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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  H01L
管理番号 1223240
審判番号 無効2009-800209  
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-11-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-10-06 
確定日 2010-09-06 
事件の表示 上記当事者間の特許第3850710号発明「真空処理装置の運転方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3850710号の請求項1-3に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3850710号の請求項1-3に係る発明についての手続の経緯は以下のとおりである。
平成 9年 8月20日 原出願(特願平9-223339号)
平成13年10月29日 本件分割出願(特願2001-330129号)
平成18年 9月 8日 設定登録
平成21年10月 6日 無効審判請求(請求人)
平成22年 1月25日 答弁書・訂正請求書(被請求人)
平成22年 3月 8日 訂正請求取下書(被請求人)
平成22年 5月19日 口頭審理陳述要領書(被請求人)
平成22年 6月 4日 口頭審理陳述要領書 (請求人)
(平成22年 6月 7日受付)
平成22年 6月15日 口頭審理

2.本件発明
訂正請求が取り下げられたことから、本件特許の請求項1、2、3に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」、「本件発明2」、「本件発明3」という。)は、以下のとおりである。

「【請求項1】
プロセス処理を行う複数のプロセス処理装置と、該プロセス処理装置にウェハを搬送する搬送処理装置と、搬送処理装置内に設置されウェハの搬送を行う搬送装置並びにウェハを収納したカセットを備え、カセットからウェハを搬送処理装置及びプロセス処理装置に搬送するための搬送制御を行う制御装置とで構成され、少なくとも2つ以上のプロセス処理装置が接続されて2つ以上のプロセス処理装置を使用してウェハ処理を行う真空処理装置の運転方法において、
少なくとも2つのカセットを使用し、これらカセットに収納されたウェハについて2カセット2レシピの並列処理および2カセット1レシピの並列処理のうち運転条件として選択されたいずれか一方の処理を前記プロセス処理装置で行い、該プロセス処理装置でウェハ処理枚数が予め設定した枚数を処理終了毎に、
前記搬送処理装置を用いてクリーニング用ダミーウェハを前記プロセス処理装置内に搬送し、該プロセス処理装置内のクリーニング処理を行い、
該クリーニング処理後に前記クリーニング用ダミーウェハをカセットに回収した後、
前記プロセス処理装置で前記2カセット2レシピの並列処理および2カセット1レシピの並列処理のうち運転条件として選択されたいずれか一方の処理を行うことを特徴とする真空処理装置の運転方法。

【請求項2】
プロセス処理を行う複数のプロセス処理装置と、該プロセス処理装置にウェハを搬送する搬送処理装置と、搬送処理装置内に設置されウェハの搬送を行う搬送装置並びにウェハを収納したカセットを備え、カセットからウェハを搬送処理装置及びプロセス処理装置に搬送するための搬送制御を行う制御装置とで構成され、少なくとも2つ以上のプロセス処理装置が接続されて2つ以上のプロセス処理装置を使用してウェハ処理を行う真空処理装置の運転方法において、
少なくとも2つのカセットを使用し、これらカセットに収納されたウェハについて2カセット2レシピの並列処理および2カセット1レシピの並列処理のうち運転条件として選択されたいずれか一方の処理を前記プロセス処理装置で行い、該プロセス処理装置でウェハ処理終了後処理済ウェハをカセットに回収し、このカセット数が予め設定したカセット数を処理終了毎に、
前記搬送処理装置を用いてクリーニング用ダミーウェハを前記プロセス処理装置内に搬送し、該プロセス処理装置内のクリーニング処理を行い、
該クリーニング処理後に前記クリーニング用ダミーウェハをカセットに回収した後、
前記プロセス処理装置で前記2カセット2レシピの並列処理および2カセット1レシピの並列処理のうち運転条件として選択されたいずれか一方の処理を行うことを特徴とする真空処理装置の運転方法。

【請求項3】
プロセス処理を行う複数のプロセス処理装置と、該プロセス処理装置にウェハを搬送する搬送処理装置と、搬送処理装置内に設置されウェハの搬送を行う搬送装置並びにウェハを収納したカセットを備え、カセットからウェハを搬送処理装置及びプロセス処理装置に搬送するための搬送制御を行う制御装置とで構成され、少なくとも2つ以上のプロセス処理装置が接続されて2つ以上のプロセス処理装置を使用してウェハ処理を行う真空処理装置の運転方法において、
少なくとも2つのカセットを使用し、これらカセットに収納されたウェハについて2カセット2レシピの並列処理および2カセット1レシピの並列処理のうち運転条件として選択されたいずれか一方の処理を前記プロセス処理装置で行う真空処理装置であって、
前記カセット内のいずれかのウェハ処理を開始する前に、前記搬送処理装置を用いてエージング用ダミーウェハを前記プロセス処理装置内に搬送し、該プロセス処理装置内のエージング処理を行い、
該エージング処理後に前記エージング用ダミーウェハをカセットに回収した後、
前記プロセス処理装置で前記2カセット2レシピの並列処理および2カセット1レシピの並列処理のうち運転条件として選択されたいずれか一方の処理を行うことを特徴とする真空処理装置の運転方法。」

3.請求人の主張
請求人は、以下の理由により、本件発明1、2、3に係る特許は、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求めている。
・本件発明1は、甲第1号証、甲第2号証および甲第3号証に記載された発明に基づいて、もしくは、甲第2号証および甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

・本件発明2は、甲第1号証、甲第2号証および甲第3号証に記載された発明に基づいて、もしくは、甲第2号証および甲第3号証に記載された発明に基づいて、もしくは、甲第2号証、甲第3号証および甲第4号証に記載された発明に基づいて、もしくは、甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証および甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

・本件発明3は、甲第1号証、甲第2号証および甲第4号証に記載された発明に基づいて、もしくは甲第2号証および甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

そして、証拠方法として、下記甲各号証、及び口頭審理陳述要領書において、下記参考資料1、2を提出している。


(1)甲第1号証:特開平3-274746号公報
(2)甲第2号証:特開平5-226453号公報
(3)甲第3号証:特開平5-74739号公報
(4)甲第4号証:実願平2-124212号(実開平4-82841号) のマイクロフィルム
(5)参考資料1:特開平6-314729号公報
(6)参考資料2:特開昭63-133532号公報

4.請求人の主張の要点
ア.「ここで、本件特許発明の出願経過を参酌すると、被請求人は、『「2カセット2レシピ並列処理」の概念は本願明細書において初めて示された概念である』と主張し、さらに『2カセット2レシピの並列処理および2カセット1レシピの並列処理のうち運転条件として選択されたいずれか一方の処理を行うことを示唆するものではない』と主張していて、それ以外の特徴部分に関しては、周知技術であるとする審査官の認定に対して反論していない。
そこで、上記の被請求人の主張する部分について検討することとする。
(a-1)上述の被請求人が主張する『2カセット2レシピの並列処理および2カセット1レシピの並列処理のうち運転条件として選択されたいずれか一方の処理を行うことを示唆するものではない』という部分には、本件の請求項1,2に係る特許発明の特徴部分D2の「これらカセットに収納されたウェハについて2カセット2レシピの並列処理および2カセット1レシピの並列処理のうち運転条件として選択されたいずれか一方の処理を前記プロセス処理装置で行い、」という記載が対応する。」(審判請求書第22頁第9行-第22行)

イ.「(a-3)また、「2カセット1レシピの並列処理」を行うことについては、甲第1号証および甲第2号証にもそれぞれ開示されている。すなわち、甲第1号証の明細書の第6頁右下欄から第7頁左上欄には、「そして、三つの処理A,B,Cからなる工程は破線で示した2つの経路で同時に行うことができる。」と記載されており、また、対応する第6図を見るとカセットも2つ用いられている。甲第1号証に開示されているような、同時に行われると共に2つの破線で示される三つの処理室A,B,Cからなる工程を、2レシピの処理とするか否かは、当業者の設計事項に過ぎない事項である。」(審判請求書第22頁第27行-第23頁第6行)

ウ.「(a-6)また、特徴部分D2の「2カセット2レシピ並列処理」については、かかる処理を行うように、真空処理室の処理順序とそれぞれの真空処理室のプロセス処理データとを設定することにつき、甲第2号証の明細書の[0010]に記載されているように、
「オペレータが真空処理室の処理順序とそれぞれの真空処理室のプロセス処理データとを設定することで、装置内での真空処理室の配置に関係なく自在に処理シーケンスを設定できる」ことに鑑みると、自在な処理シーケンスの設定の1つに過ぎないから、当業者であれば、甲第1号証に基づいて容易に想到することができる、と思料する。」(審判請求書第23頁第28行-第24頁第7行)

