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審決分類 |
審判 全部無効 2項進歩性 G06K |
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管理番号 | 1220066 |
審判番号 | 無効2005-80099 |
総通号数 | 129 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-09-24 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2005-03-31 |
確定日 | 2010-05-13 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第3207192号「認証方法および装置」の特許無効審判事件についてされた平成18年 3月22日付け審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の判決(平成18年(行ケ)第10203号平成19年 2月27日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3207192号の請求項1乃至6に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1.手続の経緯 1.経緯 特許出願日 平成12年5月2日 (特願2000-133741号) 設定登録日 平成13年7月6日 (特許第3207192号) 審判請求書 平成17年 3月31日 答弁書 平成17年 6月14日 訂正請求(第1回) 平成17年 6月14日 弁ぱく書 平成17年 8月 8日 口頭審理陳述要領書(請求人) 平成17年11月 8日 口頭審理陳述要領書(被請求人) 平成17年11月 8日 口頭審理 平成17年11月 8日 補正許否の決定 平成17年11月 8日 無効理由通知(第1回) 平成17年11月11日 (発送日:11月16日) 上申書(請求人) 平成17年11月18日 意見書(請求人) 平成17年12月15日 意見書(被請求人) 平成17年12月16日 訂正請求(第1回)の取下げ 平成17年12月16日 訂正請求(第2回) 平成17年12月16日 弁ぱく書 平成18年 2月 9日 上申書(被請求人) 平成18年 3月 1日 審決 平成18年 3月22日 (「訂正を認める。請求項1ないし7に係る発明についての特許を無効とする。」) 知的財産高等裁判所出訴 平成18年 4月28日 (被請求人原告 平成18年(行ケ)第10203号) 判決言渡 平成19年 2月27日 (「審決のうち、請求項1ないし6に係る発明についての特許を無効とした部分を取り消す。」) 判決の確定 平成19年 8月23日 (上告棄却、上告受理申立て却下) 上申書(請求人) 平成19年10月 1日 上申書(請求人) 平成20年 2月19日 無効理由通知(第2回) 平成20年 3月12日 (発送日:3月13日) 訂正請求(第2回)の取下げ 平成20年 4月14日 訂正請求(第3回) 平成20年 4月14日 意見書(被請求人) 平成20年 4月14日 弁ぱく書 平成20年 6月 5日 補正許否の決定 平成20年 6月16日 訂正拒絶理由通知 平成20年 6月16日 (発送日:6月18日) 訂正請求(第3回)の取下げ 平成20年 7月18日 訂正請求(第4回) 平成20年 7月18日 意見書(被請求人) 平成20年 7月18日 上申書(請求人) 平成20年 8月19日 訂正請求(第4回)の却下理由通知 平成20年 9月19日 訂正請求(第4回)の却下決定 平成20年10月16日 無効理由通知(第3回) 平成20年10月21日 (発送日:10月23日) 意見書(請求人) 平成20年11月10日 訂正請求(第5回) 平成20年11月25日 意見書(被請求人) 平成20年11月25日 弁ぱく書 平成20年12月22日 2.判決の確定(平成19年8月23日)以降の経緯の概要 本件特許第3207192号についての出願は、平成12年5月2日になされ、平成13年7月6日に設定登録されたが、平成17年3月31日に無効審判の請求がなされ、平成18年3月22日にした請求項1ないし7に係る発明に対する審決 (「訂正を認める。請求項1ないし7に係る発明についての特許を無効とする。」)に対し、請求項1ないし7に対する審決部分の取り消しを求め、知的財産高等裁判所に出訴され、平成18年(行ケ)第10203号事件として審理された結果、平成19年2月27日に「特許庁が無効2005-80099号事件について平成17年3月31日にした審決中の「訂正を認める。請求項1ないし7に係る発明についての特許を無効とする。」について「審決のうち、請求項1ないし6に係る発明についての特許を無効とした部分を取り消す。」との判決がなされ、平成19年8月23日に確定したものである。 そして、請求項7に係る発明に対する審決は、右判決の確定に伴い、平成19年8月23日に確定した。なお、前記請求項7は、特許明細書の特許請求の範囲の請求項10に対応したものである。(当該請求項7に対する審決は、後述「参照」参考)。 その後、平成20年2月19日付けで、請求人から上申書が提出され、請求人は、 (1)本件特許出願の分割出願に係る特許第3641271号「バーコード付与方法および認証方法」(以下、簡単のため「分割特許」という。)について、本件特許無効審判事件と同じ当事者間の特許無効審判事件(無効2005-80167号事件)として審理され、平成18年9月12日付けで、「訂正を認める。特許第3641271号の請求項1乃至4に係る発明についての特許を無効とする。」との審決がなされたが、これに対し、原告となる被請求人が、請求項1乃至4に係る発明についての特許を無効とした審決部分の取り消しを求め、知的財産高等裁判所に出訴し、平成18年(行ケ)第10478号事件として審理された結果、平成20年1月30日に「原告の請求を棄却する。」との判決(甲第19号証)が言渡され、平成20年6月19日に確定(上告受理申立却下)したこと、 (2)前記分割特許の請求項1ないし請求項4に係る発明と、本件特許第3207192号「認証方法および装置」の発明とは、多くの発明特定事項が共通し、さらに前記分割特許の特許無効審判事件における主たる証拠は、本件特許無効審判事件の無効理由1における主たる証拠(甲第1号証:特開平10-69553号公報及び甲第2号証:日経ビジネス 2000年4月24日号 p.28?p.40)と同じで、多くの争点が共通しており、前記分割特許の特許無効審判事件の審決は、前記甲第1号証(特開平10-69553号公報)に記載されている発明について、「課金用識別情報」等を詳細に検討した結果、前記特許第3641271号「バーコード付与方法および認証方法」の請求項1ないし請求項4に係る発明は、甲第1号証および甲第2号証に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないと判断したものであり、この判断は上記平成20年6月19日に確定した知的財産高等裁判所の判決において支持されたこと、 を上申した。 そして、当審において、前記分割特許の特許無効審判において示された甲第1号証(特開平10-69553号公報)に記載されている発明の認定および判断について職権審理を行ったところ、前記分割特許の特許無効審判において示された甲第1号証(特開平10-69553号公報)に記載されている発明の認定および判断を考慮することによって、本件特許第3207192号「認証方法および装置」の特許無効審判事件についても、同様の認定および判断に基づく無効理由が存在することが想定された。 そこで、当審において、本件特許とその内容において密接な関連を有する前記分割特許の特許無効審判事件の結論との齟齬を回避することが必要と認め、特許法第153条第2項の規定にしたがって、平成20年3月12日付けで当事者の双方に通知し(「無効理由通知(第2回)」)、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えた。 これに対して、被請求人より、平成18年3月22日付けの審決で認容された平成17年12月16日付けの訂正請求(第2回)を取り下げ、平成20年4月14日付けで訂正請求(第3回)がなされたが、当審より平成20年6月16日付けで訂正拒絶理由通知がなされ、これに対して、被請求人より平成20年7月18日付けで前記平成20年4月14日付け訂正請求(第3回)の訂正請求取下がなされるとともに、同日付けで新たな訂正請求(第4回)がなされた。 しかしながら、無効審判において訂正の請求ができるのは、特許法第134条の2第1項に掲げられた期間内に限られており、訂正拒絶理由通知で指定した期間内において、再度の訂正請求をすることはできないことから、前記平成20年7月18日付け提出の訂正請求(第4回)は、特許法第133条の2第1項の規定に違反するものであり、当審において平成20年10月16日付けで、前記訂正請求(第4回)手続却下の決定がなされた。 そして、前記平成20年4月14日付け訂正請求(第3回)については、 平成20年7月18日付けで訂正請求取下がなされていることから(仮に、取下されていない場合であっても前記平成20年6月16日付け訂正拒絶理由通知に記載した理由により、認容することはできない)、本件無効審判事件における明細書又は図面は、無効審判請求時点(平成17年3月31日)における明細書又は図面(以下、簡単のため、「基準明細書等」という。)となり、また特許請求の範囲は、前記基準明細書記載の特許請求の範囲となることが想定された。(なお、前記基準明細書記載の特許請求の範囲の請求項10に係る発明の特許については、平成17年12月16日付けの訂正請求で前記請求項10が訂正された請求項7に係る発明の特許を無効とする審決が確定していることから、前記基準明細書記載の特許請求の範囲の請求項10に係る発明の特許は無効となっている。) しかしながら、これまでの当事者の主張を見る限り、両者とも実質的に、平成18年3月22日付けの審決で認容された平成17年12月16日付けの訂正請求(第2回)を前提とした議論をしており、本件無効審判事件については、当審より職権で通知した平成20年3月12日付け無効理由通知(第2回)で示した無効理由の妥当性について判断するのが適切であると思慮され、本件無効審判事件について、適正な審理の判断を行うために、改めて、前記平成17年11月11日付けの無効理由通知(第1回)および前記平成20年3月12日付け無効理由通知(第2回)で通知した無効理由に対応して、無効審判請求時点(平成17年3月31日)における請求項1?9に対する無効理由通知(第3回)を平成20年10月21日付けで当事者の双方に通知し、再度、意見を申し立てる機会(訂正請求を提出できる機会)を与えたものである。そして、被請求人から平成20年11月25日付けで訂正請求(第5回)がなされるとともに同日付で意見書が提出され、請求人から、平成20年11月10日付けで意見書が出されるとともに平成20年12月22日付けで弁ぱく書が提出された。 (備考1)平成18年3月22日付け審決の概要 平成18年3月22日付け審決(以下、「第1審決」という。)は、平成17年12月16日 付け訂正請求を認めるとした上、本件発明7は、甲第1号証および甲第2号証に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、本件発明7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであって、同法123条1項2号に該当し、無効とすべきであり、本件発明1は、甲第2?第4号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであり、また本件発明2?7は、本件発明1の発明特定事項の一部を発明特定事項とするものであって、本件発明1と同様の理由により容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1?7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法123条1項2号に該当し、無効とすべきものであるとした。 そして、第1審決では、無効理由1(甲第1号証および甲第2号証に基づいて容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない)の判断については、甲第1号証記載の発明を次のように判断した上で、本件特許の請求項1ないし請求項6に係る発明については、無効理由1は成立しないとした。 「(5-3)ユーザーコード情報生成の条件 甲第1号証の発明において、ユーザーコード情報生成の条件となるのは、課金可能となるための課金用識別情報がデータベースに格納されているか否かのチェックである。これに対し、本件発明1では、バーコード生成の条件となるのは、被認証者の発信者番号が顧客データベースに格納されているか否かである。請求人は、発券要求信号に「ファックス番号」が含まれ、ユーザコード情報がファクシミリに送信されていることから、「ファックス番号」が発信者番号に相当するとしているが、発券要求情報に含まれる「ファックス番号」は券情報の送り先となるものであり、ユーザーコード情報を生成するか否かのために、この「ファックス番号」がデータベースに記録されているかどうかを検索しているわけではない。また、甲第1号証の発明では、検索する目的が課金の可能性を探るためであり、そのため検索すべきは課金用識別情報である。従って、この目的からして課金用識別情報を発信者番号や発信者番号に相当するファックス番号に置き換えることを容易に為し得るということはできない。」(第1審決:23頁7行目?21行目。) そして、第1審決のこの判断は、ファックス番号が発信者番号に相当するとした請求人の主張に基づき、甲第1号証記載の発明について「課金用識別情報を発信者番号や発信者番号に相当するファックス番号に置き換えることを容易に為し得るということはできない。」ことを判断したものであって、「課金用識別情報」について、その他の論理付けに基づく容易想到性の検討をしたものではない。 第2.当審における職権審理の概要 1.無効理由通知(第3回)の趣旨 本件請求項1ないし本件請求項9に係る発明は、その出願前に国内において頒布された特開平10-69553号公報(甲第1号証)及び”日経ビジネス 2000年4月24日号 p28?p40”(甲第2号証)に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1ないし本件請求項9に係る発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 (証拠方法) 甲第1号証:特開平10-69553号公報 甲第2号証:日経ビジネス 2000年4月24日号 p28?p40 甲第19号証:本件特許出願の分割特許の特許無効審判事件(無効2005-80167号事件)の無効審決に対する審決取消訴訟事件(平成18年(行ケ)第10478号事件)の平成20年1月30日付け判決 2.被請求人の主張について 被請求人は、平成20年11月10日付け意見書において、以下の点を主張している。 (主張その1) 「請求項1の発明の「バーコード要求信号」は、発信者番号が自動的かつ必然的に付与されているものであり、さらに、「バーコードが送信されるための契機となる信号」という意味に加え、バーコードの送信先を特定するという意味(意義)も有している。 (4)一方、引用発明では、「発券要求信号」に含まれる「ユーザー識別情報」は、「発券要求情報」に自動的かつ必然的に含まれるものではなく、さらに、生成された「券情報」の送信先である「ユーザー装置」を特定するものでもない。 (5)このように、請求項1の発明のバーコード要求信号に含まれる「発信者番号」は、引用発明の発券要求情報に含まれる「ユーザー識別情報」とは、少なくとも、(1)自動的且つ必然的にバーコード要求信号に含まれる点、および(2)生成されたバーコードの送信先を特定する機能を有する点において相違するので、引用発明の「発券要求信号」と、大きく異なるものである。」(備考:丸付き数字1及び丸付き数字2をそれぞれ(1)及び(2)で置き換えて引用した。)(13頁8行目?19行目。) (主張その2) 「甲第1号証の発明(すなわち引用発明)において、「『課金用識別情報』の代わりに『ユーザー情報』を用いて課金処理を行う場合」とは、課金先を特定するための情報として『課金用識別情報』の代わりに『ユーザー情報』を用いたに過ぎないので、「ユーザー情報がユーザー情報記憶部207に記憶されてい」ることは、ユーザー情報に基づいて課金処理を行うための条件であるから、「『課金用識別情報』の代わりに『ユーザー情報』を用いて課金処理を行」ったことを理由として、その前段階において、ユーザー情報を用いて「課金可能」判断がなされていたということはできない。」(14頁下から9行目?2行目。) (主張その3) 「被請求人は、平成20年7月18日付けの意見書において、甲第1号証はユーザー識別情報およびユーザー情報が「課金可能」判断に用いられることを開示も示唆もしていないので、甲第1号証の発明が「前記券発行装置が、前記読み出したユーザー情報により課金可能であったときには券情報を検索し出力し、前記受信したユーザー識別情報に対応するユーザー情報部のユーザー情報を用いてユーザーコード情報を作成(すなわち生成する)ステップ」を備えているとした合議体の認定が誤りであると主張した。」(15頁9行目?15行目。) 3.請求人の意見について 請求人は、平成20年12月22日付け弁ぱく書において、以下の点を主張している。 (主張その1) 「甲1発明では、ユーザー識別情報をバーコード要求信号に含ませるか否かをユーザー(人)が判断するわけでなく、ユーザー識別情報はシステム的に自動的且つ必然的にバーコード要求信号に含まれるので、ユーザー識別情報も上記(1)の要件を満たしている。 ・・・(中略)・・・バーコードの送信先は、バーコード要求信号の送信者であるから、ユーザー識別情報がバーコードの送信先をも特定していることはあきらかであるから、ユーザー識別情報は上記(2)の要件も満たしている。 ・・・(中略)・・・ 甲1号証には、ユーザー装置として携帯電話を用いることが開示又は示唆されているから、被請求人が主張する上記(1)(2)の事項は、甲1号証に接した当業者が当然に読み取れる事項である。この観点からも、被請求人の主張は失当である。」(備考:丸付き数字1及び丸付き数字2をそれぞれ(1)及び(2)で置き換えて引用した。)(3頁5行目?26行目。) (主張その2) 「段落【0104】に記載された「課金処理を行うときには」は、課金処理を行うための一連の処理を含んでいる。つまり、段落【0104】は、課金を行うための一連の処理において、課金識別情報に代えて、ユーザー情報を用いる態様を記載している。 本件特許の分割出願の無効審決を維持した判決でも、同様の判断がなされている(甲19)。 ・・・(中略)・・・ ユーザー情報を用いて実際の課金を行うのであれば、課金に用いるユーザー情報と同じ情報を用いて課金の可能性判断を行うのが自然な構成である。より具体的に述べれば、課金識別情報とは、「ユーザーが利用している銀行の口座番号やクレジットカード番号」(段落【0139】)であるところ、段落【0104】の記載によれば、ユーザー情報には、銀行口座番号やクレジットカード番号が含まれている。銀行口座番号やクレジットカード番号の情報を2回送信する必要などない。 ・・・(中略)・・・ 甲1号証に接した当業者は、段落【0104】に記載された「課金処理を行うときには」が、課金を行うための一連の処理を含んでいると理解し、甲1号証には、課金の一連の処理において課金識別情報に代えてユーザー情報を用いることが記載されていると理解することは明らかである。」(4頁5行目?下から2行目。) 第3.訂正の適否について 1.訂正の内容 当審より平成20年10月21日付けでなされた無効理由通知(第3回)に対して、請求人より、平成20年11月25日付けで訂正請求(第5回)がなされ、特許権者が求めている訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下の訂正事項A-Iのとおりである。 訂正事項A 特許明細書の特許請求の範囲請求項1を次のとおり訂正する。 「【請求項1】 携帯電話に表示されるバーコードを使用した認証方法であって、 認証装置が、認証要求者の顧客である被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を被認証者の携帯電話から通信回線を通して受信するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の発信者番号が顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の発信者番号が前記顧客データベースに記録されていたときに、前記被認証者に固有のバーコードを生成するステップと、 前記認証装置が、該バーコードを前記被認証者の発信者番号の携帯電話に通信回線を通して送信すると共に、該バーコードをバーコードデータベースに記憶させるステップと、 前記認証装置が、被認証者によって携帯電話に表示されて提示され、且つ認証を求める認証要求者のバーコード読み取り装置で読み取られて認証を求める認証要求者から通信回線を通して送信されてきたバーコードを受信するステップと、 前記認証装置が、該受信したバーコードが、前記バーコードデータベースに記録されているバーコードと一致するか否かを判定するステップと、 前記認証装置が、受信したバーコードが前記バーコードデータベースに記憶されていたときに、当該バーコードを携帯電話により提示した被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に通信回線を通して送信するステップと、を備えている、 認証方法。」 訂正事項B 特許明細書の特許請求の範囲請求項2を次のとおり訂正する。 「【請求項2】 前記発信者番号が、被認証者の携帯電話番号である、 請求項1に記載の認証方法。」 訂正事項C 特許明細書の特許請求の範囲請求項3を削除する。 訂正事項D 請求項3の削除に伴い、請求項4を請求項3に変更すると共に特許明細書の特許請求の範囲請求項3を次のとおり訂正する。 「【請求項3】 認証要求者の顧客である被認証者に付与されると共に記憶される前記被認証者に固有の認証用バーコードであって、前記被認証者が携帯電話に表示することによって前記認証要求者に提示され、前記提示された認証用バーコードが記憶されていたとき前記被認証者が認証される、携帯電話に表示される認証用バーコードを被認証者に付与するバーコード付与方法であって、 認証装置が、前記被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を、被認証者の携帯電話から通信回線を通して受信するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の発信者番号が顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の発信者番号が前記顧客データベースに記録されていたときに前記被認証者に固有のバーコードを生成するステップと、 前記認証装置が、該バーコードを前記被認証者の携帯電話に通信回線を通して送信すると共に、該バーコードをバーコードデータベースに記憶するステップと、を備えている、 バーコード付与方法。」 訂正事項E 請求項3の削除に伴い、請求項5を請求項4に変更すると共に特許明細書の特許請求の範囲請求項4を次のとおり訂正する。 「【請求項4】 前記発信者番号が、被認証者の携帯電話番号である、 請求項3に記載のバーコード付与方法。」 訂正事項F 請求項3の削除に伴い、請求項6を請求項5に変更すると共に特許明細書の特許請求の範囲請求項5を次のとおり訂正する。 「【請求項5】 認証要求者の顧客である被認証者に付与されると共に記憶される前記被認証者に固有の認証用バーコードであって、前記付与された認証用バーコードを前記被認証者が携帯電話に表示することによって前記認証要求者に提示され、前記提示された認証用バーコードが記憶されていたときには前記被認証者が認証される携帯電話に表示される認証用バーコードを、通信回線を利用して被認証者に付与するバーコード付与方法であって、 認証装置が、前記被認証者の携帯電話からのバーコード要求信号を通信回線を通して受信するステップと、 前記認証装置が、前記バーコード要求信号に含まれる前記被認証者の顧客データが所定の顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップと、 前記認証装置が、前記バーコード要求信号に含まれる前記被認証者の顧客データが前記顧客データベースに記録されていたときには前記被認証者に固有のバーコードを生成するステップと、 前記認証装置が、前記バーコードを、前記被認証者の携帯電話に通信回線を通じて送ると共に、バーコードデータベースに記録するステップとを有する、バーコード付与方法。」 訂正事項G 請求項3の削除に伴い、請求項7を請求項6に変更すると共に特許明細書の特許請求の範囲請求項6を次のとおり訂正する。 「【請求項6】 携帯電話に表示されるバーコードを使用した認証装置であって、 認証要求者の顧客である被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を被認証者の携帯電話から通信回線を通して受信する受信装置と、 所定の個人データが記録された顧客データベースと、 前記被認証者の発信者番号が前記顧客データベースに記録されているか否かを判定し、前記被認証者の発信者番号が前記顧客データベースに記録されていたときに前記被認証者に固有のバーコードを生成するバーコード生成手段と、 バーコード生成手段が生成したバーコードを記録するバーコードデータベースと、 該バーコードを前記被認証者に通信回線を通して送信すると共に、該バーコードを前記バーコードデータベースに記憶させるバーコード伝送手段と、 前記被認証者によって提示され認証要求者のバーコードリーダーで読み取られ認証要求者から認証を求めて通信回線を通して送信されてきたバーコードを受信し、受信したバーコードが、前記バーコードデータベースに記憶されているバーコードと一致するか否かを判定し、受信したバーコードが、前記バーコードデータベースに記憶されていたとき、当該バーコードを提示した被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に通信回線を通して送信するバーコード照合手段と、 を備えている認証装置。」 訂正事項H 特許明細書の特許請求の範囲請求項8,9を削除する。 訂正事項I 明細書【0006】段落中の 「ここで、被認証者とは、認証により自らの身元、信用度等を明らかにすることを欲するものを指し、例えば、買い物をする顧客、クレジットカード使用者等である。又、認証要求者とは、被認証者の身元、信用度などの確認を欲するものを指し、例えば、店舗、クレジットカード会社、銀行等がある。」を「ここで、被認証者とは、認証により自らの身元、信用度等を明らかにすることを欲するものを指し、例えば、買い物をする顧客、クレジットカード使用者である。又、認証要求者とは、被認証者の身元、信用度などの確認を欲するものを指し、例えば、店舗、クレジットカード会社、銀行がある。」と訂正する。 (備考2)なお、上記訂正は、実質的には、平成18年3月22日付けの審決で認容された平成17年12月16日付けの訂正請求(第2回)における訂正明細書の請求項1、請求項3、及び請求項6における「前記被認証者の顧客データが顧客データベースに記録されて」を、それぞれ、「前記被認証者の発信者番号が顧客データベースに記録されて」に訂正し、訂正請求(第2回)における訂正明細書の請求項5における「前記被認証者の顧客データが顧客データベースに記録されて」を「前記バーコード要求信号に含まれる前記被認証者の顧客データが所定の顧客データベースに記録されて」に訂正したものである。 2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 訂正事項Aは、「バーコード」について「携帯電話に表示される」「被認証者に固有」「認証を求める認証要求者のバーコード読み取り装置で読み取られ」ると限定し、「被認証者」について「認証要求者の顧客である」「バーコードを携帯電話により提示した」と限定し、バーコード要求信号及びバーコードが「携帯電話」と「通信回線」を介して送受信されると限定し、「被認証者が前記データベースに記録されて」を「前記被認証者の発信者番号が顧客データベースに記録されて」と限定し、認証要求者と認証装置が「通信回線を通して」送受信するものに限定し、各ステップについて「認証装置」が実行するものと明確化するものであるから、特許請求の範囲の減縮または明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。そして、訂正事項Aは、特許明細書【0017】-【0019】、【0021】-【0024】、【0026】-【0029】、【0031】-【0033】及び図1,2に記載されるものであるから、願書に添付した明細書又は図面の記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 訂正事項Bは、訂正事項Aにより請求項2から請求項1に組み込まれた事項を請求項2の記載から削除したものであり、特許請求の範囲の減縮に該当する。また、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 訂正事項Cは、請求項3を削除するものであり、特許請求の範囲の減縮に該当する。