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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B41J
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B41J
管理番号 1221984
審判番号 不服2008-14656  
総通号数 130 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-06-11 
確定日 2010-08-12 
事件の表示 特願2001- 22772「印刷画像のプレビュー装置、方法、および記録媒体並びにプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 6月11日出願公開、特開2002-166616〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成13年1月31日(優先権主張平成12年9月21日)の出願であって、平成19年11月19日付けで通知された拒絶理由に対し、平成20年1月21日に手続補正書が提出されたが、同年4月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年6月11日付けで審判請求がされるとともに、同年6月27日付けで手続補正書が提出され、その後、当審から送付した審尋に対し、平成22年3月1日付けで回答書が提出されたものである。

2.平成20年6月27日付け手続補正についての補正却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成20年6月27日付けの手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正事項
平成20年6月27日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲は、本件補正前の平成20年1月21日付け手続補正書により補正された、

「【請求項1】印刷実行前に印刷結果を表示する印刷画像のプレビュー装置であって、
媒体に対して印刷を行うための第1印刷データを作成する第1印刷データ作成手段と、
前記第1印刷データによる印刷が行われた媒体に対して前記第1印刷データの印刷像に重ね合わせて印刷を行うための第2印刷データを作成する第2印刷データ作成手段と、
前記第1印刷データに第2印刷データを上書き合成した第3印刷データを作成する第3印刷データ作成手段と、
前記第3印刷データの印刷像を表示する表示手段と、
を有する印刷画像のプレビュー装置。
【請求項2】前記第3印刷データ作成手段が、前記第1印刷データおよび第2印刷データとから第3印刷データを作成する際、前記第1印刷データと複数の前記第2印刷データとから第3印刷データを作成すること、を特徴とする請求項1に記載の印刷画像のプレビュー装置。
【請求項3】前記第1印刷データ作成手段および第2印刷データ作成手段が前記第1印刷データおよび第2印刷データに対してオフセット情報を付加することにより、前記第3印刷データ作成手段は前記第1印刷データおよび/もしくは第2印刷データに付加されたオフセット情報を参照して第3印刷データを作成すること、を特徴とする請求項1に記載の印刷画像のプレビュー装置。
【請求項4】印刷実行前に印刷結果を表示する印刷画像のプレビュー方法であって、
媒体に対して印刷を行うための第1印刷データを作成する第1印刷データ作成工程と、
前記第1印刷データによる印刷が行われた媒体に対して前記第1印刷データの印刷像に重ね合わせて印刷を行うための第2印刷データを作成する第2印刷データ作成工程と、
前記第1印刷データに第2印刷データを上書き合成した第3印刷データを作成する第3印刷データ作成工程と、
前記第3印刷データの印刷像を表示する表示工程と、
を有する印刷画像のプレビュー方法。
【請求項5】印刷実行前に印刷結果を表示する印刷画像のプレビュー方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記プログラムは前記コンピュータに、
媒体に対して印刷を行うための第1印刷データを作成する第1印刷データ作成工程と、
前記第1印刷データによる印刷が行われた媒体に対して前記第1印刷データの印刷像に重ね合わせて印刷を行うための第2印刷データを作成する第2印刷データ作成工程と、
前記第1印刷データに第2印刷データを上書き合成した第3印刷データを作成する第3印刷データ作成工程と、
前記第3印刷データの印刷像を表示する表示工程と、
を実行させるコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項6】印刷実行前に印刷結果を表示する印刷画像のプレビュー方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記プログラムは前記コンピュータに、
媒体に対して印刷を行うための第1印刷データを作成する第1印刷データ作成工程と、
前記第1印刷データによる印刷が行われた媒体に対して前記第1印刷データの印刷像に重ね合わせて印刷を行うための第2印刷データを作成する第2印刷データ作成工程と、
前記第1印刷データに第2印刷データを上書き合成した第3印刷データを作成する第3印刷データ作成工程と、
前記第3印刷データの印刷像を表示する表示工程と、
を実行させるプログラム。」

