• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1219687
審判番号 不服2009-5972  
総通号数 128 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-03-19 
確定日 2010-07-08 
事件の表示 特願2002-314840「スロットマシン」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 5月27日出願公開、特開2004-147786〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第一.手続の経緯
本願は、平成14年10月29日の出願であって、拒絶理由通知に対して平成20年12月25日に手続補正書が提出され、その後なされた拒絶査定に対し、平成21年3月19日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに同年4月3日に手続補正がなされたものである。
また、当審において、平成21年12月25日付けで審査官による前置報告書の内容を添付して審尋を行い、請求人から平成22年2月15日に回答書が提出された。

第二.平成21年4月3日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成21年4月3日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正により補正された補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)は次のとおりである。
「 変更操作を行わせる変更操作入力手段を有すると共に、各種入賞役の発生を許容するか否かに関して複数段階の当選確率が予め定められており、前記変更操作入力手段から与えられた操作入力信号に応じて前記当選確率を可変に設定する設定確率変更処理手段を含み、前記設定確率変更処理手段によって設定された当選確率に基いて可変表示装置に導出可能な表示結果を決定し、遊技状態を制御する遊技制御手段と、
前記遊技制御手段とは別に設けられ、該遊技制御手段から送信されるコマンドに基いて遊技情報を報知する報知手段の制御を行うサブ制御手段とを有し、
前記可変表示装置の表示結果が導出表示されることにより1ゲームの終了条件が成立し、該可変表示装置の表示結果に応じて入賞が発生し得るスロットマシンにおいて、
前記報知手段は、前記遊技情報の報知を演出表示により行う液晶表示装置を含んで構成され、
前記サブ制御手段は、
前記遊技制御手段から送信される前記コマンドを受信し、前記受信したコマンドに基づく遊技状態の報知に関わる報知制御を行うサブ制御装置と、
前記サブ制御装置から前記コマンドに基づいて送信される演出表示用コマンドに応じて前記液晶表示装置による演出表示を制御する表示制御装置と、を含んで構成され、
前記遊技制御手段は、前記当選確率の設定状態に関する確率設定値コマンドを前記サブ制御装置に送信する設定情報送信処理手段を含み、
前記サブ制御装置は、
受信した前記確率設定値コマンドを記憶する受信記憶処理手段と、
前記確率設定値コマンドに対応した当選確率テーブルと、
前記入賞役のうちのいずれかの入賞発生が許容されていることを報知するか否かを前記当選確率テーブルを用いて抽選する抽選処理手段と、
前記抽選が当選の場合に、報知用コマンドを前記表示制御装置に送信する液晶コマンド送信処理手段と、
を含み、
前記遊技制御手段は、1ゲーム毎に、ゲーム終了時に前記サブ制御装置に対して払出し終了コマンドを送信し、次に前記確率設定値コマンドを送信する、(「設定コマンド」とあるが、「設定値コマンド」の誤記と認める。)
ことを特徴とするスロットマシン。」
(下線部は補正によって変更又は追加された箇所。)

2.補正要件(目的)の検討
請求項1についての補正は、発明を特定するために必要な事項である「サブ制御手段」及び「報知手段」について、前者は、サブ制御手段がサブ制御装置と表示制御装置から構成されること、及び当該サブ制御装置の構成を付加する補正であり、後者は、「報知手段」を「液晶表示装置」に特定する補正である。
そうしてみると、前記各補正は、補正前の各発明特定事項を限定する補正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に相当する。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号による改正前の特許法(以下「改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号に該当する。

3.補正要件(独立特許要件:特許法第29条第2項)の検討
(1)引用刊行物記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、特開2002-291971号公報(以下「引用文献」という。)には、以下の事項が記載されている。

