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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1224147 |
審判番号 | 不服2008-2891 |
総通号数 | 131 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-11-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-02-07 |
確定日 | 2010-09-24 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第360476号「携帯撮像記録装置及び機能設定方法」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 7月21日出願公開、特開平11-194868〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯 本願は、平成9年12月26日の出願であって、平成19年12月25日付けで拒絶査定がなされたところ、これに対して平成20年2月7日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、同年2月19日に手続補正書が提出されたものである。 2.補正却下の決定 平成20年2月19日に提出された手続補正書による補正の却下の決定 (1)[補正却下の決定の結論] 平成20年2月19日に提出された手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 (2)[補正却下の決定の理由] (a)補正の内容 本件補正によると、その特許請求の範囲の請求項1は、 「通常画面が表示される表示器にメニュー画面の表示を指示するメニュー画面選択手段と、 上記メニュー画面選択手段からの指示に基づいて、上記メニュー画面上に、電子機器の複数のグループにグループ分けされた複数の機能設定項目を識別するアイコンの表示を指示する信号を供給する表示指示手段と、 上記表示指示手段からの指示に基づいて、上記複数の機能設定項目を識別するアイコンを、上記表示器に表示されたメニュー画面上に表示する第1の表示手段と、 上記メニュー画面上に表示されたアイコンが選択されることによって、上記メニュー画面上に上記選択されたアイコンの機能設定項目のグループ名及び機能設定項目を表示する第2の表示手段と、 上記第2の表示手段によって上記メニュー画面上に表示された、上記機能設定項目のグループに属する設定項目を選択する第1の選択手段と、 上記第1の選択手段によって選択され、上記メニュー画面上に表示された機能設定項目の選択項目を選択する第2の選択手段とを有し、 上記メニュー画面の表示中に上記メニュー画面選択手段が選択されたとき、上記表示器は上記メニュー画面の表示を終了し、通常画面の表示状態に復帰するとともに、上記複数の機能設定項目には、当該携帯撮像記録装置の初期設定の項目と、当該携帯撮像記録装置による撮像映像出力先の表示装置の設定項目と、当該携帯撮像記録装置による撮像映像が記録される記録装置の設定項目とが含まれることを特徴とする携帯撮像記録装置。」 と補正されている。 (b)補正の可否の検討 以下、本件補正が、特許法第17条の2第4項第2号に規定する補正の目的の規定に該当するか否かについて検討する。 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1は、平成19年4月19日付け手続補正書により補正された次のとおりのものである。 「通常画面が表示される表示器にメニュー画面の表示を指示するメニュー画面選択手段と、 上記メニュー画面選択手段からの指示に基づいて、上記メニュー画面上に、電子機器の複数のグループにグループ分けされた複数の機能設定項目及び、該グループ分けされた複数の機能設定項目を識別するアイコンの表示を指示する信号を供給する表示指示手段と、 上記表示指示手段からの指示に基づいて、上記複数の機能設定項目を、上記グループ毎のアイコンと共に、上記表示器に表示されたメニュー画面上に表示する表示手段と、 上記メニュー画面上に表示されたアイコンを選択することによって、上記メニュー画面上に表示される機能設定項目のグループを選択する第1の選択手段と、 該第1の選択手段の選択によって、上記メニュー画面上に表示された機能設定項目のグループに属する設定項目を選択する第2の選択手段と、 該第2の選択手段によって選択され、上記メニュー画面上に表示された機能設定項目の選択項目を選択する第3の選択手段とを有し、 上記メニュー画面の表示中に上記メニュー画面選択手段が選択されたとき、上記表示器は通常画面の表示状態に復帰することを特徴とする電子機器の機能設定装置。」 