エ.「加えて、甲第2号証の明細書の[0008]には、「真空処理装置内で異なる順次処理工程を行う場合(処理室1と処理室2と処理室3と処理室4とが異なる処理の場合)、図7のものは、真空処理装置に試料を1枚搬入して処理し、真空処理装置から搬出された後、他方の処理工程の試料を搬入して処理するか、又は、一方の処理工程を先に終了させ、そのあとで、他方の処理工程を行なうことしかできず、試料の処理効率は低い。図8のものは、異なる順次処理工程を同時に処理することができる。よって、試料の処理効率は高い。」という、上述の特徴部分D2中の「2カセット2レシピの並列処理」に対応する記載も存在している。
加えて、甲第2号証の明細書の[0015]には、
「処理順序の1例としては、下記の2つの順次処理工程を1つの真空処理装置内で同時に行なう。i)ロードロック室5→真空処理室1→真空処理室2→アンロードロック室6 ii)ロードロック室5→真空処理室4→真空処理室3→アンロードロック室6」という記載が存在すると共に、甲第2号証の明細書の[0017]には、「第1工程として試料をロードロック室5から真空処理室1に搬送し、真空処理室1でプロセスレシピNO.3の処理をした後、真空処理室2に試料を搬送し、真空処理室2でプロセスレシピNo.8の処理をした後、アンロードロック室6に搬送してプロセス処理を行ない、第2工程として試料をロードロック室5から真空処理室4に搬送し、真空処理室4でプロセスレシピNo.7の処理をした後、真空処理室3に試料を搬送し、真空処理室3でプロセスレシピNo.2の処理をした後、アンロードロック室6に搬送してプロセス処理を行なう場合の設定例を表1に示す。」という記載が存在しており、さらには、甲第2号証の明細書の[0018]には、設定例としての表1が示されている。これらの処理は、2カセットで行うことが通常であるので、本件の請求項1,2に係る特許発明の特徴部分D2中の「2カセット2レシピの並列処理」に対応する部分が、開示されていると言える。」(審判請求書第24頁第8行-第25頁第8行)

オ.「(a-7)また、本件の請求項1,2に係る特許発明の特徴部分D2中の「運転条件として選択されたいずれか一方の処理を前記プロセス処理装置で行い」という部分に関して述べると、甲第2号証の明細書の[0010]の一部である、「オペレータが真空処理室の処理順序とそれぞれの真空処理室のプロセス処理データとを設定することで、装置内での真空処理室の配置に関係なく自在に処理シーケンスを設定できる」という記載からすると、オペレータが設定した運転条件に基づいて、上述の特徴部分D2の「2カセット1レシピの並列処理」と、特徴部分D2中の「2カセット2レシピの並列処理」のうちのいずれか一方の処理が選択され、その処理がプロセス処理装置で実行されることは、当業者であれば当たり前の事項に過ぎない。
さらに、甲第2号証の明細書の[0011]には、「また、上記で述べた処理順序とそれぞれの真空処理室で行なうプロセスのプロセス処理データを用いて、装置内で搬送処理実行可能な搬送処理順序情報を作成する。これは、或る真空処理室で処理終了した試料の次に搬送すべき真空処理室を関連付けたものである。これによりオペレータが設定した処理順序に応じて、その装置内で試料が搬送できる経路に分解でき、搬送の始点と終点に対応付けることができ、装置内で自在に搬送できる。また、上記で述べた搬送処理順序情報を処理工程毎に作成し、かつ、2つ以上の処理工程分の情報を記憶できる構成とし、各処理工程の搬送処理順序情報に登録してあるウエハの搬送又は、プロセス処理条件が成立した方の処理を実行させることにより、複数の同じ又は、異なる処理工程を真空処理装置内で同時に実行させることができる。」とあり、この記載中、「搬送処理順序情報を処理工程毎に作成し、かつ、2つ以上の処理工程分の情報を記憶できる構成とし、各処理工程の搬送処理順序情報に登録してあるウエハの搬送又は、プロセス処理条件が成立した方の処理を実行させる」という部分は、本件の請求項1,2に係る特許発明の特徴部分D2の「運転条件として選択されたいずれか一方の処理を前記プロセス処理装置で行い」に対応することは明らかである。
また当業者であれば、「搬送処理順序情報を処理工程毎に作成し、かつ、2つ以上の処理工程分の情報を記憶できる構成とし、各処理工程の搬送処理順序情報に登録してあるウエハの搬送又は、プロセス処理条件が成立した方の処理を実行させる」という記載から、「運転条件として選択されたいずれか一方の処理を前記プロセス処理装置で行い」という事項を導き出すことは容易である。」(審判請求書第25頁第9行-第26頁第18行)

カ.「(a-8)以上から、「2カセット2レシピの並列処理および2カセット1レシピの並列処理のうち運転条件として選択されたいずれか一方の処理を前記プロセス処理装置で行い」という、本件の請求項1,2に係る特許発明の特徴部分D2については、甲第1号証と甲第2号証に基づけば、または甲第2号証だけに基づいても、当業者は、容易に想到しうる。また、本件の請求項3に係る特許発明の特徴部分D3は、本件の請求項1,2に係る特許発明の特徴部分D2と実質的な相違がないため、上記と同様に、当業者は、容易に想到し得る。」(審判請求書第26頁第19行-第25行)

キ.口頭審理調書における請求人の主張
「2.甲第2号証には、「2レシピ並列処理」「1レシピ並列処理」を選択的に行うことが開示されている。
3.一般の管理手法を考えれば、甲第1号証に記載されているような2カセットの適用は容易に導き出せる。
4.複数の運転条件をあらかじめ、モードとして設定し、選択することは周知(参考文献1、2)である。」

5.被請求人の主張の要点 (以下、原文中の丸囲み数字は「丸1」のよう に置き換えて表記した)
ア.「〈ア〉本件特許発明1の構成上の特徴について
丸1 2つのカセットを使用し、運転条件として2カセット2レシピ並列処理と2カセット1レシピ並列処理という2つの並列処理の処理態様を行うことに限定したものであること、
丸2 2カセット2レシピ並列処理と2カセット1レシピ並列処理の内のいずれか一方の並列処理を選択することができるものであること、
丸3 プロセス処理装置でウェハ処理枚数が予め設定した枚数を処理終了毎に、クリーニング用ダミーウェハを前記選択されたいずれか一方の並列処理におけるプロセス処理装置内に搬送し、当該プロセス処理装置内のクリーニング処理を行うこと 、
に本件特許発明1の構成上の特徴を備えている。

〈イ〉本件特許発明1の機能乃至作用効果上の特徴について
丸1 従来の真空処理装置では、2つのカセットを使用して、2カセット2レシピ並列処理と2カセット1レシピ並列処理の内のいずれの並行処理をも1台の真空処理装置で実行可能としたものは元々存在していなかった。
丸2 一般的に云って、製造ラインでは、多品種小ロット生産(例えば、2カセット2レシピ並列処理)、あるいは小品種多ロット生産(例えば、2カセット1レシピ並列処理)の何れかを適用したロット(カセット)が混合した状態で流れる。このため、プロセス処理装置を頻繁に切り替えて運転を継続すること(混流生産)が必要とされる。
本件特許発明1は、運転条件として2カセット1レシピ並列処理と2カセット2レシピ並列処理を備えており、そのいずれかを選択することでいずれかの並列処理を実行可能とすることができる。このため、混流生産を安定かつ確実に行うことができ、生産性の効率向上が可能である。
丸3 クリーニングダミーウェハを用いたクリーニング処理後に、このダミーウェハをカセットに回収した後には、真空処理装置の運転方法として、2カセット2レシピ並列処理と2カセット1レシピ並列処理の内で運転条件として選択されたいずれかの並行処理を行うことができる。」(口頭審理陳述要領書第5頁第1行-第26行)

イ.「〈ウ〉甲第1号証について
甲第1号証には、特に、第6図とそれに関連する説明をみると、2つのウェハカセット2からウェハ3を搬出すること、一連の工程を順次行うプロセスチャンバ8A,8B,8Cを2組設けていること、3つの処理A,B,Cからなる工程をもつ2つの経路で同時に処理すること、が開示され、いわゆる2カセット1レシピ並列の処理を行う処理態様が開示されている。
しかしながら、2カセット2レシピ並列の処理については何ら開示されておらず、さらに、クリーニング処理については一切記載されていない。

