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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G03B
管理番号 1224151
審判番号 不服2008-9759  
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-04-17 
確定日 2010-09-24 
事件の表示 特願2003- 92348「カメラシステム、カメラ及び交換レンズ」拒絶査定不服審判事件〔平成16年10月28日出願公開、特開2004-301939〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本件出願(以下「本願」と記す。)は、平成15年3月28日の出願であって、平成20年3月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月17日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年5月19日付けで手続補正がなされ、これに対し平成22年4月28日付けで平成20年5月19日付け手続補正に対する補正の却下の決定がなされるとともに拒絶理由が通知され、これに対し同年7月1日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成22年7月1日付けの手続補正について
平成22年7月1日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、明細書を補正するものであって、その補正内容は、平成19年7月23日付けの手続補正による補正後の特許請求の範囲のうち、請求項1と請求項3と請求項4の構成を全て備えたカメラシステムを新たな請求項1とし、請求項5乃至6を新たな請求項2乃至3とし、請求項7と請求項9と請求項10の構成を全て備えたカメラを新たな請求項4とし、請求項11乃至12を新たな請求項5乃至6とし、請求項13と請求項14の構成を全て備えた交換レンズを新たな請求項7とし、新たな請求項1乃至7の記載内容に対応して明細書の発明の詳細な説明の【0025】【0026】【0027】及び【0170】段落の記載を修正するものである。

3.本願の請求項7に係る発明について
本願の請求項7に係る発明(以下「本願発明」と記す。)は、本件補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項7に記載された事項により特定された以下のとおりのものである。
「【請求項7】
光学系の角度を光学的に補正する光学補正手段を有し、所定のカメラに装着される交換レンズであって、
上記カメラから送信される補正角度情報を受信して上記光学補正手段に入力する受信手段と、
上記光学補正手段の現在位置情報を上記カメラに送信する送信手段と、
上記光学補正手段で補正可能な角度変位である補正最大角度情報を算出する補正最大角度情報算出手段と、
上記補正最大角度情報算出手段によって算出された上記補正最大角度情報を上記カメラに送信する第1の送信手段を備えることを特徴とする交換レンズ。」

