• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B42D
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B42D
管理番号 1220265
審判番号 不服2008-7482  
総通号数 129 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-03-27 
確定日 2010-07-15 
事件の表示 特願2002-319786「シール付きはがき」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 6月 3日出願公開、特開2004-154940〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成14年11月1日の出願であって、平成19年10月30日付けで手続補正がなされ、平成20年2月21日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年3月27日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年4月23日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成20年4月23日付け手続補正についての補正の却下の決定

〔補正の却下の決定の結論〕
平成20年4月23日付け手続補正を却下する。

〔理由〕
1 本件補正の内容
(1)平成20年4月23日付け手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1について、本件補正前に、
「はがき本体と、
前記はがき本体に剥離可能及び/又は再粘着可能に積層されたラベル片と、
前記ラベル片の一部に分離可能に形成された少なくとも1つの再貼付可能なリピールシール部と、
を備えたシール付きはがき。」とあったものを、

「はがき本体と、
前記はがき本体に再剥離粘着剤により剥離可能及び/又は再粘着可能に積層されたラベル片と、
前記ラベル片の一部に前記ラベル片と前記再剥離粘着剤の層とを切断するハーフカットにより分離可能に形成された少なくとも1つの再貼付可能なリピールシール部と、
を備えたシール付きはがき。」にする補正事項を含むものである。(下線は審決で付した。以下同じ。)

(2)上記(1)の請求項1に係る補正事項は、次の補正内容からなる。
ア 本件補正前の請求項1の発明特定事項である「ラベル片」の「剥離可能及び/又は再粘着可能」という性質を、「再剥離粘着剤によ」るものと限定する。
イ 本件補正前の請求項1の発明特定事項である「リピールシール部」の「分離可能」という性質を、「ラベル片と再剥離粘着剤の層とを切断するハーフカットによ」るものと限定する。

2 本件補正の目的
上記1(2)ア及びイの補正内容は、本件補正前の請求項1の発明特定事項を限定するものであるから、本件補正後の請求項1に係る補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下「旧特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(旧特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下検討する。

3 引用刊行物及び引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である実願昭62-37081号(実開昭63-144270号)のマイクロフィルム(以下「引用例」という。)には、以下の事項が図とともに記載されている。
(1)「(1)はがき用紙の裏面側に予め印刷されてなるユーザー宛ての案内文欄と、
はがき用紙の他面側に接着されてなる台紙と、
上記台紙に切取り線を介して切取り剥離可能に設けられ、かつ、少なくとも消耗品等の必要な情報および発注先欄を設けてなるラベル片と、
からなることを特徴とするラベル付はがき。
(2)・・(略)・・
(3)上記切取り線としてハーフカット(審決注:「ーフカット」は、「ハーフカット」の明らかな誤記であるので訂正して摘記した。)状のスリットを設けたことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第1項記載のラベル付はがき。」(実用新案登録請求の範囲)
(2)「さらに、本考案に係るラベル付はがきでは、・・(略)・・取り出したラベル片を端末機等に貼りつけておくことによって、消耗品等の発注に際し、その便に資することができる等の効果も有する。」(9頁1行?8行)
(3)上記(1)及び(2)から、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「はがき用紙に接着されてなる台紙と、
上記台紙にハーフカット状のスリットを介して切取り剥離可能に設けられ、取り出して端末機等に貼り付けておくことができるラベル片と、
からなるラベル付はがき。」

4 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「はがき用紙」、「はがき用紙に接着されてなる台紙」、「台紙にハーフカット状のスリットを介して切取り剥離可能に設けられ、取り出して端末機等に貼り付けておくことができるラベル片」及び「ラベル付はがき」は、それぞれ、本願補正発明の「はがき本体」、「『はがき本体』に『積層』された『ラベル片』」、「『ラベル片の一部』に『ハーフカットにより分離可能に形成された少なくとも1つの再貼付可能なリピールシール部』」及び「シール付きはがき」に相当する。
(2)上記(1)から、本願補正発明と引用発明とは、
「はがき本体と、
前記はがき本体に積層されたラベル片と、
前記ラベル片の一部にハーフカットにより分離可能に形成された少なくとも1つの再貼付可能なリピールシール部と、
を備えたシール付きはがき。」である点で一致し、次の点で相違する。

相違点1:
前記はがき本体に積層されたラベル片が、本願補正発明では、「再剥離粘着剤により剥離可能及び/又は再粘着可能に」積層されたものであるのに対して、引用発明では、そのようなものでない点。