【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、パチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機に係わり、特に筐体に設けられた制御基板に対する不正行為を防止する処理が施された遊技機に関する。
【0003】一方、近年においては、上記のように遊技の進行を制御する遊技制御手段にかかる負荷を軽減することを目的として、例えば種々の演出を実行するために設けられる演出手段としてのスピーカ、遊技効果ランプ、画像表示器(液晶表示器)等の制御を、前記遊技制御手段とは別個に設けた演出制御手段により制御させるようにしている。
【0047】ホッパータンク57の側部には、メイン電源をON/OFFするメインスイッチ部65と、ビッグボーナスの終了時や遊技中にエラーが生じた場合等において再びゲームを続行可能な状態にリセットするための第2リセットボタン66と、入賞確率を変更可能とする設定ボタン67と、自動精算機能をON/OFFする自動精算選択スイッチ部68と、自動打止め機能をON/OFFする打止め選択スイッチ部69と、遊技場の管理者等が所持する特定のキーを挿入した状態で所定の操作を行なうことで前記設定ボタン67の操作を可能、不可とする設定キー挿入部70と、が前面に設けられた電源ユニット64が配設されている。
【0048】入賞確率は、本実施例では、予め定められた入賞確率の値を6つのパターンの設定値として記憶しており、これを上記設定ボタン67を操作することにより任意に選択することで、入賞確率の異なる遊技を行うことが可能となる。
【0090】また、本実施例における被覆部材としての収納ケース550、500は、後述するような遊技者の遊技技術の介入性に関連して、遊技者の有利度に関わる所定の演出の実行を制御することが可能な演出制御手段としての制御部230を構成するROM233やCPU231等が搭載された演出制御基板201や、遊技の進行を制御する遊技制御手段としての制御部210を構成するROM213やCPU211等が搭載された遊技制御基板200の全体をそれぞれ収納出来るように構成されており、前記各基板全体を収納することにより制御部230、210が被覆されるように構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、被覆部材は少なくとも演出制御手段や遊技制御手段を被覆出来るように構成されていれば、必ずしもこれら演出制御手段や遊技制御手段を備える制御基板全体を被覆出来るように構成されていなくてもよい。
【0120】また、遊技制御基板200には、電源投入時にCPU211にリセットパルスを与える初期リセット回路217と、CPU211にクロック信号を与えるクロック発生回路218と、クロック発生回路218からのクロック信号を分周して割込パルスを定期的にCPU211に与えるパルス分周回路(割込パルス発生回路)219と、一定範囲の乱数を高速で連続的に発生している乱数発生回路221と、乱数発生回路221から乱数をサンプリングするサンプリング回路222と、バッファ回路220とが設けられる。さらに、遊技制御基板200には、各種スイッチからの信号が入力されるスイッチ回路215や、モータ回路216、その他、図示しないソレノイド回路等が設けられている。さらに、遊技制御基板200には、停電時にRAM212の記憶を保持させるためのバックアップ電源223が設けられている。RAM212には、各種表示器(クレジット表示器109、ゲーム回数表示器108、ペイアウト表示器110)に表示するべき情報、賭数、内部当選フラグ、出玉率の設定値など、遊技に必要な情報が記憶され、停電時にこれらの情報がバックアップされるために、停電の回復後に、停電発生前の遊技状態に復帰出来る。
【0124】演出制御基板201には、マイクロコンピュータからなる制御部230と、各スピーカ136a、136b、137から音を出力させるためのスピーカ駆動回路235と、各種ランプを点灯あるいは点滅させるためのランプ駆動回路237と、演出用リールモータ303L、303C、303Rを駆動させるためのモータ回路240と、バックアップ電源238とが搭載されている。
【0126】制御部230のROM233には、演出制御基板201から送信されたコマンドに対応した演出パターンを定めたデータテーブルが記憶されている。このデータテーブルは、各遊技効果ランプ130?134、各スピーカ136a、136b、137、各蛍光灯138、小役告知ランプ140a?140c、及び演出用リールモータ303L、303C、303R、演出用リールセンサ305、演出用リールLED304L、304C、304R、演出ランプ360別に分類されている。例えば所定の遊技情報を示すコマンドを受信した場合、制御部230はその遊技状態に応じた演出パターンを各データテーブルから読み出し、この読み出した演出パターンに応じて各遊技効果ランプ130?134、各スピーカ136a、136b、137、各蛍光灯138、小役告知ランプ140a?140c、リールランプ55、及び演出用リールモータ303L、303C、303R、演出用リールセンサ305、演出用リールLED304L、304C、304R、演出ランプ360等を制御する。
【0130】一方、サンプリング回路222は、スタートスイッチ102の検出信号が入力されたタイミングで乱数発生回路221から1個の乱数をサンプリングし、その乱数をCPU211に引き渡す。CPU211は、そのサンプリングされた乱数と、ROM213内に格納されている入賞役別の入賞判定テーブルとを参照して、入賞の発生を許容するか否かを入賞役別に決定し、その決定結果をRAM212に記憶させる。これにより、スタート操作がされたタイミングで、入賞役の当選の有無が決定される。制御部210は、その後、入賞役別の当選結果に応じてリールを制御する。
【0146】次に、本実施例における制御部210がゲームの進行に伴い実行する各種制御内容を、図17のフローチャートに基づいて以下説明していく。
【0151】これら入賞の抽選は、乱数発生回路221から発生される循環した乱数列から、サンプリング回路222にてスタートレバー38が操作されたタイミングで乱数値をサンプリングするとともに、得られたサンプリング値をROM213に予め書き込まれている所定のデータ(入賞判定テーブル(図20参照))と比較することで、当選か否か、及び当選した場合はその賞の種類を判定し、当選した賞に該当する内部当選フラグの設定を行う。この入賞判定テーブルには、例えば図20に示されるように、各賞の内部当選確率が、各ゲームにおける賭数及び遊技状態(通常ゲーム時、もしくはBB時、RB時)別に対応してそれぞれ設定されている。なお図20には、賭数が3枚賭けで、設定値が6(最も内部当選確率が高い)の場合の入賞判定テーブルが内部当選確率の一例として示されている。
【0159】Sa6においては、Sa5において全てのリール51L、51C、51Rの回転が停止されたと判定した時点で、可変表示装置50に表示された表示内容と、Sa3において当選し、設定された内部当選フラグの内容とを照合して入賞内容の判定を実行するとともに、特にいずれかの賞に入賞したと判定した場合にあっては、入賞内容に対応した各種設定を実行する。この設定内容としては、例えば入賞内容に対応する払出しメダル枚数、遊技状態、再遊技等の設定がある。
