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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63B
管理番号 1223735
審判番号 不服2006-19476  
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-09-04 
確定日 2010-09-13 
事件の表示 特願2003- 32055「ゴルフティ」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 9月30日出願公開、特開2003-275356〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成15年2月10日(パリ条約による優先権主張 2002年3月20日 大韓民国)の出願であって、平成17年10月20日(起案日)付け拒絶理由通知後、平成18年5月29日(起案日)付けで拒絶査定がなされ、これに対し同年9月4日付けで拒絶査定不服審判請求がなされたものである。

第2 本願発明について
1 本願発明
本願の請求項に係る発明は、願書に最初に添付した明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項によって特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「筒状を成し、筒の上面が筒の中心軸側に向かうに連れて下降しているボール載せ面が形成され、筒の内周面の一部に内側に向かって突出した係止あご部が形成されている本体と、
上端部が前記本体の下端部に着脱可能に差し込まれ、下端部に先端が尖っている差込部が形成され、上端から下端側へ長い結合穴が形成され、前記本体の下端部に差し込まれない部分に外周側に突出した鍔部が形成され、該鍔部に環孔が形成されている差込ピン体と、
筒状の前記本体内であって、前記係止あご部を基準にして該本体の上端側に収納されているスプリングと、
筒状の前記本体内を通って前記差込ピン体の前記結合穴に差し込まれ、下端部が該結合穴に固定され、上端部に、前記本体の前記係止あご部との間で前記スプリングを挟み込むためのピンヘッドが形成され、可撓性及び弾性を有する材質で形成された結合ピンと、
を備えていることを特徴とするゴルフティ。」

2 引用刊行物
(1)原査定の拒絶の理由に引用された本願の優先日前に頒布された刊行物である実願昭62-6871号(実開昭63-114680号)のマイクロフィルム(以下「引用例1」という。)には、以下の事項が図とともに記載されている。
ア 「2.実用新案登録請求の範囲
1)下部を下方へ向けて尖形状に成形し、上端部を後述のボール載置部下端部に着脱自在に嵌合しうる形状に形成してなる固定部と、
上端面にボール載置用凹所を設け、内部に上方へ開口する内部空間を設け、前記内部空間の底面から該内部空間よりも小径で下方へ開口する連結孔を設けて底面との間に段部を形成し、下端部を前記固定部材上端部に着脱自在に嵌合しうる形状に形成してなるボール載置部と、
可撓性を有する合成樹脂またはゴムにて作成し、前記ボール載置部と固定部とを嵌合して連結したときのボール載置部の内部空間底面と固定部材上端面間距離より長くかつボール載置部の連結孔に遊嵌状態に内装しうる外径とした杆体の上端に前記ボール載置部の内部空間底面の段部に係止しうる形状の頭部を設けてなる連結部材と、
よりなり、連結部材の頭部をボール載置部の内部空間に位置して杆体下端を固定部材上端へ立設状態で固定し、ボール載置部と固定部とを離合自在に嵌合して連結してなるゴルフ用ティー。
2)連結部材として合成樹脂またはゴムにて作成した管状の杆体で側面における長さ方向に適数条のスリットを形成し下端面を閉鎖して取付面とし上端開口周縁部に鍔部を設けて頭部としてなるものを用い、該連結部材の下端を固定部上端面から下方へ穿設した取付孔へ嵌入して連結部材の取付面を固定部の取付孔底面内ヘネジ止めすることにより取付けてなる実用新案登録請求の範囲第1項記載のゴルフ用ティー。」
イ 「〔産業上の利用分野〕
本考案は、ゴルフ用ティーに関し、更に詳しくはティーショットの際にゴルフボールとともにショットされても折損したり紛失したりすることなく、またショット時のゴルフクラブに対する抵抗を低減して飛距離をのばすことのできるゴルフ用ティーに関する。」(2頁15行?3頁1行)(下線は審決で付した。以下同じ。)
ウ 「〔作用〕
