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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D
管理番号 1222014
審判番号 不服2009-14079  
総通号数 130 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-08-06 
確定日 2010-08-12 
事件の表示 特願2001- 46345「合成樹脂製容器蓋」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 6月18日出願公開、特開2002-173157〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成13年2月22日(優先権主張平成12年3月13日)の出願であって、平成21年5月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成21年8月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
なお、本願出願時には、特願2000-298619を先の出願とする平成12年9月29日の優先権も主張しているが、本願の現在の請求項には、特願2000-298619の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した発明を請求する請求項はないから、平成12年9月29日の優先権は認められない。

2.本願発明
平成20年11月7日にされた手続補正によって補正された明細書及び図面の記載からみて、本願の請求項1ないし9に係る発明は、それら請求項に記載された事項によって特定されるとおりものと認める。その請求項1の記載は、次のとおりである。
「円形天面壁と、該天面壁の周縁から垂下する円筒形スカート壁とを具備する、合成樹脂から一体に形成された、内容物を加熱して容器に充填するホットパック充填方式に使用される合成樹脂製容器蓋において、
該天面壁の内面には、下方に延出する外側筒状シール片、下方に延出する内側筒状シール片、及び該外側筒状シール片と該内側筒状シール片との間に位置する、下方に膨出せしめられた環状シール突条が形成されており、
容器の口頸部に容器蓋を装着すると、該外側筒状シール片の内周面が口頸部の外周面に密接せしめられ、該内側筒状シール片の外周面が口頸部の内周面に密接せしめられ、該環状シール突条が口頸部の頂面に密接せしめられ、
容器の口頸部に容器蓋を装着する前の状態において、該外側筒状シール片の内周面の、口頸部の外周面に密接せしめられる部分における最小内径D1は口頸部の被密接外周面の外径D2よりも小さく、0.05mm≦(D2-D1)≦0.60mmであり、該内側筒状シール片の外周面の、口頸部の内周面に密接せしめられる部分における最大外径D3は口頸部の被密接内周面の内径D4よりも大きく、0.25mm≦(D3-D4)≦1.50mmであり、
該内側筒状シール片の外周面は該天面壁の内面から2.50乃至3.50mmである長さL1だけ下方に離隔した位置において該最大外径D3を有し、
該外側筒状シール片の内周面は該天面壁の内面から0.60乃至1.50mmである長さL2だけ下方に離隔した位置において該最小内径D1を有する、
ことを特徴とする容器蓋。」
(以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。)