4.引用刊行物記載の発明
これに対して、平成22年4月28日付けの拒絶理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開平6-250272号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、以下の技術事項が記載されている。
(a)「【0026】図1は本発明の第1実施例で、複数のカメラボディと複数の交換レンズで構成されるカメラシステムにおいて、該システムの任意のカメラボディCMR1と、任意の交換レンズLNS1を組合わせた像ブレ補正カメラシステムを示す図である。そして図1において図3と同一の符号で表わされた要素は同一の作用をする要素である。
【0027】カメラCMR1はメインミラーMM、ペンタプリズムPP、シャッタ装置STR及びフィルムFMを有する。またカメラCMR1に生じた手ブレ角変位を検出する角変位系SAとカメラCMR1の一連の露光及びフィルム巻上げ動作を制御すると共に手ブレ角変位を演算するカメラ内マイコンCCPU1を有する。
【0028】スイッチSW1、SW2は不図示のレリーズボタンの第1及び第2ストロークでオンするスイッチで、像ブレ補正開始や露出制御のトリガーとなるスイッチである。
【0029】BATはDC/DCコンバータを含む電源でカメラCMR1及びレンズLNS1内の回路やアクチュエータに基準電位V_(cc)の電源を供給する。
【0030】次に交換レンズLNS1の説明をする。
【0031】レンズLNS1の光学系は図に示した4つの群に相当するL1ないしL4の4つのレンズ群より成り、L1、L2、L3が所定の関係で光軸方向に進退してズーミングを行い、L1の進退によりフォーカシングを行う。
【0032】ENCZ、ENCBはそれぞれズーム位置、フォーカス位置を検出するエンコーダで、通常はグイレコードパターンと検出ブラシで構成される。
【0033】第2群L2は像ブレ補正レンズであり光軸に垂直な面内で2次元方向に駆動可能に支持され、アクチュエータIACTでシフト駆動される。CETDはブレ補正レンズの変位量d_(L)を検出する変位検出器である。
【0034】LCPU1は像ブレ補正制御を行うレンズマイコンである。
【0035】そしてカメラCMR1とレンズLNS1は係合マウント部において3組の信号ラインDCL、DLC、DCL2と1組の電源ラインVBAT及びグラウンドラインGNDで電気的に接続されている。ラインDCLはカメラからレンズへコマンド、データ等を通信するライン、ラインDLCはレンズからカメラへコマンド、データ等を通信するライン、ラインDCL2はカメラからレンズへアナログのブレ信号を送信するラインである。またラインVBATを通じてカメラからレンズのレンズ内マイコンとLCPU1およびアクチュエータIACT等に電源が供給される。
【0036】次に像ブレ補正の制御ブロックについて説明する。
【0037】カメラCMR1はブレ検出センサとして角変位計SAを有し、手ブレ角変位θを電圧信号V_(1)として出力する。
【0038】信号V_(1)はセンサー信号増幅アンプAMP2で増幅されて信号V2となる。
【0039】可変アンプAMPC1はブレ検知センサのスケールファクタ誤差を調整するための増幅率可変アンプで、図4に示す様にオペアンプと可変抵抗器で構成される。そしてアンプAMPC1の出力信号V_(2C)をモニターするチェック端子CH1により、調整結果が確認できる。すなわちカメラCMR1を過信装置に載せて所定振幅で加振した時、端子CH1の信号が所定振幅になる様可変アンプAMPC1を調整する。
【0040】可変アンプAMP3は後述する図7にて説明される様に交換レンズLNS1側の像ブレ補正特性の違いを補正するアンプであり、図5のごとく、オペアンプとMOSトランジスタT_(r1)にて構成される。ここで、レンズマイコンLCPU1が、結像光学系のズーム及びフォーカス状態をエンコーダENCZ、ENCFを介して検知し、該マイコンLCPU1のROMに格納されたデータをラインDLCを介してカメラ内マイコンCCPU1に通信する。そしてカメラ内マイコンCCPU1はこの情報をD/A変換器DAC3でDA変換し、そのアナログ出力V_(A3)をラインSV_(A3)にて該アンプAMP3内のトランジスタT_(r1)に出力すると、トランジスタT_(r1)の抵抗値が変化し、該アンプAMP3の増幅率A_(3)を変化させる事ができる。
【0041】該アンプAMP3の出力V_(3)はラインDCL2を介してレンズLNS1に送信される。
【0042】なお可変アンプAMPC1の調整に際し、信号V_(2c)をモニターする代わりに信号V_(3)をモニターしても構わない。この場合、アンプAMP3の増幅率A_(3)は調整用のデフォルト値になる様にカメラ内マイコンCCPU1のプログラムを作成しておけば良い。
【0043】レンズLNS1に入力される信号V_(3)は可変アンプAMPL1に入力される。該アンプAMPL1は像ブレ補正光学機構のスケールファクタを調整するための増幅率可変アンプで、図2に示したカメラ内のアンプAMPC1と同様の構成である。そして該アンプAMPL1の増幅率A_(VRL1)の調整は以下のように行う。
【0044】まず、結像面にエリアセンサを有した工具カメラに被験レンズLNS1を装着し、結像光学系の前方(図1の右方)からレーザー光線を入射させる。そして像ブレ補正機構を動作させながら工具カメラのDCL2端子より所定振幅の信号V_(3)をレンズLNS1に入力すると工具カメラのエリアセンサ上のレーザースポットが移動する。そして該スポットの移動変位が入力信号V_(3)と所定の関係になる様にアンプAMPL1の増幅率A_(VRL1)を調整する。
【0045】アンプAMPL1の出力信号V_(3L)がブレ補正レンズL2の駆動変位指令信号として加算器ADDに入力される。加算器ADDの出力信号V_(3L)-V_(L)は位相補償回路COMPを介して信号V_(ACT)になり、これが像ブレ補正アクチュエータIACTに入力され該アクチュエータIACTは像ブレ補正レンズL2を偏心駆動する。そして該レンズL2の変位量d_(L)が変位検出器DETDで検出されて、その検出値に相応するレンズ変位信号V_(L)として出力され、これが加算器ADDに反転入力される事でフィードバックループが形成される。」

