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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1222375 |
審判番号 | 不服2007-30092 |
総通号数 | 130 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-10-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-11-05 |
確定日 | 2010-08-23 |
事件の表示 | 特願2000-226916「測定装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 2月 8日出願公開、特開2002- 41334〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成12年7月27日の出願であって、平成19年6月29日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、同年7月25日付けで手続補正がなされたが、同年10月18日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年11月5日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成19年11月5日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成19年11月5日付けの手続補正を却下する。 [理由] 平成19年11月5日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1は、 「分割された複数のデータ群またはデータファイルを記録媒体に記録するように構成された測定装置において、 これら複数のデータ群またはデータファイルを、各データ群またはデータファイル生成時に生成されこれらデータ群またはデータファイルに埋め込まれる各データ群またはデータファイル毎に固有の識別データである接続補助情報を仮想的な接続手段として仮想的に連続一体化することを特徴とする測定装置。」 から、 「分割された複数のデータ群またはデータファイルを連続単独データとして扱うように構成された測定装置において、 複数のデータ群またはデータファイルを、各データ群またはデータファイル生成時に生成されこれらデータ群またはデータファイルに埋め込まれる各データ群またはデータファイル毎に固有の識別データと、測定装置固有の識別データと、各データ群またはデータファイルの系列毎の識別データと、各データ群またはデータファイル系列内における位置識別データを含む接続補助情報を仮想的な接続手段として仮想的に連続一体化することを特徴とする測定装置。」 に補正された。 上記補正は、「分割された複数のデータ群またはデータファイルを記録媒体に記録するように構成された測定装置」を「分割された複数のデータ群またはデータファイルを連続単独データとして扱うように構成された測定装置」に変更する補正を含むものである。 ここで、上記「連続単独データとして扱う」ことには、分割された複数のデータ群またはデータファイルを「連続単独データとして記録媒体に記録する」ことが含まれるが、それ以外にも、分割された複数のデータ群またはデータファイルを「連続単独データとして画面に表示する」、「連続単独データとして印刷出力する」、「連続単独データとして外部に送信する」など、「連続単独データとして記録媒体に記録する」以外のことも含まれる。したがって、補正後の上記「連続単独データとして扱う」ことは補正前の上記「記録媒体に記録する」ことを下位概念化したものとは認められない。また、上記「連続単独データとして扱う」ことは、上記「記録媒体に記録する」こと以外の、補正前のいずれの発明特定事項をも下位概念化したものでもない。 よって、「分割された複数のデータ群またはデータファイルを記録媒体に記録するように構成された測定装置」を「分割された複数のデータ群またはデータファイルを連続単独データとして扱うように構成された測定装置」に変更しようとする本件補正は、補正前の請求項に記載された発明の発明特定事項のいずれかを下位概念化したものではなく、補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項を限定するものでないことは明らかである。 したがって、本件補正は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に規定されている特許請求の範囲の減縮を目的としているものとは認められない。 また、本件補正が平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の同法第17条の2第4項第1号、第3号、第4号のいずれをも目的とするものでないことは明らかである。 以上のとおり、本件補正は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について 平成19年11月5日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成19年7月25日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。 「分割された複数のデータ群またはデータファイルを記録媒体に記録するように構成された測定装置において、 これら複数のデータ群またはデータファイルを、各データ群またはデータファイル生成時に生成されこれらデータ群またはデータファイルに埋め込まれる各データ群またはデータファイル毎に固有の識別データである接続補助情報を仮想的な接続手段として仮想的に連続一体化することを特徴とする測定装置。」 (1)引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-168343号公報(以下「引用例」という。)には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【0001】 【産業上の利用分野】この発明は測定データの記憶方法に関し、さらに詳しく言えば、測定データをフロッピーディスクなどの外部記憶媒体に記憶させる場合のデータ記憶方法に関するものである。」 (イ)「【0010】この測定データをCPU2にて外部記憶装置4のフロッピーディスクに記憶させるにあたって、この発明では測定データをフロッピーディスクの残存記憶容量との関係から複数のファイルに分割するのであるが、その際図2に示されているように、そのファイル内の特定位置に各ファイル間の連続性を意味するリンクデータとしてのSID(START ID)データとEID(END ID)データとを付加するようにしている。 【0011】ここで、SID=Nはファイル番号データを、また、EID=Nは後続のファイル番号データをそれぞれ意味している。ただし、Nは0以上の整数で、SID=0は先頭のファイル、EID=0は最後のファイルであることを意味している。 【0012】この実施例において、SIDデータは各ファイルの先頭アドレスに書き込まれ、これに対してEIDデータは各ファイルの最後尾アドレスに書き込まれる。」 (ウ)「【0019】これに対して、これら複数の媒体(フロッピーディスク)に分散して記憶された測定データを読み出す場合には、CPU2側からそのリンクデータを読んで媒体の順位性を要求したり、もしくは複数の媒体からCPU2側にランダムに測定データを読み込んだ後、リンクデータにしたがってその測定データを同CPU2側で並べ替えるようにすることもできる。」 (エ)「【0020】 【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、長い測定データをファイル単位に分割して複数の外部記憶装置にわたって記憶することが可能となる。また、読み出すにしても、SID,EIDのリンクデータを確認することにより、連続したデータとして読み出すことができる。」 これらの記載事項及び関連する図面によれば、引用例には以下の発明(以下「引用例記載の発明」という。)が記載されていると認められる。 「分割された複数のファイルをフロッピーディスクに記録するように構成された測定装置において、 これら複数のファイルを、各ファイルの先頭アドレスに書き込まれるファイル番号データを意味するSIDデータと、各ファイルの最後尾アドレスに書き込まれる後続のファイル番号データを意味するEIDデータとにより、連続したデータとして読み出す測定装置。」 (2)対比 本願発明と引用例記載の発明を対比すると、以下の対応関係が認められる。 (a)引用例記載の発明の「ファイル」及び「フロッピーディスク」はそれぞれ、本願発明の「データファイル」及び「記録媒体」に相当するものである。 (b)引用例記載の発明の「各ファイルの先頭アドレスに書き込まれるファイル番号データを意味するSIDデータ」は、各ファイルを上記ファイル番号データにより一意に識別するための固有のデータであり、各ファイル生成時に生成され、各ファイルに埋め込まれるものであることは明らかであるから、本願発明の「各データファイル生成時に生成されこれらデータファイルに埋め込まれる各データファイル毎に固有の識別データ」に相当するものである。引用例記載の発明は、該「各ファイルの先頭アドレスに書き込まれるファイル番号データを意味するSIDデータ」で各ファイルを識別し、複数のファイルを連続したデータとして読み出す、すなわち複数のファイルを接続するものであるから、該「各ファイルの先頭アドレスに書き込まれるファイル番号データを意味するSIDデータ」は、複数のファイルを接続するための補助となる情報、すなわち接続補助情報と呼ぶことができる。また、引用例記載の発明は上記「各ファイルの先頭アドレスに書き込まれるファイル番号データを意味するSIDデータ」を、「各ファイルの最後尾アドレスに書き込まれる後続のファイル番号データを意味するEIDデータ」とともに用いて複数のファイルを連続したデータとして読み出すものであるから、引用例記載の発明は上記「各ファイルの先頭アドレスに書き込まれるファイル番号データを意味するSIDデータ」を接続手段として、複数のファイルを連続したデータとして読み出す、すなわち複数のファイルを連続一体化するものであるともいえる。 よって、引用例記載の発明の「これら複数のファイルを、各ファイルの先頭アドレスに書き込まれるファイル番号データを意味するSIDデータと、各ファイルの最後尾アドレスに書き込まれる後続ファイル番号データを意味するEIDデータとにより、連続したデータとして読み出す」ことと本願発明の「これら複数のデータファイルを、各データファイル生成時に生成されこれらデータファイルに埋め込まれる各データファイル毎に固有の識別データである接続補助情報を仮想的な接続手段として仮想的に連続一体化する」こととは、「これら複数のデータファイルを、各データファイル生成時に生成されこれらデータファイルに埋め込まれる各データファイル毎に固有の識別データである接続補助情報を接続手段として連続一体化する」点で共通する。 したがって、本願発明と引用例記載の発明の間には、以下の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「分割された複数のデータファイルを記録媒体に記録するように構成された測定装置において、 これら複数のデータファイルを、各データファイル生成時に生成されこれらデータファイルに埋め込まれる各データファイル毎に固有の識別データである接続補助情報を接続手段として連続一体化する測定装置。」である点。 (相違点) 本願発明の接続手段は仮想的な接続手段であって、本願発明は複数のデータファイルを仮想的に連続一体化するのに対し、引用例記載の発明ではそのような特定がされていない点。 (3)判断 (相違点)について まず、本願発明の「仮想的な」接続手段及び「仮想的に」連続一体化するという記載の「仮想的」という用語が、技術的にどのような内容を指しているのかを解釈するに、本願の発明の詳細な説明には以下のように記載されている。 「【0004】本発明はこれらの問題点に着目したものであり、その目的は、複数のデータ群やデータファイルを実際には接続することなく仮想的に接続するようにしたものである。」 「【0015】これらいずれも、実際に存在するのは「A,B,C」であり、「A+B+C」はソフトウェアにより仮想的に作り出されたものである。これにより、従来のように実際に「A+B+C」を作成して利用する場合に必要であった「A,B,C」と「A+B+C」を二重に記憶するための領域を確保しておかなくてもよい。また、実際に接続を行わないので、処理にかかる負荷は十分に低い。このため、接続を自動化し、必要なときに接続を行うようにしても問題は発生しない。」 上記記載から、本願発明における「仮想的な」接続手段とは、実際に存在する複数のデータファイル(A,B,及びC)を、実際には接続せずに一つのデータファイル(A+B+C)として処理するための手段であって、「仮想的に」連続一体化するとは、実際には存在しない、複数のデータファイルが接続された一つのデータファイル(A+B+C)をあたかも実際に存在するかのように処理することであると解釈できる。 ここで、引用例の上記(エ)の「長い測定データをファイル単位に分割して複数の外部記憶装置にわたって記憶することが可能となる。また、読み出すにしても、SID,EIDのリンクデータを確認することにより、連続したデータとして読み出すことができる。」との記載から、引用例記載の発明は、長い測定データをファイル単位に分割して複数のファイルに記憶し、該複数のファイルを実際には接続せずに、連続したデータとして読み出すものであるといえるから、引用例記載の発明も本願発明と同様に、複数のファイルが接続された一つのファイルを、あたかも実際に存在するかのように処理しているといえる。 してみると、引用例記載の発明において、ファイル単位に分割して記憶されている長い測定データを連続したデータとして読み出すことを「仮想的に連続一体化する」と称し、読み出すための接続手段を「仮想的な接続手段」と称することは、当業者が適宜なし得る設計的事項であって、当業者が容易に想到し得たことであるといえる。 (4)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-06-30 |
結審通知日 | 2010-07-01 |
審決日 | 2010-07-13 |
出願番号 | 特願2000-226916(P2000-226916) |
審決分類 |
P
1
8・
572-
Z
(G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 工藤 嘉晃、高瀬 勤 |
特許庁審判長 |
長島 孝志 |
特許庁審判官 |
小曳 満昭 池田 聡史 |
発明の名称 | 測定装置 |