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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02F
管理番号 1221251
審判番号 不服2009-608  
総通号数 129 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-01-07 
確定日 2010-08-05 
事件の表示 特願2005- 35680「液晶表示パネルおよび電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 7月28日出願公開、特開2005-202424〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成13年12月7日に出願した特願2001-374040号の一部を平成17年2月14日に新たな特許出願としたものであって、平成19年8月17日付けで手続補正がなされたところ、平成20年12月1日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成21年1月7日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

2.本願発明
本願の請求項に係る発明は、平成19年8月17日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるものであると認められるところ、請求項1に係る発明は次のものである。
「相互に対向する第1基板と第2基板との間に液晶を有する液晶表示パネルにおいて、
前記第2基板は、光を反射させる反射層が配置されてなる反射部と、光を透過させる透光部を有し、
前記反射層に対して観察側に設けられ、赤色、緑色または青色のいずれかに対応する波長の光を透過させる複数のカラーフィルタであって、各々が、少なくとも前記透光部に重なる濃色部、および前記反射部に重なり当該濃色部よりも光学濃度が低い淡色部を有する複数のカラーフィルタを具備し、
前記カラーフィルタの各々は、前記カラーフィルタを構成する樹脂材料に予め混入された着色剤に応じて光学濃度が定められ、
CIE色度図において、前記透光部に光を透過させて透過型表示を行なったときの色再現領域の面積が、前記反射層に光を反射させて反射型表示を行なったときの色再現領域の面積の3.5倍以上であって5倍以下となるように、前記濃色部および淡色部の光学濃度が選定されていることを特徴とする液晶表示パネル。」(以下「本願発明」という。)

3.刊行物の記載事項
(1) 原査定の拒絶理由に引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2001-133777号公報(以下「引用例1」という。)には、下記の事項が記載されている。

ア「【特許請求の範囲】
【請求項1】一対の透明基板と、該一対の透明基板間に挟持された液晶層と、前記一対の基板の一方に配置した光源と、該光源から出射される光を集光する集光手段と、を有する液晶表示装置であって、
前記一対の透明基板の前記光源側に配置された一方の基板は、前記光源側とは反対側から入射された光を反射する反射部と、前記集光手段により集光された光を前記光源側とは反対側に出射する開口部を有する液晶表示装置。
・・・
【請求項9】請求項1の液晶表示装置において、前記一対の透明基板のいずれか一方は、カラーフィルタを有し、前記開口部に対応するカラーフィルタの色素量は、前記反射部に対応するカラーフィルタの色素量よりも多いことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項10】請求項9の液晶表示装置において、前記開口部に対応するカラーフィルタの色素量は、前記反射部に対応するカラーフィルタの色素量の2倍以上,10倍以下である液晶表示装置。」