から、

「【請求項1】印刷実行前に印刷結果を表示する印刷画像のプレビュー装置であって、
媒体に対して印刷を行うためのオフセット情報が付加された第1印刷データを作成する第1印刷データ作成手段と、
前記第1印刷データによる印刷が行われた媒体に対して前記第1印刷データの印刷像に重ね合わせて追い刷り印刷を行うためのオフセット情報が付加された第2印刷データを作成する第2印刷データ作成手段と、
前記第1印刷データおよび/もしくは第2印刷データに付加されたオフセット情報を参照して前記第1印刷データに第2印刷データを第1印刷データをマスクするように上書き合成した第3印刷データを作成する第3印刷データ作成手段と、
前記第3印刷データの印刷像を表示する表示手段と、
を有する印刷画像のプレビュー装置。
【請求項2】前記第3印刷データ作成手段が、前記第1印刷データおよび第2印刷データとから第3印刷データを作成する際、前記第1印刷データと複数の前記第2印刷データとから第3印刷データを作成すること、を特徴とする請求項1に記載の印刷画像のプレビュー装置。
【請求項3】印刷実行前に印刷結果を表示する印刷画像のプレビュー方法であって、
媒体に対して印刷を行うためのオフセット情報が付加された第1印刷データを作成する第1印刷データ作成工程と、
前記第1印刷データによる印刷が行われた媒体に対して前記第1印刷データの印刷像に重ね合わせて追い刷り印刷を行うためのオフセット情報が付加された第2印刷データを作成する第2印刷データ作成工程と、
前記第1印刷データおよび/もしくは第2印刷データに付加されたオフセット情報を参照して前記第1印刷データに第2印刷データを第1印刷データをマスクするように上書き合
成した第3印刷データを作成する第3印刷データ作成工程と、
前記第3印刷データの印刷像を表示する表示工程と、
を有する印刷画像のプレビュー方法。
【請求項4】印刷実行前に印刷結果を表示する印刷画像のプレビュー方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記プログラムは前記コンピュータに、
媒体に対して印刷を行うためのオフセット情報が付加された第1印刷データを作成する第1印刷データ作成工程と、
前記第1印刷データによる印刷が行われた媒体に対して前記第1印刷データの印刷像に重ね合わせて追い刷り印刷を行うためのオフセット情報が付加された第2印刷データを作成する第2印刷データ作成工程と、
前記第1印刷データおよび/もしくは第2印刷データに付加されたオフセット情報を参照して前記第1印刷データに第2印刷データを第1印刷データをマスクするように上書き合成した第3印刷データを作成する第3印刷データ作成工程と、
前記第3印刷データの印刷像を表示する表示工程と、
を実行させるコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項5】印刷実行前に印刷結果を表示する印刷画像のプレビュー方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記プログラムは前記コンピュータに、
媒体に対して印刷を行うためのオフセット情報が付加された第1印刷データを作成する第1印刷データ作成工程と、
前記第1印刷データによる印刷が行われた媒体に対して前記第1印刷データの印刷像に重ね合わせて追い刷り印刷を行うためのオフセット情報が付加された第2印刷データを作成する第2印刷データ作成工程と、
前記第1印刷データおよび/もしくは第2印刷データに付加されたオフセット情報を参照して前記第1印刷データに第2印刷データを第1印刷データをマスクするように上書き合成した第3印刷データを作成する第3印刷データ作成工程と、
前記第3印刷データの印刷像を表示する表示工程と、
を実行させるプログラム。」

に補正された。

上記補正は、請求項1については、請求項1に記載した発明を特定するための事項である「第1印刷データ」及び「第2印刷データ」に対して、それぞれ「オフセット情報が付加された」という限定を付加し、同じく請求項1に記載した発明を特定するための事項である(第1印刷データに第2印刷データを)「上書き合成」(して第3印刷データを作成する)ことに対して、「印刷」が「追い刷り印刷」であること、「第2印刷データ」が「第1印刷データをマスクするように」することを明確化し、さらにその「上書き合成」するにあたって、「第1印刷データおよび/もしくは第2印刷データに付加されたオフセット情報を参照して」行うという限定を付加したものである。また、請求項3を削除して、請求項4?6をそれぞれ請求項3?5に繰り上げ、繰り上げた請求項3?5については、請求項1と同様の補正をしたものであるから、これらの補正事項は、全体として平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。

(2)引用刊行物

(2-1)引用刊行物1
本願の優先日前に頒布された特開平7-250237号公報(前置報告書における引用文献1、以下、「引用刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付与)。

