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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1219689
審判番号 不服2009-7672  
総通号数 128 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-04-09 
確定日 2010-07-08 
事件の表示 平成10年特許願第263923号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 3月21日出願公開、特開2000- 79262〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1.手続の経緯

本件の経緯概要は以下のとおりである。

特許出願 平成10年9月3日
審査請求 平成17年9月5日
拒絶理由 平成20年11月10日
手続補正 平成21年1月9日
拒絶査定 平成21年3月4日
審判請求 平成21年4月9日
手続補正 平成21年5月11日

第2.平成21年5月11日付の手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成21年5月11日付の手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1.本件補正の内容

本件補正前後の特許請求の範囲の記載は次のとおりである。

[本件補正前の特許請求の範囲]
「【請求項1】 遊技機の遊技全体に関わる制御を行う主制御部が配備された主制御基板と、これとは別に、前記主制御部以外の他の制御部が配備されている他の制御基板とを有し、前記主制御基板及び前記他の制御基板の各々に、当該遊技に対応した機種情報を予め記憶した記憶部をそれぞれ設け、
前記主制御基板は、電源投入時に、前記記憶部に記憶された前記機種情報を含むコマンドを前記他の制御基板に送信する機種情報送信処理手段を備え、
前記他の制御基板は、
前記主制御基板から送信された前記コマンドを受信するコマンド受信処理手段と、
受信したコマンドに含まれる前記主制御基板の機種情報と前記他の制御基板の記憶部に記憶された機種情報とが一致するか否かを判別する機種判別手段と、
前記機種判別手段による判別結果の別を前記遊技機が備えた表示手段に表示する機種判定結果表示処理手段と、
を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】 前記表示手段は図柄表示装置であって、前記他の制御基板が遊技機の図柄表示を制御する図柄表示制御部を配備した図柄表示制御基板であり、前記機種判別手段の判別結果を前記図柄表示装置に表示することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。」

[本件補正後の特許請求の範囲]
「【請求項1】 遊技機の遊技全体に関わる制御を行う主制御部が配備された主制御基板と、これとは別に、前記遊技機の図柄表示を制御する図柄表示制御部を配備した図柄表示制御基板と、図柄表示装置とを有する遊技機において、
前記主制御基板及び前記図柄表示制御基板の各々に、当該遊技に対応した機種名を表示したシールがそれぞれ貼着され、
前記主制御基板及び前記図柄表示制御基板の各々に、当該遊技に対応した機種情報を予め記憶した記憶部をそれぞれ設け、
前記主制御基板は、電源投入時に、自己の記憶部に記憶された前記機種情報を含むコマンドを前記図柄表示制御基板に送信する機種情報送信処理手段を備え、
前記図柄表示制御基板は、
前記電源投入時に、前記主制御基板から送信された前記コマンドを受信するコマンド受信処理手段と、
受信したコマンドに含まれる前記主制御基板の機種情報と自己の記憶部に記憶された機種情報とが一致するか否かを判別する機種判別手段と、
前記機種判別手段による判別結果が一致しない場合、機種コードエラーと前記主制御基板の前記機種情報とを前記図柄表示装置に表示する機種判定結果表示処理手段と、
を備えたことを特徴とする遊技機。」

2.本件補正の検討

まず、補正の適否について検討する。
本件補正は、補正前の請求項1を削除し、補正前の請求項2を請求項1に項を繰り上げると共に、本件補正前の請求項2(請求項1を引用)に対して、次の点で変更を加えているものである。
(a)「前記主制御基板及び前記図柄表示制御基板の各々に、当該遊技に対応した機種名を表示したシールがそれぞれ貼着され」という点を追加。
(b)「前記記憶部」を「自己の記憶部」に変更
(c)「コマンド受信処理手段」について、コマンドの受信時点を「前記電源投入時」である点を限定(明確化)
(d)「前記図柄制御基板の記憶部」を「自己の記憶部」に変更
(e)「前記機種判別手段の判別結果を前記図柄表示装置に表示する」を「前記機種判別手段による判別結果が一致しない場合、機種コードエラーと前記主制御基板の前記機種情報とを前記図柄表示装置に表示する」に変更

これらについて検討するに、(b)及び(d)については、実質的な内容に変更はなく、誤記の訂正或いは明瞭でない記載の釈明に該当すると解することができる。(c)については、補正前においてコマンドの送信時点が電源投入時であることが記載されているから、受信時点も電源投入時であることは既に明らかであったと判断されるから実質的な限定とは云えないが、明瞭でない記載の釈明に該当すると解することはできる。

しかし、(e)については、補正前の「判別結果」とは判別結果が一致の場合も不一致の場合も含むと解されるが、とすれば補正後においては「判別結果が一致しない場合」のみしか記載されていないから、判別結果が一致する場合についての表示についての構成を削除していることとなる。よって、特許請求の範囲の減縮には該当しないし、誤記の訂正や明瞭でない記載の釈明を目的とするものでもない。
また、(a)について検討するに、確かに本件補正前の請求項2(請求項1を引用)には「主制御基板」及び「図柄表示制御基板」が記載されてはいるものの、それらの構成要素は、機種情報を送受信し、それにより機種情報が一致するか否かを判別する機能を果たすための構成として備えられているものであって、(a)における機種名を表示したシールを貼着することは、機種情報の送受信や機種情報の一致/不一致の判別といった機能とは全く関係のない構成と判断されるから、発明特定事項の限定であると解することはできない。よって(a)の点の構成の追加はいわゆる「外的付加」であって限定的減縮に該当すると判断することはできない。また、誤記の訂正や明瞭でない記載の釈明を目的とするものでもない。

したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.独立特許要件に関する予備的検討

本件補正は上記した理由により却下すべきものであるが、仮に(a)及び(e)の点が限定的減縮に該当すると解した場合には、本件補正は限定的減縮を含む補正であるとすることができるから、以下では、仮にそのように判断した場合において、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が独立して特許を受けることができるものであるかについても、予備的に検討することとする。

(1)引用例

原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-192534号公報(以下「引用文献1」という。)には図面と共に以下の技術事項が記載されている。

【0009】
【発明の実施の形態】次に図面と共に本発明の実施の形態を説明する。図1に本発明に係るパチンコ遊技機の裏面の概略を示し、1は景品球ケース、2は景品球払出器、3は遊技盤(図示せず)の中央に図柄を変動表示するためのCRT表示装置、4は打球発射装置、5は該打球発射装置4を制御している発射制御基板である。6は遊技盤に設けられた種々の形態の入賞口への打球の入賞を検知したり、大入賞口の扉を開閉動させたり、CRT表示装置3に表示する図柄を選択し大当たりを演出するなどの遊技を実行するマイクロコンピュータを構成している遊技制御回路基板である。
【0010】図2にこの遊技機の不正改造防止装置のブロック図を示し、7は遊技内容が書き込まれたROM、即ち読出専用記憶手段で、該読出専用記憶手段7が前記遊技制御回路基板6にセットされることによって、そのプログラムに従い上記のような遊技態様を制御する。
【0011】しかして、10は前記発射制御基板5の一部に設けられた不正改造防止装置である。該不正改造防止装置10は、電源が切られても記憶状態が保持されるEEPROM、即ち不揮発性記憶手段11と、数桁の数字を出力し得るキーボード,ディップスイッチ,ロータリースイッチ等の暗証番号設定手段12と、ロム照合手段13と、ロム照合結果報知手段14と、暗証番号照合手段15と、暗証番号初期化手段16と、再入力可能報知ランプ17を具備してなる。なお、18は暗証番号設定手段12にて入力された暗証番号を不揮発性記憶手段11に記憶させる暗証番号設定完了スイッチ、19は暗証番号初期化手段16に設けられ不揮発性記憶手段11に記憶された暗証番号を初期化させる暗証番号初期化スイッチである。
【0012】次に図3のフローチャートに従いこの遊技機の不正改造防止装置の作動を説明する。この遊技機の電源がONされると、不揮発性記憶手段11が作動し、ステップaにて該不揮発性記憶手段11に記憶された暗証番号が例えば「000」等の初期値であるかどうかが判別され、初期化値である場合は再入力可能報知ランプ17を点灯させる。(ステップb)。そして暗証番号設定手段12にて任意の3桁の数字が入力され(ステップc)、暗証番号設定完了スイッチ18が押される(ステップd)と、不揮発性記憶手段11はその暗証番号で記憶する(ステップe)と共に、そのとき遊技制御回路基板6に設定されている読出専用記憶手段7のIDコード,またはトータルサム値,アドレス等のその読出専用記憶手段7の個有の識別値を同時に記憶する。(ステップf)。なおこの不揮発性記憶手段11の記憶内容は電源が切られても消去されない。
【0013】そして次に電源がONされたときには、不揮発性記憶手段11に記憶された暗証番号は初期値でないのでステップaからステップgに移り、ロム照合手段13が作動して読出専用記憶手段7から新らためて読み出した識別値と不揮発性記憶手段11に記憶された識別値とを照合し、その照合の結果、両識別値が合致したときはステップhにてロム照合結果報知手段14の警告ランプ20を消灯させ、不一致であったときはステップlに移行し該警告ランプ20を点灯させると同時に打球発射装置4のモータ電源を切り打球を発射できないようにするなどして遊技を停止させる。そしてステップiにて暗証番号照合手段15が作動し暗証番号設定手段12に前と同じ暗証番号が再入力されればステップjに移行し、暗証番号初期化スイッチ19を押すことによって不揮発性記憶手段11の記憶内容を初期値に戻す(ステップk)ことができるが、そうでない場合、即ち違った暗証番号を入力したような場合は初期化はなされず、警告ランプ20は点灯したままで遊技できない状態となる。

