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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04B
管理番号 1223675
審判番号 不服2007-34600  
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-12-25 
確定日 2010-09-16 
事件の表示 特願2001- 61824「受信機」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 9月13日出願公開、特開2002-261642〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成13年3月6日の出願であって、平成19年5月24日付けで拒絶理由通知がなされ、同年7月26日付けで手続補正がなされたが、同年11月20日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、平成20年1月22日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成20年1月22日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成20年1月22日付けの手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の請求項1に係る発明
本件手続補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「受信した複数のチャネル信号を当該複数のチャネル信号が通過可能なフィルタとAGC回路とを介してA/D変換器に導き、デジタル信号に変換した後に復調処理を行う受信機において、
前記フィルタの出力信号に予め前記フィルタの帯域外に希望信号として想定される受信レベルより十分に大きなレベルを有するパイロット信号を付加して前記AGC回路に入力し、前記パイロット信号より大きなレベルの不要チャネル信号を受信した場合でも、常時前記パイロット信号が前記AGC回路に入力されているので、受信信号の合成波形に係わるレベル変動を抑圧するようにしたことを特徴とする受信機。」
と補正された。

上記補正は、補正前の請求項1における「不要チャネル信号」を「前記パイロット信号より大きなレベルの不要チャネル信号」に限定するものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件手続補正後の上記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-65471号公報(以下、「引用例1」という。)、及び特開2000-165166号公報(以下、「引用例2」という。)には、それぞれ、図面とともに次の事項が記載されている。

(引用例1)
A.「【0001】
【発明の属する技術分野】アナログ回路とデジタル回路とを備えた無線受信機のAGC回路に関するものである。」

B.「【0006】
【課題を解決するための手段】受信したアナログ信号を増幅するアナログ回路と、該アナログ回路の出力をデジタル変換して波形成形して出力するデジタル回路とを備えた受信機において、アナログ回路の出力をA/Dコンバータの入力側で分岐ししてピーク値を検出し、検出したピーク値に基づき生成したAGC信号によりアナログ回路の増幅度を制御する第1AGC手段と、デジタル変換されたデジタル回路から出力する信号を分岐してAGC信号を生成してデジタル回路の増幅度を制御する第2AGC手段とを備えた構成である。」

C.「【0007】
【発明の実施の形態】図1は本発明の構成を示す構成図である。図中1はアンテナ、2は高周波増幅器、3はミキサ、4はミキサに局部信号を出力する局部発振器、5は中間周波フィルタ、6は中間周波増幅器、7はA/Dコンバータ、8はデジタルフィルタ、9はデジタル増幅器、10はピーク値検出部と、検出したピーク値を積分してAGC信号を生成する回路とからなる第1AGC信号発生回路、11は第2AGC信号発生回路である。
【0008】この受信回路のAGC動作を説明する。アンテナ1からの受信信号を高周波増幅器2で増幅し、その出力をミキサ3に入力し、局部発振器4からの局部信号により中間周波数に変換し、中間周波フィルタ5を通して中間周波増幅器6で増幅してA/Dコンバータ7に出力する。A/Dコンバータ7の入力側の信号を分岐して第1AGC信号発生回路10に供給してAGC信号を生成し、A/Dコンバータ7の前の回路の高周波増幅器2と中間周波増幅器6にAGC信号を供給して制御する第1AGC手段によって飽和を生じない増幅度に制御する。
【0009】第1AGC信号発生回路は、アナログ信号分岐して第1AGC発生回路10のピーク値検出部に入力してピーク値を取り出し、このピーク値を積分して平均化した信号でAGC信号を生成する。この第1AGC信号発生回路10はデジタル化のサンプリング信号の入らない生の受信信号をAGC制御することと、ピーク値の変動を抑えたAGC信号を生成できるものである。
【0010】次に、A/Dコンバータ7でデジタル信号にしてデジタルフィルタ8によって妨害波の除去や波形成形されてデジタル増幅器9に入力して増幅し、この出力信号を(H)点で分岐して、第2AGC信号発生回路11に供給してAGC信号を出力する。このAGC信号はデジタル増幅器9に供給されて第2AGC手段によって所望の増幅度に制御される。」