本考案に係るゴルフ用ティーは上記の構成であり、該ゴルフ用ティーを使用してティーショットを行うには、固定部とボール載置部とを嵌合した状態で固定部を土中に差し込んで立設し、ボール載置部にゴルフボールを載置してショットすると、ショットの際の衝撃で、またはゴルフボールとともにボール載置部がクラブヘッドにより衝打されてボール載置部が固定部から分離するとともに連結部材が折曲または湾曲してショットの衝撃を吸収し、前記固定部から分離しその内部空間底面の段部にて連結部材頭部で当止されたボール載置部は該連結部材が元の直立状態に復元するとその連通孔部分にて連結部材の側壁面を摺動下降して固定部上端面へ載置した状態に戻るのである。」(6頁20行?7頁14行)
エ 「〔実施例〕
以下、図面に示した実施例で本考案を更に詳細に説明する。
図例のゴルフ用ティー1は、木製または硬質合成樹脂等で作成し、下方へむけて尖形に成形してなる軸体の固定部3と該固定部3の上端に着脱自在に嵌合して取付けてなり胴部を上下部分より縮径した筒状のボール載置部2とより構成し、該ボール載置部2と前記固定部3とを連結部材4にて分離可能に連結してなるものである。前記ボール載置部2は上端面にゴルフボールを載置するためのゴルフボール外面形状に対応しうる底面形状とした凹所6を形成し、内部には該凹所内に上端を開口する有底の内部空間5を形成し、ボール載置部2下端面には前記固定部3上端に嵌合すべく上方へ向けて嵌合凹所10を形成し、前記内部空間5の底面7には嵌合凹所10内へ連通する内部空間5より小径の連結孔9を形成し内部空間底面7との間に段部8を形成してなり、また、固定部3上端には上面を平面状とし前記ボール載置部2の嵌合凹所10に着脱自在に嵌合しうる形状とした嵌合突部11を形成し、該嵌合突部11上面であって嵌合凹所10を嵌合してボール載置部2を固定部3に取付けたときにボール載置部2の連結孔9に対面する位置から固定部3内部へ該連結孔9と略同径の有底孔を穿設して取付孔12としてなり、ボール載置部2と固定部3とを可撓性を有する材料、例えばウレタン樹脂またはポリプロピレン樹脂等の合成樹脂やゴム等にて作成し、前記ボール載置部2の連結孔9に遊嵌状態に嵌入しうる外径とした管体の側壁に上下方向へ適数条のスリット14を形成し、上端開口周縁部にボール載置部の段部8に係止しうる形状とした鍔部13を形成して頭部とした連結部材4をボール載置部2の内部空間5へ上端開口から挿入し、下端を固定部3の取付孔12内へ嵌入し、連結部材4の管体内下端面15へ上端開口より挿入したネジ16をネジ込む等して固定部3の取付孔12内に立設した状態に固定し、ボール載置部2下端面の嵌合凹所10を固定部3の嵌合突部11へ嵌合して着脱自在に連結してなるものである。ここで、該ボール載置部2と固定部3とは連結部材4の鍔部13がボール載置部2の内部空間5に位置してかつ鍔部13は段部8に係止しうる形状とし、連結孔9を遊嵌状態に貫通している連結部材4の杆体下端は固定部3へ立設状態に固定しているので、ボール載置部2はその連結孔9部分にて連結部材4に沿って上下方向にボール載置部2取付孔12と固定部3とを連結したときの連結部材4の鍔部13から内部空間底面間の距離だけ摺動可能に連結されているのである。該連結部材4の長さとしては該連結部材4と固定部3とを連結した状態で連結部材4上端の鍔部13がボール載置部2の内部空間5の底面より上方に位置すればよいが、更に好ましくは鍔部13が内部空間5の上端開口よりやや下方に位置するようにする。
上記のようなゴルフ用ティーによれば、ティーショットをするときにはティー1のボール載置部2と固定部3とを連結した状態で固定部3をティーグラウンドの土中に差し込み、ボール載置部2上端面の凹所6にゴルフボールを載置してティーショットをする。このショットの際の衝撃により、またはクラブヘッドがゴルフボールのみでなくティーグラウンド地表に位置するボール載置部2を衝打したときには、ボール載置部2の嵌合凹所10が固定部3の嵌合突部11から外れてボール載置部2と固定部3とが分離するとともに、連結部材4が折曲または湾曲してショットによる衝撃を吸収するのでクラブヘッドヘの抵抗は少なく、飛距離の損失もなくまたショット毎の抵抗もほぼ一定しているので飛距離の計算も容易でクラブの選定がしやすく、またティー1はボール載置部2と固定部3との間で分離するのでクラブヘッドによりかなり強く衝打されたときにもボール載置部2と固定部3とが一休に成型されているティーのようにボール載置部2取付と固定部3との間で折損したりすることがなく経済的でありまた、固定部3と分離したボール載置部2は連結部材4にて固定部3に連結しているので、ボール載置部2のみが遠くへ飛んで紛失したりすることもなく、万一固定部3が土中から抜去してティー1が飛んでも、分離状態ではティー1はボール載置部2と固定部3とが連結部材4により連結された複雑な外形形状であり空気抵抗が大きく遠方へとんで紛失するようなことはない。