本件補正後の請求項1は、補正前の請求項1の「上記メニュー画面選択手段からの指示に基づいて、上記メニュー画面上に、電子機器の複数のグループにグループ分けされた複数の機能設定項目及び、該グループ分けされた複数の機能設定項目を識別するアイコンの表示を指示する信号を供給する表示指示手段」を「上記メニュー画面選択手段からの指示に基づいて、上記メニュー画面上に、電子機器の複数のグループにグループ分けされた複数の機能設定項目を識別するアイコンの表示を指示する信号を供給する表示指示手段」とし、補正前の請求項1の「上記表示指示手段からの指示に基づいて、上記複数の機能設定項目を、上記グループ毎のアイコンと共に、上記表示器に表示されたメニュー画面上に表示する表示手段と、上記メニュー画面上に表示されたアイコンを選択することによって、上記メニュー画面上に表示される機能設定項目のグループを選択する第1の選択手段」を「上記表示指示手段からの指示に基づいて、上記複数の機能設定項目を識別するアイコンを、上記表示器に表示されたメニュー画面上に表示する第1の表示手段と、上記メニュー画面上に表示されたアイコンが選択されることによって、上記メニュー画面上に上記選択されたアイコンの機能設定項目のグループ名及び機能設定項目を表示する第2の表示手段」とする補正を含むものである。 このような補正前の請求項に記載されている発明特定事項を変更する補正を含む本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮には該当しない。 また、この補正は、同条同項1号、3号、4号のいずれに規定する補正の目的にも該当しない。 なお、審判請求人は、請求の理由の「(1)本願発明の説明」において、「なお、請求項1において、第1の表示手段ではメニュー画面上にアイコンのみを表示し、そのアイコンが選択されることで機能設定項目のグループ名や機能設定項目名が表示されるようになると補正した点は、図1のE及び明細書の段落0027に記載がある。すなわち、段落の0027には、図2Bに示されたメニュー画面は、「グループ名22がテープ設定であるグループを選択し」た画面であることが説明されており、このことから、特定のグループを選択していない状態では、図2Bに示されているような機能設定項目名や各機能設定項目の表示は行われない、つまり、図1Eに示された各アイコンのみがメニュー画面上表示されていることが分かる。」と主張しているが、本件補正は、上記のように特許法第17条の2第4項第1?4号に規定する補正の目的に該当しないものである。 (c)まとめ したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により、却下する。 3.本願発明 上記のとおり、上記本件補正は却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成19年4月19日に提出された手続補正書における特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「通常画面が表示される表示器にメニュー画面の表示を指示するメニュー画面選択手段と、 上記メニュー画面選択手段からの指示に基づいて、上記メニュー画面上に、電子機器の複数のグループにグループ分けされた複数の機能設定項目及び、該グループ分けされた複数の機能設定項目を識別するアイコンの表示を指示する信号を供給する表示指示手段と、 上記表示指示手段からの指示に基づいて、上記複数の機能設定項目を、上記グループ毎のアイコンと共に、上記表示器に表示されたメニュー画面上に表示する表示手段と、 上記メニュー画面上に表示されたアイコンを選択することによって、上記メニュー画面上に表示される機能設定項目のグループを選択する第1の選択手段と、 該第1の選択手段の選択によって、上記メニュー画面上に表示された機能設定項目のグループに属する設定項目を選択する第2の選択手段と、 該第2の選択手段によって選択され、上記メニュー画面上に表示された機能設定項目の選択項目を選択する第3の選択手段とを有し、 上記メニュー画面の表示中に上記メニュー画面選択手段が選択されたとき、上記表示器は通常画面の表示状態に復帰することを特徴とする電子機器の機能設定装置。」 4.引用例 4-1 原査定の拒絶の理由に引用された、特開平5-207343号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、以下のような記載がある。 (イ)「【0013】 【課題を解決するための手段】そこで、本発明映像機器におけるモード選択装置は上記した課題を解決するために、操作モードに関する主メニューを表示手段に表示し又は表示を消すための第1の入力手段と、メニュー表示された選択肢の内所望の項目を選択するための第2の入力手段と、選択したモードを確定するための第3の入力手段とこれによって確定したモードを保持する保持手段とを設けるとともに、入力手段からの指示に応じて主メニューの配下に階層構造をもって設けられる副メニューを作成し主メニューとともに表示手段に送出し、かつ保持手段による設定モード情報に基づいて現在の設定モードに係る項目を他と区別して表示するメニュー作成手段を設けたものである。 【0014】 【作用】本発明によれば、第1の入力手段によってメニュー表示を行った後、第2の入力手段により所望のモードを選んでこれを第3の入力手段によって確定するにあたって、主メニューの配下に階層構造をもって設けられる副メニューを作成しこれを主メニューとともに表示してメニュー表示を参照しながらモード設定を行うことができる。 【0015】よって、操作手順については、主メニューからその下層に位置する副メニューへと順番に進んで行けば良く、また、各メニューにおけるモード設定を選択と確定という統一された操作によって必要最小限のキーのみで行うことができる。 【0016】そして、モード数の多いサブメニューについては、階層構造を採用することによって表示が煩雑化しないように考慮し、かつ、サブメニューに係るモードの選択時には、主メニューを消さずにこれを残して副メニューとともに表示することにより、最上位である主メニューと副メニューとの観念的なつながりを常に把握することができ、また、現在の設定モードに係る項目を他と区別して表示することによって重複した設定操作の無駄を省くことができる。」(段落【0013】?【0016】) (ロ)「【0017】 【実施例】以下に、本発明映像機器におけるモード選択装置を、小型ビデオカメラに適用した実施例に従って説明する。 【0018】図1はビデオカメラ1の概要を示すものである。 【0019】被写体からの光はレンズ2を通ってCCD型エリアイメージセンサー等の固体撮像素子3に受光した後カメラ信号プロセス回路4に送出される。 【0020】カメラ信号プロセス回路4においてマトリクス処理により色再現に係る処理等を施された後の映像出力は混合部5に送られ、ここで後述するOSDC(On Screen Display Controller)部からのメニュー表示信号と合成された後、EVF6に送出されたり、ビデオ信号出力端子7を介して図示しない外部モニタ等に出力されるようになっている。 【0021】8は入力部であり、メニューキー9、選択リング10、送り/確定キー11を有する。 【0022】これらのキーのうち、メニューキー9はモード設定に係るメインメニューの表示を行うために設けられたキーであり、選択リング10はモード設定に係る選択肢を選択するために設けられており、また、送り/確定キー11は、あるメニューからその下の階層に位置するサブメニューへの送り(移行)や選択リング10によって選んだ項目について確定するために設けられている。」(段落【0017】?【0022】) (ハ)「【0027】メニュー作成部15は、設定モード状態記憶部16やカーソル位置記憶部17、表示データ作成部18、OSDC部19とからなっている。 【0028】表示データ作成部18は、設定モード状態記憶部16やカーソル位置記憶部17の記憶情報を参照しながら、上記キー入力部12からの信号を受けてメニュー表示情報を作り出してこれをOSDC部19を介して混合部5に送出したり、既定モード等の予め決められている情報については、これらを設定モード状態記憶部16やカーソル位置記憶部17に保持するようになっている。 【0029】図4は、上記ビデオカメラ1におけるメニュー表示を概念的に示すものであり、この例では画面の横方向において、左に行くに従ってメニューの階層が下るように配置された表示形式が用いており、画面の縦方向には同等の資格をもった選択肢が並列的に配列されるように決められている。 【0030】即ち、画面20が横方向に亘って3分の1に区分けされており、メインメニューの表示領域21が最も左寄りに位置、その右隣の領域22がその直下のサブメニュー(図では「サブ(1)」と記す。)の表示領域とされ、そしてその右隣に位置する領域23がさらにその下のサブメニュー(図では「サブ(2)」と記す。)の表示領域とされている。」(段落【0027】?【0030】) (ニ)「【0034】図5乃至図9は、タイトル色を選択する際の操作例を示すものであり、この場合、メインメニューの下には色の選択に係る一のサブメニューだけが存在する。 【0035】1)メニューキーの押圧。 【0036】先ず、メニューキー9を押すと図5に示すように画面上にメインメニューが表示される。