【0160】Sa7においては、Sa6において判定された入賞内容に対応して設定された設定内容に基づく処理を実行する。具体的には、設定された払出しメダル枚数分のメダルの払出し処理や、遊技状態の変更(通常遊技状態から特別遊技状態へ、または特別遊技状態から通常遊技状態への変更等)処理や、再遊技の場合にはそのゲームにおける賭数と同等の賭数のBET処理(再遊技の設定処理)等を実行する。
【0162】また、本実施例におけるスロットマシン1にあっては、前述したBBが発生した場合おいてはそのBBの最後のゲームの終了後において、演出制御手段としての制御部230は、前述したAT状態を発生させるか否かの抽選を実行し、このAT抽選演出の実行によりAT状態が発生したか否かの旨を遊技者に対して報知するようになっている。
【0164】詳しくは本実施例におけるAT状態は、後述する入賞の抽選により当選した内部当選フラグが白7-スイカ賞、または黒7-スイカ賞、またはBAR-スイカ賞である場合においていずれかの小役告知ランプ140a?140cが点灯され、その当選した賞が遊技者に対して認識可能に報知されるようになるとともに、その賞への入賞が可能となるストップボタン40L、40C、40Rの押し順(入賞押し順)が、これらストップボタン40L、40C、40Rそれぞれに対応するように設けられた演出用リール301L、301C、301Rの周面における所定領域を後方から発光する演出用リールLED304L、304C、304Rが点灯されることにより遊技者に対して報知されるようになる特定遊技状態である。
【0166】以下、図18?図23に基づいて、このAT状態に関連して遊技制御手段としての制御部210、及び演出制御手段としての制御部230が実行する制御処理内容、及びAT状態中における各種装置の動作状況を説明する。
【0168】まずSb1において、スタートレバー38の操作があるか否かを判定し、操作があると判定した場合はSb2へ進んで入賞決定用乱数値を抽出した後、Sb3において、図20に示される入賞判定テーブルと比較し、Sb4において、いずれかの賞の当選があるか否かを判定する。Sb4においていずれかの賞の当選があると判定した場合は、Sb5へ進んで当選した賞に対応した内部当選フラグを設定する。また、Sb4においていずれの賞の当選もないと判定した場合はそのままSb6へ進む。Sb6においては、Sb5で設定された内部当選フラグとして内部当選状況コマンドを演出制御基板201に送信する。
【0170】次に、Sb7においては、前述したように予め決定されている内部当選確率の設定値(1?6)を、設定値コマンドとして演出制御基板201に送信する。次にSb8においては、内部当選した賞が黒7-スイカ賞または、白7-スイカ賞または、BAR-スイカ賞のいずれかであるかを判定し、内部当選した賞が黒7-スイカ賞、または白7-スイカ賞、またはBAR-スイカ賞のいずれかであると判定した場合はSb9へ進み、内部当選した賞が黒7-スイカ賞、または白7-スイカ賞、またはBAR-スイカ賞のいずれでもないと判定した場合、すなわち、これら以外の賞に内部当選した場合やいずれの賞にも内部当選していないと判定した場合はSb13へ進む。
【0178】次に、BBの終了後に実行されるAT抽選処理について、図21のフローチャートに基づいて説明する。なお、このAT抽選処理は、演出制御基板201の制御部230が、BBの最後のゲームにおける払出し処理時において制御部210から出力される遊技状態コマンドを受信した場合に実行されるようになっている。この遊技状態コマンドは、特に図示しないが、図17におけるSa7の払出し処理時において各ゲーム毎に送信されるコマンドであり、各ゲームの入賞内容等に基づいて次回のゲームがどのような遊技状態であるかを示す旨の情報が含まれている。
【0179】まず、Sc1では、AT抽選用の乱数値を抽出し、Sc2で抽出された乱数値を、図22に示されるAT当選判定テーブルと比較する。
【0180】AT当選判定テーブルは、図22に示されるように、Sb7において送信される設定値コマンドに含まれる設定値情報に対応してAT当選確率がそれぞれ異なるように各設定値ごとにサンプリング値の割り当て範囲が設定されている。本実施例においては、入賞当選確率の低い設定である設定値1の場合よりも、入賞当選確率の高い設定である設定値6の場合の方がATに当選する可能性が高くなっている。なお、本実施例においては、内部当選確率の設定値が高い場合においてAT当選の確率が高くなるように設定されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、本実施例とは逆に内部当選確率の設定値が低く設定されている場合にATが高確率で当選するようにしても良い。
【0181】次にSc3においては、Sc2で比較した結果に基づいてATが当選したか否かを判定し、ATに当選したと判定した場合にはSc4へ進み、AT状態が発生中である旨を示すAT中フラグを設定する。また、Sc3においてATが当選しなかったと判定した場合にはそのままSc5へ進む。
【0196】また、本実施例ではBB終了後にAT抽選を実行してATが当選した場合にAT状態が発生するようになっているが、ATの発生時期等はこれに限定されるものではなく、例えば通常遊技状態中の各ゲーム毎にAT状態を発生させるか否かの抽選を実行するようにして、通常遊技中においてもAT状態が発生するようにしても良い。また、AT状態中の継続ゲーム数も、AT状態中における報知の対象となる賞の内部当選確率等に応じて適宜に変更可能である。
【0199】このように、遊技者の遊技技術の介入性に関連して、遊技者の有利度に関わる所定の演出である、遊技制御手段としての制御部210により内部当選される賞や入賞押し順の報知の実行を制御することが可能な演出制御手段としてのCPU231やそのプログラム等が格納されるROM233等が実装される演出制御基板201に対して不正な処理を施すことを困難とする処理を施すことで、制御部230により異常な演出が実行されることを阻止出来る。これは、制御部230は、制御部210からの各種コマンドに基づいて、前述したような遊技者の遊技技術の介入性があることを示唆する所定の演出を単独で決定することが可能であるため、制御部230が異常作動すると、内部当選した賞や入賞押し順の報知のように遊技者が有利となるような報知が頻繁に実行され、店側が多大な不利益を被る恐れがあるからである。
【0249】本発明の請求項1は、所定の操作により遊技を実行可能な遊技機(スロットマシン1、パチンコ遊技機703)であって、前記遊技機は、遊技の進行を制御する遊技制御手段(制御部210)と、該遊技制御手段とは別個に設けられるとともに、前記遊技制御手段から出力される出力信号に基づいて、遊技者の遊技技術の介入性に関連して、遊技者の有利度に関わる所定の演出の実行を制御することが可能な演出制御手段(制御部230)と、を備え、前記演出制御手段を備える演出制御基板(201、演出用リール制御基板206、ランプ制御基板207、735、音制御基板208、音声制御基板770、表示制御基板780)は、少なくとも前記演出制御手段が被覆部材(収納ケース550)により被覆された状態で筐体(2a)に取付けられており、前記被覆部材は、所定の部位を破壊しない限りその被覆状態を解除することが出来ないように構成されている。