(1a)「【0013】〈第1実施例〉図1は、本発明の第1実施例に係る画像情報編集装置の構成図である。図中、101は画像データの流れを管理し各処理部に処理指示を与えるCPU、102はCPUにて行う処理内容の手順等のプログラムやデータなどを保持する主メモリ、103はイメージスキャナなど紙面等より画像データを取り込む画像データ入力部、105は修正・追記等の画像編集及び処理内容の指示をユーザが入力するキーボード、106は修正・追加等の画像編集及び処理内容の指示をユーザが入力するマウス、107は原画像データを蓄積する原画像イメージメモリ、108は修正・追記画像データを蓄積する追記画像イメージメモリ、109は原画像データと修正・追記画像データの合成を行う画像データ合成部、110は原画像データと修正・追記画像データの合成結果を蓄積する合成画像イメージメモリ、111は修正・追記画像を作成する画像データ修正・追記部、112は原画像データを長期的に蓄積するための原画像蓄積部、113は修正・追記画像を長期的に蓄積するための追記画像蓄積部、114は画像データを表示するCRT、115は表示画像を制御するCRT制御部、116は画像データを紙面等に印刷するプリンタ、117は印刷画像を制御するプリンタ制御部、119は2枚の画像データの一致/不一致を検出する画像データ比較部、120は画像識別情報の比較を行ってその一致/不一致を検出する画像識別情報比較部、121は相互にデータのやり取りを実行するイメージバスである。」

(1b)「【0016】次にユーザは、CRT114に表示された原画像データについて、修正・追記処理を行う。このとき、修正・追記された内容について、修正・追記画像データを作成し、該データを追記画像イメージメモリ108へ蓄積する(ステップ204)。更に、原画像データと修正・追記画像データは、画像データ合成部109により合成され、合成画像イメージメモリ110内に蓄積されると共に、この合成画像データはCRT114へ出力・表示される(ステップ205;この表示は複数色の修正・追加記入であれば、修正・追加記入結果を同一の複数色にて合成表示する(これは、以下の各例でも同様である))。一方、原画像データと修正・追記画像データは、キーボード105もしくはマウス106を用いたユーザの指示により、或いはシステムの処理手順によるCPU101からの指示により、原画像データは原画像蓄積部112へ、修正・追記画像データは追記画像蓄積部113へ各々蓄積される(ステップ206)。ステップ204?ステップ206の処理が何らかの原因により中断され、原画像イメージメモリ107,追記画像イメージメモリ108内の画像データが失われた場合、CPU101は原画像蓄積部112,追記画像蓄積部113よりデータを取り出し、各イメージメモリへデータを転送後、修正・追記処理を再開する。」

(1c)「【0018】画像修正・追記処理が終了した時点で、ユーザはキーボード105もしくはマウス106より印刷指示を行う。印刷指示に従い、CPU101は追記画像イメージメモリ108内の修正・追記画像データを、プリンタ116にセットされた原紙(原画像の紙面)に上書き印刷する(ステップ208)。この印刷処理実行に並行して、CPU101は、合成画像イメージメモリ110に蓄積されている合成画像を、原画像イメージメモリ107と原画像蓄積部112とにコピーし、更に、追記画像イメージメモリ108と追記画像蓄積部113に蓄積された修正・追記画像データを消去する(ステップ209)。これによって、上書き修正の加わった原紙(原画像の紙面)の内容と、原画像イメージメモリ107内の内容は一致する。かような手法を用いることにより、紙面として存在する文書と、計算機内の文書画像イメージデータの不一致を生じない画像編集処理が可能となる。」

(1d)図3は以下のとおりのものである。

【図3】


これらの記載から、引用刊行物1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

「イメージスキャナなど紙面等より画像データを取り込んで原画像データを作成し、次にキーボードやマウスを用いて修正・追記画像データを作成して、原画像データと修正・追記画像データを画像データ合成部により合成して合成画像イメージメモリ内に蓄積し、合成画像データをCRTへ出力・表示し、その後ユーザーによる印刷指示によって印刷を実行する装置。」

(2-2)引用刊行物2
同じく本願の優先日前に頒布された特許第2734471号公報(以下、「引用刊行物2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付与)。

(2a)「【0012】第1或いは第2画像入力装置1a,1b等の画像入力手段1からの画像データは、編集手段2に供給され所定の画像処理を施された後、第1或いは第2印刷装置3a,3b,表示装置3c等の画像出力手段3に出力される。たとえば、第1画像入力装置1aは400dpi程度の解像度を有するフラットベッド型のイメージスキャナ、第2画像入力装置1bは350本程度の解像度を有するTVカメラ、第1印刷装置3aは400dpi程度の解像度を有するレーザプリンタ、第2印刷装置3bは200dpi程度の解像度を有するサーマルプリンタ、表示装置3cは100dpi程度の解像度を有するCRTディスプレイである。」