(b)「【0075】図8は本発明の第2実施例のカメラシステム構成を示すブロック図で、カメラボディCMR2,交換レンズLNS2より構成される。本実施例では手ブレ信号はカメラ内マイコンCCPU2でディジタル信号に変換されてラインDCL2を介してレンズに送信され、レンズ内マイコンLCPU2は該信号に従って像ブレ補正レンズをディジタル制御する。またレンズ、カメラの手ブレ信号のスケールファクタ調整用としてカメラ内にE^(2)PROM1(電気的書込消去可能ROM)、レンズ内にE^(2)PROM2を有している。
【0076】次に図8に示される像ブレ補正機能を有するカメラシステムの構成についてさらに詳細に説明する。
【0077】SA,AMP2は第1の実施例と同様のブレ検知センサ及びアンプである。アンプAMP2からの手ブレ信号V_(2)はカメラ内マイコンCCPU2のA/D変換器ADC1でディジタル変換され、信号V_(2D)として出力される。
【0078】可変アンプAMPC2はカメラ側の手ブレ信号のスケールファクタ調整用増幅手段で、E^(2)PROM1に内蔵された調整値を用いて手ブレ信号V_(2D)をV_(2CD)に変換する。該調整値の書込みは、カメラボディCMR2に調整用工具レンズを取付けて加振台上で加振し、ラインDCL2から出力される手ブレ信号ディジタル値を工具レンズが所定値と比較し、所定値とのズレ量に応じた調整地を工具レンズよりラインDLCを介してカメラ内マイコンCCPU2に送信し、マイコンCCPU2は該調整値をE^(2)PROM1に書込む。
【0079】従ってブレ検知センサSAにスケールファクタ誤差があってもラインDCL2から出力されるブレ信号V_(2CD)は誤差が補正された所定のスケールファクタを有する。
【0080】レンズに入力されたブレ信号V_(2CD)はレンズ側のスケールファクタ調整用増幅手段AMPL2で信号V_(2LD)に変換される。そして該増幅手段AMPL2の増幅率A_(VRL2)はE^(2)PROM2の調整データにより決定される。該調整データの書込みは第1の実施例と同様にエリアセンサを有した工具カメラとレーザー光源を用意し、レンズLNS2のブレ補正レンズを所定振幅で駆動した時のレーザースポット変位量を検出し、該スポット変位量の所定値からのズレに応じた調整値を工具カメラよりラインDCLを介してレンズ内マイコンLCPU2に送信する。そしてマイコンLCPU2が該調整値をE^(2)PROM2に書込む。
【0081】増幅手段AMPL2からの出力信号V_(2LD)は可変増幅手段AMP4にて信号V_(4D)に変換される。ここで増幅手段AMP4の増幅率A_(4)は式5にて示された値であり、第1の実施例での増幅器AMP3の作用に相当する。
【0082】信号V_(4D)は加算器ADD2,位相補償回路COMP2を経てD/A変換器DAL1でアナログ変換され、変換信号V_(ACT)にて像ブレ補正アクチュエータIACTが駆動される。そして像ブレ補正レンズL2の変位d_(L)に相応する変位信号V_(L)がマイコンLCPUのA/D変換器ADL1でディジタル変換され、変換信号V_(LD)が加算器ADD2に反転入力される。
【0083】以上の構成ではカメラからレンズへのブレ信号はディジタルデータV_(2CD)として送信される。この場合、ブレ信号のダイナミックレンジを制限するのは通常カメラ内マイコンCCPU2のA/D変換器・ADC1のA/D分解能である。一般的に手ブレ信号は10?12bitの分解能が要求される。するとA/D変換器ADC1も10?12bit分解能を有するものが必要になる。この時マイコンCCPU2には8bitあるいは16bitのマイコンが使用されるが、どちらの場合もブレ信号V_(2CD)は8×2=16あるいは16×1=16bitのデータとして送信される。すなわちブレ信号V_(2CD)のダイナミックレンジはA/D変換器ADC1のダイナミックレンジより大きい。従って図8の様な像ブレ補正システムでは、いくつかの交換レンズのうち、角度換算で最も像ブレ補正範囲が広いレンズのぶれ変位角θmaxに対してブレ信号V_(2)が飽和せず、かつA/D変換も可能となる様に、アンプAMP2の増幅率A_(2)を定めれば良い。この時には任意のカメラボディと任意の交換レンズの組合わせにおいて、ラインDCL2から送信されるディジタル化されたブレ信号V_(2CD)のスケールファクタ(単位ブレ角当たりのディジタル出力値)は常に一定となる。」