また、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 訂正事項Dは、訂正前の請求項4の認証用バーコードの使用形態について「認証要求者の顧客である被認証者に付与されると共に記憶される前記被認証者に固有の認証用バーコードであって、前記被認証者が携帯電話に表示することによって前記認証要求者に提示され、前記提示された認証用バーコードが記憶されていたとき前記被認証者が認証される、携帯電話に表示される」と限定し、バーコード要求信号及びバーコードが「携帯電話」と「通信回線」を介して送受信されると限定し、「被認証者が前記データベースに記録されて」を「前記被認証者の発信者番号が顧客データベースに記録されて」と限定し、各ステップについて「認証装置」が実行するものと明確化するものであるから、特許請求の範囲の減縮または明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。 そして、訂正事項Dは、特許明細書【0017】-【0019】、【0021】-【0024】、【0026】-【0029】、【0031】及び図1,2に記載されるものであるから、願書に添付した明細書又は図面の記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 訂正事項Eは、訂正事項Dにより請求項5(訂正後の請求項4)から請求項4(訂正後の請求項3)に組み込まれた事項を請求項5(訂正後の請求項4)の記載から削除したものであり、特許請求の範囲の減縮に該当する。また、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 訂正事項Fは、訂正前の請求項6のバーコードの使用形態について「認証要求者の顧客である被認証者に付与されると共に記憶される前記被認証者に固有の認証用バーコードであって、前記被認証者が携帯電話に表示することによって前記認証要求者に提示され、前記提示された認証用バーコードが記憶されていたとき前記被認証者が認証される、携帯電話に表示される認証用バーコード」と限定し、バーコード要求信号及びバーコードが「携帯電話」と「通信回線」を介して送受信されると限定し、「被認証者が前記データベースに記録されて」を「前記バーコード要求に含まれる前記被認証者の顧客データが所定の顧客データベースに記録されて」と限定し、各ステップについて「認証装置」が実行するものと明確化するものであるから、特許請求の範囲の減縮または明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。 そして、訂正事項Fは、特許明細書【0017】-【0019】、【0021】-【0024】、【0026】-【0029】、【0031】-【0033】及び図1,2に記載されるものであるから、願書に添付した明細書又は図面の記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 訂正事項Gは、訂正前の請求項7の「バーコード」について「携帯電話に表示される」「被認証者に固有」「被認証者によって提示され認証要求者のバーコードリーダーで読み取られ」ると限定し、「被認証者」について「認証要求者の顧客である」と限定し、バーコード要求信号が「携帯電話」から「通信回線を通して」受信されると限定し、バーコードを前記被認証者に「通信回線を通して」送信されると限定し、認証要求者から認証を求めて「通信回線を通して」受信するものに限定し、「被認証者が前記データベースに記録されて」を「前記被認証者の発信者番号が顧客データベースに記録されて」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。そして、訂正事項Gは、特許明細書【0017】-【0019】、【0021】-【0024】、【0026】-【0029】、【0031】-【0033】及び図1,2に記載されるものであるから、願書に添付した明細書又は図面の記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 訂正事項Hは、請求項8,9を削除するものであり、特許請求の範囲の減縮に該当する。また、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 訂正事項Iは、「クレジットカード使用者等」、「銀行等」から「等」を削除するものであり、明りょうでない記載の釈明に該当する。 3.むすび よって、上記訂正事項A-Iは、特許法第134条の2ただし書き、及び、同条第5項において準用する同法第126条第3項、4項の規定に適合するので当該訂正を認める。 第4.本件訂正後の特許発明 本件無効審判請求の対象となった請求項1-9に係る発明については、上記訂正を許容することができるから、本件訂正後の発明は、訂正明細書の請求項1から請求項6に記載された事項により特定される次のとおりのもの(以下、それぞれ「本件発明1」、「本件発明2」などという。)である。 「【請求項1】 携帯電話に表示されるバーコードを使用した認証方法であって、 認証装置が、認証要求者の顧客である被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を被認証者の携帯電話から通信回線を通して受信するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の発信者番号が顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の発信者番号が前記顧客データベースに記録されていたときに、前記被認証者に固有のバーコードを生成するステップと、 前記認証装置が、該バーコードを前記被認証者の発信者番号の携帯電話に通信回線を通して送信すると共に、該バーコードをバーコードデータベースに記憶させるステップと、 前記認証装置が、被認証者によって携帯電話に表示されて提示され、且つ認証を求める認証要求者のバーコード読み取り装置で読み取られて認証を求める認証要求者から通信回線を通して送信されてきたバーコードを受信するステップと、 前記認証装置が、該受信したバーコードが、前記バーコードデータベースに記録されているバーコードと一致するか否かを判定するステップと、 前記認証装置が、受信したバーコードが前記バーコードデータベースに記憶されていたときに、当該バーコードを携帯電話により提示した被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に通信回線を通して送信するステップと、を備えている、 認証方法。 【請求項2】 前記発信者番号が、被認証者の携帯電話番号である、 請求項1に記載の認証方法。 【請求項3】 認証要求者の顧客である被認証者に付与されると共に記憶される前記被認証者に固有の認証用バーコードであって、前記被認証者が携帯電話に表示することによって前記認証要求者に提示され、前記提示された認証用バーコードが記憶されていたとき前記被認証者が認証される、携帯電話に表示される認証用バーコードを被認証者に付与するバーコード付与方法であって、 認証装置が、前記被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を、被認証者の携帯電話から通信回線を通して受信するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の発信者番号が顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の発信者番号が前記顧客データベースに記録されていたときに前記被認証者に固有のバーコードを生成するステップと、 前記認証装置が、該バーコードを前記被認証者の携帯電話に通信回線を通して送信すると共に、該バーコードをバーコードデータベースに記憶するステップと、を備えている、 バーコード付与方法。 【請求項4】 前記発信者番号が、被認証者の携帯電話番号である、 請求項3に記載のバーコード付与方法。 【請求項5】 認証要求者の顧客である被認証者に付与されると共に記憶される前記被認証者に固有の認証用バーコードであって、前記付与された認証用バーコードを前記被認証者が携帯電話に表示することによって前記認証要求者に提示され、前記提示された認証用バーコードが記憶されていたときには前記被認証者が認証される携帯電話に表示される認証用バーコードを、通信回線を利用して被認証者に付与するバーコード付与方法であって、 認証装置が、前記被認証者の携帯電話からのバーコード要求信号を通信回線を通して受信するステップと、 前記認証装置が、前記バーコード要求信号に含まれる前記被認証者の顧客データが所定の顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップと、 前記認証装置が、前記バーコード要求信号に含まれる前記被認証者の顧客データが前記顧客データベースに記録されていたときには前記被認証者に固有のバーコードを生成するステップと、 前記認証装置が、前記バーコードを、前記被認証者の携帯電話に通信回線を通じて送ると共に、バーコードデータベースに記録するステップとを有する、バーコード付与方法。 【請求項6】 携帯電話に表示されるバーコードを使用した認証装置であって、 認証要求者の顧客である被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を被認証者の携帯電話から通信回線を通して受信する受信装置と、 所定の個人データが記録された顧客データベースと、 前記被認証者の発信者番号が前記顧客データベースに記録されているか否かを判定し、前記被認証者の発信者番号が前記顧客データベースに記録されていたときに前記被認証者に固有のバーコードを生成するバーコード生成手段と、 バーコード生成手段が生成したバーコードを記録するバーコードデータベースと、 該バーコードを前記被認証者に通信回線を通して送信すると共に、該バーコードを前記バーコードデータベースに記憶させるバーコード伝送手段と、 前記被認証者によって提示され認証要求者のバーコードリーダーで読み取られ認証要求者から認証を求めて通信回線を通して送信されてきたバーコードを受信し、受信したバーコードが、前記バーコードデータベースに記憶されているバーコードと一致するか否かを判定し、受信したバーコードが、前記バーコードデータベースに記憶されていたとき、当該バーコードを提示した被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に通信回線を通して送信するバーコード照合手段と、 を備えている認証装置。」 第5.当審の判断 1.甲号証の記載事項 (1)甲第1号証の記載事項 甲第1号証には、以下の事項が図面とともに記載されている。 (ア)「【0035】また、請求項11の発明は、請求項8?10のいずれかにおいて、前記ユーザーコード情報には、前記ユーザーを識別するユーザー識別情報を含み、前記ユーザーコード情報の照合時には、前記ユーザー識別情報も照合することを特徴とする。 【0036】これにより、記録媒体を持参したユーザーが、その記録媒体に記録された券情報の真の利用者であるか否かを判別することができるので、記録媒体の偽造や不正使用を防止することができる。 【0037】また、請求項12の発明は、請求項11において、前記ユーザー識別情報は、ユーザーの名前情報及び暗号情報のうちの少なくともいずれか一方を含むことを特徴とする。 ・・・(中略)・・・ 【0044】尚、ユーザー情報記憶手段に記憶するユーザー情報は、ユーザー装置から券発行装置に予め送信して記憶しておき、ユーザーはいわゆる会員として登録されるようにしてもよい。 【0045】また、券発行装置がユーザーに対して券の代金を課金するときの具体的な方法としては、券発行装置が、ユーザー情報又は課金用識別情報に基づいて、銀行に対して券の代金の支払いを要求したり、ユーザーに対して直接に券の代金の支払いを要求したりすることが考えられる。」 (イ)「【0075】図1には、本発明に係る発券システムの概念的な構成を示す図である。 【0076】パーソナルコンピュータ(以下、PCという)、インターネット接続用端末、インターネットテレビ、ネットPC等を利用したユーザ装置2と、券を発行する券発行装置を備える発券センタ102とは、通信回線により接続されている。 【0077】また、発券センタ102の券発行装置は、その券の使用場所104の、発行された券の情報を読み取る券使用装置と、通信回線により接続されている。 【0078】前記発券システムで用いる通信回線は、有線であって、電話線を使用することが一般的であるが、ISDN回線やCATV(Cable Television)のケーブル、または光ファイバケーブルを用いることも可能である。また、通信回線は、無線であってもよく、PHS(簡易型携帯電話)や携帯電話、または人工衛星の双方向を利用した通信システムを利用することが考えられる。 【0079】券の購入者である、いわゆるユーザーは、ユーザー装置2を使用して、所望の券の発券要求情報を、発券センタ102の券発行装置に対して送信する。これにより、発券センタ102の券発行装置では、ユーザーの発券要求情報に応じたデータを検索する。そして、券発行装置は、所望のデータを検索したならば、そのデータを券情報としてユーザー装置に送信する。このとき、券情報と共に、その券に対応するユーザーコード情報も送信する。また、発券センタ102からは、具体的には後述するように、ユーザーに対して券情報に応じた金額を課金する。」 (ウ)「【0082】券使用場所104では、券使用装置に接続される複数の情報読み取り装置106を備えている。例えば、券情報及びユーザーコード情報の少なくとも一方がバーコード情報として印刷されているならば、情報読み取り装置106としてはバーコードリーダー装置を用いることが可能である。券使用場所104では、情報読み取り装置106により、紙に印刷された券情報及びユーザーコード情報の少なくとも一方を読み取って、その券110が有効であるか否かを判別する。これにより、ユーザーが持参した券110が有効であると判別されるならば、ユーザーは、その券110を真の券として使用することができる。 【0083】もちろん、券使用場所104では、ユーザーが券情報またはユーザーコード情報を記憶していたり、またはそれらが印刷してある部分を確認しながら、キーボード、マウス、操作パネル等の入力機器を使用して、券使用装置3へ券情報またはユーザーコード情報を入力するようにしてもよい。さらに、この入力機器の利用と前述のスキャナ装置、バーコードリーダー装置等を組み合わせて利用する形態であってもよい。また、券情報またはユーザーコード情報が携帯型記録媒体に記録された情報である場合は、その媒体に記憶された情報を取り出すための媒体ドライブ装置等の情報読み取り装置、またはそれが小型電子機器であれば接続ケーブル、光もしくは無線通信機器等を用いることが可能であるとともに、前述の幾つかの読み取り装置と組み合わせて利用する形態であってもよい。 ・・・(中略)・・・ 【0085】また、発券センタ102の券発行装置からユーザー装置2に送信される券情報は、紙に印刷する他に、フロッピーディスク、メモリカード、ICカード等の携帯可能な携帯型記録媒体に記録することも可能である。尚、詳細には後述するユーザーコード情報を券情報と共に印刷又は記録したり、ユーザーコード情報のみを印刷又は記録したりしてもよい。 【0086】このときには、使用場所104の券使用装置として、ユーザーが持参する携帯型記録媒体の情報を読み出すことが可能なコンピュータ装置等を備え、この携帯型記録媒体に記録された券情報及びユーザーコード情報を読み出すようにする。」 (エ)「 【0094】ここで、データ処理部11の概略的な構成を図3に示す。 【0095】このデータ処理部11は、モデム12により受信した情報を判別する情報判別部200と、モデム12により受信した情報が、情報判別部200により発券要求情報であると判別されたときに、前記発券要求情報に応じた券情報を検索する券情報検索部204と、券情報検索部204により検索された前記券情報に対応するユーザーコード情報を作成するユーザーコード情報作成部206とを備え、モデム12により前記券情報検索部204から出力される券情報及び前記ユーザーコード情報作成部206から出力されるユーザーコード情報をユーザー装置2に送信する。 【0096】券情報検索部204には、発行するための複数種類の券情報を記憶する券情報記憶部205が接続され、また、ユーザーコード情報作成部206には、複数のユーザーのユーザー情報を記憶するユーザー情報記憶部207が接続される。ユーザー情報は、ユーザーの名前、住所、券の代金の支払いに利用する銀行の口座番号やクレジットカード番号等を含む情報である。 【0097】また、データ処理部11は、情報判別部200により、モデム12で受信した情報が発券要求情報であると判別されたときに、前記発券要求情報が有効であるか否かを判別する発券要求情報判別部201をさらに有し、発券要求情報判別部201により発券要求情報は有効であると判別されたときに、券情報検索部204により発券要求情報に応じた券情報の検索を開始する。 【0098】さらに、発券要求情報判別部201により発券要求情報は有効であると判別されたときには、モデム12により受信して情報判別部200により判別された第1の課金用識別情報と、予め記憶する第2の課金用識別情報とを比較する課金用識別情報比較部202と、課金用識別情報比較部202からの比較結果が有効であるならば、前記ユーザー情報及び課金するユーザーを特定する課金用識別情報のうちの少なくともいずれか一方に応じた金額を課金する課金部208とを有している。 【0099】情報判別部200には、モデム12、13により受信された情報が入力され、この入力情報が何の情報であるのかを判別する。入力情報が発券要求情報であると判別されたときには、この発券要求情報は、発券要求情報判別部201、券情報検索部204及び課金部208に送られる。また、入力情報がユーザー識別情報であると判別されたときには、このユーザー識別情報はユーザーコード情報作成部206に送られる。また、入力情報が課金用識別情報であると判別されたときには、この課金用識別情報は、課金用識別情報比較部202及び課金部208に送られる。 【0100】発券要求情報判別部201は、送られた発券要求情報が有効であるか否か、具体的には、発券要求情報により要求される券情報の検索を行うことが可能であるか否かを判別する。そして、発券要求情報判別部201は、判別結果を、課金用識別情報比較部202、券情報検索部204及びユーザーコード情報作成部206に送る。 【0101】課金用識別情報比較部202には、複数のユーザーの課金用識別情報を記憶する課金用識別情報記憶部203が接続される。この課金用識別情報記憶部203には、複数のユーザーの課金用識別情報が記憶されている。例えば、課金用識別情報比較部202に入力される課金用識別情報を第1の課金用識別情報とし、課金用識別情報記憶部203に記憶している課金用識別情報を第2の課金用識別情報とした場合に、課金用識別情報比較部202は、発券要求情報が有効であることを示す判別結果が入力されたときに、第1の課金用識別情報と第2の課金用識別情報とを比較し、この比較結果を券情報検索部204及び課金部208に送る。 【0102】券情報検索部204は、発券要求情報判別部201から送られた判別結果が発券可能であることを示すときには、発券要求情報の内容に基づいて、券情報記憶部205に記憶される券情報から適合する券情報を検索し、出力する 尚、券情報検索部204は、課金用識別情報比較部202からの比較結果を用いて券情報の検索を開始するようにしてもよい。この場合には、券情報検索部204は、課金用識別情報比較部202から送られた比較結果が課金可能であることを示すときに、発券要求情報の内容に基づいて、券情報記憶部205に記憶される券情報から適合する券情報を検索する。 【0103】また、ユーザーコード情報作成部206には、情報判別部200において判別されたユーザー識別情報が送られている。ユーザーコード情報作成部206は、発券要求情報判別部201から送られた判別結果が発券可能であることを示すときには、ユーザー情報記憶部207に記憶されるユーザー情報から、送信されるユーザー識別情報に対応するユーザー情報を読み出し、このユーザー情報を用いてユーザーコード情報を作成する。 【0104】課金部208は、課金用識別情報比較部202から送られた比較結果が課金可能であることを示すときに、発券要求情報に基づく券の代金を、課金用識別情報を用いて課金する。具体的には、後述するように、課金用識別情報に含まれる銀行口座番号やクレジットカード番号等に基づく銀行等に対して券の代金の支払いを要求する。また、課金処理を行うときには、課金用識別情報の代わりに、ユーザー情報記憶部207に記憶されるユーザー情報を用いて、課金を行ってもよい。具体的には、ユーザー情報記憶部207に記憶される複数のユーザー情報から、発券要求情報に含まれるユーザー識別情報に対応するユーザー情報を読み出し、このユーザー情報に含まれる銀行口座番号やクレジットカード番号に基づいて、課金を行う。」 (オ)「【0109】券使用装置3は、高速回線網4を介して券発行装置1と接続され、データを送受信するモデム32と、モデム32から送られる情報等を処理するデータ処理部31と、ユーザー装置1のプリンタ装置25で紙に印刷された券情報及びユーザーコード情報の少なくとも一方を読み取って入力する情報入力手段であるスキャナ装置34と、データ処理部31で処理された情報等を表示する表示部33とを備える。 【0110】券使用装置3のスキャナ装置34は、ユーザーが持参した券の情報、即ち紙に印刷された券情報及びユーザーコード情報の少なくとも一方を読み込む。この読み込まれた券情報及びユーザーコード情報は、データ処理部31に送られる。」 (カ)「【0121】尚、上述したように、ユーザーコード情報の照合動作は券使用装置3のデータ処理部31で行っているが、券情報判別部302は、情報入力手段により入力した前記第1のユーザーコード情報を前記データ送受信手段により外部へ送信した後に、外部へ送信した前記第1のユーザーコード情報と外部に予め記憶されている第2のユーザーコード情報との照合結果を、前記データ送受信手段を介して外部から受信することによって、前記券情報の有効性を判別するものとし、ユーザコード情報の照合動作を、券発行装置1のデータ処理部11で行うことも可能である。 【0122】具体的には、券使用装置3は、スキャナ装置34等から読み込まれたユーザーコード情報をデータ処理部31の処理によりモデム32から券発行装置1に送信する。 【0123】券発行装置1に送信されたユーザーコード情報は、券発行装置1のモデム13から、図3に示すデータ処理部11の情報判別部200で判別され、ユーザーコード情報照合部210に送られる。一方、ユーザーコード情報照合部210には、ユーザーコード情報作成部206から送られるユーザーコード情報が送られている。ユーザーコード情報作成部206からのユーザーコード情報を第2のユーザーコード情報とし、また、券使用装置3から券発行装置1に送信されたユーザーコード情報を第1のユーザーコード情報とすると、ユーザーコード情報照合部210は、第1のユーザーコード情報と第2のユーザーコード情報とを照合する。この照合結果は、モデム13から高速回線網4を介して券使用装置3に送信される。 【0124】券使用装置3は、送信された照合結果をモデム32で受信し、券情報判別部302に送る。 【0125】券情報判別部302は、送られた照合結果に基づいて、券情報が有効であるか否かを判別する。この時、券情報が有効であるか否かの判別は、前述のように券使用装置3の券情報判別部302で行う方法以外にも、券発行装置1のユーザーコード情報照合部210でその判別を行い、その結果としての有効である、または有効でない、という情報が、券使用装置3の券情報判別部302に送られる構成でもよい。」 (キ)「【0127】次に、図5に、ユーザー装置2としてPCを用いた場合の発券処理手順のフローチャートを示す。 【0128】尚、図5のフローチャートでは、具体的には、ホテルの宿泊券を予約する場合の発券処理手順について示している。 【0129】先ず、ステップS2で、ユーザー装置2から券発行装置1に対して、発券要求情報を送信する。この発券要求情報は、例えば、ホテルの宿泊券の券情報を検索することを要求する検索要求情報、及びそのホテルを限定する複数の条件を示す条件提示情報等を含む。 【0130】ここで、券発行装置1は、例えば旅行代理店等に設置されたコンピュータ装置である。また、この券発行装置1の他の具体例としては、旅行代理店が設置しているWWWサーバーまたはホテルが設置しているWWWサーバーでもよい。この場合、ユーザーはインターネット上で、発券サービスを受けることになり、非常に便利である。 【0131】一方、ユーザー装置2の表示部23には、例えば、図6(A)に示すように、先ず、ホテルの予約のタイトルが表示される。 【0132】次に、図6(B)に示すように、ホテルを検索する際のホテルを限定する各条件の項目が表示される。ユーザーは、ユーザーインターフェイス部24を操作して、表示されている各条件について所望の情報を入力する。この入力された各条件の情報が、前記条件提示情報として券発行装置1に送信される。 【0133】券発行装置1では、ステップS4で、ユーザー装置2から送信された発券要求情報が、券情報を検索するために十分な情報であるか否かを判別する。これにより、検索に十分な情報であると判別されるならば、発券要求情報のうちの条件提示情報に基づいて適応するホテルの券情報の検索を行う。そして、この券情報の検索結果をユーザー装置2に送信する。 【0134】前記券発行装置1からユーザー装置2に送信される検索結果は、表示部23に表示される。この検索結果は、ホテルの名前情報等を含む。例えば、図6(C)に示すように、表示部23には、ユーザーが入力した各条件に適応するホテルが3件検索されたことが表示される。 【0135】検索結果が表示された後、ユーザーは、ユーザーインターフェイス部24を操作することにより、例えば、図6(D)、図6(E)、及び図6(F)にそれぞれ示すように、各ホテルの詳細な案内を示すホテル案内画面を順次表示させることができる。 【0136】この後、ステップS6で、例えば、図6(G)に示すように、前記適応するホテルから所望のホテルを選択するためのホテル選択画面が、表示部23に表示される。このホテル選択画面は、ホテル案内画面を見終わったユーザーが、ユーザーインターフェイス部24を操作して任意に切り換えてもよいし、また、所定時間後に、ホテル案内画面から自動的に切換表示されるものであってもよい。 【0137】このホテル選択画面において、ユーザーはユーザーインターフェイス部24を操作して、一つのホテルを選択する。この選択により、選択されたホテルの情報は、ホテル予約情報として、モデム22から通信回線6を介して券発行装置1のモデム12に送信される。 【0138】また、ユーザーは、予約したホテルの宿泊料金を支払うための課金用識別情報を、ユーザーインターフェース部24を操作して入力する。この課金用識別情報は、ユーザインターフェイス部24からデータ処理部21に入力され、送信用データに変換処理された後、モデム22に出力される。そして、モデム22から通信回線6を介して券発行装置1に送信される。 【0139】この課金用識別情報としては、例えば、ユーザーが利用している銀行の口座番号やクレジットカード番号を用いることができる。尚、クレジットカード番号を用いることにより、ユーザーは簡易に券の代金を支払うことができる。 【0140】また、ユーザー装置2から券発行装置1に課金用識別情報を送信するときには、この課金用識別情報が他人に盗まれることを防止し、送信時の安全性を高めるために、通常は、課金用識別情報を所定の暗号化方法により暗号化した後に、券発行装置1に送信する。 【0141】券発行装置1のデータ処理部11は、ステップS8で、受信した課金用識別情報を確認し、この課金用識別情報に基づく課金処理を行い、宿泊券の代金の支払いを確認する。 【0142】具体的には、複数のクレジットカード番号をデータベースとして記憶しておき、受信したクレジットカード番号を、データベース内の複数のクレジットカード番号と比較する。これにより、データベース内に、受信したクレジットカード番号と一致するクレジットカード番号が存在するならば、券発行装置1は、前記受信したクレジットカード番号に基づく銀行に対して、予約されたホテルの宿泊料金の支払い要求情報を送信する。 【0143】銀行は、支払い要求情報を受信する。そして、銀行は、受信した支払い要求情報に基づき、前記クレジットカード番号に応じたユーザーの口座からホテルの宿泊料金分の金額を引き落として、この宿泊料金を券使用装置3に送金する。また、銀行は、ホテルの宿泊券の発行処理を行った券発行装置1に対して、前記ユーザーの口座から前記発行処理の手数料を引き落とし、この手数料を券発行装置1に送金する。 【0144】ここで、券使用装置3は、例えば、ホテルに設置されたコンピュータ装置等であり、この券使用装置3は券発行装置1と通信回線を介して接続されている。 【0145】さらに、券発行装置1は、ユーザー装置2に対して、ユーザーを識別するためのユーザー識別情報の送信を要求するユーザー情報提示要求情報を送信する。このユーザー識別情報は、例えばユーザーの氏名等の名前情報及び暗号情報のうちの少なくともいずれか一方を含む。尚、暗号情報は、いわゆるパスワード情報である。」 (ク)「【0148】このステップS10及びステップS12に示すユーザーの氏名及びパスワード情報等の情報は、詳細には後述するように、ユーザー装置2で印刷された券の安全性を高めるための情報である。従って、ステップS10及びステップS12の処理は、必要に応じて行うようにすればよい。 ・・・(中略)・・・ 【0150】そして、ステップS14で、券発行装置1のデータ処理手段11は、券の内容やホテルの各条件等を示す券情報、及び券の発行番号を含むユーザーコード情報をコード化する。ユーザーコード情報には、ユーザー情報が含まれる。券発行装置1は、このコード化された券情報及びユーザーコード情報をユーザー装置2に送信する。 【0151】ユーザー装置2は、ステップS16で、送信された券情報及びユーザーコード情報をデコードして、プリンタ装置25により紙に印刷する。また、券情報及びユーザーコード情報は、データ記録部26により携帯型記録媒体に記録するようにしてもよい。 【0152】この後、ステップS20で、ユーザーは、印刷された宿泊券を使用する。即ち、ユーザーは、宿泊券に適応するホテルの窓口で前記宿泊券を提示する。このホテルの窓口には、上述したように、コンピュータ装置等から成る券発行装置1が設けられている。 【0153】一方、券発行装置1は、ステップS18で、ユーザー装置2に送信した券情報及びユーザーコード情報を券使用装置3にも送信する。 【0154】券使用装置3は、ステップS22で、ユーザーが印刷した宿泊券のユーザーコード情報を読み取り、このユーザーコード情報と、券発行装置1から送信されているユーザーコード情報とを照合する。この照合により、2つのユーザーコード情報が一致するならば、ユーザーが印刷した宿泊券は真の宿泊券であると判別される。これにより、ユーザーは宿泊券を使用して、ホテルに宿泊することができる。 【0155】もちろん、券使用場所104では、ユーザーが券情報またはユーザーコード情報を記憶していたり、またはそれらが印刷してある部分を確認しながら、キーボード、マウス、操作パネル等の入力機器を使用して、券使用装置3へ券情報またはユーザーコード情報を入力するようにしてもよい。さらに、この入力機器の利用と前述のスキャナ装置、バーコードリーダー装置等を組み合わせて利用する形態であってもよい。また、券情報またはユーザーコード情報が携帯型記憶媒体に記録された情報である場合は、その媒体に記憶された情報を取り出すための媒体ドライブ装置等の情報読み取り装置、またはそれが小型電子機器であれば接続ケーブル、光もしくは無線通信機器等を用いることが可能であるとともに、前述の幾つかの読み取り装置と組み合わせて利用する形態であってもよい。 ・・・(中略)・・・ 【0161】また、ユーザーの名前情報53は、券の使用に際しての安全性を高めるために表示することが望ましい。具体的には、この宿泊券5を使用する際には、この宿泊券5を持参したユーザーに身分証明書等を提示してもらい、ユーザーの名前情報53と身分証明書の名前とを比較して、この宿泊券5の正規の使用者であるか否かを確認することにより、券の不正使用を防止することができる。」 ここで、(ア)の段落【0035】?【0037】の記載、(キ)の段落【0127】?【0132】の記載、及び(ク)の段落【0148】、段落【0152】?【0154】、並びに段落【0161】?【0162】の記載によれば、甲第1号証には、ユーザーコード情報がユーザーを識別するユーザー識別情報を含み、ユーザーコード情報の照合時にユーザー識別情報も照合することにより、紙に印刷されたバーコードによるユーザーコード情報を持参したユーザーがその紙に印刷された券情報の真の利用者であるか否かを判別する態様及びホテルの宿泊券を購入したユーザーが自らホテルに宿泊する態様(すなわち、券の購入者が自ら当該券に係るサービスの提供を受ける態様)が開示されていると認められる。そして、この各態様は、相互に矛盾するものではなく、双方の態様を兼ねる場合を想定することができるから、このような場合においては、券を購入したユーザーは、当該券に係るサービスの提供を受ける「顧客」であるとともに、当該券に係るサービスの提供を受けるに当たって、その真の利用者であるか否かが判別されるものであるから、結果として、ユーザーの個人認証が行われていると解される。 よって、甲第1号証には、紙に券情報と共に印刷されたバーコードによるユーザーコード情報を使用した認証方法が記載されている。 そして、(ウ)の段落【0082】における記載「券使用場所104では、券使用装置に接続される複数の情報読み取り装置106を備えている。例えば、券情報及びユーザーコード情報の少なくとも一方がバーコード情報として印刷されているならば、情報読み取り装置106としてはバーコードリーダー装置を用いることが可能である。」及び段落【0083】における記載「キーボード、マウス、操作パネル等の入力機器を使用して、券使用装置3へ券情報またはユーザーコード情報を入力するようにしてもよい。さらに、この入力機器の利用と前述のスキャナ装置、バーコードリーダー装置等を組み合わせて利用する形態であってもよい。」から、前記ユーザーコード情報が「バーコード」である態様が記載されている。 また、上記(エ)の段落【0102】によれば、発券要求情報に基づく券情報の検索は、課金用識別情報による課金が可能となった後で行われることが記載されている。そして、ユーザーコード情報の作成はユーザが検索結果の中から、あるものを選択したときに行われるから、甲第1号証のものは、「課金可能」「券情報検索」「ユーザーコード情報作成」の順に処理が行われているとみるのが至当である。 そして、(ア)の段落【0044】における記載「ユーザー情報記憶手段に記憶するユーザー情報は、ユーザー装置から券発行装置に予め送信して記憶しておき、ユーザーはいわゆる会員として登録されるようにしてもよい。」、(ウ)の段落【0096】における記載「また、ユーザーコード情報作成部206には、複数のユーザーのユーザー情報を記憶するユーザー情報記憶部207が接続される。ユーザー情報は、ユーザーの名前、住所、券の代金の支払いに利用する銀行の口座番号やクレジットカード番号等を含む情報である。」、及び(エ)の段落【0104】における記載「具体的には、ユーザー情報記憶部207に記憶される複数のユーザー情報から、発券要求情報に含まれるユーザー識別情報に対応するユーザー情報を読み出し、このユーザー情報に含まれる銀行口座番号やクレジットカード番号に基づいて、課金を行う。」からすると、前記ユーザー情報記憶手段(ユーザー情報記憶部)には、予め会員として登録されたユーザーの名前、住所、銀行口座番号やクレジットカード番号を含むユーザー情報をユーザー識別情報に対応して記憶されていると解される。(すなわち、ユーザー識別情報が前記ユーザー情報記憶部207に記憶されていたときは、前記ユーザー識別情報に対応するユーザーは会員として登録されたユーザーであって、前記ユーザーの名前、住所、銀行口座番号やクレジットカード番号を含むユーザー情報が前記ユーザー情報記憶部に記憶されていることを意味する。) よって、甲第1号証記載の認証方法は、券発行装置が、会員として登録されるユーザーのユーザー識別情報及び前記ユーザー識別情報に対応して前記ユーザーの銀行口座番号やクレジットカード番号を含むユーザー情報を予めユーザー情報記憶部に記憶するステップを有すると解される。 そして、(エ)の段落【0104】における記載「課金処理を行うときには、課金用識別情報の代わりに、ユーザー情報記憶部207に記憶されるユーザー情報を用いて、課金を行ってもよい。具体的には、ユーザー情報記憶部207に記憶される複数のユーザー情報から、発券要求情報に含まれるユーザー識別情報に対応するユーザー情報を読み出し、このユーザー情報に含まれる銀行口座番号やクレジットカード番号に基づいて、課金を行う。」からすると、「発券要求情報」には、「ユーザー識別情報」が含まれること、発券要求情報に含まれるユーザー識別情報に基づいてユーザー情報記憶部を検索し、ユーザー識別情報に対応する、銀行口座番号やクレジットカード番号を含むユーザー情報を読み出すこと、「課金用識別情報」の代わりに前記「ユーザー情報」を用いて課金処理を行う態様が記載されている。 そして、甲第1号証の図5のステップ8(支払い確認クレジット番号確認)において、「課金用識別情報」の代わりに「ユーザー情報」を用いて課金処理を行う段落【0104】の態様を兼ねる場合を想定すると、発券要求情報に含まれるユーザー識別情報に基づいてユーザー情報記憶部を検索し、ユーザー識別情報に対応するユーザー情報を読み出すことが認められる。 そして、前述したように、ユーザー識別情報がユーザー情報記憶部に記憶されていたときは、前記ユーザー識別情報に対応するユーザーの銀行口座番号やクレジットカード番号を含むユーザー情報が前記ユーザー情報記憶部に記憶されていることを意味するから、発券要求情報に含まれるユーザー識別情報がユーザー情報記憶部に記憶されていたときは、前記ユーザー識別情報に基づいてユーザー情報記憶部を検索し、ユーザー識別情報に対応するユーザーの銀行口座番号やクレジットカード番号を含むユーザー情報を読み出すことができると認められる。 そして、前記ユーザー識別情報に対応するユーザーの銀行口座番号やクレジットカード番号を含むユーザー情報が前記ユーザー情報記憶部に記憶されていた場合に、前記ユーザー識別情報に対応して記憶されているユーザー情報に含まれる銀行口座番号やクレジットカード番号に基づいて課金可能であることは、当業者にとって自明である。 また、図5のステップS14において、ユーザーコード情報が「バーコード」である態様を想定すると、「ユーザー情報」を用いて課金処理を行う態様の場合には、課金可能であったときには券情報を検索し出力し,バーコードによるユーザーコード情報を作成することが認められる。 してみると、発券要求情報に含まれるユーザー識別情報がユーザー情報記憶部に記憶されていたときに、すなわち、前記ユーザー識別情報に基づいて、ユーザー情報記憶部を検索し、対応するユーザーの銀行口座番号やクレジットカード番号を含むユーザー情報を読み出すことができた場合に、券情報を検索し出力し、バーコードによるユーザーコード情報を作成すると認められる。 よって、甲第1号証記載の認証方法は、 券発行装置が、会員として登録されるユーザーのユーザー識別情報及び前記ユーザー識別情報に対応して前記ユーザーの銀行口座番号やクレジットカード番号を含むユーザー情報を予めユーザー情報記憶部に記憶するステップと、 前記券発行装置が、ユーザーのユーザー識別情報を含む発券要求情報をユーザー装置から通信回線を通して受信するステップと、 前記券発行装置が、前記受信した発券要求情報に含まれるユーザー識別情報に基づいて、前記ユーザー情報記憶部を検索し、前記ユーザーの銀行口座番号やクレジットカード番号を含むユーザー情報を読み出すステップと、 発券要求情報に含まれるユーザー識別情報がユーザー情報記憶部に記憶されていたとき、すなわち前記ユーザー識別情報に基づいて、ユーザー情報記憶部を検索し、対応するユーザーの銀行口座番号やクレジットカード番号を含むユーザー情報を読み出すことができたときに、券情報を検索し出力し、前記受信したユーザー識別情報に対応するユーザー情報部のユーザー情報を用いてバーコードによるユーザーコード情報を作成するステップを有している。 そして、上記(キ)及び(ク)の記載からすると、発券要求情報、ユーザー識別情報は発券の段階でユーザー端末から受信する情報であり、認証の段階では券使用装置からユーザー識別情報、ユーザーコード情報を受信するものである。 また、(エ)の段落【0123】の記載からすると、券発行装置は、ユーザーコード情報作成部において作成されたユーザーコード情報をユーザーコード情報照合部に送っており、該ユーザーコード情報照合部は、前記ユーザーコード情報(第2のユーザーコード情報)と券使用装置から券発行装置へ送信されたユーザーコード情報(第1のユーザーコード情報)とを照合するものである。 してみると、券発行装置(ユーザーコード情報照合部)は、ユーザーコード情報作成部において作成されたユーザーコード情報(第2のユーザーコード情報)を記憶手段に記憶させており、券使用装置から券発行装置へ送信されたユーザーコード情報(第1のユーザーコード情報)と、前記記憶手段に記憶されているユーザーコード情報(第2のユーザーコード情報)と、一致するか否かを照合することは当業者にとって自明である。 よって、上記(キ)及び(ク)の記載を併せて参酌すると、甲第1号証記載の認証方法は、 前記券発行装置が、該バーコードによるユーザーコード情報をユーザー装置に通信回線を通して送信すると共に、該バーコードによるユーザーコード情報を記憶手段に記憶させるステップと、 前記券発行装置が、ユーザーによって紙に印刷されたバーコードによるユーザーコード情報を提示され、且つ券使用装置のバーコードリーダー装置で読み取られて該券使用装置から通信回線を通して送信されてきたバーコードによるユーザーコード情報を受信するステップと、 前記券発行装置が、該受信したバーコードによるユーザーコード情報が、前記記憶手段に記憶されている、前記送信されたバーコードによるユーザーコード情報と、一致するか否かを照合するステップと、 前記券発行装置が、受信したバーコードによるユーザーコード情報が、前記記憶手段に記憶されていたときに、当該バーコードによるユーザーコード情報が付された券情報を有効とする判別結果を券使用装置に通信回線を通して送信するステップと、 を有している。 以上より、甲第1号証には、上記記載事項(ア)-(ク)からみて、課金用識別情報の代わりにユーザー情報を用いて課金を行うものとして、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 紙に券情報と共に印刷されたバーコードによるユーザーコード情報を使用した認証方法であって、 券発行装置が、会員として登録されるユーザーのユーザー識別情報及び前記ユーザー識別情報に対応して前記ユーザーの銀行口座番号やクレジットカード番号を含むユーザー情報を予めユーザー情報記憶部に記憶するステップと、 前記券発行装置が、ユーザーのユーザー識別情報を含む発券要求情報をユーザー装置から通信回線を通して受信するステップと、 前記券発行装置が、前記受信した発券要求情報に含まれるユーザー識別情報に基づいて、前記ユーザー情報記憶部を検索し、前記ユーザーの銀行口座番号やクレジットカード番号を含むユーザー情報を読み出すステップと、 前記ユーザー情報を読み出すステップにおいて、発券要求情報に含まれるユーザー識別情報がユーザー情報記憶部に記憶されていたとき、すなわち対応するユーザーの銀行口座番号やクレジットカード番号を含むユーザー情報を読み出すことができたときに、券情報を検索し出力し、前記受信したユーザー識別情報に対応するユーザー情報部のユーザー情報を用いてバーコードによるユーザーコード情報を作成するステップと、 前記券発行装置が、該バーコードによるユーザーコード情報をユーザー装置に通信回線を通して送信すると共に、該バーコードによるユーザーコード情報を記憶手段に記憶させるステップと、 前記券発行装置が、ユーザーによって紙に印刷されたバーコードによるユーザーコード情報を提示され、且つ券使用装置のバーコードリーダー装置で読み取られて該券使用装置から通信回線を通して送信されてきたバーコードによるユーザーコード情報を受信するステップと、 前記券発行装置が、該受信したバーコードによるユーザーコード情報が、前記記憶手段に記憶されている、前記送信されたバーコードによるユーザーコード情報と、一致するか否かを照合するステップと、 前記券発行装置が、受信したバーコードによるユーザーコード情報が、前記記憶手段に記憶されていたときに、当該バーコードによるユーザーコード情報が付された券情報を有効とする判別結果を券使用装置に通信回線を通して送信するステップと、を備えている、 認証方法。 (備考2) 被請求人は、平成20年11月10日付け意見書において、 「甲第1号証の発明(すなわち引用発明)において、「『課金用識別情報』の代わりに『ユーザー情報』を用いて課金処理を行う場合」とは、課金先を特定するための情報として『課金用識別情報』の代わりに『ユーザー情報』を用いたに過ぎないので、「ユーザー情報がユーザー情報記憶部207に記憶されてい」ることは、ユーザー情報に基づいて課金処理を行うための条件であるから、「『課金用識別情報』の代わりに『ユーザー情報』を用いて課金処理を行」ったことを理由として、その前段階において、ユーザー情報を用いて「課金可能」判断がなされていたということはできない。」(14頁下から9行目?2行目。)、 「被請求人は、平成20年7月18日付けの意見書において、甲第1号証はユーザー識別情報およびユーザー情報が「課金可能」判断に用いられることを開示も示唆もしていないので、甲第1号証の発明が「前記券発行装置が、前記読み出したユーザー情報により課金可能であったときには券情報を検索し出力し、前記受信したユーザー識別情報に対応するユーザー情報部のユーザー情報を用いてユーザーコード情報を作成(すなわち生成する)ステップ」を備えているとした合議体の認定が誤りであると主張した。」(15頁9行目?15行目。) と主張する。 しかしながら、段落【0104】に記載された「課金処理を行うときには」は、課金を行うための一連の処理を含み、ユーザー情報を用いて実際の課金を行うのであれば、課金に用いるユーザー情報と同じ情報を用いて課金の可能性判断を行うのが自然な構成であるから、課金の可能性判断の処理において、課金識別情報に代えて、ユーザー情報を用いる態様を記載していると解される。 よって、被請求人の前記主張「ユーザー情報がユーザー情報記憶部207に記憶されてい」ることは、ユーザー情報に基づいて課金処理を行うための条件であるから、「『課金用識別情報』の代わりに『ユーザー情報』を用いて課金処理を行」ったことを理由として、その前段階において、ユーザー情報を用いて「課金可能」判断がなされていたということはできない。」は、採用できない。 なお、この点は、前記「第1.手続の経緯」の「2.判決の確定(平成19年8月23日)以降の経緯の概要」で言及した、本件特許出願の分割特許の上記当事者間の特許無効審判事件(無効2005-80167号事件)の無効審決に対する審決取消訴訟事件(平成18年(行ケ)第10478号事件)の判決(甲第19号証)の「第5 当裁判所の判断」の「1 取消事由1(本件発明1関係)」の「(1)一致点の誤認による相違点の看過の主張について」においても、 「(4)図5のステップ8において,「課金用識別情報」の代わりに「ユーザー情報」を用いて課金処理を行う段落【0104】の態様を兼ねる場合を想定すると,発券要求情報に含まれるユーザー情報に基づいてユーザー情報記憶部を検索し,ユーザー識別情報に対応するユーザー情報を読み出すこと(段落【0104】,【0138】?【0141】,図5)。 (5)図5のステップS14において,ユーザーコード情報が「バーコード」である態様を想定すると,課金可能であったときには券情報を検索し出力し,バーコードによるユーザーコード情報を作成すること(段落【0150】?【0156】,【0082】?【0083】)。が認められる。 ・・・(中略)・・・ したがって,審決に,原告の主張する相違点の看過はない。」(備考:判決文において、丸付き数字4及び丸付き数字5をそれぞれ(4)及び(5)で置き換えて引用した。)(28頁下から10行目?29頁11行目。)と認定されており、上記被請求人の主張は失当である。 (2)甲第2号証の記載事項 「携帯電話の購入者に個人を識別するためのバーコードを与え、来店時に携帯電話の画面にバーコードを呼び出してもらう。それを店員がバーコードリーダーで読めば、現金やカードを使わずに決済ができる仕組みだ。」(29頁中欄19行目?24行目。) 2.本件発明1について (1)対比 (ア)の段落【0035】?【0037】の記載、(キ)の段落【0127】?【0132】の記載、及び(ク)の段落【0148】、段落【0152】?【0154】、並びに段落【0161】?【0162】の記載によれば、甲第1号証には、引用発明において、ユーザーコード情報がユーザーを識別するユーザー識別情報を含み、ユーザーコード情報の照合時にユーザー識別情報も照合することにより、紙に印刷されたバーコードによるユーザーコード情報を持参したユーザーがその紙に印刷された券情報の真の利用者であるか否かを判別する態様及びホテルの宿泊券を購入したユーザーが自らホテルに宿泊する態様(すなわち、券の購入者が自ら当該券に係るサービスの提供を受ける態様)が開示されていると認められる。そして、この各態様は、相互に矛盾するものではなく、双方の態様を兼ねる場合を想定することができるから、このような場合においては、券を購入したユーザーは、当該券に係るサービスの提供を受ける「顧客」であるとともに、当該券に係るサービスの提供を受けるに当たって、その真の利用者であるか否かが判別されるものであるから、結果として、ユーザーの個人認証が行われ、ユーザーは「被認証者」であるということができ、サービスの提供者は「認証要求者」に相当する。 そして、引用発明の「ユーザー情報記憶部」は、会員として登録されるユーザーのユーザー識別情報及び前記ユーザー識別情報に対応して前記ユーザーの銀行口座番号やクレジットカード番号を含むユーザー情報を記憶するものであるから、本件発明1の「顧客データベース」に相当する。 また、引用発明には、ユーザーコード情報がユーザーを識別するユーザー識別情報を含み、ユーザーコード情報の照合時にユーザー識別情報も照合することにより、紙に印刷されたバーコードによるユーザーコード情報を持参したユーザーがその紙に印刷された券情報の真の利用者であるか否かを判別する態様が含まれているから、この態様において、ユーザーコード情報が各ユーザーに固有のものであることは明らかであり、引用発明の「バーコードによるユーザーコード情報」は、本件発明1の「被認証者に固有のバーコード」に相当する。さらに、前記「バーコードによるユーザーコード情報」は、紙に印刷する形態では、記号として表記されたバーコードであるが、通信回線を伝送する段階やバーコードを生成する段階では、バーコードの元になる電気信号の形態を取るから、本件発明1の「バーコード」に相当する。 そして、引用発明の「バーコードによるユーザーコード情報が付された券情報を有効とする判別結果」は、当該ユーザーが、当該券に係るサービスの提供を受けるに当たって、その真の利用者であることを判別したものであることから、本件発明1の「バーコードを提示した被認証者を認証する旨の信号」に相当する。 引用発明の「券発行装置」は、券情報に付されたユーザーコード情報により券情報の有効性を判別しサービスの提供者、すなわち「認証要求者」が、サービスの提供を受ける者、すなわち「被認証者」を当該サービスの提供を受けるに当たって、その真の利用者であるか否かを判別するための装置であるから、本件発明1の「認証装置」に相当する。 引用発明の「券使用装置」は、サービスの提供者すなわち、認証要求者のものである。 引用発明の「バーコードリーダー装置」は本件発明1の「バーコード読み取り装置」に相当する。 そして、引用発明の「ユーザー識別情報」は、個人を特定するための情報であり、本件発明1の「発信者番号」はバーコード要求信号を携帯電話で発信する者の情報であるから、両者は個人特定情報である点で一致する。 引用発明の「記憶手段」と本件発明1の「バーコードデータベース」とは、記憶手段である点で一致している。 引用発明の「発券要求信号」と本件発明1の「バーコード要求信号」とは、バーコードを生成する契機となる要求信号である点で一致する。 そして、引用発明の「ユーザー装置」と本件発明1の「携帯電話」とは、要求発信装置である点で一致している。 引用発明の「紙に券情報と共に印刷されたバーコードによるユーザーコード情報」と本件発明1の「携帯電話に表示されるバーコード」とは、媒体に表示されるバーコードである点で一致する。 そして、引用発明と本件発明1とは、認証装置が、認証要求者の顧客である被認証者の個人特定情報を含む要求信号を被認証者の要求発信装置から通信回線を通して受信するステップを有する点で一致している。 また、引用発明における「券発行装置」が、前記受信した発券要求情報に含まれるユーザー識別情報に基づいて、前記ユーザー情報記憶部を検索し、前記ユーザーの銀行口座番号やクレジットカード番号を含むユーザー情報を読み出すステップと、前記ユーザー情報を読み出すステップにおいて、発券要求情報に含まれるユーザー識別情報がユーザー情報記憶部に記憶されていたとき、すなわち対応するユーザーの銀行口座番号やクレジットカード番号を含むユーザー情報を読み出すことができたときに、券情報を検索し出力し、前記受信したユーザー識別情報に対応するユーザー情報部のユーザー情報を用いてバーコードによるユーザーコード情報を作成するステップとを有することからすると、引用発明における「券発行装置」は、ユーザー識別情報に基づいて、ユーザー情報記憶部を検索し、対応するユーザーの銀行口座番号やクレジットカード番号を含むユーザー情報を読み出すことができるか否かを判定するステップを有すると解される。 そして、ユーザー識別情報がユーザー情報記憶部に記憶されていたときは、対応するユーザーの銀行口座番号やクレジットカード番号を含むユーザー情報を読み出すことができることからすると、引用発明と本件発明1とは、認証装置が、前記被認証者の個人特定情報が顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップを有する点で一致していると認められる。 その際、引用発明における「券発行装置」が、発券要求情報に含まれるユーザー識別情報がユーザー情報記憶部に記憶されていたとき、すなわち対応するユーザーの銀行口座番号やクレジットカード番号を含むユーザー情報を読み出すことができたときに、券情報を検索し出力し、前記受信したユーザー識別情報に対応するユーザー情報部のユーザー情報を用いてバーコードによるユーザーコード情報を作成するステップを有することからすると、引用発明と本件発明1とは、認証装置が、前記被認証者の個人特定情報が顧客データベースに記録されていたときに、前記被認証者に固有のバーコードを生成するステップを有する点で一致している。 引用発明と本件発明1とは、認証装置が、該バーコードを前記被認証者の要求発信装置に通信回線を通して送信すると共に、該バーコードを記憶手段に記憶させるステップを有する点で一致している。 引用発明と本件発明1とは、認証装置が、被認証者によって媒体に表示されて提示され、且つ認証を求める認証要求者のバーコード読み取り装置で読み取られて認証を求める認証要求者から通信回線を通して送信されてきたバーコードを受信するステップを有する点で一致している。 引用発明と本件発明1とは、該受信したバーコードが、前記記憶手段に記録されているバーコードと一致するか否かを判定するステップを有する点で一致している。 引用発明の「バーコードによるユーザーコード情報が付された券情報を有効とする判別結果」が、本件発明1の「バーコードを提示した被認証者を認証する旨の信号」に相当することから、引用発明と本件発明1とは、受信したバーコードが前記記憶手段に記憶されていたときに、当該バーコードを媒体により提示した被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に通信回線を通して送信するステップを有する点で一致している。 よって、本件発明1と引用発明とは、次の点で一致している。 媒体に表示されるバーコードを使用した認証方法であって、 認証装置が、認証要求者の顧客である被認証者の個人特定情報を含む要求信号を被認証者の要求発信装置から通信回線を通して受信するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の個人特定情報が顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の個人特定情報が前記顧客データベースに記録されていたときに、前記被認証者に固有のバーコードを生成するステップと、 前記認証装置が、該バーコードを前記被認証者の要求発信装置に通信回線を通して送信すると共に、該バーコードを記憶手段に記憶させるステップと、 前記認証装置が、被認証者によって媒体に表示されて提示され、且つ認証を求める認証要求者のバーコード読み取り装置で読み取られて認証を求める認証要求者から通信回線を通して送信されてきたバーコードを受信するステップと、 前記券発行装置が、該受信したバーコードが、前記記憶手段に記録されているバーコードと一致するか否かを判定するステップと、 前記券発行装置が、受信したバーコードが前記記憶手段に記憶されていたときに、当該バーコードを媒体により提示した被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に通信回線を通して送信するステップと、を備えている、 認証方法。 一方、本件発明1と引用発明とは次の点で相違している。 (相違点1) 要求発信装置及びバーコードを表示する媒体が、本件発明1では携帯電話であるのに対し、引用発明ではユーザー装置であり、また、ユーザー装置で印刷した紙である点。 (相違点2) 「個人特定情報」が、本件発明1では発信者番号であるのに対し、引用発明ではユーザー識別情報である点。 (相違点3) 「個人特定情報を含む要求信号」が、本件発明1では発信者番号を含むバーコード要求信号であるのに対し、引用発明ではユーザー識別情報を含む発券要求情報である点。 (相違点4) 本件発明1ではバーコードを被認証者の発信者番号の携帯電話に送信するのに対し、引用発明ではバーコードによるユーザーコード情報をユーザー装置に送信する点。 (相違点5) 「記憶手段」が、本件発明1は「バーコードデータベース」であるのに対し、引用発明では特に記憶手段の種類に言及されていない点。 (2)判断 相違点1?相違点4について検討する。 甲第1号証の引用箇所(ウ)の段落【0085】に「発券センタ102の券発行装置からユーザー装置2に送信される券情報は、紙に印刷する他に、フロッピーディスク、メモリカード、ICカード等の携帯可能な携帯型記録媒体に記録することも可能である。」