また、分離したボール載置部2と固定部3とを連結している連結部材4を可撓性を有する合成樹脂またはゴム等にて作成した管状杆体を固定部3へ立設した状態で取付けているので、クラブヘッドによる衝撃時には該連結部材4が折曲または湾曲することによりクラブヘッドヘのティーによる抵抗を低減するとともに直ちにもとの直立状態に復帰するので、分離したボール載置部2は連結孔9部分で直立した状態の連結部材4外側面に沿って摺動して固定部3上端面へ載置された状態となるので、ボール載置部2を上方から固定部3へ押圧するだけで両部材を簡単に嵌合して連結することができ、次回の使用に備えることができ、取り扱いも非常に簡便である。また上記のごとく連結部材4の管状杆体の側面上下方向にスリット14を形成しておけばクラブヘッドの衝打によりボール載置部2が固定部3から分離したときに連結部材4がより弾性的に湾曲することによりクラブヘッドに対する抵抗をより低減しうるのみでなく、折曲または湾曲による連結部材4自体の消耗も低減して長期間にわたる多度の使用にも耐えうるものである。」(7頁15行?12頁19行)
オ 「〔考案の効果〕
上述の如く、本考案に係るゴルフ用ティーは、下部を下方へ向けて尖形状に成形し、上端部を後述のボール載置部下端部に着脱自在に嵌合しうる形状に形成してなる固定部と、上端面にボール載置用凹所を設け、内部に上方へ開口する内部空間を設け、前記内部空間の底面から該内部空間よりも小径で下方へ開口する連結孔を設けて底面との間に段部を形成し、下端部を前記固定部材上端部に着脱自在に嵌合しうる形状に形成してなるボール載置部と、可撓性を有する合成樹脂またはゴムにて作成し、前記ボール載置部と固定部とを嵌合して連結したときのボール載置部の内部空間底面と固定部材上端面間距離より長くかつボール載置部の連結孔に遊嵌状態に内装しうる外径とした杆体の上端に前記ボール載置部の内部空間底面の段部に係止しうる形状の頭部を設けてなる連結部材と、よりなり、連結部材の頭部をボール載置部の内部空間に位置して杆体下端を固定部材上端へ立設状態で固定し、ボール載置部と固定部とを離合自在に嵌合して連結してなり、ティーショットの際のクラブヘッドヘの抵抗を低減して飛距離の損失を防止し、また、飛距離の計算を容易にしうるとともにショット時の衝撃で折損するようなこともなく、またグラウンドから抜けてゴルフボールとともに飛んで紛失したりするのも防止しうるのみでなく、ショットによって分離したボール載置部は、折曲または湾曲してショットの衝撃を吸収したのち直立状態に復帰した連結部材外側面に沿って摺動下降して固定部上端面へ載置された状態に戻るので、上から該ボール載置部を固定部へ押圧するだけで固定部とボール載置部とが嵌合連結したもとの状態に戻り再使用可能となり、連結部材として紐、鎖またはバネ体等を用いた場合のように該連結部材を収納したのちボール載置部と固定部とを連結するという手間がかからない取り扱いが簡便なゴルフ用ティーを提供しうるものである。」(12頁20行?14頁17行)
カ 第1図及び第2図の記載から、取付孔12の縦断面は上下方向に長く形成されていることが見て取れる。
キ 第1図及び第2図の記載から、固定部3には、その上端に形成された嵌合突部11の下方に隣接して、外周側に突出した鍔状の突出部が形成されていることが見て取れる。

ク 上記ア?キから、引用例1には次の発明が記載されていると認めることができる。
「下方へむけて尖形に成形してなる軸体の固定部3と該固定部3の上端に着脱自在に嵌合して取付けてなり胴部を上下部分より縮径した筒状のボール載置部2とより構成し、該ボール載置部2と前記固定部3とを可撓性を有する合成樹脂またはゴム等にて作成した管状杆体からなる連結部材4にて分離可能に連結してなり、前記固定部3と前記ボール載置部2とを嵌合した状態で固定部3を土中に差し込んで立設し、前記ボール載置部2にゴルフボールを載置してショットするためのゴルフ用ティー1であって、
前記ボール載置部2は、上端面にゴルフボールを載置するためのゴルフボール外面形状に対応しうる底面形状とした凹所6を形成し、内部には該凹所内に上端を開口する有底の内部空間5を形成し、下端面には前記固定部3上端に嵌合すべく上方へ向けて嵌合凹所10を形成し、前記内部空間5の底面7には嵌合凹所10内へ連通する内部空間5より小径の連結孔9を形成し内部空間底面7との間に段部8を形成してなり、