イ「【0031】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、具体例を用いてより詳細に説明する。
【0032】本発明の実施例1の液晶表示装置の断面を図1に示す。主に第一の基板11と液晶層13と第二の基板12と集光手段33と補助光源31から構成され、第一の基板と第二の基板は液晶層を挟持し、集光手段と補助光源は第二の基板の背後に配置されている。
【0033】第一の基板の液晶層に近接する側に薄膜トランジスタ19と第一の配向膜23を有する。薄膜トランジスタは逆スタガ型であり、走査配線14と信号配線15と画素電極17に接続されている。走査配線と信号配線は第一の絶縁層25で絶縁されている。走査配線と信号配線は第一の基板に近接する側に反射防止層16を有する。
【0034】第二の基板は液晶層に近接する側に反射板34と第二の絶縁層26とカラーフィルタ層厚調整層22とカラーフィルタ20とブラックマトリクス21と平坦化層35と共通電極18と第二の配向膜24を有する。
・・・
【0038】本実施例では、カラーフィルタ層厚調整層の厚さを約2.0μm とし、反射表示部のカラーフィルタの厚さを約0.5μm ,補助光源開口部のカラーフィルタの厚さを約2.5μm とした。反射表示部と補助光源開口部のカラーフィルタの厚さの比は約1/5である。
【0039】単位体積あたりの色素量を一定とすれば、光が通過するカラーフィルタの厚さを増大すると色純度は向上するが、透過率は低下する。反射表示時と補助光源点燈時において光が通過するカラーフィルタの厚さを等しくして、両表示の色純度をほぼ等しくするためには、反射表示部と補助光源開口部のカラーフィルタの厚さの比は1/2にすればよい。しかし、反射型液晶表示装置の場合、色純度よりも明るさが重視され、カラーフィルタの厚さは主に充分な明るさを与える値に決定される。そのため反射表示時の色純度は充分とは言えず、補助光源点燈時にはより高い色純度が要求される。1/2は反射表示部と補助光源開口部のカラーフィルタの厚さの比の上限値であり、これ以下の値が要求される。
【0040】光が通過するカラーフィルタの厚さを更に増大すると、色純度の向上は飽和し、その一方で透過率の低下は続く。補助光源の明るさを増大すれば透過率の低下を補うことができるが、色純度の向上が得られないならばメリットが少ない。そのため、反射表示部と補助光源開口部のカラーフィルタの厚さの比には下限値が存在する。反射表示部を二回通過したときに十分な明るさの反射表示を与えるように単位体積あたりの色素量を定めた上で、反射表示部と補助光源開口部のカラーフィルタの厚さの比を変えれば、およそ1/8?1/10付近で色純度の向上に飽和が生じる。そのため、1/8?1/10が反射表示部と補助光源開口部のカラーフィルタの厚さの比との下限値と言える。
【0041】以上より、反射表示部と補助光源開口部のカラーフィルタの厚さの比は1/2から1/10の範囲内とすればよい。本実施例では、反射表示部と補助光源開口部のカラーフィルタの厚さの比を上記範囲のほぼ中央の値とした。
・・・
【0054】反射表示時の表色範囲と補助光源点燈時の表色範囲を図5に示す。補助光源点燈時にはより広い表色範囲の表示が得られた。また、この表色範囲は従来の透過型液晶表示装置のそれとほぼ同等であった。
【0055】以上のように、一画素内に補助光源開口部と反射表示部を形成し、補助光源開口部のカラーフィルタの層厚を反射表示部のそれよりも厚くし、補助光源点燈時には集光手段を用いて補助光源光を補助光源開口部に集光し、補助光源非点燈時には反射表示部で外部からの入射光を反射して表示を行うことにより、明るい環境と暗い環境の両方で良好な表示の得られる液晶表示装置が得られた。
・・・
【0086】実施例1の液晶表示装置において、第二の基板上のカラーフィルタを異なる方法で形成した。
