• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1220772
審判番号 不服2007-14927  
総通号数 129 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-05-24 
確定日 2010-07-29 
事件の表示 特願2001-296097「表示方法,表示用プログラム及び記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成15年4月11日出願公開,特開2003-108286〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成13年9月27日の出願であって,平成18年12月27日付けの拒絶理由に対して,平成19年3月7日付けで意見書が提出されるとともに同日付けで手続補正がなされたが,同年4月17日付けで拒絶査定がなされ,この拒絶の査定を不服として,同年5月24日に審判請求がなされるとともに同年6月22日付けで手続補正がなされ,当審による平成21年12月10日付けの審尋に対して,平成22年2月15日付けで回答書が提出されたものである。

第2 平成19年6月22日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成19年6月22日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 本件補正
審判平成19年6月22日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)により,特許請求の範囲は,本件補正前の
「【請求項1】
表示装置の画面上にメニュー画面を表示させる際に,該メニュー画面の表示要求を行った時点でのカーソルの表示位置をカーソルの初期表示位置と定義したとき,
前記カーソルの初期表示位置を中心として,前記メニュー画面に関する複数の項目を放射状に配列させて表示し,
前記カーソルの初期表示位置を中心とした前記メニュー画面の一部が,前記表示装置の表示画面における表示枠からはみ出る場合は,前記メニュー表示画面が前記表示枠内に収まるように前記カーソルの初期表示位置を変更し,
前記複数の項目は,前記カーソルの初期表示位置を中心にほぼ等間隔に配列されていることを特徴とする表示方法。
【請求項2】
請求項1記載の表示方法において,
前記メニュー画面は,前記複数の項目にそれぞれ対応する項目名が表示される領域が割り付けられ,
前記項目名の表示領域は,それぞれ任意に色分け表示されることを特徴とする表示方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の表示方法において,
前記複数の項目の配列順序が任意に変更されて表示されることを特徴とする表示方法。
【請求項4】
請求項1記載の表示方法において,
前記カーソルの初期表示位置を中心とした円形もしくは楕円等の領域であって,かつ,前記メニュー画面の表示領域よりも小さい領域である不感帯領域が設けられていることを
特徴とする表示方法。
【請求項5】
請求項1?4のいずれか1項に記載の表示方法において,
前記カーソルの初期表示位置を中心として前記複数の項目に対応した中心角でそれぞれ割り付けられた複数の領域をそれぞれ角度領域と定義したとき,
前記メニュー画面表示後における項目選択の際に,カーソルの移動位置がいずれかの角度領域上にあって,かつ,前記カーソルの初期表示位置から不感帯領域を超えている場合に,当該角度領域に対応する項目の選択待ち状態となり,
前記選択待ち状態となっている項目について選択待ちを示す指標が表示され,
前記指標は,前記カーソルの初期表示位置と前記選択待ち状態となっている項目との間,あるいは前記カーソルの初期表示位置とカーソルのカレント位置との間を結ぶ帯状の画像であることを特徴とする表示方法。
【請求項6】
請求項5記載の表示方法において,
前記複数の項目のうち,少なくとも1つの項目について,項目名が一部のみ表示されている場合に,
項目名が一部のみ表示されている項目が選択待ち状態となった段階で,その項目名がすべて表示されることを特徴とする表示方法。
【請求項7】
請求項5記載の表示方法において,
前記複数の項目のうち,少なくとも1つの項目がアイコンで表示されている場合に,
前記アイコンで表示されている項目が選択待ち状態となった段階で,その項目名が表示されることを特徴とする表示方法。
【請求項8】
CPUとメモリと表示装置とを有するコンピュータシステムにおける(途中省略)表示用プログラム。
【請求項9】
請求項8記載の表示用プログラムにおいて(途中省略)第5手段とを有することを特徴とする表示用プログラム。
【請求項10】
請求項8又は9記載の表示用プログラムにおいて(途中省略)第6手段を有することを特徴とする表示用プログラム。
【請求項11】
請求項10記載の表示用プログラムにおいて(途中省略)第7手段を有することを特徴とする表示用プログラム。
