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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1222152
審判番号 不服2007-31913  
総通号数 130 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-11-26 
確定日 2010-08-18 
事件の表示 特願2000-294638「トランザクションシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 5月29日出願公開、特開2001-146373〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成10年4月17日の出願(特願平10-107569)(パリ条約による優先権主張1997年5月7日、アメリカ合衆国)の一部を新たな特許出願としたものであって、平成12年9月27日に出願がなされ、平成19年7月13日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成19年11月26日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、平成19年12月26日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成19年12月26日付けの手続補正についての補正却下の決定

〔結論〕

平成19年12月26日付けの手続補正を却下する。

〔理由〕

1.補正内容
平成19年12月26日付けの手続補正(以下、「本件補正」と呼ぶ。)は、特許請求の範囲の請求項1を、下記の<補正前の請求項1>から<補正後の請求項1>に変更する補正事項を含むものである。

<補正前の請求項1>
「【請求項1】 トランザクションを行うサービスプロバイダによって操作することができるサービスプロバイダステーションと、トランザクションを要求するカスタマーによって操作することができる少なくとも1個のカスタマーステーションとを具え、
前記サービスプロバイダステーションは、
サービスプロバイダ視覚ディスプレイ、
サービスプロバイダCCTVカメラ、
サービスプロバイダ音声送信装置とサービスプロバイダ音声受信装置、
サービスプロバイダ空気管キャリヤ送給受理装置
のうちの少なくとも1個の構成部分を具え、
前記少なくとも1個のカスタマーステーションは、
前記サービスプロバイダCCTVカメラに作動可能に接続されたカスタマー視覚ディスプレイ、
前記サービスプロバイダ視覚ディスプレイに作動可能に接続されたカスタマーCCTVカメラ、
それぞれ前記サービスプロバイダ音声受信装置と前記サービスプロバイダ音声送信装置とに作動可能に接続されたカスタマー音声送信装置とカスタマー音声受信装置、
前記カスタマーステーションとサービスプロバイダステーションとの間にキャリヤを選択的に動かし得るように前記サービスプロバイダ空気管キャリヤ送給受理装置に作動可能に接続されたカスタマー空気管キャリヤ送給受理装置、
のうちの少なくとも1個の構成部分を具え、さらに、
内部壁により内部区域を生じ、また他の壁を有する建物と
を具え、
前記サービスプロバイダステーションを前記内部区域に収容し、
前記カスタマーステーションの前記カスタマー視覚ディスプレイカスタマーCCTVカメラ、カスタマー音声送信装置、カスタマー音声受信装置、及びカスタマーキャリヤ装置のうちの少なくとも1個の構成部分を前記他の壁に支持連結し、前記カスタマーステーションには更にカバーを設け、このカバーを前記他の壁に支持連結状態に移動自在に取付け、カバーが第1位置にあるとき、少なくとも1個の構成部分と重なり合い、カバーには少なくとも1個の開口を設け、この少なくとも1個の開口から1個の構成部分に手が到達でき、従ってカバーが第1位置にあるときカスタマーがこの構成部分を操作できるようにし、またカバーが第2位置にあるときカバーが1個の構成部分から離れ、構成部分の修理を行うことができるアクセスを可能にしたことを特徴とするトランザクションシステム。」

