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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1221326
審判番号 不服2008-28117  
総通号数 129 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-11-04 
確定日 2010-08-02 
事件の表示 特願2003-193651「レジスト剥離方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 2月 3日出願公開、特開2005- 32819〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成15年7月8日の出願であって、平成19年8月10日付けの拒絶理由の通知に対し、同年10月3日付けで手続補正がなされたが、平成20年9月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月4日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、平成19年10月3日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された下記のとおりのものと認められる。

「基板を保持して回転させる基板保持回転手段に処理対象の基板を保持させる基板保持工程と、
上記基板保持回転手段に保持された基板の表面に硫酸および過酸化水素水を供給して、当該基板の表面に形成されているレジスト膜を剥離するレジスト剥離工程と、
このレジスト剥離工程後に、上記基板保持回転手段に保持された基板の表面に温水生成部で生成された温水を供給して、当該基板の表面に付着している硫黄成分を、硫酸および過酸化水素水とともに温水で洗い流す工程と
を含むことを特徴とするレジスト剥離方法。」

3.引用刊行物
(1)刊行物1
これに対して、本願出願前に頒布されたことが明らかであり、原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された特開2001-129495号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審にて付与した。)

1a.「【請求項1】 処理液を回転される基板に向けて噴射してこの基板を処理する基板の処理方法において、
混合されることで溶解熱を発生する複数の処理液を上記基板に向けて噴射する直前で混合することを特徴とする基板の処理方法。
【請求項2】 上記複数の処理液は、硫酸と過酸化水素水であることを特徴とする請求項1記載の基板の処理方法。」

1b.「【請求項4】 処理液を回転される基板に向けて噴射してこの基板を処理する基板の処理装置において、
上記基板を保持して回転駆動される回転体と、
混合室及びこの混合室に連通する噴射孔を有し上記回転体に保持される基板に対向して配置されるノズル体と、
このノズル体の混合室に接続され混合されることで溶解熱を発生する複数の処理液を上記混合室に別々に供給する複数の供給管とを具備したことを特徴とする基板の処理装置。」

1c.「【0006】そこで、プラズマアッシングに代わって上記レジストパターンをそれぞれ処理液である硫酸と過酸化水素水とを混合した混合処理液を用いて分解除去するということが考えられている。
【0007】その場合、基板を回転駆動される回転体に保持し、この回転体によって回転される基板に向けて上記混合処理液を噴射することで、基板に設けられたレジストパターンを分解除去するということが行われる。」

1d.「【0023】図1乃至図3はこの発明の第1の実施の形態で、図1は基板の処理装置を示し、・・・
【0024】・・・回転軸4が挿通されている。この回転軸4の・・・上端は回転体5の下面に取付けられている。この回転体5の上面には液晶表示装置に用いられるガラス基板などの基板6の下面を支持する複数の支持ピン7と、上記基板6の外周面に係合する複数の係合ピン8とが設けられている。
【0025】・・・回転軸4の下端部は第1のモータ9の回転軸9aに連結されている。したがって、上記第1のモータ9が作動すれば、上記回転体5が上記基板6とともに回転駆動されるようになっている。
【0026】?【0028】省略
【0029】上記回転体11に保持される基板6の上面側には、この基板6の上面に処理液を噴射するノズル体31が配置されている。このノズル体31は揺動機構32によって上記基板6の径方向に沿って揺動駆動されるようになっている。この揺動機構32は円筒状の水平アーム33を有し、この水平アーム33の先端部に上記ノズル体31が設けられている。」
【0030】上記水平アーム33の基端部には軸線を垂直にした駆動軸としての中空状のスプライン軸34の上端が連結部材35を介して連結されている。上記スプライン軸34の下端部は第2の支持板36に形成された通孔37を通され、取付板38の一端部に設けられた軸受39に回転自在に支持されている。
【0031】?【0033】(省略)
【0034】上記ノズル体31は、図2に示すように本体51を有する。この本体51には混合室52及びこの混合室52に一端を連通させ、他端を本体51の先端面に開口させた噴射孔53が形成されている。
【0035】上記混合室52には第1の供給管54と第2の供給管55とが接続されている。第1の供給管54からは上記混合室52に第1の処理液が供給され、第2の供給管55からは第2の処理液が供給されるようになっている。第1の処理液としてはたとえば硫酸(H_(2)SO_(4))が用いられ、第2の処理液としてはたとえば過酸化水素水(H_(2)O_(2))が用いられる。
【0036】上記第1の処理液と第2の処理液は上記混合室52で混合して混合処理液となる。第1、第2の処理液が混合処理液となると溶解熱を発生する。そのため、混合処理液は所定温度に温度上昇してノズル体31の噴射孔53から基板6に向けて噴射することになる。
【0037】上記第1、第2の処理液は、ノズル体31の混合室52で十分に混合されずに噴射孔53から基板6に向けて噴射する虞がある。そのような場合,混合処理液の温度が十分に上昇せず、それによって基板6の処理が良好かつ円滑に行われなくなることがある。
【0038】そこで、上記ノズル体31の混合室52に供給された第1、第2の処理液は、このノズル体31に設けられた混合手段61によって十分に混合されてから上記噴射孔53から基板6に向けて噴射されるようになっている。」

