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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F25D
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F25D
管理番号 1224157
審判番号 不服2008-19068  
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-07-25 
確定日 2010-09-24 
事件の表示 特願2002-188085号「冷蔵庫」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 1月29日出願公開、特開2004- 28497号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成14年6月27日の出願であって、平成20年6月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成20年7月25日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに、平成20年8月20日付けで手続補正がなされたものである。

第2.平成20年8月20日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成20年8月20日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「強制通風冷却空気を導入して冷却させる直接冷却貯蔵室と、貯蔵室内に収納容器及びこの収納容器の収納容器カバーを配置し前記収納容器内を間接冷却する間接冷却貯蔵室と、を設けた冷蔵庫であって、
前記収納容器カバーは前記冷蔵庫の固定部材とされてこの収納容器カバーに吐出口と吸込口とを有し、
前記収納容器内の冷気を循環させる循環送風機と、マイナスイオン発生器とを、前記収納容器カバーの上面に設置すると共に、前記マイナスイオン発生器を前記収納容器カバーに設けた前記吐出口の真上に設置し、
前記循環送風機によって前記吸込口から吸い込まれた前記収納容器内の冷気は、前記循環送風機によって前記吐出口から前記収納容器内へ吹き出されて冷気循環し、
前記循環送風機の風下に設置された前記マイナスイオン発生器で発生させたマイナスイオンを含む冷気のすべてを野菜に直接吹き付けるようにした冷蔵庫。」と補正された。
上記の補正は、発明を特定するために必要な事項である、循環送風機により循環させる「収納容器内の冷気」に対して、収納容器カバーに設けられた「吸込口」から吸い込まれ、「吐出口」から収納容器へ吹き出されることを限定し、同様に「マイナスイオン発生器」に対して、「循環送風機の風下に設置された」ことを限定し、さらに、「マイナスイオンを含む冷気」に対して、その「すべて」を野菜に直接吹き付けることを限定したものであり、本件補正に係る事項は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例とされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例とされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するかどうか)について以下に検討する。

2.引用刊行物とその記載
刊行物1:特開平5-149671号公報
刊行物2:特開2001-91146号公報

(1)原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物1には、「冷凍冷蔵庫」に関して図面とともに以下の記載がある。

ア.「【0028】
【実施例】
実施例1.以下、この発明の実施例1を図について説明する。なお、本実施例の冷凍冷蔵庫の説明は、従来例と同一または相当部分については図面に同符号を付してその説明を省略する。図1?3において、7は冷蔵室3の一部に区画された低温室5内を前後に摺動する前方及び上方を開口したチルドケースで、9はそのチルドケース7外周を形成し庫内に固定設置された低温ボックスである。8はチルドケース7の前方開口部を閉塞するフタ体である。16は前記チルドケース7の上方開口部を閉塞する上面冷却板で、前記低温ボックス9の外周フランジ部に取り付け固定されている。22は低温ボックス9背面部に設置された低温ボックス9専用の脱臭ボックスで、脱臭ボックス22内にはチルドケース7内の空気を強制循環させる送風機25、ファン26と脱臭用触媒24、オゾン発生用電源電極23が設置されている。低温ボックス9及びチルドケース7には吹出口穴部28と吸込口穴部29があり、チルドケース7の吹出口穴部28と吸込口穴部29にはそれぞれを投影的に閉塞する遮蔽板27が設置されている。4は冷凍室2と冷蔵室3を区画する中仕切壁で冷凍室2の床面を形成する仕切壁4aと断熱部材4cにより形成されている。冷蔵室3への冷気通路13の冷気吐出口13aよりダンパーサーモスタット14で制御された冷気の一部が低温室5を冷却するための冷気通路15を前記区画壁4内に構成し、冷蔵室3の天井面4bを一部開口した冷気吐出口18より吹き出し、冷蔵室3天井面と前記上面冷却板16の間に冷気を流し、上面より間接的に冷却する。20は冷却器、21は庫内ファンである。なお、脱臭ボックス22の吹出口穴部28と吸込口穴部29の風路はチルドケース7と低温ボックス9間の冷気通路19を貫通するが、風路の周囲が確実に区画されているので、脱臭ボックス22内にチルドケース7の周囲を冷却する冷気が入り込むことがなく、また、脱臭ボックス22からチルドケース内の雰囲気が冷気通路19内に流出することもない。
(中略)
【0030】次に実施例1の冷却作用について説明する。冷却器20により冷却された冷気は庫内ファン21で送風され、冷凍室2に吹き出され冷凍室2を冷却する。その冷気の一部は、冷蔵室3への冷気風路13を介して冷気吐出口13aへ導かれるその冷気吐出口13aを開閉するダンパーサーモスタット14により冷気量を制御して冷蔵室3内を所定温度3℃に冷却する。一方、その冷気の一部は区画壁4内に設けられた冷気通路15を介して、冷蔵室3、天井面4bを一部開口した冷気吐出口18より吹出し親水性多孔質樹脂材17によって形成された上面冷却板16の上側に冷気が流れ上面より間接的に低温室5内を所定温度0℃に冷却する。
【0031】また、チルドケース7と低温ボックス9間の背面、下面に冷気通路19を設け、上面冷却板16を冷却後、冷気の一部が前記冷気通路19に流れ上面、背面、底面より冷却を行う。」
(下線部は当審において加入。以下同様。)