【請求項12】
請求項11記載の表示用プログラムにおいて(途中省略)第8手段を有することを特徴とする表示用プログラム。
【請求項13】
請求項11又は12記載の表示用プログラムにおいて(途中省略)第9手段を有することを特徴とする表示用プログラム。
【請求項14】
請求項11?13のいずれか1項に記載の表示用プログラムにおいて(途中省略)第11手段とを有することを特徴とする表示用プログラム。
【請求項15】
請求項11?13のいずれか1項に記載の表示用プログラムにおいて(途中省略)第13手段とを有することを特徴とする表示用プログラム。
【請求項16】
請求項8記載の表示用プログラムにおいて(途中省略)第14手段を有することを特徴とする表示用プログラム。
【請求項17】
請求項8記載の表示用プログラムにおいて(途中省略)第15手段を有することを特徴とする表示用プログラム。
【請求項18】
請求項8記載の表示用プログラムにおいて(途中省略)第16手段を有することを特徴とする表示用プログラム。
【請求項19】
CPUとメモリと表示装置と入力装置とを有するコンピュータシステムにおける(途中省略)記録媒体。」
から,本件補正後の
「【請求項1】
表示装置の画面上にメニュー画面を表示させる際に,該メニュー画面の表示要求を行った時点でのカーソルの表示位置をカーソルの初期表示位置と定義し,前記カーソルの初期表示位置を中心として前記複数の項目に対応した中心角でそれぞれ割り付けられた複数の領域をそれぞれ角度領域と定義したとき,
前記カーソルの初期表示位置を中心として,前記メニュー画面に関する複数の項目を放射状に配列させて表示し,
前記カーソルの初期表示位置を中心とした前記メニュー画面の一部が,前記表示装置の表示画面における表示枠からはみ出る場合は,前記メニュー表示画面が前記表示枠内に収まるように前記カーソルの初期表示位置を変更し,
前記複数の項目は,前記カーソルの初期表示位置を中心にほぼ等間隔に配列される表示方法であって,
各前記角度領域に,それぞれ対応する項目名と各項目名を囲む項目枠を表示し,
1つの前記角度領域に1つの前記項目枠が対応し,
前記メニュー画面表示後における項目選択の際に,前記カーソルの移動位置がいずれかの角度領域上にあって,かつ,前記カーソルの初期表示位置から不感帯領域を超えている場合に,当該角度領域に対応する項目の選択待ち状態となり,
前記選択待ち状態とされた前記角度領域に対応する項目枠内の表示色が変化することを特徴とする表示方法。
【請求項2】
請求項1記載の表示方法において,
前記複数の項目の配列順序が任意に変更されて表示されることを特徴とする表示方法。
【請求項3】
請求項1記載の表示方法において,
前記不感帯領域は,
前記カーソルの初期表示位置を中心とした円形もしくは楕円等の領域であって,かつ,前記メニュー画面の表示領域よりも小さい領域であることを特徴とする表示方法。
【請求項4】
請求項1?3のいずれか1項に記載の表示方法において,
前記選択待ち状態となっている項目について選択待ちを示す指標が表示され,
前記指標は,前記カーソルの初期表示位置と前記選択待ち状態となっている項目との間,あるいは前記カーソルの初期表示位置とカーソルのカレント位置との間を結ぶ帯状の画像であることを特徴とする表示方法。
【請求項5】
請求項4記載の表示方法において,
前記複数の項目のうち,少なくとも1つの項目について,項目名が一部のみ表示されている場合に,
項目名が一部のみ表示されている項目が選択待ち状態となった段階で,その項目名がすべて表示されることを特徴とする表示方法。
【請求項6】
請求項4記載の表示方法において,
前記複数の項目のうち,少なくとも1つの項目がアイコンで表示されている場合に,
前記アイコンで表示されている項目が選択待ち状態となった段階で,その項目名が表示されることを特徴とする表示方法。
【請求項7】
CPUとメモリと表示装置と入力装置とを有するコンピュータシステムにおける(途中省略)表示用プログラム。
【請求項8】
請求項7記載の表示用プログラムにおいて(途中省略)第9段を有することを特徴とする表示用プログラム。
【請求項9】
請求項7又は8記載の表示用プログラムにおいて(途中省略)第11手段とを有することを特徴とする表示用プログラム。
【請求項10】
請求項7又は8記載の表示用プログラムにおいて(途中省略)第13手段とを有することを特徴とする表示用プログラム。
【請求項11】
請求項7記載の表示用プログラムにおいて(途中省略)第14手段を有することを特徴とする表示用プログラム。
【請求項12】
請求項7記載の表示用プログラムにおいて(途中省略)第15手段を有することを特徴とする表示用プログラム。
【請求項13】
請求項7記載の表示用プログラムにおいて(途中省略)第16手段を有することを特徴とする表示用プログラム。
【請求項14】
CPUとメモリと表示装置と入力装置とを有するコンピュータシステムにおける(途中省略)記録媒体。」
に補正された。

