• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01F
管理番号 1220501
審判番号 不服2008-11960  
総通号数 129 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-05-09 
確定日 2010-07-23 
事件の表示 特願2002-373209「液面検出装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 7月22日出願公開、特開2004-205300〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は、平成14年12月24日の出願であって、平成20年4月1日付け(発送日同年4月9日)で拒絶査定がなされ、これに対し、平成20年5月9日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。
2.本願発明について
本願の請求項1?4に係る発明は、平成19年12月3日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりである。
「【請求項1】 透明管の外部にある投光部から透明管に向け投光した光を、透明管の外部にある受光部で受光し、その受光量の変化によって、透明管の中の液体の有無を検出する手段であり、
該透明管を石英製の円形管とし、投光軸と受光軸とを透明管の中心軸に直角な平面上に、各々の光軸が透明管の中心軸に向くよう配置し、さらに各々の光軸のなす角度を90度とすることで、液体の有無を検出することを特徴とする液面検出装置。」
3.引用例記載の発明
原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願前である平成5年8月6日に頒布された特開平5-196566号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、
(1-1)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医用機器などで繁用される液体輸送用の細管中を輸送される液体や気泡を検出したり、容器内に収容された液体や空気などの流体を判別する場合などに用いられる流体検出装置に関するものである。また、本発明は、たとえば上記液体輸送用の細管中の液体と空気との界面を検出したり、液体の瓶詰工程における充填量管理装置などにおいて容器内に収容された液体の液面を検出したりする場合などに用いられる気液界面検出装置に関するものである。」
(1-2)「【0013】
【実施例】以下では、本発明の実施例を、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の一実施例である気液検出装置の基本構成を示す概念図であり、管状体である有底の透明容器11内の液体12の液面12aを検出するための構成が示されている。この透明容器11は、液体12の屈折率にほぼ等しい屈折率を有する材料で構成されている。
【0014】透明容器11の外周面に対向して、タングステンランプやハロゲンランプなどの光源13が配置されている。この光源13からの光L1は、透明容器11の外周面に取り付けられたスリット板14により検査用光束となる。この検査用光束の一部L21(以下「透過光L21」という。)は、透明容器11の内容物を透過し、さらに透明容器11の反対側の側壁を透過して、透明容器11の外部に導かれる。また、検査用光束の残余の部分L22(以下「反射光L22」という。)は、透明容器11の構成材料とその内容物との屈折率の差のために、透明容器11の内周面で反射される。
【0015】なお、液面12aの検出精度を高めるためには、検査用光束の透明容器11の軸方向R1に沿う幅は、気液界面の厚さと同等またはそれ以下であることが好ましく、そのためには、スリット板14に形成されたスリット14aの透明容器の軸方向R1に沿う幅を1mm以下とすることが好ましい(0.5mm以下とすると、さらに好ましい。)透明容器11の内周面からの反射光L22は、フォトダイオードなどで構成した受光器15で受光される。この受光器15は、光源13からほぼ直進する透過光L21が受光されない位置に配置され、たとえば、検査用光束の光路を含み液面12aに平行な平面内で検査用光束に対して約90度の角度をなす方向に、透明容器11の外周面に受光面を対向させて配置される。
【0016】図2は、検出原理を説明するための簡略化した断面図であり、スリット14aの位置での横断面が示されている。図2(a) は、液面12aがスリット板14を通過した検査用光束L2の光路よりも上方に位置している場合を示しており、この場合には、検査用光束L2が通過する部位では、上述のように、透明容器11とその内容物である液体12の屈折率がほぼ等しいから、透明容器11の内周面では界面が存在しない状態に近い状態となる(このことを透明容器11の肉厚部分とその内部の部分とに共通の斜線を付して示す。)。この結果、検査用光束L2の殆どの部分は、透明容器11の内周面で反射されることなく液体12を透過し、そのまま直進することになる。
【0017】一方、図2(b) は、液面12aがスリット板14を通過した検査用光束L2の光路よりも下方に位置している場合を示している。この場合には、検査用光束L2が通過する部位において、透明容器11とその内容物である空気との屈折率に大きな差がある状態となる。この結果、検査用光束L2のうち比較的大部分が透明容器11の内周面で反射され、受光器15で受光されることになる。
【0018】このようにして、液面12aが検査用光束L2の光路よりも上方に位置しているか下方に位置しているかによって、受光器15での受光光量が大幅に変化するから、この受光器15の出力を監視することによって、液面12aがスリット14aの位置の上方にあるのか下方にあるのかを検知することができる。」