その際、メインメニューの最上位に位置するモード(図では「撮影モード」)が反転表示され、このモードに対するサブメニューが領域22に表示される。 【0037】そして、サブメニューにおいては、既に設定されているモード(図では「AEオート」)が反転表示される。 【0038】2)選択リングによる「タイトル色」の選択。 【0039】次に、選択リング10を回すと、その回転方向に応じてメインメニューの反転表示が上下に移動する(図6参照。)。 【0040】その際、選択リングの回転速度が遅い場合にはメインメニューのうち反転表示された項目に対してするサブメニューが表示されるが、選択リングの回転速度が速い場合には、メインメニューの選択項目に対するサブメニューの表示は行われない。 【0041】尚、図6ではメインメニューの項目「タイトル色」に関して現在の設定モードが「アカ」であることが、反転表示によって示されている。 【0042】3)送り/確定キーの押圧。 【0043】送り/確定キー11を押圧すると、図7に示すように、現在の選択されているモード「アカ」の先頭にカーソル24が表示される。 【0044】4)選択リングを用いたサブメニューのモード選択。 【0045】選択リング10を回すと、その回転方向に対応してカーソル24が上下方向に移動する(図8ではカーソルが下方に移動し、「クロ」の位置を指している。)。 【0046】つまり、カーソル24は、選択リング10の回転に合わせて選択されるモードを指し示している。 【0047】尚、既定のモードに対しては、その項目が反転表示されたままである。 【0048】5)送り/確定キーの押圧。 【0049】送り/確定キー11を押すと、図9に示すようにサブメニューのモードが確定する。図ではそれまで「アカ」であったタイトル色が「クロ」に設定される。そして、メインメニューについて選択を行い得る状態に戻る。 【0050】6)メニューキーの押圧。 【0051】メニュー表示が画面から消えてこれまで行ってきた一連のモード設定操作が終了する。 【0052】次に、サブメニューが複数の階層に亘って存在する場合のモード設定操作について、図10に示す表示例に従って説明する。 【0053】尚、図10ではタイトルに関して反転表示を行うか否か、そして各場合におけるスクロールの有無及び向きの指定についての設定例を示している。 【0054】メインメニューの直ぐ下に位置するサブメニューに係る操作については、上記した1)乃至3)の手順と同様にして行えば良く、メニューキー9の押した後に選択リング10を用いて「タイトル」を選択してから送り/確定キー11を押す。 【0055】4′)選択リングや送り/確定キーの操作。 【0056】既に送り/確定キー11の押圧によってサブメニューが表示されているので、選択リング10によって所望の項目を選んで送り/確定キー11によりこれを確定する。 【0057】これによって、その下のサブメニューが表示されるので、上記4)、5)と同様の操作で選択肢の一を選んで確定する。」(段落【0034】?【0057】) (ホ)「【0066】以上の選択操作を途中で中断する場合には、サブメニューでのモード選択時にメニューキー9を押せば、最後に送り/確定キー11を押したときの状態に戻り、そのメニュー表示が消えるようになっている。」(段落【0066】) (ヘ)「【0070】メニュー表示については、メニュー作成部15の表示データ作成部18が設定モード状態記憶部16やカーソル位置記憶部17の記憶情報を参照しながら、メインメニューの場合には最上端の項目を反転表示し、またサブメニューの場合には既定モードに係る項目を反転表示して行う。そして、表示データ作成部18によって得られるメニュー表示データはOSDC部19を介して文字や図形信号となって混合部5で映像信号とスーパーインポーズされ、合成出力がEVF6や外部モニタに送出される。」(段落【0070】) (ト)「【0086】また、メニュー表示に関しては、様々な表現形態を採ることができ、例えば、選択した項目の表示に関して上記の例では、選択項目の指示を3角形状のカーソルによって行ったが、項目の色分けや表示文字に種類を変えることによって選択した項目とそれ以外の項目とを区別するようにしたり、選択した項目をブリンク表示で区別しても良い。 【0087】そして、選択肢の表現方法についても文字による表示に限らず、アイコンを取り入れたり、また、量の設定、例えば、日時の設定を行うような場合に、図14に示すように数字を列記するディジタル的な表現形態の他、図15に示すようバーグラフ表示によるアナログ的な表現形態を採ることができる。 【0088】そして、メニューの形状に関しても選択肢を直線的に配置する他、曲線的或いは円環状に配置する等、操作や選択肢の把握についての容易性を考慮して決定することが好ましい。」