D.「【0011】図2に示した4つの表(a)から(d)は、本発明による図1の回路図に示した(a)、(b)、(c)、及び(d)の各要点で検出した信号強度であり、横軸に周波数をとり縦軸には信号強度を示したものである。
【0012】図2の(b)は、図1のA/Dコンバータ7の入力側の信号のレベルを示したもので図2の(a)の信号が第1AGC手段で制御された状態を示したもので図の点線部分が第1AGC手段で抑圧されて示してあり、受信信号でも妨害波でもA/Dコンバータで飽和しないようにAGCが設定される。
【0013】図2の(c)は、図1のデジタルフィルタ8の信号の通過後を示したものであり、デジタルフィルタ8で混信している妨害波は除去される。
【0014】図2の(d)は図1の(H)点で検出した出力信号であり、第2AGC手段によりデジタル増幅器9の増幅度がAGC制御されるが強い妨害波信号がデジタルフィルタ8て除去されているので、逆に目的信号は(b)点での抑圧分も含めて十分増幅補償された信号として出力される。」

上記Dの段落【0011】には、「図2に示した4つの表(a)から(d)は、本発明による図1の回路図に示した(a)、(b)、(c)、及び(d)の各要点で検出した信号強度であり」と記載されており、少なくとも、図2(a)に示される「妨害信号」と「目的信号」という複数の信号は、図1の(a)点、すなわちアンテナ1の出力点に受信されている信号である。
そして、図2(b)は、中間周波数に変換された受信信号が中間周波フィルタを通過した後に第1AGC手段で制御された状態を表しているものであるが、ここにも「妨害信号」と「目的信号」という複数の信号が示されており、上記中間周波フィルタは、少なくとも、中間周波数に変換された「妨害信号」と「目的信号」という複数の信号が通過可能なフィルタであるということができる。

よって、上記A?Dの記載及び関連する図面を参照すると、引用例1には、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用例1記載の発明」という。)
「受信した妨害信号及び目的信号よりなる複数の信号を当該複数の信号が通過可能なフィルタと第1AGC手段とを介してA/Dコンバータに導く受信機。」

(引用例2)
E.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、入力された信号のレベルを自動的に一定のレベルに制御する自動信号レベル制御装置に関する。」

F.「【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、上記課題を解決するため、入力信号の信号レベルを一定レベルになるように制御する自動信号レベル制御装置において、前記入力信号の周波数領域よりも高い又は低い周波数を有する一定振幅レベルの調整信号を発生する調整信号発生手段と、前記入力信号と調整信号とを加算する加算手段と、加算結果信号を一定レベルになるように制御するレベル制御手段と、一定レベルの加算結果信号のうち入力信号の周波数領域の信号を通過させる信号通過手段とを有することを要旨とする。」

G.「【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0009】図1は、本発明の実施の形態に係る自動信号レベル制御装置1の構成を示す図である。
【0010】同図に示すように、この自動信号レベル制御装置1は、ゲイン調整信号を出力するゲイン調整信号出力部3と、音声信号とゲイン調整信号とを加算する加算回路5と、後述するALC(Automatic Level Control)回路7と、ゲイン調整信号の通過を阻止するフィルタ9とを備えている。
【0011】ゲイン調整信号は、音声信号の周波数帯域に対して少なくとも数倍以上又は以下の一定の周波数である。この理由は、後でゲイン調整信号をフィルタでカットし易くするためである。
【0012】ALC回路7は、入力信号を自動的に一定のレベルになるように制御するものであり、同図に示すように、入力信号のレベルに応じたゲインによって増幅する可変ゲインアンプ11と、入力信号のレベルを検出する信号レベル検出部13とを備えている。」