及び段落【0086】に「このときには、使用場所104の券使用装置として、ユーザーが持参する携帯型記録媒体の情報を読み出すことが可能なコンピュータ装置等を備え、この携帯型記録媒体に記録された券情報及びユーザーコード情報を読み出すようにする。」との記載があるから、甲第1号証には、ユーザーに送信された券情報は紙に印刷して券使用装置で使用される形態の他に、フローピーディスク、メモリカード、ICカード等の携帯型記録媒体に記録し、記録媒体に応じた入力手段で券使用装置に券情報を入力する形態も示されている。しかるところ、甲第1号証には、さらに、(イ)の段落【0076】に「パーソナルコンピュータ(以下、PCという)、インターネット接続用端末、インターネットテレビ、ネットPC等を利用したユーザ装置2と、券を発行する券発行装置を備える発券センタ102とは、通信回線により接続されている。」、段落【0077】に「また、発券センタ102の券発行装置は、その券の使用場所104の、発行された券の情報を読み取る券使用装置と、通信回線により接続されている。」、段落【0078】に「前記発券システムで用いる通信回線は、有線であって、電話線を使用することが一般的であるが、ISDN回線やCATV(Cable Television)のケーブル、または光ファイバケーブルを用いることも可能である。また、通信回線は、無線であってもよく、PHS(簡易型携帯電話)や携帯電話、または人工衛星の双方向を利用した通信システムを利用することが考えられる。」との各記載があり、このうち、段落【0078】の「前記発券システムで用いる通信回線」とは、段落【0076】の券発行装置とユーザ装置とを接続する「通信回線」と、段落【0077】の券発行装置と券使用装置とを接続する「通信回線」との双方を示しているものと解されるから、結局、甲第1号証には、券発行装置から、携帯電話の回線によって、ユーザーコード情報を含む券情報をユーザーに送信し、ユーザーの携帯型記録媒体に電子的に記録する態様が開示されているものということができ、そうすると、券情報を記録する携帯型記録媒体として、携帯電話を用いることが開示又は示唆されていることは明らかである。そして、甲第2号証にも、認証に用いるバーコードを携帯電話に表示させてバーコードリーダーに読み取らせること、また、「来店時に携帯電話の画面にバーコードを呼び出」すことが記載されていること、その前提として、携帯電話の記録領域(メモリ)にバーコード情報が記録されていることは当業者にとって自明であることからすると、引用発明における要求発信装置及びバーコードを表示する媒体として携帯電話を用いること、そしてその際、携帯電話を使って送信する者を特定する情報として、発信者番号を用いることは当業者にとって周知の常套手段であることから、「ユーザー識別情報」として発信者番号を採用すること、及びバーコードによるユーザーコード情報をユーザーの発信者番号の携帯電話に送信することは当業者が容易に為し得たことである。 なお、「ユーザー識別情報」として発信者番号を採用することで「ユーザー識別情報を含む発券要求情報」が発信者番号を含む発券要求情報となることは当然の帰結であり、その際、引用発明における「発券要求信号」は、バーコードが送信されるための契機となる信号という意味に加え、バーコードの送信先を特定するという意味(意義)を有しているから、本件発明1の「バーコード要求信号」との間に格別の差異があるものとは認められない。 従って、相違点1?相違点4は格別のものではない。 (備考3) 被請求人は、平成20年11月10日付け意見書において、「請求項1の発明の「バーコード要求信号」は、発信者番号が自動的かつ必然的に付与されているものであり、さらに、「バーコードが送信されるための契機となる信号」という意味に加え、バーコードの送信先を特定するという意味(意義)も有している。 (4)一方、引用発明では、「発券要求信号」に含まれる「ユーザー識別情報」は、「発券要求情報」に自動的かつ必然的に含まれるものではなく、さらに、生成された「券情報」の送信先である「ユーザー装置」を特定するものでもない。 (5)このように、請求項1の発明のバーコード要求信号に含まれる「発信者番号」は、引用発明の発券要求情報に含まれる「ユーザー識別情報」とは、少なくとも、(1)自動的且つ必然的にバーコード要求信号に含まれる点、および(2)生成されたバーコードの送信先を特定する機能を有する点において相違するので、引用発明の「発券要求信号」と、大きく異なるものである。」(備考:丸付き数字1及び丸付き数字2をそれぞれ(1)及び(2)で置き換えて引用した。)(13頁8行目?19行目。) と主張するが、上記相違点1?相違点4の検討において指摘したとおり、引用発明における要求発信装置及びバーコードを表示する媒体として携帯電話を用いること、そしてその際に、「ユーザー識別情報」として「発信者番号」を採用すること、バーコードによるユーザーコード情報をユーザーの発信者番号の携帯電話に送信することは当業者が容易に為し得たことであり、そして「ユーザー識別情報」として発信者番号を採用することで「ユーザー識別情報を含む発券要求情報」が発信者番号を含む発券要求情報となることは当然の帰結であり、その際、引用発明における「発券要求信号」は、バーコードが送信されるための契機となる信号という意味に加え、バーコードの送信先を特定するという意味(意義)を有しているも当然の帰結である。 よって、被請求人の主張は失当である。 相違点5について検討する。 データベースは、共有されるデータの集合を記憶する手段とされるものであり、データの記憶手段として一般的なものであるから、引用発明における記憶手段としてデータベースを用いることは、当業者であれば適宜なし得たことである。 上記で検討したごとく、相違点1?相違点5は格別のものではなく、そして、本件発明1の構成によってもたらされる効果も、当業者であれば当然に予測可能なものに過ぎず格別なものとは認められない。 以上のとおり、本件発明1は、甲第1号証および甲第2号証に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)小括 本件発明1は、甲第1号証および甲第2号証に基づいて容易に発明をすることができたものである。よって、本件発明1についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 3.本件発明2について (1)対比 本件発明2は、本件発明1の「発信者番号」を「被認証者の携帯電話番号」に限定するものである。よって、上記本件発明1との対比における相違点2?相違点4は、本件発明2の場合には以下のようになる。なお、相違点1及び相違点5は本件発明1との対比の場合と同様である。 (相違点2’) 「個人特定情報」が、本件発明2では被認証者の携帯電話番号であるのに対し、引用発明ではユーザー識別情報である点。 (相違点3’) 「個人特定情報を含む要求信号」が、本件発明2では被認証者の携帯電話番号を含むバーコード要求信号であるのに対し、引用発明ではユーザー識別情報を含む発券要求情報である点。 (相違点4’) 本件発明2ではバーコードを被認証者の携帯電話番号の携帯電話に送信するのに対し、引用発明ではバーコードによるユーザーコード情報をユーザー装置に送信する点。 (2)判断 相違点2’?相違点4’について検討する。 「2.本件発明1について」の「(2)判断」の相違点1?相違点4の検討において引用発明における要求発信装置及びバーコードを表示する媒体として携帯電話を用いること、そしてその際に、「ユーザー識別情報」として「発信者番号」を採用することは当業者が容易に為し得たことであると指摘したところ、そして、一般社会において携帯電話の携帯電話番号が携帯電話の発信者番号として広く利用されていることからすると、「発信者番号」として「携帯電話の携帯電話番号」を採用することは、携帯電話を用いた通信では、当業者にとって当然の事項である。 よって、「ユーザー識別情報」として携帯電話番号を採用すること、及びバーコードによるユーザーコード情報をユーザーの携帯電話番号の携帯電話に送信することは当業者が容易に為し得たことである。 なお、「ユーザー識別情報」として携帯電話の携帯電話番号を採用することで「ユーザー識別情報を含む発券要求情報」が携帯電話の携帯電話番号を含む発券要求情報となることは当然の帰結であり、その際、引用発明における「発券要求信号」は、バーコードが送信されるための契機となる信号という意味に加え、バーコードの送信先を特定するという意味(意義)を有しているから、本件発明1の「バーコード要求信号」の間に格別の差異があるものとは認められない。 従って、相違点2’?相違点4’は格別のものではない。 そして、相違点1、相違点2’、相違点3’、相違点4’、及び相違点5は格別のものではなく、そして、本件発明2の構成によってもたらされる効果も、当業者であれば当然に予測可能なものに過ぎず格別なものとは認められない。 以上のとおり、本件発明2は、甲第1号証および甲第2号証に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)小括 従って、本件発明2は、甲第1号証および甲第2号証に基づいて容易に発明をすることができたものである。よって、本件発明2についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 4.本件発明3について 本件発明3は、本件発明1の発明特定事項の一部を発明特定事項とするものにおいて、「バーコードを被認証者の発信者番号の携帯電話に通信回線を通して送信する」から「発信者番号」を省いて「バーコードを被認証者の携帯電話に通信回線を通して送信する」としたものである。 そうすると、本件発明3の構成要件を全て含み、さらに特定の構成要件に限定要件を付加したものに相当する本件発明1が、前記「2.本件発明1について」の「(2)判断」に記載したとおり、引用発明1、引用発明2、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明3も、同様の理由により、引用発明1、引用発明2、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 5.本件発明4について 本件発明4は、本件発明2の発明特定事項の一部を発明特定事項とするものにおいて、「バーコードを被認証者の携帯電話番号の携帯電話に通信回線を通して送信する」から「携帯電話番号」を省いて「バーコードを被認証者の携帯電話に通信回線を通して送信する」としたものである。 そうすると、本件発明4の構成要件を全て含み、さらに特定の構成要件に限定要件を付加したものに相当する本件発明2が、前記「3.本件発明2について」の「(2)判断」に記載したとおり、引用発明1、引用発明2、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明4も、同様の理由により、引用発明1、引用発明2、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 6.本件発明5について (1)対比 本件発明5は、本件発明3の「発信者番号」に代えて「被認証者の顧客データ」とするものである。(なお、本件発明3は「携帯電話に表示される認証用バーコードを被認証者に付与するバーコード付与方法」であるが、本件発明3においても認証装置がバーコードを被認証者の携帯電話に通信回線を通して送信するものであることからすると、本件発明3は実質的に、携帯電話に表示される認証用バーコードを通信回線を利用して被認証者に付与するバーコード付与方法であると解される。) そして、「発信者番号」は顧客データであることからすると、本件発明3が、「4.本件発明3について」に記載したとおり、引用発明1、引用発明2、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明5も、同様の理由により、引用発明1、引用発明2、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 7.本件発明6について 本件発明6は、本件発明1の発明特定事項である「認証装置」を発明特定事項とするものにおいて、「バーコードを被認証者の発信者番号の携帯電話に通信回線を通して送信する」から「発信者番号の携帯電話」を省いて「バーコードを被認証者に通信回線を通して送信する」とするとともに、「顧客データベース」として「所定の個人データが記録された顧客データベース」としたものである。 そして、「顧客データベース」に所定の個人データが記録されていることは、当然の事項であるから、「顧客データベース」と「所定の個人データが記録された顧客データベース」との間には、実質的な差異はない。 そうすると、本件発明6の構成要件を全て含み、さらに特定の構成要件に限定要件を付加したものに相当する本件発明1が、前記「2.本件発明1について」の「(1)判断」に記載したとおり、引用発明1、引用発明2、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明6も、同様の理由により、引用発明1、引用発明2、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6.むすび 以上のとおり、請求項1-6に係る発明についての特許は、特許法第29条の2の規定に違反してなされたものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(参考)平成18年3月22日付け審決(1次審決)は、以下のとおり。 「無効2005-80099 東京都港区虎ノ門4丁目2番12号 請求人 株式会社 デンソーウェーブ 東京都渋谷区恵比寿西2-11-12 グリュック代官山3階 プライムワークス国際特許事務所 代理人弁理士 森下 賢樹 東京都渋谷区恵比寿西2-11-12 グリュック代官山3階 プライムワークス国際特許事務所 代理人弁理士 青木 武司 愛知県名古屋市西区城西1-11-13 被請求人 株式会社 ジェネス 東京都千代田区丸の内3丁目3番1号 新東京ビル 中村合同特許法律事務所 代理人弁理士 熊倉 禎男 東京都千代田区丸の内3-3-1 新東京ビル6階 中村合同特許法律事務所 代理人弁理士 田中 伸一郎 東京都千代田区丸の内3丁目3番1号 中村合同特許法律事務所 代理人弁理士 弟子丸 健 東京都千代田区丸の内3-3-1 中村合同特許法律事務所 代理人弁理士 倉澤 伊知郎 上記当事者間の特許第3207192号発明「認証方法および装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 結 論 訂正を認める。 特許第3207192号の請求項1ないし7に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 理 由 第1.手続の経緯 (1)特許3207192号に係る経緯は、概略、以下のとおりである。 出願日 平成12年5月2日 設定登録日 平成13年7月6日 (2) 本件審判請求に係る経緯は、概略、以下のとおりである。 請求書 平成17年3月31日 答弁書 平成17年6月14日 訂正請求(第1回) 平成17年6月14日 (平成17年12月16日取り下げ) 弁ぱく書 平成17年8月8日 口頭審理陳述要領書(請求人) 平成17年11月8日 口頭審理陳述要領書(被請求人) 平成17年11月8日 口頭審理 平成17年11月8日 訂正の許可の決定 平成17年11月8日 無効理由通知 平成17年11月11日 (発送日:11月16日) 上申書(請求人) 平成17年11月18日 意見書(請求人) 平成17年12月15日 意見書(被請求人) 平成17年12月16日 訂正請求(第2回) 平成17年12月16日 弁ぱく書 平成18年2月9日 上申書(被請求人) 平成18年3月1日 第2.訂正の適否について 1.訂正の内容 平成17年6月14日付の訂正請求は取り下げられ、平成17年12月16日付で2回目の訂正請求が為されており、特許権者が求めている訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下の訂正事項A-Jのとおりである。 訂正事項A 特許明細書の特許請求の範囲請求項1を次のとおり訂正する。 「【請求項1】 携帯電話に表示されるバーコードを使用した認証方法であって、 認証装置が、認証要求者の顧客である被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を被認証者の携帯電話から通信回線を通じて受信するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の顧客データが顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の顧客データが前記顧客データベースに記録されていたときに、前記被認証者に固有のバーコードを生成するステップと、 前記認証装置が、該バーコードを前記被認証者の発信者番号の携帯電話に通信回線を通じて送信すると共に、該バーコードをバーコードデータベースに記憶させるステップと、 前記認証装置が、被認証者によって携帯電話に表示されて提示され、且つ認証を求める認証要求者のバーコード読み取り装置で読み取られて認証を求める認証要求者から通信回線を通じて送信されてきたバーコードを受信するステップと、 前記認証装置が、該受信したバーコードが、前記バーコードデータベースに記録されているバーコードと一致するか否かを判定するステップと、 前記認証装置が、受信したバーコードが前記バーコードデータベースに記憶されていたときに、当該バーコードを携帯電話により提示した被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に通信回線を通じて送信するステップと、を備えている、 認証方法。」 訂正事項B 特許明細書の特許請求の範囲請求項2を次のとおり訂正する。 「【請求項2】 前記発信者番号が、被認証者の携帯電話番号である、 請求項1に記載の認証方法。」 訂正事項C 特許明細書の特許請求の範囲請求項3を削除する。 訂正事項D 請求項3の削除に伴い、請求項4を請求項3に変更すると共に特許明細書の特許請求の範囲請求項3を次のとおり訂正する。 「【請求項3】 認証要求者の顧客である被認証者に付与されると共に記憶される前記被認証者に固有の認証用バーコードであって、前記被認証者が携帯電話に表示することによって前記認証要求者に提示され、前記提示された認証用バーコードが記憶されていたとき前記被認証者が認証される、携帯電話に表示される認証用バーコードを被認証者に付与するバーコード付与方法であって、 認証装置が、前記被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を、被認証者の携帯電話から通信回線を通して受信するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の顧客データが顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の顧客データが前記顧客データベースに記録されていたときに前記被認証者に固有のバーコードを生成するステップと、 前記認証装置が、該バーコードを前記被認証者の携帯電話に通信回線を通して送信すると共に、該バーコードをバーコードデータベースに記憶するステップと、を備えている、 バーコード付与方法。」 訂正事項E 請求項3の削除に伴い、請求項5を請求項4に変更すると共に特許明細書の特許請求の範囲請求項4を次のとおり訂正する。 「【請求項4】 前記発信者番号が、被認証者の携帯電話番号である、 請求項3に記載のバーコード付与方法。」 訂正事項F 請求項3の削除に伴い、請求項6を請求項5に変更すると共に特許明細書の特許請求の範囲請求項5を次のとおり訂正する。 「【請求項5】 認証要求者の顧客である被認証者に付与されると共に記憶される前記被認証者に固有の認証用バーコードであって、前記付与された認証用バーコードを前記被認証者が携帯電話に表示することによって前記認証要求者に提示され、前記提示された認証用バーコードが記憶されていたときには前記被認証者が認証される携帯電話に表示される認証用バーコードを、通信回線を利用して被認証者に付与するバーコード付与方法であって、 認証装置が、前記被認証者の携帯電話からのバーコード要求信号を通信回線を通して受信するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の顧客データが所定の顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の顧客データが前記顧客データベースに記録されていたときには前記被認証者に固有のバーコードを生成するステップと、 前記認証装置が、前記バーコードを、前記被認証者の携帯電話に通信回線を通じて送ると共に、バーコードデータベースに記録するステップとを有する、バーコード付与方法。」 訂正事項G 請求項3の削除に伴い、請求項7を請求項6に変更すると共に特許明細書の特許請求の範囲請求項6を次のとおり訂正する。 「【請求項6】 携帯電話に表示されるバーコードを使用した認証装置であって、 認証要求者の顧客である被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を被認証者の携帯電話から通信回線を通して受信する受信装置と、 所定の個人データが記録されたデータベースと、 前記被認証者の個人データが前記顧客データベースに記録されているか否かを判定し、前記被認証者の個人データが前記顧客データベースに記録されていたときに前記被認証者に固有のバーコードを生成するバーコード生成手段と、 バーコード生成手段が生成したバーコードを記録するバーコードデータベースと、 該バーコードを前記被認証者に通信回線を通して送信すると共に、該バーコードを前記バーコードデータベースに記憶させるバーコード伝送手段と、 前記被認証者によって提示され認証要求者のバーコードリーダーで読み取られ認証要求者から認証を求めて通信回線を通して送信されてきたバーコードを受信し、受信したバーコードが、前記バーコードデータベースに記憶されているバーコードと一致するか否かを判定し、受信したバーコードが、前記バーコードデータベースに記憶されていたとき、当該バーコードを提示した被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に通信回線を通して送信するバーコード照合手段と、 を備えている認証装置。」 訂正事項H 特許明細書の特許請求の範囲請求項8,9を削除する。 訂正事項I 請求項3、8,9の削除に伴い、請求項10を請求項7に変更すると共に特許明細書の特許請求の範囲請求項7を次のとおり訂正する。 「【請求項7】 携帯電話に表示されるバーコードを使用した認証方法であって、 認証装置が、認証要求者の顧客である被認証者によって携帯電話に表示されて提示され、且つ認証を求める認証要求者のバーコード読取り装置で読み取られて認証を求める認証要求者から通信回線を通して送信されてきた前記被認証者に固有のバーコードを受信するステップと、 前記認証装置が、該受信したバーコードが、前記被認証者からのバーコードの付与の要求に応じて被認証者に対して通信回線を通して送信され且つバーコードデータベースに記憶されたバーコードと、一致するか否かを判定するステップと、 前記認証装置が、受信したバーコードが前記バーコードデータベースに記憶されていたときに、当該バーコードを提示した被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に通信回線を通して送信するステップと、 を備えている認証方法。」 訂正事項J 明細書【0006】段落中の 「ここで、被認証者とは、認証により自らの身元、信用度等を明らかにすることを欲するものを指し、例えば、買い物をする顧客、クレジットカード使用者等である。又、認証要求者とは、被認証者の身元、信用度などの確認を欲するものを指し、例えば、店舗、クレジットカード会社、銀行等がある。」を「ここで、被認証者とは、認証により自らの身元、信用度等を明らかにすることを欲するものを指し、例えば、買い物をする顧客、クレジットカード使用者である。又、認証要求者とは、被認証者の身元、信用度などの確認を欲するものを指し、例えば、店舗、クレジットカード会社、銀行がある。」と訂正する。 2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 訂正事項Aは、「バーコード」について「携帯電話に表示される」「被認証者に固有」「認証を求める認証要求者のバーコード読み取り装置で読み取られ」ると限定し、「被認証者」について「認証要求者の顧客である」「バーコードを携帯電話により提示した」と限定し、バーコード要求信号及びバーコードが「携帯電話」と「通信回線」を介して送受信されると限定し、「被認証者が前記データベースに記録されて」を「前記被認証者の顧客データが顧客データベースに記録されて」と限定し、認証要求者と認証装置が「通信回線を通じて」送受信するものに限定し、各ステップについて「認証装置」が実行するものと明確化するものであるから、特許請求の範囲の減縮または明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。そして、訂正事項Aは、特許明細書【0017】-【0019】、【0021】-【0024】、【0026】-【0029】、【0031】-【0033】及び図1,2に記載されるものであるから、願書に添付した明細書又は図面の記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 訂正事項Bは、訂正事項Aにより請求項2から請求項1に組み込まれた事項を請求項2の記載から削除したものであり、特許請求の範囲の減縮に該当する。また、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 訂正事項Cは、請求項3を削除するものであり、特許請求の範囲の減縮に該当する。また、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 訂正事項Dは、訂正前の請求項4の認証用バーコードの使用形態について「認証要求者の顧客である被認証者に付与されると共に記憶される前記被認証者に固有の認証用バーコードであって、前記被認証者が携帯電話に表示することによって前記認証要求者に提示され、前記提示された認証用バーコードが記憶されていたとき前記被認証者が認証される、携帯電話に表示される」と限定し、バーコード要求信号及びバーコードが「携帯電話」と「通信回線」を介して送受信されると限定し、「被認証者が前記データベースに記録されて」を「前記被認証者の顧客データが顧客データベースに記録されて」と限定し、各ステップについて「認証装置」が実行するものと明確化するものであるから、特許請求の範囲の減縮または明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。 そして、訂正事項Dは、特許明細書【0017】-【0019】、【0021】-【0024】、【0026】-【0029】、【0031】及び図1,2に記載されるものであるから、願書に添付した明細書又は図面の記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 訂正事項Eは、訂正事項Dにより請求項5(訂正後の請求項4)から請求項4(訂正後の請求項3)に組み込まれた事項を請求項5(訂正後の請求項4)の記載から削除したものであり、特許請求の範囲の減縮に該当する。また、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 訂正事項Fは、訂正前の請求項6のバーコードの使用形態について「認証要求者の顧客である被認証者に付与されると共に記憶される前記被認証者に固有の認証用バーコードであって、前記被認証者が携帯電話に表示することによって前記認証要求者に提示され、前記提示された認証用バーコードが記憶されていたとき前記被認証者が認証される、携帯電話に表示される認証用バーコード」と限定し、バーコード要求信号及びバーコードが「携帯電話」と「通信回線」を介して送受信されると限定し、「被認証者が前記データベースに記録されて」を「前記被認証者の顧客データが顧客データベースに記録されて」と限定し、各ステップについて「認証装置」が実行するものと明確化するものであるから、特許請求の範囲の減縮または明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。 そして、訂正事項Fは、特許明細書【0017】-【0019】、【0021】-【0024】、【0026】-【0029】、【0031】-【0033】及び図1,2に記載されるものであるから、願書に添付した明細書又は図面の記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 訂正事項Gは、訂正前の請求項7の「バーコード」について「携帯電話に表示される」「被認証者に固有」「被認証者によって提示され認証要求者のバーコードリーダーで読み取られ」ると限定し、「被認証者」について「認証要求者の顧客である」と限定し、バーコード要求信号が「携帯電話」から「通信回線を通じて」受信されると限定し、バーコードを前記被認証者に「通信回線を通じて」送信されると限定し、認証要求者から認証を求めて「通信回線を通じて」受信するものに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。そして、訂正事項Gは、特許明細書【0017】-【0019】、【0021】-【0024】、【0026】-【0029】、【0031】-【0033】及び図1,2に記載されるものであるから、願書に添付した明細書又は図面の記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 訂正事項Hは、請求項8,9を削除するものであり、特許請求の範囲の減縮に該当する。