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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F |
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管理番号 | 1222853 |
審判番号 | 不服2008-20216 |
総通号数 | 130 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-10-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-08-07 |
確定日 | 2010-09-02 |
事件の表示 | 特願2001- 9250「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 7月30日出願公開、特開2002-210071〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本件の経緯概要は以下のとおりである。 特許出願 平成13年1月17日 審査請求 平成16年11月11日 拒絶理由 平成20年3月13日 手続補正 平成20年5月9日 拒絶査定 平成20年7月16日 審判請求・手続補正 平成20年8月7日 当審拒絶理由 平成22年2月16日 手続補正 平成22年4月21日 第2.平成22年4月21日付の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成22年4月21日付の手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1.本件補正の内容 本件補正前後の特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 [本件補正前の特許請求の範囲] 「【請求項1】 各々の外周面に複数種類の図柄が描かれた複数のリールを変動表示する変動表示手段と、 該変動表示手段を観察可能な表示窓と、 該表示窓に設けられた複数の入賞ラインと、 ゲーム毎にサンプリングされる乱数値により増加役を含む内部当選役を決定する内部当選役決定手段と、 前記リールの変動表示をそれぞれ停止させるための遊技者が操作可能な複数の停止ボタンと、 遊技者が前記停止ボタンを操作したタイミングで、対応するリールを停止制御する停止信号を発生する停止信号発生手段と、 前記停止信号発生手段による停止信号の発生に応じて、該内部当選役決定手段の決定結果に基づいて前記変動表示手段を停止制御する停止制御手段と、 該停止制御手段により前記複数のリールの全てが停止制御された場合に、前記入賞ライン上に予め定められた入賞となる図柄の組合せが停止表示されたことを条件に入賞成立と判定する入賞判定手段と、 前記入賞判定手段により前記増加役の入賞成立が判定されることにより発生する特別遊技状態において、予め記憶された複数種類の音データから一の音データを決定して音を出力する音出力手段と、 該音出力手段を制御する音制御手段と、 前記停止制御手段により制御される前記複数のリールのうち、全てのリールが停止されたときの停止態様が、前記複数のリールのうち一つのリールを除いて前記複数の入賞ラインのうちの二以上のラインに沿って前記増加役に係る図柄の組合せを構成する図柄が並んでいる停止態様であるか否かを判別する停止態様判別手段と、 を備え、 前記音制御手段は、前記停止態様判別手段により前記複数のリールのうち一つのリールを除いて前記入賞ラインに沿って前記増加役に係る図柄の組合せを構成する図柄が並んでいる停止態様であると判別された前記入賞ラインの数に応じて前記特別遊技状態において出力する音データを複数種類の音データのうちから一の音データを決定し制御することを特徴とする遊技機。」 [本件補正後の特許請求の範囲] 「【請求項1】 各々の外周面に複数種類の図柄が描かれた複数のリールを変動表示する変動表示手段と、 該変動表示手段を観察可能な表示窓と、 該表示窓に設けられた複数の入賞ラインと、 ゲーム毎にサンプリングされる乱数値により増加役を含む内部当選役を決定する内部当選役決定手段と、 前記リールの変動表示をそれぞれ停止させるための遊技者が操作可能な複数の停止ボタンと、 遊技者が前記停止ボタンを操作したタイミングで、対応するリールを停止制御する停止信号を発生する停止信号発生手段と、 前記停止信号発生手段による停止信号の発生に応じて、該内部当選役決定手段の決定結果に基づいて前記変動表示手段を停止制御する停止制御手段と、 