〈エ〉甲第2号証について
………
甲第2号証には、2レシピの並列運転を設定し処理すること(但し、搬送室とカセットの関係については何等の開示も無い)、自在な処理シーケンスを設定できること、複数の同じ又は異なる処理工程を真空処理装置内で同時実行させることは開示されているが、甲第2号証に開示されたこれらのウェハ処理態様の設定は、製品用ウェハを処理する際の搬送経路、処理レシピの各々をいずれもオペレータが入力手段に入力操作することでなされるものである。
しかしながら、甲第2号証には、オペレータによるその都度の入力操作による2レシピの並列処理と1レシピの並列処理がそれぞれ設定可能であることが開示されているに過ぎず、本件特許発明1で云うような、運転条件として備えられたこれらの並列処理が選択できるという思想も、カセットをこれらの並列処理との関係でどのように使用するかの対応も、クリーニング処理についても、何ら記載されていない。

〈オ〉甲第3号証について
……
さらに詳しく甲第3号証をみると、甲第3号証の処理装置は1カセット1レシピ並列処理の処理態様を行うものであることが基本的な構成となっていて、クリーニング処理についても3つの処理室に3枚のダミーウェハをそれぞれ搬送して同時的にクリーニング処理することが基本的な構成となっている。
……しかしながら、上述した基本的な構成として挙げられた構成例(【0010】?【0026】に記載された実施例)は、1カセット1レシピ並列処理の処理態様を行うものであり、さらに、他の構成例として挙げられた【0028】と【0029】に記載のいずれの構成例の場合は、いずれか1つのカセット1a又は2aから製品用ウエハが搬出されているものであって、1カセット1レシピ並列運転及び処理室への順次クリーニング(【0028】の構成例)と、1カセット一連処理及び処理室への順次クリーニング(【0029】の構成例)と、を開示したものである。すなわち、本件特許発明1で云う、運転条件としての2カセット2レシピ並列運転と2カセット1レシピ並列運転の記載はなく、且つこれらの並列運転を選択するという概念も開示されていない。

〈カ〉甲第4号証について
甲第4号証には、移載装置6に、エージング用或いはクリーニング用ダミーウェハの入ったキャリアが置けるダミーバッファ11を設置し、エージングの開始タイミングとレシピ、或いはクリーニング周期とレシピを管理制御することにより、エージング処理又はチャンバークリーニング処理を実施することが開示されている。」(口頭審理陳述要領書第5頁第27行-第8頁第8行)

ウ.「(3)本件特許発明1と甲第1?4号証に記載のものとの対比検討
………
そして、本件特許発明1が、上述したように甲第2号証に記載のものと異なることによる技術的な意義について以下検討する。まず、本件特許発明1では、2つのカセットを使用して2カセット2レシピの並列処理と2カセット1レシピの並列処理を運転条件として限定しているものであって、その内のいずれか一方の並列処理を選択するものであるところ、甲第2号証にはカセットと処理態様との関連が無く、上記の2つの並列処理に限定するという考え方も示されておらず、さらに、2つの並列処理のいずれか一方を選択するという考え方も示されていない。
そこで、本件特許発明1が2つの並列処理に限定することによって、2つ以上の処理室を処理経路として使って運転中に処理室の内どれかが故障等で使用できなくなった場合でも運転続行でき、また、修復する必要のあるプロセス処理装置がある場合は正常な処理室のみを処理経路として使って運転できる、という甲第2号証には期待できない効果を奏し得る。また、本件特許発明1が2つの並列処理に限定することによって、製造ラインで多品種小ロット生産(例えば、2カセット1レシピ並列処理)または小品種多ロット生産(例えば、2カセット1レシピ並列処理)の何れかのロット(カセット)が混合した状態で運転するときに、そのいずれかを選択することでいずれかの並列処理を実行可能とすることができ、混流生産を安定かつ確実に行うことができ、生産性の効率向上が可能である(甲第2号証では期待できない効果)。」(口頭審理陳述要領書第8頁第9行-第9頁第14行)

エ.「(エ)甲第1号証と甲第2号証との組み合わせについて検討すると、仮に組み合わせたものは、甲第2号証に示された処理室1,2の処理経路と処理室3,4の処理経路とに対して、甲第1号証に示された処理経路用のカセットを配置することが精々想起され得る程度であって、本件特許発明1で云う、運転条件として2カセット2レシピ並列処理と2カセット1レシピ並列処理という2つの並列処理の処理態様を行うことに限定し、この2つの並列処理の内のいずれか一方の並列処理を選択してウェハ処理することを到底想起できるものではない。」(口頭審理陳述要領書第9頁第20行-第26行)

オ.「(キ)次に、仮に、甲第1号証と甲第2号証を組み合わせたウェハの処理態様と、甲第3号証に記載の処理態様及びクリーニング処理と、を組み合わせたものを検討する。
甲第1号証と甲第2号証を組み合わせたウェハの処理態様は、上記〈エ〉(〈ウ〉も参照)に記述したように、本件特許発明1で云う、「運転条件として2カセット2レシピ並列処理と2カセット1レシピ並列処理という2つの並列処理の処理態様を行うことに限定し、この2つの並列処理の内のいずれか一方の並列処理を選択してウェハ処理すること」と構成上の差異があり、さらに、甲第3号証は、上記〈オ〉に記述したように、基本的な構成例として1カセット1レシピの並列処理が開示され、他の構成例として複数処理室での異なる一連の直列処理が開示されているに過ぎない。
したがって、甲第1号証と甲第2号証を組み合わせた処理態様に対して、仮に甲第3号証の処理態様を組み合わせたとしても、本件特許発明1で云う、「運転条件として2カセット2レシピ並列処理と2カセット1レシピ並列処理という2つの並列処理の処理態様を行うことに限定し、この2つの並列処理の内のいずれか一方の並列処理を選択してウェハ処理すること」の構成が、甲第1号証・甲第2号証及び甲第3号証のいずれにも開示されていない以上、上記の構成を到底想起できるものではない。
よって、本件特許発明1は、甲第1号証?甲第3号証を組み合わせたものと対比すると、甲第3号証にクリーニング処理が開示されているとは云え、ウェハ処理の処理態様について構成上の明確な差異が有り、」(口頭審理陳述要領書第10頁第19行-第11頁第6行)

カ.「(6)審判請求書の無効理由に対する反論
〈ア〉請求人の主張の誤り(その1)
丸1 審判請求人は、審判請求書の16頁21?27行において、「さらに、上述の明細書の[0010]の記載中、「オペレータが…自在に処理シーケンスを設定できる」という記載に基づけば、運転条件として「2カセット1レシピ並列処理」と「2カセット2レシピ並列処理」のいずれかを選択することも可能である。」と記載し、本件特許発明1の構成要件D2の構成は開示していると主張している。

丸2 しかしながら、甲第2号証は、製品用ウエハを処理する際の搬送経路、処理レシピの各々をオペレータが入力手段に入力操作することによって自在に種々の処理態様を設定できることを開示しているのであって、その内の処理態様として1レシピ並列処理と2レシピ並列処理(カセットは開示無し)が設定できる旨が示されているのであり、本件特許発明1における2カセット1レシピ並列処理と2カセット2レシピ並列処理と云う2つの処理に限定しているものとは明らかな構成上の差異が存在する。……
……
丸3 したがって、請求人による上記丸1の主張は誤りである。」(口頭審理陳述要領書第11頁第25行-第12頁第15行)