イ.「【0036】実施例2.なお、上記の実施例1では冷蔵室3内の低温室5を密閉空間にしたものについて専用の脱臭装置を設置したものについて示したが、図5に示すように野菜ケース30と天井部に位置しパッキン32を有するフタ体31で密閉空間とされた野菜室(温度帯を0℃としたチルド室でもよい)においても同様に野菜ケース30の背面部に専用の脱臭ボックス22を設置し、集中、間欠運転制御を行うことによってラップなしで野菜等の食品を保存しても、食品の表面が乾燥することなくまた臭い移りを防止し食品を高品質に保存し、上記実施例と同様の効果を奏する。」

ウ.「【0046】実施例6.以下、この発明の実施例6を図について説明する。なお、本実施例の冷凍冷蔵庫の説明は、従来例及び実施例1と同一のものについては図面に同符号を付してその説明を省略する。図13?16において、22は低温ボックス9専用のイオン発生装置である。23はイオナイザ、23aは高圧発生器で、23bは高圧発生器23aに接続される金属細線である第一電極、23cは高圧発生器23aに接続される金属細線である第二電極、23dは第二電極23cと密着した状態で設けられた平板状の誘電体である。30は第一電極23bと第二電極23c間の放電空間である。25は放電空間24に発生したマイナスイオンを冷気と共に強制循環させる送風機で、26はファンである。24は第一電極23b、第二電極23cへの出入口に設置された脱臭触媒である。
【0047】次に、この実施例6のイオン発生装置について説明する。長さa1 、a2 (a1 <a2 )の金属細線である第一電極23bと平板状の金属電極である第二電極23cに高圧発生器23aより高圧電圧が印加されると、第一電極23bの周囲がプラズマ状態となり、電子が第二電極23cに向かって進む。この時、長さa1 の第一電極23b1 に対する放電距離d1 と、長さa2 の第一電極23b2 に対する放電距離d2 との関係は、d1 >d2 となり、長さa1 の第一電極23b1 から放電空間24に放出された電子のエネルギレベルE1 と、長さa2 の第一電極23b2 から放電空間30に放出された電子のエネルギレベルE2 との関係は、E1 <E2 である。長さa1 の第一電極23b1 から放出された電子は、放電距離が長く、エネルギレベルは低く、放電空間30の例えば酸素分子に吸収されて、マイナスイオンを発生する。発生したマイナスイオンは、第二電極23cに流れる前に送風機25でイオン発生装置22より放出され、冷気と共にファン21でチルドケース7内へ放出され、チルドケース7内に収納された食品表面に付着し、マイナスに帯電し、カビ等の発生を防止する。長さa2 の第一電極23b2 から放出された電子は、放電距離が短く、エネルギレベルは高く、放電空間24の酸素分子を分解してオゾンを発生する。発生したオゾンは、送風機25及びファン26により強制的にイオン発生装置22内に取り込まれた臭いの成分を含んだ空気を酸化分解し、この酸化分解作用が脱臭触媒24により促進され、脱臭された空気は吹出口穴部より再びチルドケース7内に循環される。」