該停止制御手段により前記複数のリールの全てが停止制御された場合に、前記入賞ライン上に予め定められた入賞となる図柄の組合せが停止表示されたことを条件に入賞成立と判定する入賞判定手段と、 前記入賞判定手段により前記増加役の入賞成立が判定されることにより発生する特別遊技状態において、予め記憶された複数種類の音データから一の音データを決定して音を出力する音出力手段と、 該音出力手段を制御する音制御手段と、 前記停止制御手段により制御される前記複数のリールのうち、全てのリールが停止されたときの停止態様が、前記複数のリールのうち一つのリールを除いて前記複数の入賞ラインのうちの3つのラインに沿って前記増加役に係る図柄の組合せを構成する図柄が並んでいる停止態様であるか否かを判別する停止態様判別手段と、 を備え、 前記音制御手段は、前記停止態様判別手段により前記複数のリールのうち一つのリールを除いて前記入賞ラインに沿って前記増加役に係る図柄の組合せを構成する図柄が並んでいる停止態様であると判別された前記入賞ラインの数が3つであるか否かに応じて前記特別遊技状態において出力する音データを複数種類の音データのうちから特別な音データを決定し制御することを特徴とする遊技機。」 2.本件補正の検討 まず、補正の適否について検討する。 本件補正は、本件補正前の請求項1の「二以上のライン」を「3つのライン」に変更すると共に、「前記入賞ラインの数に応じて」を「前記入賞ラインの数が3つであるか否かに応じて」に変更したものであって、いずれの点も限定を加えたものと認めることができる。 したがって、本件補正は限定的減縮に該当するものであるから、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討することとする。 3.引用例 当審拒絶理由において引用されたパチスロ機「クランキーコンテスト」を紹介する記事(パチスロ必勝ガイド1997年8月号、白夜書房、1997年8月1日発行日、4-5ページ)(以下「引用文献1」という。)には、以下の技術事項が記載されている。 「史上初! 3種のビッグ中BGM なんとこのクランキーコンテストは、それぞれ3種のボーナス絵柄によって、テンパイ音及びビッグ中の小役ゲーム時に流れるBGMが違うのだ。」(5ページ下欄外) また、パチスロ機「クランキーコンテスト」の外観写真、「各役払い出し表」、「絵柄配列表」、「ボーナス確率表」も記載されている。 よって、引用文献1には、 「3種のビッグ中BGMを設け、それぞれ3種のボーナス絵柄によって、ビッグ中の小役ゲーム時に流れるBGMが違うパチスロ機。」 という発明(以下「引用発明」という)が記載されている。 4.対比 本願補正発明と引用発明を対比する。 引用発明における「パチスロ機」、「BGM」、「ビッグ中」、「ボーナス絵柄」は本願補正発明における「遊技機」、「音」、「特別遊技状態」、「増加役に係る図柄」にそれぞれ相当する。 引用発明は、3種のビッグ中BGMからBIG中に流れるBGMを選択しているものであるから、本願補正発明の「特別遊技状態において、予め記憶された複数種類の音データから一の音データを決定して音を出力する音出力手段」及び「該音出力手段を制御する音制御手段」を具備している。 そして、引用文献1は遊技店に設置される営業用のパチスロ機を紹介する記事であって、引用文献1に記載されたその外観写真、「各役払い出し表」、「絵柄配列表」、「ボーナス確率表」、さらに営業用のパチスロ機における技術常識も踏まえれば、引用発明は本願補正発明における 「各々の外周面に複数種類の図柄が描かれた複数のリールを変動表示する変動表示手段」 「該変動表示手段を観察可能な表示窓」 「該表示窓に設けられた複数の入賞ライン」 「ゲーム毎にサンプリングされる乱数値により増加役を含む内部当選役を決定する内部当選役決定手段」 「前記リールの変動表示をそれぞれ停止させるための遊技者が操作可能な複数の停止ボタン」 「遊技者が前記停止ボタンを操作したタイミングで、対応するリールを停止制御する停止信号を発生する停止信号発生手段」 「前記停止信号発生手段による停止信号の発生に応じて、該内部当選役決定手段の決定結果に基づいて前記変動表示手段を停止制御する停止制御手段」 「該停止制御手段により前記複数のリールの全てが停止制御された場合に、前記入賞ライン上に予め定められた入賞となる図柄の組合せが停止表示されたことを条件に入賞成立と判定する入賞判定手段」 「特別遊技状態」が「前記入賞判定手段により前記増加役の入賞成立が判定されることにより発生する」点 の各構成を具備することは明らかである。 