キ.「〈イ〉請求人の主張の誤り(その2)
丸1 審判請求人は、審判請求書の22?26頁における(ホ)(a-1)?(a-8)において、「2カセット2レシピの並列処理および2カセット1レシピの並列処理のうち運転条件として選択されたいずれか一方の処理を行うこと」の構成は、甲第1号証と甲第2号証に基づいて、または甲第2号証に基づいて容易想到であると主張している。
丸2 ……
すなわち、甲第2号証には、ウェハとカセットの関係は特定されない搬送方式でウェハを搬送し、ウェハが搬送される3つ以上の処理室で2つ以上の処理室を用いた順次処理を同一または異なるレシピで2工程以上同時に実行する処理方式(並列処理)が示されている。
丸3 ……
すなわち、甲第1号証には、2つのカセットから2つの処理室にウェハをそれぞれ搬入出し、同一レシピの二つの処理室を用いて処理する並列処理というウェハの搬送方式が示されている。
丸4 そうすると、甲第2号証と甲第1号証に記載のものとでは、カセットを含めたウェハの搬送方式に共通性はなく、搬送されたウェハに処理室で施す同一レシピの並列処理と云う点で共通性があるのみである。甲第2号証に記載のものにカセットを用いたとしても、1つのカセットを使用することも考えられ、2つのカセットを使用する必然性を甲第2号証と甲第1号証の組み合わせから導き出すことは困難である。さらに、甲第1号証、甲第2号証のいずれにも各カセットに収納されたウェハに異なるレシピを適用して異なる処理を並列に施すこと(2カセット2レシピ並列処理)を開示する記載は見あたらない。また、本件特許発明1で云う、ウェハ処理の処理態様について2カセット2レシピ並列処理と2カセット1レシピ並列処理の2つの処理に限定することも見当たらない。このような本件特許発明1での限定によって、2つ以上の処理室を処理経路として使って運転中に処理室の内でどれかが故障等で使用できなくなった場合でも運転続行でき、また、修復する必要のあるプロセス処理装置がある場合は、正常な処理室のみを処理経路として使って運転することができるという効果が期待できる。
本件特許発明1では、甲第2号証と甲第1号証に開示の無い、2カセット1レシピ並列処理と2カセット2レシピ並列処理のいずれかを選択することを特定している。この特定のため、少品種多ロット生産(2カセット1レシピ並列処理)と多品種少ロット生産(2カセット2レシピ並列処理)の混流生産を安定かつ確実に行うことができ、生産性の効率向上が可能である。」(口頭審理陳述要領書第12頁第16行-第13頁第26行)

ク.口頭審理調書における被請求人の主張
「3.甲第2号証において、カセットを適用する際、2カセットには限定さ れず、1カセットもあり得る。
4.甲第2号証は、オペレータがその都度設定するものであり、あらかじ め運転条件として設定し、選択するものではない。
5.クリーニング処理後に、再度運転条件の選択を行うことについては、 明細書中に開示はない。
6.2つの運転条件(「2カセット1レシピ並列」「2カセット2レシピ 並列」)から1つを選択することの効果の主張の根拠は表1である。」

6.当審の判断
ア.本件発明
本件発明1-3は、上記2.に記載のとおりである。

イ.刊行物の記載事項および引用発明
(1)甲第1号証(特開平3-274746号公報)
(a)「そして、自然酸化膜の除去は半導体ウエハのエッチング液への浸漬、更にはそのエッチング液の水洗い等を必要とし、工程を著しく増やす原因となり、スループットを低下させる原因となる。そのため、複数のチャンバをゲートバルブを介して一体化したマルチチャンバ装置なるものが開発され、……第13図(A),(B)はそのようなマルチチャンバ装置の一例を示すもので、同図(A)は平面図、同図(B)は断面図である。
同図において、1はロードロックチャンバで、これから処理を施そうとする半導体ウエハ3を待機させるチャンバである。2は半導体ウエハ3を収納するウエハカセットである。該ロードロックチャンバ1はゲ-トバルブ4を介して搬送チャンバ5に連結されている。6は搬送チャンバ5内に設けられた搬送アームで、フォーク7にて半導体ウエハ3を上記ロードロックチャンバ1及びプロセスチャンバ8、8、…の間で搬送する。9は搬送アーム6を駆動するウエハ搬送機構、10、10、…は搬送チャンバ5及び各プロセスチャンバ8、8…に設けられた真空ポンプである。
このようなマルチチャンバ装置によれば、1つのチャンバで或る一つの工程を終えた半導体ウエハ3をゲートバルブを通して別のチャンバに大気に曝すことなく移動して次の工程を行うことができる。」(第2頁右上欄第19行-右下欄第9行)。

(b)図13(A),(B)には、搬送チャンバ5とロードロックチャンバ1および各プロセスチャンバ8、8…がゲートバルブ4、4…を介して接続され、また、搬送チャンバ5および各プロセスチャンバ8、8…に真空ポンプ10が設けられている様子が示されている。

(c)「(c.第3の実施例)[第6図]
第6図は本発明マルチチャンバ装置の第3の実施例を示す平面断面図である。本図においてはゲートバルブ等を本マルチチャンバ装置の特徴と関係しない部分を省略し、特徴的部分だけを模式的に示した。
本マルチチャンバ装置は、三つの処理A、B、Cからなる一連の工程を順次行うプロセスチャンバ8A、8B、8Cの組み合せを2組有し、この2組6個のチャンバ8A、8B、8C、8A、8B、8Cが1つの搬送チャンバ5及び1つのロードアンドロード室17を共有していることを特徴としている。破線は半導体ウエハ3の流れを示している。
……
そして、三つの処理A、B、Cからなる工程は破線で示した2つの経路で同時に行うことができる。」(第6頁右下欄第1行-第7頁左上欄第1行)

(d)第6図には、ウエハカセット2を2つ有するとともに、三つの処理A、B、Cからなる一連の工程を順次行うプロセスチャンバ(8A、8B、8C)の組み合わせを2組有し、それぞれを1対1で対応させることにより、ウエハ処理を2つの経路で同時に行うマルチチャンバ装置が示されている。
また、上記記載事項(a)、(b)によれば、第6図に示されるマルチチャンバ装置においても、搬送チャンバ5及び各プロセスチャンバ8A、8B、8C、…には、真空ポンプが設けられているものと認められる。

よって、上記記載事項(a)-(d)をまとめると、甲第1号証には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「複数のプロセスチャンバ(8A、8B、8C、8A、8B、8C、)と、該プロセスチャンバにウエハを搬送する搬送チャンバ5と、搬送チャンバ5内に設置されたウエハの搬送を行うアーム6とフォーク7並びにウエハを収納したカセットを備え、カセットからウエハを搬送チャンバ5及びプロセスチャンバーに搬送し、6つのプロセスチャンバが接続されて6つのプロセスチャンバを使用してウエハ処理を行う真空処理装置の運転方法において、
2つのカセットを使用し、これらカセットに収納されたウエハについて、該カセットと2つのプロセスチャンバ(8A、8B、8C)の組み合わせを1対1で対応させることにより、同一のウエハ処理を2つの経路で同時に行うことを特徴とする真空処理装置の運転方法。」

(2)甲第2号証(特開平5-226453号公報)
(a)「【0012】【実施例】以下、本発明の一実施例を図1?図3により説明する。本実施例は、真空処理室を4室配置したものであるが、該真空処理室は1室でも2室でも3室でも、あるいは5室以上あっても良い。
【0013】図1で、1、2、3、4は真空処理室、5はロードロック室、6はアンロードロック室、10は搬送室である。ロードロック室5、6は試料を大気中から真空処理雰囲気にもってゆき、また、真空処理雰囲気から大気にもってゆくものであり、ウエハ(図示しない)を大気搬送装置(図示しない)と真空処理装置とで受渡しを行なうものである。ロードロック室5,6、真空処理室1,2,3,4及び搬送室10には、各々独立した排気装置11,16,12,13,14,15,17が設けられており、搬送室10と真空処理室1,2,3,4との間は、ゲートバルブ8で仕切られ、搬送装置9-1,9-2で試料が搬送される。また、ロードロック室5,6には、ゲートバルブ7が設けられ大気と連通することができ、(図示しない)大気カセット(図示しない)から大気搬送装置によって試料の取出及び収納が行なわれる。」(第3頁第4欄第28行-第47行)