(2b)「【0016】前記命令実行部7で作成され出力画像記憶部9a?9dに記憶された出力用画像は、重ね合わせ処理実行部10において、出力画像記憶部9a?9dに記憶されている前記位置情報に基づいて合成の処理が行わる。この合成の処理の際には、各画像に上下の優先順序を付けて重ね合わせられたり、半透明の状態で重ね合わせられたりする。重ね合わせ処理後の画像は、印刷装置3a,3b,表示装置3c等の画像出力手段3に供給され、印刷或いは表示が行われる。
【0017】次に、上述の画像編集装置における原稿編集処理動作について、第1画像入力装置1aから1枚目及び2枚目の原稿の画像を読み取り、第2画像入力装置1bから3枚目の原稿の画像を読み取って、3枚の原稿の画像を重ね合わせて表示装置3cに表示し、その後、2枚目の原稿の画像の合成位置を移動する調整を行った後に、合成後の画像を第1印刷装置3aにより印刷する場合を例に挙げて説明する。
【0018】いま、画像入力手段として第1画像入力装置1aを指定し、記憶手段として入力画像記憶部4a及び出力画像記憶部9aを指定したとする。また、編集作業時は、出力媒体として表示装置3cが指定される。
【0019】第1画像入力装置1aにより1枚目の原稿の画像が読み込まれると、図2(a)に示すように1枚目の原稿の画像Pは、入力画像記憶部4aに書き込まれる。すなわち、入力画像記憶部4aの内容が更新される。また、入力画像記憶部4aに対応する命令記憶部6aには、デフォルトデータが書き込まれる。このデフォルトデータは、第1画像入力装置1aの解像度に適合した解像度データや原稿との色を一致させるためのデータである。
【0020】命令実行部7は、入力画像記憶部4aに記憶された画像Pに対し、命令記憶部6aに記憶された命令を適用して出力用画像pを生成し、出力画像記憶部9aに記憶する(図2(d)参照)。この場合、命令はデフォルトデータであるので、見掛けの大きさ,色等が原稿と一致した出力画像が生成される。
【0021】重ね合わせ処理実行部10は、出力画像記憶部9aに記憶された出力用画像pを表示装置3cに出力する。この場合、出力媒体が比較的解像度の低いCRTディスプレイ等の表示装置3cであるので、出力媒体特性記憶部8からは、低解像度処理を指示する情報が命令実行部7に与えられる。低解像度処理の場合、処理すべき画像データの量は少ないので、出力用画像を短時間で生成することができる。
【0022】上述の処理で、表示装置3cには、第1画像入力装置1aで読み込んだ原稿の画像Pに対応する出力画像が表示される。
【0023】次に、編集指示部5から入力画像記憶部4aに記憶された画像に対して編集指示が与えられると、命令記憶部6aの内容が更新される。その後、命令実行部7が、前記更新された命令記憶部6aに記憶されている命令に従って出力画像記憶部9aの内容を更新し、重ね合わせ処理実行部10が、表示装置3cに更新された出力用画像pを表示する。
【0024】次に、第1画像入力装置1aから2枚目の原稿の画像が読み込まれると、2枚目の原稿の画像Qは、入力画像記憶部4bに記憶され(図2(b)参照)、対応する命令記憶部6bにはデフォルトデータが書き込まれる。命令実行部7は1枚目の原稿の場合と同様に出力画像記憶部9bの内容を更新して出力用画像qとし(同図(e)参照)、重ね合わせ処理実行部10が、1枚目と2枚目の原稿の画像を合成して表示装置3c上に表示する(同(g)参照)。合成のための基準位置及び有効領域の情報は、編集指示部5からの編集指示に従って、たとえば、mm単位で命令記憶部6bに一旦記憶される。次に、これらの情報は、命令実行部7により出力画像記憶部9bに送られ、ドット単位の表現に変換される。このようにして、2枚目の原稿の画像Qの合成位置を示す基準位置X1,Y1,有効領域H1,V1を示す配置情報は、出力先媒体におけるドット数に変換され、所定の位置に重ね合わされる。
【0025】次に、第2画像入力装置1bから3枚目の原稿の画像が読み込まれると、3枚目の原稿の画像Rは入力画像記憶部4cに記憶され(図2(c)参照)、対応する命令記憶部6cにはデフォルトデータが書き込まれる。命令実行部7は出力画像記憶部9cの内容を更新して出力用画像rとし(同(f)参照)、重ね合わせ処理実行部10が、1枚目,2枚目及び3枚目の原稿の画像を重ね合わせて表示装置3c上に表示する(図2(h)参照)。このとき、3枚目の原稿の出力用画像rの合成位置は、出力画像記憶部9cに記憶されている出力先媒体における画像の基準位置X2,Y2,有効領域H2,V2に対応する配置情報に基づいて決定される。
【0026】重ね合わせ処理実行部10は、2枚目以降は複数の有効な出力用画像に対する合成の処理を実行する。たとえば、図2(e),(f)においてハッチングを施した部分が、編集指示部5により指定された出力用画像q,rの有効部分を示しており、1枚目の原稿の画像をベースとし、2枚目以降の原稿から切り取った部分的な画像を、順次重ねていく。2枚と3枚目が重なった場合は、3枚目が上になって表示される。なお、3枚目を半透明で表示する場合もある。」