摘記した上記の記載や図面等によれば、引用文献には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
なお、引用文献の記載において、遊技制御手段と制御部210は同等のものであり、遊技制御基板200は制御部210を搭載しているから(段落【0090】参照)、遊技制御手段又は制御部210についての説明は、遊技制御基板200についての説明とみなして認定した。
「 入賞確率を変更可能とする設定ボタン67と、予め定められた入賞確率の値を6つのパターンの設定値として記憶しており、これを前記設定ボタン67を操作することにより任意に選択し、サンプリングされた乱数と選択した前記設定値に対応した入賞判定テーブルとを参照して、入賞の発生を許容するか否かを入賞役別に決定し、その後、入賞役別の当選結果に応じてリールを制御する遊技制御基板200と、
前記遊技制御基板200とは別個に設けられるとともに、該遊技制御基板200からの各種コマンドに基づいて、内部当選される賞や入賞押し順の報知の実行を制御することが可能な演出制御基板201とを有し、
前記リールの回転が停止されたと判定した時点で、入賞内容の判定を実行するとともに、いずれかの賞に入賞したと判定した場合にあっては、入賞内容に対応した各種設定を実行するスロットマシンにおいて、
前記内部当選される賞や入賞押し順は、いずれかの小役告知ランプ140a?140cが点灯され、演出用リールLED304L、304C、304Rが点灯されることにより遊技者に対して報知され、
前記演出制御基板201には、
前記遊技制御基板200からの各種コマンドに基づいて、所定の演出を単独で決定することが可能であり、AT状態が発生したか否かの旨を遊技者に対して報知し、読み出した演出パターンに応じて各遊技効果ランプ130?134、小役告知ランプ140a?140c、リールランプ55、演出用リールLED304L、304C、304R及び演出ランプ360等を制御する制御部230と、
各種ランプを点灯あるいは点滅させるためのランプ駆動回路237等が搭載され、
前記遊技制御基板200は、スタートレバー38の操作があると判定した場合は、設定値コマンドを前記演出制御基板201に送信し、
前記制御部230は、
遊技状態コマンドを受信した場合にAT抽選処理を実行し、
該AT抽選処理は、前記設定値コマンドに含まれる設定値情報に対応してAT当選確率がそれぞれ異なるように各設定値ごとにサンプリング値の割り当て範囲が設定されているAT当選判定テーブルと、AT抽選用の乱数値を比較した結果に基づいてATが当選したか否かを判定し、
ATに当選したと判定した場合には、AT状態が発生中である旨を示すAT中フラグを設定し、内部当選フラグが白7-スイカ賞、または黒7-スイカ賞、またはBAR-スイカ賞である場合において前記小役告知ランプ140a?140cのいずれかを点灯し、その賞への入賞が可能となるストップボタン40L、40C、40Rの押し順を、前記演出用リールLED304L、304C、304Rを点灯して報知するものであり、
前記遊技制御基板200は、メダルの払出し処理や遊技状態の変更処理等を実行し、各ゲーム毎に、メダルの払出し処理時に前記制御部230に遊技状態コマンドを送信する、
スロットマシン。」

