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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04L 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04L |
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管理番号 | 1221227 |
審判番号 | 不服2008-14726 |
総通号数 | 129 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-09-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-06-12 |
確定日 | 2010-08-05 |
事件の表示 | 特願2002-151355「監視診断機能付き通信制御装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年12月 5日出願公開、特開2003-348188〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本件出願は、平成14年5月24日の出願であって、平成19年9月5日付けの拒絶理由通知に対し同年11月12日付けで手続補正がなされたものの、平成20年5月1日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年6月12日に拒絶査定不服の審判請求がなされるとともに同年7月14日付けで手続補正がなされたものである。 第2.補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成20年7月14日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.本願発明と補正後の発明 上記手続補正は補正前の平成19年11月12日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された 「複数のノードにそれぞれ接続される複数のインタフェースと、前記複数の各インタフェースに対応し、フレームの送受信を行なう複数の送受信部と、前記各ノード間でのフレームの転送が可能となるように、前記複数の送受信部を相互に接続するバスとを有する通信制御装置において、 前記ノード、前記インタフェース、前記送受信部及び前記バスの少なくともいずれかを監視対象として、この監視対象に関する情報に基づいて、装置の状態を診断する監視診断部を有し、 前記監視診断部は、温度監視部と、電源監視部と、フレームバッファ監視部と、テーブル監視部と、帯域使用率監視部と、伝送エラー監視部とのすべてあるいは任意の組み合わせが接続されている監視診断エンジンを有することを特徴とする監視診断機能付き通信制御装置。」 という発明(以下、「本願発明」という。)を、補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された 「複数のノードにそれぞれ接続される複数のインタフェースと、前記複数の各インタフェースに対応し、フレームの送受信を行なう複数の送受信部と、前記各ノード間でのフレームの転送が可能となるように、前記複数の送受信部を相互に接続するバスとを有する通信制御装置において、 前記ノード、前記インタフェース、前記送受信部及び前記バスの少なくともいずれかを監視対象として、この監視対象に関する情報に基づいて、装置の状態を診断する監視診断部を有し、 前記監視診断部は、温度監視部と、電源監視部と、フレームバッファ監視部と、テーブル監視部と、帯域使用率監視部と、伝送エラー監視部とのすべてあるいは任意の組み合わせが接続されている監視診断エンジンを有するとともに、診断情報を記録するログ記録媒体と、診断情報を診断フレームとして送信する診断フレーム送信部と、前記ログ記録媒体に記録された診断情報を読み出す装置を接続するローカルインタフェースとを有することを特徴とする監視診断機能付き通信制御装置。」 という発明(以下、「補正後の発明」という。)に変更することを含むものである。 2.新規事項の有無、補正の目的要件について 上記補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において、 「監視診断部」が「診断情報を記録するログ記録媒体と、診断情報を診断フレームとして送信する診断フレーム送信部と、前記ログ記録媒体に記録された診断情報を読み出す装置を接続するローカルインタフェースとを有すること」を付加することにより該「監視診断部」の構成を限定し、特許請求の範囲を減縮するものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第3項(新規事項)及び平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号(補正の目的)の規定に適合している。 