これらの記載から、引用刊行物2には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。

「重ね合わせ処理後の画像を表示装置等に表示する装置であって、
印刷を行うための第1画像入力装置から読み込まれた1枚目の原稿の画像と2枚目の原稿の画像と、
前記1枚目の原稿の画像と2枚目の原稿の画像による印刷を行われた印刷像に、重ね合わせて印刷を行うための、画像の基準位置X2,Y2が付加された3枚目の原稿の画像を作成する第2画像入力装置と、
画像の基準位置X2,Y2を参照して、1枚目の原稿の画像と2枚目の原稿の画像と、3枚目の原稿の画像を、2枚と3枚目が重なった場合は、3枚目が上となって表示されるように表示するようなデータを合成の処理を実行する重ね合わせ処理実行部と、
前記重ね合わせられた画像を表示する表示手段を有する装置。」

(3)対比・判断

(3-1)引用発明1との対比・判断
本願補正発明と引用発明1とを対比すると、引用発明1の
「原画像データ」、
(紙面等より画像データを取り込んで原画像データを作成する)「イメージスキャナ」、
「修正・追記画像データ」、
「キーボードやマウス」、
「合成画像データ」、
「CRT」
は、それぞれ、本願補正発明の
「第1印刷データ」、
「第1印刷データ作成手段」、
「第2印刷データ」、
「第2印刷データ作成手段」、
「第3印刷データ」、
「表示手段」

に相当する。

また、引用発明1では、合成画像データをCRTに出力した後に印刷を実行しているのであるから、CRTに表示される画像は印刷前の「プレビュー」であるといえ、引用発明1の「装置」は、本願補正発明の「印刷画像のプレビュー装置」に相当する。

してみると、両者は、
「印刷実行前に印刷結果を表示する印刷画像のプレビュー装置であって、媒体に対して印刷を行うための第1印刷データを作成する第1印刷データ作成手段と、
前記第1印刷データによる印刷が行われた媒体に対して前記第1印刷データの印刷像に重ね合わせて印刷を行うための第2印刷データを作成する第2印刷データ作成手段と、
第1印刷データに第2印刷データを合成した第3印刷データを作成する第3印刷データ作成手段と、
第3印刷データの印刷像を表示する表示手段と
を有する印刷画像のプレビュー装置。」
の点で一致し、

以下の点で相違する。

・相違点1
本願補正発明では、第1印刷データ及び第2印刷データにオフセット情報が付加されていて、両者の合成にあたって、第1印刷データおよび/もしくは第2印刷データに付加されたオフセット情報を参照して行っているのに対し、引用発明1ではかかるオフセット情報が付加されているか不明である点。

・相違点2
本願補正発明は、印刷が「追い刷り印刷」であって、第1印刷データに第2印刷データを合成する際に、第2印刷データを第1印刷データをマスクするように合成しているのに対し、引用発明1では合成にあたって、画像が重なった場合にどのように扱っているのか不明である点。

上記相違点について検討する。

・相違点1について
まず、本願補正発明における「オフセット情報」について検討すると、本願明細書の発明の詳細な説明には以下の記載がある。
『【0032】前印刷データ作成部171は、画像処理端末4から送信されてきたソースデータSDを元に、印刷物を作成するための前印刷データFPDを作成する。オペレータが入力部13を操作して、所望の印刷サイズを設定し、印刷サイズで示される領域の所望する位置にソースデータSDの内容を配置することにより、印刷物として紙葉に表現する印刷像を格納した前印刷データFPDが作成される。ここで、「前印刷データ」とは、印刷媒体である紙葉などに一度目の印刷を行うための印刷データを意味する。また、前印刷データ作成部171は、オペレータによる入力部13の操作により、作成された前印刷データFPDに対して紙葉オフセット情報FPODを付加する。前印刷データFPDに付加された紙葉オフセット情報FPODは、紙葉に前印刷データFPDの印刷像が印刷される際の位置情報である。
【0033】後印刷データ作成部172は、画像処理端末4から送信されてきたソースデータSDを元に、印刷物を作成するための後印刷データBPDを作成する。前印刷データ作成部171の処理と同様に、オペレータが入力部13を操作して、所望の印刷サイズを設定し、印刷サイズで示される領域の所望する位置にソースデータSDの内容を配置することにより、印刷物として紙葉に表現される印刷像を格納した後印刷データBPDが作成される。ここで、「後印刷データ」とは、印刷媒体である紙葉などに印刷を行う際、先に印刷が行われた紙葉に対して再度印刷を行うための印刷データを意味する。具体的には追い刷りのための印刷データや、手積み替え印刷のための印刷データが、この後印刷データBPDに相当する。また、後印刷データ作成部172は、オペレータによる入力部13の操作により、作成された後印刷データBPDに対して紙葉オフセット情報BPODを付加する。後印刷データBPDに付加された紙葉オフセット情報BPODは、紙葉に後印刷データBPDの印刷像が印刷される際の位置情報である。』