(2)引用発明と本願補正発明との対比
引用発明の「入賞確率を変更可能とする設定ボタン67」は、本願補正発明の「変更操作を行わせる変更操作入力手段」に相当し、以下同様に、
「入賞確率」は「当選確率」に、
「リール」は「可変表示装置」に、
「別個に設けられるとともに」は「別に設けられ」に、
「該遊技制御基板200からの各種コマンドに基づいて」は「該遊技制御手段から送信されるコマンドに基いて」に、
「設定値コマンド」は「当選確率の設定状態に関する確率設定値コマンド」に、
「ATに当選したと判定した場合」は「前記抽選が当選の場合」に、
「各ゲーム毎に」は「1ゲーム毎に」に、それぞれ相当する。
さらに、引用文献の記載等からみて、以下のことが言える。

a.引用発明の「入賞確率」が、本願補正発明における「各種入賞役の発生を許容するか否かに関して」の「当選確率」に相当することは明らかであり、引用発明は「入賞確率の値を6つのパターンの設定値として記憶して」いるとともに、その「入賞確率」は予め定められたものであるから、引用発明は本願補正発明の「各種入賞役の発生を許容するか否かに関して複数段階の当選確率が予め定められており」に相当する構成を有しているといえる。
そして、引用発明において「これを前記設定ボタン67を操作することにより任意に選択」するということは、「前記設定ボタン67を操作することにより」何らかの信号が出力され、その信号が遊技制御基板200に入力されることによって「6つのパターンの設定値」のいずれかが任意に選択されるということにほかならないから、引用発明の「遊技制御基板200」は、本願補正発明の「前記変更操作入力手段から与えられた操作入力信号に応じて前記当選確率を可変に設定する設定確率変更処理手段」に相当する手段を含むものということができる。
また、引用発明の「6つのパターンの設定値」は入賞確率を設定するためのものであるから、引用発明において「サンプリングされた乱数と選択した前記設定値に対応した入賞判定テーブルとを参照して、入賞の発生を許容するか否かを入賞役別に決定」することは、本願補正発明において「設定された当選確率に基いて可変表示装置に導出可能な表示結果を決定」することに相当する。
さらに、引用発明における「その後、入賞役別の当選結果に応じてリールを制御する」は、より具体的ではあるが、本願補正発明における「遊技状態を制御する」に相当する機能であることも明らかである。
よって、引用発明の「遊技制御基板200」は本願補正発明の「各種入賞役の発生を許容するか否かに関して複数段階の当選確率が予め定められており、前記変更操作入力手段から与えられた操作入力信号に応じて前記当選確率を可変に設定する設定確率変更処理手段を含み、前記設定確率変更処理手段によって設定された当選確率に基いて可変表示装置に導出可能な表示結果を決定し、遊技状態を制御する遊技制御手段」に相当する。

b.引用発明の「内部当選される賞や入賞押し順」は、本願補正発明の「遊技情報」に相当し、引用発明が「内部当選される賞や入賞押し順」を報知するための報知手段を備えていることも明らかであるから、引用発明の「演出制御基板201」は、本願補正発明の「前記遊技制御手段とは別に設けられ、該遊技制御手段から送信されるコマンドに基いて遊技情報を報知する報知手段の制御を行うサブ制御手段」に相当する。

c.引用発明において「前記リールの回転が停止された」ことは、本願補正発明において「前記可変表示装置の表示結果が導出表示されること」に相当し、引用発明がその時点で「入賞内容の判定を実行する」ということは、本願補正発明の「1ゲームの終了条件」に相当する条件が成立したとみなしたからにほかならない。
また、引用発明の「いずれかの賞に入賞したと判定した場合にあっては、入賞内容に対応した各種設定を実行する」機能は、本願補正発明の「該可変表示装置の表示結果に応じて入賞が発生し得る」機能に相当するものということができるから、引用発明の「スロットマシン」は、本願補正発明の「前記可変表示装置の表示結果が導出表示されることにより1ゲームの終了条件が成立し、該可変表示装置の表示結果に応じて入賞が発生し得る」に相当する機能を備えるものといえる。

d.引用発明の「内部当選される賞や入賞押し順」は、本願補正発明の「遊技情報」に相当し、引用発明の「小役告知ランプ140a?140c」や「演出用リールLED304L、304C、304R」の点灯も演出表示であることに変わりはなく、ランプやLEDと液晶表示装置はいずれも表示装置であるといえるから、引用発明と本願補正発明は、“前記報知手段は、前記遊技情報の報知を演出表示により行う表示装置を含んで構成され”ている点では共通している。

e.引用発明の「制御部230」は、「前記遊技制御基板200からの各種コマンドに基づいて、所定の演出を単独で決定することが可能」であるから、本願補正発明の「前記遊技制御手段から送信される前記コマンドを受信し」に相当する機能を有することが明らかである。
そして、引用発明の「AT状態が発生したか否か」は「前記遊技制御基板200からの各種コマンドに基づいて」決定されており、かつ「AT状態が発生したか否かの旨を遊技者に対して報知する」ことは、本願補正発明の「遊技状態の報知」に相当するものといえるから、引用発明の「制御部230」は、本願補正発明の「前記遊技制御手段から送信される前記コマンドを受信し、前記受信したコマンドに基づく遊技状態の報知に関わる報知制御を行うサブ制御装置」に相当する。
また、上記d.で述べたと同様、引用発明の「各種ランプを点灯あるいは点滅させる」ことも演出表示であることに変わりはなく、引用発明の「各種ランプ」及び「ランプ駆動回路237」と、本願補正発明の「液晶表示装置」及び「表示制御装置」は、それぞれ“表示装置”及び“表示制御手段”である点では共通しているから、引用発明の「演出制御基板201」と本願補正発明の「サブ制御手段」は、“前記遊技制御手段から送信される前記コマンドを受信し、前記受信したコマンドに基づく遊技状態の報知に関わる報知制御を行うサブ制御装置と、前記表示装置による演出表示を制御する表示制御手段と、を含んで構成され”ている点では共通している。