エ.「【0048】実施例7.以下、この発明の実施例7を図について説明する。なお、本実施例の冷凍冷蔵庫の説明は従来例と同一のものについては図面に同符号を付してその説明を省略する。図17?20において、22はイオン発生装置でイオン発生装置22内にはイオナイザ23が設置されている。23aは高圧発生器で、23bは高圧発生器23aに接続される金属細線である第一電極、23cは高圧発生器23aに接続される平板状の金属細線である第二電極、23dは第二電極23cと密着した状態で設けられた平板状の誘電体である。30は第一電極23bと第二電極23c間の放電空間である。25は放電空間30に発生したマイナスイオンを冷気と共に強制循環させる送風機で、26はファンである。20は冷凍室2背面に設置された冷却器で、21は冷蔵庫冷気強制循環用の庫内ファンである。
【0049】次に本実施例の冷却作用について説明する。冷却器20により冷却された冷気は、庫内ファン21で送風され、冷凍室2に吹き出され冷却室2を冷却するその冷気の一部は冷蔵室3へ冷気風路を介して吹き出され、冷蔵室3を冷却するよう冷蔵庫1内を循環している。
【0050】次にこの発明のイオン発生装置について説明する。第一電極23bと第二電極23cに高圧発生器23aより高電圧が印加されると、第一電極23bの周囲がプラズマ状態となり、電子が第二電極23cに向かって進む。その時、放電空間24の例えば酸素分子に電子が吸収されマイナスイオンが発生する。発生したマイナスイオンは第二電極23cに流れる前に送風機25でイオン発生装置22より放出され、冷気と共に庫内ファン21で庫内へ放出され、庫内壁や庫内収納食品等に付着し、マイナスに帯電し、カビ等の発生を防止する。」

オ.「【0051】実施例8.以下、この発明の実施例8について説明する。図20において、7は冷蔵室3の一部に区画された低温室5内を前後に摺動する前方及び上方を開口したチルドケースで、9はそのチルドケース7外周を形成し庫内に固定設置された低温ボックスである。8はチルドケース7の前方開口部を閉塞するフタ体である。16は前記チルドケース7の上方開口部を閉塞する上面冷却板で低温ボックス9の外周フランジ部に取り付けられている。22は低温ボックス9に背面部に設置された専用のイオン発生装置である。
【0052】低温ボックス9は冷蔵室3、天井面4bを一部開口した冷気吐出口より吹き出した冷気が上面冷却板16の上側に流れ、上面より間接的に冷却されている。低温室5はフタ体8により前方は閉塞され、上方は上面冷却板16で閉塞されているため、チルドケース7には直接冷気が入らない密閉構造となっているので、食品をラップなしで保存すると食品からの若干の水分の蒸散でチルドケース7内は高湿度となる。
【0053】イオン発生装置22により放出されたマイナスイオンはチルドケース7内に保存されている食品表面に付着し、食品表面がマイナスに帯電するため食品をラップなしまたは簡易包装で保存しても細菌・カビ等を反発するため、包装等の手間なく食品を高品質に保存することができる。」

カ.「【0054】実施例9.以下、この発明の実施例9について説明する。図21において、27は野菜室6内に設置された上方を開口した野菜ケース、28は野菜ケース27の上方を閉塞するように設置したフタ体である。22は野菜ケース27の背面に設置された専用のイオン発生装置である。野菜ケース27はフタ体28により直接冷気の入らない密閉構造となっているので、実施例2と同様にラップなしで食品を保存しても細菌・カビ等をマイナスイオンで反発させ、高品質な保存ができる。」

キ.上記カ.及び、図21の記載における、イオン発生装置は、上記ウ.のマイナスイオンを発生するイオナイザ23を備えたイオン発生装置22に関する記載からみると、送風機25とマイナスイオンを発生するイオナイザ23を備えたものである。

そして、図21の実施例9に着目して上記記載カ.及び、それらの記載から導き出された事項キ.を総合すると、刊行物1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「直接冷気が入らない、野菜室6内に設置された、フタ体28により密閉された野菜ケース27を備えた冷凍冷蔵庫であって、送風機25とマイナスイオンを発生するイオナイザ23を備えたイオン発生装置22とを野菜ケース27の背面部に設け、野菜ケース6内にマイナスイオンを野菜ケース27に供給する冷凍冷蔵庫」

(2)同じく引用され、本願出願前に頒布された刊行物2には、「冷凍冷蔵庫」に関して図面とともに以下の記載がある。

ク.「【0040】この実施形態では、オゾン発生器36が冷蔵ゾーン26における野菜室14内に配置されている。詳細には、野菜室14には、野菜を収納するための上方に開口する野菜容器51が配され、この野菜容器51の上面開口を覆う蓋52の上面にオゾン発生器36が配置されている。この蓋52の上面は、図5に示すように、冷気が流れる冷気流路となっており、オゾン発生器36はこの冷気流路に配置されている。
【0041】このオゾン発生器36は、図6において矢印Aで示すように、冷気流路の冷気の流れ方向Cに沿って冷気を放出すると共に、図6において矢印Bで示すように、蓋52の上面に設けられた不図示の開口から、野菜容器51内にオゾンを吹き出すことができるように構成されている。」