これらの記載を参酌すると、本願補正発明における「オフセット情報」は、発明の詳細な説明における「紙葉オフセット情報」に相当し、紙葉に印刷データの印刷像が印刷される際の位置情報を指していることが読み取れる。
ここで、引用発明1における画像の合成は、図3にみられるように、原画像の太陽絵柄のデータと、追記画像の山絵柄のデータを合成する際には、両者の位置をでたらめに合成しているのではなく、それぞれの位置を定めて合成していることがわかる。
そうすると、引用発明1においても明記はないものの、第1印刷データ及び第2印刷データには、それぞれ印刷する媒体における位置を表すなんらかの情報、すなわち本願補正発明におけるオフセット情報に相当する情報を有しているものと考えるのが相当である。
してみると、上記相違点1は実質的な相違点ではない。

・相違点2について
2つの異なる画像を合成する際に、重なり合う部分について、後から追加する画像を優先させるようにすることは周知(必要であれば、前置報告書で引用文献7として引用した特開平4-205346号公報の第3ページ右上欄?右下欄、後述する引用刊行物2である特許第2734471号公報の段落【0026】等参照)であり、引用発明1における画像の合成の際に、後から重ねる第2印刷データを優先して、第1印刷データをマスクするように合成することは、当業者が適宜容易になし得ることである。

効果の点についても、本願補正発明の効果は、引用発明1及び周知技術から予測し得る程度のものにすぎない。

したがって、本願補正発明は、引用刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(3-2)引用発明2との対比・判断
本願補正発明と引用発明2とを対比すると、引用発明2の
「1枚目の原稿の画像と2枚目の原稿の画像」、
「第1画像入力装置」、
「画像の基準位置」、
「3枚目の原稿の画像」、
「第2画像入力装置」、
「重ね合わせ処理実行部」、
「装置」

は、それぞれ本願補正発明の
「第1印刷データ」、
「第1印刷データ作成手段」、
(第2印刷データ用の)「オフセット情報」、
「第2印刷データ」、
「第2印刷データ作成手段」、
「第3印刷データ作成手段」、
「印刷画像のプレビュー装置」

に相当する。

また、引用刊行物2には、「重ね合わせ処理後の画像は、印刷装置、表示装置等の画像出力手段に供給され、印刷或いは表示が行われる。」と記載されているのであるから、重ね合わせ処理後の画像を、いったん表示装置において表示させた後に、印刷を行う、すなわち印刷実行前に印刷結果を表示することも示唆されているものといえる。さらに、印刷を行う際に、何らかの媒体に対して印刷を行うことは当然のことである。
また、引用発明2の「2枚と3枚目が重なった場合は、3枚目が上となって表示されるように表示する」は、3枚目の方を2枚目の上となって表示することであるから、3枚目のデータが2枚目のデータをマスクするようにしていることにほかならず、本願補正発明の「第1印刷データに第2印刷データを第1印刷データをマスクするように上書き合成」することに相当する。さらにその点を考慮すると、引用発明2における第2印刷データの印刷も、「追い刷り印刷」であるものといえる。

してみると、両者は、
「印刷実行前に印刷結果を表示する印刷画像のプレビュー装置であって、
媒体に対して印刷を行うための第1印刷データを作成する第1印刷データ作成手段と、
前記第1印刷データによる印刷が行われた媒体に対して前記第1印刷データの印刷像に重ね合わせて追い刷り印刷を行うためのオフセット情報が付加された第2印刷データを作成する第2印刷データ作成手段と、
第2印刷データに付加されたオフセット情報を参照して第1印刷データに第2印刷データを合成した第3印刷データを作成する第3印刷データ作成手段と、
第3印刷データの印刷像を表示する表示手段と
を有する印刷画像のプレビュー装置。」
の点で一致し、

