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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1220216
審判番号 不服2009-15326  
総通号数 129 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-08-21 
確定日 2010-07-12 
事件の表示 特願2005-361856「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 6月28日出願公開、特開2007-159910〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成17年12月15日の出願であって、平成21年5月19日付け(発送:5月22日)で拒絶査定され、これに対し、同年8月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同日付けで手続補正がなされたものである。
その後、当審において、平成22年2月22日付けで審査官の前置報告書に基づく審尋がなされ、平成22年4月20日付けで回答書が提出された。

2.平成21年8月21日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成21年8月21日付の手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
上記手続補正は、補正前の請求項1に記載された
「複数の識別情報を可変表示可能な可変表示装置と、該可変表示装置を収容する筺体と、該筺体の前面開口部を閉塞する前扉と、を有し、該前扉に、遊技媒体が排出される遊技媒体払出口と、該遊技媒体払出口の下方に設けられ遊技媒体を貯留する受皿ユニットと、を備えた遊技機において、
前記受皿ユニットは、遊技媒体を貯留可能な底板部を有する硬質プラスチック製の受皿部材と、該受皿部材を保持し該受皿部材の前記底板部と対向する底面部が形成された硬質プラスチック製の外装部材と、を含み、
前記受皿部材の前記底板部と、前記外装部材の前記底面部との間に、前記受皿部材に排出される遊技媒体が前記受皿部材の前記底板部に落下するときの落下衝撃音を前記外装部材の前記底面部と共鳴させるための略閉ざされた空間による空洞が設けられて前記受皿ユニットが構成されてなることを特徴とする遊技機。」
という発明を、
「複数の識別情報を可変表示可能な可変表示装置と、該可変表示装置を収容する筺体と、該筺体の前面開口部を閉塞する前扉と、を有し、該前扉に、遊技媒体が排出される遊技媒体払出口と、該遊技媒体払出口の下方に設けられ遊技媒体を貯留する受皿ユニットと、を備えた遊技機において、
前記受皿ユニットは、遊技媒体を貯留可能な底板部を有する硬質プラスチック製の受皿部材と、該受皿部材を保持し該受皿部材の前記底板部と対向する底面部が形成された硬質プラスチック製の外装部材と、を含み、
前記受皿部材の前記底板部と、前記外装部材の前記底面部との間に、前記遊技機外部の空間と連通している空間が形成され、更に前記空間内に、前記受皿部材に排出される遊技媒体が前記受皿部材の前記底板部に落下するときの落下衝撃音を前記外装部材の前記底面部と共鳴させるための略閉ざされた空間による空洞が設けられていることを特徴とする遊技機。」
という発明に変更することを含むものである。

(2)補正の適否
上記補正のうち、「前記受皿部材に排出される遊技媒体が前記受皿部材の前記底板部に落下するときの落下衝撃音を前記外装部材の前記底面部と共鳴させるための略閉ざされた空間による空洞」を特定する事項として追加された「前記遊技機外部の空間と連通している空間が形成され、更に前記空間内に」という発明特定事項について検討する。
願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)には、「前記受皿部材の前記底板部と、前記外装部材の前記底面部との間に」形成される「前記遊技機外部の空間と連通している空間」に対応する記載として、段落0072に「図6において符号69は外装部材63の底面部632に形成されたリブ636の肉盗み部を示し、図5を参照して説明した空洞68とは異なり、スロットマシン1の外部の空間と連通している空間である。」と記載されており、図6の符号69に示される「リブ636の肉盗み部」が「前記遊技機外部の空間と連通している空間」と対応していると解される。
一方、「前記受皿部材に排出される遊技媒体が前記受皿部材の前記底板部に落下するときの落下衝撃音を前記外装部材の前記底面部と共鳴させるための略閉ざされた空間による空洞」とは、当初明細書等の段落0070における「このとき受皿部材64の底板部642と外装部材の底面部632との間には略閉ざされた空間による空洞68が形成されている。この空洞68を設けることにより、受皿部6aに遊技媒体が払い出されるときに遊技媒体が受皿部材64の底板部642に落下したときの落下衝突音がこの空洞68を介して外装部材63の底面部632と共鳴して、効果的な音響演出がなされる。」との記載によれば、図5の空洞68と対応していると解される。
上記段落0070、0072の記載によれば、「リブ636の肉盗み部」内に「空洞68」が設けられているとの記載は無く、また、図4乃至6にも、「リブ636の肉盗み部」と「空洞68」がそのような位置関係にあることは記載されていない。
以上により、「前記受皿部材に排出される遊技媒体が前記受皿部材の前記底板部に落下するときの落下衝撃音を前記外装部材の前記底面部と共鳴させるための略閉ざされた空間による空洞」を特定する事項として追加された「前記遊技機外部の空間と連通している空間が形成され、更に前記空間内に」は、当初明細書等には記載されておらず、また、当初明細書等の記載から自明の事項でもない。
したがって、上記補正は、当初明細書等に記載されていた事項の範囲内においてなされたものではないから、特許法第17条の2第3項の規定に適合していない。