ここで段落【0012】における「初期化値」とは「初期値」の誤記と認められ、また段落【0013】における「新らためて」は「改めて」の誤記と認められる。そして、引用文献1における記載事項及び図面を総合的に勘案すると、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「遊技盤の中央に図柄を変動表示するためのCRT表示装置3と、打球発射装置4と、該打球発射装置4を制御している発射制御基板5と、遊技盤に設けられた種々の形態の入賞口への打球の入賞を検知したり、大入賞口の扉を開閉動させたり、前記CRT表示装置3に表示する図柄を選択し大当たりを演出するなどの遊技を実行するマイクロコンピュータを構成している遊技制御回路基板6を備えたパチンコ遊技機において、
前記遊技制御回路基板6には、遊技内容が書き込まれた読出専用記憶手段7がセットされ、前記発射制御基板5は、電源が切られても記憶状態が保持される不揮発性記憶手段11と、ロム照合手段13とを具備し、
前記電源がONされると、前記不揮発性記憶手段11に記憶された暗証番号が初期値であるかどうかが判別され、初期値である場合は再入力可能報知ランプ17を点灯させ、暗証番号設定手段12にて任意の3桁の数字が入力され、暗証番号設定完了スイッチ18が押されると、前記不揮発性記憶手段11はその暗証番号で記憶すると共に、そのとき前記遊技制御回路基板6に設定されている前記読出専用記憶手段7の個有の識別値を同時に記憶し、
そして次に前記電源がONされたときには、前記不揮発性記憶手段11に記憶された暗証番号は初期値でないので、前記ロム照合手段13が作動して前記読出専用記憶手段7から改めて読み出した識別値と前記不揮発性記憶手段11に記憶された識別値とを照合し、その照合の結果、不一致であったときは警告ランプ20を点灯させると同時に前記打球発射装置4のモータ電源を切り打球を発射できないようにするなどして遊技を停止させる
パチンコ遊技機。」

(2)対比

本願補正発明と引用発明を対比する。
引用発明における「パチンコ遊技機」は本願補正発明における「遊技機」に相当し、以下同様に「CRT表示装置3」は「図柄表示装置」に、「電源がONされたとき」は「電源投入時」に、「照合」は「(一致するか否かを)判別」に、それぞれ相当する。
さらに、引用発明に関して次のことも云える。
(a)引用発明においては「遊技制御回路基板6」が「遊技盤に設けられた種々の形態の入賞口への打球の入賞を検知したり、大入賞口の扉を開閉動させたり、前記CRT表示装置3に表示する図柄を選択し大当たりを演出するなどの遊技を実行するマイクロコンピュータを構成している」ものであって、本願補正発明における「遊技全体に関わる制御」を行っていると認められるから、本願補正発明における「主制御部」の機能を備えていることは明らかである。ところで、遊技制御回路基板6は「CRT表示装置3に表示する図柄を選択し大当たりを演出する」ともあるから、本願補正発明における「図柄表示制御部」の機能も備えているかもしれないが、遊技制御回路基板6全体の主な目的/内容としては遊技全体を制御することと判断できるから、引用発明の「遊技制御回路基板6」は本願補正発明の「遊技機の遊技全体に関わる制御を行う主制御部が配備された主制御基板」に相当すると解することができる。
(b)引用発明における「打球発射装置4を制御している発射制御基板5」は、「遊技制御回路基板6」とは別に備えられているものである。よって、引用発明における「発射制御基板5」と本願補正発明における「図柄表示制御基板」とは、「他の制御基板」である点で共通している。
(c)本願補正発明においては「遊技に対応した機種情報」とある一方、「機種コードエラー」といった記載もあるが、発明の詳細な説明を参照すれば、「機種情報としての機種コード」(段落【0023】)とあるから、「機種情報」と「機種コード」とは同じ内容であると認められる。一方、引用発明においては「前記読出専用記憶手段7の個有の識別値」とあるが、ここで「識別値」とは機種や遊技内容に対応したものであるかどうか不明である。しかし、本願補正発明における「機種情報(機種コード)」も引用発明における「識別値」も、いずれも一致するか否かの判別に用いられており、両者は「識別情報」である点で共通している。
(d)そして、本願補正発明の「主制御基板」における「記憶部」と引用発明の「読出専用記憶手段7」とは、「識別情報」が予め記憶されているという点で一致しているから、引用発明の「読出専用記憶手段7」は本願補正発明の主制御基板における「記憶部」に相当する。また、引用発明の「不揮発性記憶手段11」については、「他の制御基板」に設けられている点で、本願補正発明における図柄表示制御基板の「記憶部」と共通しており、さらに、引用発明の不揮発性記憶手段11においては識別情報が「予め」記憶されていると云えるかどうか不明であるものの、暗証番号が初期値である場合(すなわち初期設定時と云える)において識別情報を記憶し、その後当該識別情報の記憶は「電源が切られても…保持される」ものであるから、識別情報が記憶されているという点では本願補正発明の図柄表示制御基板の「記憶部」と一致していると判断できるから、引用発明と本願補正発明とは「他の制御基板に、識別情報を記憶した記憶部を設け」ている点でも共通している。
(e)引用発明における「そして次に前記電源がONされたときには、前記不揮発性記憶手段11に記憶された暗証番号は初期値でないので、前記ロム照合手段13が作動して前記読出専用記憶手段7から改めて読み出した識別値と前記不揮発性記憶手段11に記憶された識別値とを照合し」という構成について検討する。ここで「前記ロム照合手段13が作動して前記読出専用記憶手段7から改めて読み出した識別値」とあるが、「読出専用記憶手段7」は「遊技制御回路基板6」に備えられており、一方「ロム照合手段13」は「発射制御基板5」に備えられているから、「遊技制御回路基板6」と「発射制御基板5」との間で「識別値」に係る情報が何らかの形で送受信されていることは明らかである。これはすなわち、遊技制御回路基板6には「自己の記憶部に記憶された識別情報を他の制御基板に送信する」機能が、発射制御基板5には「遊技制御回路基板(主制御基板)から送信された前記識別情報を受信する」機能が、それぞれ備えられていることに他ならない。よって、引用発明と本願補正発明とは「主制御基板は、電源投入時に、自己の記憶部に記憶された前記識別情報を前記他の制御基板に送信する送信処理手段を備え」ている点、及び「前記他の制御基板は、前記電源投入時に、前記主制御基板から送信された前記識別情報を受信する受信処理手段」を備えている点で共通している。また「前記読出専用記憶手段7から改めて読み出した識別値と前記不揮発性記憶手段11に記憶された識別値とを照合し」という点から、引用発明と本願補正発明とは「他の制御部」が「受信した前記主制御基板の識別情報と自己の記憶部に記憶された識別情報とが一致するか否かを判別する判別手段」を備えている点でも共通している。
(f)引用発明における「警告ランプ20を点灯させると同時に前記打球発射装置4のモータ電源を切り打球を発射できないようにするなどして遊技を停止させる」とは、異常(エラー)を報知するという点で、本願補正発明の「機種コード(識別情報)エラーと前記主制御基板の前記機種情報(識別情報)とを前記図柄表示装置に表示する」という点と共通するものである。よって、引用発明も本願補正発明も「エラー処理を行うエラー処理手段」を備えている点で共通している。