さらに、引用発明は「3種のボーナス絵柄によって…ビッグ中の…BGMが違う」のであって、ここで「3種のボーナス絵柄によって」とは3種のボーナス絵柄のどれを揃えたかに応じてという意味と解されるから、ボーナス絵柄にかかる停止態様が所定のものであるか否かを判別する手段を備え、その判別結果によってBGMを選択していることも明らかである。よって、引用発明と本願補正発明は「前記停止制御手段により制御される前記複数のリールのうち、全てのリールが停止されたときの停止態様が、前記増加役に係る図柄の組合せを構成する図柄が並んでいる所定の停止態様であるか否かを判別する停止態様判別手段」を備えている点で共通し、「前記音制御手段は、前記停止態様判別手段により所定の停止態様であると判別されたかに応じて前記特別遊技状態において出力する音データを複数種類の音データのうちから一の音データを決定し制御する」点においても共通している。 よって、本願補正発明と引用発明は、 「各々の外周面に複数種類の図柄が描かれた複数のリールを変動表示する変動表示手段と、 該変動表示手段を観察可能な表示窓と、 該表示窓に設けられた複数の入賞ラインと、 ゲーム毎にサンプリングされる乱数値により増加役を含む内部当選役を決定する内部当選役決定手段と、 前記リールの変動表示をそれぞれ停止させるための遊技者が操作可能な複数の停止ボタンと、 遊技者が前記停止ボタンを操作したタイミングで、対応するリールを停止制御する停止信号を発生する停止信号発生手段と、 前記停止信号発生手段による停止信号の発生に応じて、該内部当選役決定手段の決定結果に基づいて前記変動表示手段を停止制御する停止制御手段と、 該停止制御手段により前記複数のリールの全てが停止制御された場合に、前記入賞ライン上に予め定められた入賞となる図柄の組合せが停止表示されたことを条件に入賞成立と判定する入賞判定手段と、 前記入賞判定手段により前記増加役の入賞成立が判定されることにより発生する特別遊技状態において、予め記憶された複数種類の音データから一の音データを決定して音を出力する音出力手段と、 該音出力手段を制御する音制御手段と、 前記停止制御手段により制御される前記複数のリールのうち、全てのリールが停止されたときの停止態様が、前記増加役に係る図柄の組合せを構成する図柄が並んでいる所定の停止態様であるか否かを判別する停止態様判別手段と、 を備え、 前記音制御手段は、前記停止態様判別手段により所定の停止態様であると判別されたか否かに応じて前記特別遊技状態において出力する音データを複数種類の音データのうちから一の音データを決定し制御する遊技機。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点1] 上記一致点における「停止態様判別手段」について、本願補正発明は「複数のリールのうち一つのリールを除いて」判別を行っているのに対して、引用発明においては不明である点。 [相違点2] 上記一致点における「停止態様判別手段」にかかる「所定の停止態様」について、本願補正発明は、複数のリールのうち一つのリールを除いて判別した場合において「複数の入賞ラインのうちの3つのラインに沿って」増加役に係る図柄の組合せを構成する図柄が並んでいる停止態様であり、また「音制御手段」における「…に応じて」とは、「(前記停止態様判別手段により…停止態様であると判別された)前記入賞ラインの数が3つであるか否か」であるのに対して、引用発明にはかかる構成がない点。 5.相違点の判断 上記相違点について検討する。 [相違点1について] 当審拒絶理由において引用されたパチスロ機「ビーナスライン7」を紹介する記事(パチスロ攻略マガジン1999年2月号、双葉社、1999年2月1日発行日、16-18ページ)(以下「引用文献2」という。)には次の記載がある。 「新ラインは中・中・上&中・中・下! 上・中・下段右上がり&右下がり 中・中・上&中・中・下←これが新たに加えられた2ライン!」(16ページ左下) 「中段テンパイはトリプルテンパイなのだ!!中段にテンパイすればもちろんトリテン。この新ラインでBIGを揃えると、スペシャルファンファーレが流れるぞ!」(16ページ左下) 「スペシャルファンファーレ」に対して通常のファンファーレがあることは当然であって、この記載によれば、中段テンパイ(トリプルテンパイ)時に新ライン(中・中・上or中・中・下)でBIGを揃えるとスペシャルファンファーレが流れ、それ以外でBIGが揃った場合は通常のファンファーレが流れることを理解することができる。そしてこの文言のみで解釈すれば、中段テンパイ時に中段ライン(中・中・中)でBIGが揃った場合にはスペシャルファンファーレは流れず通常のファンファーレが流れることになる。 