

よって、本願補正発明は、引用文献1発明、周知事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について

(1)本願の請求項9に係る発明

上記の平成20年10月 9日付け手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項9に記載の発明(以下、「本願発明」という)は、平成20年 6月17日付け手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項9に記載された事項により特定されるとおりのものである。

(2)引用文献1に記載の発明

原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及びこれらの記載事項は、上記2.(4)(4-2)「引用文献1に記載の発明」の項に記載したとおりである。

(3)対比

本願発明と引用文献1発明とを対比すると、本願発明は、上記本願補正発明において、上記2.(3)の「補正の目的について」の項において検討した特許請求の範囲の限定を解除するものであることから、上記2.(4)(4-3)「本願補正発明と引用文献1発明との対比」において検討した相違点以外の相違点は存在しない。

(4)判断

そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する上記本願補正発明が、上記2.(4)「独立特許要件」の項に記載したとおり、引用文献1発明、周知事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用文献1発明、周知事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

4.むすび

上記のとおり、本願の請求項9に係る発明が、引用文献1発明、周知事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないため、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-04-14 
結審通知日 2010-04-15 
審決日 2010-05-21 
出願番号 特願2005-214851(P2005-214851)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06Q)
P 1 8・ 121- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 青柳 光代  
特許庁審判長 赤穂 隆雄
特許庁審判官 田代 吉成
山本 章裕
発明の名称 コンテンツ提供プログラム及びコンテンツ取得プログラム  
代理人 田辺 恵基  

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