(段落【0086】?【0088】) (チ)「【0095】また、本発明はビデオカメラに限らず、VTR等の映像機器に広く適用することができることは勿論である。」(段落【0095】) 以上の記載によれば、この引用例1には以下のような発明(以下、「引用例1発明」という。)が開示されていると認められる。 「メニュー表示データは映像信号とスーパーインポーズされ、合成出力がEVFや外部モニタに送出され、 画面上にモード設定に係るメインメニューの表示を行うためのメニューキー9と、モード設定に係る選択項目を選択するための選択リング10と、あるメニューからその下の階層に位置するサブメニューへの送り(移行)や選択リング10によって選んだ項目について確定するための送り/確定キー11を設け、 上記メニューキー9を押すと画面の表示領域21にメインメニューの選択項目が表示され、メインメニューの最上位に位置する項目が反転表示され、反転表示されているメインメニューの項目に対するサブメニューの選択項目が表示領域22に表示され、 選択リング10を回すと、その回転方向に応じて上記メインメニューの反転表示が上下に移動し、メインメニューのうち反転表示された項目に対するサブメニューが画面の表示領域22に表示され、 送り/確定キー11を押圧するとサブメニューの選択項目の先端にカーソルが表示され、選択リング10を回すと、その回転方向に対応して上記カーソルが上下方向に移動して選択される項目を指し示し、 送り/確定キー11を押圧すると、上記カーソルが指し示しているサブメニューの項目が確定し、その下の階層のサブメニューの選択項目が画面の表示領域23に表示され、そのサブメニューの項目を選択リング10で選択して確定キー11で確定し、 選択操作を途中で中断する場合には、サブメニューでのモード選択時にメニューキー9を押せば、最後に送り/確定キー11を押したときの状態に戻り、そのメニュー表示が消えるようになっており、サブメニューのモードが確定して、メインメニューについて選択を行い得る状態に戻った際に、メニューキー9を押圧するとメニュー表示が画面から消えてこれまで行ってきた一連のモード設定操作が終了するビデオカメラにおけるモード選択装置。」 4-2 原査定の拒絶の理由に引用された、特開平5-244527号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、以下のような記載がある。 (イ)「【0013】 【実施例】実施例1.図1は本発明の一実施例を示す子画面に操作画面を表示する映像子画面回路の構成図である。図において、1は入力切り換え回路、2はビデオ・クロマジャングル回路、3は映像子画面処理回路、4はグラフィックコントローラ、5は操作画面メモリ、6は子画面メモリ、7はマトリクス回路、8は映像子画面切り換え回路である。 【0014】図2は本発明の一実施例を示す概念図である。図において、9は親画面、10は子画面、11は親子合成画面、12はカーソル、13はリモコンである。 【0015】図3はジョイスティック付きのリモコンを示す図である。図において、14はジョイスティック、15は選択ボタン、16は解除ボタンである。 【0016】図4はジョイパッド付きのリモコンを示す図である。図において、17はジョイパッドである。 【0017】図5は操作画面の操作の一例を示す図である。図において、18はメインメニュー、19,20はサブメニュー、21ないし26はアイコンである。 【0018】次に動作について説明する。図1を従来例と比較すれば、映像子画面処理回路3と並列にグラフィックコントローラ4と操作画面メモリ5が挿入された以外は従来例と同じであり、重複する部分は省略する。 【0019】前に述べたように、子画面のテレビ信号は入力切り換え回路1に入力され、映像子画面出力回路8で出力されるまでの信号の処理は従来と同じである。しかし、操作画面の表示要求があった場合、入力切り換え回路1に入って来る信号を遮断し、グラフィックコントローラ4よりメインメニュー等の操作画面とカーソルを操作画面メモリ6に一旦蓄え、親画面の同期に一致するように読み出し、マトリクス回路7と映像子画面切り換え回路8を通って親画面に挿入される。 【0020】図2は操作の概念を示しており、子画面機能により、親画面9の中に子画面10を表示され親子合成画面11となる。上記子画面10には操作画面を表示する。上記操作画面中にあって機能を指示するカーソル12はリモコン13によって操作する。 【0021】図3は上記リモコン13を示しており、上記カーソル12はリモコン13のジョイスティック14によって前後左右斜め方向に制御できる。上記カーソルを希望するアイコン上に移動させ、選択ボタン15を押す。また、選択ミスがあった場合、解除ボタン16を押すことによって回避する。」