<補正後の請求項1>
「【請求項1】 トランザクションを行うサービスプロバイダによって操作することができるサービスプロバイダステーションと、トランザクションを要求するカスタマーによって操作することができる少なくとも1個のカスタマーステーションとを具え、
前記サービスプロバイダステーションは、
サービスプロバイダ視覚ディスプレイ、
サービスプロバイダCCTVカメラ、
サービスプロバイダ音声送信装置とサービスプロバイダ音声受信装置、
サービスプロバイダ空気管キャリヤ送給受理装置
のうちの少なくとも1個の構成部分を具え、
前記少なくとも1個のカスタマーステーションは、
前記サービスプロバイダCCTVカメラに作動可能に接続されたカスタマー視覚ディスプレイ、
前記サービスプロバイダ視覚ディスプレイに作動可能に接続されたカスタマーCCTVカメラ、
それぞれ前記サービスプロバイダ音声受信装置と前記サービスプロバイダ音声送信装置とに作動可能に接続されたカスタマー音声送信装置とカスタマー音声受信装置、
前記カスタマーステーションとサービスプロバイダステーションとの間にキャリヤを選択的に動かし得るように前記サービスプロバイダ空気管キャリヤ送給受理装置に作動可能に接続されたカスタマー空気管キャリヤ送給受理装置、
のうちの少なくとも1個の構成部分を具え、さらに、
内部壁により内部区域を生じ、また他の壁を有する建物と
を具え、前記他の壁を前記建物の内部区域に存在する他の内部壁とし、前記カスタマーステーションにおける少なくとも1個の構成部分を前記他の内部壁に支持連結してカスタマーステーションを前記内部区域に配置し、 前記建物は前記サービスプロバイダステーションを収容する安全室を具え、前記カスタマーステーションをこの安全室の外側に配置し、
前記カスタマーステーションの前記カスタマー視覚ディスプレイカスタマーCCTVカメラ、カスタマー音声送信装置、カスタマー音声受信装置、及びカスタマーキャリヤ装置のうちの少なくとも1個の構成部分を前記他の壁に支持連結し、前記カスタマーステーションには更にカバーを設け、このカバーを前記他の壁に支持連結状態に移動自在に取付け、カバーが第1位置にあるとき、少なくとも1個の構成部分と重なり合い、カバーには少なくとも1個の開口を設け、この少なくとも1個の開口から1個の構成部分に手が到達でき、従ってカバーが第1位置にあるときカスタマーがこの構成部分を操作できるようにし、またカバーが第2位置にあるときカバーが1個の構成部分から離れ、構成部分の修理を行うことができるアクセスを可能にしたことを特徴とするトランザクションシステム。」


2.本件補正に対する判断
本件補正のうちの上記補正事項は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「内部壁により内部区域を生じ、また他の壁を有する建物」と「サービスプロバイダステーション」、「カスタマーステーション」相互の位置関係に関する要件を、「前記サービスプロバイダステーションを前記内部区域に収容し、」から「前記他の壁を前記建物の内部区域に存在する他の内部壁とし、前記カスタマーステーションにおける少なくとも1個の構成部分を前記他の内部壁に支持連結してカスタマーステーションを前記内部区域に配置し、
前記建物は前記サービスプロバイダステーションを収容する安全室を具え、前記カスタマーステーションをこの安全室の外側に配置し、」に限定するものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」と呼ぶ。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下検討する。

2-1.引用例

原査定の拒絶の理由に引用された米国特許第3294342号明細書(以下、「引用例」と呼ぶ。)には、以下の事項が記載されている。

(1)「This invention relates to service facilities and equipment. More particularly, it deals with a closed circuit television and pneumatic tube dispatch system for the servicing of bank customers at a customer service-facility outside the bank.」(第1欄第14?18行)

(2)「FIG.1 is a pictorial view illustrating the equipment at the customer station with a customer in an automobile thereat;」(第3欄第9?11行)

(3)「FIG.5 is an elevation view illustrating the equipment at the inside-bank station for one teller to service two customer stations.」(第3欄第24?26行)

(4)「By means now to be described the service operator 20 from her position interior of the bank, can see, hear, receive material from, and transmit material to the outside customer 12. Likewise, the customer 12 in his car see, hear, receive material from, and transmit material to the service operator 20 at the bank station 18.」(第3欄第37?43行)

(5)「As the customer 12 arrives at customer station 10, he comes into range of a televesion camera 22 which by closed-circuit television causes his image to appear on a corresponding one of the television receivers 24 and 24', such as for Station I and II, at the operator station 18.」(第3欄第51?55行)