(3)結語
以上のとおり、上記補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成21年8月21日付け手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成21年4月6日付け手続補正書により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。
「複数の識別情報を可変表示可能な可変表示装置と、該可変表示装置を収容する筺体と、該筺体の前面開口部を閉塞する前扉と、を有し、該前扉に、遊技媒体が排出される遊技媒体払出口と、該遊技媒体払出口の下方に設けられ遊技媒体を貯留する受皿ユニットと、を備えた遊技機において、
前記受皿ユニットは、遊技媒体を貯留可能な底板部を有する硬質プラスチック製の受皿部材と、該受皿部材を保持し該受皿部材の前記底板部と対向する底面部が形成された硬質プラスチック製の外装部材と、を含み、
前記受皿部材の前記底板部と、前記外装部材の前記底面部との間に、前記受皿部材に排出される遊技媒体が前記受皿部材の前記底板部に落下するときの落下衝撃音を前記外装部材の前記底面部と共鳴させるための略閉ざされた空間による空洞が設けられて前記受皿ユニットが構成されてなることを特徴とする遊技機。」

(2)引用文献に記載された発明及び周知技術
原査定の拒絶の理由(平成21年1月30日付け拒絶理由通知)において引用文献3として引用された特開2000-245933号公報(以下、「引用例3」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(ア)「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、パチンコ機の前面に装着される合成樹脂製の打球供給皿に関するものである。」

(イ)「【0017】【発明の実施の形態】次に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明に係る打球供給皿が装着されたカード対応パチンコ機の正面図である。図1において、パチンコ機1は、外枠2と該外枠2の前面に開閉自在に設けられた前面枠3とを有する。前面枠3は中央部に窓孔を有する額縁状に形成されており、該窓孔の後部に遊技盤4が着脱可能に取り付けられている。また、窓孔の一側にはガラス扉枠5と前面板6とが開閉自在に設けられており、その前面板6の前面に本実施の形態に係る打球供給皿7が取り付けられている。また、前面枠3の下部には打球供給皿7の余剰球を貯留する下部貯留皿8と打球発射用の操作ハンドル9が設けられている。」

(ウ)「【0019】図2は本実施の形態に係る打球供給皿7の斜視図、図3は皿本体12からカバー部材13を取り外した状態の斜視図、図4は図3の分解斜視図である。この打球供給皿7は、パチンコ球を貯留する皿本体12と、該皿本体12の前方部分を覆うカバー部材13とから構成されている。皿本体12は前記前面板6の前面に対向させる後側壁14の上端に、上流側で前後幅が大きく下流側に向かって前後幅が次第に小さくなる皿部15を一体に形成し、該皿部15の前側壁16の上端縁に上面壁22を水平方向に延設している。また、皿部15の下流側にはパチンコ球が一列に整列される整流部17が形成されている。
【0020】前記カバー部材13は、皿本体12を前方と下方から覆うように取り付けられるものであって、図4に示すように該カバー部材13と皿本体12との間に空間部が形成され、かつその上端部分が皿本体12の上面壁22前端に合致するように膨出湾曲して形成されている。そして、カバー部材13の前面中央部分には球貸出操作部18を臨ませるための横長の開口部19が開設されており、前面の左右両側部には長溝状の透音孔20が穿設されている。」

(エ)「【0022】しかして、前記皿本体12の下面に複数の取着用突起31が合成樹脂により一体成形され、また皿本体12の前側壁16の前面にはカバー部材13の内側面に当接するリブ壁32,32がそれぞれ合成樹脂により一体成形されている。そして、前記カバー部材13、球貸出操作部18、スピーカー30が取着用突起31を介して皿本体12に取り付けられる。すなわち、球貸出操作部18は、図4に示すように装飾板23の下縁から後方へ突出した取付片33,33の取付孔34,34を取着用突起31a,31aに位置合せしてねじ35,35で螺着することにより皿本体12に取り付けられる。また、スピーカー30は図5に示すように該スピーカー30の保持枠36の四隅部に穿設された取付孔37を4本の取着用突起31bにそれぞれ位置合せしてねじ38で螺着することにより皿本体12に取り付けられる。」