3.引用例の記載事項及び引用発明
(1)引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平10-35699号公報(以下、「引用例」という。)には、図面と共に次の記載がある。
「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ワンピース型プラスチックキャップに関する…」
「【0017】本発明者らは、添付図面図2及び図5に示すポリプロピレン製キャップ(詳細は後述する試験例参照)について、有限要素法による数値解析を行い、キャップとビンとの距離(天面に垂直な軸方向距離)とキャップの各部における接触荷重との関係を調べた。図1はその結果である。」
「【0019】図1の結果によると、インナーリングの外周面には広いY軸方向の移動距離(約1乃至3mm)にわたって、径内方向向きの約10kgfの接触荷重が発生しており、加圧面接触が可能となるという驚くべき事実が明らかとなる。更に、この例では、最終的には、ビン口部がビン口頂部受け座及びビン口外周部受け座、並びにこれらの受け座間のシール用突起部に接触して、ビン口部とシール用突起部との間で耐圧力の大きな密封が行われることも了解される。」
「【0025】また、インナーリングはビン口内面との面シールを可能にするだけの軸方向寸法を有するが、具体的には、キャップの締まり角度、即ち開栓開始位置からキャップとビン口とのネジの係合が外れる位置までの角度に対応する軸方向変位の0.3乃至1.3倍、特に0.5乃至1.0倍の軸方向寸法を有することが好ましい。…」
「【0026】更に、インナーリングのガイド面は、インナーリングの内面に対して10゜乃至60゜、特に20゜乃至50゜のテーパー角度(2θ)を有していることが、インナーリングのビン口内面への挿入を容易にする上で好適である。」
「【0040】実施例1
図2において、このプラスチックキャップ1は、容器口部の形状にあわせてほぼ円筒形状をしており、天面部2と天面の周縁部から垂下したスカート部3とから一体に形成されている。天面部2の内面4にはインナーリング5及び密封乃至密封補助機構6が形成されている。…」
「【0042】シール面となるべきテーパー面22は、天面に垂直な方向(図において下方向))に且つ径外方向(図において右方向)に傾斜して延びており、ビン口内面との面シールを可能にするに十分な寸法を有している。このテーパー面22のテーパー角度(2θ)は、一般に10゜乃至60゜、特に20゜乃至50゜の範囲となっている。」
「【0046】図3において、天面部2のインナーリング5の外方には持続密封機構6が形成されており、この密封機構6は、ビン口部の頂部と実質上ぴったり係合する受け座30と、…シール用突起部34とからなっている。」
「【0047】…この態様のキャップでは、ビン口部の外周部と係合する受け座31が、天面部の外周から天面の垂直方向且つ径内方向にテーパー状に突出して設けられたアウターリング35の内周面で形成されていることも了解されよう。」
「【0057】(1)キャップ:図2及び図3に示す構造及び形状を有し、且つ図5に示す寸法を有するキャップを用いた。
θ=14゜
α=14゜
キャップ外径 29.9mm
インナーリング5の付け根部20の径 20.2mm
インナーリング5の最大外径部26の径 21.05mm
インナーリング5の高さ方向寸法 4mm
ガイド面の高さ 1mm
ネジピッチ 3.175mm/360度
ブリッジの個数 22個
シール用突起部の突出寸法 0.15mm
キャップの成形は、レジンとして白色ポリプロピレン組成物(弾性係数1.6×10^(4)kg/mm^(2))を使用し、目付量=3.08gで成形した。」
「【0058】(2)ボトル
内容積1.5Lのポリエチレンテレフタレート製のボトルであって、口部が熱結晶化され、ボトルの口部内径が20.6mm(±0.25mm)のものを使用した。」
「【0059】1)ホットパック充填試験
以下のとおりにしてホットパック充填ボトルを用意した。
(1)87℃の温水を、ヘッドスペース4mlが残るようにボトルに充填し、キャッピングした。…」
「【0060】(1)開栓性試験(開栓トルク、ブリッジブレーク&リーク角度)(n=5)
ホットパック充填後、ボトルを、5℃、室温、40℃の温度区で正立にて保管し、1日後、1週間後、2週間後その温度区から取り出し、室温にて20秒以内に開栓トルク、締まり角度、ブリッジブレーク&リーク角度を測定した。」
図3には、「受け座30」がインナーリング5とアウターリング35との間に位置することが図示されており、また、図2、図3、図5及び段落【0057】の記載からみて、図5及び段落【0057】に記載されたキャップの寸法は、ビン口部にキャップを装着していない状態におけるキャップの寸法であるといえる。
また、引用発明のアウターリング35は、その内周面がビン口部の外周部と係合する受け座31を有しているから、アウターリング35の内周面のビン口部の外周部と係合する部分の最小内径は、ビン口部のアウターリング35と係合する部分の外周部の外径よりも小さいことは明らかである。

(2)引用発明
引用例の上記記載及び図1ないし図5の記載からみて、引用例には次の発明が記載されているといえる。(以下、「引用発明」という。)
「天面部2と、天面の周縁部から垂下したスカート部3とから一体に形成されているプラスチックキャップ1であって、ホットパック充填に使用されるものであり、
天面部2の内面4には、インナーリング5及び密封機構6が形成されており、インナーリング5のシール面となるテーパー面22は、天面に垂直な方向に且つ径外方向に傾斜して延びており、
密封機構6は、ビン口部の頂部と実質上ぴったり係合する受け座30を有し、この受け座30は、インナーリング5とアウターリング35との間に位置しており、
密封機構6は、さらに、天面部2の外周から天面の垂直方向且つ径内方向にテーパー状に突出して設けられたアウターリング35を有し、アウターリング35の内周面がビン口部の外周部と係合する受け座31を有し、
ビン口部にキャップを装着していない状態において、アウターリング35の内周面のビン口部の外周部と係合する部分の最小内径は、ビン口部のアウターリング35と係合する部分の外周部の外径よりも小さく、
ビン口部の内径が20.6mm(±0.25mm)であり、インナーリング5の最大外径部26の径が21.05mmであり、
インナーリング5の高さ方向寸法が4mmであり、インナーリング5のガイド面の高さが1mmである、
プラスチックキャップ。」