(1-3)「【0020】液体12として水(屈折率1.33)を用い、透明容器11を水と屈折率が近似している透明材料である6フッ化テフロン(屈折率1.35)で構成した。空気の屈折率は、1.0である。水は、導電性の液体でもなく、光吸収性の液体でもなく、また懸濁物も含んでいない。この構成で、液面12aをスリット板14よりも下方の所定の基準位置から、透明容器11の軸方向R1に沿って変位させて、このときの受光器15の出力の変化を調べた。このときの測定結果は、図4に示されている。この図4において、横軸は、所定の基準位置を原点として軸方向R1にとった液面12aの座標位置を表し、縦軸は、受光器15の出力信号を示している。この受光器15は、受光光量が多いほど高レベルの信号を出力する。
【0021】スリット板14の位置に対応する座標位置x0よりも液面12aが下方に位置ているときには、スリット14aから生成する検査用光束L2の光路には水(液体12)が存在していない。このため、透明容器11の屈折率(1.35)と空気の屈折率(1.0)との差が大きいために、検査用光束L2の大部分は透明容器11の内周面で反射される。この結果として、受光器15の出力信号は高いレベルV1をとることになる。
【0022】また、スリット板14の位置に対応する座標位置x0よりも液面12aが上方に位置しているときには、検査用光束L2の光路上に水(液体12)が存在する。このときには、透明容器11の屈折率(1.35)と水の屈折率(1.33)とが極めて近似しているために、界面が存在しない状態とほとんど等価な状態となる。このため、検査用光束L2のほとんどの部分が透明容器11の内周面での反射を受けることなく、水中を透過することになる。この結果として、受光器15の出力信号は低いレベルV2をとることになる。」
が記載されている。
したがって、これらの記載によると、引用例1には、次のとおりの発明、
「透明容器(管状体)11(透明管に相当。)の外部にある光源13(投光部に相当。)から透明容器(管状体)11(透明管に相当。)に向け投光した検査用光束L2(光に相当。)を、透明容器(管状体)11(透明管に相当。)の外部にある受光器15(受光部に相当。)で受光(受光に相当。)し、その受光光量(受光量に相当。)の変化(変化に相当。)によって、透明容器(管状体)11(透明管に相当。)の中の水(液体12)(液体に相当。)の存在(有無に相当。)を検出(検出に相当。)する気液界面検出装置(手段に相当。)であり、
該透明容器(管状体)11(透明管に相当。)を6フッ化テフロン(石英に対応。)製の管状体(円形管に相当。)とし、受光器15を、検査用光束の光路を含み液面12aに平行な平面内で検査用光束に対して約90度の角度をなす方向に配置する(投光軸と受光軸とを透明管の中心軸に直角な平面上に、各々の光軸が透明管の中心軸に向くよう配置し、さらに各々の光軸のなす角度を90度とするに相当。)ことで、水(液体12)(液体に相当。)の存在(有無に相当。)を検出(検出に相当。)することを特徴とする気液界面検出装置(液面検出装置に相当。)。」(以下、これを「引用例1に記載の発明」という。)
が記載されていると認める。
4.対比・判断
本願発明と引用例1に記載の発明とを対比する。
引用例1に記載の発明における「透明容器(管状体)11」、「光源13」、「検査用光束L2」、「受光器15」、「受光」、「受光光量」、「変化」、「水(液体12)」、「存在」、「検出」、「気液界面検出装置」は、それぞれ、
本願発明における「透明管」、「投光部」、「光」、「受光部」、「受光」、「受光量」、「変化」、「液体」、「有無」、「検出」、「手段」に相当する。
さらに、引用例1に記載の発明における「受光器15を、検査用光束の光路を含み液面12aに平行な平面内で検査用光束に対して約90度の角度をなす方向に配置する」、「気液界面検出装置」は、それぞれ、
本願発明における「投光軸と受光軸とを透明管の中心軸に直角な平面上に、各々の光軸が透明管の中心軸に向くよう配置し、さらに各々の光軸のなす角度を90度とする」、「液面検出装置」に相当する。
したがって、両者は、
【一致点】
「透明管の外部にある投光部から透明管に向け投光した光を、透明管の外部にある受光部で受光し、その受光量の変化によって、透明管の中の液体の有無を検出する手段であり、
該透明管を円形管とし、投光軸と受光軸とを透明管の中心軸に直角な平面上に、各々の光軸が透明管の中心軸に向くよう配置し、さらに各々の光軸のなす角度を90度とすることで、液体の有無を検出することを特徴とする液面検出装置。」
で一致し、
【相違点1】
「本願発明では、透明管が、石英製であるのに対して、
引用例1に記載の発明では、透明容器(管状体)11(透明管に相当。)が、6フッ化テフロン製である点」、
で相違する。
そこで、上記【相違点1】について検討する。
受光光量の変化によって透明容器の中の水の存在を検出する、引用例1に記載の気液界面検出装置と同タイプの液面検出装置において、ゲージ管を、石英で構成することは周知であるから(例えば、特開昭58-198728号公報の第2頁左欄第2?4行の記載参照。)、引用例1に記載の発明において、その透明容器(管状体)11(透明管に相当。)を、石英製とすることは、当業者が容易になし得ることである。

そして、石英の透明度、耐熱性、耐熱衝撃性、耐薬品性といった特性は、すでによく知られたものであって、格別顕著とは認められず、本願発明の効果は、引用例1に記載された発明及び周知の事項に基づいて当業者が予測可能な範囲のものにすぎない。
5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、本願発明が、特許を受けることができないものであるから、その余の請求項2?4に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-05-24 
結審通知日 2010-05-26 
審決日 2010-06-09 
出願番号 特願2002-373209(P2002-373209)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松川 直樹  
特許庁審判長 江塚 政弘
特許庁審判官 山川 雅也
古屋野 浩志
発明の名称 液面検出装置  
代理人 福森 久夫  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