したがって、引用発明と本願補正発明は、
「遊技機の遊技全体に関わる制御を行う主制御部が配備された主制御基板と、これとは別に、他の制御基板と、図柄表示装置とを有する遊技機において、
前記主制御基板に、識別情報を予め記憶した記憶部を設け、前記他の制御基板に、識別情報を記憶した記憶部を設け、
前記主制御基板は、電源投入時に、自己の記憶部に記憶された前記識別情報を前記他の制御基板に送信する送信処理手段を備え、
前記他の制御基板は、
前記電源投入時に、前記主制御基板から送信された前記識別情報を受信する受信処理手段と、
受信した前記主制御基板の識別情報と自己の記憶部に記憶された識別情報とが一致するか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段による判別結果が一致しない場合、エラー処理を行うエラー処理手段と、
を備えた遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
上記一致点における「他の制御基板」は、本願補正発明においては「遊技機の図柄表示を制御する図柄表示制御部を配備した図柄表示制御基板」であるのに対して、引用発明においては「発射制御基板」である点。

[相違点2]
本願補正発明においては「主制御基板」及び「他の制御基板(図柄表示制御基板)」の各々に、「遊技に対応した機種名を表示したシールがそれぞれ貼着」されているのに対して、引用発明においては不明である点。

[相違点3]
上記一致点における「識別情報」は、本願補正発明においては「遊技に対応した機種情報(機種コード)」であるのに対して、引用発明においては「読出専用記憶手段7の個有の識別値」である点。

[相違点4]
本願補正発明においては「図柄表示制御基板(他の制御基板)」に、識別情報を「予め」記憶した記憶部を設けているのに対して、引用発明における「不揮発性記憶手段11」は初期設定時に識別情報を記憶し、その後電源が切られても当該記憶が保持されるものの、「予め記憶」していると云えるかどうか不明である点。

[相違点5]
上記一致点における「送信処理手段」及び「受信処理手段」について、本願補正発明は「識別情報(機種情報)を含むコマンド」を送受信するものであるのに対して、引用発明においては「識別情報(識別値)」に係る情報が何らかの形で送受信されていると認められるものの、「識別情報を含むコマンド」の形で送受信されているか不明である点。

[相違点6]
上記一致点における「エラー処理を行う」とは、本願補正発明においては「識別情報(機種コード)エラーと前記主制御基板の前記識別情報(機種情報)とを前記図柄表示装置に表示する」ものであるのに対して、引用発明においては「警告ランプ20を点灯させると同時に打球発射装置4のモータ電源を切り打球を発射できないようにするなどして遊技を停止させる」ものである点。

(3)相違点の判断

上記相違点について検討する。
[相違点1,6について]
原査定の拒絶の理由に引用された特開平9-225115公報(以下「引用文献2」という。)には図面と共に以下の技術事項が記載されている。