(6)「The customer 12 sees the service operator 20 by her television image 20 on the screen of the television receiver 29 at the customer station 10, her picture being taken by the camera 30 or 30' correspondingly for Station I or II at the operator station 18 inside the bank.」(第3欄第68?72行)

(7)「Verbal communication between the customer 12 and the operator 20 is provided by an inter-communication system shown as including a combination speaker and microphone unit 31 at the customer station 10, and a corresponding combination speaker and microphone unit 32 or 32' at the service station 18 for each corresponding customer station 10 which may be also controlled by a knob on the corresponding station panel 60 or 60' by the teller or operator 20.」(第3欄第73行?第4欄第6行)

(8)「The customer 12 then drops the capsule 40 into the open mouth of a transmission tube 42. The mouth or dispatching end of tube 42 is shown as inside the customer station 10, but it is exposed while the door 36 is in its open position 36'. The transmission tube 42 is shown as having an initial portion having a downward slope; and thus the capsule 40 begins its journey by the force of gravity.」(第4欄第39?46行)

(9)「This sensing switch and/or solenoid 46 also may activate the pneumatic means 51 to cause the capsule 40 to move through the length of the transmission tube 42 to the other tube end 48 at the operator or teller station 18 (FIG.5), which tube end 48 is shown as located behind a door 50 or 50' for the corresponding Station I or II, respectively, at the operator station 18.」(第4欄第55?62行)

(10)「After performing the requisite servicing, the operator 20 places the material to be given or returned to the customer 12 in a capsule 40, and then she opens the cap 54 or 54' of that return transmission tube 56 or 56' for pneumatic dispatch back to the corresponding remote station 10-I or 10-II.」(第5欄第7?14行)

(11)「Still observing FIG.5, it will be noted that the operator station is provided with one or more rack 58,58' in which may be kept extra deposit slips and other transaction forms.」(第5欄第23?26行)

(12)「A capsule 40, having moved back to the customer station 10 through this return tube 56, has a momentum which moves the capsule upwardly from the discharging or delivery end of tube 56. The capsule 40 is then deflected by deflector plates 66, which are arcuately formed to direct the capsule toward and into the above-described capsule receiver box 38.」(第5欄第39?第45行)

ここで、上記記載事項(11)の「transaction forms」なる記載からも伺い知れるように、引用例記載のservice operator 20がcustomer 12の要求に基づいて行う業務は、当然に「トランザクション」と呼び得るものと認められる。
そして、上記記載と共に引用例のFIG.1?FIG.5を参照すると、引用例には、以下の発明(以下、「引用例記載発明」と呼ぶ。)が記載されているといえる。

「トランザクションを行うservice operator 20によって操作することができるinside-bank stationと、トランザクションを要求するcustomer 12によって操作することができる少なくとも1個のcustomer stationとを具え、
前記inside-bank stationは、
television receivers 24 and 24'、
camera 30 or 30'、
combination speaker and microphone unit 32 or 32'、
tube end 48及びreturn transmission tube 56 or 56'
を具え、
前記少なくとも1個のcustomer stationは、
前記camera 30 or 30'に作動可能に接続されたtelevision receiver 29、
前記television receivers 24 and 24'に作動可能に接続されたtelevesion camera 22、
それぞれ前記combination speaker and microphone unit 32 or 32'のmicrophoneとspeakerとに作動可能に接続されたcombination speaker and microphone unit 31のspeakerとmicrophone、
前記customer stationとinside-bank stationとの間にcapsule 40を選択的に動かし得るように前記tube end 48及びreturn transmission tube 56 or 56'に作動可能に接続されたtransmission tube 42及びcapsule receiver box 38、
を具えたトランザクションシステム。」

