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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1222130
審判番号 不服2008-26148  
総通号数 130 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-10-09 
確定日 2010-08-16 
事件の表示 特願2008- 31066「情報機器」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 5月29日出願公開、特開2008-123553〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成9年9月24日を国際出願日とする出願である特願平10-518169号の一部を平成18年10月16日に新たな特許出願とした特願2006-281472号の一部を平成20年2月12日(優先権主張平成8年10月16日、日本国)にさらに新たな特許出願としたものであって、平成20年5月28日付けで手続補正がなされ、同年6月12日付けで拒絶理由通知がなされ、同年9月4日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月9日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成20年5月28日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。(以下、「本願発明」という。)
「操作入力部の操作に基づいて文書作成を行う文書作成機能を有する情報機器であって、
格納手段に格納された登録語に含まれる候補文字であって、前記操作入力部の操作に基づいて入力された文字の次に入力される候補文字の優先順位を決定し、該優先順位により候補文字を表示する候補文字表示手段と、
候補のカテゴリを指定するカテゴリ指定手段と、
を備え、
前記候補文字表示手段は、前記カテゴリ指定手段によって指定されたカテゴリに応じた優先順位にて表示することを特徴とする情報機器。」

3.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-334499号公報(以下、「引用例1」という。)、及び特開昭54-67324号公報(以下、「引用例2」という。)には、それぞれ、図面とともに次の事項が記載されている。

(引用例1)
A.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、キーボードなどから仮名文字を打鍵して、それを漢字仮名混じり文字列へ変換しながら、日本語文章を入力する文字列入力装置に関する。」

B.「【0016】図1は、第一の発明の一実施例の構成を示すブロック図である。その構成要素を説明する。
【0017】仮名文字入力手段1は、仮名文字列を入力する手段である。第一の文字列バッファ2は、仮名文字入力手段1によって入力された仮名文字列を格納するバッファである。第一の指示入力手段3は、仮名漢字変換時の選択や変更の指示を入力する手段である。仮名漢字変換手段4は、第一の指示入力手段3からの指示にしたがって、第一の文字列バッファ2内の文字列を漢字仮名混じり文字列へ変換する手段である。第二の文字列バッファ5は、仮名漢字変換手段3の結果を格納するバッファである。第二の指示入力手段6は、予測時の選択や変更の指示を入力する手段である。予測手段7は、第二の指示入力手段6からの指示にしたがって、第二の文字列バッファ5内の文字列の直後に続く文字列を予測・決定する手段である。第三の文字列バッファ8は、予測手段7の結果を格納するバッファである。表示手段9は、仮名漢字変換手段4や予測手段7の処理過程における適宜情報を表示する。制御手段10は、以上のような構成要素の処理を制御する。
【0018】仮名文字入力手段1はキーボードなどで実現できる。第一の文字列バッファ2、第二の文字列バッファ5、第三の文字列バッファ8は、ICメモリなどの記憶装置によって実現できる。表示手段9は、CRTディスプレイや液晶ディスプレイなどで実現できる。第一の指示入力手段3や第二の指示入力手段6は、キーボードで決められたキー打鍵することで指示を入力する方法や、マウスやペンなどで、ある区域をポイントすることで指示を入力する方法などがある。」

C.「【0020】予測手段6は、第二の文字列バッファ5内の文字列の直後に続く文字列候補を生成する。その実現方法は、例えば次のような方法が考えられる。
・・・(中略)・・・
【0022】予測の第二の方法は、文字と文字の連接確率を利用する方法である。多量の文章を調査して、ある二文字組がどれくらいの頻度で出現するかは事前に調べておくことができる。それにもとづいて、ある文字の直後に出現する可能性の高い文字のリスト求めておくことができる。その文字の連接確率にもとづいて出現可能性の高い文字を順に求め、それを予測文字列とすればよい。
【0023】予測の第三の方法は、単語と単語の共起確率を利用する方法である。例えば、「健康」の後には「管理」や「診断」などが出現しやすいというような共起情報を辞書化しておき、それら共起語を予測文字列とするものである。また、この共起しやすさは、単語と単語の共起として整理しておく以外に、意味分類の近さのような形で整理しておく方法もある。」