ところで本願補正発明においては「前記停止制御手段により制御される前記複数のリールのうち、全てのリールが停止されたときの停止態様が、前記複数のリールのうち一つのリールを除いて前記複数の入賞ラインのうちの3つのラインに沿って前記増加役に係る図柄の組合せを構成する図柄が並んでいる停止態様であるか否かを判別する停止態様判別手段」という構成がある。これについて、その文言から解すれば、「全てのリールが停止されたときの停止態様が…停止態様であるか否かを判別する」ものであって、判別時期についての限定はないから、リールが全て停止したときにその停止態様が該当するものであるか否かを判別するものも含むものである。 また、請求人は、平成22年4月21日付の意見書(以下「意見書」という。)において、「本願発明は、遊技者にとって有利な状況である増加役の成立に係る「テンパイしていた数」が3つであるか、即ちいわゆる「トリプルテンパイ」であったか否かに応じて特別な音を出すことができる、という本願特有の効果を奏するものです。」と主張している。しかし、請求項1には「テンパイ」なる文言はなく、「前記複数のリールのうち一つのリールを除いて前記複数の入賞ラインのうちの3つのラインに沿って前記増加役に係る図柄の組合せを構成する図柄が並んでいる停止態様であるか否か」を判別するものである。すなわち、除かれる「複数のリールのうち一つのリール」とは最後に停止されたリールであるか否かの限定もないものである。 以上に基づき、引用文献2の内容を検討すれば、本願補正発明は「複数のリールのうち一つのリールを除いて」判別を行っているのに対して、引用文献2にはBIGが新ラインで揃ったか否かに応じて所要の判断を行っているが、本願補正発明のような判別を行っているかどうか不明である。 この点について検討するに、本願補正発明においては「入賞判定手段により増加役の入賞成立が判定されることにより発生する特別遊技状態において、予め記憶された複数種類の音データから一の音データを決定して音を出力する」ものであるから、まず「入賞判定手段により増加役の入賞成立が判定される」ことがそもそもの前提である。そして入賞成立とは「複数のリールの全てが停止制御された場合に、入賞ライン上に予め定められた入賞となる図柄の組合せが停止表示されたこと」が条件であるから、すなわち入賞ライン上に増加役にかかる図柄の組合せが停止表示された場合に、音データの決定が行われるものである。となると、本願補正発明は、(1)入賞判別として、複数のリール全てにおいて停止態様の判別を行うと共に、(2)音データの決定のため「複数のリールのうち一つのリールを除いて」判別を行っていると解されるものである。 そして、引用文献2においては、BIGの入賞成立に伴ってファンファーレの選択をしているから、まずBIGの入賞成立の判断を行っていることは当然であるから、上記(1)の事項は満たしている。一方、BIGが新ラインで揃ったか否かの判断についてはどのように行っているかは不明であるが、3つのリール全てによって判断を行うことが単純に考えられることであろうが、3つのリール全てで判断を行うことが必須であるとは解されない。なぜならば、引用文献2において新ラインとは中・中・上or中・中・下であって、かつBIGの入賞が成立したことを前提とすれば、例えば左リールの停止位置(BIG図柄が中段)及び右リールの停止位置(BIG図柄が上段又は下段)のみで停止態様を判別すれば、当該BIGが新ラインに該当しているか否かは判別できるし、そのようなことは一般的な数学的知識を有するものであれば当然思いつくことのできる程度のことである。そして、引用文献2におけるファンファーレに関する判断において本願補正発明のように一つのリール(例えば中リール)における判別を行わないことが果たしてどの程度の効果を奏するのかは不明であるが、請求人が意見書で主張するような「引用文献2においては、全リールの停止位置における停止位置情報を記憶装置に記憶させたり副制御回路に送信しなければスペシャルファンファーレを流すか否かを決定することができません。これに対し、本願発明では右リール及び左リールの停止位置情報のみを副制御回路に送信すれば足りるため、各制御回路等に対する情報伝達に関する制御負担の減少を図ることができます。」という効果があるのであれば、制御一般において処理を軽くするために不要な判別を行わないことは当業者が当然考慮することであるから、引用文献2において3リールのうちの2リールでファンファーレ選択のための判別を行うこと、すなわち上記(2)の事項とすることも、当業者にとって容易に想到できることである。 