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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1222460 |
審判番号 | 不服2007-14704 |
総通号数 | 130 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-10-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-05-23 |
確定日 | 2010-08-26 |
事件の表示 | 平成11年特許願第218539号「スタイル・シート出力装置および方法ならびにスタイル・シート出力システム」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 2月16日出願公開、特開2001- 43061〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成11年8月2日の出願であって、平成19年1月15日付けで拒絶理由通知がなされ、同年3月20日付けで手続補正がなされると共に意見書が提出されたが、同年4月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年5月23日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、同年6月21日に手続補正書(方式)と共に、手続補正書が提出されたものである。 第2 補正却下の決定 1.結論 平成19年6月21日付けの手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 2.理由 (2-1)補正の内容 本件補正によると、その特許請求の範囲の請求項1は、 「画像,ならびに少なくとも上記画像の撮影年月日,上記画像の撮影場所および上記画像が表す内容の項目が一セットとされている,画像とその画像に対応する複数の項目のレイアウトを規定するスタイル・シートを表すデータが複数種類記憶されており,これらの複数のスタイル・シートの中から所望のスタイル・シートを指定するスタイル・シート指定手段, 上記スタイル・シート指定手段によって指定されたスタイル・シートを識別するデータを,ユーザに対応して記憶する記憶手段, ユーザを識別するためのデータを入力する識別データ入力手段, スタイル・シート読み出し指令を入力する読み出し指令入力手段, 上記読み出し指令入力手段から入力されたスタイル・シートの読み出し指令に応じて,上記識別データ入力手段から入力された識別データによって識別されるユーザに対応したスタイル・シートを表すデータを,上記記憶手段に記憶されている関係にもとづいて出力するスタイル・シート出力手段, 検索条件を入力する検索条件入力手段, 上記検索条件入力手段から入力された検索条件にもとづいて,画像データベースから画像を表すデータを検索する検索手段,および 上記検索手段による検索により見つかった画像データにより表される画像を上記スタイル・シート出力手段から出力されるデータによって表されるスタイル・シートに合成する手段, を備えたスタイル・シート出力装置。」 と補正されている。 上記補正は、補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「画像,文字などの複数の項目を含む画像のレイアウト」を「画像,ならびに少なくとも上記画像の撮影年月日,上記画像の撮影場所および上記画像が表す内容の項目が一セットとされている,画像とその画像に対応する複数の項目のレイアウト」と限定するものであり、本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するといえる。 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規程に適合するか)否かについて以下に検討する。 (2-2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-110278号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに以下の記載がある。なお、下線は当審が付与したものである。 (a)「【0003】一方、論理構造を有する文書情報、例えばSGML(Standard GeneralizedMarkup Language)を用いた文書情報の場合には、論理構造を指定したDTD (Document Type Definition)と呼ばれるファイルを用いることにより、文書自体が持つ論理構造と、表示スタイルの情報とが、明確に分割管理される。この際、表示スタイルの指定には、一般的には、スタイルシートといわれるものが利用される。スタイルシートとは、事前にDTDに対応するように、文字の大きさ、色、配置等の表示スタイルを指定したものであり、その記述方法には国際標準(DSSSL)が設定されている。スタイルシートの管理は、スタイルシートの内容を記述したスタイルファイルの形式で行われる。」