(c)「【0105】図11は上記事情を考慮したカメラボディCMR3及び交換レンズLNS3より構成された本発明の第3の実施例のカメラシステムである。図8の第2の実施例と異なる箇所は、カメラCMR3において、増幅器AMP2とA/D変換器ADC1の間に増幅率A_(5)が可変のアンプAMP5が追加され、レンズLNS3においてはマイコンLCPU3内の増幅手段AMP4と加算器ADD2の間に増幅率A_(6)が可変の増幅手段AMP6が追加されている。そして追加された2つの増幅手段の増幅率A_(5),A_(6)は交換レンズの像ブレ補正範囲θmaxに対して
【0106】
【外2】


となる様に設定される。するとθmaxが大きい場合、A_(6)は大、A_(5)は小という設定になるため、ブレ信号V_(2)はA/D変換器ADC1の前でゲインA_(5)にて圧縮され、レンズ内でゲインA_(6)にて拡大されて元の値に戻る。θmaxが小さい場合はその反対である。すなわち、交換レンズの最大ブレ補正範囲に対する手ブレ信号V_(2)′がA/D変換器ADC1の入力許容最大値に一致するので、どの様な特性の交換レンズが装着されても、A/D変換器ADC1の分解能を最も有効に利用できる様に作用する。そしてカメラ側の増幅率A_(5)はレンズ側よりラインDLCを介して通信される。
【0107】図12は第3の実施例のカメラ内マイコンCCPU3の制御を示すフローチャートである。
【0108】ステップ(201)ないし(204)は図9の第2の実施例のフローチャートと同一である。
【0109】ステップ(202)でスイッチSW1がオンと判定され、ステップ(211)でIS開始命令を送信すると、ステップ(212)ではレンズに対し、図11で示したアンプAMP5のゲインA_(5)に対応するデータの送信命令を出力する。
【0110】ステップ(213)ではレンズよりA_(5)データを受信し、ステップ(214)でアンプAMP5のゲインをA_(5)に設定する信号を出力する。該アンプAMP5は第1の実施例にて図5で示したものと同様のアンプが用いられる。
【0111】ステップ(215)ないし(222)は図9のステップ(112)ないし(119)と同等の作用をするが、取扱うブレ信号が図9ではV_(2),V_(2CD)であるのに対し、当実施例ではV′_(2),V′_(2CD)である点が異なっている。
【0112】図13は第3の実施例におけるレンズLNS3の制御を示すフローチャートである。
【0113】ステップ(231)ないし(234)は第2の実施例の図10におけるステップ(131)ないし(134)と同一の作用をする。
【0114】ステップ(232)においてカメラよりIS開始命令が来た事を判断するとステップ(241)へ移り、ズームゾーン,フォーカスゾーン検知を行なう。
【0115】ステップ(242)でカメラからのゲインA_(5)に関するデータ送信命令を受信するとステップ(243)では、ステップ(241)にて検知したズームゾーン,フォーカスゾーンに対応したA_(5)に関するデータをマイコンLCPU3のROMより読み出し、ステップ(244)で、このデータをカメラに送信する。
【0116】ステップ(245)ないし(254)は図10のステップ(142)ないし(151)と同様であるが、ステップ(247)(248)のみやや異なる。ステップ(247)ではカメラよりブレ信号V′_(2CD)を受信する。次いでステップ(248)では受信した信号V′_(2CD)に対し、図11に示す3個の増幅手段AMPL2,AMP4,AMP6のゲインA_(VRL2),A_(4),A_(6)を乗じてブレ信号V_(4D)に変換する。そしてここで得られた信号V_(4D)は第2の実施例における信号V_(4D)と同一のスケールファクタとなる。」