【0087】カラーフィルタは、まず初めに無色透明のバインダ層を形成し、これにインクジェットプリンタでインクを塗布することにより形成した。本実施例で採用したカラーフィルタの作成方法を図13に示す。まず初めに、第二の基板上に浸透防止層49を形成した(図13(a))。浸透防止層は色の異なるカラーフィルタの境界と、反射表示部のカラーフィルタ47と補助光源開口部のカラーフィルタ48の境界に分布し、その層厚は2μm、幅は5μmである。次に、バインダ層をスピンコート法で第1の基板上に膜状に形成した(図13(b))。バインダ層はアクリル系の樹脂であり、その層厚は約2μmである。反射表示部に対応する部分と補助光源開口部に対応する部分に、単位面積あたりのインクの塗布量を変えてインクを塗布した(図13(c))。反射表示部に対応する部分と補助光源開口部に対応する部分のインクの塗布量の比は、約1/5とした。図13(d)はR,G,Bの各カラーフィルタにインクの塗布が終了した状態であり、カラーフィルタの各部分には全体にわたってインクが浸透しており、かつ浸透防止層により定められた領域外への浸透が防止されている。この後、バインダ層への他の層の浸透を防止するために、バインダ層の上層に保護層を形成してもよい。
【0088】本実施例の液晶表示装置の断面図を図14に示す。図1に示した実施例1の液晶表示装置と異なりカラーフィルタ層厚調整層がなく、反射表示部と補助光源開口部のカラーフィルタの層厚は等しい。反射表示部と補助光源開口部のカラーフィルタは色素濃度が異なる。
【0089】反射表示部に対応する部分と補助光源開口部に対応する部分のインクの塗布量の比の最適範囲は、実施例1における層厚の比の最適範囲と同様に、1/2から1/10である。その理由について以下に説明する。カラーフィルタを層厚がd、色素濃度がc,色素の単位密度あたりの吸光係数がαの光吸収媒体とみなし、波長がλ,強度がI_(0) の光がこれを透過してその強度がIになったとすると、ランベルトの法則によれば光の減衰率の逆数I_(0) /Iは次式により表される。
【0090】
Log(I_(0) /I)=αcd (1)
実施例1ではαとcが一定であり、dだけが変化した。本実施例の場合にはαとdが一定であり、cが変化する。実施例1において反射表示部のカラーフィルタの層厚がd_(r )、光の強度がI_(r) 、補助光源開口部のカラーフィルタの層厚がd_(e) 、光の強度がI_(e) であり、d_(e) /d_(r) が許容しうるI_(e) とI_(r) を与えるものとすると、(1)式よりd_(e )/d_(r) は次式で表される。
【0091】
d_(e)/d_(r)=Log(I_(0)/I_(e))/Log(I_(0)/I_(r)) (2)
同様にして、反射表示部のカラーフィルタの色素濃度がc_(r)、光の強度がI_(r)、補助光源開口部のカラーフィルタの色素濃度がc_(e) 、光の強度がI_(e) であり、c_(e) /c_(r )が許容しうるI_(e) とI_(r) を与えるものとすると、同様にしてc_(e) /c_(r) は次式で表される。
【0092】
c_(e)/c_(r)=Log(I_(0)/I_(e))/Log(I_(0)/I_(r)) (3)
(2)式と(3)式の右辺は等しいため、(2)式と(3)式の左辺も等しい。故に、許容しうるI_(e )とI_(r )を与えるd_(e)/d_(r)の範囲は、許容しうるI_(e) とI_(r)を与えるc_(e)/c_(r)の範囲に等しいことになる。
【0093】以上のことは可視波長内の各波長においても成り立つので、色相を考慮した場合についてもこれと同様である。すなわち、許容しうる反射表示部と補助光源開口部の色相の組み合せを与えるd_(e)/d_(r)の範囲は、許容しうる反射表示部と補助光源開口部の色相の組み合せを与えるc_(e)/c_(r)の範囲に等しい。
【0094】本実施例では、反射表示部と補助光源開口部の色素量の比を上記の範囲のほぼ中央である約1/5とした。
【0095】表示特性を測定したところ、反射表示,補助光源点燈時とも実施例1の液晶表示装置とほぼ同様の値が得られた。この様に、インクジェットプリンタを用いてカラーフィルタを作成した場合にも、明るい環境と暗い環境の両方で良好な表示が得られる液晶表示装置が得られた。」