(段落【0003】) (b)「【0016】また、本発明の記憶媒体は、文書情報を表示画面上に表示する場合の表示スタイルを設定する手段として、利用者から表示すべき文書情報がアクセスされた時、あらかじめ設定されて記憶された互いに形式の異なる複数の表示スタイルのうち利用者に応じた表示スタイルを選択するステップと、選択された表示スタイルに応じて表示すべき文書情報を表示するステップとを実行するプログラムを記憶したコンピュータで読取り可能な記憶媒体である。 【0017】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。 【0018】図1は、本発明の表示スタイル制御装置及び方法が実現される環境のシステム構成の一例を示す図である。同図に示されるように、本実施の形態の表示スタイル制御装置及び方法は、クライアント1と、サーバ2とが、例えばLAN3により接続されている環境において実現される。同図に示した例では、クライアント1の側に、利用者がアクセスしようとする文書情報に関する入力や、システムへのログオン時等のユーザID入力などを行う入力部11が備えられ、サーバ2の側には、文書ファイル格納部21と、スタイルファイル格納部22とが備えられている。 【0019】尚、本実施の形態では、図1に示したような、クライアント-サーバ・システム環境における実施の形態について説明するが、単一のコンピュータを用いて実現することも可能である。 【0020】文書ファイル格納部21には、上記図27で説明したような、論理構造を有する文書情報を記述した文書ファイルが格納される。 【0021】また、スタイルファイル格納部22には、上記図27で説明したような、論理構造を有する文書情報の表示スタイルを記述したスタイルファイルが格納される。なお、文書ファイル及びスタイルファイルの記述方法は、本発明の実施の形態により変更されることあるが、変更の内容については後述する。 【0022】文書ファイル格納部21に格納されている文書ファイルには文書ファイル名が付与されており、サーバ2は、クライアント1に備えられている入力部11から入力される文書ファイル名の指定を受けて、当該文書ファイル名を有するファイルを検索し、クライアント1に転送する機能を備えている。 【0023】文書ファイルの内容をクライアント1の側で、画面に表示したり、印刷したりする場合には、当該文書を表示するためのスタイルファイルをクライアント1の側若しくはサーバ2の側で準備する必要があるが、その準備の方法を制御するのが本発明の骨子である。 【0024】以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。 (実施の形態1)本発明の、第1の実施の形態では、文書ファイルにアクセスしようとするユーザを識別し、ユーザに応じて文書の表示スタイルを変更することを可能とする。 【0025】図2は、本実施の形態におけるクライアント1及びサーバ2の構成を示す機能ブロック図である。同図に示されるように、本実施の形態では、クライアントの側に、ユーザID識別部12を備える。また、サーバ2の側には、管理テーブル格納部23、ユーザID確認部24を備える。 【0026】図3は、本実施の形態で管理テーブル格納部23に格納される管理テーブルの内容の一例を示す図である。同図に示されるように、本実施の形態では、ユーザIDとスタイルファイル名との対応関係を管理テーブルに保持しており、ユーザIDをインデックスとして、対応するスタイルファイル名の検索が可能となっている。 【0027】図4は、本実施の形態におけるサーバ2の処理内容を示すフローチャートである。本実施の形態では、まず、クライアント1からサーバ2に対して、文書ファイルにアクセスしようとするユーザからの文書転送要求が送信される(S401:Yes)。その際に、文書ファイルにアクセスしようとするユーザのユーザIDが、ユーザID識別部12を介して、サーバ2に送信される(S402:Yes)。ユーザIDは、システムへのログオン時に入力されたものを用いることもできるし、新たに入力するようにしてもよい。 【0028】サーバ2は、管理テーブル格納部23に格納された管理テーブルを参照し、送信されてきたユーザIDが登録されたものであるか否かを確認した上で(S403)、当該ユーザIDに対応したスタイルファイル名を検索する(S404)。その後、サーバ2は、検索されたスタイルファイル名に基づいて、スタイルファイル格納部22からスタイルファイルを取得し(S405)、クライアント1に対して、指定された文書ファイル及びスタイルファイルを転送する(S406)。 【0029】クライアント1では、転送されてきたスタイルファイルを用いて、文書ファイルの内容を、画面に表示したり、紙等の媒体に印刷したりすることができる。尚、ステップS403において、ユーザIDが登録されていなかったものである場合には、アクセスを拒否するようにしてもよいし、デフォルトのスタイルシートを定義しておいて転送するようにしてもよい。 【0030】以上に説明したように、本実施の形態の表示スタイル制御装置によれば、ユーザIDによって表示スタイルを変更することが可能となる。これは、例えば、ネットワーク環境において、各人が所有するコンピュータの機種等に基づき、表示スタイルを変更したいような場合に特に有効である。 【0031】尚、例えば、文書ファイルがクライアント1の側に保持されているような場合であれば、上記の処理をクライアント1の側で全て行うようにすることも容易にできる。