3.独立特許要件について 上記補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、上記補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのかどうかについて以下に検討する。 (1)補正後の発明 上記「1.本願発明と補正後の発明」の項で認定したとおりである。 (2)引用発明1 原査定の拒絶理由に引用された特開2000-253035号公報(以下、「引用例1」という。)には「ポート監視及び切替機能付きHUB」に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。 ア.「【0005】したがって本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、HUBの接続ノードの使用状態に応じてHUB内の回路への電源供給をオン・オフ制御することで省電力化を図るとともに装置寿命を延ばすことを可能としたHUBを提供することにある。本発明の他の目的は、動作している複数のポートをまとめて1つの通信制御LSIで制御することにより通信制御LSI間のバスを使用することなくパケット転送を効率化する、HUBを提供することにある。本発明のこれ以外の目的、特徴、作用効果等は以下の説明で明らかとされるであろう。」(第3頁第4欄) イ.「【0012】 【実施例】本発明の実施例について図面を参照して以下に説明する。図1は、本発明の一実施例の構成を示す図である。 【0013】図1を参照すると、HUB1は、8つのポート4から構成されるLAN中継装置であり、一例として8台のノード8が各ポート4に接続されているものとする。HUB1は、8つのポート4と、各ポート毎に設けられた送受信制御部3と、ポート接続切替部6と、データ監視部7と、電力供給制御部5と、通信制御LSI2と、を備えて構成されている。 【0014】HUB1において、通信制御LSI2と、送受信制御部3、及びポート4をそれぞれ4つ組み合わせたペアを系統A、系統Bとする。 【0015】通信制御LSI2は、4つのポート4に接続されて各ポート間のパケット転送制御を行う。 【0016】送受信制御部3は、各ポートの物理的な送受信を制御し、受信データの検出を行う。 【0017】電力供給制御部5は、HUB1内の各構成要素に電力供給を行い、データ監視部7からの指示により、電力供給の停止/再開を行う。 【0018】ポート接続切替部6は、データ監視部7からの情報に基づき、通信制御LSI2と送受信制御部3との接続を切替える。 【0019】データ監視部7は、送受信制御部3を通してポート4からのデータ入力の監視を行い、各ポートのデータ入力情報により、必要に応じて、ポート接続切替部6に対してポート接続切替の指示、及び、電力供給制御部5に対して電力供給の停止/再開指示を行う。 【0020】本発明の一実施例の動作について以下にいくつかの具体例に即して説明する。まず、HUB1の8つのポート4すべてにノード8が接続されている場合を想定する。 【0021】HUB1にデータが入力されて送受信制御部3がデータの受信を検出すると、データ監視部7に通知を行う。 【0022】データ監視部7は、送受信制御部3からの通知の有無で、各ポート4へのデータ入力を監視する。送受信制御部3からのデータの受信検出の通知が予め定めた一定期間無い場合、電力供給制御部5に対して電力供給の一時停止するように指示を送出し、また必要に応じてポート接続切替部6へのポート接続切替の指示を行う。データ監視部7は、送受信制御部3からのデータの受信検出通知を受けると、電力供給を停止していた電力供給制御部5に対して電力供給を再開する指示を送出する。データ監視部7は、このようにデータ監視結果に基づき、電力供給制御部5及びポート接続部6に対してそれぞれ所定の指示を行なう。」(第4頁第5-6欄) ウ.「【0036】本発明の第2の実施例について説明する。図5は、本発明の第2の実施例の構成を示す図である。図6は、本発明の第2の実施例の処理フローを示す流れ図である。 【0037】図5を参照すると、本発明の第2の実施例は、図1に示したHUB1内に、さらに温度センサ9を備えたものである。 【0038】温度センサ9は、系統A又は系統Bのいずれかの通信制御LSI2が動作している場合に温度監視を行い、系統A及び系統B双方の通信制御LSI2が動作している時には、温度検出機能を停止する。 【0039】一例として、系統A側のポート4のみが動作しているものとする(図6のステップS31のYES分岐)。