H.「【0013】次に、図2を参照して、自動信号レベル制御装置1の動作を説明する。
【0014】電気信号に変換された音声信号が加算回路5の一端に入力される。なお、音声信号は、同図(a)に示す波形のようになる。一方、加算回路5の他端には、ゲイン調整信号出力部3から出力されているゲイン調整信号が入力されている。このゲイン調整信号は、音声信号が出力されていないときでも常に出力されており、音声信号がないときには、ゲイン調整信号がALC回路7に入力される。ゲイン調整信号の波形を同図(b)に示す。
【0015】次に、加算回路5は、音声信号とゲイン調整信号とを加算して、その結果をALC回路7に出力する。ALC回路7に信号が入力されると、信号レベル検出部13は、信号レベルの変動を検出して、信号レベルの変動に応じたゲイン制御信号を出力する。そして、可変ゲインアンプ11は、ゲイン制御信号に応じてゲインを変化させ、入力信号レベルを増幅して出力する。
【0016】ここで、音声信号がない状態から所定のレベル以上の音声信号が出力された場合の動作を説明する。
【0017】音声信号がない場合には、ゲイン調整信号が加算回路5を介してALC回路7の可変ゲインアンプ11に入力される。一方、信号レベル検出部13は、ゲイン調整信号のレベルを検出して、ゲイン調整信号のレベルに応じたゲイン制御信号を出力する。そして、可変ゲインアンプ11のゲインは、ゲイン調整信号の振幅レベルが一定になるように調整され、可変ゲインアンプ11は、入力信号を増幅して一定レベルの信号を出力する。音声信号がない状態においても、ALC回路7にはゲイン調整信号が入力されるため、可変ゲインアンプ11のゲインは、最大値よりも低い一定の値を示すようになり、著しくゲインが大きくなることを防ぐことができる。
【0018】所定のレベル以上の音声信号が入力された場合には、加算回路5は、音声信号とゲイン調整信号を加算して、その結果をALC回路7に出力する。ALC回路7に信号が入力されると、信号レベル検出部13は、信号レベルの変動を検出して、信号レベルに応じたゲイン制御信号を出力する。そして、可変ゲインアンプ11は、ゲイン制御信号に応じてゲインを変化させる。音声信号のレベルが高いほど、可変ゲインアンプ11のゲインは小さくなる。」

I.「【0024】なお、本実施の形態では、音声信号を一定レベルになるように制御する場合について説明したが、本発明はこれに限定することなく、データ通信等に応用した場合でも、ゲイン調整信号が一種のAGC(Automatic Gain Control)におけるパイロット信号の役目を果たし、様々な損失の線路を介しても一定のレベルを保持することができる。」

J.「【0025】
【発明の効果】請求項1記載の本発明によれば、入力信号と入力信号の周波数領域よりも高い又は低い周波数を有する一定振幅レベルの調整信号とを加算して、加算結果信号を一定レベルになるように制御して、一定レベルの加算結果信号のうち入力信号の周波数領域の信号を通過させることで、高レベルの信号が入力された場合でも大きなゲイン変動を伴わずに、安定した出力を得ることができる。」

上記E?Jの記載及び関連する図面を参照すると、引用例2には、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用例2記載の発明」という。)
「入力信号の信号レベルを一定レベルになるように制御する自動信号レベル制御装置において、入力信号の周波数領域よりも高い又は低い周波数を有する一定振幅レベルの調整信号を入力信号に付加してALC回路に入力し、高レベルの信号が入力された場合でも大きなゲイン変動を伴わずに安定した出力を得ることができるようにした自動信号レベル制御装置。」

(3)対比
本願補正発明と引用例1記載の発明とを対比すると、引用例1記載の発明における「妨害信号及び目的信号よりなる複数の信号」、「第1AGC手段」、「A/Dコンバータ」は、それぞれ、本願補正発明における「複数のチャネル信号」、「AGC回路」、「A/D変換器」に相当するから、本願補正発明と引用例1記載の発明とは、ともに、
「受信した複数のチャネル信号を当該複数のチャネル信号が通過可能なフィルタとAGC回路とを介してA/D変換器に導く受信機。」
である点で一致し、次の点で相違する。

相違点1:本願補正発明は、A/D変換器でデジタル信号に変換した後に復調処理を行うものであるのに対し、引用例1においては、A/Dコンバータに導いた後の処理が明示されていない点。

相違点2:本願補正発明は、「フィルタの出力信号に予め前記フィルタの帯域外に希望信号として想定される受信レベルより十分に大きなレベルを有するパイロット信号を付加してAGC回路に入力し、前記パイロット信号より大きなレベルの不要チャネル信号を受信した場合でも、常時前記パイロット信号が前記AGC回路に入力されているので、受信信号の合成波形に係わるレベル変動を抑圧するようにした」ものであるのに対し、引用例1記載の発明は、そのようなものではない点。

(4)判断
そこで、上記相違点1,2について検討する。

(相違点1について)
引用例1においては、A/Dコンバータに導いた後の処理が明示されていないが、受信機において、復調処理を行うことは、当然予定されている処理にすぎない。
よって、引用例1記載の発明において、A/Dコンバータでデジタル信号に変換した後に復調処理を行うことは、当業者が容易に想到し得ることである。