(b)「【0014】……
真空処理室1で処理が終了した試料は、例えば真空処理室2に搬送され、真空処理室2で引続きエッチング処理される。尚、真空処理室2、3、4でのエッチング処理プロセスは、真空処理室1でのエッチング処理プロセスと同じであっても、異なっていても良い。……
【0015】処理順序の1例としては、下記の2つの順次処理工程を1つの真空処理装置内で同時に行なう。
i)ロードロック室5→真空処理室1→真空処理室2→アンロードロック室6 ii)ロードロック室5→真空処理室4→真空処理室3→アンロードロック室6 図2は、図1に示した装置を制御するため制御ブロック図を示したものである。本実施例では、搬送順序とそれぞれの真空処理室で行なうプロセスのプロセス処理データを設定し、そのデータを用いて装置内で搬送処理実行可能な搬送処理順序情報を作成する入力制御部300と、入力制御部300で作成した搬送処理順序情報と真空処理室状態情報とを参照し、搬送処理あるいはプロセス処理を実行する搬送制御部400と、真空処理室2,3及び4の排気,搬送,プロセス処理の制御を単独で実行しうる制御手段を有した処理室制御部500で構成され、各制御部 300,400,500は通信手段308と405及び408と501を介して接続されている。
【0016】入力制御部300には、オペレータが処理順序とそれぞれの真空処理室で行なうプロセスのプロセス処理データを入力するための入力手段306、例えばキーボードがあり、上記にて設定したデータを格納しておくための処理データ格納手段302、例えばRAMがある。また、入力した処理順序とプロセス処理データを表示するための表示手段305、例えばCRTがある。
【0017】入力方法としては、まず、試料を装置内に搬入して真空処理室で処理を行ない、装置外に搬送するまでのロードロック室と真空処理室の番号を用いて設定する。図1に示した処理室番号を用いて、第1工程として試料をロードロック室5から真空処理室1に搬送し、真空処理室1でプロセスレシピNO.3の処理をした後、真空処理室2に試料を搬送し、真空処理室2でプロセスレシピNo.8の処理をした後、アンロードロック室6に搬送してプロセス処理を行ない、第2工程として試料をロードロック室5から真空処理室4に搬送し、真空処理室4でプロセスレシピNo.7の処理をした後、真空処理室3に試料を搬送し、真空処理室3でプロセスレシピNo.2の処理をした後、アンロードロック室6に搬送してプロセス処理を行なう場合の設定例を表1に示す。これは搬送順に、そのロードロック室、真空処理室の番号とプロセスレシピNo.を対応付けて設定する。
【0018】
【表1】

」(第3頁第4欄第48行-第4頁第36行)

上記記載事項(a),(b)によれば、甲第2号証には、
プロセス処理(真空処理)を行う複数のプロセス処理(真空処理)室と、該プロセス処理(真空処理)室に試料を搬送する搬送室と、搬送室内に設置され試料の搬送を行う搬送装置並びに試料を収納した大気カセットを備え、カセットの試料をロードロック室、搬送室を通じてプロセス処理(真空処理)室に搬送するための搬送制御を行う制御装置とで構成され、4つのプロセス処理(真空処理)室が接続されて4つのプロセス処理(真空処理)室を使用して試料処理を行う真空処理装置の運転方法において、
プロセス処理(真空処理)室1およびプロセス処理(真空処理)室2の経路で搬送される第1工程と、プロセス処理(真空処理)室4及びプロセス処理(真空処理)室3の経路で搬送される第2工程を有し、試料に対して工程毎に異なるプロセスレシピを適用して異なる処理工程を同時に実行する処理、及び試料に対して同じプロセスレシピを適用して同じ処理工程を同時に実行する処理のうち、いずれかを施すことが開示されている。

(3)甲第3号証(特開平5-74739号公報)
(a)「【請求項7】被処理基板を真空下で処理した後、内部のドライクリーニング処理が行なわれる真空処理室を有する真空処理装置の運転方法において、
前記被処理基板を収容する第1の収納手段とともにダミー基板を収容する第2の収納手段を大気雰囲気中に設置する工程と、
前記第1の収納手段と前記真空処理室との間で前記被処理基板を搬送し、前記被処理基板を真空処理する工程と、
前記真空処理室のドライクリーニング時に、前記第2の収納手段と前記真空処理室との間で前記ダミー基板を搬送する工程とを有することを特徴とする真空処理装置の運転方法。
……
【請求項11】前記ドライクリーニングは、前記真空処理室内で前記被処理基板を処理する回数を計数し、前記真空処理室のドライクリーニング時期を判断して行われる請求項7記載の真空処理装置の運転方法。」(【特許請求の範囲】)

(b)「【実施例】以下、本発明の一実施例を第1図および第2図により 説明する。
【0011】第1図および第2図は、本発明の真空処理装置、この場合、被処理基板であるウエハをガスプラズマによりエッチング処理するドライエッチング装置を示す。
【0012】
……。
カセット1aおよび1bは、処理を行うための未処理ウエハを収納したり、処理済みのウエハを回収するためのもので、複数枚(通常25枚)の被処理基板であるウエハ20が収納可能となっている。カセット1cは、この場合、プラズマを用いたドライクリーニング(以下、「プラズマクリーニング」という。)を行うためのダミーウエハを収納したり、プラズマクリーニング後のダミーウエハを回収するためのもので、……
【0013】カセット台2a,2bに対向して、ロードロック室5およびアンロードロック室6が配置してあり、カセット台2a,2bとロードロック室5およびアンロードロック室6との間に搬送装置13が配置してある。ロードロック室5は、真空排気装置3およびガス導入装置4を装備するとともに、ゲート弁12aを介して未処理ウエハを真空装置内に導入可能となっている。
……
【0014】ロードロック室5およびアンロードロック室6は、ゲート弁12b,12cを介して搬送室16につながる。この場合、搬送室16は四角状で、搬送室16の3方の側壁には、ゲート弁15a,15b,15cを介してエッチング処理室11a,11b,11cが設けてある。」(第3頁第4欄第33行-第4頁第5欄第26行)

(c)「プラズマクリーニングを行なう時期の判断は、制御装置19によって行なう。……
……制御装置19によってそれぞれのエッチング処理室でのウエハ処理枚数を計数しておき、その値が所定値に達した時点でプラズマクリーニング時期に達したことを判断しても良い。」(第4頁第6欄第29行-第38行)

(d)「搬送装置14によってダミーウエハ30は搬送室16を介してロードロック室5からエッチング室11aへ搬送され、試料台8a上に載置される。ダミーウエハ30が配置されたエッチング室11aは、隔離弁15aを閉じた後、所定の条件によりプラズマクリーニングの処理が施される。」(第5頁第7欄第12行-第17行)

上記記載事項(a)-(d)によれば、甲第3号証には、
真空処理を行う複数の真空処理室と、該真空処理室にウエハを搬送する搬送室と、搬送室内に設置されウエハの搬送を行う搬送装置並びにウエハを収納したカセットを備え、カセットからウエハを搬送室及び真空処理室に搬送する真空処理装置の運転方法において、該真空処理室でウエハ処理枚数が予め設定した枚数に達した時点で、
前記搬送室を用いてクリーニング用ダミーウエハを前記真空処理室内に搬送し、該真空処理室内のクリーニングを行うことが開示されている。

(4)甲第4号証(実願平2-124212号(実開平4-82841号) のマイクロフィルム)
(a)「2.実用新案登録請求の範囲
(1)自動搬送システムを用いたドライエッチング装置において、
(a)ドライエッチングを行う処理装置とウエハキヤリアの移載を行う移 載装置とを有し、
(b)該移載装置に、クリーニング用ダミーウエハキャリアを設置するた めのダミーバッファと、
(c)クリーニング周期とそのレシピを管理し、かつ前記移載装置および 処理装置を制御する手段とを具備することを特徴とするドライエッチング 装置。」(第1頁第4行-第14行)

(b)「(2)自動搬送システムを用いたドライエッチング装置において、
(a)ドライエッチングを行う処理装置とウエハキヤリアの移載を行う移 載装置とを有し、
(b)該移載装置に、エージング用ダミーウエハキャリアを設置するため のダミーバッファと、
(c)エージングの開始タイミングとそのレシピを管理し、かつ前記移載 装置および処理装置を制御する手段
とを具備することを特徴とするドライエッチング装置。」(第1頁第15 行-第2頁第5行)

(c)「また、ドライエッチング処理においては、エッチングチャンバー内 の温度の違いによって同一処理レシピで処理された場合でもエッチング結 果が異なることがある。
枚葉処理においては、最初に処理される場合とその後継続して処理され る場合ではチャンバー内温度差が大きい為、最初に処理を開始する前に、 ダミーウエハを処理する。このダミーウエハの処理をエージングという。 」(第6頁第6行-第14行)