温度センサ9は、系統A側通信制御LSI2の上昇温度のチェックを行い(図6のステップS32)、上昇温度と予め定められたしきい値と比較判定し(図6のステップS33)、上昇温度が予め定められたしきい値を超えている場合、データ監視部7に通知を行う。」(第5頁第8欄) 上記引用例1の記載及び図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、 ・上記HUB1は複数のノード8にそれぞれ接続されるポート4と、各ポート4に対応し、物理的な送受信を制御する送受信制御部3を有し(摘記事項イ)、 ・上記HUB1はA系統、B系統それぞれに通信制御LSI2を有し、該通信制御LSI2は4つのポート4に接続されて各ポート間のパケット転送制御を行う(摘記事項イ)が、引用例記載の発明の目的が通信制御LSI間のバスを使用することなくパケット転送を効率化するHUBを提供すること(摘記事項ア)、との記載、及び各ポート4に対応して送受信制御部3が設けられていることによれば、上記HUB1はパケットの転送が可能となるように、複数の送受信制御部3間を相互に接続する通信制御LSI2とバスを有していると言え、 ・上記HUB1は、データ監視部7を有し、該データ監視部7は送受信制御部3からの通知の有無で各ポート4へのデータ入力を監視する(摘記事項イ)から、上記ポート4はデータ監視部7の監視対象であり、また、上記通知は該監視対象に関する情報であると言え、 ・さらに、摘記事項イによれば、ポート4へのデータ入力の監視は、通信制御LSI2への電力供給を停止する余地があるかどうかを判定する目的であることが理解できるから、データ監視部7はHUB1の状態を診断する、と言え、 ・上記データ監視部7には、温度センサ9も接続されており(摘記事項ウ)、 ・上記温度センサ9は、通信制御LSI2の上昇温度と予め定められたしきい値との比較判定や、上記上昇温度が上記しきい値を超えていた場合のデータ監視部7への通知を行う(摘記事項ウ)が、このような動作ないしは処理を行うものは監視診断エンジンと称することができるから、上記温度センサ9は監視診断エンジンを有すると言え、 結局、上記引用例1には以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が開示されている。 「複数のノード8にそれぞれ接続される複数のポート4と、前記複数の各ポート4に対応し、パケットの送受信を行なう複数の送受信制御部3と、前記各ノード8間でのパケットの転送が可能となるように、前記複数の送受信制御部3を相互に接続する通信制御LSIとバスを有するHUB1において、 前記ポート4を監視対象として、この監視対象に関する情報に基づいて、HUB1の状態を診断するデータ監視部7を有し、 前記データ監視部7は、監視診断エンジンを有する温度センサ9が接続されている、監視診断機能付きHUB1。」 (3)引用発明2 同じく原査定の拒絶理由に引用された特開2000-232470号公報(以下、「引用例2」という。)には「スイッチングハブ」に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。 エ.「【0020】図1に示されるように、本発明に係るスイッチングハブは、LANにフレームを送受信する複数のポート108a?108dと、フレームの送受信の制御を行うポート毎の通信制御LSI107a?107dと、MACアドレスとポート番号とを対にして格納するテーブルを構成するアドレス登録メモリ104と、受信したフレームの宛先アドレスでアドレス登録メモリを検索して転送先ポートを判定するアドレス検索部103と、その転送先ポート又は転送先ポートのバッファメモリにフレームのデータを転送するポート毎のデータ転送制御部105a?105dと、フレームのデータの転送に使用される共有バス109と、自ポートで受信したフレームのデータ及び自ポートから送信するべく他のバッファメモリより転送されたデータを一時的に格納するポート毎のバッファメモリ106a?106dと、各バッファメモリに蓄積されるデータの量(データ蓄積量)を複数の敷居値を用いて監視し、ポート別にデータ蓄積量が超えた敷居値に応じて異なるフロー制御を行うデータ蓄積量監視部101と、仮想LANのグループ別に通信頻度を監視してフロー制御を行う通信頻度監視部102とを備えている。」(第3頁第4欄-第4頁第5欄) 上記引用例2の記載及び図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、 ・上記スイッチングハブのポート毎の通信制御LSI107a?107dとポート毎のデータ転送制御部105a?105dとはフレームの送受信を行う複数の送受信部と言え、 ・これらの送受信部は相互に共有バス109で相互に接続されており、 ・上記データ蓄積量監視部101は各送受信部毎のバッファメモリに蓄積されるデータ蓄積量を敷居値を用いて監視し、スイッチングハブの状態を診断しているから、監視診断エンジンを備えていると言え、 結局、上記引用例2には、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が開示されている。 