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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1223666
審判番号 不服2007-30478  
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-11-09 
確定日 2010-09-16 
事件の表示 平成11年特許願第 11957号「情報処理装置および方法、並びに提供媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 7月28日出願公開、特開2000-207401〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成11年1月20日の出願であって、平成19年10月5日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年11月9日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに、同年12月10日付けで手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成19年12月10日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「画像データに基づいて表示する画像の制御を行う表示制御手段と、
前記画像内の文字を認識する文字認識手段と
を備え、
前記表示制御手段は、認識した文字の領域を示す表示を前記画像に行う
ことを特徴とする情報処理装置。」

3.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された「特開平10-134004号公報」(以下「引用例」という。)には、以下の事項が記載されている。
「【請求項1】 画像データを取り込む携帯端末と、
該携帯端末によって取り込まれた画像データを受信し、画像データに含まれる文字を認識し、上記携帯端末側で指定されたサービスをその認識した文字に基づいて実行する情報処理装置と、
を有する画像データ処理システム。
【請求項2】 上記画像データはサービスを指定する文字の画像を含んでおり、
上記情報処理装置は、上記画像データに対してパターン認識処理を実行することにより該画像データに含まれる文字を認識し、その認識した文字に対して上記サービスを実行する請求項1に記載の画像データ処理装置。
【請求項3】 上記携帯端末は、
画像データを取り込むカメラと、
該カメラによって取り込まれた画像データを表示してその画像データに対する修正情報を付加する手段と、
を有する請求項1に記載の画像データ処理装置。」

上記記載事項によれば、引用例には以下の発明(以下「引用例記載の発明」という。)が記載されていると認められる。
「画像データを取り込むカメラと、該カメラによって取り込まれた画像データを表示してその画像データに対する修正情報を付加する手段とを有する携帯端末と、
上記画像データを上記携帯端末から受信し、該画像データに含まれる文字を認識し、上記携帯端末側で指定されたサービスをその認識した文字に基づいて実行する情報処理装置とを有する画像データ処理システム。」

4.対比
本願発明と引用例記載の発明を対比すると、以下の対応関係が認められる。
(1)引用例記載の発明の「携帯端末」は、画像データを表示しているから、本願発明の「画像データに基づいて表示する画像の制御を行う表示制御手段」に相当する手段を当然有している。
(2)引用例記載の発明の「情報処理装置」は、画像データに含まれる文字を認識しているから、本願発明の「画像内の文字を認識する文字認識手段」に相当する手段を当然有している。
(3)本願発明の情報処理装置は、画像データの処理を行う一つのシステムと見ることができ、該システムは画像データ処理システムと呼びうるシステムである。よって、引用例記載の発明の「携帯端末と情報処理装置とを有する画像データ処理システム」と、本願発明の情報処理装置とは、ともに上記(1)の「画像データに基づいて表示する画像の制御を行う表示制御手段」と、上記(2)の「画像内の文字を認識する文字認識手段」とを有する画像データ処理システムである点で共通する。

したがって、本願発明と引用例記載の発明との間には、以下の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「画像データに基づいて表示する画像の制御を行う表示制御手段と、
前記画像内の文字を認識する文字認識手段とを有する画像データ処理システム」である点。
(相違点1)
本願発明においては、情報処理装置が表示制御手段と文字認識手段の両方を備える構成であるのに対し、引用例記載の発明においては、携帯端末が表示制御手段を備え、情報処理装置が文字認識手段を備える構成であって、情報処理装置が表示制御手段と文字認識手段の両方を備える構成ではない点。
(相違点2)
本願発明においては、表示制御手段は認識した文字の領域を示す表示を画像に行うのに対し、引用例記載の発明においては、表示制御手段が認識した文字の領域を示す表示を画像に行う構成ではない点。

5.判断
(相違点1)について
複数の手段を有するシステムを、該複数の手段を備えた一つの装置で構成するか、手段ごとに複数の装置で構成するかは当業者が必要に応じて適宜選択する設計的事項であるから、引用例記載の発明の表示制御手段を備えた携帯端末と文字認識手段を備えた情報処理装置とで構成される画像データ処理システムを、両手段を備えた一つの情報処理装置で構成することに何ら困難性はない。したがって、引用例記載の発明を情報処理装置が表示制御手段と文字認識手段の両方を備える構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである。

(相違点2)について
本願の出願日前に刊行された「山口哲弘 他,“活字OCRソフトと翻訳ソフト”,日経バイト 第140号,日経BP社,1995年7月1日発行,pp.338?346」には、OCRソフトが認識した文字の領域を示す表示を画像に行っていると認められる記載がある(341ページの図4の画面左側の画像を参照)。

また、本願の出願日前に刊行された「高橋裕子 他,“駐車場管理自動化のための画像認識技術”,NTT R&D 第41巻 第4号,社団法人電気通信協会,1992年4月10日発行,pp.493?500」には以下の事項が記載されている。
「図4に本システムによる処埋結果を示す.(a)は,本システムにより撮影されたナンバープレート画像の例である.画像は512×480,256階調である.(b)は,2値化処埋の結果である.抽出された文字列領域の外接長方形を重畳して表示した.(c)は,ナンバープレート認識の結果である.また,この認識結果をキーとして該当車両に関する情報をデータベース中から探索した結果を併せて表示している.」(498ページ右欄19行?27行)

上記「抽出された文字列領域の外接長方形を重畳して表示した」との記載から、上記システムが認識した文字の領域を示す表示を画像に行っていると認められる。

してみると、本願の出願日前において、画像データから文字認識を行うシステムが認識した文字の領域を示す表示を画像に行うことは周知技術であったと認められる。引用例記載の画像データ処理システムも画像データから文字認識を行うシステムであり、上記周知技術を付加することによって「ユーザはどこの領域の画像から文字が認識されたのかを知ることができる」という本願発明と同様の作用効果が得られることは当業者にとって自明な事項に過ぎない。したがって、引用例記載の発明において、表示制御手段が認識した文字の領域を示す表示を画像に行う構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例記載の発明、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-07-21 
結審通知日 2010-07-22 
審決日 2010-08-03 
出願番号 特願平11-11957
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 和田 財太  
特許庁審判長 長島 孝志
特許庁審判官 田口 英雄
池田 聡史
発明の名称 情報処理装置および方法、並びに提供媒体  
代理人 稲本 義雄  

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