(d)「【0119】
【発明の効果】以上説明したように本発明の像ぶれ防止システムは、複数の光学装置の組合せにより構成される防振システムにおいて、光学装置間で授受されるブレ信号の調整を行うことにより、任意の光学装置の組合せにおいても、光学装置間での正確なブレ信号の授受が行われるようになり、常に高精度なブレ補正が可能になる。」

(e)【図11】において、カメラボディCMR2(【0105】の記載よりCMR3の誤記と思われる)と交換レンズLNS2(【0105】の記載よりLNS3の誤記と思われる)との接続部において、ラインDLC及びラインDCL2にはそれぞれカメラボディCMR2側と交換レンズLNS2側に接続部材が記載されている。

上記引用例1の記載事項及び図面を総合勘案すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「カメラボディCMR3及び交換レンズLNS3より構成されたカメラシステムにおいて使用される交換レンズLNS3において、
上記カメラボディCMR3は、角変位計からなるブレ検知センサSAと、手ブレ信号増幅用アンプであるアンプAMP2(以下「手ブレ信号増幅用アンプAMP2」という。)と、特定増幅率で増幅するアンプAMP5(以下「特定アンプAMP5」という。)と、カメラ内マイコンCCPU3と、レンズからカメラへコマンド、データ等を通信するラインDLC(以下「ラインDLC」という。)と、カメラからレンズへ手ブレ信号を送信するラインDCL2(以下「ラインDCL2」という。)と、交換レンズLNS3にラインDLCとラインDCL2を接続する接続部材と、を有し、カメラボディCMR3に生じた手振れ角変位を検出するブレ検知センサSAで測定された手ブレ信号V_(1)は、手ブレ信号増幅用アンプAMP2で増幅された後交換レンズLNS3からラインDLC及び接続部材を介して通信された以下の式を満たす増幅率A_(5)で特定アンプAMP5で増幅され、


(注:上記式におけるθmaxは、交換レンズLNS3の像ブレ補正範囲。A_(6)はマイコンLCPU3内の増幅手段AMP6の増幅率。)
その後カメラ内マイコンCCPU3のA/D変換器ADC1で変換された後ラインDCL2及び接続部材を介して交換レンズLNS3に送信する処理を行うものであり、
上記交換レンズLNS3は、増幅手段AMP6を内蔵するマイコンLCPU3(以下「マイコンLCPU3」という。)と、像ブレ補正レンズL2と、像ブレ補正レンズL2をシフト駆動する像ブレ補正アクチュエータIACTと、像ブレ補正レンズL2の変位量d_(L)を検出する変位検出器DETDと、ラインDLCと、ラインDCL2と、カメラボディCMR3にラインDLCとラインDCL2を接続する接続部材と、を有し、マイコンLCPU3からラインDLC及び接続部材を介してカメラボディCMR3に増幅率A_(5)を送信し、ラインDCL2及び接続部材を介して受信した手ブレ信号と変位検出器DETDからの像ブレ補正レンズL2の変位量d_(L)とを用いてマイコンLCPU3にて演算を行い像ブレ補正アクチュエータIACTに駆動信号を送り像ブレ補正レンズL2を偏心駆動させてフィードバックループ制御により像ブレ補正を行うものである、
カメラシステムにおいて使用される交換レンズ。」