前記固定部3は、上端には上面を平面状とし前記ボール載置部2の嵌合凹所10に着脱自在に嵌合しうる形状とした嵌合突部11を形成し、該嵌合突部11上面であって嵌合凹所10を嵌合してボール載置部2を固定部3に取付けたときにボール載置部2の連結孔9に対面する位置から固定部3内部へ該連結孔9と略同径の有底孔を穿設して縦断面が上下方向に長い取付孔12とし、前記嵌合突部11の下方に隣接して、外周側に突出した鍔状の突出部を形成したものであり、
前記連結部材4は、前記連結孔9に遊嵌状態に嵌入しうる外径とした管状杆体の側壁に上下方向へ適数条のスリット14を形成し、前記管状杆体の上端開口周縁部に前記段部8に係止しうる形状とした鍔部13を形成して頭部とし、前記内部空間5へ上端開口から前記管状杆体を挿入し、前記管状杆体の下端を前記取付孔12内へ嵌入し、前記管状杆体内下端面15へ上端開口より挿入したネジ16をネジ込む等して前記管状杆体を前記取付孔12内に立設した状態に固定したものであり、
前記鍔部13が前記内部空間5に位置しかつ前記段部8に係止しうる形状であり、前記管状杆体は前記連結孔9を遊嵌状態に貫通しかつ該管状杆体下端は前記固定部3へ立設状態に固定されているので、前記ボール載置部2と前記固定部3とは、鍔部13から内部空間5の底面間の距離だけ摺動可能に連結されていて、
クラブヘッドの衝打によりボール載置部2が固定部3から分離したときに連結部材4がより弾性的に湾曲することによりクラブヘッドに対する抵抗をより低減しうるのみでなく、折曲または湾曲による連結部材4自体の消耗も低減して長期間にわたる多度の使用にも耐えうるようにし、
かつ、前記固定部3と分離した前記ボール載置部2は前記連結部材4にて前記固定部3に連結しているので、前記ボール載置部2のみが遠くへ飛んで紛失したりすることもなく、万一前記固定部3が土中から抜去して当該ティー1が飛んでも、空気抵抗が大きく遠方へ飛んで紛失したりするのを防止しうるのみでなく、ショットによって分離した前記ボール載置部は、折曲または湾曲してショットの衝撃を吸収したのち直立状態に復帰した前記連結部材外側面に沿って摺動下降して前記固定部上端面へ載置された状態に戻るので、上から該ボール載置部を前記固定部へ押圧するだけで前記固定部と前記ボール載置部とが嵌合連結したもとの状態に戻り再使用可能となり、前記連結部材として紐、鎖またはバネ体等を用いた場合のように該連結部材を収納したのち前記ボール載置部と前記固定部とを連結するという手間がかからない取り扱いが簡便なゴルフ用ティー1」(以下「引用発明」という。)

(2)原査定の拒絶の理由に引用された本願の優先日前に頒布された刊行物である実願平4-36383号(実開平6-19762号)のCD-ROM(以下「引用例2」という。)には、以下の事項が図とともに記載されている。
ア 「【0010】
図1に示すように、この考案のティー1は、ボールを載置するヘッド2と、このヘッド2から延びるスリーブ3と、ステム4より成り、このステム4の下端部は、地表へ突き刺すことができるように尖鋭になっており、中途部分にはカラー5が設けられ、ステム4の地表への没入を制限するストッパになっている。また、ステム4のカラー5より上方部分には、雌ねじ管6が固着されており、外周には、目盛7が設けられている。
【0011】
前記ステム4の上方部分は、スリーブ3の内周にほぼ密着してスライド可能に挿入できるようになっており、スリーブ3の内部には、前記雌ねじ管6にねじ係合できる雄ねじ棒8が固着されている。
【0012】
上記のようなティー1を使用する場合には、ステム4のカラー5より上方部分をスリーブ3内にねじ込み、目盛7によって適当な高さに設定し、図2のように地表Aにカラー5の部分まで刺し込む。そしてヘッド2にボールBをセットすればよい。
【0013】
上記のティー1は、通常ドライバーショットのように比較的高くティーアップする場合に好適である。
【0014】
一方、低いティーアップを行なう場合、例えばアイアンクラブでティーショットを行なう場合もあり、そのため、図3に示すように、ティー1、アイアン用ティー10及びグリーンフォーク20をセットにしておくと便利である。
【0015】
上記ティー1は、この考案のティーと同様の構造であるが、カラー1に連結用小突起9が設けられている。
【0016】
