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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B42D |
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管理番号 | 1224028 |
審判番号 | 不服2009-2461 |
総通号数 | 131 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-11-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-02-05 |
確定日 | 2010-09-21 |
事件の表示 | 特願2004-233232「冊子」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 2月23日出願公開、特開2006- 51627〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成16年8月10日の出願であって、平成20年4月23日付け拒絶理由通知に対して、同年7月4日付けで手続補正がなされたが、同年12月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成21年2月5日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1ないし4に係る発明は、平成20年7月4日付け手続補正により補正された請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものであり、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 製本された冊子の表紙及び裏表紙のいずれか一方の自由端側に、ミシン目を介して連続する封着片が設けてあり、該封着片が上記表紙及び裏表紙の他方に剥離可能に貼着されていると共に、配布先の宛名が上記封着片に記載されていることを特徴とする冊子。」(下線は当審で付した。以下同じ。) 第3 刊行物の記載事項 1 原査定の拒絶理由で引用された本願出願前に頒布された刊行物である特開2004-9481号公報(以下「引用文献1」という。)には、図とともに以下の事項が記載されている。 ア 「【請求項1】 表裏の表紙と複数枚の本紙が一方の端縁の綴じ部にて綴じられた冊子状印刷物であって、表裏の表紙のいずれか一方を綴じ部と反対側の端縁にてミシン目を介して所定寸法だけ外方に延出させて封緘片を形成し、前記封緘片を前記ミシン目にて他方の表紙側外面に折り曲げて接着部にて接着することにより、綴じ部と反対側の端縁を開封可能に封緘した構成からなることを特徴とする封緘した冊子状印刷物。」 イ 「【0005】 【課題を解決するための手段】 表裏の表紙と複数枚の本紙が一方の端縁の綴じ部にて綴じられた冊子状印刷物であって、・・・(略)・・・作製された際に封緘された状態となっているので、外装することなくそのまま送付することができる。また、この封緘された冊子状印刷物を受け取った顧客は、一方の表紙と封緘片間の折目に形成されたミシン目に沿って切り取って簡単に開封して冊子状印刷物とすることができるので、印刷された内容が見やすく且つ顧客に対する訴求効果の大きいチラシ等として使用することができる。」 ウ 「【0011】 図示しないが、表紙1の外面には表紙1及び表紙2を作製する工程において、所定位置に郵便等で送付するための郵便番号、送付先住所、送付先氏名、宛名コードの宛名情報等がデータ出力によりプリントされている。したがって、作製された封緘した冊子状印刷物は別に外装を必要とせずにそのまま郵送等を行うことができる。そして、ミシン目6は上下の端縁部において一定寸法だけミシン目が形成されていないミシン目非形成部7とされているので、郵送時等の取扱い中にミシン目の端縁から破れて開封されてしまうのを防止できる。また、表紙2の外面には、封緘片4を貼り付けて封緘した際に、封緘片4の絵柄と表紙2の絵柄が連続するように印刷されているので、裏面側の意匠性をも優れたものとすることができる。」 上記のことから、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「表裏の表紙と複数枚の本紙が一方の端縁の綴じ部にて綴じられた冊子状印刷物であって、表裏の表紙のいずれか一方を綴じ部と反対側の端縁にてミシン目を介して所定寸法だけ外方に延出させて封緘片を形成し、封緘片をミシン目にて他方の表紙側外面に折り曲げて接着部にて接着することにより、綴じ部と反対側の端縁を開封可能に封緘するとともに、表紙の外面の所定位置に郵便等で送付するための宛名情報等をプリントした、冊子状印刷物。」 2 原査定の拒絶理由で引用された本願出願前に頒布された刊行物である特開平11-147385号公報(以下「引用文献2」という。)には、図とともに以下の事項が記載されている。 ア 「【請求項1】 少なくとも二つ折りにした印刷物本体(2)と、この印刷物本体(2)の小口(5)を封緘するための封緘テープ(10)と、送付種別情報部(8a)とを備え、前記封緘テープ(10)は、前記小口(5)に沿って前記印刷物本体(2)における表紙(3)の表裏に跨る帯状のテープ本体(10a)と、このテープ本体(10a)を前記表紙(3)に剥離可能に接着するための粘着材(10b)とを有している送付印刷物。」 イ 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、冊子状や機械折りにより少なくとも二つ折りされたカタログやパンフレット等の印刷物本体を封筒に封入せずに送付することの可能な送付印刷物並びにこれに用いる送付印刷物封緘テープ及びその連続体に関する。」 ウ 「【0027】送付先情報8bは、封緘テープ10とは別体に形成された宛名ラベルである。