【0104】次に、図13に示されるROM98aまたは図14に示されるROM98bの不正な取外し行為を監視するための監視動作を詳細に説明する。図16は、CPU100により実行される監視用プログラムに含まれるROM異常判定処理の処理手順を示すフローチャートである。このROM異常判定処理は、監視用のROM101から読出されCPU100により実行される監視用プログラムに含まれている。
【0106】S3では、前述したループ回路において、監視用信号を発信する。次に、S4に進み、S3において発信した監視用信号がループ回路を経てCPU100に受信されたか否かが判断される。S4により、監視用信号の受信があったと判断された場合は、後述するS13に進む。
【0107】一方、S4により、監視用信号が受信されなかったと判断された場合は、S5に進み、ROM98a(またはROM98bを含む半導体チップ120)が不正に取外されたと判断し、CPU100からEEPROM103へ向けてROM異常情報を送信する処理がなされる。これにより、EEPROM103においては、ROM異常情報が書込まれて記憶される。
【0108】次に、S6に進み、CPU100から遮断回路104へ遊技制御用のCPU96aへの電源電圧の供給を遮断する指令を示す制御信号が与えられる。これにより、遮断回路104が動作し、電源回路77からCPU96a(またはCPU96b)への電源電圧の供給が遮断する動作を行なう。次に、S7に進み、遊技制御用のROM98a(または98b)に関して不正な取外しが行なわれたことによる異常状態が判定されたことを示すエラー表示コマンドをCRT回路75へ向けて出力する処理がなされる。これにより、可変表示部5において、図18(審決注:図17の誤記と判断される。)を用いて後述するようなエラー表示がなされる。次に、S8に進み、エラー音を発生させるためのエラー音発生コマンドをCRT回路75に向けて出力する処理がなされる。これにより、左チャネル用スピーカ94および右チャネル用スピーカ95からエラー音が発生させられる。S8の後、この処理が終了する。
【0122】次に、図16に示したROM異常判定処理のS7およびS11の処理に基づいて可変表示部5に表示されるエラー表示の一例を説明する。図17は、ROM異常判定処理によるエラー表示の一例を示す図である。この図17には、ROM異常判定処理のS7の処理に基づいて表示されるエラー表示の具体例が示されている。このように、可変表示部5において、不正改造行為の種類を表示において判別可能なように、文字を用いたエラー表示がなされる。なお、このようなエラー表示は、文字を用いたものに限られず、不正改造行為の種類を特定できるようなものであれば、文字に限られず、図形等を用いてもよい。
【0191】次に、この発明の主な変形例等を列挙する。
(1) 図13に示されたROM98aまたは図14に示されたROM98bにより、遊技制御内容情報(遊技制御用プログラム)が記憶された遊技制御内容情報記憶手段が構成されており、図13または図14に示されたCPU100により、前記遊技制御内容情報記憶手段が、図3に示された遊技制御用基板113から取外されたか否かを監視する取外し監視手段が構成されているが、さらに、次のような手段を設けてもよい。すなわち、前記遊技制御内容情報記憶手段が前記遊技制御用基板から取外されたことを示す監視結果が前記取外し監視手段の監視により得られた場合に、その取外されたことを示す情報を記憶する取外し情報記憶手段を機能停止手段に代えてあるいは機能停止手段に加えて設けてもよい。その取外し情報記憶手段は、たとえば、図13または図14に示されたEEPROM103により構成される。
【0192】(2) さらに、次のような手段を設けてもよい。すなわち、前記遊技制御内容情報記憶手段が前記遊技制御用基板から取外されたことを示す監視結果が前記取外し監視手段の監視により得られた場合に、遊技制御内容情報記憶手段が取外された旨を報知する報知手段をさらに設けてもよい。その報知手段は、たとえば、図1に示された可変表示装置4の可変表示部5,図2に示された左チャネル用スピーカ94および右チャネル用スピーカ95等により構成される。…

特に段落【0191】,【0192】には「…取外されたことを示す情報を記憶する取外し情報記憶手段を機能停止手段に代えてあるいは機能停止手段に加えて設けてもよい。」、「さらに、次のような手段を設けてもよい。すなわち、…取外されたことを示す監視結果が前記取外し監視手段の監視により得られた場合に、遊技制御内容情報記憶手段が取外された旨を報知する報知手段をさらに設けてもよい。その報知手段は、たとえば、図1に示された可変表示装置4の可変表示部5…により構成される。」という記載がある。これによれば、「機能停止手段(実施例では電源電圧の供給の遮断)」に代えて、「EEPROM103により構成される取外し情報を記憶する記憶手段」、さらに「可変表示装置4の可変表示部5において取外された旨を報知する報知手段」を設ける例が開示されている。
この例を採用し、引用文献2の第2の例の記載及び【図14】,【図16】を参照すれば、引用文献2には次の技術(以下「引用文献2記載の技術」という。)が記載されている。
「遊技制御用基板113には遊技制御用の回路として半導体チップ120が取り付けられ、さらに監視用の回路として監視用のCPU100が設けられ、
前記CPU100により実行されるROM異常判定処理において、発信した監視用信号が受信されなかったと判断された場合は、機能停止手段に代えて、CPU100からEEPROM103へ向けてROM異常情報を送信する処理がなされ、EEPROM103においてROM異常情報が書込まれて記憶され、さらに異常状態が判定されたことを示すエラー表示コマンドをCRT回路75へ向けて出力し、可変表示装置4の可変表示部5において、不正改造行為の種類を表示において判別可能なように、文字を用いたエラー表示がなされる
パチンコ遊技機34。」