1e.「【0047】このような構成の処理装置において、基板6に形成された難溶解性のレジストパターンや有機膜などを除去する場合には、まず、回転体5に基板6を保持したならば、この回転体5を回転させるとともに、ノズル体31を基板6の中心部分の上方に位置決めし、このノズル体31の混合室52に第1の供給管54と第2の供給管55とによって第1の処理液と第2の処理液とを供給する。
【0048】第1の処理液と第2の処理液とは上記混合室52及び噴射孔53に設けられた混合手段61を構成する2枚の障害部材62a,62bに衝突することで渦流となって十分に混合する。そして、混合処理液となることで溶解熱を発生して、噴射孔53から基板6の中心部分に向けて噴射する。基板6の中心部分に噴射された混合処理液は回転する基板6の遠心力で周辺部分へ流れる。それによって、基板6に形成されたレジストパターンや有機膜などは混合処理液によって分解処理されることになる。」

1f.「【0058】そして、混合処理液による処理が終了したならば、基板6をリンス処理してから乾燥処理を行うようにすればよい。」

上記の事項から、刊行物1には、以下の発明が開示されていると認められる。(以下、「刊行物1発明」という。)

「基板6に形成された難溶解性のレジストパターンを除去する方法であって、
回転体5に基板6を保持したならば、この回転体5を回転させるとともに、
硫酸と過酸化水素水とである混合処理液を基板6の中心部分に向けて噴射して、
基板6に形成されたレジストパターンを分解除去し、
上記混合処理液による処理が終了したならば、基板をリンス処理すること、
を含む方法。」

(2)刊行物2
本願出願前に頒布されたことが明らかであり、原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用された特開平9-213612号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審にて付与した。)

2a.「【請求項1】半導体ウエハー上に形成した金属導電膜上のフォトレジストを剥離する際、塩基性剥離液でフォトレジストを剥離後、過酸化物を含有する水で洗浄することを特徴とする半導体装置の製造方法。」

2b.「【0015】本発明におけるリンス液の使用温度は室温で充分であるが、必要に応じて適宜加熱あるいは超音波を併用することができる。・・・」

(3)刊行物3
本願出願前に頒布されたことが明らかであり、原査定の拒絶の理由に引用文献3として引用された国際公開第02/1609号(以下、「刊行物3」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。(訳文は、特表2004-519088号公報【0029】による。下線は当審にて付与した。)

3a.「[0050] After between 20-50 seconds the flow of HF is stopped
and the wafer is exposed to a DI water rinse step as setforth in
step 820. During the DI water rinse step 820 DI water is fed
through nozzle 614 while wafer 608 is rotated at between 10-1000
rpm and transducers 604 are optionally active to rinse wafer 608.
The rinse temperature is typically approximately between 19-23℃,
and may be heated. During the water rinse step 820, the backside
of wafer 608 can also be rinnsed by flowing DI water into gap 618.」