4.対比
(1)本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「天面部2」は、本願発明の「円形天面壁」に相当し、同様に、
「天面の周縁部から垂下したスカート部3」は「天面壁の周縁から垂下する円筒形スカート壁」に、
「一体に形成されているプラスチックキャップ1であって、ホットパック充填に使用されるもの」は「合成樹脂から一体に形成された、内容物を加熱して容器に充填するホットパック充填方式に使用される合成樹脂製容器蓋」にそれぞれ相当する。
(2)引用発明の密封機構6のうち、「天面の垂直方向且つ径内方向にテーパー状に突出して設けられたアウターリング35」は、その内周面がビン口部の外周部と係合する受け座31を有しているから、本願発明の「下方に延出する外側筒状シール片」であって、容器の口頸部に容器蓋を装着すると外側筒状シール片の内周面が口頸部の外周面に密接せしめられるものに相当する。
(3)引用発明の密封機構6のうち、インナーリング5とアウターリング35との間に位置している「受け座30」は、ビン口部の頂部と実質上ぴったり係合するものであるから、本願発明の「下方に膨出せしめられた環状シール突条」であって、容器の口頸部に容器蓋を装着すると環状シール突条が口頸部の頂面に密接せしめられるものに相当する。
(4)引用発明の「引用発明のインナーリング5」は、「シール面となるテーパー面22は、天面に垂直な方向に且つ径外方向に傾斜して延びて」いるものであるから、本願発明の「下方に延出する内側筒状シール片」であって、容器の口頸部に容器蓋を装着すると内側筒状シール片の外周面が口頸部の内周面に密接せしめられるものに相当する。
(5)引用発明のビン口部の内径(d4とする。)が20.6mm(±0.25mm)であり、インナーリング5の最大外径部26の径(d3とする。)が21.05mmであるから、d3はd4より大きく、その差d3-d4は、0.2mm?0.7mmである。すると、引用発明は、0.25mm≦(d3-d4)≦1.50mmの範囲である構成を含むから、その限りにおいて、本願発明の「内側筒状シール片の外周面の、口頸部の内周面に密接せしめられる部分における最大外径D3は口頸部の被密接内周面の内径D4よりも大きく、0.25mm≦(D3-D4)≦1.50mm」であることに相当する。
(6)引用発明のインナーリング5の高さ方向寸法が4mmであり、ガイド面の高さが1mmである。すると、引用発明のインナーリング5の最大外径部26は、天面部2の内面4から4mm-1mm=3mmの位置にあるから、本願発明の「内側筒状シール片の外周面は天面壁の内面から2.50乃至3.50mmである長さL1だけ下方に離隔した位置において該最大外径D3を有し」ていることに相当する。
(7)したがって、本願発明と引用発明とは、本願発明の表記に倣って記載すると、次の点で一致する。
《一致点》
「円形天面壁と、該天面壁の周縁から垂下する円筒形スカート壁とを具備する、合成樹脂から一体に形成された、内容物を加熱して容器に充填するホットパック充填方式に使用される合成樹脂製容器蓋において、
該天面壁の内面には、下方に延出する外側筒状シール片、下方に延出する内側筒状シール片、及び該外側筒状シール片と該内側筒状シール片との間に位置する、下方に膨出せしめられた環状シール突条が形成されており、
容器の口頸部に容器蓋を装着すると、該外側筒状シール片の内周面が口頸部の外周面に密接せしめられ、該内側筒状シール片の外周面が口頸部の内周面に密接せしめられ、該環状シール突条が口頸部の頂面に密接せしめられ、
容器の口頸部に容器蓋を装着する前の状態において、該外側筒状シール片の内周面の、口頸部の外周面に密接せしめられる部分における最小内径D1は口頸部の被密接外周面の外径D2よりも小さく、該内側筒状シール片の外周面の、口頸部の内周面に密接せしめられる部分における最大外径D3は口頸部の被密接内周面の内径D4よりも大きく、0.25mm≦(D3-D4)≦1.50mmであり、
該内側筒状シール片の外周面は該天面壁の内面から2.50乃至3.50mmである長さL1だけ下方に離隔した位置において該最大外径D3を有する、容器蓋。」
(8)そして、本願発明と引用発明とは、次の点で相違する。
《相違点》
本願発明では、外側筒状シール片の内周面の最小内径D1と口頸部の被密接外周面の外径D2との差が0.05mm≦(D2-D1)≦0.60mmであり、外側筒状シール片の内周面は該天面壁の内面から0.60乃至1.50mmである長さL2だけ下方に離隔した位置において該最小内径D1を有するのに対し、引用発明では、これらの寸法が特定されていない点。

5.相違点の検討
そこで、上記相違点について検討すると、容器蓋に設けたシール片と、容器の口頸部との密接部分の径の差や、密接部分の容器蓋天面壁の内面からの離隔位置は、シール性や、開栓トルクなどを考慮して、容器の口頸部や容器蓋の大きさ、それら材料の硬さ等に応じて、当業者が実験等に基づき、適宜最適な値を決定すべき単なる設計的事項である。そして、本願明細書及び図面を参酌しても、相違点に係る寸法を採用することに格別な技術的意義があるとは認められず、かつ、引用発明において、相違点に係る寸法を採用することに阻害要因があるとも認められない。
そして、本願補正発明が奏する効果も、引用例1及び引用例2記載の発明から当業者が予測できたものであって、格別顕著なものとはいえない。
したがって、本願発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-06-08 
結審通知日 2010-06-15 
審決日 2010-06-29 
出願番号 特願2001-46345(P2001-46345)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 関谷 一夫  
特許庁審判長 栗林 敏彦
特許庁審判官 谷治 和文
佐野 健治
発明の名称 合成樹脂製容器蓋  
代理人 小野 尚純  
代理人 奥貫 佐知子  
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