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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1219677
審判番号 不服2008-32096  
総通号数 128 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-12-18 
確定日 2010-07-08 
事件の表示 特願2001-376395「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 6月24日出願公開、特開2003-175191〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第一.手続の経緯
本願は、平成13年12月10日の出願であって、拒絶理由通知に対応して平成20年7月2日に手続補正書が提出され、その後なされた拒絶査定に対し、同年12月18日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、平成21年1月14日に手続補正がなされた。
審判合議体は、平成21年10月2日付けで審査官による前置報告書の内容を添付して審尋を行い、請求人から同年11月27日に回答書が提出された。
そして、審判合議体によって平成22年2月4日付けで、平成21年1月14日の手続補正が却下されるとともに拒絶理由が通知され、これに対して、平成22年4月1日に手続補正がなされた。

第二.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成22年4月1日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「 大当り遊技状態を生起させるか否かを抽選によって決定する抽選手段と、
複数個の図柄表示位置を有し、それぞれの前記図柄表示位置で独立して図柄の変動表示及び停止表示を行うことが可能な表示部と、を備え、
前記複数の図柄表示位置において、図柄を変動表示した後、所定の順序で図柄を停止表示し、停止表示した図柄の組み合わせによって前記抽選手段による抽選の結果を告知する遊技機において、
前記複数個の図柄表示位置のそれぞれに表示される図柄として、複数種類の図柄を有し、
前記複数種類の図柄のそれぞれが、第1の構成要素及び第2の構成要素を含んでなり、
前記複数種類の図柄は、前記第2の構成要素が互いに異なっているとともに、複数のグループに分けられており、
前記複数種類の図柄のうち同一のグループに属する図柄は、前記第1の構成要素が互いに同一となっており、
前記抽選手段による抽選の結果を告知する際に、最後に図柄を停止表示する図柄表示位置以外の図柄表示位置で既に停止表示されている図柄の前記第1の構成要素及び前記第2の構成要素が互いに同一である場合、前記最後に図柄を停止表示する図柄表示位置において、
前記既に停止表示されている図柄が属するグループ内の図柄の全体を表示した後、
該図柄の表示位置を移動させて、該図柄について、前記第1の構成要素の少なくとも一部が該図柄表示位置内に表示され、前記第2の構成要素の全体が該図柄表示位置外に出た状態とすることによって、該第1の構成要素を判別可能としつつ、該第2の構成要素の全体を隠し、
その後、前記既に停止表示されている図柄が属するグループ内の図柄の全体を表示して、該図柄を停止表示し、
該複数の図柄表示位置に停止表示された図柄の前記第2の構成要素の組み合わせによって前記抽選手段による抽選の結果を告知することを特徴とする遊技機。」