(d)「まず、自動搬送を行う前にクリーニング用のダミーウエハの入った キヤリアを作業者は、ダミーバッファ11にセットし、続いてデータ入力 装置13を操作し、クリーニングの周期及びレシピを入力、その後自動搬 送システムを立上げる。
丸1 データ入力装置から入力された、クリーニング周期及びレシピは、 丸2 制御装置12によって管理される。一方、前工程にて処理されたウ エハキヤリア1は自動搬送車2により、リフタ7に移載され、その後搬送 ロボット8によりドライエッチング装置3に搬送され、エッチング処理後 再び搬送ロボット8、リフタ7により再び自動搬送車2へ移載され、次工 程の処理装置へ自動搬送されていくという従来と同じ自動搬送が繰り返し 行われる。ここで制御装置は、丸3 ドライエッチング装置3の装置バッ ファ4を監視し、ウエハキャリアが搬入され、エッチング処理が開始され 、丸4 エッチング処理が終了し、丸5 装置バッファ4から処理済ウエ ハキヤリアが搬送ロボット8により受渡しバッファ9に搬送されて、装置 バッファ4にウエハキヤリアが無くなったことを認識する。
丸6 この時点でクリーニング周期は、1つ減少され、この減算は、ドラ イエッチング装置3でキヤリア毎に処理が実施されるごとに行われる。
丸7 クリーニング設定周期と、ドライエッチング装置で処理されたキヤ リア数が同一となった時、制御装置12は、丸8 ドライエッチング装置 に対してクリーニングレシピを転送し 丸9 移載装置6に対しては、ク リーニング移載指示を通知する。これを受けて移載装置6はダミーウエハ 入りキヤリアをダミーバッファ11から装置バッファ4へ搬送ロボット8 を使って搬送する。
ドライエッチング装置3は受信したクリーニングレシピによりダミーウ エハをウエハステージ5上でクリーニング処理する。クリーニングが終了 すると、再び移載装置6はダミーウエハ入りキヤリアを装置バッファ4か らダミーバッファ11へ搬送ロボット8を使って搬送する。
このクリーニング処理が終了すると 丸10 再びクリーニング周期は 、最初にデータ入力装置13から入力された値となる。ダミーバッファ1 1に設置されたダミーウエハは、繰り返し使われることになるが、ウエハ がエッチングされ薄くなるので、定期的に作業者により交換される。
クリーニングが終了すると、再び前工程から自動搬送されてウエハ(キ ヤリア)が処理されることになる。」(第9頁第12行-第11頁第18 行)

(e)「自動搬送を行うまえに、エージング用のダミーウエハの入ったキャ リアを作業者は、ダミーバッファ11にセットし続いて、丸1 データ入 力装置13を操作し、エ-ジングのレシピを入力その後自動搬送システム を立上げる。
制御装置12は、データ入力装置13から入力されたエージングレシピ を管理するとともに 丸2 装置バッファ4及び待機バッファ10を監視 する。システム立上げる時は、両バッファにはキヤリアがなく、この時 エージング実行を決定する。ただし、まだエージングは行われない。一方 、前工程にて処理されたウエハキヤリア1は自動搬送車2によりリフタ7 に移載され、その後搬送ロボット8により待機バッファ10に搬送される 。 丸3 制御装置12は、ここで待機バッファ10にキヤリアがあるこ とを認識し、エージングを開始する。……これを受けて、移載装置6はダ ミーウエハ入り、キヤリアをダミーバッファ11から装置バッファ4へ搬 送ロボット8を使って搬送する。
ドライエッチング装置3は受信したエージングレシピによりダミーウエ ハをウエハステージ5上でエージング処理する。エージングが終了すると 再び移載装置6は、ダミーウエハ入りキヤリアを装置バッファ4から、ダ ミーバッファ11へ搬送ロボット8を使って搬送する。
待機バッファ10のウエハキヤリアは、エージングが終了すると従来と 同時に搬送ロボット8により装置バッファ4に搬送され、エッチング処理 される。」(第12頁第3行-第13頁第14行)

よって、甲第4号証には、上記記載事項(a)、(d)によれば、
「ウエハキヤリアからのウエハをドライエッチング装置に自動搬送してウエハ処理を行うドライエッチング装置の運転方法において、ウエハ処理終了後処理済ウエハをウエハキヤリアに回収し、このウエハキヤリアが予め設定したウエハキヤリア数を処理終了毎に、クリーニングダミーウエハを前記ドライエッチング処理装置に搬送し、該ドライエッチング装置内のクリーニング処理を行うこと」が開示され(以下、「開示事項1」という。)るとともに、
上記記載事項(b)、(e)によれば、
「ウエハキヤリアからのウエハをドライエッチング装置に自動搬送してウエハ処理を行うドライエッチング装置の運転方法において、ウエハキヤリア内
のいずれかのウエハ処理を開始する前に、エージング用ダミーウエハを前記
ドライエッチング装置内に搬送し、該ドライエッチング装置内のエージング処理を行うこと」が開示されている(以下、「開示事項2」という。)。

ウ.本件発明1について
(1)本件発明1と引用発明との対比
本件発明1と引用発明とを対比すると、引用発明における「複数のプロセスチャンバ(8A、8B、8C、8A、8B、8C)」、「ウエハ」、「搬送チャンバ5」、「アーム6とフォーク7」、「6つのプロセスチャンバ」、「2つのカセット」、「該カセットと2つのプロセスチャンバ(8A、8B、8C)の組み合わせを1対1で対応させることにより、同一のウエハ処理を2つの経路で同時に行う」は、それぞれ、本件発明1における「プロセス処理を行う複数のプロセス処理装置」、「ウェハ」、「搬送処理装置」、「搬送装置」、「少なくとも2つ以上のプロセス処理装置」、「少なくとも2つのカセット」、「2カセット1レシピの並列処理」に相当する。
よって、両者は、
「プロセス処理を行う複数のプロセス処理装置と、該プロセス処理装置にウェハを搬送する搬送処理装置と、搬送処理装置内に設置されウェハの搬送を行う搬送装置並びにウェハを収納したカセットを備え、カセットからウェハを搬送処理装置及びプロセス処理装置に搬送し、少なくとも2つ以上のプロセス処理装置が接続されて2つ以上のプロセス処理装置を使用してウェハ処理を行う真空処理装置の運転方法において、
少なくとも2つのカセットを使用し、これらカセットに収納されたウェハについて2カセット1レシピの並列処理を前記プロセス処理装置で行う真空処理装置の運転方法。」である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
本件発明1では、カセットからウェハを搬送処理装置及びプロセス処理装置に搬送するための搬送制御を行う制御装置を有するのに対して、引用発明では、その明示がない点。

(相違点2)
カセットに収納されたウェハについて、本件発明1では、「2カセット2レシピの並列処理および2カセット1レシピの並列処理のうち運転条件として選択されたいずれか一方の処理を」行なうのに対し、引用発明では、「2カセット1レシピの並列処理を」行う点。

(相違点3)
本件発明1では、「該プロセス処理装置でウェハ処理枚数が予め設定した枚数を処理終了毎に、前記搬送処理装置を用いてクリーニング用ダミーウェハを前記プロセス処理装置内に搬送し、該プロセス処理装置内のクリーニング処理を行い、該クリーニング処理後に前記クリーニング用ダミーウェハをカセットに回収した後、前記プロセス処理装置で前記2カセット2レシピの並列処理および2カセット1レシピの並列処理のうち運転条件として選択されたいずれか一方の処理を行う」のに対し、引用発明ではそうではない点。

(2)相違点についての判断
(2-1)相違点1について
上記のとおり、甲第2号証には、複数のプロセス処理(真空処理)室による処理工程を2組有するとともに、該プロセス処理(真空処理)室に試料を搬送する搬送室と、搬送室内に設置され試料の搬送を行う搬送装置並びに試料を収納したカセットを備える真空処理装置において、カセットの試料をロードロック室、搬送室を通じてプロセス処理(真空処理)室に搬送するための搬送制御を行う制御装置を有するものが記載されており、同様に複数のプロセス処理(真空処理)室による処理工程を2組有する構成を有する引用発明の真空処理装置において、カセットからウェハを搬送処理装置及びプロセス処理装置に搬送するための搬送制御を行う制御装置を設けることは、当業者が容易になしえたことにすぎない。

(2-2)相違点2について
また、甲第2号証には、複数のプロセス処理装置による処理工程を2組有する真空処理装置において、工程毎に異なるプロセスレシピを適用することにより異なる処理工程を同時に実行する処理、あるいは、同じプロセスレシピを適用して同じ処理工程を同時に実行する処理のうち、いずれかを施すことが開示されており、この技術事項を適用し、引用発明に係る2カセットを有し、また複数のプロセス処理装置による処理工程を2組有する真空処理装置においても、適用するプロセスレシピを替えることにより、2レシピ並列処理あるいは1レシピ並列処理のいずれかを施すようにすることに格別の困難性は認められない。そして、カセットからウェハを搬出し、プロセス処理を施したウェハをカセットに戻す場合、生産管理上、1つのカセットに異種の処理済ウェハが存在しない方が好ましいことから、「2カセット2レシピの並列処理」の形態とすることは自明な事項あるいは当業者が適宜なしえた事項にすぎない。
そして、複数のプロセスチャンバから構成される真空処理装置の運転において、同時に同一のプロセス処理を行う場合、あるいは同時に2つ以上の異なるプロセス処理を行う場合、それぞれをモードで操作すること、ならびに記憶された複数の処理モードから1つを選択して実行することは本件出願前周知の技術であり(下記参考資料1、2)、該周知技術を勘案すれば、「2カセット1レシピの並列処理」あるいは「2カセット2レシピの並列処理」を行うにあたり、「2カセット2レシピの並列処理および2カセット1レシピの並列処理のうち運転条件として選択されたいずれか一方の処理を」行なうようにすることは単なる設計的事項にすぎない。