以上、(ア)乃至(エ)の記載、及び図面を総合すると、引用例3には、
「3つの数字を変動表示可能な表示装置と、該表示装置を外枠2の前面に開閉自在に設けられた前面枠3に取り付けられた遊技盤4に取り付け、前面枠3の窓孔の一側にはガラス扉枠5と前面板6とが開閉自在に設けられ、その前面板6の前面にパチンコ球が排出される払出口と、該払出口の下方に設けられパチンコ球を貯留する打球供給皿7と、を備えたパチンコ機1において、
前記打球供給皿7は合成樹脂からなり、パチンコ球を貯留する皿本体12と、該皿本体12を前方と下方から覆うように取り付けられるカバー部材13と、を含み、
皿本体12とカバー部材との間に空間部が形成されて前記打球供給皿7が構成されてなるパチンコ機1。」
の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されていると認めることができる。

(3)対比
引用発明と本願発明とを対比すると、引用発明の「3つの数字」、「変動表示可能」、「表示装置」、「外枠2」及び「前面枠3」、「窓孔」、「ガラス扉枠5」及び「前面板6」、「パチンコ球」、「払出口」、「パチンコ機1」、「打球供給皿7」、「皿本体12」、「カバー部材13」、「空間部」は、それぞれ本願発明の「複数の識別情報」、「可変表示可能」、「可変表示装置」、「筺体」、「前面開口部」、「前扉」、「遊技媒体」、「遊技媒体払出口」、「遊技機」、「受皿ユニット」、「受皿部材」、「外装部材」、「空洞」に相当する。

上記(ウ)の記載及び図4乃至図6から引用例3には「遊技媒体を貯留可能な底板部」が記載されているといえる。
上記(ウ)の記載及び図4乃至図6から引用例3には「受皿部材を保持し該受皿部材の底板部と対向する底面部が形成された外装部材」が記載されているといえる。
上記(ウ)には、「カバー部材13」に「透音孔20」を設けることが記載されており、「カバー部材13と皿本体12との間」の「空間部」は完全に閉ざされた空間ではないものの、ほぼ閉ざされた空間である。
よって、引用例3には「受皿部材の底板部と、外装部材の底面部との間に」「略閉ざされた空間による空洞が設けられて」いるといえる。

以上を総合すると両者は、
「複数の識別情報を可変表示可能な可変表示装置と、該可変表示装置を収容する筺体と、該筺体の前面開口部を閉塞する前扉と、を有し、該前扉に、遊技媒体が排出される遊技媒体払出口と、該遊技媒体払出口の下方に設けられ遊技媒体を貯留する受皿ユニットと、を備えた遊技機において、
前記受皿ユニットは、遊技媒体を貯留可能な底板部を有する受皿部材と、該受皿部材を保持し該受皿部材の前記底板部と対向する底面部が形成されたの外装部材と、を含み、
前記受皿部材の前記底板部と、前記外装部材の前記底面部との間に、略閉ざされた空間による空洞が設けられて前記受皿ユニットが構成されてなることを特徴とする遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]本願発明では、受皿部材及び外装部材が硬質プラスチック製であるのに対して、引用発明では、合成樹脂製であると記載されているだけである点。

[相違点2]本願発明では、「略閉ざされた空間による空洞」が「受皿部材に排出される遊技媒体が前記受皿部材の前記底板部に落下するときの落下衝撃音を前記外装部材の前記底面部と共鳴させるため」のものであると特定されているのに対して、引用発明では、「略閉ざされた空間による空洞」が何のためのものであるのかが特定されていない点。