第三.特許要件(特許法第29条第2項)の検討
1.引用刊行物記載事項
審判合議体が通知した拒絶理由に引用された特開2001-79200号公報(以下「引用文献1」という。)には以下の事項が記載されている。
【0036】本実施例におけるパチンコ遊技機の特別図柄としては、「1」?「12」までの数字に対応する12個の表示図柄と、特定のリーチ状態となった場合に用いられる3個の表示図柄とが用意されている。具体的には、本実施例の特別図柄として用いられる表示図柄は、髪型がそれぞれ異なる4種類のキャラクタの顔を示す画像(以下、顔画像)および覆面をした顔画像と、手の位置および状態がそれぞれ異なる3種類のキャラクタの腕を示す画像(以下、腕画像)とを組み合わせることにより、合計15(=(4+1)×3)個のキャラクタ画像からなる表示図柄を得るものである。
【0037】また、特別図柄表示装置6の表示領域中には、「特別図柄左図柄」、「特別図柄中図柄」、「特別図柄右図柄」を表示するための3つの特別図柄表示領域6a,6b,6cが設けられている。・・・
【0050】特別図柄表示装置6における特図ゲームは、発射装置55から遊技領域13内に発射された遊技球が、特別図柄始動口5に入賞することで、特別図柄表示領域6a,6b,6cに表示される、「特別図柄左図柄」、「特別図柄中図柄」、「特別図柄右図柄」の各表示図柄の変動表示をそれぞれ開始する。変動表示を開始してから所定時間(5秒以上)経過後、「特別図柄左図柄」、「特別図柄右図柄」、「特別図柄中図柄」の順にそれぞれ変動を停止する。変動停止時の停止図柄態様が、詳細を後述するように、同一の表示図柄で三つ揃いになった場合を大当たりとし、大入賞口7を約29.5秒間開放する。・・・
【0103】一方、CPU221では、大当たり決定の抽選値により抽出される停止図柄に基づいて、大当たり判定か、リーチ判定か、ハズレ判定かを決定し、大当たり判定の場合には、大当たり図柄メモリ領域に格納されている大当たり図柄により停止図柄を確定し、リーチ判定の場合には、リーチ図柄メモリ領域に格納されているリーチ図柄により停止図柄を確定するとともに、ハズレ判定の場合には、ハズレ図柄メモリ領域に記憶されているハズレ図柄により停止図柄を確定する。
【0140】図15は、特別図柄用乱数の値に対応する特別図柄を示す図である。具体的には、特別図柄左用乱数RL、特別図柄中用乱数RC、特別図柄右用乱数RRの各値が"0"?"3"のときは、両腕のこぶしを胸の前に配置した腕画像を用い、この腕画像に対し、髪型がそれぞれ異なる4種類の顔画像を割り当てたキャラクタ画像を特別図柄として用いている。同様にして、特別図柄左用乱数RL、特別図柄中用乱数RC、特別図柄右用乱数RRの各値が"4"?"7"のときは、腕組みをした状態の腕画像を用い、この腕画像に対し、髪型がそれぞれ異なる4種類の顔画像を割り当てたキャラクタ画像を特別図柄として用いている。
【0141】特別図柄左用乱数RL、特別図柄中用乱数RC、特別図柄右用乱数RRの各値が"8"?"11"のときは、両手を開いて左右に配置した、いわゆるお手上げ状態の腕画像を用い、この腕画像に対し、髪型がそれぞれ異なる4種類の顔画像を割り当てたキャラクタ画像を特別図柄として用いている。また、本実施例では、共通要素として腕画像を用いており、共通要素以外の任意部分、すなわち、顔画像に対し、その部分を覆う遮蔽オブジェクトとして覆面画像を用いる。
【0153】図19および図20は、第1実施例における部分遮蔽表示が行われる場合の特別図柄表示装置での表示例を示す図である。本実施例のパチンコ遊技機1では、部分遮蔽表示を行うための条件としてリーチ状態となることが必要であるため、部分遮蔽表示処理を行う場合には、リーチ状態を強制的に作り出す。このため、部分遮蔽表示の際には、特別図柄右図柄が特別図柄左図柄と同一図柄となるように、特別図柄左用乱数RLの乱数値をそのまま特別図柄右用乱数RRに複写することで同一の値とする。
【0155】遊技球が特別図柄始動口5を通過すると、特別図柄判定用乱数R2および遮蔽表示判定用乱数RDの値が抽出されるとともに、前述した特別図柄プロセス処理において特別図柄の変動表示が行われる。具体的には、図19(b)に示すように、表示図柄が変動を開始する。ここで、特別図柄判定用乱数R2の値がハズレで、かつ、遮蔽表示判定用乱数RDの値が"62"であった場合、または特別図柄判定用乱数R2の値が当たりで、かつ、遮蔽表示判定用乱数RDの値が"0"?"41"であった場合には、特別図柄右図柄を特別図柄左図柄と同一図柄とし、図19(c)に示すように、強制的にリーチ状態にする。
【0156】ここで、最終停止図柄となる特別図柄中図柄には、特別図柄左図柄および特別図柄右図柄として停止している表示図柄と腕画像部分が共通要素となる、図16(a)に示す覆面画像を用いる。そして、当該覆面画像を、図19(d)に示すように、最終停止図柄として停止させる。・・・
【0158】続いて、左右に位置するキャラクタ(以下、左右キャラクタ)が共に腕を伸ばし、中央に位置するキャラクタ(以下、中央キャラクタ)の覆面に手をかける動作を表示する(図19(f)参照)。続いて、左右キャラクタは、中央キャラクタが被っている覆面を剥ぎ取ろうとする(図20(a)参照)。ここで、特別図柄判定用乱数R2の値が当たりであった場合、覆面を剥ぎ取られた後の中央キャラクタとして、左右キャラクタと同一のキャラクタを表示する(図20(b)参照)。
【0160】一方、特別図柄判定用乱数R2の値がハズレであった場合、覆面を剥ぎ取られた後の中央キャラクタとして、左右キャラクタと異なる顔のキャラクタを表示する(図20(e)参照)。・・・