以下の点で相違する。
本願補正発明では、第1印刷データにオフセット情報が付加されていて、両者の合成にあたって、第1印刷データおよび/もしくは第2印刷データに付加されたオフセット情報を参照して行っているのに対し、引用発明2ではかかるオフセット情報が付加されているか不明である点。

上記相違点について検討する。
引用刊行物2の段落【0018】?【0024】には、第1画像入力装置によって1枚目の原稿の画像が読み込まれたときに、入力画像記憶部に対応する命令記憶部にデフォルトデータが書き込まれ、編集指示部からの指示がない限り、デフォルトデータに基づいて、見掛けの大きさ、色等が原稿と一致した出力画像を生成することが記載されている。
ここで、本願補正発明における「オフセット情報」とは、上記引用発明1との相違点1において検討したように、発明の詳細な説明における「紙葉オフセット情報」に相当し、紙葉に印刷データの印刷像が印刷される際の位置情報を指していることが読み取れる。
そして、上記の引用刊行物2に記載されているデフォルトデータは、見掛けの大きさが原稿と一致した出力画像が生成されるように機能しているのであるから、本願補正発明におけるオフセット情報に相当する機能を有しているといえる。
引用刊行物2に記載の上記デフォルトデータは、命令記憶部に書き込まれるもので、原稿の画像に付随したものではないが、原稿の画像を表示する際に用いるデータを、本体の別の記憶部に記憶させておくか、データに付加させるようにするかは、当業者が適宜変更しうることにすぎない。

効果の点についても、本願補正発明の効果は、引用発明2及び引用刊行物2の記載から予測し得る程度のものにすぎない。

したがって、本願補正発明は、引用刊行物2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(4)補正の却下の決定についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について

(1)本願発明
平成20年6月27日付けの手続補正は上述のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、本件補正前の平成20年1月21日付け手続補正書により補正された、特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。

「【請求項1】印刷実行前に印刷結果を表示する印刷画像のプレビュー装置であって、
媒体に対して印刷を行うための第1印刷データを作成する第1印刷データ作成手段と、
前記第1印刷データによる印刷が行われた媒体に対して前記第1印刷データの印刷像に重ね合わせて印刷を行うための第2印刷データを作成する第2印刷データ作成手段と、
前記第1印刷データに第2印刷データを上書き合成した第3印刷データを作成する第3印刷データ作成手段と、
前記第3印刷データの印刷像を表示する表示手段と、
を有する印刷画像のプレビュー装置。」

(2)引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された、本願の優先日前に頒布された特開平7-336527号公報(以下、「引用刊行物3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付与)。

(a)「【0022】すなわち、原稿台1にセットされた第1の原稿をスキャンするために、照射ランプ2,反射傘3,ミラー4からなる移動光学系が図示のHP(ホームポジション)から図の右側へ移動し、スキャン終了とともに再びHPに帰ってくる。この間、原稿画像はミラー4,5,6で反射され、レンズ7を通り、CCD8へ結像する。そして、CCD8に結像した画像は、図1の制御装置51内でデジタル信号に変換され、記憶部52のメモリ52aに保持される。
【0023】上記メモリ52aに保持されたデジタル画像情報は、コピー動作が始まるとともにレーザーユニット11に送られ、感光ドラム9上にその情報信号に応じた画像を点の集合として描く。もちろんこの時、デジタル信号に変換された画像情報をメモリ52aを介さずに直接レーザーユニット11に送り、リアルタイムで画像を描くことも可能である。
【0024】一方、カールソンプロセスを使った電子写真は、以下のように形成される。まず、時計方向に回転する感光ドラム9は、一次帯電器10によりその表面が一様に帯電される。次いで、レーザーユニット11から照射されるレーザー光12は、ミラー13により反射され、感光ドラム9上に結像し、静電潜像を形成する。この潜像は現像器15によりトナーで現像され、顕像となる。
【0025】続いて、ポスト帯電器16によりドラム9上のトナーはそのトリボを増加させ、このトナー像はレジストローラー17により搬送された転写紙上に転写帯電器18により転写され、分離帯電器19によりドラム9より分離される。そして、この未定着画像をのせた転写紙は、搬送部20により定着器21へ運ばれ、熱定着される。」