D.「【0041】図4は本発明による画面表示例である。図3の状態遷移図と対応させながら、図4の例を説明する。
【0042】図4の(a)は、初期状態の全確定状態100から仮名文字キーの打鍵により、遷移101・遷移111を経て、未変換状態110にある。
【0043】図4の(b)は、(a)で変換キーの打鍵により、遷移112を起こして、変換選択状態120になったところである。「じんこう」が「人口」に仮名漢字変換されたと同時に、「人口」に対する予測文字列として「密度」や「増加」が表示されている。「人口」は未確定で、予測文字列は未選択である。
【0044】さらに変換キーを打鍵すると、遷移121を起こして、図4の(c)となる。変換選択状態120のままであるが、仮名漢字変換候補が次候補の「人工」に変わる。それに合わせて、予測文字列も「人工」に関する「臓器」や「知能」に変わる。
【0045】ここで予測選択キーを打鍵すると、遷移122を起こして、予測選択状態130に移り、図4の(d)となる。図4の(d)では、予測文字列の第一候補である「臓器」が選択された状態になっている。
【0046】図4の(d)で、さらに予測選択キーを打鍵すると、図4の(e)のようになる。遷移131により予測選択状態のままであるが、予測文字列の次候補が選択された状態に変わる。ただし、予測文字列は選択されていても未確定である。
【0047】確定キーを打鍵すると、遷移133により全確定状態に変わる。図4の(f)のように、仮名漢字変換候補も予測文字列候補も確定文字列となる。ただし、この段階でも、図4の(f′)のように予測文字列を表示する方法も考えられる。」

上記Cの段落【0022】の「・・・ある文字の直後に出現する可能性の高い文字のリスト求めておくことができる。その文字の連接確率にもとづいて出現可能性の高い文字を順に求め、それを予測文字列とすればよい。」との記載、及び段落【0023】の「・・・例えば、「健康」の後には「管理」や「診断」などが出現しやすいというような共起情報を辞書化しておき、それら共起語を予測文字列とするものである。」との記載において、「出現可能性の高い文字」や、「管理」や「診断」などの「出現しやすい」文字列は、予測文字列の候補として、「優先順位」の高いものであるということができる。
そして、どのような文字列が「出現しやすい」か、すなわち、予測文字列の候補として「優先順位」が高いかは、「文字の連接確率」や「共起情報」に基づいて決定しているということができる。

よって、上記A?Dの記載及び関連する図面を参照すると、引用例1には、実質的に、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用例1記載の発明」という。)
「キーボードの操作に基づいて日本語文章を入力する文字列入力装置であって、
辞書に格納された文字列に含まれる候補文字列であって、前記キーボードの操作に基づいて入力された文字列の次に入力される候補文字列の優先順位を決定し、該優先順位により候補文字列を表示する候補文字列表示手段を備える文字列入力装置。」

(引用例2)
E.「本発明は仮名の如き第1の文字を入力して、該仮名に対応する同音語漢字群の如き第2の文字群の中より所望の第2の文字を選択して第1の文字を第2の文字に変換する文字変換装置に関するものである。
例えば、仮名の如き第1の文字で入力された語を、該仮名に対応する漢字の如き第2の文字に変換する変換装置においては、同音語漢字より如何にして所望の1つを選ぶかが問題となるものである。
この様に同音語漢字より所望の1つを出力する変換装置の1つとしては、先ず仮名で入力された語に対応する全ての同音語漢字を表示器上に表示し、操作者が表示器上で表示された同音語漢字群の中から所望の漢字を選択指示することにより、所望の漢字を出力するものが知られている。
しかしながら、この様な変換装置を用いるならば、複数の同音語漢字の全てが表示器に表示され、この中より所望のものを探さねばならないので、操作者による探索に時間を要し、かつ又、操作者の疲労も大きいものである。
かかる欠点を除去する為に、本出願人は先に使用頻度を用いて出力する漢字を制限するものを提案した。
しかしながらこの様に入力される第1の文字に対応する第2の文字の夫々の使用頻度は、該文字が使用される分野によって相異するものである。
例えば特許の明細書作成の部門において当該変換装置が用いられる場合は、“ぜんき”に対応する同音語漢字のうち、“前記”の使用頻度が極めて高くなり、これに対し他の同音語漢字“前期”“全期”の使用頻度が非常に低くなるのに対し、経理の部門においては、“前期”“全期”の使用頻度が高くなることは容易に予測出来る。
・・・(中略)・・・
そこで本発明においては、入力する第1の文字が属する分野をも指示する如く構成して、より適切なる出力が行なわれる如く構成したものである。
この様に分野をも指示出来る如く成すならば、前述の如く“ぜんき”と入力して更に“特許”の分野を指示するならば、“前記”が出力され、“経理”の分野を指示すると“前期”及び“全期”が出力される如く構成することも容易である。
更には、この様に分野をも指示出来る如く成すならば、特殊な文法に従って言語が用いられる場合等であっても、該特殊な文法に従って文法的に処理して、出力すべき第2の文字を選択することも出来るものである。
なお、本発明で言う第1の文字とは、平仮名、片仮名、アルファベット文字を組合わせたローマ字、及びBOOKの如く他国の言語をも包含するものであり、第2の文字とは、前記仮名、ローマ字に対応する漢字の如き同音語文字及び、前記BOOKに対応する“書籍”“本”“帳簿”の如き同意語文字をも包含するものである。」(第1頁左下欄第10行?第2頁左下欄第2行)