引用文献1における記載事項及び図面を総合的に勘案すれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「 大当たり判定か、リーチ判定か、ハズレ判定かを大当たり決定の抽選値により抽出される停止図柄に基づいて決定するCPU221と、
3つの特別図柄表示領域6a,6b,6cが設けられ、特別図柄左図柄、特別図柄中図柄、特別図柄右図柄を表示する特別図柄表示装置6と、を備え、
前記特別図柄表示領域6a,6b,6cに表示される、前記左図柄、右図柄、中図柄の各表示図柄の変動表示をそれぞれ開始し、該変動表示を開始してから所定時間経過後、前記左図柄、右図柄、中図柄の順にそれぞれ変動を停止し、変動停止時の停止図柄態様が、同一の表示図柄で三つ揃いになった場合を大当たりとするパチンコ遊技機1において、
特別図柄としては、12個の表示図柄と、特定のリーチ状態となった場合に用いられる3個の表示図柄とが用意され、
前記表示図柄は、髪型がそれぞれ異なる4種類の顔画像および覆面をした顔画像と、手の位置および状態がそれぞれ異なる3種類の腕画像とを組み合わせることによる15個のキャラクタ画像であり、
前記12個の表示図柄は1?12までの数字に対応するものであり、共通要素として腕画像を用い、特別図柄用乱数の値が0?3のときは、両腕のこぶしを胸の前に配置した腕画像に対し、髪型がそれぞれ異なる4種類の顔画像を割り当てたキャラクタ画像を特別図柄として用い、特別図柄用乱数の値が4?7のときは、腕組みをした状態の腕画像に対し、髪型がそれぞれ異なる4種類の顔画像を割り当てたキャラクタ画像を特別図柄として用い、特別図柄用乱数の値が8?11のときは、両手を開いて左右に配置した腕画像に対し、髪型がそれぞれ異なる4種類の顔画像を割り当てたキャラクタ画像を特別図柄として用いており、
特別図柄判定用乱数R2の値がハズレで、かつ、遮蔽表示判定用乱数RDの値が"62"であった場合、または特別図柄判定用乱数R2の値が当たりで、かつ、遮蔽表示判定用乱数RDの値が"0"?"41"であった場合には、前記右図柄を前記左図柄と同一図柄とし、最終停止図柄となる特別図柄中図柄には、特別図柄左図柄および特別図柄右図柄として停止している表示図柄と腕画像部分が共通要素となる覆面画像を用い、続いて、左右キャラクタが共に腕を伸ばし、中央キャラクタの覆面に手をかける動作を表示した後、特別図柄判定用乱数R2の値が当たりであった場合、覆面を剥ぎ取られた後の中央キャラクタとして、左右キャラクタと同一のキャラクタを表示し、前記乱数R2の値がハズレであった場合、覆面を剥ぎ取られた後の中央キャラクタとして、左右キャラクタと異なる顔のキャラクタを表示するパチンコ遊技機1。」