2 補正の目的
本件補正前と本件補正後の特許請求の範囲の各請求項の記載からみて,審判請求人が「本願発明の特徴を明確にすることと,明細書中の記載との整合をとるために,旧請求項2の内容,旧請求項5の前半部分に記載されていた定義内容,旧請求項11の内容を旧請求項1に盛り込み,さらに内容を整理して新請求項1としました。」(審判請求書の請求の理由を補正する平成19年8月2日付け手続補正書2頁25-27行)と主張するように,本件補正後の請求項1は,本件補正前の請求項1を補正したものと認められるが,本件補正前の請求項2を補正したものと考えることも不可能ではない。
そこで,本件補正後の請求項1が本件補正前の請求項1を補正したものであるとして,該補正が平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項を目的とするものであるのか否か検討し,その上で,本件補正後の請求項1が本件補正前の請求項2を補正したものであるとした場合についても,該補正が平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項を目的とするものであるのか否か検討する。

(1)本件補正後の請求項1が本件補正前の請求項1を補正したものであるとして
本件補正後の請求項1に「前記メニュー画面表示後における項目選択の際に,前記カーソルの移動位置がいずれかの角度領域上にあって,かつ,前記カーソルの初期表示位置から不感帯領域を超えている場合に,当該角度領域に対応する項目の選択待ち状態となり,前記選択待ち状態とされた前記角度領域に対応する項目枠内の表示色が変化する」と記載しているが,該記載事項は本件補正前の請求項1に記載されていない事項である。
そして,本件補正前の請求項1に発明を特定するために必要な事項として「前記メニュー画面表示後における項目選択の際に,前記カーソルの移動位置がいずれかの角度領域上にあって,かつ,前記カーソルの初期表示位置から不感帯領域を超えている場合に,当該角度領域に対応する項目の選択待ち状態となり,前記選択待ち状態とされた前記角度領域に対応する項目枠内の表示色が変化する」の上位概念となる事項は記載されておらず,本件補正後の請求項1の上記記載事項は,本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項を限定したものではない。
したがって,本件補正前の請求項1を本件補正後の請求項1にする補正は,「前記メニュー画面表示後における項目選択の際に,前記カーソルの移動位置がいずれかの角度領域上にあって,かつ,前記カーソルの初期表示位置から不感帯領域を超えている場合に,当該角度領域に対応する項目の選択待ち状態となり,前記選択待ち状態とされた前記角度領域に対応する項目枠内の表示色が変化する」との記載を新たに追加するものであり,特許請求の範囲を限縮するものであるとしても,発明を特定するために必要な事項を限定するものではないから,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げる事項である特許請求の範囲の限縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一のものに限る。)を目的とするものではない。
また,原査定の拒絶の理由は,本件補正前の請求項1に記載された表示方法について選択待ち状態の表示態様に関して明りょうでない旨を指摘するものではなく,「前記メニュー画面表示後における項目選択の際に,前記カーソルの移動位置がいずれかの角度領域上にあって,かつ,前記カーソルの初期表示位置から不感帯領域を超えている場合に,当該角度領域に対応する項目の選択待ち状態となり,前記選択待ち状態とされた前記角度領域に対応する項目枠内の表示色が変化する」との記載を新たに追加する,本件補正前の請求項1を本件補正後の請求項1にする補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第4号に掲げる事項である明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)を目的とするものでもない。
さらに,「前記メニュー画面表示後における項目選択の際に,前記カーソルの移動位置がいずれかの角度領域上にあって,かつ,前記カーソルの初期表示位置から不感帯領域を超えている場合に,当該角度領域に対応する項目の選択待ち状態となり,前記選択待ち状態とされた前記角度領域に対応する項目枠内の表示色が変化する」との記載を新たに追加する,本件補正前の請求項1を本件補正後の請求項1にする補正が,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第1号に掲げる事項である請求項の削除,同項第3号に掲げる事項である誤記の訂正を目的とするものでないことは明らかである。
以上のとおり,本件補正前の請求項1を本件補正後の請求項1にする補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項を目的とするものではない。