ケ.「【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の冷凍冷蔵庫によれば、冷蔵ゾーンと冷凍ゾーンとを分離した上で、その冷蔵ゾーンにオゾン発生器を設けたことにより、抗菌作用を必要とする冷蔵室のみを選択的にオゾン雰囲気にすることができ、冷蔵室の効率的な抗菌を行うことができる。」

そして、図6及び上記の記載ク.?ケ.を総合すると、刊行物2には、以下の発明(以下「刊行物2記載の発明」という。)が記載されている。

「野菜室内に野菜容器及び野菜容器の上面開口を覆う蓋を設け、オゾン発生器を野菜容器の上面開口を覆う蓋の上面に配置し、該蓋の上面に設けられた開口から野菜容器内にオゾンを吹き出すことにより抗菌を行う冷凍冷蔵庫」

3.発明の対比
本願補正発明と、引用発明とを対比すると、
引用発明における「野菜室6」は、本願補正発明の「貯蔵室」に、引用発明における「野菜ケース27」は、本願補正発明の「収納容器」に、引用発明における「フタ体28」は、本願補正発明の「収納容器カバー」にそれぞれ相当し、引用発明の「野菜室6内に設置された、フタ体28により密閉された野菜ケース27」なる設置形態は、本願補正発明の「貯蔵室内に収納容器及びこの収納容器の収納容器カバーを配置」する設置形態に相当し、直接冷気が入らないことは、間接冷却することに他ならないから、引用発明の「直接冷気が入らない、野菜室6内に設置された、フタ体28により密閉された野菜ケース27」は、密閉された野菜ケース27内を間接冷却するものであって、引用発明の野菜室6については、本願補正発明の「貯蔵室内に収納容器及びこの収納容器の収納容器カバーを配置し前記収納容器内を間接冷却する間接冷却貯蔵室」に対応している。
さらに、引用発明における「冷凍冷蔵庫」は、本願補正発明の「冷蔵庫」に、引用発明における「マイナスイオンを発生するイオナイザ23」は、本願補正発明の「マイナスイオン発生器」にそれぞれ相当する。
また、引用発明における「イオナイザ23を備えたイオン発生装置22を野菜ケースの背面部に設け」ることと、本願補正発明における「マイナスイオン発生器を収納容器カバーに設けた吐出口の真上に設置」したことは、「マイナスイオン発生器を設置」したことにおいて共通し、引用発明における「送風機」と、本願補正発明における「循環送風機」とは、「送風機」であることにおいて共通する。
さらに、引用発明における「マイナスイオンを野菜ケースに供給する」ことと、本願補正発明における「マイナスイオンを含む冷気のすべてを野菜に供給する」ことは、「マイナスイオンを収納容器に供給する」ことにおいて共通する。

よって、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。

[一致点]
「貯蔵室内に収納容器及びこの収納容器の収納容器カバーを配置し前記収納容器内を間接冷却する間接冷却貯蔵室と、を設けた冷蔵庫であって、
送風機と、マイナスイオン発生器とを設置すると共に、前記マイナスイオン発生器で発生させたマイナスイオンを収納容器に供給するようにした冷蔵庫。」

[相違点1]
本願補正発明においては、「強制通風冷却空気を導入して冷却させる直接冷却貯蔵室と、貯蔵室内に収納容器及びこの収納容器の収納容器カバーを配置し前記収納容器内を間接冷却する間接冷却貯蔵室と、を設けた」冷蔵庫であるのに対し、引用発明の冷蔵庫においては、上記間接冷却貯蔵室に加えて上記直接冷却貯蔵室も併せて設けられているかどうか不明な点。

[相違点2]
本願補正発明においては、「収納容器カバーは、冷蔵庫の固定部材とされてこの収納容器カバーに吐出口と吸込口とを有」するのに対し、引用発明においては、収納容器カバーが、冷蔵庫の固定部材か否か不明であり、収納容器カバーに吐出口と吸込口とを有するものではない点。