(訳文: 20?50秒後、HFの流れが停止され、ステップ820に示されているように、ウェーハは、DI水リンスステップに露出される。DI水リンスステップ820の間、10?1000rpmでウェーハ608が回転する間に、ノズル614を介してDI水が供給され、オプションとして、ウェーハ608をリンスするために、振動子604が稼動する。リンス温度は、典型的に、約19?23℃であるが、加熱されてもよい。水リンスステップ820の間、ウェーハ608の背面は、DI水をギャップ618に流入させることによりリンスされてもよい。)

3.対比・判断
本願発明1と刊行物1発明とを比較する。
まず、刊行物1発明の「基板6」「難溶解性のレジストパターンを除去する方法」「硫酸と過酸化水素水とである混合処理液」は、それぞれ、本願発明1の「基板」「レジスト剥離方法」「硫酸および過酸化水素水」に相当する。
また、刊行物1発明の「回転体5」は「基板6を保持」後「回転」するから、本願発明1の「基板を保持して回転させる基板保持回転手段」に相当する。
すると、刊行物1発明の「回転体5に基板6を保持したならば、この回転体5を回転させる」との工程と、「硫酸と過酸化水素水とである混合処理液を基板6の中心部分に向けて噴射して、基板6に形成されたレジストパターンを分解除去し」との工程とは、それぞれ、本願発明1の「基板を保持して回転させる基板保持回転手段に処理対象の基板を保持させる基板保持工程」と「上記基板保持回転手段に保持された基板の表面に硫酸および過酸化水素水を供給して、当該基板の表面に形成されているレジスト膜を剥離するレジスト剥離工程」とに相当する。
そして、刊行物1発明の「上記混合処理液による処理が終了した」ことは、本願発明1における、「このレジスト剥離工程後」に相当し、また、刊行物1記載の「リンス処理」は、その当然の目的から、リンス処理混合処理液により処理の後、該混合処理液および基板6の表面上に生成したその他不要成分を「リンス」のための液で洗い流すことを意味するのは明らかである。
よって、刊行物1発明の「上記混合処理液による処理が終了したならば、基板をリンス処理すること」と、本願発明1の「このレジスト剥離工程後に、上記基板保持回転手段に保持された基板の表面に温水生成部で生成された温水を供給して、当該基板の表面に付着している硫黄成分を、硫酸および過酸化水素水とともに温水で洗い流す工程」とは、
「このレジスト剥離工程後に、当該基板の表面に付着している成分を硫酸および過酸化水素水とともに洗い流す工程」である点で共通する。

したがって、本願発明と刊行物1発明とは、
「基板を保持して回転させる基板保持回転手段に処理対象の基板を保持させる基板保持工程と、
上記基板保持回転手段に保持された基板の表面に硫酸および過酸化水素水を供給して、当該基板の表面に形成されているレジスト膜を剥離するレジスト剥離工程と、
このレジスト剥離工程後に、当該基板の表面に付着している成分を硫酸および過酸化水素水とともに洗い流す工程
を含む、レジスト剥離方法」
である点で一致し、次の相違点1、2にて相違する。

[相違点1]レジスト剥離工程後に、洗い流す工程が、
本願発明1においては、上記基板保持回転手段に保持された基板の表面に温水生成部で生成された温水を供給したものであるのに対し、
刊行物1発明においては、「リンス処理」とあるだけで、何をどのように供給したか特定されていない点。

[相違点2]同じく、洗い流す工程において、硫酸および過酸化水素水とともに洗い流す成分に関して、
本願発明1においては、「基板の表面に付着している硫黄成分」と特定されているのに対し、
刊行物1発明においては、そのような特定がない点。

これら相違点について検討する。

(相違点1について)
リンス処理は、他の成分を含むことがあるが、水で行われることが一般的であって、本願明細書においても、「水洗」、「常温水でリンス」を従来技術として認識している。
また、刊行物2、3に示されているように、リンス液を加温して用いることも、周知の態様である。
刊行物3には、加熱されたDI水でリンスされてもよい旨が記載されている。
他に、温水でリンスする例は必要であれば、特開平5-216242号公報【0035】、特開平2-4269号公報(第2頁右下欄)、特表2001-517365号公報(第11頁)等を参照できる。

