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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G08B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G08B
管理番号 1222001
審判番号 不服2008-30799  
総通号数 130 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-12-04 
確定日 2010-08-12 
事件の表示 特願2004- 51569「タグ取付方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 9月 8日出願公開、特開2005-242659〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成16年2月26日の出願であって、平成20年10月28日付で拒絶査定がなされ(発送日:平成20年11月4日)、これに対し、平成20年12月4日に拒絶査定不服審判の請求がなされると共に、平成20年12月19日付で手続補正がなされたものである。


2.平成20年12月19日付の手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成20年12月19日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項5は、
「自動二輪車の商品情報を記憶させたタグを樹脂材料で一体化して自動二輪車に取り付けるタグ取付方法において、
前記自動二輪車のヘッドパイプの外部に露出する側面に外部に開口する凹部を設け、当該凹部に前記タグを樹脂で封止し、前記ヘッドパイプをフロントカウルで覆ったことを特徴とするタグ取付方法。」
と補正された。

上記補正は、請求項5に記載した発明を特定するために必要な事項である「ヘッドパイプの外部に開口する凹部」について「ヘッドパイプの外部に露出する側面に外部に開口する凹部」と限定をするものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項5に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。


(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-49900号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。

1-a「物品の磁性体または金属母材の部位に設けられ、アンテナコイルと、記憶部と、制御部とを有する電磁誘導タグ、或いは物品に取り付けられた金属容器内に収容され、アンテナコイルと、記憶部と、制御部とを有する電磁誘導タグを利用して物品の管理を行うシステムであって、
前記電磁誘導タグの記憶部に記憶された物品のIDコードを読み取るリーダ端末機と、
前記物品のIDコードに関連付けられて該物品の固有情報が記憶された記憶手段と、
前記リーダ端末機により前記電磁誘導タグから読み取った物品のIDコードを入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された物品のIDコードに基づいて前記記憶手段から前記物品のIDコードに関連付けられた物品の固有情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された物品の固有情報を報知する報知手段と、
を有することを特徴とする電磁誘導タグを利用した物品の管理システム。」(【請求項4】)

1-b「本発明は、電磁誘導タグを利用した物品(製品や部品を含む)の管理方法及び電磁誘導タグを利用した物品の管理システムに関するものである。」(【0001】)

1-c「電磁誘導タグ1aはアンテナコイル2aの径方向の外径D_(2)に応じた外径D_(1)を有するガラス容器6に封止されており、図2に示すように、ギア部品Aの金属母材5に設けられた表面側が開放された空間7に挿入され、該空間7の底壁面7bに略密着してスペーサ等を介さずに直に設置される。
空間7内に埋設された電磁誘導タグ1aの外周には非磁性体材料等からなる樹脂8や接着剤等が充填して固定される。尚、ガラス容器6の代わりに樹脂等で封止したものでも良い。」(【0039】-【0040】)

1-d「図1及び図13に示すリーダライタ端末機Bには報知手段であって表示手段となるディスプレイ11が設けられており、リーダライタ端末機Bの入力手段となる操作キー12を操作することにより電磁誘導タグ1a,1bの記憶部となるメモリ4bに記憶されたギア部品Aの設計図や材質、製造、検査等の仕様等、設計、開発から製造、据え付け、付帯サービス等の履歴データやロット管理データ、或いは内容物の性能や種類、残存量等の管理情報からなる固有情報を読み取って、ディスプレイ11に表示させることが出来る。」(【0070】)

1-e「また、管理される物品としてギア部品AとガスボンベCに適用した場合の一例について説明したが、他の物品としては、自動車部品、農業機械部品、工作機械部品、精密機械部品、印刷機械部品、電機機器部品、医療機器部品、配管部品、ガス器具、水道器具、レジャー用品部品、建築資材等の各種の産業機械部品、或いはネジ、ボルト、ナット、バルブ、弁、ノズル、パイプ、歯車、軸受け、ベアリング、ばね、クラッチ、ベルト、チェーン、ハンドル、継手、カップリング等の各種の部品、或いはモータ、センサ、タンク、コンテナ、金型等の各種の部品、或いは各種の製品に適用出来る。」(【0086】)

上記記載事項からみて、引用例1には、
「製品の固有情報を記憶させた電磁誘導タグを樹脂で固定して製品に取り付ける電磁誘導タグ取付方法において、
前記製品に表面側が開放された空間を設け、当該空間に前記電磁誘導タグを樹脂で固定した電磁誘導タグ取付方法。」
との発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。