[相違点3]
送風機と、マイナスイオン発生器の設置に関して、本願補正発明においては、「収納容器内の冷気を循環させる循環送風機と、マイナスイオン発生器とを、収納容器カバーの上面に設置すると共に、マイナスイオン発生器を収納容器カバーに設けた吐出口の真上に設置した」のに対し、引用発明においては、送風機と、マイナスイオン発生器とを収納容器の背面部に設けたものであって、送風機が収納容器の冷気を循環させているかも不明な点。

[相違点4]
本願補正発明においては、「循環送風機によって吸込口から吸い込まれた収納容器内の冷気は、循環送風機によって吐出口から収納容器内へ吹き出されて冷気循環」するのに対し、引用発明においては、送風機によって、冷気が吸込口から吸い込まれ、吐出口から吹き出されることによって冷気循環を行うものかどうか不明な点

[相違点5]
本願補正発明においては、「循環送風機の風下に設置されたマイナスイオン発生器」を備えるのに対し、引用発明においては、送風機とマイナスイオン発生器との相互の位置関係が特定されていない点。

[相違点6]
マイナスイオン発生器で発生させたマイナスイオンを供給するにあたって、本願補正発明においては「マイナスイオンを含む冷気のすべてを野菜に直接吹き付けるようにした」のに対し、引用発明においては、野菜ケースの冷気を送風機によって循環してマイナスイオンを野菜ケースに供給するものであるが、そのすべてが野菜に直接吹き付けられるものかどうか不明な点。

4.当審の判断
そこで、上記相違点について検討する。
[相違点1について]
上記刊行物1の記載ア.には、冷気が入り込むことなくチルドケース7の周囲が冷却されること、すなわち、間接的に冷却されるチルドケース7のほか、庫内ファン21により送風される冷気により冷却される冷凍室2、冷蔵室3が設けられることが示されているように、冷蔵庫において間接冷却貯蔵室とともに、直接冷却室を設けたものは周知といえるから、引用発明の冷蔵庫において、間接冷却貯蔵室に相当する野菜ケースのほか、直接冷気が入ることにより冷却される冷凍室、冷蔵室などの直接冷却貯蔵室を併せて設けることにより、上記相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

[相違点2?4について]
本願補正発明と、刊行物2記載の発明とを比較すると、刊行物2記載の発明における野菜室内の「野菜容器」は、本願補正発明の「収納容器」に、以下同様に、刊行物2記載の発明における「野菜容器の上面開口を覆う蓋」は、「収納容器カバー」に、「冷凍冷蔵庫」は、「冷蔵庫」にそれぞれ相当するから、
刊行物2に記載された発明は、「収納容器の上面を覆う収納容器カバーを設け、オゾン発生器を収納容器の上面開口を覆う収納容器カバーの上面に配置すると共に、収納容器カバーの上面に設けられた開口から収納容器内にオゾンを吹き出すことにより抗菌を行う冷蔵庫」であって、上記オゾンは、本願補正発明のマイナスイオンではないものの、ともにオゾンやマイナスイオンなどの処理剤により野菜室の抗菌、除菌を行うものという点で共通している。
そして、当該技術分野において収納容器カバーを固定部材とすることは従来周知(特開2000-205732号公報、特開平5-180555号公報【図1】、【図2】、段落【0009】の記載を参照)であり(以下「周知の技術事項1」という。)、固定部材である収容容器カバーの上部に収納容器内に対する処理を行う装置を設けることも、上記特開平5-180555号公報により示されているから、オゾンやマイナスイオンなどの処理剤により野菜室の抗菌、除菌を行う引用発明の送風機とマイナスイオン発生器を、刊行物2記載の発明に倣って、収容容器の背面部に設けることに代えて収容容器カバーの上面に配置して、収容容器カバーに設けた開口部からマイナスイオンを供給するとともに、上記「周知の技術事項1」を参酌して、送風機とマイナスイオン発生器を上面に設けた収容容器カバーを冷蔵庫の固定部材とすることは、当業者であれば容易になし得たものである。
その際、マイナスイオン発生器とともに循環送風機と吐出口、吸入口を設けて収納容器内の空気を循環させること、及び吐出口近傍においてマイナスイオンを発生させてマイナスイオンを供給することも従来周知の技術的事項(特開2000-146414号公報【図2】、【図4】、特開平8-145545号公報【図2】を参照)であり(以下「周知の技術的事項2」という。)、しかも、上記2.(1)ア.イ.ウ.で摘示した刊行物1の記載事項(以下「刊行物1の記載事項」という。)には、野菜室、チルドケース等に設けられた吹出口、吸込口からオゾン、マイナスイオンを、冷気とともに送風機で強制循環させることも示されているから、引用発明における送風機を循環送風機とし、収容容器カバーに吐出口、吸入口を設けて収容容器内の冷気を循環させ、マイナスイオン発生器を吐出口近傍の位置とすべく、吐出口の上となるように設ける程度のことは、上記周知の技術的事項2及び、刊行物1の記載事項に照らせば当業者にとって格別なことではない。
以上のようであるから、当業者が引用発明、刊行物2記載の発明、周知の技術的事項1,2、及び、刊行物1の記載事項に基づいて上記相違点2?4に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。
そして、その効果についても格別なものとはいえない。

