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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1220827
審判番号 不服2009-2073  
総通号数 129 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-01-27 
確定日 2010-07-29 
事件の表示 特願2000- 2290「金属ベース回路基板、電子回路モジュールとその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 7月19日出願公開、特開2001-196530〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年1月11日の出願であって、平成20年10月3日付けで拒絶理由通知がなされ、同年12月5日付けで意見書および手続補正書が提出され、同年12月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成21年1月27日に拒絶査定を不服とする審判請求がなされたものである。

2.本願発明
本願請求項1、2に係る発明は、平成20年12月5日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1、2に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は以下のとおりである。

「金属ベース回路基板のリードフレーム及び/又は回路基板上に電子部品を搭載し、少なくとも前記電子部品を樹脂封止する電子回路モジュールの製造方法であって、
前記金属ベース回路基板が、金属板の一主面上に絶縁層を介してリードフレームと回路基板とが配設され、リードフレームが絶縁層に接しない部分を有し、該絶縁層に接しない部分が金属板の端面より突出している、及び/又は上方に延び、回路基板が2層以上の回路を有し、そのうちの1層をシールド層としたものであり、
少なくとも金属板の電子部品を搭載する面の全面をトランスファーモールドしてなることを特徴とする電子回路モジュールの製造方法。」(以下、「本願発明」という。)

3.引用刊行物の記載事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された、本出願前に頒布された特開平11-233712号公報(以下、「引用刊行物1」という。)には、以下のとおりの記載がある。

(a)「【請求項1】主回路部、制御回路部及び外装樹脂モールドとを有し、該樹脂モールドの表面に導出された主回路端子及び制御回路端子とを有する半導体装置において、該主回路部はスイッチング用半導体素子がリードフレーム上に固着され、該リードフレームは電気絶縁層としての樹脂層を挟持してベース基板が配置された構造を有し、該制御回路部はプリント基板上に、少なくとも1つの制御用集積回路素子を具備し、該素子とプリント基板とが導電性ワイヤによって電気的に直接接続され、該主回路部及び該制御回路部とが電気的に接続され、該ベース基板の少なくとも一部が、実質的に該樹脂モールドの外面に露出した形で、その他の部分が該樹脂モールドによって一体的に封止された構造を有することを特徴とする半導体装置。
……
【請求項3】主回路部及び制御回路部とを有し、外装モールドの表面に導出された主回路端子及び制御回路端子とを有する半導体装置の製法において、該主回路部としてスイッチング用半導体素子がリードフレーム上に固着される工程、該制御回路部としてプリント基板上に、少なくとも1つの制御用集積回路素子を搭載する工程、該素子と該プリント基板とを導電性ワイヤによって電気的に直接接続する工程、該主回路部及び該制御回路部とを電気的に接続する工程、該制御回路部を選別するための検査工程、樹脂モールドによって一体的に封止する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製法。」(【特許請求の範囲】)

(b)「本発明は、スイッチング用半導体素子を含むチップ部品がリードフレーム上に搭載され、かつ該半導体素子を駆動する制御回路が、前記プリント基板上に載置され、全体が樹脂モールドによって封止された構造を有する半導体装置に関し、特に発熱性の半導体素子を固着するリードフレーム部の裏面に層厚の薄い樹脂絶縁層を挟持してヒートシンクを配置し、かつ該ヒートシンクの裏面が外装樹脂モールドの外面に露出した構造をとることにより、半導体からの熱放散性を向上させた混成集積回路系パワー半導体装置に関する。」(【0001】)

(c)「従来のこの種パワー半導体装置として……に開示される構成がある。すなわち、金属のヒートシンク上に、予め所定間隔の隙間を設けてスイッチング用半導体素子を載置したリードフレームをセットし、この隙間を含む外装部全体を、一体のモールドとして樹脂を充填して半導体装置を構成するものである。」(【0002】)

(d)「本発明は……低熱抵抗性で、高機能性を有し、かつ小型のパワー半導体装置を実現するものである。すなわち、リードフレーム及びヒートシンクすなわちべース基板との間に、外装樹脂モールド材料とは別の、予め成形されたシート状樹脂絶縁層を適用することによって、パワー半導体素子の下部に薄く、かつ均質で安定した層厚を有する絶縁層が形成でき、結果的に低熱抵抗性かつ小型のパワー半導体装置を提供する。」(【0005】)

(e)「上記工程で準備された一連の回路を、金型中にセットし、所定温度及び圧力で、型内に樹脂を充填することによって樹脂モールド30を成形し、本発明によるパワー半導体装置を得る。」(【0011】)

