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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1224237
審判番号 不服2008-22121  
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-08-28 
確定日 2010-09-30 
事件の表示 特願2004-220279「半導体製造システム」拒絶査定不服審判事件〔平成16年12月 9日出願公開、特開2004-349720〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I 手続の経緯

本願は、平成13年2月23日に出願された特願2001-48932号の一部を新たな特許出願として、平成16年7月28日に出願された、いわゆる分割出願である
本願に関して、平成20年3月26日付け拒絶理由通知によって拒絶理由が通知され、それに対して同年6月2日付けで意見書ならびに手続補正書が提出されたものの、同年7月23日付けで拒絶査定がなされ、この査定を不服として、同年8月28日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年9月17日付けで手続補正がされたものである。
その後、当審において平成22年1月27日付けで審尋がなされ、平成22年4月2日付けで回答書が提出されている。


II 平成20年9月17日付け手続補正についての補正の却下の決定

〔補正の却下の決定の結論〕

平成20年9月17日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。


〔理由〕

1.目的要件違反

本件補正は、特許請求の範囲を補正するものであって、その補正は、補正前(平成20年6月2日付け手続補正によって補正。以下、同じ。)の請求項1の、

「論理設計情報を記憶する1つの記憶装置と、
露光部と、
前記露光部を制御する制御部と、
前記記憶装置と前記制御部とが接続されたストレージエリアネットワークとを備え、
上流工程である論理設計でのデータを記憶する前記1つの記憶装置と、下流工程である検査および製造工程でのデータを記憶する記憶装置とを前記1つの記憶装置で共用する半導体製造システム。」

なる記載を、

「論理設計情報を記憶する1つの記憶装置と、
露光部と、
前記露光部を制御する制御部と、
前記1つの記憶装置と計算機と前記制御部とが接続されたストレージエリアネットワークとを備え、
前記計算機は、上流工程である論理設計でのデータを記憶する記憶装置と下流工程である検査及び製造工程でのデータを記憶する記憶装置とを前記1つの記憶装置で共用するとともに、前記1つの記憶装置に記憶された前記論理設計でのデータを読み出し、読み出したデータをストライプ状に分けて分割情報を作成し、作成された分割情報間の境界を含む分割領域を抽出し、抽出された分割領域から分割されたセルが含まれる分割されるべきでない分割領域を抽出して検査位置を生成し、該検査位置を前記1つの記憶装置に書き込むことを特徴とする半導体製造システム。」
(下線は補正箇所を示す。)とする補正を含む。

ここで、上記請求項1に係る補正は、「計算機」、当該「計算機」で行う「分割情報の作成」工程、および、「分割情報」に基づく「検査位置」の生成工程等の発明特定事項を追加する補正を含んでいるが、それらの事項に相当する、あるいは、それらの事項を上位概念化した事項が補正前の特許請求の範囲に存在しないことは明らかであるので、上記発明特定事項の追加は新たな発明特定事項を付加するものであって、拒絶査定時の特許請求の範囲に記載した発明特定事項を限定する、いわゆる「特許請求の範囲の限定的減縮」に該当しないことは明らかである。

また、仮に、補正前の特許請求の範囲に係る発明に、「計算機」が内在していたと認めたとしても、補正後の請求項1に係る発明は、上記「分割情報の作成」工程と上記「分割情報」に基づく「検査位置」の生成工程等の発明特定事項が追加されたことにより、
(あ)製造装置では、読み込んだ設計情報の全領域を1度に処理できないことに対処するという課題(本願の発明の詳細な説明の【0026】の記載参照)。
(い)検査位置の点数を削減するという課題(本願の発明の詳細な説明の【0027】の記載参照)。
という課題を解決するものとなっているのに対して、補正前の特許請求の範囲に係る発明は当該課題を解決しようとするものではないので、補正前の特許請求の範囲に係る発明と本件補正後の請求項1に係る発明とは、解決しようとする課題が同一ではないから、やはり、上記請求項1に係る補正は、拒絶査定時の特許請求の範囲に記載した発明特定事項を限定する「特許請求の範囲の限定的減縮」に該当しない。