よって、必要に応じて温水を用いることは適宜なし得ることである。

また、刊行物1発明においては、直前の処理が、「基板保持回転手段に保持された」状態で行われているから、続く、温水(リンス液)の供給も「基板保持回転手段に保持された」状態で行われることは通常の設計される程度のことであり、また、温水がいずれかの箇所で加温されて生成されるのは当然であるから、「温水生成部で生成された温水」ということができる。
(なお、「温水生成部」が基板保持回転手段と同一の装置に備えられているということであるとしても、そのように構成するのも設計事項である。また、上記特開平2-4269号公報には、第2項右下欄と第1図からみて、温水生成部を備えることが示されている。)

したがって、刊行物1発明において、リンス処理を、上記基板保持回転手段に保持された基板の表面に温水生成部で生成された温水を供給したものとすることは、適宜なし得ることである。

(相違点2について)
まず、「当該基板の表面に付着している硫黄成分を、硫酸および過酸化水素水とともに温水で洗い流す」とあるが、本願明細書によれば、硫黄成分として具体的に記載されているのは、「SO_(4)^(2-)」にすぎず、「硫酸」の成分に他ならない。
さらに、本願の出願当初明細書には、「硫黄成分を洗い流す」という記載はあるものの、「硫酸および過酸化水素水とともに」洗い流すことについては特に記載はなかった。
本願明細書には、「処理の後に水洗しても、基板の表面にSO^(2-)などの硫黄成分が残留することがあった」(【0005】)、「基板の表面に対して硫酸および過酸化水素水によるレジスト剥離処理が行われた後、硫酸および過酸化水素水の付着した基板の表面を温水によってリンスすることができる。これにより、基板の表面が常温水でリンスされる場合と比較して、基板の表面に付着している硫黄成分を良好に洗い流すことができる」(【0008】)と記載されていることからも、「硫酸と過酸化水素水」の処理後、水洗されるものには硫黄成分が当然含まれており、「水洗」によっても、ある程度は「基板の表面に付着している硫黄成分」を洗い流しているものであることが示されている。
こうしたことから、「硫黄成分を、硫酸および過酸化水素水とともに」洗い流すという記載には、あまり技術的意義はなく、硫酸および過酸化水素水を洗い流した後に残留した硫酸成分が、「硫黄成分」であるといえる。
とはいうものの、「硫黄成分を洗い流す」ということは残留成分としての硫黄成分に着目して記載したものであって、剥離液としての「硫酸および過酸化水素水」とともに洗い流すと記載したものとして、特段問題なく解することができるといえる。

さて、このような前提のもとに、相違点2について検討するに、刊行物1発明の「リンス処理」は、硫酸を洗い流す以上、その程度は別としても、当然「基板の表面に付着している硫黄成分」を洗い流す機能を当然有するものである。
よって、相違点2は実質的な相違点ではない。

仮に、洗い流す程度により実質的に相違する相違点であったとしても、上記相違点1に係る構成を採用することで付随する構成である。

以上、刊行物1発明において、リンス処理を、上記基板保持回転手段に保持された基板の表面に温水生成部で生成された温水を供給したものとすることによって、硫黄成分を洗い流し、本願発明1の構成とすることは当業者が容易になし得ることである。