(段落【0013】?【0021】) (ロ)「【0023】図5は操作画面の操作の一例を示しており、メインメニュー18において、AVイコライジングのアイコン21上にカーソル12をリモコン13のジョイスティック14で移動させ、選択ボタン15を押す。これで選択が完了し、AVイコライジングのサブメニュー19に画面が移り、AVメモリのアイコン22を選択する。次にAVメモリのサブメニュー20に移り、映像調節の内容が表示さのある機能のアイコン上にカーソル12をもっていき選択ボタン15を押したまま、ジョイスティック14をプラス方向、またはマイナス方向に移動させ、希望の値の場所で選択ボタン15をはなす。機能変更終了後、メモリのアイコン25、続いて終了のアイコン26を選択する。」(段落【0023】) 5.対 比 本願発明と引用例1発明とを対比する。 引用例1発明の「EVFや外部モニタ」は、映像出力を画面に表示するから、本願発明の「通常画面が表示される表示器」に相当する。 引用例1発明の「メニューキー9」は、押すと画面の表示領域21にメインメニューの選択項目が表示され、メインメニューの最上位に位置する項目が反転表示され、反転表示されているメインメニューの項目に対するサブメニューの選択項目が画面の表示領域22に表示されるから、本願発明の「通常画面が表示される表示器にメニュー画面の表示を指示するメニュー画面選択手段」に相当する。 引用例1発明の「ビデオカメラ」は、本願発明の「電子機器」に相当し、引用例1発明の「ビデオカメラにおけるモード選択装置」は、本願発明の「電子機器の機能設定装置」に相当する。 引用例1発明の「メインメニューの項目に対するサブメニューの選択項目」は、本願発明の「電子機器の複数のグループにグループ分けされた複数の機能設定項目」及び「機能設定項目のグループに属する設定項目」に相当し、引用例1発明の「メインメニューの選択項目」は、本願発明の「電子機器の複数のグループにグループ分けされた複数の機能設定項目を識別するアイコン」と「電子機器の複数のグループにグループ分けされた複数の機能設定項目を識別する選択項目」の点で共通するといえる。 引用例1発明は、メニューキー9を押圧すると画面の表示領域21にメインメニューの選択項目が表示され、メインメニューの最上位に位置する項目が反転表示され、反転表示されているメインメニューの項目に対するサブメニューの選択項目が画面の表示領域22に表示されるから、本願発明の「メニュー画面選択手段からの指示に基づいて、メニュー画面上に、電子機器の複数のグループにグループ分けされた複数の機能設定項目及び、該グループ分けされた複数の機能設定項目を識別するアイコンの表示を指示する信号を供給する表示指示手段」を有する点と「メニュー画面選択手段からの指示に基づいて、メニュー画面上に、電子機器の複数のグループにグループ分けされた複数の機能設定項目及び、該グループ分けされた複数の機能設定項目を識別する選択項目の表示を指示する信号を供給する表示指示手段」を有する点で共通する。 引用例1発明の「選択リング10」と、その操作による処理は、 「選択リング10」の回転方向に応じてメインメニューの反転表示が上下に移動し、メインメニューのうち反転表示された項目に対するサブメニューの選択項目が表示され、 上記表示されたサブメニューの項目の先端に表示されたカーソルが、「選択リング10」の回転方向に応じて上下方向に移動して選択されるサブメニューの項目を指し示し、 上記選択された項目の下の階層のサブメニューの選択項目が表示され、そのサブメニューの項目を「選択リング10」で選択するから、 本願発明の「上記メニュー画面上に表示されたアイコンを選択することによって、上記メニュー画面上に表示される機能設定項目のグループを選択する第1の選択手段」と「上記メニュー画面上に表示された選択項目を選択することによって、上記メニュー画面上に表示される機能設定項目のグループを選択する第1の選択手段」で共通し、また、本願発明の「第1の選択手段の選択によって、上記メニュー画面上に表示された機能設定項目のグループに属する設定項目を選択する第2の選択手段」及び「該第2の選択手段によって選択され、上記メニュー画面上に表示された機能設定項目の選択項目を選択する第3の選択手段」に相当している。 引用例1発明は、メニューキー9を押圧するとメニュー表示が画面から消えるから、本願発明の「上記メニュー画面の表示中に上記メニュー画面選択手段が選択されたとき、上記表示器は通常画面の表示状態に復帰する」と「上記メニュー画面の表示中に上記メニュー画面選択手段が選択されたとき、そのメニュー画面を消す」点で共通するといえる。 