f.引用発明の「遊技制御基板200」は、「設定値コマンドを前記演出制御基板201に送信」している。そして、その「設定値コマンド」を用いた処理は制御部230で行われているので、引用発明の「設定値コマンド」が演出制御基板201の中の制御部230に送られていることは明らかである。
そうしてみると、引用発明の「遊技制御基板200」は、本願補正発明の「前記当選確率の設定状態に関する確率設定値コマンドを前記サブ制御装置に送信する設定情報送信処理手段」に相当する手段を含むものといえる。

g.上記f.で述べたとおり、引用発明の「設定値コマンド」が演出制御基板201の中の制御部230に送られていることは明らかであるから、その「制御部230」が「設定値コマンド」を受信しているといえる。そして、引用発明の「AT抽選処理」は、「設定値コマンドに含まれる設定値情報に対応してAT当選確率がそれぞれ異なるように各設定値ごとにサンプリング値の割り当て範囲が設定されているAT当選判定テーブル」を用いて行われるのであるから、引用発明の「制御部230」が「設定値コマンド」を少なくとも一時的には記憶する必要があることも明らかである。
そうしてみると、引用発明の「制御部230」は、本願補正発明の「受信した前記確率設定値コマンドを記憶する受信記憶処理手段」に相当する手段を含むものといえる。
また、引用発明の「AT当選判定テーブル」及び「ATが当選したか否か」は、それぞれ本願補正発明の「前記確率設定値コマンドに対応した当選確率テーブル」及び「前記入賞役のうちのいずれかの入賞発生が許容されていることを報知するか否か」に相当しているから、引用発明において「AT当選判定テーブルと、AT抽選用の乱数値を比較した結果に基づいてATが当選したか否かを判定」することは、本願補正発明において「前記入賞役のうちのいずれかの入賞発生が許容されていることを報知するか否かを前記当選確率テーブルを用いて抽選する」ことに相当する。
よって、引用発明の「制御部230」は、本願補正発明の「前記確率設定値コマンドに対応した当選確率テーブルと、前記入賞役のうちのいずれかの入賞発生が許容されていることを報知するか否かを前記当選確率テーブルを用いて抽選する抽選処理手段」に相当する手段を含むものといえる。

h.引用発明において「前記小役告知ランプ140a?140cのいずれかを点灯」し、「前記演出用リールLED304L、304C、304Rを点灯」すること、及び本願補正発明において「報知用コマンドを前記表示制御装置に送信する」ことは、いずれも報知表示処理を行うことといえるから、引用発明の「制御部230」と本願補正発明の「サブ制御装置」は、“前記抽選が当選の場合に、報知表示処理を行う手段”を含んでいる点で共通している。

i.引用発明の「メダルの払出し処理や遊技状態の変更処理等」(引用文献の図17におけるSa7)は、毎ゲーム行われており、それらの処理がゲーム終了時に実行されていることも明らかである。また、引用発明の「遊技状態コマンド」と本願補正発明の「払出し終了コマンド」及び「確率設定値コマンド」は“コマンド”である点では共通しているから、引用発明と本願補正発明は、“遊技制御手段は、1ゲーム毎に、ゲーム終了時に前記サブ制御装置に対してコマンドを送信する”点においては共通している。