そして、ティー10は、図4に示すように、ステム11が全体として先細のテーパ状になっており、このステム11に、カラー12がテーパ孔13によって着脱自在に嵌め合されている。図4の場合は、前記テーパ孔13の口径の小さい側を上方にして嵌め合せてあるが、これを逆に口径の大きい側を上方にして嵌め合せると、カラー12をステム11のさらに上方位置まで挿入できる。即ちカラー12の位置を2段階に変更可能である。従って、ティー10をカラー12の位置まで地表に突き刺すことによって、ティー10の高さを2段階に調節可能となる。
【0017】
なお、図3及び図4中、符号14はボールを載置するヘッド、15、16は共に連結用突起であり、図3は、紐17によってティー1、ティー10、フォーク20を連結した状態を示す。」
イ 図3及び図4の記載から、紐17によるティー1、ティー10及びフォーク20の連結は、紐17の中央部分をフォーク20の貫通孔に通して輪を作り、この輪の中を紐17の両端を通して紐17の中央部分をフォーク20に固定した上で、紐17の一端をティー1のカラーに設けられた連結用小突起9を貫通させた後に端部を結び、紐17の他端をティー10のカラー12の連結用突起16の貫通孔(図4参照。)を貫通させ、その後ボールを載置するヘッド14の連結用突起15の貫通孔(図4参照。)を貫通させた後に端部を結んで行っていることが見て取れる。

(3)原査定の拒絶の理由に引用された本願の優先日前に頒布された刊行物である実願昭57-194532号(実開昭59-100458号)のマイクロフィルム(以下「引用例3」という。)には、以下の事項が図とともに記載されている。
ア 「2.実用新案登録請求の範囲
1.ゴルフ用テイーは、地面に差込まれる差込部と、地面より突出してその頂部にボールを載置する載置部とに2分割され、両者は弾性部材を介して離脱不能にかつ折曲自在に連結されていることを特徴とするゴルフ用テイー。」(1頁4?9行)
イ 「以下、本考案の実施例を図面に基き詳述する。
第1・2図に示すものは本考案の第1実施例であり、ゴルフ用テイー(1)は、地面に差し込まれる差込部(2)と、地面より突出してその頂部(3)にボールを載置する載置部(4)とに2分割されている。差込部(2)と載置部(4)とは軸心に直交する平面で接当している。載置部(4)の頂部(3)にはボールを載置するための凹部(5)が設けられている。載置部(4)の軸心部に芯材挿通孔(6)が貫通して設けられている。差込部(2)の上部にも前記芯材挿通孔(6)に連通する芯材固定孔(7)が設けられている。この芯材固定孔(7)に下端がピン(8)を介して固定された芯材(9)が、芯材挿通孔(6)に摺動自在に挿通されている。芯材(9)の上部は径大とされその径大部(10)下面と、芯材挿通孔(6)の下端の径小部(11)の上面との間に圧縮スプリング(12)が介在され、載置部(4)は、該スプリング(12)により下方に付勢されている。従つて、載置部(4)下端面と差込部(2)上端面は弾接し、両者(2)(4)は同軸心に保持されている。
芯材(9)はゴム等の弾性部材から成り、上部の径大部(10)の頂面は凹部(5)内に突出し、該頂面に所定深さのスリット(13)が設けられている。この芯材(9)の径大部(10)には楔(14)の脚部(15)が埋設され、弾性変形自在なヒンジ(16)を介して楔本体(17)が前記スリット(13)に嵌合すべく設けられている。楔本体(17)の断面はV形に形成されている。
上記本考案の第1実施例によれぱ、第3図に示すようにテイーグランド(G)にテイー(1)を差し込むとき、まず頂部(3)にボール(18)を載置し両者を手で強く圧接しつつ、差込部(2)をグランド(G)に差し込む。このとき、ボール(18)の下面が楔本体(17)を押圧し、楔本体(17)はスリット(13)に押し込まれる。しかして芯材(9)の径大部(10)上部は楔本体(17)により拡開され、径大部(10)の外周面と芯材挿通孔(6)の上部のテーパー部(19)とが圧接され、芯材(9)と載置部(4)とが固定される。しかもスプリング(12)により載置部(4)と差込部(2)とは面接当しているので、テイー(1)をグランド(G)に差込むに際し、載置部(4)と差込部(2)との接合部がグラグラすることなく、差込みに支障をきたさず、従来の一体物のテイーと変ることなく差込むことができる。