そうすると、両者は、 「通常画面が表示される表示器にメニュー画面の表示を指示するメニュー画面選択手段と、 上記メニュー画面選択手段からの指示に基づいて、上記メニュー画面上に、電子機器の複数のグループにグループ分けされた複数の機能設定項目及び、該グループ分けされた複数の機能設定項目を識別する選択項目の表示を指示する信号を供給する表示指示手段と、 上記表示指示手段からの指示に基づいて、上記複数の機能設定項目を、上記グループ毎の複数の機能設定項目を識別する選択項目と共に、上記表示器に表示されたメニュー画面上に表示する表示手段と、 上記メニュー画面上に表示された上記グループ毎の複数の機能設定項目を識別する選択項目を選択することによって、上記メニュー画面上に表示される機能設定項目のグループを選択する第1の選択手段と、 該第1の選択手段の選択によって、上記メニュー画面上に表示された機能設定項目のグループに属する設定項目を選択する第2の選択手段と、 該第2の選択手段によって選択され、上記メニュー画面上に表示された機能設定項目の選択項目を選択する第3の選択手段とを有し、 上記メニュー画面の表示中に上記メニュー画面選択手段が選択されたとき、そのメニュー画面を消すことを特徴とする電子機器の機能設定装置。」 で一致するものであり、次の(1)、(2)の点で相違している。 (1)表示指示手段からの指示に基づいて、メニュー画面上に表示され、選択することによって、メニュー画面に表示される機能設定項目のグループを選択する、「グループ分けされた複数の機能設定項目を識別する(グループ毎の)選択項目」が、本願発明は、「アイコン」であるのに対し、引用例1発明では、メインメニューの選択項目である点。 (2)本願発明は、「上記メニュー画面の表示中に上記メニュー画面選択手段が選択されたとき、上記表示器は通常画面の表示状態に復帰する」のに対し、引用例1発明は、「サブメニューでのモード選択時にメニューキー9を押せば、最後に送り/確定キー11を押したときの状態に戻り、そのメニュー表示が消えるようになっており、サブメニューのモードが確定して、メインメニューについて選択を行い得る状態に戻った際に、メニューキー9を押圧するとメニュー表示が画面から消えてこれまで行ってきた一連のモード設定操作が終了する」点。 6.当審の判断 ・相違点(1)について 引用例1には、「そして、選択肢の表現方法についても文字による表示に限らず、アイコンを取り入れたり、また、量の設定、例えば、日時の設定を行うような場合に、図14に示すように数字を列記するディジタル的な表現形態の他、図15に示すようバーグラフ表示によるアナログ的な表現形態を採ることができる。」(記載事項(ト)段落【0087】)と記載されており、メニューの選択項目をアイコンで表現することが示唆されている。 そして、引用例2には、メインメニュー18においてアイコン21を表示し、アイコンを選択すると、選択したアイコンに対応するサブメニューが表示されることが記載されている。 したがって、引用例1発明において、メインメニューの選択項目を「アイコン」にすることは当業者が容易になし得ることである。 ・相違点(2)について 引用例1発明は、サブメニューのモードが確定して、メインメニューについて選択を行い得る状態に戻ったときではあるが、メニューキー9を押圧するとメニュー表示が画面から消えてこれまで行ってきた一連のモード設定操作が終了するものであり、メニューの表示中にメニューキー9が押圧されたとき、画面からメニュー表示を消して通常画面の表示状態にすることが示されている。 したがって、引用例1発明において、メニュー画面の表示中にメニューキー9が押圧されたとき、表示器は通常画面の表示状態に復帰するようにすることは、当業者が必要に応じて適宜なし得る設計変更にすぎない。 また、本願発明により奏される効果は当業者であれば引用例1発明及び、引用例2記載の技術から予想できる範囲内のものである。 7.むすび 以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、引用例1発明及び引用例2に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-07-22 |
結審通知日 | 2010-07-27 |
審決日 | 2010-08-10 |
出願番号 | 特願平9-360476 |
審決分類 |
P
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8・
572-
Z
(G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 近藤 聡、久保田 昌晴 |
特許庁審判長 |
和田 志郎 |
特許庁審判官 |
安久 司郎 篠塚 隆 |
発明の名称 | 携帯撮像記録装置及び機能設定方法 |
代理人 | 伊藤 仁恭 |
代理人 | 角田 芳末 |