2-2.本願補正発明と引用例記載発明との対比
本願補正発明と引用例記載発明とを対比すると、以下の対応関係が認められる。
(1)引用例記載発明の「service operator 20」は、本願補正発明の「サービスプロバイダ」に相当する。
(2)引用例記載発明の「inside-bank station」は、本願補正発明の「サービスプロバイダステーション」に相当する。
(3)引用例記載発明の「customer 12」は、本願補正発明の「カスタマー」に相当する。
(4)引用例記載発明の「customer station」は、本願補正発明の「カスタマーステーション」に相当する。
(5)引用例記載発明の「television receivers 24 and 24'」は、本願補正発明の「サービスプロバイダ視覚ディスプレイ」に相当する。
(6)引用例記載発明の「camera 30 or 30'」は、本願補正発明の「サービスプロバイダCCTVカメラ」に相当する。
(7)引用例記載発明の「combination speaker and microphone unit 32 or 32'のmicrophone」は、本願補正発明の「サービスプロバイダ音声送信装置」に相当する。
(8)引用例記載発明の「combination speaker and microphone unit 32 or 32'のspeaker」は、本願補正発明の「サービスプロバイダ音声受信装置」に相当する。
(9)引用例記載発明の「tube end 48及びreturn transmission tube 56 or 56'」は、本願補正発明の「サービスプロバイダ空気管キャリヤ送給受理装置」に相当する。
(10)引用例記載発明の「television receiver 29」は、本願補正発明の「カスタマー視覚ディスプレイ」に相当する。
(11)引用例記載発明の「televesion camera 22」は、本願補正発明の「カスタマーCCTVカメラ」に相当する。
(12)引用例記載発明の「combination speaker and microphone unit 31のmicrophone」は、本願補正発明の「カスタマー音声送信装置」に相当する。
(13)引用例記載発明の「combination speaker and microphone unit 31のspeaker」は、本願補正発明の「カスタマー音声受信装置」に相当する。
(14)引用例記載発明の「capsule 40」は、本願補正発明の「キャリヤ」に相当する。
(15)引用例記載発明の「transmission tube 42及びcapsule receiver box 38」は、本願補正発明の「カスタマー空気管キャリヤ送給受理装置」に相当する。

したがって、本願補正発明と引用例記載発明の間には、以下の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「トランザクションを行うサービスプロバイダによって操作することができるサービスプロバイダステーションと、トランザクションを要求するカスタマーによって操作することができる少なくとも1個のカスタマーステーションとを具え、
前記サービスプロバイダステーションは、
サービスプロバイダ視覚ディスプレイ、
サービスプロバイダCCTVカメラ、
サービスプロバイダ音声送信装置とサービスプロバイダ音声受信装置、
サービスプロバイダ空気管キャリヤ送給受理装置
のうちの少なくとも1個の構成部分を具え、
前記少なくとも1個のカスタマーステーションは、
前記サービスプロバイダCCTVカメラに作動可能に接続されたカスタマー視覚ディスプレイ、
前記サービスプロバイダ視覚ディスプレイに作動可能に接続されたカスタマーCCTVカメラ、
それぞれ前記サービスプロバイダ音声受信装置と前記サービスプロバイダ音声送信装置とに作動可能に接続されたカスタマー音声送信装置とカスタマー音声受信装置、
前記カスタマーステーションとサービスプロバイダステーションとの間にキャリヤを選択的に動かし得るように前記サービスプロバイダ空気管キャリヤ送給受理装置に作動可能に接続されたカスタマー空気管キャリヤ送給受理装置、
のうちの少なくとも1個の構成部分を具えたトランザクションシステム。」

(相違点1)
本願補正発明は、
「内部壁により内部区域を生じ、また他の壁を有する建物を具え、前記他の壁を前記建物の内部区域に存在する他の内部壁とし、前記カスタマーステーションにおける少なくとも1個の構成部分を前記他の内部壁に支持連結してカスタマーステーションを前記内部区域に配置し、
前記建物は前記サービスプロバイダステーションを収容する安全室を具え、前記カスタマーステーションをこの安全室の外側に配置し、前記カスタマーステーションの前記カスタマー視覚ディスプレイカスタマーCCTVカメラ、カスタマー音声送信装置、カスタマー音声受信装置、及びカスタマーキャリヤ装置のうちの少なくとも1個の構成部分を前記他の壁に支持連結し、」
という構成を有しているのに対し、
引用例記載発明は、それに対応する構成を有していない点。