「フレームの送受信を行う複数の送受信部と、前記フレームの転送が可能となるように、前記送受信部を相互に接続するバスとを有するスイッチングハブにおいて、 バッファメモリを監視し監視診断エンジンを有するデータ蓄積量監視部を備える監視診断機能付きスイッチングハブ。」 (4)対比・判断 補正後の発明と引用発明1とを対比すると、 ・引用発明1の「ノード8」、「ポート4」、「送受信制御部3」はそれぞれ補正後の発明の「ノード」、「インタフェース」、「送受信部」に相当し、 ・引用発明1の「データ監視部7」は上記のように監視及び診断を行うものであるから、補正後の発明の「監視診断部」に相当し、 ・引用発明1の「パケット」と補正後の発明の「フレーム」はいずれもネットワークを流れるデータである点で共通しており、 ・引用発明1の「複数の送受信制御部3を相互に接続する通信制御LSIとバス」と補正後の発明の「複数の送受信部を相互に接続するバス」はいずれも複数の送受信部を相互に接続する部材である点で共通しており、 ・引用発明1の「前記ポート4を監視対象」とすること、は、補正後の発明の「前記ノード、前記インタフェース、前記送受信部及び前記バスの少なくともいずれかを監視対象」とすること、に含まれ、 ・引用発明の「HUB1」が「通信制御装置」に含まれることは技術常識であり、 以上を総合すれば、両者は、以下の点で一致ないし相違している。 (一致点) 「複数のノードにそれぞれ接続される複数のインタフェースと、前記複数の各インタフェースに対応し、ネットワークを流れるデータの送受信を行なう複数の送受信部と、前記各ノード間でのネットワークを流れるデータの転送が可能となるように、前記複数の送受信部を相互に接続する部材とを有する通信制御装置において、 前記ノード、前記インタフェース、前記送受信部及び前記バスの少なくともいずれかを監視対象として、この監視対象に関する情報に基づいて、装置の状態を診断する監視診断部を有する、監視診断機能付き通信制御装置。」 (相違点1) 「ネットワークを流れるデータ」に関し、補正後の発明は「フレーム」であるのに対し、引用発明1は「パケット」である点。 (相違点2) 「複数の送受信部を相互に接続する部材」に関し、補正後の発明は「バス」であるのに対し、引用発明1は「通信制御LSIとバス」である点。 (相違点3) 「監視診断部」に関し、補正後の発明は「監視診断エンジン」を有するとともに該「監視診断エンジン」に「温度監視部と、電源監視部と、フレームバッファ監視部と、テーブル監視部と、帯域使用率監視部と、伝送エラー監視部とのすべてあるいは任意の組み合わせが接続されている」のに対し、引用発明1は「監視診断エンジンを有する温度センサ9が接続されている」点。 (相違点4) 「監視診断部」に関し、補正後の発明はさらに「診断情報を記録するログ記録媒体と、診断情報を診断フレームとして送信する診断フレーム送信部と、前記ログ記録媒体に記録された診断情報を読み出す装置を接続するローカルインタフェースとを有する」のに対し、引用発明1はそのような構成を有しない点。 以下に、上記相違点1?4につき検討する。 (相違点1)について 引用発明2の監視診断機能付きスイッチングハブにおいては、ネットワークを流れるデータがフレームであり、引用発明1と引用発明2はともに監視診断機能付き通信制御装置であって同一の技術分野に属する発明であるから、上記引用発明1の「パケット」を「フレーム」とすることは引用発明2に基づいて当業者が容易に想到し得たものと認められる。 (相違点2)について 引用発明2の監視診断機能付きスイッチングハブは、フレームの転送が可能となるように送受信部を相互に接続する部材としてバスを備えているが、引用発明1の通信制御LSIとバスもパケットの転送が可能となるように送受信部を相互に接続しており、機能上両者に差異は無い。 そして、引用発明1と引用発明2はともに監視診断機能付き通信制御装置であって同一の技術分野に属する発明であるから、引用発明1の通信制御LSIとバスをバス構成とすることは引用発明2に基づいて当業者が容易に想到し得たものと認められる。 (相違点3)について まず、引用発明1の温度センサ9は温度上昇のチェックを行うものであるから、補正後の発明の「温度監視部」に相当し、引用発明2のデータ蓄積量監視部は、送受信部のバッファメモリを監視するものであるから、補正後の発明の「フレームバッファ監視部」に相当する。