(2)本件補正後の請求項1が本件補正前の請求項2を補正したものであるとして
本件補正前の請求項2にも「前記メニュー画面表示後における項目選択の際に,前記カーソルの移動位置がいずれかの角度領域上にあって,かつ,前記カーソルの初期表示位置から不感帯領域を超えている場合に,当該角度領域に対応する項目の選択待ち状態となり,前記選択待ち状態とされた前記角度領域に対応する項目枠内の表示色が変化する」事項は記載されておらず,また,その上位概念となる事項は記載されておらず,本件補正後の請求項1が本件補正前の請求項2を補正したものであるとしても,上記第2の2の(1)の項に記載した理由と同様の理由により,本件補正前の請求項2を本件補正後の請求項1にする補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項を目的とするものではない。
また,本件補正後の請求項1は本件補正前の請求項2に記載された「前記項目名の表示領域は,それぞれ任意に色分け表示される」事項又はその下位概念となる事項を記載しておらず,本件補正前の請求項2を本件補正後の請求項1にする補正は,発明を特定するために必要な事項である「前記項目名の表示領域は,それぞれ任意に色分け表示される」を削除するものであり,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げる事項である特許請求の範囲の限縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一のものに限る。)を目的とするものではない。
発明を特定するために必要な事項である「前記項目名の表示領域は,それぞれ任意に色分け表示される」を削除する,本件補正前の請求項2を本件補正後の請求項1にする補正が,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第1号に掲げる事項である請求項の削除,同項第3号に掲げる事項である誤記の訂正,同項4項に掲げる事項である明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)を目的とするものでないことは明らかである。
この点からも,本件補正前の請求項2を本件補正後の請求項1にする補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項を目的とするものではない。

3 独立特許要件
上記第2の2の項に記載したように,本件補正後の請求項1が本件補正前の請求項1,2のいずれを補正したものであるとしても,本件補正前の請求項を本件補正後の請求項1にする補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項を目的とするものではないが,念のため,仮に,本件補正前の請求項を本件補正後の請求項1にする補正が,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げる事項である特許請求の範囲の限縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一のものに限る。)を目的とするものであるとして,本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本願補正発明」という。なお,本件補正後の請求項1には「前記メニュー表示画面が前記表示枠内に収まるように」と記載されているが,先行して「メニュー画面」と記載されていることから,「前記メニュー画面が前記表示枠内に収まるように」の誤記と認める。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平2-242323号公報(以下「引用例1」という。)には,以下(a)-(h)の記載がある。
(a)「ポインティングデバイスに付属するスイッチ,あるいはキーボード上のスイッチが操作された時,ディスプレイ上にカーソルを表示している位置から等距離にメニュー項目を放射状に配置したポップアップメニューを表示し,ポップアップメニューの中心の座標値と以後のカーソルの座標値との距離と角度を計算し,メニュー項目が選択される際に,その計算結果に基づいて選択されるべきメニュー項目を決定するポップアップメニュー選択方法。」(1頁左下欄5-14行【特許請求の範囲】)
(b)「本発明は,情報処理装置等においてディスプレイ手段に表示し,また表示したポップアップメニューを選択する装置およびその方法に関する。」(1頁右下欄18-20行)
(c)「ディスプレイ手段2上には,カーソル表示手段8により,位置検出手段5が示す位置にカーソルが表示されている。ここでオペレーターがスイッチ4を操作すると,スイッチ状態検出手段6が,スイツチ4が操作されたことを全体制御手段9に通知し,全体制御手段9は,位置検出手段6が計算した現在カーソルが表示されている位置の座標値と,ポップアップメニューを表示する司令をポップアップメニュー表示手段7に通知する。すると,ポップアップメニュー表示手段7は,第2図に示すようなポップアップメニューの中心が,現在カーソルが表示されている位置にくるようにポップアップメニューを表示する。」(3頁右下欄18行-4頁左上欄10行)
(d)「全体制御手段9はまた,位置検出手段6が計算した現在カーソルが表示されている位置の座標値を,距離角度検出手段10にも通知し,距離角度検出手段10は受け取った座標値を保持する。以降,オペレーターがメニュー項目を選択するまでの間,ボインティングデバイス3が操作され,位置検出手段6は刻刻と変化するディスプレイ手段2上でのカーソルの座標値を計算してそれを全体制御手段9に通知し,全体制御手段9はその座標値をカーソル表示手段8および距離角度検出手段10に通知する。」(4頁左上欄10-20行)
(e)「カーソル表示手段8は全体制御手段9より受け取った座標値に基づいてディスプレイ手段2上にカーソルを表示する。距離角度検出手段10は,全体制御手段9より受け取った座標値と,保持している座標値との距離と角度を計算し,その値を全体制御手段9に通知する。全体制御手段9は,距離角度検出手段10より受け取った距離と角度を,メニュー項目決定手段11に通知する。」(4頁右上欄1-8行)
(f)「メニュー項目決定手段11は,カーソルがディスプレイ手段2上でメニュー項目上にあるかどうかを受け取った距離と角度から判断し,もしある場合は該当するメニュー項目を表す識別子を全体制御手段9を通してポップアップメニュー表示手段7に通知する。」(4頁右上欄8-14行)
(g)「ポップアップメニュー表示手段7は受け取った識別子で示されるメニュー項目を他のメニュー項目とは異なる表示方法で表示する。このことによって,オペレーターは,スイッチ4でメニュー項目を選択するための操作を行った場合にそのメニュー項目が選択されるということを知ることができる。」(4頁右上欄14-20行)
(h)「メニュー項目の選択はオペレーターがスイッチ4を操作した時に行われる。」(4頁左下欄1-2行)