相違点2:
前記ハーフカットが、本願補正発明では、「ラベル片と再剥離粘着剤の層とを切断する」ものであるのに対して、引用発明では、そのようなものでない点。

5 判断
上記相違点1及び2について検討する。
(1)上記相違点1について
ア はがきにおいて、再剥離可能な粘着剤を用いることは、本願の出願前に周知である(例.特開平11-129654号公報特に「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は隠蔽シールが添付された返信葉書付き隠蔽葉書に関する。」、「【0013】第1実施形態にて使用する隠蔽シールの構成は、隠蔽性基材層11と粘着剤層12との積層体からなるものである。隠蔽性基材層11としては隠蔽性の優れた紙ないしは紙と他の隠蔽性の優れた基材との積層体を使用し、粘着剤層12としては再剥離、再貼着可能な粘着剤を使用したものである。」及び【図2】並びに特開平11-1080号公報「【0022】本発明においては、隠蔽ラベルに設けられた粘着剤は、往信はがきの第1隠蔽領域に粘着可能かつ剥離可能であって、その後に返信はがきの第2隠蔽領域に再粘着可能かつ再剥離可能に形成されている。」及び【図1】参照。以下「周知技術1」という。)。
イ 引用発明の台紙は、はがき用紙に接着されるものであるが、その台紙の一部であるラベル片は、剥離可能に設けられるものである。
ウ 上記ア及びイから、引用発明において、ラベル片を剥離可能とする(上記イ参照。)ために、ラベル片を含む台紙のはがき用紙への接着に、再剥離可能な粘着剤を用い(上記ア参照。)、上記相違点1に係る本願補正発明の構成となすことは、当業者が周知技術1に基づいて容易になし得たことである。

(2)上記相違点2について
ア 引用発明において、ハーフカット状のスリットの深さは、当業者が適宜決定すべき設計事項というべきところ、粘着剤層を切断するハーフカットは、本願の出願前に周知である(例.特開2001-305348号公報特に「【0013】偏光シート付剥離シート1は、ダイカット刃7により剥離シート6を切断せずに偏光シート4及び粘着剤層5を切断するハーフカットを施こされる。」及び【図3】並びに特開2000-254891号公報特に「【0001】・・(略)・・印刷シート及び粘着剤層を所定の形状に切り込み、かつ剥離台紙は完全には切断しないハーフカットを実行するための装置に関するものである。」及び【図3】参照。以下「周知技術2」という。)。
イ 上記ア及び上記(1)ウから、引用発明において、ラベル片を含む台紙のはがき用紙への接着に、再剥離可能な粘着剤を用いる(上記(1)ウ参照。)とともに、ハーフカット状のスリットを、前記再剥離可能な粘着剤の層を切断するものとし(上記ア参照。)、上記相違点2に係る本願補正発明の構成となすことは、当業者が、周知技術1及び周知技術2に基づいて容易になし得たことである。

(3)効果について
本願補正発明が奏する効果は、引用発明、周知技術1及び周知技術2がそれぞれ奏する効果から当業者が予測し得たものである。

(4)まとめ
したがって、本願補正発明は、引用例に記載された発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

6 小括
上記5のとおり、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、旧特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものである。
よって、本件補正は、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記第2に記載したとおり却下されたので、本願の請求項1ないし6に係る発明は、平成19年10月30日付け手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項によってそれぞれ特定されるものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2〔理由〕1(1)に本件補正前の請求項1として記載したものである。

2 引用刊行物及び引用発明
引用刊行物及び引用発明は、上記第2〔理由〕3に記載したとおりのものである。

3 対比・判断
本願補正発明は本願発明の発明特定事項を限定したものである(上記第2〔理由〕2参照。)から、本願発明は本願補正発明から限定を省いたものに相当するところ、本願補正発明は、当業者が、引用例に記載された発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、当業者が、引用例に記載された発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が、引用例に記載された発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-05-12 
結審通知日 2010-05-18 
審決日 2010-05-31 
出願番号 特願2002-319786(P2002-319786)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B42D)
P 1 8・ 575- Z (B42D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 荒井 隆一  
特許庁審判長 長島 和子
特許庁審判官 桐畑 幸▲廣▼
菅野 芳男
発明の名称 シール付きはがき  
代理人 正林 真之  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