(f)図1、図3には、実施例として、ベース基板上に、シート状樹脂絶縁層を介して、スイッチング用半導体素子を搭載するリードフレームおよび制御用集積回路素子を搭載するプリント基板が配設される様子が示されている。
上記記載事項(a)、(b)、(e)、(f)によれば、上記引用刊行物1には、
「ベース基板のリードフレーム及びプリント基板上にスイッチング用半導体素子、制御用集積回路素子を搭載し、少なくとも前記素子を樹脂封止する半導体装置の製造方法であって、
前記ベース基板が、基板の一主面上に電気絶縁層を介してリードフレームとプリント基板とが配設され、リードフレームが電気絶縁層に接しない部分を有し、該電気絶縁層に接しない部分が基板の端面より突出している、及び/又は上方に延び、
少なくとも基板の前記素子を搭載する面の全面をモールドしてなることを特徴とする半導体装置の製造方法」が記載されており、
また、上記記載事項(c)、(d)によれば、前記ベース基板は金属ヒートシンクを兼ねるのであるから、金属ベース基板であることは明らかである。
したがって、上記引用刊行物1には、
「金属ベース基板のリードフレーム及びプリント基板上にスイッチング用半導体素子、制御用集積回路素子を搭載し、少なくとも前記素子を樹脂封止する半導体装置の製造方法であって、
前記金属ベース基板が、金属板の一主面上に電気絶縁層を介してリードフレームとプリント基板とが配設され、リードフレームが電気絶縁層に接しない部分を有し、該電気絶縁層に接しない部分が金属板の端面より突出している、及び/又は上方に延び、
少なくとも金属板の前記素子を搭載する面の全面をモールドしてなることを特徴とする半導体装置の製造方法。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

4.対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると、
引用発明における、「金属ベース基板」、「プリント基板」、「スイッチング用半導体素子」及び「制御用集積回路素子」、「電気絶縁層」、「半導体装置」は、それぞれ、本願発明における、「金属ベース回路基板」、「回路基板」、「電子部品」、「絶縁層」、「電子回路モジュール」に相当する。
よって、両者は、
「金属ベース回路基板のリードフレーム及び回路基板上に電子部品を搭載し、少なくとも前記電子部品を樹脂封止する電子回路モジュールの製造方法であって、
前記金属ベース回路基板が、金属板の一主面上に絶縁層を介してリードフレームと回路基板とが配設され、リードフレームが絶縁層に接しない部分を有し、該絶縁層に接しない部分が金属板の端面より突出している、及び/又は上方に延び、
少なくとも金属板の電子部品を搭載する面の全面をモールドしてなることを特徴とする電子回路モジュールの製造方法。」である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
上記回路基板が、本願発明では、2層以上の回路を有し、そのうちの1層をシールド層としたものであるのに対し、引用発明では、該限定がなされていない点。

(相違点2)
上記モールドが、本願発明では、トランスファーモールドであるのに対し、引用発明では該限定がない点。

そこで、上記相違点について検討する。
(相違点1)について
インテリジェントパワーモジュールの制御回路部における回路基板として、2層以上の回路を有し、そのうちの1層をシールド層とするものは、本出願前周知であったと認められる。(例えば、特開平5-129515号公報:「図3は従来のインテリジェントパワーモジュール内部を示す断面図であり、図4はその平面図である。図3,図4において、1はアルミベース板、2はエポキシ系の絶縁層、3は銅箔層、4は半田、5は銅ブロック、6は半田、7は半導体素子であり、これら1?7はパワーデバイス部を構成している。8はエポキシ系の接着層、9は銅箔等の導電体からなるシールド層、10はガラスエポキシ基板、11は銅箔の配線、12はスルーホール、13は半田、14はIC等の電子部品であり、これら8?14は制御回路部を構成している。15は銅箔層、16はアルミワイヤである。」(【0002】)、および図3には、インテリジェントパワーモジュールにおいて、制御回路部におけるガラスエポキシ(回路)基板が2層の回路を有し、回路基板下面側をシールド層とする様子が示されている。)
よって、上記引用発明における制御用集積回路素子を搭載する回路基板として、該構成を有する基板を採用することに格別の困難性は認められない。

(相違点2)について
半導体装置の樹脂封止方法として、トランスファーモールドは以下のとおり極めて一般的なものであり、引用発明におけるモールドをトランスファーモールドとすることは当業者が適宜なしえた設計的事項にすぎない。

・特開平5-226575号公報:
「同一ヒートシンク上に、パワー素子と、その制御回路を構成した基板を 搭載するとともに、上記ヒートシンク裏面を露出させた形で全体が外装樹 脂により一体樹脂成形されていることを特徴とする半導体装置。」(【請 求項1】)
「図1において、…トランスファーモールドにてヒートシンク8裏面を露 出させるように一体樹脂成形された…」(【0007】)

・特開平4-258143号公報:
「従来の、樹脂で半導体装置を封止する方法(以下、半導体装置の樹脂封 止方法と称する。)は、特定の溶融粘度の一種類のエポキシ系樹脂を用い てい(「用いて」の誤記)トランスファーモールドを行っていた。」(【 0002】)

そして、本願発明が引用刊行物1に記載された事項および周知技術からは予想しえない効果を奏するものとも認められない。

5.むすび
以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、引用刊行物1に記載された発明および周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願請求項2に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-05-21 
結審通知日 2010-05-25 
審決日 2010-06-16 
出願番号 特願2000-2290(P2000-2290)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 酒井 英夫  
特許庁審判長 徳永 英男
特許庁審判官 田中 永一
鈴木 正紀
発明の名称 金属ベース回路基板、電子回路モジュールとその製造方法  

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