[相違点5について]
マイナスイオン発生器を循環送風機の風下に設置することは周知の技術事項(前記特開2000-146414号公報【図4】、特開平8-145545号公報【図2】を参照)である(以下「周知の技術事項3」という。)から、引用発明においてマイナスイオン発生器を循環送風機の風下とすることにより、上記相違点5に係る本願補正発明の構成とする程度のことは、当業者であれば容易になし得たことである。

[相違点6について]
野菜ケース内の野菜にマイナスイオンを供給するにあたって、無駄なく、より多くのマイナスイオンを吹き付けようとすることは、当業者が通常考慮し得ることであるので、可及的に多くのマイナスイオンを野菜に吹き付けるため、上記既に検討済みの相違点2?4に係る本願発明の構成を用いて、その「すべて」を野菜に直接吹き付けるようにすることは、当業者であれば容易に想到し得た事項である。

そして、本願補正発明全体より得られる効果も、引用発明、刊行物2記載の発明、及び周知の技術的事項1?3から、当業者であれば予測できた程度のものである。

よって、本願補正発明は、引用発明、刊行物2記載の発明、周知の技術的事項1?3及び、刊行物1の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許出願の際、特許法第29条第2項の規定により独立して特許を受けることができない。

5.結び
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例とされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項にて読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるものである。

よって、結論の通り決定する。

第3.本願発明について
1.本願の発明
本件補正は上述のように却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成20年4月23日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。(以下「本願発明」という。)

「強制通風冷却空気を導入して冷却させる直接冷却貯蔵室と、貯蔵室内に収納容器及びこの収納容器の収納容器カバーを配置し、前記収納容器内を間接冷却する間接冷却貯蔵室とを設けた冷蔵庫であって、
前記収納容器カバーは前記冷蔵庫の固定部材とされてこの収納容器カバーに吐出口と吸込口とを有し、前記収納容器内の冷気を循環させる循環送風機と、マイナスイオン発生器とを、前記収納容器カバーの上面に設置すると共に、前記マイナスイオン発生器を前記収納容器カバーに設けた前記吐出口の真上に設置し、前記マイナスイオン発生器で発生させたマイナスイオンを含む冷気を野菜に直接吹き付けるようにした冷蔵庫。」

2.引用刊行物等は、第2.2.に記載したとおりのものである。

3.発明の対比・判断
本願発明は、上記「第2」で検討した本願補正発明における、循環送風機により循環させる「収納容器内の冷気」から、収納容器カバーに設けられた「吸込口」から吸い込まれ、同じく収納容器カバーに設けられた「吐出口」から収納容器内へ吹き出されるという限定を省き、同様に、「マイナスイオン発生器」から、「循環送風機の風下に設置された」という限定を省き、さらに、「マイナスイオンを含む冷気のすべてを野菜に直接吹き付ける」から、「すべて」なる限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要素を全て含み、さらに他の構成を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2.4.」で記載したとおり、引用発明、刊行物2に記載された発明、及び周知の技術的事項1?3に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、本願発明も、引用発明、刊行物2に記載された発明、周知の技術的事項1?3及び、刊行物1の記載事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。

4.結び
以上のとおり、本願発明は、引用発明、刊行物2に記載された発明、周知の技術的事項1?3及び、刊行物1の記載事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項については検討するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-07-23 
結審通知日 2010-07-27 
審決日 2010-08-09 
出願番号 特願2002-188085(P2002-188085)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F25D)
P 1 8・ 575- Z (F25D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山村 秀政  
特許庁審判長 平上 悦司
特許庁審判官 松下 聡
中川 真一
発明の名称 冷蔵庫  
代理人 特許業務法人 武和国際特許事務所  
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