・参考資料1(特開平6-314729号公報)
「【実施例】図1及び図2は、夫々本発明の実施例を示す平面図及び概観 斜視図である。図中1は第1の移載室であり、この移載室1の両側には夫 々ゲートバルブG1、G2を介して第1のカセット室2A及び第2のカセ ット室2Bが接続されている。これらカセット室2A,2Bは本実施例の 真空処理装置の搬出入ポートに相当するものであり、昇降自在なカセット ステージ21を備えている。このカセットステージ2A,2Bは、この例 では半導体ウエハ(以下ウエハという)Wを収納するための容器例えばウ エハカセット(以下カセットという)22を載置するための容器載置部に 相当するものである。」(第3頁第4欄第4行-第14行)
「前記第1の移載室1の後方側には、夫々ゲートバルブG5、G6を介し て第1の予備真空室3A及び第2の予備真空室3Bが接続されており、更 にこれら予備真空室3A、3Bの後方側にはゲートバルブG7、G8を介 して第2の移載室4が接続されている。」(第3頁第4欄第45行-第4 9行)
「前記第2の移載室4には、夫々ゲートバルブG9?G11を介して左右 及び後方の三方に3つの真空処理室5A?5Cが接続されている。……
即ちこの例は真空処理室5A?5CによりウエハW上に連続処理を行う場 合であるが、各真空処理室5A?5Cは同一の処理例えばCVDを行うよ うに構成してもよい。
…更に本実施例の真空処理装置は、図2に模式的に示すようにウエハの搬 送経路を選択するモード選択手段6を備えている。」(第4頁第5欄第1 2行?第26行)
「更に真空処理室5A?5Cにより連続処理を行うモード、及び真空処理 室5A?5Cを並行して同一の処理を行うモードのうちの一方を選択でき るので用途が広く、高い汎用性が得られる。」(第5頁第8欄第5行-第 8行)

・参考試料2(特開昭63-133532号公報)
「複数のプラズマ反応器は両実施例の(「に」の誤記)おいて作動可能で 同一又は異なるプロセスを実施し、R、TT可動ウェーハアーム装置と協 働して、複数のプラズマ反応器で同時に同一単一工程処理、複数のプラズ マ反応器で同時に異なる単一工程処理、及び複数のプラズマ反応器で連続 する複数工程処理のうちの1つを提供する。」(第4頁右上欄第14行- 第20行)
「入れ出しモジュール、整列ステーション及び複数の反応器は、3つの基 本モード、すなわち各プラズマ反応器が同時に同一のプラズマ反応を実行 する場合、各プラズマ反応器が同時に2つ以上の異なるプラズマプロセス を行う場合、プラズマ反応器を別々に操作しウェーハが整列ステーション に戻るまでに単一ウェーハの多工程処理をする場合のモードで操作するこ とができる。各ケースにおいて、ウェーハは制御真空環境下で移動及び処 理され、その結果外気にさらされること及び取り扱いにより引き起こされ る汚染が、完全に解消される。」(第9頁右下欄第4行-第15行)

(2-3)相違点3について
複数のプロセス処理装置を有する真空処理装置の運転において、各プロセス処理装置における処理を繰り返し行う場合、ある段階での装置内のクリーニング処理は通常行われることであり、引用発明に係る真空処理装置の運転においても、クリーニング処理は考慮されるべき事項である。
そして、上記のとおり、甲第3号証には、真空処理室を有する真空処理装置の運転において、該真空処理室でウェハ処理枚数が予め設定した枚数に達した時点で、クリーニング用ダミーウェハを搬送室を用いて前記真空処理室内に搬送し、該真空処理室内のクリーニングを行うことが開示されていることから、該事項を引用発明に適用し、「該プロセス処理装置でウェハ処理枚数が予め設定した枚数を処理終了毎に、前記搬送処理装置を用いてクリーニング用ダミーウェハを前記プロセス処理装置内に搬送し、該プロセス処理装置内のクリーニング処理を行」うとともに、「該クリーニング処理後に前記クリーニング用ダミーウェハをカセットに回収した後、前記プロセス処理装置で前記2カセット2レシピの並列処理および2カセット1レシピの並列処理のうち運転条件として選択されたいずれか一方の処理を行う」ようにすることは当業者が容易になしえたことと認める。
(本件明細書中には、被請求人も認めるとおり(第1回口頭審理調書)、クリーニング用ダミーウェハをカセットに回収した後、再度、プロセス処理装置で2カセット2レシピの並列処理および2カセット1レシピの並列処理のうち運転条件として選択されたいずれか一方の処理を行うことについて具体的な開示はないことから、単に、クリーニング処理後には、クリーニング処理前に行っていた処理を再開することを意味しているものと解される。)
そして、本件発明1が甲第1号証?甲第3号証に記載された事項及び周知技術からは予想しえない、格別な効果を奏するものとも認められない。
したがって、本件発明1は、甲第1号証?甲第3号証に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

なお、本件発明1の奏する効果(本件発明2、3についても同様)に係る被請求人の主張(上記5.ア,ウ,オ,キ)について検討すると、
・本件特許発明1は、運転条件として「2カセット1レシピ並列処理」と「2カセット2レシピ並列処理」を備えており、そのいずれかを選択することでいずれかの並列処理を実行可能とすることができる。このため、「小品種多ロット生産」あるいは「多品種小ロット生産」の「混流生産」を安定かつ確実に行うことができ、生産性の効率向上が可能であるとする主張について。
被請求人は、上記効果の主張の根拠が明細書中表1であるとしている(「口頭審理調書6.」)が、表1中には、「2カセット1レシピ並列処理」が標準的処理に、「2カセット2レシピ並列処理」が多品種対応に有効であることが示されるのみであり、「多品種対応」は「2レシピ並列処理」によるものと認められ、それ自体、例えば甲第2号証に記載の「2レシピ並列処理」においても奏されるものである。そして、明細書中のいずれにも、「小品種多ロット生産」、「多品種小ロット生産」、「混流生産」に関する記載は認められず、上記主張は明細書中の記載に基いたものとはいえず、採用しえない。

・2つの並列処理(「2カセット1レシピ並列処理」、「2カセット2レシピ並列処理」)に限定することによって、2つ以上の処理室を処理経路として使って運転中に処理室の内どれかが故障等で使用できなくなった場合でも運転でき、また、修復する必要のあるプロセス処理装置がある場合は正常な処理室のみを処理経路として使って運転できるとする主張について。
本件発明1は、「2カセット1レシピ並列処理」および「2カセット2レシピ並列処理」に限定したものにおいて、故障時等にどのような運転を行うかについて何ら特定するものでなく、また、明細書中に具体的な開示も認められない。そして、例えば、「1レシピ並列処理」において、使用できないプロセス処理装置が発生しても、もう一方の正常なプロセス処理装置を用いれば運転継続可能なことは明らかであるから、格別なものではない。

・クリーニングダミーウェハを用いたクリーニング処理後に、このダミーウェハをカセットに回収した後には、真空処理装置の運転方法として、2カセット2レシピ並列処理と2カセット1レシピ並列処理の内で運転条件として選択されたいずれかの並行処理を行うことができるとする主張について。
上記のとおり、クリーニング用ダミーウェハをカセットに回収した後、再度、プロセス処理装置で2カセット2レシピの並列処理および2カセット1レシピの並列処理のうち運転条件として選択されたいずれか一方の処理を行うことについて明細書中に具体的な開示はなく、単に、クリーニング処理後には、クリーニング処理前に行っていた処理を再開することを意味しているものと解され、それ自体、格別のものとはいえない。