5.対比
本願補正発明を、引用発明1と比較する。
引用発明1における「カメラボディCMR3」は、本願発明における「カメラ」に相当する。
引用発明1における「交換レンズLNS3」は、「カメラボディCMR3」とともに「カメラシステム」を「構成」しているので、本願発明における「所定のカメラに装着される交換レンズ」に相当する。
引用発明1における「交換レンズLNS3」内にある「像ブレ補正レンズL2」と「像ブレ補正アクチュエータIACT」と「変位検出器DETD」と「マイコンLCPU3」は、ラインDCL2及び接続部材を介してカメラボディCMR3から受信した手ブレ信号と変位検出器DETDからの像ブレ補正レンズL2の変位量d_(L)とを用いてマイコンLCPU3にて演算を行い像ブレ補正アクチュエータIACTに駆動信号を送り像ブレ補正レンズL2を偏心駆動させてフィードバックループ制御により像ブレ補正を行うものであるから、本願発明における「光学系の角度を光学的に補正する光学補正手段」に相当する。
引用発明1では、交換レンズLNS3にて手ブレ信号と像ブレ補正レンズL2の変位量d_(L)とを用いてマイコンLCPU3にて演算を行い像ブレ補正アクチュエータIACTに駆動信号を送り像ブレ補正レンズL2を偏心駆動させてフィードバックループ制御により像ブレ補正を行うので、引用発明1における交換レンズLNS3にてカメラボディCMR3から受信した「手ブレ信号」は、本願発明における「カメラから送信される補正角度情報」に相当する。
引用発明1における交換レンズLNS3の「ラインDCL2」及び「接続部材」は、カメラボディCMR3から手ブレ信号を受信してマイコンLCPU3にその手ブレ信号を入力する手段であるから、本願発明における「カメラから送信される補正角度情報を受信して」「光学補正手段に入力する受信手段」に相当する。
引用発明1における「像ブレ補正レンズL2の変位量d_(L)」は、本願発明における「光学補正手段の現在位置情報」に相当する。
引用発明1における「θmax」は、「交換レンズLNS3の像ブレ補正範囲である」から、本願発明における「光学補正手段で補正可能な角度変位である」「補正最大角度」に相当する。
引用発明1におけるθmaxから導き出される「増幅率A_(5)」は、本願発明における「補正最大角度情報」に相当する。
引用発明1における「交換レンズLNS3」は、θmaxから増幅率A_(5)を生成するので、本願発明における「補正最大角度情報算出手段を有し」ている。
引用発明1における「交換レンズLNS3」の「ラインDLC」及び「接続部材」は、カメラボディCMR3へ「増幅率A_(5)」を送信する手段であるから、本願発明における「補正最大角度情報算出手段によって算出された」「補正最大角度情報を」「カメラに送信する」「第1の送信手段」に相当する。

すると、本願補正発明と、引用発明1とは、次の点で一致する。
<一致点>
光学系の角度を光学的に補正する光学補正手段を有し、所定のカメラに装着される交換レンズであって、
上記カメラから送信される補正角度情報を受信して上記光学補正手段に入力する受信手段と、
上記光学補正手段で補正可能な角度変位である補正最大角度情報を算出する補正最大角度情報算出手段と、
上記補正最大角度情報算出手段によって算出された上記補正最大角度情報を上記カメラに送信する第1の送信手段を備えることを特徴とする交換レンズ。

一方で、両者は、次の相違点で相違する。
<相違点>
本願発明では、交換レンズは「光学補正手段の現在位置情報を上記カメラに送信する送信手段」を備えているのに対し、引用発明1では、「交換レンズLNS3」は「像ブレ補正レンズL2の変位量d_(L)」(本願発明の「光学補正手段の現在位置情報」に相当)をカメラボディCMR3に送信する送信手段を備えていない点。

6.当審の判断
周知の振れ補正を行うカメラシステムに用いる着脱可能なレンズにおいて、光学補正手段の現在位置情報を交換レンズからカメラに送信する手段を備えることは、本願出願前に周知である(特開平5-289139号公報参照)。よって、引用発明1の交換レンズにおいて、前記周知の技術を適用して「像ブレ補正レンズL2の変位量d_(L)」をカメラボディCMR3に送信する手段を備えるようにすることは、当業者が適宜なし得る設計変更に過ぎず、その作用効果も当業者が予測しうるものに過ぎない。

7.むすび
以上の通り、本願発明は、引用刊行物に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-07-21 
結審通知日 2010-07-27 
審決日 2010-08-09 
出願番号 特願2003-92348(P2003-92348)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G03B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉川 陽吾  
特許庁審判長 北川 清伸
特許庁審判官 神 悦彦
伊藤 幸仙
発明の名称 カメラシステム、カメラ及び交換レンズ  
代理人 祐成 篤哉  
代理人 小池 晃  
代理人 伊賀 誠司  
代理人 野口 信博  
代理人 藤井 稔也  

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