(b)「【0031】次に、操作者が第2の原稿を原稿台1にセットし、再びコピーキー102を押すと、第2の原稿は第1の原稿と同様にスキャンされ、その画像情報はメモリ52bに記憶される。また、上記メモリ52aに記憶された第1の原稿の画像情報は、反転手段53により裏表反転された画像に変換される。そしてこの反転画像は第2の原稿画像と重ね合わされて、図2及び図4に示すようにディスプレイ画面101上に表示される。この時、ディスプレイ画面101がカラー表示可能であれば、第1の裏表反転原稿画像と第2の原稿画像の色を変えて表示するとさらに分かりやすい。
【0032】ここで、本実施例では原稿と複写画像の天地が逆になるが、操作者が上記のディスプレイ画像を確認して、OKキー104を押すと、第2の原稿を転写紙の2面目にコピーするプロセスが開始される。また、表示されたディスプレイ画像が操作者の希望する画像と異なっている場合は、キャンセルキー105を押し、第2の原稿をセットし直して再度コピーキー102を押し、画像読み取りを行う。
【0033】図4は重ね合わせ画像の表示例を示したもので、図4の(a)のような表裏の組み合わせは、転写紙の片方の短辺を綴じて複写画像を左右開きで見たいときに有効であり、図4の(b)のような表裏の組み合わせは、転写紙の片方の長辺を綴じて上下開きで見たいときに有効である。特にこの例の場合は原稿が横長なので、(b)の上下開きになるようにしたい。」

(c)図4は以下のとおりのものである。

【図4】


これらの記載から、引用刊行物3には次の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されているものと認められる。

「転写紙上に画像を形成する前に画像情報をディスプレイ画面に表示させる装置であって、
転写紙に対して印刷を行うための、第1の原稿をスキャンした画像情報を作成する制御装置と、
第2の原稿をスキャンした画像情報を作成する制御装置と、
第1の原稿の画像情報は、反転手段により裏表反転させた画像に変換され、この反転画像が第2の原稿画像と重ね合わされてディスプレイ画面上に表示させるようにした装置。」

(3)対比・判断
本願発明と引用発明3とを対比すると、引用発明3の
「転写紙」、
「第1の原稿をスキャンした画像情報」、
「第2の原稿をスキャンした画像情報」、
「制御装置」、
「ディスプレイ画面」、
「装置」

は、それぞれ本願発明の
「媒体」、
「第1印刷データ」
「第2印刷データ」
「第1印刷データ作成手段」と「第2印刷データ作成手段」、
「表示手段」、
「印刷画像のプレビュー装置」
に相当する。

また、第1の原稿画像と第2の原稿画像と重ね合わされてディスプレイ画面上に表示させる際には、いったん表示させるためのデータを作成することは当然のことであるから、そのようにして作成されたデータが、本願発明の「第3印刷データ」に相当し、その作成を行っている箇所が「第3印刷データ作成手段」に相当する。

してみると、両者は、
「印刷実行前に印刷結果を表示する印刷画像のプレビュー装置であって、
媒体に対して印刷を行うための第1印刷データを作成する第1印刷データ作成手段と、
前記第1印刷データによる印刷が行われた媒体に対して前記第1印刷データの印刷像に重ね合わせて印刷を行うための第2印刷データを作成する第2印刷データ作成手段と、
第1印刷データに第2印刷データを合成した第3印刷データを作成する第3印刷データ作成手段と、
第3印刷データの印刷像を表示する表示手段と
を有する印刷画像のプレビュー装置。」
の点で一致し、

以下の点で相違する。
本願発明は、第1印刷データに第2印刷データを合成する際に、第2印刷データを第1印刷データに上書き合成しているのに対し、引用発明3では合成にあたって、画像が重なった場合にどのように扱っているのか不明である点。

上記相違点について検討する。
2つの異なる画像を合成する際に、重なり合う部分について、後から追加する画像を優先させるようにすることは周知(必要であれば、前置報告書で引用文献7として引用した特開平4-205346号公報の第3ページ右上欄?右下欄、引用刊行物2である特許第2734471号公報の段落【0026】等参照)であり、引用発明3における画像の合成の際に、後から重ねる第2印刷データを優先して、第1印刷データに上書き合成することは、当業者が適宜容易になし得ることである。

効果の点についても、本願発明の効果は、引用発明3及び周知技術から予測し得る程度のものにすぎない。

したがって、本願発明は、引用刊行物3に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用刊行物3に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本願は、その他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-06-10 
結審通知日 2010-06-15 
審決日 2010-06-29 
出願番号 特願2001-22772(P2001-22772)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (B41J)
P 1 8・ 121- Z (B41J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石原 徹弥数井 賢治清水 康司  
特許庁審判長 木村 史郎
特許庁審判官 一宮 誠
柏崎 康司
発明の名称 印刷画像のプレビュー装置、方法、および記録媒体並びにプログラム  
代理人 有田 貴弘  
代理人 吉竹 英俊  

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