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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) E06B
管理番号 1220872
審判番号 不服2008-23759  
総通号数 129 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-09-17 
確定日 2010-07-30 
事件の表示 特願2003-298521「シャッター装置」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 3月17日出願公開、特開2005- 68755〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成15年8月22日の出願であって、平成20年7月30日付けで拒絶査定がなされ、同年9月17日付けで拒絶査定に対する審判の請求がなされ、同日付けで手続補正書が提出されたものである。
これに対し、当審において、平成22年3月4日付けで拒絶理由通知がなされたところ、平成22年4月26日付けで意見書及び手続補正書が提出された。

2.本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、上記平成22年4月26日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。
「上下方向へ開閉移動可能となったシャッターカーテンと、このシャッターカーテンの開閉移動のため前記シャッターカーテンを巻き取り、繰り出す回転を行う巻取体と、前記シャッターカーテンの下方への繰り出し時における前記巻取体の回転によって戻しばね力が蓄圧され、この蓄圧された戻しばね力が前記シャッターカーテンの巻き取り時の前記巻取体の回転付勢力として利用される戻しばねと、を有しているシャッター装置において、
前記巻取体は、中心部に設けられた回転しない非回転中心軸と、この非回転中心軸を中心に回転自在となっているとともに、前記非回転中心軸の軸方向に離して複数配置されたホイール部材と、前記非回転中心軸から半径方向に離れた位置に配置され、前記ホイール部材同士を連結している連結部材とを含んで構成され、
前記ホイール部材は、半径方向への立ち上がり量を有する側壁部と、この側壁部の外周端から軸方向へ延びる外周壁部とからなるカップ状となっており、
前記戻しばねは、板材を軸方向の同一位置又は略同一位置において渦巻き状に巻回して形成されているぜんまいばねであり、
このぜんまいばねは、前記複数個のホイール部材のうちの少なくとも1個のホイール部材の配置位置において、軸方向の一部がこのホイール部材の内部に挿入されて配設され、
前記ぜんまいばねが配設されている前記ホイール部材の配置位置の位置には、ぜんまいばね駆動部材と不動部材とが配設され、前記ホイール部材に結合されている前記ぜんまいばね駆動部材に前記ぜんまいばねの外端部が連結されているとともに、前記非回転中心軸に結合されている前記不動部材に前記ぜんまいばねの内端部が連結され、
前記不動部材は前記非回転中心軸の外側に配置されているとともに、この不動部材に形成された係止溝に前記ぜんまいばねの内端部が挿入係止されることにより、前記不動部材に前記ぜんまいばねの内端部が連結されていることを特徴とするシャッター装置。」(以下、「本願発明」という。)