また、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 訂正事項Iは、訂正前の請求項10の「バーコード」について、「携帯電話に表示される」「被認証者に固有」「認証を求める認証要求者のバーコード読み取り装置で読み取られ」ると限定し、「被認証者」について「認証要求者の顧客である」「バーコードを提示した」と限定し、バーコードの付与の要求が「通信回線」を介して送信されると限定し、被認証者を認証する旨の信号が「通信回線を通じて」送信するものに限定し、各ステップについて「認証装置」が実行するものと明確化するものであるから、特許請求の範囲の減縮または明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。そして、訂正事項Iは、特許明細書【0017】-【0019】、【0021】-【0024】、【0026】-【0029】、【0031】-【0033】及び図1,2に記載されるものであるから、願書に添付した明細書又は図面の記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 訂正事項J 「クレジットカード使用者等」、「銀行等」から「等」を削除するものであり、明りょうでない記載の釈明に該当する。 3.むすび よって、上記訂正事項A-Jは、特許法第134条の2ただし書き、及び、同条第5項において準用する同法第126条第3項、4項の規定に適合するので当該訂正を認める。 第3.本件訂正後の特許発明 本件無効審判請求の対象となった請求項1-7に係る発明については、上記訂正を許容することができるから、本件訂正後の発明は、訂正明細書の請求項1から請求項7に記載された事項により特定される次のとおりのもの(以下、それぞれ「本件発明1」、「本件発明2」などという。)である。 【請求項1】 携帯電話に表示されるバーコードを使用した認証方法であって、 認証装置が、認証要求者の顧客である被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を被認証者の携帯電話から通信回線を通じて受信するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の顧客データが顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の顧客データが前記顧客データベースに記録されていたときに、前記被認証者に固有のバーコードを生成するステップと、 前記認証装置が、該バーコードを前記被認証者の発信者番号の携帯電話に通信回線を通じて送信すると共に、該バーコードをバーコードデータベースに記憶させるステップと、 前記認証装置が、被認証者によって携帯電話に表示されて提示され、且つ認証を求める認証要求者のバーコード読み取り装置で読み取られて認証を求める認証要求者から通信回線を通じて送信されてきたバーコードを受信するステップと、 前記認証装置が、該受信したバーコードが、前記バーコードデータベースに記録されているバーコードと一致するか否かを判定するステップと、 前記認証装置が、受信したバーコードが前記バーコードデータベースに記憶されていたときに、当該バーコードを携帯電話により提示した被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に通信回線を通じて送信するステップと、を備えている、 認証方法。 【請求項2】 前記発信者番号が、被認証者の携帯電話番号である、 請求項1に記載の認証方法。 【請求項3】 認証要求者の顧客である被認証者に付与されると共に記憶される前記被認証者に固有の認証用バーコードであって、前記被認証者が携帯電話に表示することによって前記認証要求者に提示され、前記提示された認証用バーコードが記憶されていたとき前記被認証者が認証される、携帯電話に表示される認証用バーコードを被認証者に付与するバーコード付与方法であって、 認証装置が、前記被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を、被認証者の携帯電話から通信回線を通して受信するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の顧客データが顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の顧客データが前記顧客データベースに記録されていたときに前記被認証者に固有のバーコードを生成するステップと、 前記認証装置が、該バーコードを前記被認証者の携帯電話に通信回線を通して送信すると共に、該バーコードをバーコードデータベースに記憶するステップと、を備えている、 バーコード付与方法。 【請求項4】 前記発信者番号が、被認証者の携帯電話番号である、 請求項3に記載のバーコード付与方法。 【請求項5】 認証要求者の顧客である被認証者に付与されると共に記憶される前記被認証者に固有の認証用バーコードであって、前記付与された認証用バーコードを前記被認証者が携帯電話に表示することによって前記認証要求者に提示され、前記提示された認証用バーコードが記憶されていたときには前記被認証者が認証される携帯電話に表示される認証用バーコードを、通信回線を利用して被認証者に付与するバーコード付与方法であって、 認証装置が、前記被認証者の携帯電話からのバーコード要求信号を通信回線を通して受信するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の顧客データが所定の顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の顧客データが前記顧客データベースに記録されていたときには前記被認証者に固有のバーコードを生成するステップと、 前記認証装置が、前記バーコードを、前記被認証者の携帯電話に通信回線を通じて送ると共に、バーコードデータベースに記録するステップとを有する、バーコード付与方法。 【請求項6】 携帯電話に表示されるバーコードを使用した認証装置であって、 認証要求者の顧客である被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を被認証者の携帯電話から通信回線を通して受信する受信装置と、 所定の個人データが記録されたデータベースと、 前記被認証者の個人データが前記顧客データベースに記録されているか否かを 判定し、前記被認証者の個人データが前記顧客データベースに記録されていたと きに前記被認証者に固有のバーコードを生成するバーコード生成手段と、 バーコード生成手段が生成したバーコードを記録するバーコードデータベースと、 該バーコードを前記被認証者に通信回線を通して送信すると共に、該バーコードを前記バーコードデータベースに記憶させるバーコード伝送手段と、 前記被認証者によって提示され認証要求者のバーコードリーダーで読み取られ認証要求者から認証を求めて通信回線を通して送信されてきたバーコードを受信し、受信したバーコードが、前記バーコードデータベースに記憶されているバーコードと一致するか否かを判定し、受信したバーコードが、前記バーコードデータベースに記憶されていたとき、当該バーコードを提示した被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に通信回線を通して送信するバーコード照合手段と、 を備えている認証装置。 【請求項7】 携帯電話に表示されるバーコードを使用した認証方法であって、 認証装置が、認証要求者の顧客である被認証者によって携帯電話に表示されて提示され、且つ認証を求める認証要求者のバーコード読取り装置で読み取られて認証を求める認証要求者から通信回線を通して送信されてきた前記被認証者に固有のバーコードを受信するステップと、 前記認証装置が、該受信したバーコードが、前記被認証者からのバーコードの付与の要求に応じて被認証者に対して通信回線を通して送信され且つバーコードデータベースに記憶されたバーコードと、一致するか否かを判定するステップと、 前記認証装置が、受信したバーコードが前記バーコードデータベースに記憶されていたときに、当該バーコードを提示した被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に通信回線を通して送信するステップと、 を備えている認証方法。 第4.当事者の主張及び証拠方法 1.請求人 (1)請求の趣旨及び証拠方法 本件発明1から本件発明7までは、甲第1号証および甲第2号証に基づいて容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものあり(無効理由1)、また、甲第2号証から甲第4号証に基づいて容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり(無効理由2)、特許法第123条第1項第2号の規定に該当し、本件特許は無効とすべきものである。 (2)証拠方法 甲第1号証:特開平10-69553号公報 甲第2号証:日経ビジネス 2000年4月24日号 p24?p40 甲第3号証:特開2000-10927号公報 甲第4号証:特開平10-13695号公報 2.被請求人 (1)答弁の趣旨及び理由 本件発明1から本件発明7は、いずれも、特許法第29条第2項の規定に該当せず、本件審判請求は成り立たない。 第5.請求及び答弁の理由の概要 [請求人] 審判請求書、平成17年8月8日付弁ぱく書、平成17年11月8日付口頭審理陳述要領書、平成17年11月18日付け上申書、平成17年12月15日付意見書及び平成18年2月9日付弁ぱく書の趣旨からして、請求人の主張の要点は、概略、以下のとおりである。 1.訂正に対して バーコード要求信号に含まれるのは発信者番号であり、発明の詳細な説明では顧客データベースに記録されているか否かの判定の対象は「発信者番号」である。これに対し、請求項の記載では、バーコードを発行するか否かの判定は「顧客データ」で行われており、「顧客データ」を用いる判定は、顧客データの入手元、顧客データの範囲、身元確認との関係でどのようなものか明確ではない。 2.無効理由1 本件発明1は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 本件発明1は本件特許の構成を網羅しており、本券発明2から7までは、本件発明1の構成要素の一部を構成要素とするものであるから、本件発明1と同様の理由により甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (1)個人認証の意義 本件発明1は、バーコードを照合して認証する段階に着目して「個人認証方法」と呼び、甲第1号証は券情報及びユーザーコード情報の発行段階に着目して「券発行システム」と呼んでいるに過ぎない。甲第1号証も券の使用を認めるか否かという照合の段階に着目すれば「認証方法」と言える。また、本件は生体認証のように個人を認証しているのではなく、データベースに記録されていることを認証するだけであり、その点で甲第1号証のものと同じである。携帯電話の一身専属性の高さは、ユーザの身元確認を行うという本件発明1の目的を実現できる理由にはならない。 (2)バーコード要求信号と発券要求信号 甲第1号証では、発券要求情報に応じて、課金がなされた後、バーコードが生成されるから、甲第1号証の「発券要求信号」は本件発明の「バーコード要求信号」に該当する。 (3)ユーザーコード情報 券情報の検索とユーザーコード情報の作成は独立した処理ではなく、「券情報の検索→ユーザーコード情報の作成」の順序に行われるものである。従って、ユーザーコード情報の作成は課金可能なときに行われるのは明らかである。 (4)甲第1号証と甲第2号証との組み合わせ 甲第1号証は、バーコードを照合して券の使用を認めるから、認証処理を行っている。技術的な共通性があり、また、課題、作用にも共通性があるから、甲第1号証と甲第2号証を組み合わせることは容易である。 3.無効理由2 甲第2号証には「携帯電話の画面にバーコードを表示」して認証に用いることが開示されており、甲第3号証の発明において、パスワード通知手段として、甲第2号証のバーコード情報を携帯端末に表示する技術を用いることにより、本件発明を構成することができる。甲第4号証は、画像情報の送信者の正当性の認証を行う発明であり、技術分野は共通である。 本件発明1は、甲第2号証乃至甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 本件発明1は本件特許の構成を網羅しており、本券発明2から7までは、本件発明1の構成要素の一部を構成要素とするものであるから、本件発明1と同様の理由により甲第2号証乃至甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 [被請求人] 平成17年6月15日付答弁書、平成17年11月8日付口頭審理陳述要領書、及び平成17年12月16日付意見書、平成18年3月1日付上申書からして、被請求人の主張の要点は、概略、以下のとおりである。 4.無効理由1 本件発明1から本件発明7までは、甲第1号証及び甲第2号証から容易に発明をすることができたものではない。 (1)個人認証の意義 本件発明1がバーコードを用いて個人を認証する発明であるのに対し、甲第1号証の発券システムではバーコードは提示された券が真正なものかどうかを確認するためのものであり、個人を認証するものではない。 携帯電話は一身専属性が高く他人に貸与することが通常あり得ないから、ある携帯電話に送信したバーコードを提示するのは、その携帯電話の所有者である被認証者であり、個人認証を行うことができる。 (2)バーコード要求信号と発券要求信号 甲第1号証における「発券要求信号」は券の発行を要求するもので、その券の発行時にバーコードが付随しているに過ぎず、本件発明の「バーコード要求信号」とは異なるものである。 (3)ユーザーコード情報 甲第1号証では、受信したクレジットカード番号(課金用識別情報)と一致するクレジットカード番号がデータベース内に存在したときに課金処理が行われる構成が開示されているに過ぎず、クレジットカード番号の一致は、バーコードの生成とは無関係である。 券情報の検索が可能か否かの判別結果は、「課金用識別情報比較部202」「券情報検索部204」「ユーザーコード情報作成部206」に並列的に送られる。この結果、ユーザーコード情報は、課金用識別情報(クレジットカード番号)の比較結果とは無関係に作成される。甲第1号証は、「課金可能」と「ユーザーコード情報」の作成との因果関係について何らの開示も示唆もしていない。 (4)甲第1号証と甲第2号証との組み合わせ 甲第1号証は、発券システムであり、認証を行うものではない。また、甲第1号証は、発券段階で課金処理が行われているから、これに店頭で決済を行うための認証を組み合わせることはなく、決済を行うための甲第2号証と組み合わせることはしない。 5.無効理由2 甲第3,4号証には、「携帯端末に表示されるバーコード」「バーコードを表示する表示装置」は開示されていない。 コンピュータ間の認証に関する発明(甲第3号証)に、電子式情報表示装置(甲第4号証)の発明を組み合わせることは当業者は行わない。 本件発明1から本件発明7までは、甲第2号証乃至甲第4号証から容易に発明をすることができたものではない。 第5.当審の判断 1.訂正に対して 請求項1の「認証要求者の顧客である被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号」および請求項2の「前記発信者番号が、被認証者の携帯電話番号である」との記載からは、請求項1に記載された「発信者番号」が「携帯電話番号」以外の番号を含むようにもみえるが、発明の詳細な説明では「発信者番号、即ち、携帯電話番号」と記載され、また、請求項1の別のステップにおける「該バーコードを前記被認証者の発信者番号の携帯電話に通信回線を通じて送信する」との記載を合わせて考えると、請求項1に記載された「発信者番号」が、「被認証者の携帯電話番号」以外のものを含むとは考えられず、事実上「携帯電話番号」のみを意味するものと解するのが相当である。また、請求項1に記載された「顧客データ」は、そのデータの範囲が請求項の記載だけからは特定できない面があるが、発明の詳細な説明には、「顧客データベース(顧客DB)112には、登録済みの顧客の氏名と、携帯電話番号とを含む顧客情報が収容されている。」と記載されており、発明の詳細な説明における「顧客情報」が請求項1の「顧客データ」に相当するものと認められる。そして、「顧客情報」には、携帯電話番号が含まれており、「バーコード要求信号に含まれる当該顧客の発信者番号、即ち、携帯電話番号に基づいて顧客データベース112を検索し」ているから、請求項1における「前記前記被認証者の顧客データが顧客データベースに記録されているか否かを判定する」というのは、発明の詳細な説明を参酌し、請求項1の全体の記載を合理的に解釈すれば、被認証者の携帯電話番号が顧客データベースに記録されているか否かを判定するものと限定的に捉えるしかない。 してみると、請求項1に記載された「顧客データ」や「顧客データ」を用いた判定に関し、不明確ということはできず、請求項1における前記の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内での訂正であり、また、訂正後の請求項の記載が不明確なものでもない。 2.無効理由1 (1)個人認証の意義 個人認証技術には、個人を特定できる程度に応じて種々のものが含まれる。指紋や声紋を個人の特定に用いる、いわゆる生体認証技術から、IDカードとパスワードで認証するもの、IDカードやクレジットカード所持(署名確認なし)により個人を特定するものまで個人を特定できる程度は異なるが、種々の認証手法がある。生体認証は、個体の有している固有の特徴を用いるので認証の確実度は高く、また、認証の手法は技術的である。これに対し、IDカードやクレジットカード提示による個人認証は、技術的にはIDカードやクレジットカードの真正性をチェックしているのであって、カードの提示者が真の所持者かどうかはカード発行者と所持者の契約(例えば、他人による使用、譲渡禁止)に基づくものである。本件発明は、携帯電話提示者の個体の特徴を識別するものではなく、携帯電話の提示者と所有者は同一である蓋然性が高いという携帯電話の一身専属性(一種の慣習)を利用するものであり、身元確認の確実度は100%ではないものの、その不確実性のみを根拠として個人認証を行うことができないということはできない。従って、本件発明は、技術的には携帯電話に表示されたバーコードを確認するものではあるが、バーコードの確認がとれればある程度は個人認証に資するものであり、個人認証という発明の目的を実現できないというものではない。 (2)バーコード要求信号と発券要求信号 甲第1号証の発明では、発券要求情報に応じて券発行装置は、所望のデータを検索したならば、その券情報と共にユーザーコード情報をユーザー装置に送信している。甲第1号証の発明では、ユーザーコード情報はバーコードの形式を取ることがあるとされているから、券情報にはバーコード形式のユーザーコード情報が付加されていることになる。本件発明における「バーコード要求信号」には、バーコードが返送されるための契機となる信号という意味以上ののものを見いだせないから、甲第1号証の「発券要求信号」と本件発明の「バーコード要求信号」の間に格別の差異があるものとは認められない。 (3)ユーザーコード情報 ユーザーコード情報の作成に関して、甲第1号証には以下の記載がある。 (ア)「入力情報が発券要求情報であると判別されたときには、この発券要求情報は、発券要求情報判別部201、券情報検索部204及び課金部208に送られる。」【0099】段落 (イ)「この課金用識別情報記憶部203には、複数のユーザーの課金用識別情報が記憶されている。例えば、課金用識別情報比較部202に入力される課金用識別情報を第1の課金用識別情報とし、課金用識別情報記憶部203に記憶している課金用識別情報を第2の課金用識別情報とした場合に、課金用識別情報比較部202は、発券要求情報が有効であることを示す判別結果が入力されたときに、第1の課金用識別情報と第2の課金用識別情報とを比較し、この比較結果を券情報検索部204及び課金部208に送る。」【0101】段落 (ウ)「尚、券情報検索部204は、課金用識別情報比較部202からの比較結果を用いて券情報の検索を開始するようにしてもよい。」【0102】段落 (エ)「ユーザーコード情報作成部206には、情報判別部200において判別されたユーザー識別情報が送られている。ユーザーコード情報作成部206は、発券要求情報判別部201から送られた判別結果が発券可能であることを示すときには、ユーザー情報記憶部207に記憶されるユーザー情報から、送信されるユーザー識別情報に対応するユーザー情報を読み出し、このユーザー情報を用いてユーザーコード情報を作成する。」【0103】段落 これらの記載から見ると、発券要求情報に基づく券情報の検索は、課金用識別情報による課金が可能となった後で行われることが分かる。そして、ユーザーコード情報の作成はユーザが検索結果の中から、あるものを選択したときに行われるから、甲第1号証のものは、「課金可能」「券情報検索」「ユーザーコード情報作成」の順に処理が行われているとみるのが至当である。 (4)甲第1号証と甲第2号証との組み合わせ 甲第2号証には、認証のためのバーコードを携帯電話に表示する技術が開示されており、券の認証に関わる甲第1号証の発明に甲第2号証に開示されている技術を組み合わせることは困難ではない。 (5)無効理由1の適否について (5-1)本件発明1-6について 上記の検討を踏まえ、本件発明1-6が甲第1号証及び甲第2号証から容易に発明をすることができたものかどうか検討する。 (5-2)甲第1号証の記載事項 甲第1号証には、以下の事項が図面と共に記載されている。 (ア)「 【0075】 図1には、本発明に係る発券システムの概念的な構成を示す図である。 【0076】 パーソナルコンピュータ(以下、PCという)、インターネット接続用端末、インターネットテレビ、ネットPC等を利用したユーザ装置2と、券を発行する券発行装置を備える発券センタ102とは、通信回線により接続されている。」 (イ)「 【0079】 券の購入者である、いわゆるユーザーは、ユーザー装置2を使用して、所望の券の発券要求情報を、発券センタ102の券発行装置に対して送信する。これにより、発券センタ102の券発行装置では、ユーザーの発券要求情報に応じたデータを検索する。そして、券発行装置は、所望のデータを検索したならば、そのデータを券情報としてユーザー装置に送信する。このとき、券情報と共に、その券に対応するユーザーコード情報も送信する。また、発券センタ102からは、具体的には後述するように、ユーザーに対して券情報に応じた金額を課金する。」 (ウ)「 【0082】 券使用場所104では、券使用装置に接続される複数の情報読み取り装置106を備えている。例えば、券情報及びユーザーコード情報の少なくとも一方がバーコード情報として印刷されているならば、情報読み取り装置106としてはバーコードリーダー装置を用いることが可能である。券使用場所104では、情報読み取り装置106により、紙に印刷された券情報及びユーザーコード情報の少なくとも一方を読み取って、その券110が有効であるか否かを判別する。これにより、ユーザーが持参した券110が有効であると判別されるならば、ユーザーは、その券110を真の券として使用することができる。 【0083】 もちろん、券使用場所104では、ユーザーが券情報またはユーザーコード情報を記憶していたり、またはそれらが印刷してある部分を確認しながら、キーボード、マウス、操作パネル等の入力機器を使用して、券使用装置3へ券情報またはユーザーコード情報を入力するようにしてもよい。さらに、この入力機器の利用と前述のスキャナ装置、バーコードリーダー装置等を組み合わせて利用する形態であってもよい。また、券情報またはユーザーコード情報が携帯型記録媒体に記録された情報である場合は、その媒体に記憶された情報を取り出すための媒体ドライブ装置等の情報読み取り装置、またはそれが小型電子機器であれば接続ケーブル、光もしくは無線通信機器等を用いることが可能であるとともに、前述の幾つかの読み取り装置と組み合わせて利用する形態であってもよい。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 【0085】 また、発券センタ102の券発行装置からユーザー装置2に送信される券情報は、紙に印刷する他に、フロッピーディスク、メモリカード、ICカード等の携帯可能な携帯型記録媒体に記録することも可能である。尚、詳細には後述するユーザーコード情報を券情報と共に印刷又は記録したり、ユーザーコード情報のみを印刷又は記録したりしてもよい。 【0086】 このときには、使用場所104の券使用装置として、ユーザーが持参する携帯型記録媒体の情報を読み出すことが可能なコンピュータ装置等を備え、この携帯型記録媒体に記録された券情報及びユーザーコード情報を読み出すようにする。」 (エ)「 【0094】 ここで、データ処理部11の概略的な構成を図3に示す。 【0095】 このデータ処理部11は、モデム12により受信した情報を判別する情報判別部200と、モデム12により受信した情報が、情報判別部200により発券要求情報であると判別されたときに、前記発券要求情報に応じた券情報を検索する券情報検索部204と、券情報検索部204により検索された前記券情報に対応するユーザーコード情報を作成するユーザーコード情報作成部206とを備え、モデム12により前記券情報検索部204から出力される券情報及び前記ユーザーコード情報作成部206から出力されるユーザーコード情報をユーザー装置2に送信する。 【0096】 券情報検索部204には、発行するための複数種類の券情報を記憶する券情報記憶部205が接続され、また、ユーザーコード情報作成部206には、複数のユーザーのユーザー情報を記憶するユーザー情報記憶部207が接続される。ユーザー情報は、ユーザーの名前、住所、券の代金の支払いに利用する銀行の口座番号やクレジットカード番号等を含む情報である。 【0097】 また、データ処理部11は、情報判別部200により、モデム12で受信した情報が発券要求情報であると判別されたときに、前記発券要求情報が有効であるか否かを判別する発券要求情報判別部201をさらに有し、発券要求情報判別部201により発券要求情報は有効であると判別されたときに、券情報検索部204により発券要求情報に応じた券情報の検索を開始する。 【0098】 さらに、発券要求情報判別部201により発券要求情報は有効であると判別されたときには、モデム12により受信して情報判別部200により判別された第1の課金用識別情報と、予め記憶する第2の課金用識別情報とを比較する課金用識別情報比較部202と、課金用識別情報比較部202からの比較結果が有効であるならば、前記ユーザー情報及び課金するユーザーを特定する課金用識別情報のうちの少なくともいずれか一方に応じた金額を課金する課金部208とを有している。 【0099】 情報判別部200には、モデム12、13により受信された情報が入力され、この入力情報が何の情報であるのかを判別する。入力情報が発券要求情報であると判別されたときには、この発券要求情報は、発券要求情報判別部201、券情報検索部204及び課金部208に送られる。また、入力情報がユーザー識別情報であると判別されたときには、このユーザー識別情報はユーザーコード情報作成部206に送られる。また、入力情報が課金用識別情報であると判別されたときには、この課金用識別情報は、課金用識別情報比較部202及び課金部208に送られる。 【0100】 発券要求情報判別部201は、送られた発券要求情報が有効であるか否か、具体的には、発券要求情報により要求される券情報の検索を行うことが可能であるか否かを判別する。そして、発券要求情報判別部201は、判別結果を、課金用識別情報比較部202、券情報検索部204及びユーザーコード情報作成部206に送る。 【0101】 課金用識別情報比較部202には、複数のユーザーの課金用識別情報を記憶する課金用識別情報記憶部203が接続される。この課金用識別情報記憶部203には、複数のユーザーの課金用識別情報が記憶されている。例えば、課金用識別情報比較部202に入力される課金用識別情報を第1の課金用識別情報とし、課金用識別情報記憶部203に記憶している課金用識別情報を第2の課金用識別情報とした場合に、課金用識別情報比較部202は、発券要求情報が有効であることを示す判別結果が入力されたときに、第1の課金用識別情報と第2の課金用識別情報とを比較し、この比較結果を券情報検索部204及び課金部208に送る。 【0102】 券情報検索部204は、発券要求情報判別部201から送られた判別結果が発券可能であることを示すときには、発券要求情報の内容に基づいて、券情報記憶部205に記憶される券情報から適合する券情報を検索し、出力する 尚、券情報検索部204は、課金用識別情報比較部202からの比較結果を用いて券情報の検索を開始するようにしてもよい。この場合には、券情報検索部204は、課金用識別情報比較部202から送られた比較結果が課金可能であることを示すときに、発券要求情報の内容に基づいて、券情報記憶部205に記憶される券情報から適合する券情報を検索する。 【0103】 また、ユーザーコード情報作成部206には、情報判別部200において判別されたユーザー識別情報が送られている。