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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A47L |
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管理番号 | 1223465 |
審判番号 | 不服2009-22297 |
総通号数 | 131 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-11-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-11-16 |
確定日 | 2010-09-09 |
事件の表示 | 特願2005- 16852「電気掃除機、電気掃除機用床用吸込具、床吸込具用回転ロータ、アタッチメント、及びこの床用吸込具、床吸込具用回転ロータ、アタッチメントを備えた電気掃除機」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 8月10日出願公開、特開2006-204350〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 出願の経緯・本願発明 本願は、平成17年1月25日の出願であって、平成21年8月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成21年11月16日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。 本願の請求項1ないし26に係る発明は、平成21年5月19日にした手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし26に記載されたとおりのものと認められるところ、請求項1は次のとおり記載されている。 「【請求項1】内部に電動送風機及び集塵室が設けられた電気掃除機本体と、該電気掃除機本体に接続されるホースユニットと、該ホースユニットに接続される延長管と、前記電気掃除機本体、ホースユニット又は延長管に接続される床用吸込具とを有し、 該床用吸込具から前記集塵室に至る吸引風路の全部又は一部に、アレルゲンを前記集塵室に吸引する前に不活化する物質を付加し、又は該物質を付加した部材を設けたことを特徴とする電気掃除機。」(以下、「本願発明」という。) 2 引用刊行物及びその記載事項 (1)原審の拒絶の理由に引用された刊行物である、特開昭64-29244号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。 a:「この発明は、集塵室内のダニの繁殖をおさえることのできる電気掃除機に関するものである。」(公報1頁左下欄11から12行) b:「このような構成の電気掃除機において(「かいて」は誤記)は、吸引用ブロワーモーターを運転すると前記ホース先端部の掃除用アタッチメントから吸引された塵埃を含む空気は前記ホースから機体の吸気口を通って集塵室に至り、次に空気のみがブロワーモーターをへて機体の排気口より外部へ排気される。その過程で塵埃は集塵室でろ過され集塵室内に蓄積される。その集塵室内塵埃の中には家庭内に繁殖している多数のダニも含まれており、ダニは集塵されただけでは死なずこの生きたダニは塵埃を餌として集塵室内で繁殖し、繁殖が一定のレベルを越えると集塵埃、即ち機体外へ這い出してきたり、また繁殖したダニのふんや死がいの砕けた微細粒子が運転中に排気口より排出されるものであった。 近年、喘息や皮膚アレルギーの原因の一つとして住居内塵埃中のダニが関与していることが判明してきており、吸引捕獲したダニを集塵室内で飼育しているのに等しい電気掃除機はその改善が望まれていた。」(公報1頁右下欄5行ないし2頁左上欄3行) c:「図において、(l)は電気掃除機本体で集塵室(6)を有する集塵ケース(7)と、吸引用ブロワ-モーター(8)が防振ゴム(13)にて防振固定されている後方ケース(9)とからなっている。(10)は集塵ケース(7)の集塵室(6)内に連通し、可撓性ホース(11)の一端の接続部(12)と接続可能な吸気口である。(15)はダニを捕獲することのできるフィルターを兼用した集塵袋で、その開口部は硬質の台紙(14)によって形成され、この台紙(14)は前記吸気口(10)に密着固定されている。(4)は後方ケース(9)に設けられた排気口である。吸気口(10)には柔軟性を有する可撓性ホース(11)の一端部を構成するパイプ状の接続部(12)が差し込まれ、他端部の接続部(16)には延長パイプ(16)(第1図の図番より「(16)」とした)と床ブラシ(17)が接続され吸引掃除可能な形態となっている。 前記集塵袋(15)の開口部を形成する台紙(14)にはその開口部周縁に放香性物質(18)が塗付又は貼付けられている。この放香性物質(18)は、空気中に気化して拡散し、ダニの繁殖を抑制または死滅させる成分を含有するものであり、例えば檜より抽出したオイルや、アルコール系物質、エーテル系物質、メントール系物質があり、これらはいずれもダニに対して効果を有している。」