3.刊行物の記載事項
刊行物1:実願昭62-171693号(実開平1-75594号)のマイクロフィルム
刊行物2:特開平8-170477号公報

(1)当審における拒絶理由で引用され、本願出願前に日本国内において頒布された上記刊行物1には、図面とともに次のことが記載されている。
(1a)「シヤツターカーテンの上端部を、躯体側に対して回動自在に取付けられた巻取りホイールに連結してなる建築用シヤツターにおいて、前記躯体側と巻取りホイールとの間に、巻取りホイールがシヤツターカーテン閉鎖側に回動することで蓄勢されるバランス弾機を介装するに、前記バランス弾機は接触型の渦巻弾機とし、かつ該渦巻弾機は、シヤツターカーテンが全開状態から全閉状態に至るまでの蓄勢トルク域が、収容ケースより拘束を受ける状態から軸に巻き付く以前の自由状態までの範囲となるよう設定されていることを特徴とする建築用シヤツターにおけるバランス弾機装置。」(実用新案登録請求の範囲)、
(1b)「次に、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。図面において、1は建築用シヤツターのシヤツターカーテンであって、該シヤツターカーテン1は、上端部がシヤツターケース2に内装される後述の巻取りホイール5に連結されており、該巻取りホイール5の手動若しくは電動による正逆回動によってシヤツターカーテン1の左右両側縁がガイドレール3にガイドされながら上下開閉作動をすることで開口部の開閉を行うようになっている。
前記巻取りホイール5は、躯体側に固定される固定軸4に軸心回りに回動自在に取付けられているものであるが、この巻取りホイール5の側辺にバランス弾機を収容する収容ケース6が一体的に取付けられている。そしてこの収容ケース6内にはバランス弾機となる接触型の渦巻弾機(ゼンマイ弾機)7が収容されている。そしてこの渦巻弾機7の内端部は固定軸4に一体的に固着され、外端部は収容ケース6に一体的に固着されることにより躯体側と巻取りホイール5との間に介装されるものであるが、渦巻弾機7の巻数Aは、巻取りホイール5がシヤツターカーテン1を巻取るに必要な巻数Bよりも相当大きくなっており(例えば渦巻弾機7の巻数Nが10であるのに対し、巻取りホイール5の全開時の巻数は5であるが如くである)、そしてシヤツターカーテン1が下降するに従い渦巻弾機7は蓄勢されることになるが、その場合に、渦巻弾機7は、当初は収容ケースに拘束される状態で次第に該拘束を受ける部分がほぐれ、そしてケースによる拘束を受けない自由状態となり、この段階のうちにシヤツターカーテン1が全閉となるように設定されており、全閉となっても渦巻弾機7が固定軸4に巻き付くまでには至らない自由状態であるように設定されている。」(明細書5頁2行?6頁15行)、
(1c)「叙述の如く構成された本考案の実施例において、シヤツターカーテン1は、巻取りホイール5が正逆回転することによって上下昇降動をし、開口部の開閉作動を行うことになり、そして渦巻弾機7は、シヤツターカーテン1の下降に従って次第に蓄勢されることになるが、その場合の蓄勢トルクは、全閉状態となる最大の場合でも渦巻弾機7が固定軸4に巻き付くことのない自由状態となっており、従って渦巻弾機7は、シヤツターカーテン1の開閉過程において、ケース6に拘束されバネ接触面同志の摩擦が関与することによって下弦状態で曲線状に大きく変化するトルク変化域が有効に利用されて、その蓄勢トルクをシヤツターカーテンの下弦状態の曲線で変化する下げトルクに可及的に近似させることができ、従ってシヤツターカーテン1は、バランス弾機によって良くバランスされた状態で開閉することとなり、従来の如くバランスが保たれず下がり気味となったり上がり気味となったりしてしまうことが有効に回避されて、円滑で自在な開閉作動を行うことができることになる。」(同6頁16行?7頁16行)。
(1d)第2図には、巻取りホイール5は、固定軸4の軸方向に離して複数配置され、固定軸4の径方向へ立ち上がった側壁部を有するホイール部材と、前記非回転中心軸から半径方向に離れた位置に配置され、前記ホイール部材同士を連結している連結部材とを含んで構成されていること、渦巻弾機7は板材を軸方向の同一位置において巻回して形成したものであることが示されている。

これらの記載によれば、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる。
「上下方向へ開閉移動可能となったシヤツターカーテン1と、このシヤツターカーテン1の開閉移動のため前記シヤツターカーテン1を巻き取り、繰り出す回転を行う巻取りホイール5と、巻取りホイール5の中心部に設けられた回転しない固定軸4と、前記シヤツターカーテンの下方への繰り出し時における前記巻取体の回転によって戻しばね力が蓄圧され、この蓄圧された戻しばね力が前記シヤツターカーテン1の巻き取り時の前記巻取体の回転付勢力として利用されるバランス弾機と、を有している建築用シヤツターにおいて、
前記巻取りホイール5は、固定軸4を中心に回転自在となっているとともに、前記固定軸4の軸方向に離して複数配置されたホイール部材と、前記固定軸4から半径方向に離れた位置に配置され、前記ホイール部材同士を連結している連結部材とを含んで構成され、
前記ホイール部材は、半径方向への立ち上がり量を有する側壁部を有し、
前記バランス弾機は、板材を軸方向の同一位置において渦巻き状に巻回して形成されている渦巻弾機7であり、
この渦巻弾機7は、巻取りホイール5の端部のホイール部材の外側辺に結合されている収納ケースに収容され、
前記収納ケースに前記渦巻弾機7の外端部が連結され、前記固定軸4に前記渦巻弾機7の内端部が一体的に固着されている建築用シャツター。」