2.引用発明と本願発明との対比
そこで、本願発明と引用発明とを比較すると、
引用発明の「パチンコ遊技機1」は、本願発明の「遊技機」に相当し、以下同様に、
「大当たり判定か、リーチ判定か、ハズレ判定か」は「大当り遊技状態を生起させるか否か」に、
「大当たり決定の抽選値により抽出される停止図柄に基づいて」は「抽選によって」に、
「CPU221」は「抽選手段」に、
「3つの特別図柄表示領域6a、6b、6c」は「複数個の図柄表示位置」に、
「特別図柄左図柄、特別図柄中図柄、特別図柄右図柄」は「図柄」に、
「特別図柄表示装置6」は「表示部」に、
「前記特別図柄表示領域6a,6b,6cに表示される、前記左図柄、右図柄、中図柄の各表示図柄の変動表示をそれぞれ開始し、該変動表示を開始してから所定時間経過後」は「前記複数の図柄表示位置において、図柄を変動表示した後」に、
「前記左図柄、右図柄、中図柄の順にそれぞれ変動を停止し」は「所定の順序で図柄を停止表示し」に、
「変動停止時の停止図柄態様が、同一の表示図柄で三つ揃いになった場合を大当たりとする」は「停止表示した図柄の組み合わせによって前記抽選手段による抽選の結果を告知する」に、それぞれ相当する。
さらに、引用文献1の記載等からみて、以下のことが言える。

a.引用発明において、「特別図柄左図柄」は特別図柄表示領域6aに、「特別図柄中図柄」は同領域6bに、「特別図柄右図柄」は同領域6cに表示されており、各図柄は変動表示をそれぞれ開始し、左右中の順にそれぞれ変動を停止するものであるから、引用発明の「特別図柄表示装置6」は、本願発明の「複数個の図柄表示位置を有し、それぞれの前記図柄表示位置で独立して図柄の変動表示及び停止表示を行うことが可能」に相当する機能を有するものといえる。

b.引用発明の「特定のリーチ状態となった場合に用いられる3個の表示図柄」は、段落【0141】の記載からみて、顔画像に対し、その部分を覆う遮蔽オブジェクトとしての図柄であるが、本願発明においては第2の構成要素の全体を隠すための特別な画像を用いていないので、引用発明の「12個の表示図柄」が本願発明の「複数種類の図柄」に相当するものである。そして、引用発明の「12個の表示図柄」は「特別図柄表示領域6a,6b,6c」に表示されるものであるから、引用発明は、本願発明の「複数個の図柄表示位置のそれぞれに表示される図柄として、複数種類の図柄を有し」に相当する構成を有しているといえる。
また、「手の位置および状態がそれぞれ異なる3種類の腕画像」及び「髪型がそれぞれ異なる4種類の顔画像」は、それぞれ「第1の構成要素」及び「第2構成要素」に相当するものといえるから、引用発明の「12個の表示図柄」は、本願発明の「それぞれが、第1の構成要素及び第2の構成要素を含んでなり」に相当する構成を有するものといえる。

c.引用発明において「特別図柄用乱数の値が0?3のとき」、「特別図柄用乱数の値が4?7のとき」及び「特別図柄用乱数の値が8?11のとき」の特別図柄は、それぞれ本願発明における「同一のグループに属する図柄」に相当し、そうしてみると、それぞれのときにおける特別図柄は腕画像が同一となっているから、引用発明の「12個の表示図柄」は、本願発明における「複数のグループに分けられており、前記複数種類の図柄のうち同一のグループに属する図柄は、前記第1の構成要素が互いに同一となっており」に相当する構成を有しているといえる。