ウ「【0115】本発明によれば、比較的高い開口率を有する画素反射板により昼間の屋外等の明るい環境下では良好な反射表示が得られる。補助光源を点燈しない場合に、本発明の液晶表示装置は従来の反射型液晶表示装置と同等の低消費電力になる。また、補助光源と集光手段と入射部傾斜反射板,出射部傾斜反射板の作用により、屋内や夜間のような暗い環境下でも従来の透過型液晶表示装置と同様に色純度の高い良好な透過表示が得られる。また、両者の中間の薄明かりにおいて、反射表示と透過表示を併用しても、何れか一方が主の場合とほぼ同様のコントラスト比の表示が得られる。」

エ 上記アないしウから、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「一対の透明基板と、該一対の透明基板間に挟持された液晶層と、前記一対の基板の一方に配置した光源と、該光源から出射される光を集光する集光手段と、を有する液晶表示装置であって、
前記一対の透明基板の前記光源側に配置された一方の基板は、前記光源側とは反対側から入射された光を反射する反射部と、前記集光手段により集光された光を前記光源側とは反対側に出射する開口部を有するとともに、R,G,Bのカラーフィルタを有し、前記開口部に対応するカラーフィルタの色素量は、前記反射部に対応するカラーフィルタの色素量よりも多く色純度の高い、液晶表示装置。」

(2) 原査定の拒絶理由に引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2000-298271号公報(以下「引用例2」という。)には、下記の事項が記載されている。

「【0062】(実施の形態3)実施の形態3の液晶表示素子について図4を用いて説明する。図4は、実施の形態2と概ね同様の構成であり、ここでは、異なる部分についてのみ説明する。
【0063】実施の形態3のカラーフィルタ層は、実施の形態2と同様に対向基板側に設けたが、各色ごとに、反射領域と透過領域のカラーフィルタ層を別の工程により形成したことが異なる。カラーフィルタ層は、実施の形態1、2と同様、顔料を含むネガ形レジストを塗布、マスク露光、現像して各色ごとに形成するが、この工程を各色(赤、緑、青)および反射領域と透過領域について計6回実施し、図4のカラーフィルタ層17、18、19を設けた。ここで、カラーフィルタ層17、18、19の厚みはいずれも2μmとし、反射領域を構成するカラーフィルタ層17b、18b、19bの光学濃度は、透過領域を形成するカラーフィルタ層17a、18a、19aの光学濃度のおよそ2分の1になるようにネガ形レジストに混入する顔料の量を調整した。
【0064】このようにすることで、実施の形態1、2と同様にカラーフィルタ層の厚みが同じ場合でも、カラーフィルタ層の光学濃度を適切に調整でき、実施の形態1、2と同様に色再現の不具合を解決することができる。
【0065】なお、実施の形態2と同様に、基板1側にカラーフィルタ層を形成した場合にも、同様の効果を得ることができる。」


4.対比
本願発明と引用発明とを対比する。

(1)引用発明の「液晶表示装置」は、「一対の透明基板と、該一対の透明基板間に挟持された液晶層と」、を有し、「前記一対の透明基板の前記光源側に配置された一方の基板は、前記光源側とは反対側から入射された光を反射する反射部と、前記集光手段により集光された光を前記光源側とは反対側に出射する開口部を有する」ので、引用発明は、本願発明の「相互に対向する第1基板と第2基板との間に液晶を有する液晶表示パネルにおいて、前記第2基板は、光を反射させる反射層が配置されてなる反射部と、光を透過させる透光部を有し、」との構成を具備する。

(2)引用発明は、「前記一対の透明基板の前記光源側に配置された一方の基板は、前記光源側とは反対側から入射された光を反射する反射部と、前記集光手段により集光された光を前記光源側とは反対側に出射する開口部を有するとともに、R,G,Bのカラーフィルタを有し、前記開口部に対応するカラーフィルタの色素量は、前記反射部に対応するカラーフィルタの色素量よりも多く色純度の高い」ものであるので、引用発明は、本願発明の「『前記第2基板』は、『前記反射層に対して観察側に設けられ、赤色、緑色または青色のいずれかに対応する波長の光を透過させる複数のカラーフィルタであって、各々が、少なくとも前記透光部に重なる濃色部、および前記反射部に重なり当該濃色部よりも光学濃度が低い淡色部を有する複数のカラーフィルタを具備する』」との構成を具備する。