第2図をみると,ポップアップメニューは,「ポップアップメニューの中心」として×が示され,×を中心とする小さい円の領域があり,その周囲に接して「メニュー項目1」-「メニュー項目8」の8つのほぼ等角度の略扇状の領域がある。
上記の8つのほぼ等角度の略扇状の領域が「メニュー項目1」-「メニュー項目8」のどの項目に対応するのか表示することは当然のことであり,また,メニューの表示においてメニュー項目名を表示することが慣用手段であるから,略扇状の各領域中に対応するメニュー項目名を配置することは自明のことであり,上記(g)の「受け取った識別子で示されるメニュー項目を他のメニュー項目とは異なる表示方法で表示する」のに,対応するメニュー項目名の表示態様を変えることも自明のことである。
また,上記(f)の「カーソルがディスプレイ手段上のメニュー項目上にあるかどうか」の判断において,上記(a)の「ポップアップメニューの中心の座標値と以後のカーソルの座標値との距離と角度を計算」することと上記(f)の「カーソルがディスプレイ手段2上でメニュー項目上にあるかどうかを受け取った距離と角度から判断」することから、カーソルが小さい円の領域上にあるときいずれの「メニュー項目上」にあるとも判断されないと考えるのが自然である。

したがって,上記(a)-(h)の記載及び図面の記載から,引用例1には,
「情報処理装置においてポップアップメニューをディスプレイの画面上に表示し,表示したポップアップメニューのメニュー項目を選択するポップアップメニュー選択方法であって,
ポインティングデバイスに付属するスイッチがオペレータにより操作された時に,ディスプレイの画面上に表示しているカーソルの位置を中心として,ほぼ等角度の略扇状の各領域が放射状に配列されたポップアップメニューを表示し,
上記略扇状の各領域は完全な扇形ではなくポップアップメニューの中心側にある小さい円の領域の周囲に接する略扇状であり,
上記略扇状の各領域は各メニュー項目に対応しており,上記略扇状の各領域中には対応するメニュー項目名が配置され,
その後,メニュー項目を選択するためにポインティングデバイスがオペレータにより操作されると,カーソルがディスプレイの画面上で小さい円の領域を超えた略扇状の領域上にあるかを判断し,略扇状の領域上にあると判断されたとき,対応するメニュー項目がスイッチの操作により選択されることをオペレータに知らせるために,対応するメニュー項目名の表示態様を変える
ポップアップメニュー選択方法。」
の発明(以下「引用例1記載発明」という。)が記載されていると認められる。

同じく引用された特表平11-507455号公報(以下「引用例2」という。)には,「ユーザは,例えば,ペンで画面を押下する,又はマウスのボタンを押下したまま,ポインティング装置26の選択インディケータを活性化させ,しばらくの間(約1/3秒間)待つ。この時,図3に示すような,角度マーキングメニュー40が,ペン52の先端に直接現れる(「ポップアップ」する)。そして,ユーザはペンを押下したまま,目指すアイテムの方向にストローク42を生成することによって,そのアイテムを高輝度化させる。メニュー40の中央部44とポインターの現在位置の間に絶えず直線を書き直すことによって,コンピュータはストローク42を作る(つまり,ストローク42はメニューの中央部とポインターを結ぶ「ゴムバンド線」のような役割をする。)そのメニューアイテムのある一定角度内(例えば,図3に示すメニューアイテム1のある角度範囲46内)にポインターが動くと,コンピュータ20は特定のアイテムを高輝度化する。そのアイテムにサブメニューがない場合は,ペンを持ち上げることによって,高輝度化されたアイテムを選択することができる。そのアイテムにサブメニューがあり,ユーザがポインターを動かすのをやめると,ペン52の下に新しいメニューの中央部48が位置するように,サブメニューが表示される(図4参照)。」(8頁11-26行)と記載されており,図2及び図4をみると,メニュー項目名とともにメニュー項目名を囲む枠も表示されている。