とすれば、本願補正発明の相違点1にかかる構成とすることは、引用発明及び引用文献2の記載に基づいて、当業者が容易に想到できたものである。 [相違点2について] 引用文献2においては、新ラインによるBIGのみをスペシャルファンファーレとしているが、そもそもどのような停止態様となった場合を選択するかは当業者の人為的決定事項に過ぎない。 請求人は、意見書において「本願発明は、遊技者にとって有利な状況である増加役の成立に係る「テンパイしていた数」が3つであるか、即ちいわゆる「トリプルテンパイ」であったか否かに応じて特別な音を出すことができる、という本願特有の効果を奏するものです。」と主張しているが、上述したように、除かれる「複数のリールのうち一つのリール」とは最後に停止されたリールであるか否かの限定もないものであって、さらに仮に「テンパイ」を判別するものだとしても、その数が「3つ」であるか否かに特段技術的特徴はない(リール上の図柄の配置や入賞ラインの形状が限定されているものでもない)ものである。 とすれば、本願補正発明における音データの決定においては、「複数の入賞ラインのうちの3つのラインに沿って」や「前記入賞ラインの数が3つであるか否か」という判断基準によって一の音データを選択しているが、当該判断基準についても単なるルール上の決定事項として、当業者が適宜決定できたことであると判断できる。 なお、本願補正発明が仮に「テンパイ」を判別するものだとしても、遊技機において、特別なリーチ(ダブルリーチやトリプルリーチ)によって大当りとなった場合にはその後遊技者に与えられる利益を異ならせるという思想は例えば特開平11-244473号公報(段落【0048】)、特開平11-156016号公報(段落【0048】、【0050】)に開示されているように周知である(以下「周知事項」という。)から、この点からもテンパイしていた数によって、その後における遊技上の何らかの選択や決定を行うことは、当業者にとって容易であると云える。 よって、本願補正発明の相違点2にかかる構成とすることは、引用発明、引用文献2の記載及び周知事項に基づいて、当業者が容易に想到できたものである。 また、本願補正発明の作用効果についても、引用発明、引用文献2及び周知事項から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により独立して特許を受けることができないものである。 6.むすび したがって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3.本願発明について 1.本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1にかかる発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1.に[本件補正前の請求項1]として記載されたとおりのものである。 2.引用例 引用文献1及びその記載事項は、上記第2[理由]3.に記載したとおりのものである。 3.対比・判断 上記第2[理由]2.及び5.において検討したように、本願発明に限定的減縮を加えたと認められる本願補正発明が、当審拒絶理由において引用された引用文献1,2及び周知事項に基づいて特許法第29条第2項の規定により独立して特許を受けることができないものである。 とすれば、本願補正発明から限定を解除した本願発明も同様に特許を受けることができないものである。 したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 第4.むすび 以上のとおり、本件補正は却下され、そして、本願発明は当審拒絶理由に基づき特許を受けることができないものであるから、本願は拒絶を免れない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-06-17 |
結審通知日 | 2010-06-22 |
審決日 | 2010-07-16 |
出願番号 | 特願2001-9250(P2001-9250) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(A63F)
P 1 8・ 575- WZ (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 鉄 豊郎 |
特許庁審判長 |
伊藤 陽 |
特許庁審判官 |
川島 陵司 池谷 香次郎 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 藤田 和子 |