(2)同じく刊行物2には、図面とともに次のことが記載されている。
(2a)「【0012】
【実施例】以下、本発明のカーテン開閉装置の一実施例を具体的に説明する。本実施例のカーテン開閉装置1は、図1及び図2に示すように、建物の垂直な壁面に形成される開口部15の下側に巻取シャフト2が配設され、カーテンとしてのスラットカーテン3を上方から吊持ち、このスラットカーテン3を昇降させる引き上げ式シャッター装置として説明する。」、
(2b)「【0013】まず、前記巻取シャフト2を回動自在に支持する軸4は、図1及び図2に示すように、建物開口部15の下側の左右両側部に配設される一対のブラケット5,5間に水平に架け渡され、両端4aが各ブラケット5の内側面に突設される軸受部5aに回動自在に支持されて取り付けられている。
【0014】巻取シャフト2は、図2に示すように、軸4に対して回動自在となる貫通穴6aを有する円板状のアダプター6と、このアダプター6と外径が同一に形成されこのアダプター6と同様に軸4に対して回動自在な円筒状のスペーサ7と、これらアダプター6とスペーサ7とを連結する連結杆8とで構成され、外周に吊元(図示せず)を介してスラットカーテン3が連結され巻回されるようになっている。」、
(2c)「【0019】また、この巻取プーリ9が固設される前記軸4と巻取シャフト2のアダプター6との間には、付勢部材としての捩じりコイルバネ12が介設されている。この捩じりコイルバネ12は、図2に示すように、一端12aが軸4に固定されるとともに、この軸4に巻装状態とされており、他端12bがアダプター6の板面に固定されている。
【0020】なお、この捩じりコイルバネ12は、予め所定回数捩じられて取り付けられており、軸4に対して回動自在なアダプター6すなわち巻取シャフト2が、この軸4に対して常に一定の方向に回動するように付勢力が働くようになっている。」
(2d)「【0042】さらに、上述した実施例では、このカーテン開閉装置を、建物の垂直な壁面の開口部15の下側に巻取シャフト2を配設し、スラットカーテン3を下から上方に引き上げることで閉鎖となる引き上げ式シャッター装置1とした例について述べたが、・・・また壁面の開口部15の上側に巻取シャフト2を配設し、スラットカーテン3を巻き上げる構造のシャッター装置として構成してもよい。」、
(2e)「【0043】また、上述した実施例では、軸4と巻取シャフト2との間に介設される付勢部材12を捩じりコイルバネで構成した例について述べたが、図7に示すように、渦巻き板バネで構成してもよい。この渦巻き板バネ12の場合は、内周の一端を軸4に固定し、外周の他端を巻取シャフト2を構成する一部、例えば連結杆などに固定させる。そして、このバネ12においても、予め所定回数捩じり取り付け、軸4に対して常に一定の方向に巻取シャフト2が回動するように付勢力を働かせるように設定する。」

これらの記載、特に図7に示す実施例によれば、刊行物2には次の発明が記載されていると認められる。
「上下方向へ開閉移動可能となったスラットカーテン3と、両端が回動自在に支持される軸4と、このスラットカーテン3の開閉移動のため前記スラットカーテン3を巻き取り、繰り出す回転を行う巻取シャフト2と、前記スラットカーテン3の下方への繰り出し時における前記巻取シャフト2の回転によって回動方向に付勢力が付与され、この付勢力が前記スラットカーテン3の巻き取り時の前記巻取シャフト2の回転付勢力として利用されるバネ12と、を有しているシャッター装置において、
前記巻取シャフト2は、前記軸4に対して回動自在となる貫通穴6aを有する円板状のアダプター6と、このアダプター6と外径が同一に形成されこのアダプター6と同様に軸4に対して回動自在な円筒状のスペーサ7と、これらアダプター6とスペーサ7とを連結する連結杆8とで構成され、
前記バネ12は、板材を軸方向の同一位置又は略同一位置において渦巻き状に巻回して形成されている渦巻き板バネであり、
前記渦巻き板バネは、内周の一端を軸4に固定し、外周の他端を連結杆に固定させたシャッター装置。」(以下、「刊行物2記載の発明」という。)