エ.本件発明2について
上記2.のとおり、本件発明2は、本件発明1における「該プロセス処理装置でウェハ処理枚数が予め設定した枚数を処理終了毎に、」が、「該プロセス処理装置でウェハ処理終了後処理済ウエハをカセットに回収し、このカセット数が予め設定したカセット数を終了毎に、」となったものである。

(1)本件発明2と引用発明との対比
よって、本件発明2と引用発明とを対比すると、両者は、
「プロセス処理を行う複数のプロセス処理装置と、該プロセス処理装置にウェハを搬送する搬送処理装置と、搬送処理装置内に設置されウェハの搬送を行う搬送装置並びにウェハを収納したカセットを備え、カセットからウェハを搬送処理装置及びプロセス処理装置に搬送し、少なくとも2つ以上のプロセス装置が接続されて2つ以上のプロセス処理装置を使用してウェハ処理を行う真空処理装置の運転方法において、
少なくとも2つのカセットを使用し、これらカセットに収納されたウェハについて2カセット1レシピの並列処理を前記プロセス処理装置で行う真空処理装置の運転方法。」である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
本件発明2では、カセットからウェハを搬送処理装置及びプロセス処理装置に搬送するための搬送制御を行う制御装置を有するのに対して、引用発明では、その明示がない点。

(相違点2)
カセットに収納されたウエハについて、本件発明2では、「2カセット2レシピの並列処理および2カセット1レシピの並列処理のうち運転条件として選択されたいずれか一方の処理を」行なうのに対し、引用発明では、「2カセット1レシピの並列処理を」行う点

(相違点3)
本件発明2では、「該プロセス処理装置でウェハ処理終了後処理済ウェハをカセットに回収し、このカセット数が予め設定したカセット数を終了毎に、前記搬送処理装置を用いてクリーニング用ダミーウェハを前記プロセス処理装置内に搬送し、該プロセス処理装置内のクリーニング処理を行い、
該クリーニング処理後に前記クリーニング用ダミーウェハをカセットに回収した後、前記プロセス処理装置で前記2カセット2レシピの並列処理および2カセット1レシピの並列処理のうち運転条件として選択されたいずれか一方の処理を行う」のに対し、引用発明ではそうではない点。

(2)相違点についての判断
(2-1)相違点1、2について
上記ウ(2)(2-1)、(2-2)と同様である。

(2-2)相違点3について
上記6.イ.(4)のとおり、甲第4号証には、ドライエッチング装置にウエハを自動搬送しウエハ処理を行うドライエッチング装置の運転方法において、ウエハ処理終了後、処理済ウエハをウエハキヤリアに回収し、このウエハキヤリアが予め設定したウエハキヤリア数を処理終了毎に、クリーニングダミーウエハを前記ドライエッチング処理装置に搬送し、該ドライエッチング装置内のクリーニング処理を行うこと(「開示事項1」)が開示されており、また、上記6.イ.(3)のとおり、甲第3号証には、搬送処理装置を用いてクリーニング用ダミーウエハを前記プロセス処理装置に搬送することが開示されていることから、これらの事項を引用発明に適用し、「該プロセス処理装置でウエハ処理終了後処理済ウエハをカセットに回収し、このカセット数が予め設定したカセット数を終了毎に、前記搬送処理装置を用いてクリーニング用ダミーウエハを前記プロセス処理装置内に搬送し、該プロセス処理装置内のクリーニング処理を行い、該クリーニング処理後に前記クリーニング用ダミーウエハをカセットに回収した後、前記プロセス処理装置で前記2カセット2レシピの並列処理および2カセット1レシピの並列処理のうち運転条件として選択されたいずれか一方の処理を行う」ようにすることは当業者が容易になしえたことと認める。

そして、本件発明2が、甲第1号証?甲第4号証の記載事項及び周知技術からは予想しえない、格別な効果を奏するものとも認められない。
よって、本件発明2は、甲第1号証?甲第4号証に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

オ.本件発明3について
(1)本件発明3と引用発明との対比
本件発明3と引用発明とを対比すると、
引用発明における「複数のプロセスチャンバ(8A、8B、8C、8A、8B、8C)」、「ウエハ」、「搬送チャンバ5」、「アーム6とフォーク7」、「6つのプロセスチャンバ」、「2つのカセット」、「該カセットと2つのプロセスチャンバ(8A、8B、8C)の組み合わせを1対1で対応させることにより、同一のウエハ処理を2つの経路で同時に行う」は、それぞれ、本件発明3における「プロセス処理を行う複数のプロセス処理装置」、「ウェハ」、「搬送処理装置」、「搬送装置」、「少なくとも2つ以上のプロセス処理装置」、「少なくとも2つのカセット」、「2カセット1レシピの並列処理」に相当する。

よって、両者は、
「プロセス処理を行う複数のプロセス処理装置と、該プロセス処理装置にウェハを搬送する搬送処理装置と、搬送処理装置内に設置されウェハの搬送を行う搬送装置並びにウェハを収納したカセットを備え、カセットからウェハを搬送処理装置及びプロセス処理装置に搬送し、少なくとも2つ以上のプロセス処理装置が接続されて2つ以上のプロセス処理装置を使用してウェハ処理を行う真空処理装置の運転方法において、
少なくとも2つのカセットを使用し、これらカセットに収納されたウェハについて2カセット1レシピの並列処理を前記プロセス処理装置で行う真空処理装置の運転方法。」である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
本件発明3では、カセットからウェハを搬送処理装置及びプロセス処理装置に搬送するための搬送制御を行う制御装置を有するのに対して、引用発明では、その明示がない点。

(相違点2)
カセットに収納されたウェハについて、本件発明3では、「2カセット2レシピの並列処理および2カセット1レシピの並列処理のうち運転条件として選択されたいずれか一方の処理を」行なうのに対し、引用発明では、「2カセット1レシピの並列処理を」行う点。

(相違点3)
本件発明3では、「前記カセット内のいずれかのウェハ処理を開始する前に、前記搬送処理装置を用いてエージング用ダミーウェハを前記プロセス処理装置内に搬送し、該プロセス処理装置内のエージング処理を行い、該エージング処理後に前記エージング用ダミーウェハをカセットに回収した後、前記プロセス処理装置で前記2カセット2レシピの並列処理および2カセット1レシピの並列処理のうち運転条件として選択されたいずれか一方の処理を行う」のに対し、引用発明ではそうではない点。

(2)相違点についての検討
(2-1)相違点1、2について
上記ウ(2)(2-1)、(2-2)と同様である。

(2-2)相違点3について
ドライエッチング等の真空処理装置を連続運転する場合、最初の処理とその後継続される処理とでは装置内の温度の違いに起因して処理結果が異なるため、ダミーウェハを用いたエージングを行ってそれを防止することは、通常行われていることであり(例えば、甲第4号証記載事項(c))、引用発明に当該技術を適用し、「前記カセット内のいずれかのウェハ処理を開始する前に、エージング用ダミーウェハを前記プロセス処理装置内に搬送し、該プロセス処理装置内のエージング処理を行い、該エージング処理後に前記エージング用ダミーウェハをカセットに回収した後、前記プロセス処理装置で前記2カセット2レシピの並列処理および2カセット1レシピの並列処理のうち運転条件として選択されたいずれか一方の処理を行う」ようにすることは、当業者が容易になしえたことであり、その際、前記搬送処理装置を用いてエージング用ダミーウェハを前記プロセス処理装置内に搬送するようにすることは、単なる設計的事項にすぎない。

そして、本件発明3が、甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証に記載された事項及び周知技術からは予想しえない、格別な効果を奏するものとも認められない。
よって、本件発明3は、甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

7.むすび.
以上のとおり、本件請求項1-3に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
審判費用については、特許法169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものである。
よって、結論の通り審決する。
 
審理終結日 2010-06-28 
結審通知日 2010-06-30 
審決日 2010-07-28 
出願番号 特願2001-330129(P2001-330129)
審決分類 P 1 113・ 121- Z (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 長谷部 智寿柴沼 雅樹  
特許庁審判長 藤原 敬士
特許庁審判官 川端 修
鈴木 正紀
登録日 2006-09-08 
登録番号 特許第3850710号(P3850710)
発明の名称 真空処理装置の運転方法  
代理人 飯島 大輔  
代理人 佐藤 英二郎  
代理人 佐藤 英二郎  
代理人 特許業務法人 武和国際特許事務所  
代理人 アイアット国際特許業務法人  
代理人 飯島 大輔  
代理人 特許業務法人 武和国際特許事務所  
代理人 石塚 利博  
代理人 石塚 利博  
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