また、引用発明1の温度センサ9と引用発明2のデータ蓄積量監視部とはいずれも監視診断エンジンを備えた監視部と言え、監視対象もハブ内部の構成部品である点で共通するから、これらを組み合わせて用いること自体に何ら困難性は見当たらない。そのとき、温度センサ9とデータ蓄積量監視部との組合せは、補正後の発明の「温度監視部と、電源監視部と、フレームバッファ監視部と、テーブル監視部と、帯域使用率監視部と、伝送エラー監視部とのすべてあるいは任意の組み合わせ」に含まれることは自明である。 そして、引用発明1の温度センサ9の監視診断エンジンと引用発明2のデータ蓄積量監視部の監視診断エンジンは、測定値としきい値との比較に基づいて診断を行うという同様の監視診断手法を用いるものであり、さらに、引用発明1の監視診断部はそもそもポートの監視診断を行うものであることを勘案すれば、引用発明1の温度センサ9と引用発明2のデータ蓄積量監視部を組み合わせるとともに、双方の監視診断エンジンを引用発明1の監視診断部に備えさせることにより、引用発明1の監視診断部を、監視診断エンジンを有するとともに該監視診断エンジンに温度監視部と、電源監視部と、フレームバッファ監視部と、テーブル監視部と、帯域使用率監視部と、伝送エラー監視部とのすべてあるいは任意の組み合わせが接続されている構成、とすることは、引用発明2に基づいて当業者が容易に想到し得たものと認められる。 (相違点4)について ネットワーク間接続装置等の通信制御装置において、装置の障害情報履歴をメモリ、つまり、ログ記録媒体に記録し、必要に応じて外部の監視装置等に出力することは、例えば、特開平11-355374号公報(段落【0017】-【0019】、【0023】)、特開平10-93559号公報(段落【0012】-【0014】、【図22】、【図25】、【図28】)等にも記載されているように周知技術に過ぎないし、外部の監視装置等への具体的な出力手段として、フレームによる伝送やインターフェースからの読み出し等の慣用手段を用いることに何ら困難性は認められないから、引用発明1の監視診断部に上記周知技術を適用し、「診断情報を記録するログ記録媒体と、診断情報を診断フレームとして送信する診断フレーム送信部と、前記ログ記録媒体に記録された診断情報を読み出す装置を接続するローカルインタフェースとを有する」構成とすることは当業者が容易に想到し得たものと認められる。 また、補正後の発明の作用・効果も引用発明1,2および上記周知技術から当業者が予測し得る範囲のものである。 4.結語 以上のとおり、本件補正は、補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合していない。 したがって、本件補正は、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3.本願発明について 1.本願発明 平成20年7月14日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は上記「第2.補正却下の決定」の項中の「1.本願発明と補正後の発明」の項で「本願発明」として認定したとおりである。 2.引用発明 引用発明は、上記「第2.補正却下の決定」の項中の「3.独立特許要件について」の項中の「(2)引用発明1」、「(3)引用発明2」の項で認定したとおりである。 3.対比・判断 そこで、本願発明と引用発明1とを対比するに、本願発明は上記補正後の発明から当該補正に係る限定を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成に当該補正に係る限定を付加した補正後の発明が、上記「第2.補正却下の決定」の項中の「3.独立特許要件について」の項で検討したとおり、引用例1,2の記載および周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、本願発明も同様の理由により、容易に発明できたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例1,2の記載および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-06-02 |
結審通知日 | 2010-06-08 |
審決日 | 2010-06-21 |
出願番号 | 特願2002-151355(P2002-151355) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(H04L)
P 1 8・ 121- Z (H04L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 安藤 一道、吉田 隆之 |
特許庁審判長 |
山本 春樹 |
特許庁審判官 |
新川 圭二 高野 洋 |
発明の名称 | 監視診断機能付き通信制御装置 |
代理人 | 木内 光春 |