引用発明において「照合の結果、不一致であったとき」とは、異常(エラー)と判定されたときであるから、引用文献2記載の技術において「ROM異常判定処理において、発信した監視用信号が受信されなかったと判断された場合」に対応する。また、引用発明も「…などして遊技を停止させる」とあるように、最終的な目的は「遊技を停止させる」ことであって、警告ランプ20の点灯や打球の発射の停止はその手段に過ぎず、これらは引用文献2記載の技術における「機能停止手段」に相当する。そして、引用文献2記載の技術には、異常(エラー)が発生した場合に、機能停止手段に代えて、「ROM異常情報を記憶すると共に、可変表示装置4の可変表示部5においてエラー表示を行う」という手段が開示されているから、引用発明における発射停止等に代えて当該手段を採用することは当業者にとって容易である。
また、引用発明においてはロム照合手段13が発射制御基板5に備えられているが、これは異常(エラー)となった場合の遊技停止機能として発射停止を用いているから、ロム照合手段13を、打球発射装置4を制御している発射制御基板5に備えているものであると解される。ところで、主制御基板(遊技制御回路基板6)とは別に図柄表示制御基板を別途設ける点は、引用文献2にも記載があり(表示制御基板(段落【0056】参照))、また他にも、特開平8-308988号公報(画像表示制御基板(段落【0055】参照))及び特開平7-16339号公報(表示制御基板B2)にあるように周知技術である。上記したように引用発明に引用文献2記載の技術を適用し、引用発明の発射停止等に代えて「ROM異常情報を記憶すると共に、可変表示装置4の可変表示部5においてエラー表示を行う」という手段を採用した場合には、ここで遊技停止機能としての主要な制御は可変表示装置4におけるエラー表示であることは当然であり、当該表示の制御を行うにあたり最も適切なロム照合手段13の配置を考慮すれば、可変表示装置4の制御を行う制御基板(図柄表示制御基板)に、引用発明におけるロム照合手段13を設けるようにすることも、当業者にとって容易である。
なお、エラー表示の具体的な態様は当業者にとって適宜設計できることであって、引用文献2記載の技術においても「不正改造行為の種類を表示において判別可能なように」とあるように、エラーの内容をより具体的に表示することは当業者が当然検討できることであるから、引用発明において照合の結果が不一致であった場合に、受信した識別情報についても表示させることに、格別の創意を要するとは判断できない。
よって、引用発明、引用文献2記載の技術及び周知技術に基づき、本願補正発明の相違点1及び相違点6にかかる構成とすることは、当業者にとって容易に想到できたことである。

[相違点4について]
引用発明においては、初期化時に、読出専用記憶手段7の識別値を不揮発性記憶手段11に記憶させている。すなわち不揮発性記憶手段11における識別情報としての記憶内容は変更可能なものであって、本願補正発明のように「予め記憶」されていると云えるか不明である。
この点について検討するに、不正防止等の観点から、異なった2つの記憶手段においてそれぞれ識別情報を予め記憶させ、両者の記憶されている識別情報が一致しない場合にエラーとすることは、例えば原査定の拒絶の理由にも引用された特開平10-127915号公報(ROM12とROM15のそれぞれのコード情報を照合している。(段落【0025】参照))や特開平3-266051号公報(記憶部31におけるセキュリティコードと、ゲーム機2に予め設定されている別のセキュリティコードが同一であるならば動作される。(3ページ左上欄参照))にあるように従来慣用の技術(以下「慣用技術1」という。)に過ぎない。
ところで、引用発明のロム照合手段13における照合それ自体は、遊技制御回路基板6に記憶された識別値と発射制御基板5に記憶された識別値とを照合するだけであるから、わざわざ様々な手段等を別途設けて(引用文献1の段落【0011】参照)まで、発射制御基板5において不揮発性記憶手段11における記憶内容を初期化可能とする必要性を一見理解することができない。ただし技術常識を参酌すれば、遊技制御回路基板6は遊技盤に備えられ、一方発射制御基板5は遊技機の枠装置に備えられるものであるから、遊技盤のみを交換する場合、遊技制御回路基板6は遊技盤の交換に伴って同様に交換され得るものの、発射制御基板5は継続して使用される場合があるためとも考えられる。
しかし、この場合においても、上記[相違点1,6について]において検討したように、引用発明に引用文献2記載の技術及び周知技術を適用し、識別情報の照合手段を図柄表示制御基板に設けることとした場合については、図柄表示制御基板は対応する図柄表示装置と一体であることが当然であるため、遊技盤及び主制御基板(遊技制御回路基板6)と一緒に交換されることは常識事項である。とすれば、図柄表示制御基板における照合手段については識別情報を変更可能な構造を取る必要性はないから、引用発明に引用文献2記載の技術及び周知技術を適用した場合については、慣用技術1の適用について阻害要因はないと云うべきである。
よって、引用発明に、引用文献2記載の技術、周知技術及び慣用技術1を適用して本願補正発明の相違点4にかかる構成とすることは、当業者にとって容易である。

[相違点3について]
引用発明において「読出専用記憶手段7の識別値」の具体的な内容は不明である。しかし引用発明においても読出専用記憶手段7には「遊技内容が書き込まれ」ているものであり、その識別値を「遊技内容」と対応させるものとすること、すなわち本願補正発明における「遊技に対応した機種情報(機種コード)」とすることは、当業者にとって適宜設計できたことである。