(公報3頁右上欄9行ないし左下欄10行) 上記記載事項及び図面によれば、引用例1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「内部に吸引用ブロワーモーター(8)及び集塵室(6)が設けられた電気掃除機本体(1)と、該電気掃除機本体(1)に接続される可撓性ホース(11)と、該可撓性ホース(11)に接続される延長パイプ(16)と、延長パイプ(16)に接続される床ブラシ(17)とを有し、前記集塵室(6)内の集塵袋(15)の開口部を形成する台紙(14)の開口部周縁に放香性物質(18)を塗付又は貼付けた電気掃除機。」 (2)同じく引用された刊行物である、特開2000-5531号公報(以下「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。 d:「蛋白性アレルゲン物質を吸着し、この吸着した蛋白性アレルゲン物質のアレルギー活性を不活化するアレルギー不活化剤をフィルターに添着することにより、蛋白性アレルゲン物質の吸着除去と、前記吸着した蛋白性アレルゲン物質のアレルギー活性を不活化することができる抗アレルゲンフィルター。」(【特許請求の範囲】【請求項1】) e:「請求項1、2、3、または4記載の抗アレルゲンフィルターを設けてなる空気清浄機。」(【特許請求の範囲】【請求項5】) f:「本発明は、ダニ、花粉等の蛋白性アレルゲン物質を吸着し、吸着したアレルゲン物質のアレルギー活性を不活化させる抗アレルゲンフィルター、およびその応用機器に関する。」(段落【0001】【発明の属する技術分野】) 3 対比 本願発明と引用発明とを対比すると、次のことが明らかである。 引用発明の「吸引用ブロワーモーター(8)」は、本願発明の「電動送風機」に相当する。同様に、「可撓性ホース(11)」は「ホースユニット」に、「延長パイプ(16)」は「延長管」に、「床ブラシ(17)」は「床用吸込具」にそれぞれ相当する。 すると両者の一致点、相違点は次のとおりである。 [一致点] 内部に電動送風機及び集塵室が設けられた電気掃除機本体と、該電気掃除機本体に接続されるホースユニットと、該ホースユニットに接続される延長管と、前記電気掃除機本体、ホースユニット又は延長管に接続される床用吸込具とを有する電気掃除機。 [相違点] 本願発明が、床用吸込具から集塵室に至る吸引風路の全部又は一部に、アレルゲンを前記集塵室に吸引する前に不活化する物質を付加し、又は該物質を付加した部材を設けたものであるのに対して、引用発明は、集塵室(6)内の集塵袋(15)の開口部を形成する台紙(14)の開口部周縁に放香性物質(18)を塗付又は貼付けたものである点。 4 相違点の検討 引用発明のものは、放香性物質(18)により、ダニの繁殖を抑制又は死滅させることを主目的とするものであるが、引用例1の[従来の技術]の説明には、「繁殖したダニのふんや死がいの砕けた微細粒子」が、排出されることが問題として、「喘息や皮膚アレルギーの原因の一つとして住居内塵埃中のダニが関与していることが判明している」と記載されている。 また、ダニ、特に「繁殖したダニのふんや死がいの砕けた微細粒子」がアレルゲン物質として人体に悪影響を与えることは周知の事実(例えば、特開2003-334504号公報、特開平11-292714号公報など参照)である。 そして、引用例2に記載のものは、適用例は空気清浄機であるが、フィルターで捕集したダニなどのアレルゲン物質を不活化するためにアレルギー不活化剤をフィルターに添着したものが記載されている。さらに、アレルギー不活化装置を電気掃除機の吸込みノズルに装着したもの(特開平7-275166号公報参照)、アレルギー不活化剤をモップなどの掃除用具に含ませたもの(特開2002-128680号公報、特に段落【0020】参照)なども公知技術として存在する。 そうすると、引用発明において、放香性物質(18)に代えて又はそれに加えて、引用例2に使用されているようなアレルギー不活化剤を、例えば床ブラシ(17)に添着するなどして、本願発明の上記相違点に係る構成とすることは当業者が容易に想到し得ることである。 そして、本願発明が奏する効果も、引用例1,2に記載の発明及び周知の技術から当業者が予測し得たものであって、格別顕著なものとはいえない。 したがって、本願発明は、引用例1,2に記載の発明及び周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 5 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-07-08 |
結審通知日 | 2010-07-13 |
審決日 | 2010-07-26 |
出願番号 | 特願2005-16852(P2005-16852) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A47L)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 早房 長隆 |
特許庁審判長 |
寺本 光生 |
特許庁審判官 |
小関 峰夫 植前 津子 |
発明の名称 | 電気掃除機、電気掃除機用床用吸込具、床吸込具用回転ロータ、アタッチメント、及びこの床用吸込具、床吸込具用回転ロータ、アタッチメントを備えた電気掃除機 |
代理人 | 安島 清 |
代理人 | 山東 元希 |
代理人 | 山東 元希 |
代理人 | 高梨 範夫 |
代理人 | 安島 清 |
代理人 | 高梨 範夫 |
代理人 | 小林 久夫 |
代理人 | 山東 元希 |
代理人 | 小林 久夫 |
代理人 | 高梨 範夫 |
代理人 | 安島 清 |
代理人 | 小林 久夫 |