従って、上記に説明したような、クライアント-サーバ・システムによる構成でなく、単一のコンピュータを複数のユーザで共同利用するような場合でも適用することは可能である。」(段落【0016】?【0031】) よって、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が開示されていると認められる。 「文書情報を表示画面上に表示する場合の表示スタイルを設定する手段として、利用者から表示すべき文書情報がアクセスされた時、あらかじめ設定されて記憶された互いに形式の異なる複数の表示スタイルのうち利用者に応じた表示スタイルを選択するステップと、選択された表示スタイルに応じて表示すべき文書情報を表示するステップとを実行するものであって、表示スタイル制御装置は、クライアント1と、サーバ2とが、LAN3により接続されている環境において実現され、 クライアント1の側に、利用者がアクセスしようとする文書情報に関する入力や、システムへのログオン時等のユーザID入力などを行う入力部11を備え、 サーバ2の側には、文書ファイル格納部21と、文書情報の表示スタイルを記述したスタイルファイルが格納されるスタイルファイル格納部22とを備え、 文書ファイル格納部21に格納されている文書ファイルには文書ファイル名が付与されており、サーバ2は、クライアント1に備えられている入力部11から入力される文書ファイル名の指定を受けて、当該文書ファイル名を有するファイルを検索し、クライアント1に転送する機能を備え、 管理テーブル格納部23に格納される管理テーブルに関して、ユーザIDとスタイルファイル名との対応関係を管理テーブルに保持しており、ユーザIDをインデックスとして、対応するスタイルファイル名の検索が可能となっており、 クライアント1からサーバ2に対して、文書ファイルにアクセスしようとするユーザからの文書転送要求が送信されると、 システムへのログオン時に入力されたユーザのユーザIDが、ユーザID識別部12を介して、サーバ2に送信され、 サーバ2は、管理テーブル格納部23に格納された管理テーブルを参照し、送信されてきたユーザIDが登録されたものであるか否かを確認した上で、当該ユーザIDに対応したスタイルファイル名を検索し、その後、サーバ2は、検索されたスタイルファイル名に基づいて、スタイルファイル格納部22からスタイルファイルを取得し、クライアント1に対して、指定された文書ファイル及びスタイルファイルを転送し、 クライアント1では、転送されてきたスタイルファイルを用いて、文書ファイルの内容を、画面に表示したり、紙等の媒体に印刷したりすることができる、 表示スタイル制御装置。」 (2-3)対比 本願補正発明と引用発明1とを対比する。 引用発明1の文書情報の表示スタイルを記述した「スタイルファイル」は、スタイルシートの内容を記述したものであり、表示スタイルとはレイアウトのことをさすから、引用発明1の文書情報の表示スタイルを記述した「スタイルファイル」と、本願補正発明の画像とその画像に対応する複数の項目のレイアウトを規定する「スタイル・シート」とは、「レイアウトを規定するスタイル・シート」である点で共通する。そして、引用発明1は、「あらかじめ設定されて記憶された互いに形式の異なる複数の表示スタイルのうち利用者に応じた表示スタイルを選択するステップと、選択された表示スタイルに応じて表示すべき文書情報を表示するステップとを実行するもの」であり、「当該ユーザIDに対応したスタイルファイル名を検索」し、「検索されたスタイルファイル名に基づいて、スタイルファイル格納部22からスタイルファイルを取得」するものであることから、スタイルファイル格納部22には複数のスタイルファイルが格納されていることが明らかであるので、引用発明1と本願補正発明とは、「レイアウトを規定するスタイル・シートを表すデータが複数種類記憶されている」点で共通する。 引用発明1は、「検索されたスタイルファイル名に基づいて、スタイルファイル格納部22からスタイルファイルを取得」するものであるから、引用発明1の「スタイルファイル名」は、本願補正発明の「スタイル・シートを識別するデータ」に相当する。したがって、引用発明1の「ユーザIDとスタイルファイル名との対応関係」を「保持」する「管理テーブル」を「格納」する「管理テーブル格納部23」は、本願補正発明の「スタイル・シートを識別するデータを,ユーザに対応して記憶する記憶手段」に相当する。 引用発明1の「ユーザID」は、本願補正発明の「ユーザを識別するためのデータ」に相当するので、引用発明1の「システムへのログオン時等のユーザID入力などを行う入力部11」は、本願補正発明の「ユーザを識別するためのデータを入力する識別データ入力手段」に相当する。 引用発明1の「クライアント1からサーバ2に対して」「送信され」た「文書ファイルにアクセスしようとするユーザからの文書転送要求」は、結果として「文書ファイル」のみならず「スタイルファイル」の転送をも要求するものであるから、引用発明1の「クライアント1からサーバ2に対して」「送信され」た「文書ファイルにアクセスしようとするユーザからの文書転送要求」は、本願補正発明の「スタイル・シートの読み出し指令」に相当する。