(3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「固有情報」、「電磁誘導タグ」、「樹脂」、「固定」、「表面側が開放された空間」は、それぞれ本願補正発明の「商品情報」、「タグ」、「樹脂材料」、「一体化」または「封止」、「外部に開口する凹部」に相当する。
引用発明の「製品」と、本願補正発明の「自動二輪車」は、自動二輪車は製品の一種であるから、「製品」との概念で共通する。

したがって、両者は、
「製品の商品情報を記憶させたタグを樹脂材料で一体化して製品に取り付けるタグ取付方法において、
前記製品に外部に開口する凹部を設け、当該凹部に前記タグを樹脂で封止したタグ取付方法。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

〔相違点1〕
商品情報に関し、本願補正発明は、対象製品が自動二輪車であるのに対し、引用発明は、対象製品が特定されていない点。

〔相違点2〕
タグを取り付ける製品に関し、本願補正発明は、自動二輪車のヘッドパイプの外部に露出する側面であるのに対し、引用発明は、製品ではあるが、具体的に特定されていない点。

〔相違点3〕
本願補正発明は、自動二輪車のヘッドパイプをフロントカウルで覆っているのに対し、引用発明は、この様な特定が無い点。


(4)判断
〔相違点1〕について
上記1-eには、「各種の製品に適用出来る。」とあるから、引用例1に記載のタグを、様々な製品に適用できることが示されており、また、自動二輪車の商品情報をタグに記憶させることは周知の事項であり、更に、タグを取り付ける製品を選択すれば、タグに記憶させる商品情報は、当然に当該製品の商品情報となるから、当業者であれば自動二輪車を選択して、商品情報として自動二輪車の商品情報とすることは、適宜選択し得る程度のことと認められる。
しかも、本願補正発明は、取付方法に係るものであり、タグに記憶される情報の種類自体によって取付方法が異なることはないから、商品情報の対象製品を自動二輪車とすることに格別の作用効果も認められない。

〔相違点2〕、〔相違点3〕について
上記1-eには、「各種の製品に適用出来る。」とあるから、引用例1に記載のタグを、様々な製品に適用できることが示されており、また、自動二輪車のヘッドパイプにID機能を備えるようにすることは周知の事項(必要が有れば、特開2003-11865号公報【0021】、【図1】、【図2】等参照)であるから、タグを自動二輪車のヘッドパイプに取り付けることは当業者が容易に考えられることと認められる。その際、タグは外部と通信する必要があり、遮蔽物があれば外部と通信できないので、外部に露出する側面にタグを取り付けることは当業者であれば適宜なし得る程度のことと認められる。
また、自動二輪車において、ヘッドパイプをフロントカウルで覆うことは慣用手段(必要が有れば、特開2003-306184号公報【0008】等参照)であるから、タグを取り付けた自動二輪車のヘッドパイプをフロントカウルで覆うことは、当業者が適宜なし得ることと認められる。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び上記周知の事項、慣用手段から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願補正発明は、引用発明及び上記周知の事項、慣用手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。


(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条の規定により却下されるべきものである。


3.本願発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項6に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成20年8月8日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項6に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「自動二輪車の商品情報を記憶させたタグを樹脂材料で一体化して自動二輪車に取り付けるタグ取付方法において、
前記自動二輪車のヘッドパイプに外部に開口する凹部を設け、当該凹部に前記タグを樹脂で封止し、前記ヘッドパイプをフロントカウルで覆ったことを特徴とするタグ取付方法。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例1及び、その記載事項は、上記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、上記「2.(1)」で検討した本願補正発明から「外部に開口する凹部」について「外部に露出する側面」との限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(3)及び(4)」に記載したとおり、引用発明及び上記周知の事項、慣用手段に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び上記周知の事項、慣用手段に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び上記周知の事項、慣用手段に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-06-09 
結審通知日 2010-06-15 
審決日 2010-06-29 
出願番号 特願2004-51569(P2004-51569)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G08B)
P 1 8・ 121- Z (G08B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平城 俊雅  
特許庁審判長 堀川 一郎
特許庁審判官 槙原 進
大河原 裕
発明の名称 タグ取付方法  
代理人 村山 靖彦  
代理人 志賀 正武  
代理人 佐伯 義文  
代理人 高橋 詔男  
代理人 西 和哉  
代理人 鈴木 三義  

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