したがって,上記の記載及び図面の記載から,引用例2には,
メニュー項目名とともにメニュー項目名を囲む枠も表示すること
が記載されていると認められる。

原査定に引用された特開平6-289984号公報(以下「周知例1」という。)には,「【0043】ジェスチャー記号の書き込みが始まるカウンタが一定値(N)を越えると,指定範囲の終点位置に応じた次のような位置に編集機能選択用のポップアップメニューがポップアップ表示される。【0044】ポップアップメニューの表示位置=指定範囲の終点の次の行を表示開始行とし,ポップアップメニューの横方向の中心位置が指定範囲の終点の桁位置と一致するような位置(図12)。但し,この表示で,ポップアップメニューが表示画面の左(または右)にはみ出す場合には,ポップアップメニューの左端(または右端)が表示画面の右端)と一致するような桁位置をポップアップメニューの表示位置とする(ステップ48,49。図13)。」と記載されている。

特開平8-123649号公報(以下「周知例2」という。)には,「【0002】【従来の技術】従来から,メニュー項目の表示・選択処理を行うメニュー表示装置は,各種のメニュー形式によって入力操作を行う対話型システムに広く採用されている。このようなメニュー表示装置において,ポップアップメニューは,ポインティングデバイスなどの位置指示手段の操作により,画面上に表示されたカーソルによる指示開始点,あるいは画面上の特定の位置を基準に表示される。【0003】この場合に,位置指示手段によってカーソルで指示された指示開始点が,画面の端部であり,メニューが画面上に表示しきれないときは,メニュー全体が画面に収まるようにメニューの表示位置を自動的に調整する制御が,一般的に採用されている。」と記載されている。

(2)対比
本願補正発明と引用例1記載発明とを対比すると,
(イ)引用例1記載発明の「ポップアップメニュー」,「ディスプレイ」は,本願補正発明の「メニュー画面」,「表示装置」に各々相当し,
(ロ)引用例1記載発明の「略扇状の各領域」は,各メニュー項目に対応しており,領域中には対応するメニュー項目名が配置されるのであるから,本願補正発明の「メニュー画面に関する複数の項目」に相当し,
(ハ)引用例1記載発明の「略扇状の各領域」は,ほぼ等角度であるから,ほぼ等間隔に配列されているといえ,
(ニ)引用例1記載発明の「略扇状の各領域」は,さらに,項目に対応する領域という意味で,本願補正発明の「角度領域」と「項目領域」として共通し,
(ホ)引用例1記載発明の「小さい円の領域」は,本願補正発明の「不感帯領域」と「不感帯領域」として共通し,
(ヘ)引用例1記載発明の「メニュー項目名の表示態様を変える」は,本願補正発明の「項目名を囲む」「項目枠内の表示色が変化する」と「項目名に関連する表示物の表示態様が変化する」として共通し,
(ト)引用例1記載発明の「ポップアップメニュー選択方法」は,ポップアップメニューを表示するのであるから,本願補正発明の「表示方法」と「表示方法」として共通している。

したがって,両者は,
「表示装置の画面上にメニュー画面を表示させる際に,該メニュー画面の表示要求を行った時点でのカーソルの表示位置をカーソルの初期表示位置と定義したとき,
前記カーソルの初期表示位置を中心として,前記メニュー画面に関する複数の項目を放射状に配列させて表示し,
前記複数の項目は,前記カーソルの初期表示位置を中心にほぼ等間隔に配列される表示方法であって,
各項目領域に,それぞれ対応する項目名を表示し,
前記メニュー画面表示後における項目選択の際に,前記カーソルの移動位置がいずれかの項目領域上にあって,かつ,前記カーソルの初期表示位置から不感帯領域を超えている場合に,当該項目領域に対応する項目の選択待ち状態となり,
前記選択待ち状態とされた前記項目領域に対応する項目名に関連する表示の表示態様が変化することを特徴とする表示方法。」
である点で一致し,以下の点で相違している。