したがって、引用発明1の「送信されてきた」「ユーザIDに対応したスタイルファイル名を検索し」、「検索されたスタイルファイル名に基づいて、スタイルファイル格納部22からスタイルファイルを取得し」、「クライアント1に対して、指定された文書ファイル及びスタイルファイルを転送する」手段は、本願補正発明の「スタイル・シートの読み出し指令に応じて,上記識別データ入力手段から入力された識別データによって識別されるユーザに対応したスタイル・シートを表すデータを,上記記憶手段に記憶されている関係にもとづいて出力するスタイル・シート出力手段」に相当する。 引用発明1の文書ファイルの内容を画面に表示する際に、転送されてきたスタイルファイルを用いる手段は、実質的に、スタイルファイルの表示スタイルの記述に基づいて、文書ファイルの内容を画面出力するためのデータを生成する手段をさしているから、本願補正発明の「上記検索手段による検索により見つかった画像データにより表される画像を上記スタイル・シート出力手段から出力されるデータによって表されるスタイル・シートに合成する手段」と、「所望の情報をスタイル・シート出力手段から出力されるデータによって表されるスタイル・シートに合成する手段」である点で共通している。 引用発明1の「表示スタイル制御装置」は、「クライアント1に対して、指定された文書ファイル及びスタイルファイルを転送」する手段を少なくとも備えているから、本願補正発明の「スタイル・シート出力装置」に相当する。 そうすると、両者は、 「レイアウトを規定するスタイル・シートを表すデータが複数種類記憶されており、 スタイル・シートを識別するデータを、ユーザに対応して記憶する記憶手段、 ユーザを識別するためのデータを入力する識別データ入力手段、 スタイル・シートの読み出し指令に応じて、上記識別データ入力手段から入力された識別データによって識別されるユーザに対応したスタイル・シートを表すデータを、上記記憶手段に記憶されている関係にもとづいて出力するスタイル・シート出力手段、 所望の情報を上記スタイル・シート出力手段から出力されるデータによって表されるスタイル・シートに合成する手段、 を備えたスタイルシート出力装置」 である点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1) 本願補正発明は、「複数のスタイルシートの中から所望のスタイル・シートを指定するスタイル・シート指定手段」を備え、「スタイル・シートを識別するデータ」が「上記スタイル・シート指定手段によって指定」されているのに対して、引用発明1には、そのような指定手段について明確な記載がない点。 (相違点2) 本願補正発明は、「スタイル・シート読み出し指令を入力する読み出し指令入力手段」を備えているのに対して、引用発明1は、「クライアント1の側に、利用者がアクセスしようとする文書情報に関する入力」「を行う入力部11を備え」、「クライアント1からサーバ2に対して、文書ファイルにアクセスしようとするユーザからの文書転送要求が送信され」、「サーバ2は、検索されたスタイルファイル名に基づいて、スタイルファイル格納部22からスタイルファイルを取得し、クライアント1に対して、指定された文書ファイル及びスタイルファイルを転送」するものではあるものの、「スタイル・シート読み出し指令を入力する読み出し指令入力手段」を備えることが明確に示されてはいない点。 (相違点3) 本願補正発明は、スタイル・シートが規定するレイアウトの対象が、「画像,ならびに少なくとも上記画像の撮影年月日,上記画像の撮影場所および上記画像が表す内容の項目が一セットとされている,画像とその画像に対応する複数の項目」であり、「検索条件を入力する検索条件入力手段」、「上記検索条件入力手段から入力された検索条件にもとづいて,画像データベースから画像を表すデータを検索する検索手段」を備え、「上記検索手段による検索により見つかった画像データにより表される画像」をスタイル・シートに合成するのに対し、引用発明1は、表示スタイルを設定する対象が「文書情報」であり、検索機能に関する構成を備えていない点。 (2-4)当審の判断 上記相違点について検討する。 (a)相違点1について 本願の出願当初明細書(図4及び段落【0057】?【0068】参照)には、スタイル・シート選択画像を表示し、ユーザが領域62,64,66および68のうちいずれかの領域をチェックすることにより所望のスタイルシートが選択される旨が記載されており、本願補正発明の「所望のスタイル・シートを指定するスタイル・シート指定手段」に対応するものと認められるが、本願補正発明は、スタイルシートを選択する主体がユーザであることや、選択画像を表示し、領域をチェックすることで選択するなどの具体的方法についてまで限定するものではない。 一方、引用発明1は、「管理テーブル格納部23に格納される管理テーブルに関して、ユーザIDとスタイルファイル名との対応関係を管理テーブルに保持して」おり、この管理テーブルは、複数のスタイル・シートの中から所望のスタイル・シートを指定した結果であることから、引用発明1が、何らかの「複数のスタイルシートの中から所望のスタイル・シートを指定するスタイル・シート指定手段」を備えることは明らかであり、この点は実質的な相違点ではない。 