d.引用発明における「特別図柄判定用乱数R2の値がハズレで、かつ、遮蔽表示判定用乱数RDの値が"62"であった場合、または特別図柄判定用乱数R2の値が当たりで、かつ、遮蔽表示判定用乱数RDの値が"0"?"41"であった場合」は、本願発明の「前記抽選手段による抽選の結果」に相当するものであり、引用発明において、そのような場合には、前記右図柄を前記左図柄と同一図柄とし、覆面をした顔画像を表示した後、ハズレ又は当たりの表示を行うから、引用発明における上記の場合は、本願発明の「前記抽選手段による抽選の結果を告知する際に、最後に図柄を停止表示する図柄表示位置以外の図柄表示位置で既に停止表示されている図柄の前記第1の構成要素及び前記第2の構成要素が互いに同一である場合」に相当する。

e.引用発明において「特別図柄左図柄および特別図柄右図柄として停止している表示図柄と腕画像部分が共通要素となる覆面画像を用い」ることは、本願発明において「前記既に停止表示されている図柄が属するグループ内の図柄」について「前記第1の構成要素の少なくとも一部が該図柄表示位置内に表示され、該第1の構成要素を判別可能としつつ、該第2の構成要素の全体を隠」すことに相当する。
そして、引用発明において「特別図柄判定用乱数R2の値が当たりであった場合、覆面を剥ぎ取られた後の中央キャラクタとして、左右キャラクタと同一のキャラクタを表示し、前記乱数R2の値がハズレであった場合、覆面を剥ぎ取られた後の中央キャラクタとして、左右キャラクタと異なる顔のキャラクタを表示する」ことは、本願発明において「前記既に停止表示されている図柄が属するグループ内の図柄の全体を表示して、該図柄を停止表示し、該複数の図柄表示位置に停止表示された図柄の前記第2の構成要素の組み合わせによって前記抽選手段による抽選の結果を告知する」ことに相当するから、引用発明は本願発明と、“前記最後に図柄を停止表示する図柄表示位置において、前記既に停止表示されている図柄が属するグループ内の図柄について、前記第1の構成要素の少なくとも一部が該図柄表示位置内に表示され、該第1の構成要素を判別可能としつつ、該第2の構成要素の全体を隠し、その後、前記既に停止表示されている図柄が属するグループ内の図柄の全体を表示して、該図柄を停止表示し、該複数の図柄表示位置に停止表示された図柄の前記第2の構成要素の組み合わせによって前記抽選手段による抽選の結果を告知する”点では共通しているといえる。

以上を総合すると、両者は、
「 大当り遊技状態を生起させるか否かを抽選によって決定する抽選手段と、
複数個の図柄表示位置を有し、それぞれの前記図柄表示位置で独立して図柄の変動表示及び停止表示を行うことが可能な表示部と、を備え、
前記複数の図柄表示位置において、図柄を変動表示した後、所定の順序で図柄を停止表示し、停止表示した図柄の組み合わせによって前記抽選手段による抽選の結果を告知する遊技機において、
前記複数個の図柄表示位置のそれぞれに表示される図柄として、複数種類の図柄を有し、
前記複数種類の図柄のそれぞれが、第1の構成要素及び第2の構成要素を含んでなり、
前記複数種類の図柄は、複数のグループに分けられており、
前記複数種類の図柄のうち同一のグループに属する図柄は、前記第1の構成要素が互いに同一となっており、
前記抽選手段による抽選の結果を告知する際に、最後に図柄を停止表示する図柄表示位置以外の図柄表示位置で既に停止表示されている図柄の前記第1の構成要素及び前記第2の構成要素が互いに同一である場合、前記最後に図柄を停止表示する図柄表示位置において、
前記既に停止表示されている図柄が属するグループ内の図柄について、前記第1の構成要素の少なくとも一部が該図柄表示位置内に表示され、該第1の構成要素を判別可能としつつ、該第2の構成要素の全体を隠し、
その後、前記既に停止表示されている図柄が属するグループ内の図柄の全体を表示して、該図柄を停止表示し、
該複数の図柄表示位置に停止表示された図柄の前記第2の構成要素の組み合わせによって前記抽選手段による抽選の結果を告知する遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]本願発明の「複数種類の図柄」は「第2の構成要素」が互いに異なっているのに対し、引用発明の「12個の表示図柄」は、「腕画像」が異なっても「顔画像」が同一である「キャラクタ画像」を用いている点。