[相違点2について]
新たに引用する特開平10-201924号公報(以下「引用文献3」という)には、従来の技術として「従来からROMの上面には、遊技機名、型番、製造元などを示すラベルが貼着してあり」(段落【0004】)と記載があり、また実施例においても電子部品1に設けたホログラム5の表面11aに「遊技機を特定する文字」をエンボスし、「目視で容易に真贋を判別できる」点が記載されている(段落【0032】及び【図2】参照)。ここで「遊技機を特定する文字」とは、従来技術の「遊技機名、型番」という記載も参照すれば、本願補正発明における「遊技に対応した機種名」に相当すると判断することができる。また、本願補正発明における「…基板に…貼着」とは基板のどの位置に貼られているのか不明であって、引用文献3もホログラム5が設けられた電子部品1が制御基板21に取り付けられており、かつ当該ホログラム5が目視で容易に判別できることも踏まえれば、引用文献3も実質的にホログラム5が制御基板21に貼られていることに他ならないと解することができる。よって、引用発明に引用文献3記載の技術を適用して、遊技制御回路基板6に「遊技に対応した機種名を表示したシール」を貼ることは当業者にとって容易である。
そして、引用文献3においては制御基板21における電子部品1の例しか記載されていないが、他の制御基板における電子部品1についてもホログラム5又は従来技術におけるラベルを貼ることに何ら技術的な困難はない。そして、図柄表示制御基板を設ける点は上記したように周知技術に過ぎず、また[相違点4について]でも触れたように、図柄表示制御基板は遊技盤及び主制御基板(遊技制御回路基板6)と一体であるから、図柄表示制御基板(の電子部品)についても当然当該「遊技盤及び主制御基板」と対応するものである。そして「遊技盤及び主制御基板」とは、本願補正発明における「機種」を規定するものに他ならないから、図柄表示制御基板(の電子部品)についても同様に機種毎に定まるものであると云える。とすれば、図柄表示制御基板における電子部品1についても、遊技制御回路基板6における電子部品1と同様に「遊技に対応した機種名を表示したシール」を貼ることを格別阻害する要因はなく、適宜なし得ることであると云える。
よって、引用発明、引用文献3記載の技術及び周知技術に基づいて、本願補正発明の相違点2にかかる構成とすることは当業者にとって容易である。

[相違点5について]
主制御基板からコマンドを送信し、サブ制御基板(他の制御基板)が当該コマンドを受信することは、例を挙げるまでもない当分野の慣用技術(以下「慣用技術2」という。)である。とすれば、引用発明においても識別情報(識別値)に係る情報が何らかの形で送受信されていると認められるから、その情報をコマンドとして送受信することは、当業者にとって容易である。

[相違点の判断のむすび]
よって、本願補正発明の相違点1?6にかかる構成とすることは、引用発明、引用文献2記載の技術、引用文献3記載の技術、周知技術及び慣用技術1,2に基づき当業者が容易に想到できたことである。
また、本願補正発明の作用効果についても、請求人は平成21年1月9日付の意見書において「本願発明は、所定の機種の遊技機の製造組立工程における検査時に、主制御基板と主制御基板以外の他の制御基板との組合せが正しいか否かを判別し、各制御基板あるいはROMの誤組合せを容易に発見することを目的としているもので、発明の目的が相違します。」と主張している(同意見書4ページの[相違点3])が、本願補正発明も、「本発明は、遊技機組立製造時における基板の誤装着防止としてだけでなく、ホールにおいて制御基板に対する不正行為の監視に利用することができる。例えば、主制御基板1が意図的に不正ROMを備えた制御基板に交換された場合やROM内容が不正に替えられた場合に、前記の他の制御基板(例えば、図柄表示制御基板2)に機種判別手段を設けておいて機種判別の検定を行うと、主制御基板のROMには正規の機種コードが記憶されていないので機種不一致と判別され、この結果、主制御基板の不正交換や不正ROMへの交換の事実を発見することができる。」(段落【0050】)と記載されているように組立工程の検査時のみを目的としている発明とは認められず、そして、制御基板に対する不正行為の監視についての効果については、引用発明、引用文献2記載の技術、引用文献3記載の技術、周知技術及び慣用技術1,2から当業者が予測できる範囲のものである。

よって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により独立して特許を受けることができないものである。

(4)予備的検討におけるむすび

したがって、仮に本件補正が限定的減縮を含む補正であると解したとしても、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

4.むすび

以上のとおり、本件補正は、改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであり、仮に同規定を満たすものだとしても、改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反する。よって、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
したがって、結論のとおり決定する。

第3.本願発明について

1.本願発明

本件補正は上記のとおり却下されたので、平成21年1月9日付の手続補正における請求項2に係る発明(以下「本願発明」という)について、以下検討する。なお、同請求項2は、上記第2.[理由]1.において、[本件補正前の特許請求の範囲]において請求項2として記載したとおりのものであるが、引用する請求項1も含めて書き下せば、次のとおりのものである。
「遊技機の遊技全体に関わる制御を行う主制御部が配備された主制御基板と、これとは別に、遊技機の図柄表示を制御する図柄表示制御部を配備した図柄表示制御基板とを有し、前記主制御基板及び前記図柄表示制御基板の各々に、当該遊技に対応した機種情報を予め記憶した記憶部をそれぞれ設け、
前記主制御基板は、電源投入時に、前記記憶部に記憶された前記機種情報を含むコマンドを前記図柄表示制御基板に送信する機種情報送信処理手段を備え、
前記図柄表示制御基板は、
前記主制御基板から送信された前記コマンドを受信するコマンド受信処理手段と、
受信したコマンドに含まれる前記主制御基板の機種情報と前記図柄表示制御基板の記憶部に記憶された機種情報とが一致するか否かを判別する機種判別手段と、
前記機種判別手段の判別結果を前記遊技機が備えた図柄表示装置に表示する機種判定結果表示処理手段と、
を備えたことを特徴とする遊技機。」