(相違点2)
本願補正発明は、
「前記カスタマーステーションには更にカバーを設け、このカバーを前記他の壁に支持連結状態に移動自在に取付け、カバーが第1位置にあるとき、少なくとも1個の構成部分と重なり合い、カバーには少なくとも1個の開口を設け、この少なくとも1個の開口から1個の構成部分に手が到達でき、従ってカバーが第1位置にあるときカスタマーがこの構成部分を操作できるようにし、またカバーが第2位置にあるときカバーが1個の構成部分から離れ、構成部分の修理を行うことができるアクセスを可能にした」
という構成を有しているのに対し、
引用例記載発明は、それに対応する構成を有していない点。

2-3.判断

(1)相違点1について
以下の点を勘案すると、引用例記載発明において、
「内部壁により内部区域を生じ、また他の壁を有する建物を具え、前記他の壁を前記建物の内部区域に存在する他の内部壁とし、前記カスタマーステーションにおける少なくとも1個の構成部分を前記他の内部壁に支持連結してカスタマーステーションを前記内部区域に配置し、
前記建物は前記サービスプロバイダステーションを収容する安全室を具え、前記カスタマーステーションをこの安全室の外側に配置し、前記カスタマーステーションの前記カスタマー視覚ディスプレイカスタマーCCTVカメラ、カスタマー音声送信装置、カスタマー音声受信装置、及びカスタマーキャリヤ装置のうちの少なくとも1個の構成部分を前記他の壁に支持連結し、」
に相当する構成を採用することは、当業者が容易に推考し得たことというべきである。

ア.引用例には、建物についての明示的記載はないが、一般に、各種装置を、「内部壁により生じた内部区域を有する建物」の「内部区域内」に設置することはごく普通のことであり、引用例記載発明においても、「inside-bank station(サービスプロバイダステーション)」と「customer station(カスタマーステーション)」を「内部壁により生じた内部区域を有する建物」の「内部区域内」に設置することは、そうすることを妨げる格別の事情がない限り、当業者が容易に推考し得たことというべきである。
イ.請求人が主張するように、引用例記載発明はいわゆるドライブスルー銀行を想定したものかもしれないが、本願補正発明もいわゆるドライブスルー銀行を排除しているわけではないし、大型の店舗等に見られるように屋内に駐車場を設置することはごく普通に行われていることである等の事情に鑑みれば、引用例記載発明がいわゆるドライブスルー銀行を想定したものであることは、上記ア.でいう格別の事情には当たらない。
ウ.他に、引用例記載発明に上記ア.でいう格別の事情は見当たらない。
エ.引用例のFIG.1、FIG.5から明らかなように、引用例においても、「inside-bank station(サービスプロバイダステーション)」と「customer station(カスタマーステーション)」における「television receiver」、「camera」、「combination speaker and microphone unit」等の各構成部分は、壁状の垂直な面に設けられることが想定されていること、上記ア.?ウ.で検討したように、引用例記載発明において、「inside-bank station(サービスプロバイダステーション)」と「customer station(カスタマーステーション)」を「内部壁により生じた内部区域を有する建物」の「内部区域内」に設置することは当業者が容易に推考し得たことであること、等の事情を勘案すると、引用例記載発明の該「customer station(カスタマーステーション)」における各構成部分を、建物の内部壁により生じた内部区域内に設けたいずれかの壁、すなわち本願補正発明でいう「他の内部壁」に相当するものに支持連結するようにすることは、当業者が容易に推考し得たことである。
オ.引用例記載発明の「inside-bank station(サービスプロバイダステーション)」が、customer等の部外者が入室できない「安全室」と呼ぶべき室内に設けられるべきことは、該「inside-bank station(サービスプロバイダステーション)」を使用して実行される業務の性質上、当然のことであり、該「inside-bank station(サービスプロバイダステーション)」を建物内に設けた安全室と呼ぶべき室内に設けると共に、前記「customer station(カスタマーステーション)」をこの安全室の外側に配置するようにすることも、当業者が容易に推考し得たことというべきである。