さらに、上記発明特定事項を追加する補正は、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明に該当しないことは明らかである。

してみると、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2(以下、単に「特許法第17条の2」という。)第4項各号に規定するいずれを目的とするものでもない。

したがって、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反する。


2.独立特許要件違反

上記のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであるが、仮に、本径補正による請求項1に係る補正が特許法第17条の2第4項第2号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものであるとして、本件補正後の請求項1に記載されている発明特定事項により特定される発明(以下、「本件補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たすか否かについて、以下に検討する。

〔本件補正発明〕

本件補正発明は、平成20年9月17日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される上記のとおりのものである。

明確性要件(特許法第36条第6項第2号)について〕

(1-1)本件補正発明の「読み出したデータをストライプ状に分けて分割情報を作成」という発明特定事項における「データ」について、一般的に、論理設計での「データ」には有形なものだけでなく数値データ等の無形なものを含むものであるから、上記「データ」には無形なものが含まれているといえる。
そうすると、上記発明特定事項は、無形のものを「ストライプ状」という有形なものに分けることを含んでおり、その意味が明確であるとはいえない。

(1-2)本件補正発明において、「読み出したデータをストライプ状に分けて分割情報を作成」という発明特定事項に関して、使用する製造装置に関する限定はないが、本願の発明の詳細な説明を参照すると、
「【0026】
まず、製造装置20は、設計情報71を記憶装置30より読み込む(S400)。次に、製造装置20の多くは、読み込んだ設計情報の全領域を一度に処理できないため、該設計情報を、例えばストライプ状に分けて分割情報72を作成する(S410)。・・・」
と記載されている。
当該記載によれば、製造装置が読み込んだ設計情報の全領域を一度に処理できない場合には、分割情報を生成することの技術的意味は明らかであるといえるが、そのような製造装置の処理能力に関する限定を有さない本件補正発明においては、製造装置が読み込んだ設計情報の全領域を1度に処理できる場合であっても「読み出したデータをストライプ状に分けて分割情報を作成」することになっているから、その技術的意味は明らかであるとはいえない。

(2-1)本件補正発明において、「作成された分割情報間の境界を含む分割領域を抽出」という発明特定事項があるが、上記「(1-1)」で述べたのと同様の理由で本来無形なものを含む情報(分割情報)と情報の間の「境界」や「領域」(分割領域)とは何を意味しているのかが明確であるとはいえない。

(3-1)本件補正発明において、「抽出された分割領域から分割されたセルが含まれる分割されるべきでない分割領域」という発明特定事項があるが、ここでの「セル」が何を意味しているのかが明確であるとはいえない。
発明の詳細な説明の【0026】には、「半導体セル」という記載があるが、本件補正発明の「セル」が当該「半導体セル」のみを意味するのか、あるいは、それ以外の事項も含む概念であるのか、どちらであるのかが特定困難である。

(3-2)本件補正発明の「抽出された分割領域から分割されたセルが含まれる分割されるべきでない分割領域」という発明特定事項において、「分割されたセルが含まれる分割されるべきでない分割領域」とは何を意味しているのかが明確でない。
既に「セル」が分割されてしまった「分割領域」であるのに、「分割されるべきでない」というのは矛盾しており、どのような特徴を有する領域を特定しようとしているのかが明確であるとはいえない。

上記(1-1)?(3-2)の理由により、請求項1に係る発明は、明確でない。

よって、本件補正発明は不明確であるから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないので、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

〔サポート要件(特許法第36条第6項第1号)について〕

上記「〔明確性要件(特許法第36条第6項第2号)について〕」の「(1-2)」で述べたとおり、本件補正発明においては、製造装置が読み込んだ設計情報の全領域を1度に処理できる場合であっても「読み出したデータをストライプ状に分けて分割情報を作成」することになっているのに対して、本願の発明の詳細な説明には、製造装置が読み込んだ設計情報の全領域を一度に処理できない場合についての説明しか記載されていない。
そうすると、本件補正発明において、製造装置が読み込んだ設計情報の全領域を1度に処理できる場合について、「読み出したデータをストライプ状に分けて分割情報を作成」することにより、いかなる課題を解決することができるのかが当業者にとって明らかであるとはいえず、本願の発明の詳細な説明は、いわゆる明細書のサポート要件に適合していないので、本件補正発明は発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。
よって、本件補正発明は、発明の詳細な説明に記載されたものでないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないので、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。