[相違点2]本願発明は、既に停止表示されている図柄が属するグループ内の図柄の全体を表示した後、該図柄の表示位置を移動させて、該図柄について、前記第1の構成要素の少なくとも一部が該図柄表示位置内に表示され、前記第2の構成要素の全体が該図柄表示位置外に出た状態とすることによって、該第2の構成要素の全体を隠すのに対し、引用発明は、最初から「覆面画像」を用いることで「顔のキャラクタ」(本願発明の「第2の構成要素」に相当)の全体が隠れており、本願発明のような表示態様で「顔のキャラクタ」の全体を隠すようになっていない点。

3.当審の判断
[相違点1について]
審判合議体が通知した拒絶理由に引用された特開2001-104569号公報(以下「引用文献2」という。)の図3、段落【0044】の「各図柄17A?17Iは、各種「海の生物」のキャラクタと、○1?○9の数字との組合せによって構成されている。」という記載(当審注:○1及び○9は、それぞれ1及び9の丸付き数字を表す。)、段落【0124】の「複数の図柄17A?17Iのうち、少なくとも2つは相互に同系色を有している。」という記載及び段落【0132】の「上記実施の形態では、同系色を有する図柄を用意したが、少なくとも2つが相互に外観上類似するような図柄(例えば、相互に外形線が同じ図柄)を採用してもよい。」という記載等からみて、遊技機の分野において、複数種類の図柄のそれぞれに異なる数字とキャラクタ画像を含ませるとともに、それらの少なくとも2つを同系色や外形線が同じ図柄とすること(以下「引用文献2記載の技術1」という。)が知られていることが分かる。
そして、引用発明の「12個の表示図柄」は、「1?12までの数字に対応するもの」となっているから、引用発明に引用文献2記載の技術1を適用し、「12個の表示図柄」の「顔画像」を互いに異なる数字と画像の組合せとし、本願発明における相違点1に係る構成とすることは、遊技機の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に想到し得ることである。