[相違点1]
本願補正発明は,カーソルの初期表示位置を中心としたメニュー画面の一部が,表示装置の表示画面における表示枠からはみ出る場合は,メニュー画面が表示枠内に収まるようにカーソルの初期表示位置を変更するのに対して,引用例1記載発明は,そうではない点。
[相違点2]
本願補正発明の項目領域は,カーソルの初期表示位置を中心として複数の項目に対応した中心角でそれぞれ割り付けられた複数の領域と定義される角度領域であり,不感帯領域が角度領域の一部分上にあるのに対して,引用例1記載発明の項目領域は,メニューの中心側にある小さい円の不感帯領域の周囲に接する略扇状の領域であり,不感帯領域が略扇状の領域上にはなく内側に接する別領域であり,本願補正発明のようなものではない点。
[相違点3]
本願補正発明は,項目名とともに項目名を囲む項目枠も表示し,1つの角度領域に1つの前記項目枠が対応するのに対して,引用例1記載発明は,そうではない点。
[相違点4]
本願補正発明は,選択待ち状態とされた角度領域に対応する項目名を囲む項目枠内の表示色が変化するのに対して,引用例1記載発明は,選択待ち状態とされた領域の項目名の表示態様が変わるが,本願補正発明のようなものではない点。

(3)判断
[相違点1]について検討する。
例えば周知例1,2にみられるように,メニューが表示装置の画面に表示しきれないときメニュー全体が表示装置の画面に収まるようにメニューの表示位置を自動的に調整することが周知のことであるから,引用例1記載発明において,カーソルの初期表示位置を中心としたメニュー画面の一部が,表示装置の表示画面における表示枠からはみ出る場合は,メニュー画面が表示枠内に収まるようにカーソルの初期表示位置を変更するようにして,本願補正発明のようにすることは,当業者が容易になし得たことである。
[相違点2]について検討する。
引用例1記載発明において,カーソルが不感帯領域上にあるときいずれの項目も選択待ち状態とされないのであれば不感帯領域に項目領域の一部分が重なってもよいことは自明のことであるから,不感帯領域が項目領域の一部分上にあるように,項目領域を略扇状の領域からカーソルの初期表示位置を中心として複数の項目に対応した中心角でそれぞれ割り付けられた複数の領域と定義される角度領域として,本願補正発明のようにすることは,当業者が格別に思考することなくなし得たことである。
[相違点3]について検討する。
引用例2に,メニュー項目名とともにメニュー項目名を囲む枠も表示することが記載されているから,引用例1記載発明において,項目名とともに項目名を囲む項目枠も表示するようにし,1つの項目領域に1つの前記項目枠が対応するようにして,本願補正発明のようにすることは,当業者が格別に思考することなく推考し得たことである。
[相違点4]について検討する。
引用例1記載発明も,選択待ち状態とされた項目領域の項目名の表示態様が変わるものである。そして,[相違点3]について検討したとおり,引用例1記載発明において,項目名とともに項目名を囲む項目枠も表示するようにすることは,当業者が格別に思考することなく推考し得たことであり,また,表示対象の状態に応じた表示色で表示することが例示するまでもなく周知のことであるから,引用例1記載発明において,選択待ち状態とされた項目領域に対応する項目枠内の表示色が変化するようにして,本願補正発明のようにすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