4.対比
本願発明と上記刊行物1記載の発明とを対比すると、
刊行物1記載の発明の「固定軸4」、「バランス弾機」、「渦巻弾機7」は、それぞれ、本願発明の「非回転中心軸」、「戻しばね」、「ぜんまいばね」に相当し、刊行物1記載の発明の「巻取りホイール5」と「固定軸4」を合わせたものが、本願発明の「巻取体」に相当する。
また、刊行物1記載の発明の「収容ケース」は、ホイール部材に連結されてホイール部材とともに回転し、外端部が収容ケースに固定された渦巻弾機7に回転力を与えるものであるから、本願発明の「ぜんまいばね駆動部材」に相当する。
さらに、本願発明において、「非回転中心軸に結合されている不動部材に前記ぜんまいばねの内端部が連結されている」ことと、刊行物1記載の発明において、「固定軸4に前記渦巻弾機7の内端部が一体的に固着されている」こととは、「ぜんまいばねの内端部が非回転中心軸に連結されている」点で共通する。
したがって、両者は、次の一致点及び相違点を有する。
(一致点)
「上下方向へ開閉移動可能となったシャッターカーテンと、このシャッターカーテンの開閉移動のため前記シャッターカーテンを巻き取り、繰り出す回転を行う巻取体と、前記シャッターカーテンの下方への繰り出し時における前記巻取体の回転によって戻しばね力が蓄圧され、この蓄圧された戻しばね力が前記シャッターカーテンの巻き取り時の前記巻取体の回転付勢力として利用される戻しばねと、を有しているシャッター装置において、
前記巻取体は、中心部に設けられた回転しない非回転中心軸と、この非回転中心軸を中心に回転自在となっているとともに、前記非回転中心軸の軸方向に離して複数配置されたホイール部材と、前記非回転中心軸から半径方向に離れた位置に配置され、前記ホイール部材同士を連結している連結部材とを含んで構成され、
前記戻しばねは、板材を軸方向の同一位置又は略同一位置において渦巻き状に巻回して形成されているぜんまいばねであり、
前記ぜんまいばねが配設されている位置には、ぜんまいばね駆動部材が配設され、1個のホイール部材に結合されている前記ぜんまいばね駆動部材に前記ぜんまいばねの外端部が連結され、前記ぜんまいばねの内端部が前記非回転中心軸に連結されているシャッター装置。」
(相違点1)
本願発明は、
ホイール部材が、径方向への立ち上がり量を有する側壁部と、この側壁部の外周端から軸方向へ延びる外周壁部とからなるカップ状となっており、
ぜんまいばねが、複数個のホイール部材のうちの少なくとも1個のホイール部材の配置位置において、軸方向の一部がこのホイール部材の内部に挿入されて配設され、
ぜんまいばね駆動部材が、ぜんまいばねが配設されているホイール部材の配置位置の位置に設けられているのに対し、
刊行物1記載の発明は、
ホイール部材が、径方向への立ち上がり量を有する側壁部を有しているものの、カップ状ではなく、
ぜんまいばねが、ホイール部材の外側辺に配置されており、
ぜんまいばね駆動部材の配置位置は、ぜんまいばねが配設されている位置ではあるが、ホイール部材の外側位置であって、ホイール部材の配置位置ではない点。
(相違点2)
ぜんまいばねと非回転中心軸との連結が、本願発明では、ぜんまいばねの内端部を非回転中心軸に結合されている不動部材に連結されたものであって、不動部材は非回転中心軸の外側に配置されているとともに、この不動部材に形成された係止溝に前記ぜんまいばねの内端部が挿入係止されることにより、前記不動部材に前記ぜんまいばねの内端部が連結されているのに対し、刊行物1記載の発明では、ぜんまいばねの内端部を非回転中心軸に固着する具体的手段が不明な点。