[相違点2について]
上記引用文献2に記載されている段落【0053】の「上記のリーチ状態には、中図柄列15の図柄変動が、最終的に上・下両図柄列14,16の停止図柄と同一種類の図柄(大当たり図柄)で停止して大当たり状態になるもの以外にも、異なる種類の図柄(これを「外れリーチ図柄」という)で停止して、大当たり状態とならないもの(以下、「外れリーチ状態」という)が含まれる。さらには、中図柄列15の図柄変動が一旦停止した後、再度全図柄列(或いは一部の図柄列)が差替えられ、その後全図柄列14?16の図柄17A?17I,17Kが確定表示されるような場合(本実施の形態では「奥行き再変動リーチ」と称する)も含まれる。」等からみて、遊技機の分野において、一旦外れリーチ状態で停止した後、一部の図柄列が差替えられ、その後全図柄列が確定表示されること(以下「引用文献2記載の技術2」という。)が知られていることが分かる。
さらに、リーチ後に最終停止図柄が一旦停止した後、再度変動し、その後全図柄列が確定表示される遊技機において、一旦停止した図柄を図柄表示位置外に出た状態とすることによって図柄全体を隠し、その後図柄全体を表示して、該図柄を停止表示することも、例えば、特開平11-47372号公報(特に、段落【0105】及び図13、スクロール表示から見え隠れ表示に移行する時点で図柄は一旦停止するものと認められる。)や特開2001-218918号公報(特に、段落【0046】、【0058】及び図6)に記載されるように、遊技機の分野において従来周知の技術(以下「周知技術」という。)である。
そして、引用発明も特定のリーチ状態となった場合の変動表示に関するものであるから、引用発明に引用文献2記載の技術2及び周知技術を適用し、特別図柄右図柄を特別図柄左図柄と同一図柄とした後、特別図柄中図柄にその同一図柄と腕画像部分が共通の覆面画像を用いて表示するのに代えて、その同一図柄と腕画像部分が共通の適宜の特別図柄を一旦表示させてから、該表示図柄の「顔のキャラクタ」を図柄表示位置外に出た状態とすることによって、腕画像を判別可能としつつ、顔のキャラクタを隠すようにして、本願発明における相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
請求人は、平成22年4月1日付け意見書において、「引用文献1では、発明の課題として、リーチ状態が発生した際に、最終図柄表示位置において、一旦、はずれ図柄を表示した後に、再変動表示を行う構成では、大当たりとなる期待度を高める効果は薄いことを明示しております。
そして、引用文献1では、この課題を解決する手段として、リーチ状態が発生した際に、最終的に停止した識別情報と既に停止している識別情報との一致状態を徐々に高めるように変化させることによって、遊技者の大当たりに対する期待度を徐々に高める構成を採用しております。
すなわち、引用文献1に係る発明は、リーチ状態が発生した際に、最終図柄表示位置において、一旦、図柄を表示する構成と、相反するものであります。」(第4頁中段)と主張している。
しかし、引用文献1の“リーチ発生後の再変動表示では期待度を高める効果が薄い”という課題は、本願明細書の段落【0003】【発明が解決しようとする課題】に記載されている「ところで、リーチ状態から未確定の最後の1枚の図柄を表示する場合、単に表示停止したのでは遊技性が乏しい。」の「単に表示停止」を改良した「再変動表示」、すなわち通常の図柄が一旦停止し再度変動した後確定する態様でも効果が薄いという課題を記載しているのであって、その方向性は同一である。
そして、その解決手段及び効果は、引用文献1の段落【0023】に記載されるように「変動表示手段により最終的に停止した識別情報が、同一グループに属する識別情報である場合、再変動表示によって識別情報の変動表示を継続する。このように、最終的に停止した識別情報が他の停止した識別情報と同一グループである場合、各識別情報間において、グループ条件による共通度、つまり類似度は高くなる。すなわち、各識別情報が一致することを大当たりの条件としている一般的な遊技機に馴染んでいる遊技者は、識別情報の一致状態が高くなればなるほど、知らず知らずのうちに大当たりに対する期待度が高められることになる。」というものであって、本願明細書の段落【0040】に記載される「第1枚目の図柄2000から第2枚目の図柄2010で、キャラクタ図形が「A」で同じ、数字図形が「1」で同じであった場合、残りの1枚である第3枚目の図柄のキャラクタ図形として「A」が表示されてリーチ状態になると、遊技者は期待が高まる。なぜなら、キャラクタ図形として「A」が表示された段階で次に表示される数字図形が「1」、「4」、「7」又は「10」のいずれかであることが確定しているため、差し換え表示動作が実施されれば、図14に示すように、「1」、「4」、「7」又は「10」のいずれかの数字図形で当たりになると確信する遊技者からみれば、当たりとなる確率が1/4になったように見えるからである。」という解決手段及び効果と軌を一にするものである。
さらに、引用発明では最初から「覆面画像」を用いてはいるが、それも上記段落【0023】記載の「再変動表示によって識別情報の変動表示を継続する」の一態様であって、「リーチ状態が発生した際に、最終図柄表示位置において、一旦、図柄を表示する構成と、相反するもの」とはいえない。
よって、請求人の上記主張は採用できない。

[相違点の判断のまとめ]
本願発明の作用効果も、引用発明、引用文献2記載の技術1、2及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願発明は、引用発明、引用文献2記載の技術1、2及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第四.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2記載の技術1、2及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項(請求項2及び3)について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-04-28 
結審通知日 2010-05-11 
審決日 2010-05-26 
出願番号 特願2001-376395(P2001-376395)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 納口 慶太  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 川島 陵司
池谷 香次郎
発明の名称 遊技機  
代理人 田中 秀▲てつ▼  
代理人 内藤 嘉昭  
代理人 森 哲也  
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