(2)相違点2について
以下の点を勘案すると、引用例記載発明において、
「前記カスタマーステーションには更にカバーを設け、このカバーを前記他の壁に支持連結状態に移動自在に取付け、カバーが第1位置にあるとき、少なくとも1個の構成部分と重なり合い、カバーには少なくとも1個の開口を設け、この少なくとも1個の開口から1個の構成部分に手が到達でき、従ってカバーが第1位置にあるときカスタマーがこの構成部分を操作できるようにし、またカバーが第2位置にあるときカバーが1個の構成部分から離れ、構成部分の修理を行うことができるアクセスを可能にした」
に相当する構成を採用することも、当業者が容易に推考し得たことというべきである。

ア.拒絶査定の備考欄にも記載されたように、利用者が利用する装置に、装置のメインテナンスを行うための扉やパネル等のカバーを、装置の操作を行う面に移動自在に取り付け、利用者に利用させる第1の状態では、利用者に装置の内部構成部分の一部をアクセスを可能とさせるとともに、保守者がメインテナンスを行うための第2の状態では、カバーが内部を覆った位置から離れた位置とすることにより、保守者が装置の内部構成部分のメインテナンスを行うことを可能とすることは、例えば、実開平6-37962号公報、特開平2-309475号公報、特開平8-180252号公報にも記載されているように、周知・慣用技術に過ぎない。
イ.上記ア.でいう周知・慣用技術が引用例記載発明の「customer station(カスタマーステーション)」においても有用であることは当業者に自明であるし、該周知・慣用技術を該「customer station(カスタマーステーション)」に採用出来ない理由はない。
ウ.上記ア.でいう周知・慣用技術を引用例記載発明の「customer station(カスタマーステーション)」に採用する際、「開口から1個の構成部分に手が到達できるようにする」等の適宜の改変を施すことは、当業者が必要に応じて適宜なし得た程度のことである。

(3)本願補正発明の効果について
本願補正発明の構成によってもたらされる効果は、引用例記載発明及び周知・慣用技術から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。

(4)まとめ
以上によれば、本願補正発明は、引用例記載発明及び周知・慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.むすび
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について

1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」と呼ぶ。)は、平成19年5月25日付けの手続補正書の請求項1に記載されたとおりのものであり、上記「第2」の「1.」の<補正前の請求項1>に転記したとおりのものである。

2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及びその記載事項は、上記「第2」の「2.」の「2-1.」の項に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記「第2.」で検討した本願補正発明から、「内部壁により内部区域を生じ、また他の壁を有する建物」と「サービスプロバイダステーション」、「カスタマーステーション」相互の位置関係に関する要件を、「前記サービスプロバイダステーションを前記内部区域に収容し、」から「前記他の壁を前記建物の内部区域に存在する他の内部壁とし、前記カスタマーステーションにおける少なくとも1個の構成部分を前記他の内部壁に支持連結してカスタマーステーションを前記内部区域に配置し、
前記建物は前記サービスプロバイダステーションを収容する安全室を具え、前記カスタマーステーションをこの安全室の外側に配置し、」に限定する限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに特定の限定を施したものに相当する本願補正発明が、上記「第2」の「2.」の項に記載したとおり、引用例記載発明及び周知・慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用例記載発明及び周知・慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例記載発明及び周知・慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-03-19 
結審通知日 2010-03-23 
審決日 2010-04-06 
出願番号 特願2000-294638(P2000-294638)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06Q)
P 1 8・ 575- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 丹治 彰  
特許庁審判長 小曳 満昭
特許庁審判官 池田 聡史
飯田 清司
発明の名称 トランザクションシステム  
代理人 杉村 憲司  
代理人 澤田 達也  
代理人 来間 清志  
代理人 杉村 興作  
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