2.対比

引用発明と本願発明を対比する。
上記第2[理由]3.(1),(2)も参照し、さらに同(2)(f)に代えて、
(f’)引用発明における「その照合の結果、不一致であったときは警告ランプ20を点灯させると同時に打球発射装置4のモータ電源を切り打球を発射できないようにするなどして遊技を停止させる」とは、判別結果が不一致の場合に異常(エラー)を報知するという点において、本願発明の「判別結果を前記遊技機が備えた図柄表示装置に表示する」点と機能が共通するものである。よって、引用発明も本願補正発明も「判別結果が一致しない場合エラー処理を行うエラー報知手段」を備えている点で共通している。
とすれば、本願発明と引用発明とは、
「遊技機の遊技全体に関わる制御を行う主制御部が配備された主制御基板と、これとは別に、他の制御基板とを有し、
前記主制御基板に、識別情報を予め記憶した記憶部を設け、前記他の制御基板に、識別情報を記憶した記憶部を設け、
前記主制御基板は、電源投入時に、自己の記憶部に記憶された前記識別情報を前記他の制御基板に送信する送信処理手段を備え、
前記他の制御基板は、
前記主制御基板から送信された前記識別情報を受信する受信処理手段と、
受信した前記主制御基板の識別情報と前記他の制御基板の記憶部に記憶された識別情報とが一致するか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段による判別結果が一致しない場合エラー処理を行うエラー報知手段と、
を備えた遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
上記一致点における「他の制御基板」は、本願発明においては「遊技機の図柄表示を制御する図柄表示制御部を配備した図柄表示制御基板」であるのに対して、引用発明においては「発射制御基板」である点。

[相違点2]
上記一致点における「識別情報」は、本願発明においては「遊技に対応した機種情報」であるのに対して、引用発明においては「読出専用記憶手段7の個有の識別値」である点。

[相違点3]
本願発明においては「図柄表示制御基板(他の制御基板)」に、識別情報を「予め」記憶した記憶部を設けているのに対して、引用発明における「不揮発性記憶手段11」は初期設定時に識別情報を記憶し、その後電源が切られても当該記憶が保持されるものの、「予め記憶」していると云えるかどうか不明である点。

[相違点4]
上記一致点における「送信処理手段」及び「受信処理手段」について、本願発明は「識別情報(機種情報)を含むコマンド」を送受信するものであるのに対して、引用発明においては「識別情報(識別値)」に係る情報が何らかの形で送受信されていると認められるものの、「識別情報を含むコマンド」の形で送受信されているか不明である点。

[相違点5]
上記一致点における「判別結果が一致しない場合エラー処理を行う」とは、本願発明においては「判別結果を前記遊技機が備えた図柄表示装置に表示する」ものであるのに対して、引用発明においては、照合の結果不一致であったときに「警告ランプ20を点灯させると同時に打球発射装置4のモータ電源を切り打球を発射できないようにするなどして遊技を停止させる」ものである点。

3.判断

上記相違点について検討する。
[相違点1]?[相違点4]は、上記第2[理由]3.(2)における[相違点1],[相違点3]?[相違点5]にそれぞれ相当し、それらについては上記第2[理由]3.(3)において既に述べたとおりであるから、ここでは繰り返さない。

[相違点5について]
上記第2[理由]3.(3)における[相違点1,6について]において述べた点に対して、以下の点を加える。
本願発明においては「判別結果を前記遊技機が備えた図柄表示装置に表示する」ものであり、すなわち判別結果が一致した場合も表示を行うと解されるのに対して、引用発明においては、照合の結果一致であったときについては不明である。
しかし、引用発明においては、不一致であったときは警告ランプ20を点灯させると同時に打球発射装置4のモータ電源を切り打球を発射できないようにするとあるから、一致した場合については、警告ランプ20は点灯せず、打球も発射できることは明らかである。とすれば、遊技機の状態に格別の変化がない(通常の状態である)ことが、照合の結果一致したことを示している(報知している)ことに他ならない。
引用文献2記載の技術においても、異常(エラー)が発生した場合について「可変表示装置4の可変表示部5においてエラー表示を行う」点について開示があるものの、異常(エラー)が発生しなかった場合については何ら具体的な開示がなく、すなわちその場合は通常の可変表示画面が表示されているものと解される。そして、通常の可変表示画面の表示とは、異常(エラー)が発生していないことを示している(表示している)ことに他ならない。
つまり、引用発明も引用文献2記載の技術も、遊技機の状態が通常であることによって異常(エラー)がないことを報知しているものであって、引用発明において照合結果が一致した場合について、引用文献2記載の技術における通常の可変表示画面の表示とすることは当業者にとって当然想到できることである。
よって、引用発明、引用文献2記載の技術及び周知技術に基づいて、本願発明における「判別結果を前記遊技機が備えた図柄表示装置に表示する」点の構成とすることは、当業者にとって容易である。

[相違点の判断のむすび]
よって、本願発明の相違点1?5にかかる構成とすることは、引用発明、引用文献2記載の技術、周知技術及び慣用技術1,2に基づき当業者が容易に想到できたことである。
また、本願発明の作用効果についても、引用発明、引用文献2記載の技術、周知技術及び慣用技術1,2から当業者が予測できる範囲のものである。なお、上記第2[理由]3.(3)の[相違点の判断のむすび]におけるコメントも参照。

よって、本願発明は、原査定の理由に基づき、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

第4.むすび

以上のとおり、本件補正は却下され、そして、本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-04-30 
結審通知日 2010-05-11 
審決日 2010-05-26 
出願番号 特願平10-263923
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 572- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 廣瀬 貴理澤田 真治  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 吉村 尚
池谷 香次郎
発明の名称 遊技機  
代理人 魚住 高博  
代理人 杉山 秀雄  
代理人 竹本 松司  
代理人 湯田 浩一  
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