ユーザーコード情報作成部206は、発券要求情報判別部201から送られた判別結果が発券可能であることを示すときには、ユーザー情報記憶部207に記憶されるユーザー情報から、送信されるユーザー識別情報に対応するユーザー情報を読み出し、このユーザー情報を用いてユーザーコード情報を作成する。 【0104】 課金部208は、課金用識別情報比較部202から送られた比較結果が課金可能であることを示すときに、発券要求情報に基づく券の代金を、課金用識別情報を用いて課金する。具体的には、後述するように、課金用識別情報に含まれる銀行口座番号やクレジットカード番号等に基づく銀行等に対して券の代金の支払いを要求する。また、課金処理を行うときには、課金用識別情報の代わりに、ユーザー情報記憶部207に記憶されるユーザー情報を用いて、課金を行ってもよい。具体的には、ユーザー情報記憶部207に記憶される複数のユーザー情報から、発券要求情報に含まれるユーザー識別情報に対応するユーザー情報を読み出し、このユーザー情報に含まれる銀行口座番号やクレジットカード番号に基づいて、課金を行う。」 (オ)「 【0109】 券使用装置3は、高速回線網4を介して券発行装置1と接続され、データを送受信するモデム32と、モデム32から送られる情報等を処理するデータ処理部31と、ユーザー装置1のプリンタ装置25で紙に印刷された券情報及びユーザーコード情報の少なくとも一方を読み取って入力する情報入力手段であるスキャナ装置34と、データ処理部31で処理された情報等を表示する表示部33とを備える。 【0110】 券使用装置3のスキャナ装置34は、ユーザーが持参した券の情報、即ち紙に印刷された券情報及びユーザーコード情報の少なくとも一方を読み込む。この読み込まれた券情報及びユーザーコード情報は、データ処理部31に送られる。」 (カ)「 【0121】 尚、上述したように、ユーザーコード情報の照合動作は券使用装置3のデータ処理部31で行っているが、券情報判別部302は、情報入力手段により入力した前記第1のユーザーコード情報を前記データ送受信手段により外部へ送信した後に、外部へ送信した前記第1のユーザーコード情報と外部に予め記憶されている第2のユーザーコード情報との照合結果を、前記データ送受信手段を介して外部から受信することによって、前記券情報の有効性を判別するものとし、ユーザコード情報の照合動作を、券発行装置1のデータ処理部11で行うことも可能である。 【0122】 具体的には、券使用装置3は、スキャナ装置34等から読み込まれたユーザーコード情報をデータ処理部31の処理によりモデム32から券発行装置1に送信する。 【0123】 券発行装置1に送信されたユーザーコード情報は、券発行装置1のモデム13から、図3に示すデータ処理部11の情報判別部200で判別され、ユーザーコード情報照合部210に送られる。一方、ユーザーコード情報照合部210には、ユーザーコード情報作成部206から送られるユーザーコード情報が送られている。ユーザーコード情報作成部206からのユーザーコード情報を第2のユーザーコード情報とし、また、券使用装置3から券発行装置1に送信されたユーザーコード情報を第1のユーザーコード情報とすると、ユーザーコード情報照合部210は、第1のユーザーコード情報と第2のユーザーコード情報とを照合する。この照合結果は、モデム13から高速回線網4を介して券使用装置3に送信される。 【0124】 券使用装置3は、送信された照合結果をモデム32で受信し、券情報判別部302に送る。 【0125】 券情報判別部302は、送られた照合結果に基づいて、券情報が有効であるか否かを判別する。この時、券情報が有効であるか否かの判別は、前述のように券使用装置3の券情報判別部302で行う方法以外にも、券発行装置1のユーザーコード情報照合部210でその判別を行い、その結果としての有効である、または有効でない、という情報が、券使用装置3の券情報判別部302に送られる構成でもよい。」 (キ)「 【0139】 この課金用識別情報としては、例えば、ユーザーが利用している銀行の口座番号やクレジットカード番号を用いることができる。尚、クレジットカード番号を用いることにより、ユーザーは簡易に券の代金を支払うことができる。」 (ク)「 【0172】 尚、ユーザーは、例えば会員として登録し、券発行装置1に対してクレジットカード番号を知らせておくことにより、発券要求情報を送信する度に、券発行装置1に対してクレジットカード番号を送信することなく、券の予約をすることができる。」 (5-3)ユーザーコード情報生成の条件 甲第1号証の発明において、ユーザーコード情報生成の条件となるのは、課金可能となるための課金用識別情報がデータベースに格納されているか否かのチェックである。これに対し、本件発明1では、バーコード生成の条件となるのは、被認証者の発信者番号が顧客データベースに格納されているか否かである。請求人は、発券要求信号に「ファックス番号」が含まれ、ユーザコード情報がファクシミリに送信されていることから、「ファックス番号」が発信者番号に相当するとしているが、発券要求情報に含まれる「ファックス番号」は券情報の送り先となるものであり、ユーザーコード情報を生成するか否かのために、この「ファックス番号」がデータベースに記録されているかどうかを検索しているわけではない。また、甲第1号証の発明では、検索する目的が課金の可能性を探るためであり、そのため検索すべきは課金用識別情報である。従って、この目的からして課金用識別情報を発信者番号や発信者番号に相当するファックス番号に置き換えることを容易に為し得るということはできない。 また、甲第2号証には、携帯電話の発信者番号をバーコード生成の条件に使うことに関し、何らの記載も示唆もない。 (5-4)小括 以上のとおりであるから、本件発明1に係る他の構成については検討するまでもなく、本件発明1が甲第1号証及び甲第2号証から容易に発明をすることができたものとすることはできない。 更に、本件発明2-6は、携帯電話の発信者番号をバーコード生成の条件に使うことを発明特定事項として含んでおり、上記と同様に理由で、甲第1号証及び甲第2号証から容易に発明をすることができたものとすることはできない。 (5-5)本件発明7について 次に本件発明7が甲第1号証及び甲第2号証から容易に発明をすることができたものかどうか検討する。 (5-6)引用発明 甲第1号証には、上記記載事項(ア)-(ク)からみて、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。 紙に券情報と共に印刷されたユーザーコード情報を使用した認証方法であって、 券発行装置が、ユーザーによって提示され、且つ券使用装置のバーコードリーダー装置で読み取られて該券使用装置から通信回線を通じて送信されてきた前記ユーザーコード情報を受信するステップと、 前記券発行装置が、該受信したユーザーコード情報が、前記ユーザーからの発券要求情報に応じてユーザーに対して通信回線を通じて送信されたユーザーコード情報と、一致するか否かを照合するステップと、 前記券発行装置が、受信したユーザーコード情報が送信されたバーコードと一致したときに、当該ユーザーコード情報が付された券情報を有効とする判別結果を券使用装置に通信回線を通じて送信するステップと を備えている認証方法。 (5-7)対比 引用発明1においては、券情報に基づいてサービスを提供する者がおり、ユーザーはサービスを提供する者の「顧客」であり、「被認証者」である。また、サービスを提供する者は「認証要求者」であり、券使用装置は「認証要求者」のものである。 引用発明1の「券発行装置」「バーコードリーダー装置」「被認証者に固有のバーコード」は、それぞれ、本件発明7の「認証装置」「バーコード読み取り装置」「ユーザーコード情報」に相当する。 本件発明7において、バーコードの送信とバーコードデータベースへの記録が、バーコードの付与の要求に応じている点について、上記2.(2)で検討したように引用発明1の「発券要求信号」の場合と格別差異があるわけではない。 引用発明1の「ユーザーコード情報が付された券情報を有効とする判別結果」と本件発明7の「バーコードを提示した被認証者を認証する旨の信号」は、認証対象を認証する旨の通知である点で一致している。 本件発明7の「携帯電話」と引用発明1の「券」とは、バーコードを認証するために提示するための媒体である点で一致している。 従って、引用発明1と本件発明7とは、次の点で相違するがその余の点では一致している。 (相異点1) バーコードが、本件発明7では携帯電話に表示されるものであるのに対し、引用発明1では紙に印刷されているものである点 (相異点2) 一致するか否かの判定に用いるバーコードが、本件発明7ではバーコードデータベースに記憶されたバーコードであるのに対し、引用発明1ではデータベースに記憶されたものかどうか定かでない点 (相異点3) 認証対象が、本件発明7ではバーコードを提示した被認証者であるのに対し、引用発明1では券情報である点 (5-8)相異点についての検討 相異点1について 甲第1号証には、ユーザーに送信された券情報は紙に印刷して券使用装置で使用される形態の他に、フローピーディスク、メモリカード、ICカード等の携帯型記録媒体に電子的に記録し、記録媒体に応じた入力手段で券使用装置に券情報を入力する形態も示されている(例えば、【0083】-【0085】段落)。そして、甲第2号証には、認証に用いるバーコードを記憶しておき、表示させてバーコードリーダーに読み取らせる携帯電話が記載されているから、甲第1号証の携帯型記録媒体として甲第2号証に記載された携帯電話を用いることは当業者が容易に為し得ることである。 相異点2について 甲第1号証には、一致するか否かの判定を券使用装置で行う態様が示されており、この態様では照合に用いる第2のユーザーコード情報は券使用装置の記録手段に予め記録されたものである。また、甲第1号証の【0121】-【0123】段落には、別の態様として照合に用いる第2のユーザーコード情報を外部に予め記録しておき、外部で照合するものが示されている。そして、その具体例として券使用装置はユーザーコード情報を券発行装置に送信し、券発行装置で照合する例が記載されている。これらの記載からみて、第2のユーザーコード情報を券発行装置の記憶手段に記録しておき、この第2のユーザーコード情報を照合に用いるようにすることはごく自然に想到されることであり、また、記憶手段としてデータベースは通常のものに過ぎないから、この相異点は格別のものではない。 相異点3について 引用発明1において、券を提示する者は、確認を受けようとしてそのような行動しているのであるから、「被認証者」とみることができる。 特に、本件発明7における「被認証者」は、バーコードを提示した者であり、それ以上の関係(例えば、所有関係)は限定されないから、この相異点は格別のものではない。 (5-9)小括 従って、本件発明7は、甲第1号証および甲第2号証に基づいて容易に発明をすることができたものである。 (5-10)むすび 以上のとおりであるから、請求項1-6に係る発明は甲第1号証及び甲第2号証から容易に発明をすることができたものとすることはできない。よって、請求項1-6に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、特許法第123条第1項第2号により、無効とすべきものではない。 請求項7に係る発明は、甲第1号証および甲第2号証に基づいて容易に発明をすることができたものである。よって、請求項7に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 3.無効理由2 (1)甲第2号証の記載事項 甲第2号証の29頁には、次の記載がある。 「携帯電話の購入者に個人を識別するためのバーコードを与え、来店時に携帯電話の画面にバーコードを呼び出してもらう。それを店員がバーコードリーダーで読めば、現金やカードを使わずに決済ができる仕組みだ。」 (2)甲第3号証の記載事項 甲第3号証には、以下の事項が図面と共に記載されている。 (ア)「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は認証システム及び認証装置に係り、特にローカルエリアネットワーク(LAN)サービスの提供を正規の利用者に対してのみ許可する認証システム及び認証装置に関する。」 (イ)「 【0012】 【発明の実施の形態】 次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。図1は本発明になる認証システムの一実施の形態のブロック図を示す。同図において、利用者のパーソナルハンディホンシステム(PHS)端末1と、利用者のパーソナルコンピュータ(PC)2と、PHS端末1とPHS公衆回線を介して接続される認証装置3と、利用者PC2と認証装置3に接続されたリモート接続装置4と、リモート接続装置4が提供するネットワークサービス5とからなる。リモートLAN接続側の構成は、認証装置3、リモート接続装置4及びネットワーク5からなる。 【0013】 認証装置3は利用者の正当性を確認する装置であり、利用者における「利用者パスワード要求/通知機能」の管理と、利用者からの接続要求に対し「一時的なパスワード」の発行と、「一時的なパスワード」を利用者パスワード要求/通知機能を持つ利用者PHS端末1と、リモート接続機能を持つリモート接続装置4への通知とを実行する。 【0014】 リモート接続装置4は、認証装置3から発行された「一時的なパスワード」を基に、利用者接続用計算機システムである利用者PC2からの接続要求を受け付け、認証装置3に対して正規ユーザか問い合わせ利用者のリモート接続を行う。利用者PHS端末1は、利用者パスワード要求/通知機能を有する一般市販の簡易型携帯電話機であり、利用者が認証装置3に対して「一時的なパスワード」を要求し、正しく認証されれば、認証装置から「一時的なパスワード」が通知される。「一時的なパスワード」は予め定められた特定のものではなく、要求の都度適宜設定されるパスワードである。 【0015】 利用者接続用計算機システムである利用者PC2は、認証装置から利用者PHS端末1に通知された「一時的なパスワード」に基づいて、リモート接続装置4に対して接続を行う。ネットワークサービス5は各利用者がサービスを受けるネットワークの資源である。 【0016】 次に、この実施の形態の動作について図2のフローチャートを併せ参照して説明する。まず、認証装置3に利用者のPHS端末1のPHS番号、認証装置パスワード及びリモート接続IDを登録する(ステップ11)。続いて、認証装置パスワード及びリモート接続IDをあらかじめ利用者に通知する(ステップ12)。続いて、利用者は利用者PHS端末1から認証装置3に対して電話(TEL)をかける(ステップ13)。電話をかける方法は、例えば「認証装置電話番号#認証装置パスワード」の数字列である。例えば0238211234#ABCDである。 【0017】 次に、認証装置3は利用者PHS端末1からの電話を受け、利用者PHS番号と認証装置パスワードを確認し(ステップ14)、それらの値がステップ11での登録情報と一致しているかどうか判断し、一致していれば利用者PHS端末1に対し、「これからパスワードを発行します。電源を切ってお待ち下さい。」等の音声メッセージで答える(ステップ15)。なお、音声メッセージ以外の文字メッセージその他の方法も可能である。 【0018】 次に、利用者は上記の音声メッセージに従い、利用者PHS端末1の電源をオフにする(ステップ16)。続いて、認証装置3は、利用者PHS端末1に対し、「一時的なパスワード」を発行し、利用者PHS端末1に文字メッセージで通知する(ステップ17)。この場合、きゃらめーる等のサービスを利用する。一時的なパスワードは、例えばVWXYZとする。 【0019】 上記の一時的なパスワード「VWXYZ」が利用者のPHS端末1に通知されると(ステップ18)、利用者はリモート接続装置4に対してネットワーク接続要求を行う(ステップ19)。すなわち、利用者PC2を使用してリモート接続装置4に対してダイヤルアップを行う。この場合、IDはステップ11で入手したID、パスワードはステップ18で入手した「一時的なパスワード」を使用する。例えば、IDは「SUZUKI」であり、一時的なパスワードは「VWXYZ」である。 【0020】 続いて、リモート接続装置4は利用者PC2から接続要求を受けると(ステップ20)、認証装置3に対してユーザID及びパスワードが正しいかどうか問い合わせる(ステップ21)。すると、認証装置3はリモート接続装置4からの問い合わせに対して利用者に発行した情報と一致するか判断する(ステップ22)。上記のステップ22で認証装置3が一致しているとの判断をした場合、その判断結果をリモート接続装置4に通知し、これによりリモート接続装置4はネットワークサービス5の利用を利用者に対して許可し、利用者PC2とネットワークサービス5との接続を行う(ステップ23)。 【0021】 これにより、利用者PC2からネットワークサービス5の資源が利用可能となる(ステップ24)。なお、認証装置3がステップ22で不一致の判断結果を得た場合、リモート接続装置4はその判断結果を受け、利用者に対するネットワークサービス5の提供を拒否する。」 以上の記載より、甲第3号証には以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている。 一時パスワードを使用した認証方法であって、 認証装置が、利用者PHS番号を利用者PHS端末からPHS公衆回線を通じて受信するステップと、 前記認証装置が、利用者PHS番号が登録情報と一致しているかどうかを判断するステップと、 前記認証装置が、利用者PHS番号が登録情報と一致していたときに、一時的なパスワードを生成するステップと、 前記認証装置が、該一時的なパスワードを前記利用者PHS番号の利用者PHS端末にPHS公衆回線を通じて通知するステップと、 前記認証装置が、利用者によって利用者PCを使用して提示された一時的パスワードとユーザIDを受け取ったリモート接続装置から問い合わせを受けるステップと、 前記認証装置が、前記リモート接続装置からの問い合わせに対して一時的パスワードとユーザIDが登録されている否かを判断するステップと、 前記認証装置が、前記問い合わせに対して一時パスワードとユーザIDが登録されていると判断したときに、その判断結果をリモード接続装置に通知するステップと、を備えている、 認証方法。 (3)甲第4号証の記載事項 甲第4号証には次の事項が図面と共に記載されている。 (ア)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 書込および消去が可能な表示体と、 外部ホスト装置から送信される画像情報に基づいて、表示体上に静止画を形成するための記録手段と、 装置の使用が許可された使用者の識別情報を登録する識別情報登録手段と、 外部ホスト装置から画像情報に付随して送信される送信者の識別情報を検出する送信者識別情報検出手段とを備え、 送信者識別情報検出手段によって検出された送信者識別情報と識別情報登録手段に登録された登録識別情報とを比較して、両者が一致しない場合に画像情報の受信または静止画表示を停止することを特徴とする電子式情報表示装置。」 (イ)「 【0009】 本発明の目的は、第三者の使用を確実に制限し、正当な使用者からのアクセスだけを許可して、信頼ある画像表示を実現できる電子式情報表示装置を提供することである。」 (ウ)「 【0012】 また本発明は、送信者識別情報が文字、記号、図形またはバーコード形式で記録されていることを特徴とする。 本発明に従えば、送信者識別情報が文字、記号、図形またはバーコード形式で記録されることによって、送信者識別情報検出手段は送信者識別情報を確実に識別することができる。送信者識別情報が文字、記号、図形である場合には、たとえば公知の文字認識プログラムを利用できる。また、送信者識別情報がバーコード形式である場合には、公知のバーコード読取りプログラムを利用できる。」 以上の記載より、甲第4号証には、 外部のホスト装置から送信される画像情報に基づいて画像を表示する電子式情報表示装置において、正当な使用者からの画像情報だけを表示するために画像情報に付随している送信者識別情報を用いるものであって、送信者識別情報が文字、記号、図形またはバーコード形式となっているもの が記載されている。 (4)対比 本件発明1と引用発明2とを比較すると、 引用発明2は、利用者がネットワーク資源を利用する際に、利用者を認証する方法であり、利用者が認証されたときにリモート接続装置が接続を行い、ネットワーク資源を利用できるようにしている。従って、リモート接続装置が利用者PCをネットワークに接続するというのはネットワーク資源をサービスとして提供することである。そこで、引用発明2の「利用者」はネットワーク資源を利用する際に認証を受ける者であり、本件発明1の「被認証者」に相当する。 請求人は、平成17年12月16日付意見書において、「本件発明における「認証要求者」は、段落【0006】に記載で定義されているように「被認証者の身元、信用度などの確認を欲するもの」である」と述べている。引用発明2は、ネットワーク資源をサービスとして提供するシステムであるから、ネットワーク資源を提供する者が存在し、この者は利用者の認証を行っていることから、利用者の身元の確認を欲しているものということができる。 従って、引用発明2には、本件発明1の「認証要求者」に相当するネットワーク資源を提供する者が存在する。そして、引用発明2の「利用者」は、ネットワーク資源提供者のサービスを受ける者であるから、ネットワーク資源提供者の顧客でもある。 引用発明2の「認証装置」「PHS番号」「PHS端末」「PHS公衆回線」「判断結果」 は、それぞれ、本件発明1の「認証装置」「発信者番号」「携帯電話」「通信回線」「被認証者を認証する旨の信号」に相当する。 引用発明2では、利用者は一時的なパスワードの発行を受けるためにPHS端末を使って認証装置にPHS番号を通知しているので、本件発明の「発信者信号」に相当する信号を有している。 引用発明2の「一時的なパスワード」と、本件発明1において認証装置で生成される「バーコード」とは、認証装置で生成され被認証者の認証に用いられる第1の認証用コードである点で一致し、更に、引用発明2においてリモート接続装置に送られ、認証装置への問い合わせに使用される「一時的なパスワードとユーザID」と、本件発明1において認証要求者から認証装置に送信される「バーコード」とは、引用発明2の「一時的なパスワードとユーザID」は利用者を特定しサービスを提供するかどうかを決定するために利用者を認証しているのであるから、被認証者に固有の第2の認証コードである点で一致している。 引用発明2では、認証装置はリモート接続装置から問い合わせに対して一時的なパスワードとユーザIDが登録されているか否かを判断しているので、生成した一時的パスワード及びユーザIDは何らかの記憶手段に登録されていることになる。従って、引用発明2と本件発明1とは、認証用コード記憶手段を有している点で一致している。 本件発明1の「前記認証装置が、前記被認証者の顧客データが顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップ」については、第5.当審の判断 1.訂正請求について で検討したように、発信者番号が顧客データベースに記録されている否かを判定するステップと解するのが相当であるから、引用発明の「利用者PHS番号が登録情報と一致しているかどうかを判断するステップ」と同等のものである。 よって、本件発明1と引用発明2とは次の点で一致している。 認証用コードを使用した認証方法であって、 認証装置が、認証要求者の顧客である被認証者の発信者番号を含む認証コード要求信号を被認証者の携帯電話から通信回線を通じて受信するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の顧客データが顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の顧客データが前記顧客データベースに記録されていたときに、第1の認証用コードを生成するステップ、 前記認証装置が、該第1の認証用コードを前記被認証者の発信者番号の携帯電話に通信回線を通じて送信すると共に被認証者に固有の第2の認証用コードを認証用コード記憶手段に記憶するステップと、 前記認証装置が、被認証者によって提示され、送信されてきた第2の認証用コードを受信するステップと、 前記認証装置が、受信した第2の認証用コードが、前記認証用コード記憶手段に記録されている第2の認証用コードと一致するか否かを判定するステップと、 前記認証装置が、受信した第2の認証用コードが前記認証用コード記憶手段に記憶されていたときに、当該第2の認証用コードを提示した被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に通知するステップと、を備えている、 認証方法。 一方、本件発明1と引用発明2とは次の点で相違している。 (相異点1) 引用発明2では、第1の認証用コードが「一時的なパスワード」であり、第2の認証用コードが「一時的パスワードとユーザID」であり、第2の認証用コードが利用者PCに入力され、リモート接続装置に受け取られるものであるのに対し、本件発明1では第1の認証用コードと第2の認証用コードが共に「バーコード」であり、携帯電話に表示され、認証要求者のバーコード読み取り装置で読み取られるものである点、 (相異点2) 第1の認証用コードが、本件発明1では、「被認証者に固有」のものであるのに対し、引用発明2では固有のものとは言い切れない点 (相異点3) 認証用コード記憶手段が、本件発明ではデータベースであるのに対し、引用発明2では特に記憶手段の種類に言及されていない点 (相異点4) 認証装置が認証用コードの受信及び認証する旨の信号の通知を、本件発明1では通信回線を通じて行うものであるのに対し、引用発明2では、通信回線を通じて行うかどうか明記されていない点 (5)相異点についての検討 相異点1について 引用発明2の「一時的なパスワード」は、文字メッセージとして利用者PHS端末に表示されるものであるが、甲第4号証には識別情報として、文字、記号、またはバーコードのようなコード形式のものが示されており、第1の認証用コード又は第2の認証用コードとしてどのようなコードを用いるかは適宜決定すべきものである。 甲第2号証には、携帯電話を認証に用いる場合に、認証用コードとしてバーコードを表示するものが示されているから、認証用コードとしてバーコードを用いることは容易に為し得ることである。 そして、認証用コードとして、バーコードを用いた場合、入力装置としてバーコード読み取り装置を用いることもバーコードを用いたときの当然に帰結に過ぎない。 例えば、特開平10-69553号公報(甲第1号証)には、 「【0113】 すなわち、情報入力手段としては、ユーザーコード情報が、紙に記録された情報であるときは、スキャナ装置等のOCR装置、バーコードリーダー装置等の光学的読み取り装置を用いることが可能であり、ユーザーコード情報がユーザーの記憶による情報の場合及び前述の紙に記録された情報(数字、文字または記号で表記してある場合)である場合は、キーボード、マウス、操作パネル等の入力機器を用いることが可能であり、また、ユーザーコード情報が携帯型記録媒体に記録された情報である場合は、その媒体に記憶された情報を取り出すための媒体ドライブ装置等の情報読み取り装置、またはそれが小型電子機器であれば接続ケーブル、光もしくは無線通信機器等を用いることが可能である。」と記載されているように、(イ)紙に書かれた文字情報ならユーザがキーボート等の入力機器を用いたり、OCR装置を用いる手法、(ロ)紙に書かれたバーコードならバーコードリーダー装置を用いる手法、(ハ)携帯型記録媒体に記録された情報なら、媒体ドライブ装置等の情報読み取り装置を用いる手法が示されており、入力すべき情報の表示形態、情報の保持手段に応じて適宜な入力装置を用いることは当然に為されることである。 また、引用発明2ではリモート接続装置は認証要求者側に属するが、認証用コードを入力するために用いる利用者PCは利用者側に属するものである。しかしながら、認証のために使用する装置が被認証者側に属するか認証要求者側に属するかは構築するサービスの形態によって自ずと定まる程度のことである。例えば、店舗でクレジットサービスを受ける際には、クレジット番号等は店舗の装置に入力されるが、自宅でオンラインショッピングのサービスを受けるときには利用者のパソコンにクレジット番号等の入力を行いクレジット処理を行うことになる。従って、バーコードが認証要求者のバーコード読み取り装置で読み取られることは格別のことではない。 なお、引用発明2の「一時的パスワード」は、パスワードによるセキュリティ機能を強化するためにパスワードの変更を容易にしたものであり、通常のパスワードと本質的に変わるところはない。 相異点2について 引用発明2において、第2の認証用コードは被認証者に固有となっているのに対し、一時的なパスワード自身については、ユーザに固有とまでは言い切れないが、特開平11-338933号公報には、コンピュータ間で申込者を認証するためにパスワードを用いる技術が示されており、ここにおいてパスワードは申込者固有のものとされている。従って、引用発明2において認証のために用いる一時的なパスワードを被認証者に固有のものとすることは容易に想到し得ることである。 また仮に、一時的なパスワードを被認証者に固有のものとすることが容易に想到し得ないとしても、引用発明2において、利用者の認証に必要となるのはユーザIDと一時的なパスワードを組み合わせた情報であり、認証に必要となる一部の情報である一時的なパスワードを認証装置で作成し、利用者側でユーザIDと組み合わせて利用者を特定し認証できる情報としているのであるから、入力の合理性を考慮し、ユーザIDと一時的なパスワードを別のコード体系としたり別の装置で別個に作成するのではなく、ユーザIDと一時的なパスワードを一体として認証装置で作成することはごく自然に想到されることである。 