(請求人の主張について)
審判請求書における、請求人の主張は、下記のとおりである。下記において、請求人の主張は、〈主張1〉?〈主張4〉に分節した。

〈主張1〉『引用文献1には、硫酸と過酸化水素水との混合処理液による処理についての記載があります。しかしながら、引用文献1の発明は、処理効率の向上を図るために硫酸と過酸化水素水とを基板に供給する直前で混合させることに主点を置いたものであり、処理後の基板の表面における硫黄成分の残留という課題はなく、そのような課題の認識に至る契機となる記載は、引用文献1に存在しません。』
〈主張2〉『引用文献2,3には、リンス液を加熱してもよい旨が記載されています。しかしながら、引用文献2,3の発明では、硫黄を含む処理液は用いられず、引用文献2,3の発明にも、処理後の基板の表面における硫黄成分の残留という課題はなく、そのような課題の認識に至る契機となる記載は、引用文献2,3にも存在しません。』
〈主張3〉『このように、引用文献1?3のいずれにも、基板の表面における硫黄成分の残留の課題の認識に至る契機となる記載はありませんから、当業者が引用文献1?3の記載を参照したとしても、そのような課題の認識に至ることはありません。
原査定審査官は、「硫黄成分の残留が認められた場合、温水により、より効率的に残留物を除去する引用文献2,3記載の発明を適用することは当業者にとって容易にに想到できたものである。」と認定されています。しかしながら、引用文献1?3の記載に基づいては、基板の表面における硫黄成分の残留の課題の認識にさえ至らないため、その硫黄成分の除去に温水を利用するという思想には、到底、想到することはできないと思料します。』
〈主張4〉『また、原査定審査官は、「温水により、より効率的に残留物を除去する」と認定されていますが、温水が必ずしもすべての残留物の除去効果を高めるとは限らず、残留物の成分によっては、温水を用いることによりその除去効果を低下させる場合(たとえば、熱硬化性物質を除去するような場合)も十分に考えられます。』

上記、請求人の主張を〈主張1〉?〈主張4〉の分節ごとに検討する。
〈主張1について〉
刊行物1発明(「引用文献1の発明」)は、「処理効率の向上を図るために硫酸と過酸化水素水とを基板に供給する直前で混合させることに主点を置いたもの」であって、「処理後の基板の表面における硫黄成分の残留という課題」は記載されていないことは請求人の主張どおりである。
しかしながら、直前で混ぜるか否かは本願発明1の構成、そして、課題とは、直接関係のない構成である。
しかも、刊行物1によれば、「硫酸と過酸化水素水との混合処理液」(以下、「本願剥離液」という。)を「回転体によって回転される基板に向けて」「噴射する」との、本願発明1の基板保持工程とレジスト剥離工程とは、従来技術として認識されていることである。
さらに、「リンス処理」の主目的は、「剥離液」を洗い流すことであり、「硫酸」を用いれば、硫酸由来の成分をリンスすることは、至極当然のことである。
〈主張2について〉
刊行物2、3(「引用文献2,3」)では、硫黄を含む処理液は用いられず「処理後の基板の表面における硫黄成分の残留という課題」はない。
しかしながら、「処理液」および「処理後に発生するその他不要成分」を除く、すなわち、処理後の基板の表面の残留物を低減する、あるいは除くことが、リンス処理の目的であって機能である。
「硫黄成分」と特定されていなくとも、リンス処理を効率的に行うことは、共通して有する課題であって、「硫酸」を用いれば、硫酸由来の成分を効率的に除くことは、当業者が当然念頭におくべきことである。
そのために、リンス液を加熱することは適宜なしうることである。
〈主張3について〉
主張1、2について上記で検討したとおり、「基板の表面における硫黄成分の残留の課題の認識に至る契機」がないとは認められない。
仮に硫黄成分が残留することを認識できなかったとしても、効率的にリンスを行って「硫酸」を除くことで達成できることであるのは、上記で検討したとおりである。
〈主張4について〉
請求人が主張するよう、「温水が必ずしもすべての残留物の除去効果を高める」とは限らないかもしれないが、温水によるリンスが常温水よりも、効率的である方が一般的であるとはいえる。
除去効果と他の成分への影響を鑑みて、適温とすることは適宜なし得ることである。
温水により変性する物質を対象とする場合(請求人が例示する熱硬化性物質等)には、温水を適用しないのは至極当然のことである。なお、熱硬化性物質であっても、その耐温性は様々であり、その変性温度により、使用される温度域が決定されることも当然のことであって、すべての場合に、すべての温度域の温水が不適切なわけではない。

よって、上記請求人の主張は採用できない。

4.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、本願出願前に頒布された刊行物である刊行物1に記載された発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-05-28 
結審通知日 2010-06-03 
審決日 2010-06-15 
出願番号 特願2003-193651(P2003-193651)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 新井 重雄  
特許庁審判長 木村 史郎
特許庁審判官 柏崎 康司
伊藤 裕美
発明の名称 レジスト剥離方法  
代理人 川崎 実夫  
代理人 稲岡 耕作  
代理人 皆川 祐一  
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