次に、第4図に示すように、クラブでボールをたたくと、テイー(1)の載置部(4)までもたたくことになる。このとき載置部(4)は衝撃力(F)を受け、その瞬間、楔本体(17)はボールの自重による押圧力を解除されると共に、衝撃力(F)及びヒンジ部(16)の反発力によりスリット(13)から抜け出し、径大部(10)は縮小するので、径大部(10)は芯材挿通孔(6)に没入自在となる。而してテイー(1)は衝撃力(F)によりグランド(G)から抜けようとするが、テイー(1)は載置部(4)と差込部(2)とに2分割されているため、載置部(4)は芯材(9)を介して折曲されることになる。このように載置部(4)が分割部で折曲されようとすると芯材(9)の径大部(10)は挿通孔(6)に没入して上記折曲を助ける。そして載置部(4)はその後首振り運動を行ない、該首振り振動が減衰すると共に、スプリング(12)の反発力により載置部(4)下面は差込部(2)上面に接当し、芯材(9)の頂部は凹部(5)内に突出し、元の状態に復元する。」(2頁下から6行?5頁13行)

3 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1) 引用発明の「ボール載置部2」、「凹部6」、「段部8」、「固定部3」、「連結部材4」、「鍔13」及び「ゴルフ用ティー1」は、それぞれ、本願発明の「本体」、「ボール載せ面」、「係止あご部」、「差込ピン体」、「結合ピン」、「ピンヘッド」及び「ゴルフティ」に相当する。
(2) 引用発明の「本体(ボール載置部2)」と本願発明の「本体」とは、「筒状」を成している点で一致する。
(3) 引用発明の「ボール載せ面(凹部6)」は、ゴルフボールを載置するため、「筒状を成す本体(ボール載置部2)」の「上端面に」形成されたものであって、「ゴルフボール外面形状に対応しうる底面形状」とされたものであるから、本願発明の「ボール載せ面」と、「筒の上面が筒の中心軸側に向かうに連れて下降している」点で一致するといえる。
(4) 引用発明の「筒状を成す本体(ボール載置部2)」は、その内部には、有底の内部空間5を形成し、その下端面には、「差し込みピン体(固定部3)」上端に嵌合すべく上方へ向けて嵌合凹所10を形成し、前記内部空間5の底面7には嵌合凹所10内へ連通する内部空間5より小径の連結孔9を形成し内部空間底面7との間に「係止あご部(段部8)」を形成してなるものであるから、引用発明における、内部空間5より小径の連結孔9を形成することにより形成された「係止あご部(段部8)」は、「筒状を成す本体」の内部空間5に向かって突出していることは明らかである。よって、引用発明の「係止あご部」と本願発明の「係止あご部」とは、「筒の内周面の一部に内側に向かって突出した」ものである点で一致する。
(5) 引用発明において、「差込ピン体(固定部3)」の上端には上面を平面状とし前記「本体(ボール載置部2)」の嵌合凹所10に着脱自在に嵌合しうる形状とされた嵌合突部11が形成されており、該嵌合突部11が嵌合する前記嵌合凹所10は「本体」の「下端面」に形成されたものであるから、引用発明の「差込ピン体」と本願発明の「差込ピン体」とは、「上端部が前記本体の下端部に着脱可能に差し込まれ」る点で一致する。
(6) 引用発明の「差込ピン体(固定部3)」は、「下方へむけて尖形に成形されてなる軸体」であり、「土中に差し込んで立設し」て使うものであるから、本願発明の「差込ピン体」と、「下端部に先端が尖っている差込部が形成され」ている点で一致する。
(7) 引用発明の「差込ピン体(固定部3)」は、嵌合凹所10を嵌合して「本体(ボール載置部2)」を取り付けたときに、その上端部に形成した嵌合突起11上面であってその「本体」の連結孔9に対面する位置から内部へ該連結孔9と略同径の有底孔を穿設して縦断面が上下方向に長い取付孔12としたものであり、該取付孔12には、連結部材4の管状杆体の下端が嵌入され、立設した状態に固定されているから、引用発明の「取付孔12」は本願発明の「長い結合穴」に相当し、引用発明の「差込ピン体」と本願発明の「差込ピン体」とは、「上端から下端側へ長い結合穴が形成され」ている点で一致する。
(8) 引用発明において、ボール載置部2は、固定部3の嵌合突部11とボール載置部2の嵌合凹所10とが嵌合して固定部3に取り付けられるのであるから、「本体(ボール載置部2)」の嵌合凹所10に差し込まれるのは「差込ピン体(固定部3)」の嵌合突部11であり、該嵌合突部11の下方に隣接しており、かつ外周側に突出している「鍔状の突出部」は、前記嵌合凹所10、すなわち「本体の下端部」には差し込まれないことになる。よって、引用発明の「鍔状の突出部」は本願発明の「鍔部」に相当し、引用発明は本願発明の「本体の下端部に差し込まれない部分に外周側に突出した鍔部が形成され」との事項を備えているといえる。