(4)判断
(A)相違点1について
受皿ユニットを硬質プラスチック製とすることは、例えば、特開2005-296445号公報(特に、段落0020を参照)に記載されており、受皿部材をポリカーボネート製又はABS樹脂製とすることは、特開平10-71255号公報(特に、段落0006、0015を参照)に記載されており、受皿ユニットをABS樹脂製とすることは、特開2004-249141号公報(特に、段落0015を参照)に記載されている。
ここで、ポリカーボネートからなるプラスチック及びABS樹脂からなるプラスチックが本願発明でいうところの硬質プラスチックに相当するのかどうかについて検討すると、本願の明細書の段落0057、0058及び0060には、
「【0057】図4において、受皿ユニット6は、硬質プラスチックを成型加工して形成された外装部材63と、同じく硬質プラスチックを成型加工して形成され受皿部6aが設けられた受皿部材64と、耐熱性の硬質プラスチックを成型加工して形成された灰皿部材65及びこの灰皿部材65を支持する支持部材651と、証紙を保持した透明硬質プラスチック製のプレートユニット80と、このプレートユニット80が収納される収納スロットの挿通孔を封止する硬質プラスチックを成型加工して形成された封止部材66で構成されている。
【0058】外装部材63は、成形性の良いABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂等のプラスチック材料を成型加工して形成されており、遊技者に対面する前面部631には証紙表示部630を形成する3つの略矩形状の証紙表示窓が穿設形成され、前面部631の上端部にはスロットマシン1側(図4中、受皿部材64が描かれている側であり、以下同じ)へ僅かに突出する縁辺状の係合縁633が形成されている。また、外装部材63の前面側(図4中、灰皿部材65、封止部材66が描かれている側であり、以下同じ)から見て左側には灰皿部材65が収納される収納部が、右側には封止部材66が収納される収納部がそれぞれ形成されている。」
「【0060】受皿部材64は、成形性が良く耐衝撃性に優れたPC(ポリカーボネート)樹脂等のプラスチック材料を成型加工して形成されており、外装部材63の前面部631に対面する前壁部641と、この前壁部641の左右の端部からスロットマシン1側に延設形成された左右の側面部643、643と、前壁部641の下端部からスロットマシン1側へ一体的に延設形成された底板部642とを備えている。これら前壁部641、左右の側面部643、643及び底板部642によって受皿部6aを形成している。」
と記載されているとおり、少なくともポリカーボネート及びABS樹脂からなるプラスチックは、本願発明における「硬質プラスチック」である。
してみると、受皿ユニットを硬質プラスチック製とすることは周知技術である。
そして、受皿ユニットにある程度の強度が必要であることは当業者に知られた事項であることから、引用発明に前記周知技術を採用して、受皿ユニットを硬質プラスチック製とすることは当業者が容易になし得たことである。

(B)相違点2について
皿部に空洞を設けることにより共鳴作用により大きな音が発生することは拒絶査定時に指摘されているとおり広く知られたことであり(例えば、拒絶査定時に例示された特開2003-164633号公報(特に、段落0003を参照))、共鳴という物理現象は、その発生要件を満たせば発生することは明らかであるため、それを意図しているか意図していないかに関係なく、引用発明における略閉ざされた空間による空洞においても、受皿部材に排出される遊技媒体が受皿部材の底板部に落下するときの落下衝撃音が共鳴することは明らかである。

なお、審判請求人は、審尋に対する平成22年4月20日付け回答書において、特許請求の範囲の請求項1に対して「・・・硬質プラスチック製の外装部材と、を含み、」の後を、「前記受皿部材の垂下辺の端面が前記外装部材の前記底面部の前記前扉側の上面に当接するとともに、前記受皿部材の前壁部の係合縁が前記外装部材の前面部の係合縁に係合されて当接することにより、前記受皿部材の前記底板部と、前記外装部材の前記底面部との間に、前記受皿部材に排出される遊技媒体が前記受皿部材の前記底板部に落下するときの落下衝撃音を前記外装部材の前記底面部と共鳴させるための略閉ざされた空間による空洞が設けられていることを特徴とする遊技機。」と変更する補正案を提示するとともに、本願の実施形態では、段落0070に記載されているように「受皿部材64の垂下辺645の端面は外装部材63の底面部632のスロットマシン1側(前扉3側)の上面に当接している。受皿部材64の前壁部641の係合縁644は、外装部材63の前面部631の係合縁633に係合されて当接」した構造を有しているために、「遊技媒体の払い出し時に遊技媒体が受皿部材の底板部に落下したときの落下衝突音がこの空洞を介して外装部材の底面部と共鳴して、遊技媒体払い出し時の演出音響効果を向上させることができる」という特有の効果を得ることができる旨の主張をしているが、引用例3の図4乃至図6には、皿本体12とカバー部材13とを当接させることが記載されており、皿本体12の垂下辺の端面がカバー部材13の底面部の上面に当接しておらず、垂下辺が遊技機側に90度屈曲した辺が当接している点で相違しているものの、皿本体12とカバー部材13とを具体的にどのように当接させるかは当業者における設計事項に過ぎず、垂下辺が遊技機側に90度屈曲した辺を当接させることに比較して皿本体12の垂下辺の端面をカバー部材13の底面部の上面に当接させることにより、略閉ざされた空間による空洞の密閉度合いが大きく異なることがないため演出音響効果が格別顕著なものとなることもなく、該補正案の発明も、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)むすび
以上のように相違点1及び2は、いずれも当業者が容易に想到し得るものであり、本願発明の作用効果も、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が予測できる範囲のものである。
よって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
 
審理終結日 2010-05-14 
結審通知日 2010-05-18 
審決日 2010-05-31 
出願番号 特願2005-361856(P2005-361856)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 561- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山崎 仁之  
特許庁審判長 立川 功
特許庁審判官 川島 陵司
澤田 真治
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人 エビス国際特許事務所  
代理人 松嶋 芳弘  

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