以上を総合すると、両者は、
「 変更操作を行わせる変更操作入力手段を有すると共に、各種入賞役の発生を許容するか否かに関して複数段階の当選確率が予め定められており、前記変更操作入力手段から与えられた操作入力信号に応じて前記当選確率を可変に設定する設定確率変更処理手段を含み、前記設定確率変更処理手段によって設定された当選確率に基いて可変表示装置に導出可能な表示結果を決定し、遊技状態を制御する遊技制御手段と、
前記遊技制御手段とは別に設けられ、該遊技制御手段から送信されるコマンドに基いて遊技情報を報知する報知手段の制御を行うサブ制御手段とを有し、
前記可変表示装置の表示結果が導出表示されることにより1ゲームの終了条件が成立し、該可変表示装置の表示結果に応じて入賞が発生し得るスロットマシンにおいて、
前記報知手段は、前記遊技情報の報知を演出表示により行う表示装置を含んで構成され、
前記サブ制御手段は、
前記遊技制御手段から送信される前記コマンドを受信し、前記受信したコマンドに基づく遊技状態の報知に関わる報知制御を行うサブ制御装置と、
前記表示装置による演出表示を制御する表示制御手段と、を含んで構成され、
前記遊技制御手段は、前記当選確率の設定状態に関する確率設定値コマンドを前記サブ制御装置に送信する設定情報送信処理手段を含み、
前記サブ制御装置は、
受信した前記確率設定値コマンドを記憶する受信記憶処理手段と、
前記確率設定値コマンドに対応した当選確率テーブルと、
前記入賞役のうちのいずれかの入賞発生が許容されていることを報知するか否かを前記当選確率テーブルを用いて抽選する抽選処理手段と、
前記抽選が当選の場合に、報知表示処理を行う手段と、
を含み、
前記遊技制御手段は、1ゲーム毎に、ゲーム終了時に前記サブ制御装置に対してコマンドを送信する、
スロットマシン。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]本願補正発明の“表示装置”は「液晶表示装置を含んで」いるのに対し、引用発明の“表示装置”は「小役告知ランプ140a?140c」や「演出用リールLED304L、304C、304R」であって、液晶表示装置を含んでいない点。
[相違点2]本願補正発明の“表示制御装置”は「前記サブ制御装置から前記コマンドに基づいて送信される演出表示用コマンドに応じて前記液晶表示装置による演出表示を制御する」ものであるのに対し、引用発明の「ランプ駆動回路237」はどのようにして各種ランプを点灯あるいは点滅させているのか明らかでなく、また駆動しているのが各種ランプであって液晶表示装置ではない点。
[相違点3]“前記抽選が当選の場合に、報知表示処理を行う手段”に関して、本願補正発明は「報知用コマンドを前記表示制御装置に送信する」のに対し、引用発明は「内部当選フラグが白7-スイカ賞、または黒7-スイカ賞、またはBAR-スイカ賞である場合において前記小役告知ランプ140a?140cのいずれかを点灯し、その賞への入賞が可能となるストップボタン40L、40C、40Rの押し順を、前記演出用リールLED304L、304C、304Rを点灯して報知する」ものである点。
[相違点4]1ゲーム毎に、サブ制御装置に対して送信されるコマンドに関して、本願補正発明の「遊技制御手段」はゲーム終了時に「払出し終了コマンドを送信し、次に前記確率設定値コマンドを送信する」のに対し、引用発明の「遊技制御基板200」はゲーム終了時に「遊技状態コマンド」を送信し、「設定値コマンド」はスタートレバー38の操作があると判定した場合に送信する点。

(3)相違点の検討及び判断
[相違点1について]
表示手段としてランプや液晶表示装置を用いることは、摘記した引用文献の段落【0003】に示されるように、スロットマシンの分野において従来周知の技術(以下「周知技術1」という。)であり、しかも、液晶表示装置を採用することによって格別の作用効果が得られるものでもないから、引用発明の「小役告知ランプ140a?140c」や「演出用リールLED304L、304C、304R」に代えて、又は追加して液晶表示装置を用い、本願補正発明における相違点1に係る構成とすることは、スロットマシンの分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に想到できることである。

[相違点2及び3について]
相違点2及び3は密接に関連しているので、合わせて検討する。
主制御装置からのコマンドに基づき、副制御装置から表示制御装置に表示用コマンドを送信し、液晶表示装置による表示を制御することは、例えば、特開2001-327657号公報(特に、段落【0042】の「副制御回路72は、主制御回路71からの制御指令(コマンド)に基づいて液晶表示装置5の表示制御・・・を行う。」、【0044】の「画像制御CPU82は、サブマイクロコンピュータ73で設定されたパラメータに基づき、・・・液晶表示装置5での表示内容を決定する。」、【0108】?【0123】の「サブCPU74は、・・・を表示するための指令を画像制御回路81へ送信する。」)及び特開2000-262689号公報(特に、【0028】の「制御内容決定部40は、主制御手段29のコマンド発生手段37からの演出コマンドを受信して記憶する機能と、・・・第2図柄の変動時における変動パターンの種類、変動中に表示すべき図柄の種類、停止後における大当たり図柄及び外れ図柄の種類、その他の第2図柄表示手段24の第2図柄に関する変動表示内容を決定する機能・・・とを有する。」、【0031】の「図柄変動制御部42は、制御内容決定部40で決定された変動表示内容に従って・・・液晶駆動部43を介して第2図柄表示手段24を制御する機能とを有する。」)に記載されるように、遊技機の分野において従来周知の技術(以下「周知技術2」という。)である。
そうしてみると、上記[相違点1について]で述べた、引用発明の「小役告知ランプ140a?140c」や「演出用リールLED304L、304C、304R」に代えて、又は追加して液晶表示装置を用いる場合に、「ランプ駆動回路237」に代えて、又は追加して“液晶表示装置の画像制御回路”を採用し、「制御部230」から“液晶表示装置の画像制御回路”に表示指令を送信して液晶表示装置の表示制御を行うようにし、報知表示処理に際しては、「制御部230」から“液晶表示装置の画像制御回路”に報知表示用の指令を送信するようにして、本願補正発明における相違点2及び3に係る構成とすることは、当業者が容易に想到できることである。