なお、ユーザが選択画像の中から所望のスタイルを選択することで、所望のスタイルを指定することは、常とう手段(<1>特開平9-297355号公報段落【0012】及び図3、<2>特開平10-51620号公報段落【0054】及び図9、<3>特開平10-116272号公報段落【0021】及び図2)であるから、引用発明1において、ユーザが選択画像の中から所望のスタイルを指定するように構成することで、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることについても当業者が容易に想到し得ることである。 (b)相違点2について 引用発明1は、ユーザからの文書転送要求がクライアントからサーバに対して送信されることによってスタイルファイルを読み出すものであり、このような要求は、ユーザの入力に応じておこなうのが一般的であることを考えると、引用発明1において、入力手段である「入力部11」にスタイル・シート読み出し指令を入力するように構成することで、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易に想到し得ることである。 (c)相違点3について 画像とともに、コメント、撮影日、撮影場所などを付帯情報としてデータベースに登録し、ユーザが付帯情報を検索キーとして検索をおこなった際に、画像とともに付帯情報を表示することは本願出願前に周知の技術(<1>特開平11-66089号公報段落【0046】、【0071】、【0091】、図20、図23、<2>特開平10-269338号公報段落【0018】、【0020】、【0024】、図5、<3>建築向け画像データベースソフト建築でじカード、パドマガ、株式会社建築知識、1999年2月25日発行、第20号、p.163)である。 また、スタイルシートは画像にも文字にも適用されるものであり、どのような対象を選択するかは当業者が必要に応じて適宜なし得る程度のものである。 よって、引用発明1において、対象を画像及び上記付帯情報とし、検索によって見つかったデータを表示するように構成することで、上記相違点3に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易に想到し得ることである。 そして、本願補正発明が奏する効果は当業者が引用発明及び周知技術から予想できる範囲内のものである。 (2-5)むすび 以上のとおり、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例とされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1.本願発明 以上のとおり、上記本件補正は却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成19年3月20日に提出された手続補正書における特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。 「【請求項1】 画像,文字などの複数の項目を含む画像のレイアウトを規定するスタイル・シートを表すデータが複数種類記憶されており,これらの複数のスタイル・シートの中から所望のスタイル・シートを指定するスタイル・シート指定手段, 上記スタイル・シート指定手段によって指定されたスタイル・シートを識別するデータを,ユーザに対応して記憶する記憶手段, ユーザを識別するためのデータを入力する識別データ入力手段, スタイル・シート読み出し指令を入力する読み出し指令入力手段, 上記読み出し指令入力手段から入力されたスタイル・シートの読み出し指令に応じて,上記識別データ入力手段から入力された識別データによって識別されるユーザに対応したスタイル・シートを表すデータを,上記記憶手段に記憶されている関係にもとづいて出力するスタイル・シート出力手段, 検索条件を入力する検索条件入力手段, 上記検索条件入力手段から入力された検索条件にもとづいて,画像データベースから画像を表すデータを検索する検索手段,および 上記検索手段による検索により見つかった画像データにより表される画像を上記スタイル・シート出力手段から出力されるデータによって表されるスタイル・シートに合成する手段, を備えたスタイル・シート出力装置。」 2.引用例 原査定の拒絶理由に引用された引用例、及びその記載事項は、前記「第2 2.(2-2)」に記載したとおりである。 3.対比、判断 本願発明は、前記「第2」で検討した本願補正発明の「画像,ならびに少なくとも上記画像の撮影年月日,上記画像の撮影場所および上記画像が表す内容の項目が一セットとされている,画像とその画像に対応する複数の項目のレイアウト」を、「画像,文字などの複数の項目を含む画像のレイアウト」としたものである。 そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに限定したものに相当する本願補正発明が、前記「第2」に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-06-22 |
結審通知日 | 2010-06-29 |
審決日 | 2010-07-12 |
出願番号 | 特願平11-218539 |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 田中 慎太郎 |
特許庁審判長 |
和田 志郎 |
特許庁審判官 |
稲葉 和生 佐藤 匡 |
発明の名称 | スタイル・シート出力装置および方法ならびにスタイル・シート出力システム |
代理人 | 牛久 健司 |
代理人 | 井上 正 |