3.本件補正の却下の決定についてのむすび

以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであり、また、仮に、当該規定に適合するものであったとしても、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


III 本願発明について

1.本願発明

平成20年9月17日付け手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成20年6月2日付け手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。

「【請求項1】
論理設計情報を記憶する1つの記憶装置と、
露光部と、
前記露光部を制御する制御部と、
前記記憶装置と前記制御部とが接続されたストレージエリアネットワークとを備え、
上流工程である論理設計でのデータを記憶する前記1つの記憶装置と、下流工程である検査および製造工程でのデータを記憶する記憶装置とを前記1つの記憶装置で共用する半導体製造システム。」


2.引用例

原査定の拒絶の理由に引用された、本願の原出願の出願前に頒布された刊行物である、特開2000-77290号公報(以下、「引用例」という。)には、半導体製造工程管理システムに関し、図面と共に以下の事項が記載されている(下線は当審で付した)。

A.「【0017】
【実施例1】図1は半導体ウエハプロセス工場における生産自動化システムの概略制御系統図、図2は半導体ウエハプロセスの工程フロー図、図3は半導体製造時に使用するロット処理作業履歴の表示画面、図4は作業処理履歴表示を行う場合の概略説明図、図5はウエハ外観検査装置を示す説明図である。
【0018】図1において、1は半導体工程管理用データサーバであり、工程全体を管理するホストサーバとして機能する。すなわち、半導体工程管理用データサーバ1は、各生産ウエハロットの処理工程手順や処理条件およびウエハ処理後の収集データを扱い、かつ情報の保管を行う。また、該サーバ1は、前記管理のために大容量記憶装置で構成されたデータベース2を有している。
【0019】前記データベース2の構成を示したものが図20である。データベース2は、ロットIDをキーにして、ウエハ履歴データの格納アドレスとウエハ画像データの格納アドレスとが対応付けられたインデックステーブル2001を有している。
【0020】データベース2内のウエハ履歴データ2002には、図3に示すような半導体製造工程における処理履歴がテキストデータとして格納されている。また、ウエハ画像データ2003には、後述の外観検査装置20等で得られたウエハ表面の画像データが格納されている。このようにインデックステーブル2001によってウエハ履歴データ2002とウエハ画像データ2003とが関連付けられて管理されている。
【0021】前記半導体工程管理用データサーバ1は、LAN3に接続されており、当該LAN3には要所要所において通信ネットワーク用ブリッジ4を介して製造工程の1エリアを管理する自動化用エリアコンピュータ5と接続されている。
【0022】自動化用エリアコンピュータ5には、リピータ7を介して半導体工程管理用表示端末10(図4参照)が接続されている。さらにターミナルサーバ6を介して各種の製造装置8、測定機・検査装置9が接続されている。さらに、自動化用エリアコンピュータ5は、搬送コントローラ11と接続され該搬送コントローラ11は搬送制御用LANに接続されている。
【0023】上記システム構成において、半導体ウエハは搬送コントローラ11により制御される搬送系を通じて製造装置8に搬送・移載される。そして、ウエハ処理条件が半導体工程管理用データサーバ1(ホスト)によってデータペース2からLAN3、ブリッジ4およびターミナルサーバ6を通して製造装置8に伝えられて処理が行われる。
【0024】処理終了後のロット作業処理履歴情報および収集データは逆のルートでデータベース2に格納された後にデータを必要とする各所で利用される。ウエハ処理後は通常ウエハ外観検査を行い次の処理工程に進む。図5はウエハ外観検査装置20の構成を示したものである。このウエハ外観検査装置20は図1では測定機・検査装置9に含まれており、前述の前記製造装置8と同様にターミナルサーバ6等を介して半導体工程管理用データサーバ1(ホスト)に接続されている。」