相異点3について データベースは、共有されるデータの集合を記憶する手段とされるものであり、データの記憶手段として一般的なものであるから、認証用コードの記憶手段としてデータベースを用いることは格別のことではない。 相異点4について 引用発明2では、リモート接続装置が認証装置に問い合わせを行い、認証装置は問い合わせに対する判断結果を返しており、両装置間で信号のやり取りを行っている。装置間の信号のやり取りを通信回線を通じて行う形態は通常のものであるから、この点を格別の相違ということはできない。 (6)むすび 以上のとおり、本件発明1は、甲第2,3,4号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。 本件発明2-7は、本件発明1の発明特定事項の一部を発明特定事項とするものであるから、本件発明1におけると同様の理由により容易に発明をすることができたものである。 第6.むすび 以上のとおり、請求項1-7に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 審判に関する費用については、特許法第169条の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人の負担とする。 よって、結論のとおり審決する。 平成18年 3月22日 審判長 特許庁審判官 吉岡 浩 特許庁審判官 堀江 義隆 特許庁審判官 林 毅 」 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 認証方法および装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 携帯電話に表示されるバーコードを使用した認証方法であって、 認証装置が、認証要求者の顧客である被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を被認証者の携帯電話から通信回線を通して受信するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の発信者番号が顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の発信者番号が前記顧客データベースに記録されていたときに、前記被認証者に固有のバーコードを生成するステップと、 前記認証装置が、該バーコードを前記被認証者の発信者番号の携帯電話に通信回線を通して送信すると共に、該バーコードをバーコードデータベースに記憶させるステップと、 前記認証装置が、被認証者によって携帯電話に表示されて提示され、且つ認証を求める認証要求者のバーコード読み取り装置で読み取られて認証を求める認証要求者から通信回線を通して送信されてきたバーコードを受信するステップと、 前記認証装置が、該受信したバーコードが、前記バーコードデータベースに記憶されているバーコードと一致するか否かを判定するステップと、 前記認証装置が、受信したバーコードが前記バーコードデータベースに記憶されていたときに、当該バーコードを携帯電話により提示した被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に通信回線を通して送信するステップと、を備えている、 認証方法。 【請求項2】 前記発信者番号が、被認証者の携帯電話番号である、 請求項1に記載の認証方法。 【請求項3】 認証要求者の顧客である被認証者に付与されると共に記憶される前記被認証者に固有の認証用バーコードであって、前記被認証者が携帯電話に表示することによって前記認証要求者に提示され、前記提示された認証用バーコードが記憶されていたとき前記被認証者が認証される、携帯電話に表示される認証用バーコードを被認証者に付与するバーコード付与方法であって、 認証装置が、前記被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を、被認証者の携帯電話から通信回線を通して受信するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の発信者番号が顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の発信者番号が前記顧客データベースに記録されていたときに前記被認証者に固有のバーコードを生成するステップと、 前記認証装置が、該バーコードを前記被認証者の携帯電話に通信回線を通して送信すると共に、該バーコードをバーコードデータベースに記憶するステップと、を備えている、 バーコード付与方法。 【請求項4】 前記発信者番号が、被認証者の携帯電話番号である、 請求項3に記載のバーコード付与方法。 【請求項5】 認証要求者の顧客である被認証者に付与されると共に記憶される前記被認証者に固有の認証用バーコードであって、前記付与された認証用バーコードを前記被認証者が携帯電話に表示することによって前記認証要求者に提示され、前記提示された認証用バーコードが記憶されていたときには前記被認証者が認証される携帯電話に表示される認証用バーコードを、通信回線を利用して被認証者に付与するバーコード付与方法であって、 認証装置が、前記被認証者の携帯電話からのバーコード要求信号を通信回線を通して受信するステップと、 前記認証装置が、前記バーコード要求信号に含まれる前記被認証者の顧客データが所定の顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップと、 前記認証装置が、前記バーコード要求信号に含まれる前記被認証者の顧客データが前記顧客データベースに記録されていたときには前記被認証者に固有のバーコードを生成するステップと、 前記認証装置が、前記バーコードを、前記被認証者の携帯電話に通信回線を通じて送ると共に、バーコードデータベースに記録するステップとを有する、バーコード付与方法。 【請求項6】 携帯電話に表示されるバーコードを使用した認証装置であって、 認証要求者の顧客である被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を被認証者の携帯電話から通信回線を通して受信する受信装置と、 所定の個人データが記録された顧客データベースと、 前記被認証者の発信者番号が前記顧客データベースに記録されているか否かを判定し、前記被認証者の発信者番号が前記顧客データベースに記録されていたときに前記被認証者に固有のバーコードを生成するバーコード生成手段と、 バーコード生成手段が生成したバーコードを記録するバーコードデータベースと、 該バーコードを前記被認証者に通信回線を通して送信すると共に、該バーコードを前記バーコードデータベースに記憶させるバーコード伝送手段と、 前記被認証者によって提示され認証要求者のバーコードリーダーで読み取られ認証要求者から認証を求めて通信回線を通して送信されてきたバーコードを受信し、受信したバーコードが、前記バーコードデータベースに記憶されているバーコードと一致するか否かを判定し、受信したバーコードが、前記バーコードデータベースに記憶されていたとき、当該バーコードを提示した被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に通信回線を通して送信するバーコード照合手段と、 を備えている認証装置。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は認証方法に関し、より詳細には、バーコード等を利用した認証方法等に関する。 【0002】 【従来の技術】 個人の身元確認等の認証は、印鑑、付与されたパスワード、カードに設けられたエンボスまたは磁気テープ等を照合することによって行われていた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 これに対し、本発明は、従来とは全く異なった方式で個人の身元確認等の認証を行うことができる認証方法等を提供することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】 本件出願によれば、携帯電話に表示されるバーコードを使用した認証方法であって、認証装置が、認証要求者の顧客である被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を被認証者の携帯電話から通信回線を通して受信するステップと、前記認証装置が、前記被認証者の発信者番号が顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップと、前記認証装置が、前記被認証者の発信者番号が前記顧客データベースに記録されていたときに、前記被認証者に固有のバーコードを生成するステップと、前記認証装置が、該バーコードを前記被認証者の発信者番号の携帯電話に通信回線を通して送信すると共に、該バーコードをバーコードデータベースに記憶させるステップと、前記認証装置が、被認証者によって携帯電話に表示されて提示され、且つ認証を求める認証要求者のバーコード読み取り装置で読み取られて認証を求める認証要求者から通信回線を通して送信されてきたバーコードを受信するステップと、前記認証装置が、該受信したバーコードが、前記バーコードデータベースに記憶されているバーコードと一致するか否かを判定するステップと、前記認証装置が、受信したバーコードが前記バーコードデータベースに記憶されていたときに、当該バーコードを携帯電話により提示した被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に通信回線を通して送信するステップと、を備えている認証方法が提供される。 【0005】 このような構成を備えた本発明によれば、データベースでの身元確認の後に、被認証者に付与されたバーコードが、被認証者を特定するための識別標識として用いられる。 【0006】 ここで、被認証者とは、認証により自らの身元、信用度等を明らかにすることを欲するものを指し、例えば、買い物をする顧客、クレジットカード使用者である。又、認証要求者とは、被認証者の身元、信用度などの確認を欲するものを指し、例えば、店舗、クレジットカード会社、銀行がある。又、本件出願において「バーコード」とは、図2に示されているような横方向に並べられた複数の縦線によるパターンである一般的なバーコードに限定されるものではなく、光学的に読み取り判別可能な他の識別標識をも含むものである。 【0007】 又、本発明の好ましい態様によれば、前記発信者番号が、被認証者の携帯電話番号である。 【0008】 又、本件出願によれば、認証要求者の顧客である被認証者に付与されると共に記憶される前記被認証者に固有の認証用バーコードであって、前記被認証者が携帯電話に表示することによって前記認証要求者に提示され、前記提示された認証用バーコードが記憶されていたとき前記被認証者が認証される、携帯電話に表示される認証用バーコードを被認証者に付与するバーコード付与方法であって、認証装置が、前記被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を、被認証者の携帯電話から通信回線を通して受信するステップと、前記認証装置が、前記被認証者の発信者番号が顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップと、前記認証装置が、前記被認証者の発信者番号が前記顧客データベースに記録されていたときに前記被認証者に固有のバーコードを生成するステップと、前記認証装置が、該バーコードを前記被認証者の携帯電話に通信回線を通して送信すると共に、該バーコードをバーコードデータベースに記憶するステップと、を備えている、バーコード付与方法が提供される。 【0009】 本発明の好ましい態様によれば、前記発信者番号が、被認証者の携帯電話番号である。 【0010】 又、本件出願によれば、認証要求者の顧客である被認証者に付与されると共に記憶される前記被認証者に固有の認証用バーコードであって、前記付与された認証用バーコードを前記被認証者が携帯電話に表示することによって前記認証要求者に提示され、前記提示された認証用バーコードが記憶されていたときには前記被認証者が認証される携帯電話に表示される認証用バーコードを、通信回線を利用して被認証者に付与するバーコード付与方法であって、認証装置が、前記被認証者の携帯電話からのバーコード要求信号を通信回線を通して受信するステップと、前記認証装置が、前記バーコード要求信号に含まれる前記被認証者の顧客データが所定の顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップと、前記認証装置が、前記バーコード要求信号に含まれる前記被認証者の顧客データが前記顧客データベースに記録されていたときには前記被認証者に固有のバーコードを生成するステップと、前記認証装置が、前記バーコードを、前記被認証者の携帯電話に通信回線を通じて送ると共に、バーコードデータベースに記録するステップとを有する、バーコード付与方法が提供される。 【0011】 さらに、本件出願によれば、携帯電話に表示されるバーコードを使用した認証装置であって、認証要求者の顧客である被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を被認証者の携帯電話から通信回線を通して受信する受信装置と、所定の個人データが記録された顧客データベースと、前記被認証者の発信者番号が前記顧客データベースに記録されているか否かを判定し、前記被認証者の発信者番号が前記顧客データベースに記録されていたときに前記被認証者に固有のバーコードを生成するバーコード生成手段と、バーコード生成手段が生成したバーコードを記録するバーコードデータベースと、該バーコードを前記被認証者に通信回線を通して送信すると共に、該バーコードを前記バーコードデータベースに記憶させるバーコード伝送手段と、前記被認証者によって提示され認証要求者のバーコードリーダーで読み取られ認証要求者から認証を求めて通信回線を通して送信されてきたバーコードを受信し、受信したバーコードが、前記バーコードデータベースに記憶されているバーコードと一致するか否かを判定し、受信したバーコードが、前記バーコードデータベースに記憶されていたとき、当該バーコードを提示した被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に通信回線を通して送信するバーコード照合手段と、を備えている認証装置が提供される。 【0012】 【発明の実施の形態】 次に、図面に沿って本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。 【0013】 図1は、本発明の実施形態である認証装置100を備えている認証システムを示すブロック図であり、図2は、バーコードの表示例を示す図面であり、図3は、この認証装置100が識別標識となるバーコードを付与する際の処理動作を示すフローチャートであり、図4は、この認証装置100がバーコードの判定を行って顧客の認証を行う際の処理動作を示すフローチャートである。 【0014】 まず、図1に沿って、認証装置100の構成を説明する。認証装置100は、顧客管理用サーバであり、被認証者である顧客から要求に応じてこの顧客に認証用(身元確認用)バーコードを付与するバーコード付与手段110を備えている。バーコード付与手段110は、顧客データベース(DB)112と、バーコード生成手段114と、バーコード伝送手段116とを備えている。 【0015】 顧客データベース(顧客DB)112には、登録済み顧客の氏名と、携帯電話番号とを含む顧客情報が収容されている。また、バーコード生成手段114は、バーコード送受信端末である顧客の携帯電話200の発信装置(バーコード要求手段)202から電話回線(通信回線)を通してバーコード要求信号を受け、このバーコード要求信号に含まれる当該顧客の発信者番号、即ち、携帯電話番号に基づいて顧客データベース112を検索し、当該発信者番号を発見した場合にはバーコード、詳細には、バーコードに対応する信号(バーコード信号)を生成するように構成されている。このバーコードは、当該顧客が特定の店舗300で使用するためのものであり、顧客および店舗に対して一意的に生成される。即ち、バーコードは、当該顧客が、特定の店舗でしか使用できない固有のバーコードとなる。 【0016】 さらに、バーコード伝送手段116は、バーコード生成手段114が生成したバーコード、詳細には、バーコード信号を顧客およびバーコードデータベース122に伝送するように構成されている。この顧客へのバーコードの伝送は、通信回線を介して、顧客の携帯電話200の受信装置(バーコード受信手段)204にバーコード、詳細には、バーコード信号を伝送することによって行われる。バーコード信号は、例えば、GIF形式、JPEG形式に圧縮した画像フォーマットとして伝送されるのが好ましい。 【0017】 この実施形態では、携帯電話200は、伝送されたバーコード信号を記憶し、これに対応したバーコード400を、その場であるいはその後の呼び出しに応じて、液晶表示画面などの表示部206に表示できるように構成されている(図2)。携帯電話の所有者である顧客は、この認証システムの加盟者(店舗等)で買い物等を行う際、付与されたバーコード400を携帯電話の表示部206に表示させ、このバーコード400と自らが所有する携帯電話の番号(発信者番号)との組み合わせを、身元を確認させる手段(ID)として使用する。尚、表示部206には、バーコード400に加えて、登録の有効期限402や他のメッセージ404等を表示させるて利便性を向上させてもよい。 【0018】 尚、バーコードデータベース122には、バーコード信号と共に、当該バーコードを付与された顧客の発信者番号(携帯電話番号)も伝送され、両者が組み合わせて(対応付けられて)収容されるように構成されている。 【0019】 認証装置100は、さらに、顧客が買い物等をした店舗から送られてきた顧客のバーコード、詳細には、バーコード信号等に基づいて、当該顧客に認証を付与する即ち顧客の身元確認を行うバーコード判定装置120を備えている。 【0020】 バーコード判定装置120は、バーコードデータベース122と、バーコード照合手段124とを備えている。上述したように、バーコードデータベース122には、バーコード伝送手段116から伝送されたバーコード、詳細には、バーコード信号が、このバーコードが付与された顧客の発信者番号(携帯電話番号)と組み合わせて記憶されている。 【0021】 また、バーコード照合手段124は、認証要求者である店舗300のバーコード読取り装置302で読みとられバーコード確認手段304から送られてきたバーコード信号と携帯電話番号との組み合わせを、バーコードデータベース122に記憶されているバーコード信号とこのバーコードが付与された顧客の発信者番号(携帯電話番号)と組み合わせと照合して、店舗300から送られてきたバーコード信号と携帯電話番号との組み合わせが、適正であるか否かを判定するように構成されている。 【0022】 詳細には、店舗300から通信回線を介して送られてきたバーコード信号と携帯電話番号との組み合わせと同一の組み合わせが、バーコードデータベース122中に存在しているときには、店舗300から送られてきたバーコード信号と携帯電話番号との組み合わせが適正、即ち、当該店舗で買い物等をした顧客(バーコード使用者)は、顧客データベース112に登録された適正な使用者であると判定するように構成されている。そして、バーコード照合手段124は、店舗300のバーコード確認手段304に、当該店舗で買い物等をした顧客(バーコード使用者)が、適正な使用者である旨の信号、又は、適正な使用者でない旨の信号を伝送するように構成されている。 【0023】 次に、図3に沿って、認証装置100が認証用のバーコードを付与する際の作動(認証付与方法)を説明する。図3において、「S」は、認証装置100が実行する各処理のステップを示している。 【0024】 まず、この認証装置100による認証用のバーコードの付与を求める顧客が、認証装置100に対して通信回線を介してバーコード要求信号を発する。この実施形態では、顧客が携帯電話200から認証装置100に対して、電話をかけることにより、バーコード要求信号が、認証装置100に伝送されるように構成されている。顧客の携帯電話200のバーコード要求手段(発信装置)202からのバーコード要求信号には、当該携帯電話200の発信者番号(携帯電話番号)を示す信号が含まれているので、認証装置100に設けられたバーコード付与手段110のバーコード生成手段114が、顧客からのバーコード要求信号を受信することにより、発信者番号を受信することになる(S1)。 【0025】 次に、認証装置100では、バーコード生成手段114が、受信した顧客の発信者番号が顧客データベース112内に存在しているか否かを判定する(S2)ことによって、バーコードの付与を求める顧客が会員登録済みの顧客であるか否かをチェックする。受信した顧客の発信者番号が顧客データベース112内に存在していない場合には、登録済み顧客ではないので、作動を終了する。このとき、登録済みでは無い旨の、または、登録を促すメッセージを顧客側に返送するように構成してもよい。 【0026】 受信した顧客の発信者番号が顧客データベース112内に存在していた場合には、バーコード生成手段114が、当該顧客の特定の店舗300用のバーコード信号を生成し、バーコード伝送手段116に出力する(S3)。バーコード伝送手段116は、バーコード信号を、通信回線を介して、顧客の携帯電話200の受信装置(バーコード受信手段)204に伝送するとともに、バーコード判定手段120のバーコードデータベース122にも送る(S4)。このとき、バーコードデータベース122には、バーコード信号と共に、当該バーコードを発行された顧客の発信者番号(携帯電話番号)も伝送され、両者が組み合わせとして記録される(S4)。 【0027】 この実施形態の認証システムでは、携帯電話200は、伝送されたバーコード信号を記憶し、これに対応したバーコード400を、その場であるいはその後の呼び出しに応じて、表示部206に表示できるように構成されているので、携帯電話200の所有者である顧客は、この認証システムの加盟者(店舗300等)で買い物等を行う際、受信した(付与された)バーコード400を携帯電話の表示部206に表示させ、このバーコード400と自らが所有する携帯電話200の番号(発信者番号)とを組み合わせて、身元を確認させる手段(ID)として使用することになる。 【0028】 次に、図4に沿って、認証装置100が付与されたバーコードに基づいて認証を行う際の作動(認証方法)を説明する。図4において、「S」は、認証装置100が実行する各処理のステップを示している。 【0029】 この認証装置100による認証を求める顧客は、この認証システムの加入店300で買い物をする際、上述のようにして予め取得したバーコード400を、自らの携帯電話200の表示部206に表示させ(図3)、店舗300側のバーコード読取装置302に読取らせてバーコード確認手段304に入力させる。さらに、顧客は、当該携帯電話200の番号(発信者番号)を、バーコード確認手段304に、例えば、これに接続されたキーボードなど(図示せず)を介して、入力する。このようにして店舗300側で入力されたバーコード400に対応するバーコード信号と発信者番号との組み合わせが、認証装置100に送られ、顧客の身元確認、即ち、認証に使用される。 【0030】 認証装置100のバーコード照合手段124は、店舗300のバーコード読取り装置302で読みとられ、バーコード確認手段304から送られてきたバーコード、詳細には、バーコード信号と発信者番号との組み合わせを受信する(S10)。このときもバーコード信号は、例えば、GIF形式、JPEG形式に圧縮した画像フォーマットとして伝送されるのが好ましいが、他の方法で伝送されてもよい。 【0031】 バーコード照合手段124は、バーコードデータベース122に記憶されているバーコード信号とこのバーコードが付与された顧客の発信者番号(携帯電話番号)と組み合わせを検索して、店舗300から送られてきたバーコード信号と携帯電話番号との組み合わせが、バーコードデータベース122に存在しているか否かを判定する(S12)。存在していない場合には、正当な使用ではないと判断し、当該顧客は認証されていない旨の信号を確認手段304に送信する(S14)。又、存在している場合には、正当な使用である判断し、当該顧客が認証されている旨の認証信号をバーコード確認手段304に送信することによって、当該顧客の認証を行う(S16)。 【0032】 この認証システムは、例えば、買い物額に応じてキャッシュバック等を行う会員サービスのための顧客認証や、レンタルビデオ店の会員認証などの顧客管理に利用できるが、認証が必要とされるの他の種々の用途にも利用できる。 【0033】 尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された事項の範囲に内で種々の変更、変形が可能である。例えば、上記認証システムでは、認証が行われる店舗300が1つである場合を例に本発明を説明したが、このような店舗は複数であってもよい。この場合には、バーコード要求信号に、どの店舗で用いるバーコードを認証付与を要求するかを示す信号を含めるのがよい。また、バーコード要求信号に応答して、例えば図5に示すような、このシステムで認証を受けることができる店舗の選択肢A106、B108、C410、D412、E414を表示する画面を、顧客の携帯電話200の表示部206に送り、顧客に選択をさせるようにしてもよい。 【0034】 また、上記実施形態では、顧客データベース112は、登録済みの顧客名簿であったが、認証システムの利用形態によっては、電話会社の全ての加入者を含むもの、即ち、電話帳をデータベース化したものであってもよい。 【0035】 また、上記実施形態では、バーコード送受信端末が単一の携帯電話200である場合を例にしたが、バーコード装置受信端末が、電話回線に接続されたパソコン等であってもよい。この場合、発信者信号は、パソコンが接続された固定電話の電話番号となる。さらに、この態様では、認証装置からダウンロードしたバーコード信号を、一旦、パソコンで受信し、バーコードを表示可能な表示部を備えた携帯電話または他の携帯端末に入力することになる。また、この態様においては、パソコンからのバーコード要求信号に、顧客が所有する携帯電話の電話番号を示す信号を含ませることにより、バーコード信号を顧客の所有する携帯電話で直接ダウンロードさせ、パソコンをバーコード要求手段として、携帯電話をバーコード受信手段として使用することもできる。 【0036】 また、上記実施形態は、バーコードと発信者番号(携帯電話番号)の組み合わせで本人確認を行い認証を行うように構成されているが、バーコード生成手段が生成したバーコード(バーコード信号)のみに基づいて、または、バーコード信号とパスワード等の他の暗号或いは信号とを組み合わせて、確認、認証を行うように構成してもよい。 【0037】 さらに、顧客データベース112に、顧客の信用情報も記憶させる等などしておき、バーコード照合手段が、店舗からの確認要請に応答して、バーコード等の照合を行う際にこの信用情報も併せて確認して店舗側に通知するように構成してもよい。このように構成すると、本発明の認証システムに、例えば、クレジットカードのような機能を持たせることもできる。 【0038】 さらに、上記実施形態では、店舗300が顧客に提示されたバーコードを認証装置100側に照会しているが、店舗300側に、バーコードデータベースと連動するデータベースを設けておく構成としてもよい。このような構成により、店舗300は、バーコードの照会を行うたびに、認証装置100との間で信号の送受信を行う必要がなく、自店舗内での照会が可能となる。 【0039】 更に、上記実施形態は、認証を求める顧客が携帯電話にバーコード表示し、これを店舗で読取らせるものであるが、認証を求める顧客(被認証者)が通信回線を使って、付与されたバーコード(バーコード信号)等を店舗(認証要求者)側に送り、店舗がバーコードとしてこれを読み取って、認証装置に対して照会を行う構成としてもよい。このような構成は、店舗が、銀行、クレジット会社等であり、これら銀行等で顧客が決済や発注を行う場合に対応できる。 【0040】 又、バーコード要求信号、および、バーコード信号等は、インターネットなどのネットワークを介して、伝送されるものであってもよい。 【0041】 【発明の効果】 以上のように、本発明によれば、従来とは全く異なった方式で個人の身元確認等の認証を行うことができる認証方法等が提供される。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の実施形態である認証装置を備えている認証システムを示すブロック図である。 【図2】バーコードの表示例を示す図面である。 【図3】認証装置が被認証者にバーコードを付与する際の処理動作を示すフローチャートである。 【図4】認証装置がバーコードの判定を行って被認証者を認証する際の処理動作を示すフローチャートである。 【図5】本発明の他の実施形態で用いる表示部の図である。 