この送付先情報8bは、封緘テープ10をカタログ本体2に設けた後に封緘テープ10上に張り付けてもよいが、封緘テープ10に対し宛先の記入された送付先情報8bを張り付けた状態でカタログ本体2に対しこの封緘テープ10を張り付けることも可能である。また、封緘テープ10の表面に送付種別情報8aとともに送付先情報8bの欄を白インクなどで刷り込んでおき、カタログ本体2に対する封緘テープ10の張り付け前後において、この送付先情報8b欄にインクジェットプリンター等により送付先の住所等をライン上又は別工程で記入するようにしてもよい。」 上記のことから、引用文献2には次の事項(以下「引用文献2記載事項」という。)が記載されていると認められる。 「印刷物本体の小口に沿って表紙の表裏に跨る帯状の封緘テープを剥離可能に接着し、その封緘テープに送付先の住所等を記入して印刷物本体を郵送すること。」 第4 対比・判断 1 対比 (1)本願発明と引用発明との対比 ア 引用発明の「綴じ部にて綴じられた冊子状印刷物」は、本願発明の「製本された冊子」に相当し、同様に、 「表裏の表紙」は「表紙及び裏表紙」に、 「綴じ部と反対側の端縁」は「自由端側」に、 「ミシン目を介して所定寸法だけ外方に延出させて」は「ミシン目を介して連続する」に、 「封緘片」は「封着片」に、 「他方の表紙側外面」は「表紙及び裏表紙の他方」に、 「接着」は「貼着」に、 「郵便等で送付するための宛名情報」は「配布先の宛名」に、 「プリントした」は「記載されている」に、相当する。 イ 上記アより、引用発明の「表裏の表紙と複数枚の本紙が一方の端縁の綴じ部にて綴じられた冊子状印刷物であって、表裏の表紙のいずれか一方を綴じ部と反対側の端縁にてミシン目を介して所定寸法だけ外方に延出させて封緘片を形成し」は、本願発明の「製本された冊子の表紙及び裏表紙のいずれか一方の自由端側に、ミシン目を介して連続する封着片が設けてあり」に相当する。 ウ また、上記ア及びイより、 引用例の「封緘片をミシン目にて他方の表紙側外面に折り曲げて接着部にて接着することにより、綴じ部と反対側の端縁を開封可能に封緘するとともに、表紙の外面の所定位置に郵便等で送付するための宛名情報等をプリントした」と、 本願発明の「封着片が上記表紙及び裏表紙の他方に剥離可能に貼着されていると共に、配布先の宛名が上記封着片に記載されている」とは、 「封着片が上記表紙及び裏表紙の他方に貼着されると共に、所定位置に配布先の宛名が記載されている」という点で共通する。 (2)してみると、本願発明と引用発明とは以下の点で一致する。 <一致点> 「製本された冊子の表紙及び裏表紙のいずれか一方の自由端側に、ミシン目を介して連続する封着片が設けてあり、該封着片が上記表紙及び裏表紙の他方に貼着されると共に、所定位置に配布先の宛名が記載されている、冊子。」 (3)一方で、本願発明と引用発明は、以下の点で相違する。 <相違点1> 封着片の貼着に関し 本願発明が「剥離可能に」と特定されるものであるのに対して、引用発明では剥離可能であるか否か不明である点。 <相違点2> 配布先の宛名が記載される所定位置に関し 本願発明が「封着片」と特定されるものであるのに対して、引用発明では上記特定を有していない点。 2 判断 (1)上記<相違点1>について ア 郵送する冊子の小口を封緘する部材を剥離可能に貼着することで、冊子の表紙を傷つけることなく、簡単に開封できるようにすることは、本願出願前に周知である(例えば、特開2003-105291号公報の【0005】、【0032】及び図5、特開2001-171267号公報の【0001】、【0015】及び図6、特開2000-351290号公報の【0052】及び図3、特開2000-239625号公報の【0004】、【0016】及び図3を参照。以下「周知技術」という。)。 イ 引用発明の「封緘片」と上記周知技術の「冊子の小口を封緘する部材」とは、「郵送する冊子の小口を封緘する部材」という点で共通することから、引用発明において、封緘片を剥離可能に貼着することにより、冊子の表紙を傷つけることなく、簡単に開封できるようになすことは、当業者が容易に着想し得たことである。 ウ 以上のことから、引用発明において、上記<相違点1>に係る本願発明の構成を採用することは、当業者が周知技術に基づいて容易になし得たことである。 (2)上記<相違点2>について ア 引用発明の「封緘片」と引用文献2記載事項の「封緘テープ」とは、「郵送する冊子の小口を封緘する部材」という点で共通していることから、引用発明において、封緘片に送付先の住所等を記入することは、当業者が容易に着想し得たことである。 イ したがって、引用発明において、上記<相違点2>に係る本願発明の構成を採用することは、当業者が引用文献2記載事項に基づいて容易になし得たことである。 また、本願発明の効果も、引用発明、引用文献2記載事項及び周知技術から当業者が予測し得る範囲内のものである。 <相違点についてのまとめ> 以上のことから、引用発明において、上記<相違点1>及び<相違点2>に係る本願発明の構成を採用することは、当業者が引用文献2記載事項及び周知技術に基づいて容易になし得たことである。 また、本願発明の奏する効果も、引用発明、引用文献2記載事項及び周知技術から当業者が予測し得る範囲内のものである。 第5 むすび 以上のとおり、本願発明は、当業者が引用刊行物に記載された発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-07-28 |
結審通知日 | 2010-07-29 |
審決日 | 2010-08-10 |
出願番号 | 特願2004-233232(P2004-233232) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B42D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 安久 司郎、小野 忠悦 |
特許庁審判長 |
赤木 啓二 |
特許庁審判官 |
湯本 照基 星野 浩一 |
発明の名称 | 冊子 |
代理人 | 的場 基憲 |