5.判断
(1)まず、上記相違点1について検討する。
ア.刊行物2記載の発明には、巻取の際に付勢力を付与するぜんまいばね(バネ12)を、巻取体の内部に配置することが示されており、刊行物1記載の発明において、ぜんまいばね駆動部材(収容ケース)を、巻取体の内部、ホイール部材の内側に配置することは、刊行物2記載の発明に基いて当業者が容易になしうることである。

イ.本願発明は、ホイール部材が、カップ状となっており、ぜんまいばねが、複数個のホイール部材のうちの少なくとも1個のホイール部材の配置位置において、軸方向の一部がこのホイール部材の内部に挿入されるように、ぜんまいばね及びぜんまいばね駆動部材が、ホイール部材の配置位置に位置されるものであるが、このようにすることの技術的意義は、本願明細書には何ら記載されていない。
この点に関して、請求人は、平成22年4月26日付け意見書において、「ホイール部材の内部に挿入されているこの軸方向の一部の寸法分だけ、巻取体の軸方向の寸法を短縮できることになり、これにより、ぜんまいばねが巻取体の内部に配設されていることと併せ、シャッター装置全体の左右方向の寸法を一層小さくできることになります。」と主張している。
しかし、ぜんまいばね駆動部材を、巻取体の内部に配置することにより、ぜんまいばねを巻取体の外部に配設した場合よりも、ぜんまいばね駆動部材の幅分、非回転中心軸の長さを短くできることは明らかであるが、ぜんまいばね駆動部材を巻取体の内部に配置した場合においては、ホイール部材に外周壁部を設けてカップ状として、ぜんまいばねの軸方向の一部をホイール部材のカップ状の内部に挿入した場合も、ホイール部材を外周壁部のない円板状として、ぜんまいばねをホイール部材に隣接させた場合も、巻取体の非回転中心軸の長さには影響を及ぼさないから、ホイール部材をカップ状として、ぜんまいばねの軸方向の一部をホイール部材のカップ状の内部に挿入することに格別の技術的意義は認められない。
また、ぜんまいばねを設けない他のホイール部材をカップ状とすることにも、格別の技術的意義は認められない。

ウ.そうすると、刊行物1記載の発明において、ぜんまいばね駆動部材(収容ケース)を、巻取体の内部、ホイール部材の内側に配置することは、刊行物2記載の発明に基いて当業者が容易になしうることであり、その際、ホイール部材を外周壁部を有するカップ状とし、ぜんまいばねの軸方向の一部及びぜんまいばね駆動部材をホイール部材の内部に挿入するように配置し、ぜんまいばね駆動部材の配置位置を、ホイール部材の配置位置とすること、その他のホイール部材をもカップ状とすることは、当業者が適宜なしうる設計事項と言わざるをえない。

(2)次に相違点2について検討すると、ぜんまいばねの内端を非回転中心軸に連結するために、非回転中心軸の外側に配置されている不動部材に形成された係止溝にぜんまいばねの内端部を挿入係止することは、周知の技術であり(例えば、実公昭50-14045号公報参照)、刊行物1記載の発明において、ぜんまいばねの内端の固定にこのような不動部材を用いることは、当業者が適宜なしうることである。

(3)そして、本願発明の作用効果は全体として、刊行物1,2記載の発明から予測できる程度のことである。
したがって、本願発明は、刊行物1及び2記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1及び2記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-05-27 
結審通知日 2010-06-01 
審決日 2010-06-16 
出願番号 特願2003-298521(P2003-298521)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (E06B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 神 悦彦  
特許庁審判長 山口 由木
特許庁審判官 伊波 猛
宮崎 恭
発明の名称 シャッター装置  
代理人 安藤 武  

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