(9) 引用発明の「結合ピン(連結部材4)」は、管状杆体の側壁にスリッド14を形成したもので、該管状杆体は「筒状を成す本体(ボール載置部2)」の内部空間5へ上端開口から挿入され、該管状杆体の下端が「結合穴(取付孔12)」内へ嵌入され、その管状杆体内下端面15へ上端開口より挿入されたネジ16によりネジ込まれる等されて「差込ピン体(固定部3)」の「結合穴(取付孔12)」内に立設された状態に固定されたものであるから、本願発明の「結合ピン」と、「筒状の前記本体内を通って前記差込ピン体の前記結合穴に差し込まれ、下端部が該結合穴に固定され」ている点で一致する。
(10) 引用発明の「結合ピン(連結部材4)」は、管状杆体の側壁にスリット14を形成し、上端開口周縁部に「本体(ボール載置部2)」の「係止あご部(段部8)」に係止しうる形状とした「ピンヘッド(鍔部13)」を形成して頭部としたものであるから、本願発明の「結合ピン」と、「上端部にピンヘッドが形成され」ている点で一致する。
(11) 引用発明の「結合ピン(連結部材4)」は、可撓性を有する合成樹脂またはゴム等にて作成された管状杆体からなるものであって、「差込ピン体(固定部3)」へ立設された状態で取付けられ、前記管状杆体の側壁に上下方向へ適数条のスリット14が形成したものなので、クラブヘッドの衝打により「本体(ボール載置部2)」が「差込ピン体(固定部3)」から分離されたときに「結合ピン(連結部材4)」がより弾性的に湾曲されるものであることから、本願発明の「結合ピン」と、「可撓性及び弾性を有する材質で形成された」ものである点で一致する。
(12) したがって、本願発明と引用発明とは、「筒状を成し、筒の上面が筒の中心軸側に向かうに連れて下降しているボール載せ面が形成され、筒の内周面の一部に内側に向かって突出した係止あご部が形成されている本体と、
上端部が前記本体の下端部に着脱可能に差し込まれ、下端部に先端が尖っている差込部が形成され、上端から下端側へ長い結合穴が形成され、前記本体の下端部に差し込まれない部分に外周側に突出した鍔部が形成されている差込ピン体と、
筒状の前記本体内を通って前記差込ピン体の前記結合穴に差し込まれ、下端部が該結合穴に固定され、上端部にピンヘッドが形成され、可撓性及び弾性を有する材質で形成された結合ピンと、
を備えているゴルフティ。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1:
本願発明では、前記鍔部に「環孔が形成されている」のに対し、引用発明ではそうなっていない点。

相違点2:
本願発明では、「筒状の本体内であって、係止あご部を基準にして該本体の上端側にスプリングが収納されている」とともに、前記ピンヘッドが、「前記本体の前記係止あご部との間で前記スプリングを挟み込むための」ものであるのに対し、引用発明では、スプリングは収納されておらず、したがって、前記ピンヘッドはスプリングを挟み込むためのものではない点。

4 判断
上記相違点1ないし2について検討する。
(1)相違点1について
ア 引用例2には、紐17の中央部分をフォーク20の貫通孔に通して輪を作り、この輪の中を紐17の両端を通して紐17の中央部分をフォーク20に固定した上で、紐17の一端をティー1のカラーに設けられた連結用小突起9を貫通させた後にその端部を結び、紐17の他端をティー10のカラー12の連結用突起16の貫通孔(図4参照。)を通して、その後ボールを載置するヘッド14の連結用突起15の貫通孔(図4参照。)を通した後に端部を結んでティー1、ティー10及びフォーク20を紐17で連結する技術事項が記載されている。
イ 引用発明は、遠方へ飛んで紛失したりするのを防止するようにしたゴルフ用ティーであるところ、上記アの技術事項に基づけば、単独で又は他のティーと共にフォークに紐で連結することにより、ティーの紛失の防止をより確実にできるようになることは、当業者に自明なことである。
ウ したがって、引用発明において、単独で又は他のティーと共にフォークに紐で連結することでより確実に紛失を防止できるようにするため、固定部3の外周側に突出した突起である鍔状の突出部を連結用突起として、これに連結用の紐を通すことができる貫通孔を設けることは、引用例2に記載されている上記アの事項に基づいて当業者が容易に想到することができたものである。
エ 「貫通孔」は「環孔」といえる。また引用発明の「鍔状の突出部」は本願発明の「鍔部」に相当する(上記3(8)参照。)から、引用発明において上記ウのとおりに鍔状の突出部に貫通孔を設けることは、結局、引用発明において、その「鍔部」に「環孔」を形成することである。よって、引用発明において、上記相違点1に係る本願発明の構成となすことは、当業者が引用例2に記載された事項に基づいて容易になし得たことである。

