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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1221947
審判番号 不服2008-13000  
総通号数 130 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-05-22 
確定日 2010-08-31 
事件の表示 特願2001-388696「認証データ自動入力機能を有するコンピュータ」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 7月 4日出願公開、特開2003-186849、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成13年12月21日の出願であって、平成19年12月26日付けで拒絶理由が通知されたが意見書及び手続補正書の提出はなされず、平成20年4月16日付けで拒絶査定がなされた。これに対し、同年5月22日に審判請求がなされ、同年6月23日付けで手続補正がなされて前置審査に付され、平成21年3月23日に審査官より前置報告がなされ、平成22年4月19日付けで当審より審尋がなされ、同年6月18日に回答書が提出されたものである。

2.本願発明
本願の請求項1及び2に係る発明は、平成20年6月23日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2の記載からみて、次のとおりのものと認められる。

「【請求項1】
ICカードリーダライタを接続したコンピュータに認証データ自動入力手段を備えて、ユーザ認証ウインドウを特定する情報とそのウインドウに入力すべきテキストデータとを記録したICカードを用いて利用する認証データ自動入力機能を有するコンピュータであって、
前記ICカードリーダライタの状態を常時監視する監視手段を備え、
前記認証データ自動入力手段は、
ICカードが前記ICカードリーダライタに挿入されたことを前記監視手段から通知されると活動状態になり、当該ICカードに記録されている前記ユーザ認証ウインドウを特定する情報とそのウインドウに入力すべきテキストデータとを読み出して所定のメモリバッファに記憶し、
当該所定のメモリバッファに記憶されたユーザ認証ウインドウを特定する情報に一致するウインドウが表示されたかどうかを常に監視して、そのようなウインドウが現われた時は、当該所定のメモリバッファに記憶された当該ユーザ認証ウインドウに入力すべきテキストデータをそのウインドウの対話入力インターフェースに自動入力してユーザ認証を実行させ、
そのICカードが前記ICカードリーダライタから抜取られた時には、当該所定のメモリバッファに記憶した内容を消去して休止状態になり、
そのICカードが挿入されていない間は認証データ自動入力機能が機能しないように構成される、
認証データ自動入力機能を実現すること、
を特徴とする認証データ自動入力機能を有するコンピュータ。
【請求項2】
コンピュータを、請求項1に記載の認証データ自動入力手段として機能させるためのコンピュータプログラム。」

本願の請求項1に係る発明は、拒絶査定時の請求項4を独立形式の請求項とした上で「認証データ自動入力機能」に関して限定的に減縮したものであり、また、本願の請求項2に係る発明は、拒絶査定時の請求項6を、拒絶査定時の請求項4に対応する請求項である本願の請求項1のみを引用するものとした上で明瞭でない記載の釈明を行ったものと認められる。
そして、原査定の拒絶の理由のうち、特許法第36条第6項第2号に係る理由Cについては、本件補正によって解消されている。

3.引用発明
原査定の拒絶の理由にて引用された刊行物は以下の通りである。
(1)特開2001-109537号公報(以下、「引用文献1」という。)
(2)特開平10-285153号公報(以下、「引用文献2」という。)

4.対比・判断
本願の請求項1及び2に係る発明と引用文献1に記載された発明とを対比すると、少なくとも以下の点で相違する。

本願の請求項1及び2に係る発明は、自動入力手段が実現する認証データ自動入力機能に係る構成として
「ICカードが前記ICカードリーダライタに挿入されたことを前記監視手段から通知されると活動状態になり、当該ICカードに記録されている前記ユーザ認証ウインドウを特定する情報とそのウインドウに入力すべきテキストデータとを読み出して所定のメモリバッファに記憶し
当該所定のメモリバッファに記憶されたユーザ認証ウインドウを特定する情報に一致するウインドウが表示されたかどうかを常に監視して」
を含むものであり、ICカードからウインドウに入力すべきテキストデータと共にユーザ認証ウインドウを特定する情報が読み出された上で、該ユーザ認証ウインドウを特定する情報に一致するウインドウが表示されたかどうかを常に監視するのに対し、
引用文献1に記載された発明は、引用文献1の【0028】段落-【0031】段落に記載された例及び【0038】-【0040】段落に記載された例のいずれにおいても、アプリケーションがログオン画面を表示した後に、スマートカードからログオン画面を表示したアプリケーションに対応するログオン情報が読み込まれるものであるから、カードからユーザ認証ウインドウ(ログオン画面)を特定する情報が読み出された上で、該情報に一致するウインドウが表示されたかどうかを常に監視するものとはいえない点。

そして、ユーザ認証ウインドウを特定する情報をICカードから読み出して、該情報に一致するウインドウが表示されたかどうかを監視することは、引用文献2にも記載はなく、また、本願の出願時において周知の技術事項であったともいえない。

したがって、引用文献1及び引用文献2のいずれにも記載されておらず、また周知の技術事項ともいえない
「ICカードが前記ICカードリーダライタに挿入されたことを前記監視手段から通知されると活動状態になり、当該ICカードに記録されている前記ユーザ認証ウインドウを特定する情報とそのウインドウに入力すべきテキストデータとを読み出して所定のメモリバッファに記憶し
当該所定のメモリバッファに記憶されたユーザ認証ウインドウを特定する情報に一致するウインドウが表示されたかどうかを常に監視して」
という構成を含む本願の請求項1及び2に係る発明は、引用文献1に記載された発明ではなく、また、引用文献1及び引用文献2に記載された発明から当業者が容易に想到し得たものということもできない。
よって、原査定の拒絶の理由の理由A及び理由Bも解消されている。

5.むすび
以上のとおりであるから、原査定の拒絶の理由により本願の請求項1及び2に係る発明を拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2010-08-13 
出願番号 特願2001-388696(P2001-388696)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 宮司 卓佳鳥居 稔小林 秀和  
特許庁審判長 吉岡 浩
特許庁審判官 宮司 卓佳
鈴木 匡明
発明の名称 認証データ自動入力機能を有するコンピュータ  
代理人 正林 真之  

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