B.図1にはシステムの概略図が示されている。

これらの記載事項を総合すると,引用例には,次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「管理のために大容量記憶装置で構成されたデータベース2を有するサーバ1を有し、
各種の製造装置8、測定機・検査装置9を有し、
製造工程の1エリアを管理する自動化用エリアコンピュータ5を有し、
サーバ1と自動化用エリアコンピュータ5とが接続されたLAN3を有し、
ウエハ処理条件が半導体工程管理用データサーバ1によってデータベース2からLAN3を介して製造装置8に伝えられて処理が行われ、
データベース2内のウエハ画像データ2003には、外観検査装置20等で得られたウエハ表面の画像データが格納されている半導体製造工程管理システム。」


3.本願発明と引用発明との対比

本願発明と引用発明とを対比する。

なお、本願発明において、「論理設計情報を記憶する1つの記憶装置」と「上流工程である論理設計でのデータを記憶する記憶装置」という二つの発明特定事項があり、両者の関係は必ずしも明確ではないが、本願の明細書中で両者を区分しておらず、かつ、「論理設計情報」は「上流工程である論理設計でのデータ」であるといえるから、上記二つの発明特定事項は実質的に同じものを意味すると認める。

<対応関係A>
引用発明では「ウエハ処理条件が半導体工程管理用データサーバ1によってデータベース2からLAN3を介して製造装置8に伝えられて処理が行われ」ているが、技術常識を参酌すると、パターンデータ等の設計情報がなければ製造装置8はウエハに対して処理を行うことができないから、引用発明の「データベース2」にはパターンデータ等の製造に必要な設計情報が格納されていることは明らかである。
したがって、引用発明の「データベース2」と本願発明の「論理設計情報を記憶する1つの記憶装置」とは、「設計情報を記憶する1つの記憶装置」である点で共通する。

<対応関係B>
半導体の製造技術の分野における技術常識を参酌すると、引用発明の「各種の製造装置8」に露光装置が含まれているのは明らかである。
そうすると、引用発明の「各種の製造装置8」に含まれる露光装置は本願発明の「露光部」に相当し、引用発明の「製造工程の1エリアを管理する自動化用エリアコンピュータ5」は本願発明の「前記露光部を制御する制御部」に相当する。

<対応関係C>
引用発明において、大容量記憶装置で構成されたデータベース2は、サーバ1を介してLAN3に接続されているといえるから、引用発明の「サーバ1と自動化用エリアコンピュータ5とが接続されたLAN3」と本願発明の「前記記憶装置と前記制御部とが接続されたストレージエリアネットワーク」とは、「記憶装置と制御部とが接続されたネットワーク」である点で共通する。

<対応関係D>
引用発明において、「データベース2」には、上記<対応関係A>で検討したパターンデータ等の設計情報に加えて、製造装置に与える「ウエハ処理条件」および「外観検査装置20等で得られたウエハ表面の画像データ」が格納されており、「データベース2」を構成する大容量の記憶装置はそれらのデータの記憶に共用されているといえる。
そうすると、引用発明の「データベース2」にパターンデータ等の製造に必要な設計情報が格納されており、かつ、製造装置に与える「ウエハ処理条件」および「外観検査装置20等で得られたウエハ表面の画像データ」が記憶されていることと、本願発明の「上流工程である論理設計でのデータを記憶する前記1つの記憶装置と、下流工程である検査および製造工程でのデータを記憶する記憶装置とを前記1つの記憶装置で共用する」こととは、「設計情報を記憶する1つの記憶装置と、下流工程である検査および製造工程でのデータを記憶する記憶装置とを前記1つの記憶装置で共用する」点で共通する。