(2)相違点2について
ア 上記2(3)のア及びイからみて、引用例3には、
「地面に差し込まれる差込部と、地面より突出してその頂部にボールを載置する載置部とに2分割されているゴルフ用テイーにおいて、
前記載置部に芯材挿通孔が貫通して設けられ、
前記差込部に芯材固定孔が設けられ、該芯材固定孔に下端が固定された芯材が、前記芯材挿通孔に摺動自在に挿通され、該芯材の上部は径大とされその径大部下面と、前記芯材挿通孔の下端の径小部の上面との間に圧縮スプリングが介在され、
前記載置部は、前記スプリングにより下方に付勢され、前記載置部下端面と前記差込部上端面が弾接し、前記スプリングにより前記載置部と前記差込部とは面接当しているので、当該テイーをグランドに差込むに際し、前記載置部と前記差込部との接合部がグラグラすることなく、差込みに支障をきたさず、従来の一体物のテイーと変ることく差込むことができ、
クラブでボールをたたくと前記径大部は前記芯材挿通孔に没入して前記載置部は前記芯材を介して折曲され、前記載置部はその後首振り運動を行ない、該首振り振動が減衰すると共に、前記スプリングの反発力により前記載置部下面は前記差込部上面に接当し元の状態に復元するようにしたゴルフ用テイー。」の発明(以下「引用例3発明」という。)が記載されているものと認められる。
イ 引用発明は「ショットによって分離した本体は、折曲または湾曲してショットの衝撃を吸収したのち直立状態に復帰した結合ピン外側面に沿って摺動下降して差込ピン体上端面へ載置された状態に戻るので、上から該本体を前記差込ピン体へ押圧するだけで前記差込ピン体と前記本体とが嵌合連結したもとの状態に戻り再使用可能となり、結合ピンを収納したのち前記本体と前記差込ピン体とを連結するという手間がかからない取り扱いが簡便な」ものであるところ、より手間がかからない、より取り扱いが簡便なものとする目的で、引用発明において、前記ピンヘッド(引用例3発明の「芯材の上部は径大とされその径大部」)の下面と係止あご部(引用例3発明の「芯材挿通孔の下端の径小部の上面」が相当する。)との間に圧縮スプリングを介在させ、該スプリングにより筒状の本体(引用例3発明の「芯材挿通孔が貫通して設けられ載置部」が相当する。)を下方に付勢して、前記本体を前記差込ピン体へ押圧するように、筒状の本体内に前記スプリングを収納させることは、当業者が引用例3発明に基づいて容易に想到することができたものである。
ウ 上記イのとおり、引用発明において、筒状の本体内に前記スプリングを収納させた結果、その「圧縮スプリング」は本願発明の「スプリング」に相当するから、該「スプリング」は、引用発明の「筒状の本体」内であって、「係止あご部」を基準にして該「本体」の上端側に収納されることになるとともに、引用発明の「ピンヘッド」は、前記「本体」の前記「係止あご部」との間で前記「スプリング」を挟み込むことになる。
エ よって、引用発明において、上記相違点2に係る本願発明の構成となすことは、当業者が引用例3に記載された発明に基づいて容易になし得たことである。

(3) 効果について
本願発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果、引用例2に記載された事項の奏する効果及び引用例3に記載された発明の奏する効果から、当業者が予測できた程度のものである。

(4) まとめ
したがって、本願発明は、引用例1に記載された発明、引用例3に記載された発明及び引用例2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明、引用例3に記載された発明及び引用例2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願出願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-07-06 
結審通知日 2009-07-07 
審決日 2009-07-21 
出願番号 特願2003-32055(P2003-32055)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鉄 豊郎  
特許庁審判長 小牧 修
特許庁審判官 菅野 芳男
上田 正樹
発明の名称 ゴルフティ  
代理人 三品 岩男  
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