上記Eの記載を参照すると、引用例2には、実質的に、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用例2記載の発明」という。)
「入力する第1の文字に対応する第2の文字の優先順位を決定し、該優先順位により第2の文字を表示する表示手段と、
入力する第1の文字が属する分野を指示する指示手段と、
を備え、
前記表示手段は、前記指示手段によって指定された分野に応じた優先順位にて表示する文字変換装置。」

4.対比
本願発明と引用例1記載の発明とを対比すると、次のことがいえる。

(あ)引用例1記載の発明における「キーボード」は、本願発明における「操作入力部」に相当する。
そして、引用例1記載の発明において「キーボードの操作に基づいて日本語文章を入力する」ことは、本願発明において「操作入力部の操作に基づいて文書作成を行う」ことに相当する事項であり、引用例1記載の発明における「文字列入力装置」は、本願発明における「文書作成機能を有する情報機器」に相当するということができる。

(い)引用例1記載の発明における「辞書」及び「辞書に格納された文字列」は、それぞれ、本願発明における「格納手段」及び「格納手段に格納された登録語」に相当する。
そして、本願発明における「候補文字」及び「入力された文字」は、本願の実施形態であるところの段落【0096】?【0119】の「実施形態4」の記載を参酌すると、単数の「候補文字」及び「入力された文字」のみならず、複数の文字よりなる「候補文字列」及び「入力された文字列」をも含む概念のものである。
よって、引用例1記載の発明における「候補文字列」及び「入力された文字列」は、本願発明における「候補文字」及び「入力された文字」に相当し、引用例1記載の発明における「候補文字列表示手段」は、本願発明における「候補文字表示手段」に相当する。
上記(あ)、(い)の事項を踏まえると、本願発明と引用例1記載の発明とは、次の点で一致し、また、相違するものと認められる。

(一致点)
本願発明と引用例1記載の発明とは、ともに、
「操作入力部の操作に基づいて文書作成を行う文書作成機能を有する情報機器であって、
格納手段に格納された登録語に含まれる候補文字であって、前記操作入力部の操作に基づいて入力された文字の次に入力される候補文字の優先順位を決定し、該優先順位により候補文字を表示する候補文字表示手段を備える情報機器。」
である点。

(相違点)
本願発明は、「候補のカテゴリを指定するカテゴリ指定手段」を備えるものであり、かつ、「候補文字表示手段」が「カテゴリ指定手段によって指定されたカテゴリに応じた優先順位にて表示する」ものであるのに対し、引用例1記載の発明は、そのようなものではない点。

5.当審の判断
そこで、上記相違点について検討する。
上記引用例2記載の発明において、「第2の文字」は、「入力する第1の文字」に対応するものであり、上記引用例2に記載されている具体例によれば、例えば、入力する“ぜんき”という文字に対応する“前記”や“前期”であったり、入力する“BOOK”という文字に対応する“書籍”や“本”であったりするものである。
そして、「入力する第1の文字」が属する分野を指示することは、「入力する第1の文字」に対応する「第2の文字」が属する分野を指示することにもなるものである。なぜならば、上記引用例2に記載されている具体例によれば、入力する“ぜんき”という第1の文字に対して“特許”の分野を指示して出力される“前記”という第2の文字は、“特許”の分野において優先的に出力される文字であり、上記“前記”という第2の文字も、“特許”の分野に属する文字であるということができるからである。
ここで、上記引用例2記載の発明において、「入力する第1の文字」に対応する「第2の文字」としては、「第1の文字」を仮名漢字変換して得られるものに限らず、例えば、上記引用例2の具体例として挙げられているところの、“BOOK”という文字に対応する“書籍”や“本”という同意語文字のように、種々のものが考えられるものである。
してみれば、引用例1記載の発明における「入力された文字」を「第1の文字」としてとらえた場合、該「入力された文字」の次に入力される「候補文字」は、「第1の文字」である「入力された文字」に対応する「第2の文字」であるということができ、この「第2の文字」である「候補文字」としてどのようなものを表示させるかにあたり、上記引用例2記載の発明を参酌して、「第2の文字」である「候補文字」が属する分野すなわちカテゴリに応じた優先順位で表示させるようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
よって、引用例1記載の発明に対して上記引用例2記載の発明を適用することにより、引用例1記載の発明の装置を「候補のカテゴリを指定するカテゴリ指定手段」を備えるものとし、かつ、「候補文字表示手段」を「カテゴリ指定手段によって指定されたカテゴリに応じた優先順位にて表示する」ものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(本願発明の作用効果について)
そして、本願発明の構成によってもたらされる効果も、引用例1,2に記載の発明から当業者が容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1,2に記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-06-21 
結審通知日 2010-06-22 
審決日 2010-07-05 
出願番号 特願2008-31066(P2008-31066)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 成瀬 博之  
特許庁審判長 長島 孝志
特許庁審判官 小曳 満昭
池田 聡史
発明の名称 情報機器  
代理人 山本 秀策  
代理人 大塩 竹志  
代理人 安村 高明  
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