[相違点4について]
引用文献の段落【0046】に「ホッパーモータ62は、払出しメダルセンサ61により所定枚数の払出メダルが検出された時点で停止するように制御されている。」と記載され、また、スロットマシンにおいて、主制御基板からのコマンドにより、サブ制御基板がメダル払出に際してメダル払出音を発生させ、メダルの払出が終了すると払出音を消音させることは、例えば、特開2001-198319号公報(特に、段落【0076】【0077】及び【図34】)、特開2001-204884号公報(特に、段落【0174】?【0177】及び【図91】)並びに特開2001-204886号公報(特に、段落【0101】、【0162】及び【図5】)等に見られるように周知の技術(以下「周知技術3」という。)であるとともに、引用発明の「制御部230」は、段落【0126】等の記載から分かるように、スピーカ136a、136b、137も制御しているから、引用発明の「メダルの払出し処理」において、「遊技制御基板200」が“払出し制御指令”(本願補正発明の「払出し終了コマンド」に相当)を「制御部230」に対しても送信するように為すことは、当業者が適宜実施し得る事項である。
さらに、引用発明の「遊技制御基板200」は、「各ゲーム毎に、メダルの払出し処理時に前記制御部230に遊技状態コマンドを送信する」ものであるから、段落【0196】の記載を考え合わせれば、通常遊技状態中の各ゲーム毎に遊技状態コマンドが送信された時にAT抽選処理を実行するようにしても良いこととなる。
ところで、引用発明において「設定値コマンド」(本願補正発明の「確率設定値コマンド」に相当)は、スタートレバー38の操作があると判定した場合に送信されているが、毎ゲーム送信されるものであるとともに、送信タイミングをそのような場合に限る必然性はない。
そして、引用発明の「AT抽選処理」は、設定値コマンドに含まれる設定値情報に対応したAT当選判定テーブルを用いて実行されるのであるから、「設定値コマンド」の送信タイミングを「AT抽選処理」を実行させる契機となる「遊技状態コマンド」を送信する時に変更することは、当業者が適宜実施し得る事項である。
よって、引用発明の「メダルの払出し処理」において、「遊技制御基板200」が「制御部230」に対して“払出し制御指令”を送信し、次に「設定値コマンド」を送信するようにして、本願補正発明における相違点4に係る構成とすることは、当業者が容易に想到できることである。

(4)まとめ
以上のように相違点1?4は、いずれも当業者が容易に想到し得るものであり、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び周知技術1?3に基いて当業者が予測できる範囲のものである。
よって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術1?3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.むすび
したがって、本件補正は、改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第三.本願発明について
1.本願発明
平成21年4月3日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成20年12月25日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「 変更操作を行わせる変更操作入力手段を有すると共に、各種入賞役の発生を許容するか否かに関して複数段階の当選確率が予め定められており、前記変更操作入力手段から与えられた操作入力信号に応じて前記当選確率を可変に設定する設定確率変更処理手段を含み、前記設定確率変更処理手段によって設定された当選確率に基いて可変表示装置に導出可能な表示結果を決定し、遊技状態を制御する遊技制御手段と、
前記遊技制御手段とは別に設けられ、該遊技制御手段から送信される情報に基いて遊技情報を報知する報知手段の制御を行うサブ制御手段とを有し、
前記可変表示装置の表示結果が導出表示されることにより1ゲームの終了条件が成立し、該可変表示装置の表示結果に応じて入賞が発生し得るスロットマシンにおいて、
前記遊技制御手段は、前記当選確率の設定状態に関する確率設定情報を前記サブ制御手段に送信する設定情報送信処理手段を含み、
前記サブ制御手段は、受信した前記確率設定情報を記憶する受信記憶処理手段と、前記確率設定情報に対応した当選確率テーブルと、前記入賞役のうちのいずれかの入賞発生が許容されていることを報知するか否かを前記当選確率テーブルを用いて抽選する抽選処理手段とを含み、
前記遊技制御手段は、1ゲーム毎に、前記サブ制御手段に対して払出し終了コマンドを送信し、次に前記確率設定情報を送信する、
ことを特徴とするスロットマシン。」

2.特許法第29条第2項の検討
(1)引用文献記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、引用文献(特開2002-291971号公報)及びその記載事項は、前記「第二.3.(1)」に記載したとおりである。

(2)引用発明と本願発明との対比及び判断
本願発明は、実質的には前記「第二」で検討した本願補正発明から、「サブ制御手段」及び「報知手段」について、前者については、その限定事項であるサブ制御手段がサブ制御装置と表示制御装置から構成されること、及び当該サブ制御装置の構成を省き、後者については、「報知手段」を「液晶表示装置」に特定する構成を省いたものといえる。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第二.3.(4)」に記載したとおり、引用発明及び周知技術1?3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、本願補正発明と同様の理由により、引用発明及び周知技術1?3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術1?3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第四.むすび
本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2010-05-07 
結審通知日 2010-05-11 
審決日 2010-05-26 
出願番号 特願2002-314840(P2002-314840)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 赤坂 祐樹  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 川島 陵司
池谷 香次郎
発明の名称 スロットマシン  
代理人 杉山 秀雄  
代理人 魚住 高博  
代理人 竹本 松司  
代理人 湯田 浩一  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