(相違点2について)
引用例1記載の発明に対して引用例2記載の発明を適用することにより、上記相違点2を当業者が容易に想到し得るかについて、以下に検討する。
引用例2記載の発明において、ALC回路に入力される「入力信号」は、上記引用例2の実施例では「音声信号」の例が示されているが、上記引用例2の段落【0024】に、「なお、本実施の形態では、音声信号を一定レベルになるように制御する場合について説明したが、本発明はこれに限定することなく、データ通信等に応用した場合でも、ゲイン調整信号が一種のAGC(Automatic Gain Control)におけるパイロット信号の役目を果たし、様々な損失の線路を介しても一定のレベルを保持することができる。」と記載されているように、どのような信号であってもよいものであり、引用例2記載の発明の技術は、引用例1記載の発明における「第1AGC手段」への入力信号に対しても適用できる技術である。
ここで、引用例1記載の発明における「第1AGC手段」への入力信号は、「受信した妨害信号及び目的信号よりなる複数の信号」が「フィルタ」を通過した信号であり、この入力信号に対して、引用例2記載の発明における「入力信号の周波数領域よりも高い又は低い周波数を有する一定振幅レベルの調整信号」を付加する技術を適用した場合、上記「調整信号」は、上記「フィルタ」の通過帯域外のものとなることは、当業者にとって明らかである。
そして、引用例2記載の発明は、「高レベルの信号が入力された場合でも大きなゲイン変動を伴わずに安定した出力を得ることができるようにした」ものであるところ、引用例1記載の発明においては、「第1AGC手段」への入力信号として想定される「高レベルの信号」は、引用例1の図2に見られるような、目的信号を上回る強い妨害信号が加わった場合の目的信号と妨害信号の合成波形の信号であり、そのような高レベルの妨害信号が入力された場合でも大きなゲイン変動を伴わずに安定した出力を得ることができるようにするために、高レベルの妨害信号と同程度のレベルの調整信号、すなわち目的信号を上回るレベルを有する調整信号を付加して、安定した出力を得る効果を発揮させるようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
さらに、高レベルの妨害信号が相当に大きいレベルの信号であって、該高レベルの妨害信号を下回るレベルの調整信号を付加するような場合であっても、該調整信号が、目的信号を上回る十分に大きなレベルを有する信号であって、妨害信号のレベルに近い信号であれば、ある程度の効果を発揮することができるということは、当業者にとって明らかである。
よって、引用例1記載の発明に対して引用例2記載の発明を適用することにより、「フィルタの出力信号に予め前記フィルタの帯域外に希望信号として想定される受信レベルより十分に大きなレベルを有するパイロット信号を付加してAGC回路に入力し、前記パイロット信号より大きなレベルの不要チャネル信号を受信した場合でも、常時前記パイロット信号が前記AGC回路に入力されているので、受信信号の合成波形に係わるレベル変動を抑圧するようにした」ものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(本願補正発明の作用効果について)
そして、本願補正発明の構成によってもたらされる効果も、引用例1,2に記載の発明から当業者が容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。

したがって、本願補正発明は、引用例1,2に記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
よって、本件手続補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.補正却下の決定を踏まえた検討
(1)本願発明
平成20年1月22日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成19年7月26日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。(以下、「本願発明」という。)
「受信した複数のチャネル信号を当該複数のチャネル信号が通過可能なフィルタとAGC回路とを介してA/D変換器に導き、デジタル信号に変換した後に復調処理を行う受信機において、
前記フィルタの出力信号に予め前記フィルタの帯域外に希望信号として想定される受信レベルより十分に大きなレベルを有するパイロット信号を付加して前記AGC回路に入力し、不要チャネル信号を受信した場合でも、常時前記パイロット信号が前記AGC回路に入力されているので、受信信号の合成波形に係わるレベル変動を抑圧するようにしたことを特徴とする受信機。」

(2)引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された引用例とその記載事項は、上記2.(2)に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、上記2.で検討した本願補正発明における「前記パイロット信号より大きなレベルの不要チャネル信号」の限定を省いて「不要チャネル信号」としたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに特定の限定を施したものに相当する本願補正発明が、上記2.(4)に記載したとおり、引用例1,2に記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、上記特定の限定を省いた本願発明は、同様に、引用例1,2に記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1,2に記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-07-14 
結審通知日 2010-07-20 
審決日 2010-08-02 
出願番号 特願2001-61824(P2001-61824)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04B)
P 1 8・ 575- Z (H04B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石田 昌敏佐藤 敬介  
特許庁審判長 長島 孝志
特許庁審判官 真木 健彦
飯田 清司
発明の名称 受信機  

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