【符号の説明】 100:認証装置 110:バーコード付与手段 112:顧客データベース(DB) 114:バーコード生成手段 116:バーコード伝送手段 120:バーコード判定装置 122:バーコードデータベース 124:バーコード照合手段 200:バーコード送受信端末(携帯電話機) (参考)平成17年12月16日付け訂正請求書に添付した全文訂正明細書 【発明の名称】認証方法および装置 【特許請求の範囲】 【請求項1】 携帯電話に表示されるバーコードを使用した認証方法であって、 認証装置が、認証要求者の顧客である被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を被認証者の携帯電話から通信回線を通して受信するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の顧客データが顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の顧客データが前記顧客データベースに記録されていたときに、前記被認証者に固有のバーコードを生成するステップと、 前記認証装置が、該バーコードを前記被認証者の発信者番号の携帯電話に通信回線を通して送信すると共に、該バーコードをバーコードデータベースに記憶させるステップと、 前記認証装置が、被認証者によって携帯電話に表示されて提示され、且つ認証を求める認証要求者のバーコード読み取り装置で読み取られて認証を求める認証要求者から通信回線を通して送信されてきたバーコードを受信するステップと、 前記認証装置が、該受信したバーコードが、前記バーコードデータベースに記憶されているバーコードと一致するか否かを判定するステップと、 前記認証装置が、受信したバーコードが前記バーコードデータベースに記憶されていたときに、当該バーコードを携帯電話により提示した被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に通信回線を通して送信するステップと、を備えている、 認証方法。 【請求項2】 前記発信者番号が、被認証者の携帯電話番号である、 請求項1に記載の認証方法。 【請求項3】 認証要求者の顧客である被認証者に付与されると共に記憶される前記被認証者に固有の認証用バーコードであって、前記被認証者が携帯電話に表示することによって前記認証要求者に提示され、前記提示された認証用バーコードが記憶されていたとき前記被認証者が認証される、携帯電話に表示される認証用バーコードを被認証者に付与するバーコード付与方法であって、 認証装置が、前記被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を、被認証者の携帯電話から通信回線を通して受信するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の顧客データが顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の顧客データが前記顧客データベースに記録されていたときに前記被認証者に固有のバーコードを生成するステップと、 前記認証装置が、該バーコードを前記被認証者の携帯電話に通信回線を通して送信すると共に、該バーコードをバーコードデータベースに記憶するステップと、を備えている、 バーコード付与方法。 【請求項4】 前記発信者番号が、被認証者の携帯電話番号である、 請求項3に記載のバーコード付与方法。 【請求項5】 認証要求者の顧客である被認証者に付与されると共に記憶される前記被認証者に固有の認証用バーコードであって、前記付与された認証用バーコードを前記被認証者が携帯電話に表示することによって前記認証要求者に提示され、前記提示された認証用バーコードが記憶されていたときには前記被認証者が認証される携帯電話に表示される認証用バーコードを、通信回線を利用して被認証者に付与するバーコード付与方法であって、 認証装置が、前記被認証者の携帯電話からのバーコード要求信号を通信回線を通して受信するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の顧客データが所定の顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップと、 前記認証装置が、前記被認証者の顧客データが前記顧客データベースに記録されていたときには前記被認証者に固有のバーコードを生成するステップと、 前記認証装置が、前記バーコードを、前記被認証者の携帯電話に通信回線を通じて送ると共に、バーコードデータベースに記録するステップとを有する、バーコード付与方法。 【請求項6】 携帯電話に表示されるバーコードを使用した認証装置であって、 認証要求者の顧客である被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を被認証者の携帯電話から通信回線を通して受信する受信装置と、 所定の個人データが記録されたデータベースと、 前記被認証者の個人データが前記顧客データベースに記録されているか否かを判定し、前記被認証者の個人データが前記顧客データベースに記録されていたときに前記被認証者に固有のバーコードを生成するバーコード生成手段と、 バーコード生成手段が生成したバーコードを記録するバーコードデータベースと、 該バーコードを前記被認証者に通信回線を通して送信すると共に、該バーコードを前記バーコードデータベースに記憶させるバーコード伝送手段と、 前記被認証者によって提示され認証要求者のバーコードリーダーで読み取られ認証要求者から認証を求めて通信回線を通して送信されてきたバーコードを受信し、受信したバーコードが、前記バーコードデータベースに記憶されているバーコードと一致するか否かを判定し、受信したバーコードが、前記バーコードデータベースに記憶されていたとき、当該バーコードを提示した被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に通信回線を通して送信するバーコード照合手段と、 を備えている認証装置。 【請求項7】 携帯電話に表示されるバーコードを使用した認証方法であって、 認証装置が、認証要求者の顧客である被認証者によって携帯電話に表示されて提示され、且つ認証を求める認証要求者のバーコード読取り装置で読み取られて認証を求める認証要求者から通信回線を通して送信されてきた前記被認証者に固有のバーコードを受信するステップと、 前記認証装置が、該受信したバーコードが、前記被認証者からのバーコードの付与の要求に応じて被認証者に対して通信回線を通して送信され且つバーコードデータベースに記憶されたバーコードと、一致するか否かを判定するステップと、 前記認証装置が、受信したバーコードが前記バーコードデータベースに記憶されていたときに、当該バーコードを提示した被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に通信回線を通して送信するステップと、 を備えている認証方法。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は認証方法に関し、より詳細には、バーコード等を利用した認証方法等に関する。 【0002】 【従来の技術】 個人の身元確認等の認証は、印鑑、付与されたパスワード、カードに設けられたエンボスまたは磁気テープ等を照合することによって行われていた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 これに対し、本発明は、従来とは全く異なった方式で個人の身元確認等の認証を行うことができる認証方法等を提供することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】 本件出願によれば、携帯電話に表示されるバーコードを使用した認証方法であって、認証装置が、認証要求者の顧客である被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を被認証者の携帯電話から通信回線を通して受信するステップと、前記認証装置が、前記被認証者の顧客データが顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップと、前記認証装置が、前記被認証者の顧客データが前記顧客データベースに記録されていたときに、前記被認証者に固有のバーコードを生成するステップと、前記認証装置が、該バーコードを前記被認証者の発信者番号の携帯電話に通信回線を通して送信すると共に、該バーコードをバーコードデータベースに記憶させるステップと、前記認証装置が、被認証者によって携帯電話に表示されて提示され、且つ認証を求める認証要求者のバーコード読み取り装置で読み取られて認証を求める認証要求者から通信回線を通して送信されてきたバーコードを受信するステップと、前記認証装置が、該受信したバーコードが、前記バーコードデータベースに記憶されているバーコードと一致するか否かを判定するステップと、前記認証装置が、受信したバーコードが前記バーコードデータベースに記憶されていたときに、当該バーコードを携帯電話により提示した被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に通信回線を通して送信するステップと、を備えている認証方法が提供される。 【0005】 このような構成を備えた本発明によれば、データベースでの身元確認の後に、被認証者に付与されたバーコードが、被認証者を特定するための識別標識として用いられる。 【0006】 ここで、被認証者とは、認証により自らの身元、信用度等を明らかにすることを欲するものを指し、例えば、買い物をする顧客、クレジットカード使用者である。又、認証要求者とは、被認証者の身元、信用度などの確認を欲するものを指し、例えば、店舗、クレジットカード会社、銀行がある。又、本件出願において「バーコード」とは、図2に示されているような横方向に並べられた複数の縦線によるパターンである一般的なバーコードに限定されるものではなく、光学的に読み取り判別可能な他の識別標識をも含むものである。 【0007】 又、本発明の好ましい態様によれば、前記発信者番号が、被認証者の携帯電話番号である。 【0008】 又、本件出願によれば、認証要求者の顧客である被認証者に付与されると共に記憶される前記被認証者に固有の認証用バーコードであって、前記被認証者が携帯電話に表示することによって前記認証要求者に提示され、前記提示された認証用バーコードが記憶されていたとき前記被認証者が認証される、携帯電話に表示される認証用バーコードを被認証者に付与するバーコード付与方法であって、認証装置が、前記被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を、被認証者の携帯電話から通信回線を通して受信するステップと、前記認証装置が、前記被認証者の顧客データが顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップと、前記認証装置が、前記被認証者の顧客データが前記顧客データベースに記録されていたときに前記被認証者に固有のバーコードを生成するステップと、前記認証装置が、該バーコードを前記被認証者の携帯電話に通信回線を通して送信すると共に、該バーコードをバーコードデータベースに記憶するステップと、を備えている、バーコード付与方法が提供される。 【0009】 本発明の好ましい態様によれば、前記発信者番号が、被認証者の携帯電話番号である。 【0010】 又、本件出願によれば、認証要求者の顧客である被認証者に付与されると共に記憶される前記被認証者に固有の認証用バーコードであって、前記付与された認証用バーコードを前記被認証者が携帯電話に表示することによって前記認証要求者に提示され、前記提示された認証用バーコードが記憶されていたときには前記被認証者が認証される携帯電話に表示される認証用バーコードを、通信回線を利用して被認証者に付与するバーコード付与方法であって、認証装置が、前記被認証者の携帯電話からのバーコード要求信号を通信回線を通して受信するステップと、前記認証装置が、前記被認証者の顧客データが所定の顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップと、前記認証装置が、前記被認証者の顧客データが前記顧客データベースに記録されていたときには前記被認証者に固有のバーコードを生成するステップと、前記認証装置が、前記バーコードを、前記被認証者の携帯電話に通信回線を通じて送ると共に、バーコードデータベースに記録するステップとを有する、バーコード付与方法が提供される。 【0011】 さらに、本件出願によれば、携帯電話に表示されるバーコードを使用した認証装置であって、認証要求者の顧客である被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を被認証者の携帯電話から通信回線を通して受信する受信装置と、所定の個人データが記録されたデータベースと、前記被認証者の個人データが前記顧客データベースに記録されているか否かを判定し、前記被認証者の個人データが前記顧客データベースに記録されていたときに前記被認証者に固有のバーコードを生成するバーコード生成手段と、バーコード生成手段が生成したバーコードを記録するバーコードデータベースと、該バーコードを前記被認証者に通信回線を通して送信すると共に、該バーコードを前記バーコードデータベースに記憶させるバーコード伝送手段と、前記被認証者によって提示され認証要求者のバーコードリーダーで読み取られ認証要求者から認証を求めて通信回線を通して送信されてきたバーコードを受信し、受信したバーコードが、前記バーコードデータベースに記憶されているバーコードと一致するか否かを判定し、受信したバーコードが、前記バーコードデータベースに記憶されていたとき、当該バーコードを提示した被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に通信回線を通して送信するバーコード照合手段と、を備えている認証装置が提供される。 【0012】 【発明の実施の形態】 次に、図面に沿って本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。 【0013】 図1は、本発明の実施形態である認証装置100を備えている認証システムを示すブロック図であり、図2は、バーコードの表示例を示す図面であり、図3は、この認証装置100が識別標識となるバーコードを付与する際の処理動作を示すフローチャートであり、図4は、この認証装置100がバーコードの判定を行って顧客の認証を行う際の処理動作を示すフローチャートである。 【0014】 まず、図1に沿って、認証装置100の構成を説明する。認証装置100は、顧客管理用サーバであり、被認証者である顧客から要求に応じてこの顧客に認証用(身元確認用)バーコードを付与するバーコード付与手段110を備えている。バーコード付与手段110は、顧客データベース(DB)112と、バーコード生成手段114と、バーコード伝送手段116とを備えている。 【0015】 顧客データベース(顧客DB)112には、登録済み顧客の氏名と、携帯電話番号とを含む顧客情報が収容されている。また、バーコード生成手段114は、バーコード送受信端末である顧客の携帯電話200の発信装置(バーコード要求手段)202から電話回線(通信回線)を通してバーコード要求信号を受け、このバーコード要求信号に含まれる当該顧客の発信者番号、即ち、携帯電話番号に基づいて顧客データベース112を検索し、当該発信者番号を発見した場合にはバーコード、詳細には、バーコードに対応する信号(バーコード信号)を生成するように構成されている。このバーコードは、当該顧客が特定の店舗300で使用するためのものであり、顧客および店舗に対して一意的に生成される。即ち、バーコードは、当該顧客が、特定の店舗でしか使用できない固有のバーコードとなる。 【0016】 さらに、バーコード伝送手段116は、バーコード生成手段114が生成したバーコード、詳細には、バーコード信号を顧客およびバーコードデータベース122に伝送するように構成されている。この顧客へのバーコードの伝送は、通信回線を介して、顧客の携帯電話200の受信装置(バーコード受信手段)204にバーコード、詳細には、バーコード信号を伝送することによって行われる。バーコード信号は、例えば、GIF形式、JPEG形式に圧縮した画像フォーマットとして伝送されるのが好ましい。 【0017】 この実施形態では、携帯電話200は、伝送されたバーコード信号を記憶し、これに対応したバーコード400を、その場であるいはその後の呼び出しに応じて、液晶表示画面などの表示部206に表示できるように構成されている(図2)。携帯電話の所有者である顧客は、この認証システムの加盟者(店舗等)で買い物等を行う際、付与されたバーコード400を携帯電話の表示部206に表示させ、このバーコード400と自らが所有する携帯電話の番号(発信者番号)との組み合わせを、身元を確認させる手段(ID)として使用する。尚、表示部206には、バーコード400に加えて、登録の有効期限402や他のメッセージ404等を表示させるて利便性を向上させてもよい。 【0018】 尚、バーコードデータベース122には、バーコード信号と共に、当該バーコードを付与された顧客の発信者番号(携帯電話番号)も伝送され、両者が組み合わせて(対応付けられて)収容されるように構成されている。 【0019】 認証装置100は、さらに、顧客が買い物等をした店舗から送られてきた顧客のバーコード、詳細には、バーコード信号等に基づいて、当該顧客に認証を付与する即ち顧客の身元確認を行うバーコード判定装置120を備えている。 【0020】 バーコード判定装置120は、バーコードデータベース122と、バーコード照合手段124とを備えている。上述したように、バーコードデータベース122には、バーコード伝送手段116から伝送されたバーコード、詳細には、バーコード信号が、このバーコードが付与された顧客の発信者番号(携帯電話番号)と組み合わせて記憶されている。 【0021】 また、バーコード照合手段124は、認証要求者である店舗300のバーコード読取り装置302で読みとられバーコード確認手段304から送られてきたバーコード信号と携帯電話番号との組み合わせを、バーコードデータベース122に記憶されているバーコード信号とこのバーコードが付与された顧客の発信者番号(携帯電話番号)と組み合わせと照合して、店舗300から送られてきたバーコード信号と携帯電話番号との組み合わせが、適正であるか否かを判定するように構成されている。 【0022】 詳細には、店舗300から通信回線を介して送られてきたバーコード信号と携帯電話番号との組み合わせと同一の組み合わせが、バーコードデータベース122中に存在しているときには、店舗300から送られてきたバーコード信号と携帯電話番号との組み合わせが適正、即ち、当該店舗で買い物等をした顧客(バーコード使用者)は、顧客データベース112に登録された適正な使用者であると判定するように構成されている。そして、バーコード照合手段124は、店舗300のバーコード確認手段304に、当該店舗で買い物等をした顧客(バーコード使用者)が、適正な使用者である旨の信号、又は、適正な使用者でない旨の信号を伝送するように構成されている。 【0023】 次に、図3に沿って、認証装置100が認証用のバーコードを付与する際の作動(認証付与方法)を説明する。図3において、「S」は、認証装置100が実行する各処理のステップを示している。 【0024】 まず、この認証装置100による認証用のバーコードの付与を求める顧客が、認証装置100に対して通信回線を介してバーコード要求信号を発する。この実施形態では、顧客が携帯電話200から認証装置100に対して、電話をかけることにより、バーコード要求信号が、認証装置100に伝送されるように構成されている。顧客の携帯電話200のバーコード要求手段(発信装置)202からのバーコード要求信号には、当該携帯電話200の発信者番号(携帯電話番号)を示す信号が含まれているので、認証装置100に設けられたバーコード付与手段110のバーコード生成手段114が、顧客からのバーコード要求信号を受信することにより、発信者番号を受信することになる(S1)。 【0025】 次に、認証装置100では、バーコード生成手段114が、受信した顧客の発信者番号が顧客データベース112内に存在しているか否かを判定する(S2)ことによって、バーコードの付与を求める顧客が会員登録済みの顧客であるか否かをチェックする。受信した顧客の発信者番号が顧客データベース112内に存在していない場合には、登録済み顧客ではないので、作動を終了する。このとき、登録済みでは無い旨の、または、登録を促すメッセージを顧客側に返送するように構成してもよい。 【0026】 受信した顧客の発信者番号が顧客データベース112内に存在していた場合には、バーコード生成手段114が、当該顧客の特定の店舗300用のバーコード信号を生成し、バーコード伝送手段116に出力する(S3)。バーコード伝送手段116は、バーコード信号を、通信回線を介して、顧客の携帯電話200の受信装置(バーコード受信手段)204に伝送するとともに、バーコード判定手段120のバーコードデータベース122にも送る(S4)。このとき、バーコードデータベース122には、バーコード信号と共に、当該バーコードを発行された顧客の発信者番号(携帯電話番号)も伝送され、両者が組み合わせとして記録される(S4)。 【0027】 この実施形態の認証システムでは、携帯電話200は、伝送されたバーコード信号を記憶し、これに対応したバーコード400を、その場であるいはその後の呼び出しに応じて、表示部206に表示できるように構成されているので、携帯電話200の所有者である顧客は、この認証システムの加盟者(店舗300等)で買い物等を行う際、受信した(付与された)バーコード400を携帯電話の表示部206に表示させ、このバーコード400と自らが所有する携帯電話200の番号(発信者番号)とを組み合わせて、身元を確認させる手段(ID)として使用することになる。 【0028】 次に、図4に沿って、認証装置100が付与されたバーコードに基づいて認証を行う際の作動(認証方法)を説明する。図4において、「S」は、認証装置100が実行する各処理のステップを示している。 【0029】 この認証装置100による認証を求める顧客は、この認証システムの加入店300で買い物をする際、上述のようにして予め取得したバーコード400を、自らの携帯電話200の表示部206に表示させ(図3)、店舗300側のバーコード読取装置302に読取らせてバーコード確認手段304に入力させる。さらに、顧客は、当該携帯電話200の番号(発信者番号)を、バーコード確認手段304に、例えば、これに接続されたキーボードなど(図示せず)を介して、入力する。このようにして店舗300側で入力されたバーコード400に対応するバーコード信号と発信者番号との組み合わせが、認証装置100に送られ、顧客の身元確認、即ち、認証に使用される。 【0030】 認証装置100のバーコード照合手段124は、店舗300のバーコード読取り装置302で読みとられ、バーコード確認手段304から送られてきたバーコード、詳細には、バーコード信号と発信者番号との組み合わせを受信する(S10)。このときもバーコード信号は、例えば、GIF形式、JPEG形式に圧縮した画像フォーマットとして伝送されるのが好ましいが、他の方法で伝送されてもよい。 【0031】 バーコード照合手段124は、バーコードデータベース122に記憶されているバーコード信号とこのバーコードが付与された顧客の発信者番号(携帯電話番号)と組み合わせを検索して、店舗300から送られてきたバーコード信号と携帯電話番号との組み合わせが、バーコードデータベース122に存在しているか否かを判定する(S12)。存在していない場合には、正当な使用ではないと判断し、当該顧客は認証されていない旨の信号を確認手段304に送信する(S14)。又、存在している場合には、正当な使用である判断し、当該顧客が認証されている旨の認証信号をバーコード確認手段304に送信することによって、当該顧客の認証を行う(S16)。 【0032】 この認証システムは、例えば、買い物額に応じてキャッシュバック等を行う会員サービスのための顧客認証や、レンタルビデオ店の会員認証などの顧客管理に利用できるが、認証が必要とされるの他の種々の用途にも利用できる。 【0033】 尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された事項の範囲に内で種々の変更、変形が可能である。例えば、上記認証システムでは、認証が行われる店舗300が1つである場合を例に本発明を説明したが、このような店舗は複数であってもよい。この場合には、バーコード要求信号に、どの店舗で用いるバーコードを認証付与を要求するかを示す信号を含めるのがよい。また、バーコード要求信号に応答して、例えば図5に示すような、このシステムで認証を受けることができる店舗の選択肢A106、B108、C410、D412、E414を表示する画面を、顧客の携帯電話200の表示部206に送り、顧客に選択をさせるようにしてもよい。 【0034】 また、上記実施形態では、顧客データベース112は、登録済みの顧客名簿であったが、認証システムの利用形態によっては、電話会社の全ての加入者を含むもの、即ち、電話帳をデータベース化したものであってもよい。 【0035】 また、上記実施形態では、バーコード送受信端末が単一の携帯電話200である場合を例にしたが、バーコード装置受信端末が、電話回線に接続されたパソコン等であってもよい。この場合、発信者信号は、パソコンが接続された固定電話の電話番号となる。さらに、この態様では、認証装置からダウンロードしたバーコード信号を、一旦、パソコンで受信し、バーコードを表示可能な表示部を備えた携帯電話または他の携帯端末に入力することになる。また、この態様においては、パソコンからのバーコード要求信号に、顧客が所有する携帯電話の電話番号を示す信号を含ませることにより、バーコード信号を顧客の所有する携帯電話で直接ダウンロードさせ、パソコンをバーコード要求手段として、携帯電話をバーコード受信手段として使用することもできる。 【0036】 また、上記実施形態は、バーコードと発信者番号(携帯電話番号)の組み合わせで本人確認を行い認証を行うように構成されているが、バーコード生成手段が生成したバーコード(バーコード信号)のみに基づいて、または、バーコード信号とパスワード等の他の暗号或いは信号とを組み合わせて、確認、認証を行うように構成してもよい。 【0037】 さらに、顧客データベース112に、顧客の信用情報も記憶させる等などしておき、バーコード照合手段が、店舗からの確認要請に応答して、バーコード等の照合を行う際にこの信用情報も併せて確認して店舗側に通知するように構成してもよい。このように構成すると、本発明の認証システムに、例えば、クレジットカードのような機能を持たせることもできる。 【0038】 さらに、上記実施形態では、店舗300が顧客に提示されたバーコードを認証装置100側に照会しているが、店舗300側に、バーコードデータベースと連動するデータベースを設けておく構成としてもよい。このような構成により、店舗300は、バーコードの照会を行うたびに、認証装置100との間で信号の送受信を行う必要がなく、自店舗内での照会が可能となる。 【0039】 更に、上記実施形態は、認証を求める顧客が携帯電話にバーコード表示し、これを店舗で読取らせるものであるが、認証を求める顧客(被認証者)が通信回線を使って、付与されたバーコード(バーコード信号)等を店舗(認証要求者)側に送り、店舗がバーコードとしてこれを読み取って、認証装置に対して照会を行う構成としてもよい。このような構成は、店舗が、銀行、クレジット会社等であり、これら銀行等で顧客が決済や発注を行う場合に対応できる。 【0040】 又、バーコード要求信号、および、バーコード信号等は、インターネットなどのネットワークを介して、伝送されるものであってもよい。 【0041】 【発明の効果】 以上のように、本発明によれば、従来とは全く異なった方式で個人の身元確認等の認証を行うことができる認証方法等が提供される。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の実施形態である認証装置を備えている認証システムを示すブロック図である。 【図2】バーコードの表示例を示す図面である。 【図3】認証装置が被認証者にバーコードを付与する際の処理動作を示すフローチャートである。 【図4】認証装置がバーコードの判定を行って被認証者を認証する際の処理動作を示すフローチャートである。 【図5】本発明の他の実施形態で用いる表示部の図である。 【符号の説明】 100:認証装置 110:バーコード付与手段 112:顧客データベース(DB) 114:バーコード生成手段 116:バーコード伝送手段 120:バーコード判定装置 122:バーコードデータベース 124:バーコード照合手段 200:バーコード送受信端末(携帯電話機) |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2006-03-03 |
結審通知日 | 2006-03-09 |
審決日 | 2006-03-22 |
出願番号 | 特願2000-133741(P2000-133741) |
審決分類 |
P
1
113・
121-
ZA
(G06K)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 梅沢 俊 |
特許庁審判長 |
赤川 誠一 |
特許庁審判官 |
鈴木 匡明 中里 裕正 |
登録日 | 2001-07-06 |
登録番号 | 特許第3207192号(P3207192) |
発明の名称 | 認証方法および装置 |
代理人 | 弟子丸 健 |
代理人 | 田中 伸一郎 |
代理人 | 森下 賢樹 |
代理人 | 弟子丸 健 |
代理人 | 大野 聖二 |
代理人 | 熊倉 禎男 |
代理人 | 青木 武司 |
代理人 | 倉澤 伊知郎 |
代理人 | 田中 伸一郎 |
代理人 | 熊倉 禎男 |
代理人 | 鈴木 守 |
代理人 | 倉澤 伊知郎 |