そして,本願補正発明の作用効果も,引用例1記載発明,引用例2に記載された事項及び周知の事項の作用効果から,当業者が容易に予測し得たことである。

したがって,本願補正発明は,引用例1記載発明,引用例2に記載された事項及び周知の事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 むすび
上記第2の2の項に記載したとおり,本件補正後の請求項1が本件補正前の請求項1,2のいずれを補正したものであるとしても,本件補正前の請求項を本件補正後の請求項1にする補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項を目的とするものではなく,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
また,上記第2の3の項に記載したとおり,仮に,本件補正前の請求項を本件補正後の請求項1にする補正が,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げる事項である特許請求の範囲の限縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一のものに限る。)を目的とするものであるとしても,本願補正発明は,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成19年6月22日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成19年3月7日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて,次のとおりのものと認める。
「表示装置の画面上にメニュー画面を表示させる際に,該メニュー画面の表示要求を行った時点でのカーソルの表示位置をカーソルの初期表示位置と定義したとき,
前記カーソルの初期表示位置を中心として,前記メニュー画面に関する複数の項目を放射状に配列させて表示し,
前記カーソルの初期表示位置を中心とした前記メニュー画面の一部が,前記表示装置の表示画面における表示枠からはみ出る場合は,前記メニュー表示画面が前記表示枠内に収まるように前記カーソルの初期表示位置を変更し,
前記複数の項目は,前記カーソルの初期表示位置を中心にほぼ等間隔に配列されていることを特徴とする表示方法。」
なお,特許請求の範囲の請求項1には「前記メニュー表示画面が前記表示枠内に収まるように」と記載されているが,先行して「メニュー画面」と記載されていることから,「前記メニュー画面が前記表示枠内に収まるように」の誤記と認め,上記のように認定した。

2 引用例
原査定の拒絶理由に引用された引用例1及び引用例1に記載された事項は,上記第2の3の(1)の項に記載したとおりであり,引用例1には,
「情報処理装置においてポップアップメニューをディスプレイの画面上に表示し,表示したポップアップメニューのメニュー項目を選択するポップアップメニュー選択方法であって,
ポインティングデバイスに付属するスイッチがオペレータにより操作された時に,ディスプレイの画面上に表示しているカーソルの位置を中心として,ほぼ等角度の略扇状の各領域が放射状に配列されたポップアップメニューを表示し,
上記略扇状の各領域は各メニュー項目に対応しており,上記略扇状の各領域には対応するメニュー項目名が配置された
ポップアップメニュー選択方法。」
の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているともいえる。

3 対比
本願発明と引用発明とを対比すると,
(イ)引用発明の「ポップアップメニュー」,「ディスプレイ」は,本願発明の「メニュー画面」,「表示装置」に各々相当し,
(ロ)引用発明の「略扇状の各領域」は,各メニュー項目に対応しており,対応するメニュー項目名が配置されるのであるから,本願発明の「メニュー画面に関する複数の項目」に相当し,
(ハ)引用発明の「略扇状の各領域」は,ほぼ等角度であるから,ほぼ等間隔に配列されているといえ,
(ニ)引用発明の「ポップアップメニュー選択方法」は,ポップアップメニューを表示するのであるから,本願発明の「表示方法」と「表示方法」として共通している。

したがって,両者は,
「表示装置の画面上にメニュー画面を表示させる際に,該メニュー画面の表示要求を行った時点でのカーソルの表示位置をカーソルの初期表示位置と定義したとき,
前記カーソルの初期表示位置を中心として,前記メニュー画面に関する複数の項目を放射状に配列させて表示し,
前記複数の項目は,前記カーソルの初期表示位置を中心にほぼ等間隔に配列されていることを特徴とする表示方法。」
である点で一致し,次の点で相違している。

[相違点]
本願発明は,カーソルの初期表示位置を中心としたメニュー画面の一部が,表示装置の表示画面における表示枠からはみ出る場合は,メニュー画面が表示枠内に収まるようにカーソルの初期表示位置を変更するのに対して,引用発明は,そうではない点。

4 判断
上記[相違点]について検討する。
例えば特開平6-289984号公報(周知例1),特開平8-123649号公報(周知例2)にみられるように,メニューが表示装置の画面に表示しきれないときメニュー全体が表示装置の画面に収まるようにメニューの表示位置を自動的に調整することが周知のことであるから,引用発明において,カーソルの初期表示位置を中心としたメニュー画面の一部が,表示装置の表示画面における表示枠からはみ出る場合は,メニュー画面が表示枠内に収まるようにカーソルの初期表示位置を変更するようにして,本願発明のようにすることは,当業者が容易になし得たことである。

そして,本願発明の作用効果も,引用発明及び周知の事項の作用効果から,当業者が容易に予測し得たことである。
したがって,本願発明は,引用発明及び周知の事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。

5 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明及び周知の事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-05-27 
結審通知日 2010-06-01 
審決日 2010-06-15 
出願番号 特願2001-296097(P2001-296097)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 篠塚 隆  
特許庁審判長 清田 健一
特許庁審判官 山本 穂積
田代 吉成
発明の名称 表示方法、表示用プログラム及び記録媒体  
代理人 鹿島 直樹  
代理人 千葉 剛宏  
代理人 田久保 泰夫  
代理人 宮寺 利幸  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