したがって、本願発明と引用発明とは、
「相互に対向する第1基板と第2基板との間に液晶を有する液晶表示パネルにおいて、
前記第2基板は、光を反射させる反射層が配置されてなる反射部と、光を透過させる透光部を有し、
前記反射層に対して観察側に設けられ、赤色、緑色または青色のいずれかに対応する波長の光を透過させる複数のカラーフィルタであって、各々が、少なくとも前記透光部に重なる濃色部、および前記反射部に重なり当該濃色部よりも光学濃度が低い淡色部を有する複数のカラーフィルタを具備する、
液晶表示パネル。」の点で一致し、下記の点で相違する。

相違点1:
本願発明は、「前記カラーフィルタの各々は、前記カラーフィルタを構成する樹脂材料に予め混入された着色剤に応じて光学濃度が定められ」たものであるのに対し、引用発明は、そのようなものであるか明らかでない点。

相違点2:
本願発明は、「CIE色度図において、前記透光部に光を透過させて透過型表示を行なったときの色再現領域の面積が、前記反射層に光を反射させて反射型表示を行なったときの色再現領域の面積の3.5倍以上であって5倍以下となるように、前記濃色部および淡色部の光学濃度が選定されている」のに対して、引用発明は、そのようなものであるか明らかでない点。


5.判断

(1)相違点1について
上記3.(2)によれば、引用例2には、「各色ごとに、反射領域と透過領域のカラーフィルタ層を、顔料を含むネガ形レジストを塗布、マスク露光、現像して形成し、反射領域を構成するカラーフィルタ層の光学濃度を、透過領域を形成するカラーフィルタ層光学濃度のおよそ2分の1になるようにネガ形レジストに混入する顔料の量を調整し、カラーフィルタ層の厚みが同じ場合でも、カラーフィルタ層の光学濃度を適切に調整できる」旨の記載が認められ、これによれば、引用例2には、「カラーフィルタの各々の光学濃度が、前記カラーフィルタを構成する樹脂材料に予め混入された着色剤に応じて定められる」との技術的事項が開示されているものと認められる。
そして、引用発明に引用例2の上記技術的事項を適用して、引用発明を本願発明の相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(2)相違点2について
本願発明において、「CIE色度図において、前記透光部に光を透過させて透過型表示を行なったときの色再現領域の面積が、前記反射層に光を反射させて反射型表示を行なったときの色再現領域の面積の3.5倍以上であって5倍以下となるように、前記濃色部および淡色部の光学濃度が選定されている」ことの技術的意義は、本願明細書を参酌すると、「反射型表示および透過型表示の双方において良好な表示品位が維持される」(段落【0014】、【0037】)ことにあるものと認められるが、引用例1の段落【0115】(上記3.(1)ウ)の記載からして、引用発明においても、「反射型表示および透過型表示の双方において良好な表示品位が維持される」べきことは当業者において明らかであり、その手段として、開口部及び反射部にそれぞれ対応するR,G,Bのカラーフィルタの色素量を適宜定めればよいことは当業者において明らかであるので、引用発明の開口部及び反射部にそれぞれ対応するR,G,Bのカラーフィルタの色素量を適宜定めて、本願発明の相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(3)本願発明の作用効果
そして、本願発明の作用効果も、引用発明及び引用例1ないし2に記載された技術的事項に基づいて当業者が予測し得るものである。

(4)小括
よって、本願発明は、引用発明及び引用例1ないし2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


6.むすび
本願発明は、引用発明及び引用例1ないし2に記載された技術的事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-06-02 
結審通知日 2010-06-08 
審決日 2010-06-21 
出願番号 特願2005-35680(P2005-35680)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 磯野 光司柏崎 康司  
特許庁審判長 吉野 公夫
特許庁審判官 右田 昌士
田部 元史
発明の名称 液晶表示パネルおよび電子機器  
代理人 須澤 修  
代理人 上柳 雅誉  
代理人 宮坂 一彦  

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