<対応関係E>
引用発明の「半導体製造工程管理システム」は、本願発明の「半導体製造システム」に相当する。

以上の対応関係からして、本願発明と引用発明とは、

「設計情報を記憶する1つの記憶装置と、
露光部と、
前記露光部を制御する制御部と、
前記記憶装置と前記制御部とが接続されたネットワークとを備え、
設計情報を記憶する1つの記憶装置と、下流工程である検査および製造工程でのデータを記憶する記憶装置とを前記1つの記憶装置で共用する半導体製造システム。」の点で一致し、以下の各相違点で相違する。

(相違点1)
1つの記憶装置に記憶する設計情報について、本願発明では、「上流工程である論理設計でのデータ」(「論理設計情報」)を記憶するのに対して、引用発明では、データベース2にパターンデータ等の製造に必要な設計情報は記憶されていると認められるものの、論理設計でのデータは記憶されていない点。

(相違点2)
記憶装置と制御部とが接続される「ネットワーク」について、本願発明では、「ストレージエリアネットワーク」に限定しているのに対して、引用発明では、そのような限定がない点。

4.検討・判断

上記違点について検討する。

(1)相違点1について
一般的に、データベースに関連する各種の情報を記憶しておくことは、当業者にとって格別の創意を必要とすることではない。
そして、半導体の製造段階で用いるパターンデータ等の設計データは、論理設計の段階で得られる論理設計情報に基づいて生成されるものであるから、引用発明において、パターンデータ等の設計データを記憶するデータベース2に、その原データである論理設計情報も記憶されるようにしておくことは、当業者であれば容易に想到することである。
したがって、引用発明のデータベース2にパターンデータとともに論理設計情報を記憶させることにより、相違点1に係る特定事項を得ることは、当業者であれば容易になし得ることである。

なお、本願発明の構成要件には含まれないが、本願の詳細な説明の実施形態に開示されている論理設計情報に基づいて検査工程で用いるテストパターン等を生成することは周知技術(例えば、特開平6-109816号公報(【0061】等)、特開平11-160399号公報(【0033】?【0044】等)を参照されたい。)であるから、引用発明に当該周知技術を付加し、データベース2に論理設計情報が記憶されるようにしておき、自動化用エリアコンピュータ等で当該論理設計情報に基づいて、測定機・検査装置9で行う検査工程で用いるテストパターンデータ等を生成することも、当業者であれば容易に想到することである。

(2)相違点2について
半導体製造システムの技術分野では、半導体の回路パターンの高密度化および高集積化等に伴って、設計データや検査データ等のデータ量が増大することは、本願出願時において、周知の事項(例えば、特開2001-42503号公報の【0008】等を参照されたい。)であり、データ量が増大するとデータの保存や転送等が困難になることも同様に周知の事項である(例えば、特開2000-235248号公報(【0009】等)、特開2000-156342号公報(【0017】等)を参照されたい。)。
これらの周知事項に照らすと、ネットワーク回線(LAN3)を介して記憶装置(データベース2)が接続される引用発明の「半導体製造工程管理システム」において、半導体の回路パターンの高密度化および高集積化等に伴って、設計データや検査データ等のデータ量が増大し、その結果、ネットワーク回線が混雑し、データの保存や転送が困難になるという問題が生じることは、当業者にとって自明なことである。
そして、かかるネットワーク回線の混雑を解消するために、容量の大きなデータをホストコンピュータとは別に設けた記憶装置に記憶するとともに、前記ネットワーク回線とは独立した高速のストレージエリアネットワーク(SAN)で記憶装置とホストコンピュータを接続することは、本願出願時において当業者に周知の技術である(例えば、原査定の拒絶の理由に引用された周知技術を示す文献、特開2000-348005号公報(【0026】?【0027】、図6?7等。)、国際公開第00/77606号(第1頁第11?31行、第4頁第34行?第5頁第7行、第6頁第16?24行、Fig.1等。)を参照されたい。)。
そうすると、引用発明の「半導体製造工程管理システム」において「LAN3」の混雑を解消するために、「大容量記憶装置で構成されたデータベース2」と「自動化用エリアコンピュータ5」が接続される「ネットワーク」に上記周知技術であるストレージエリアネットワークを採用することは、当業者であれば容易に想到することである。
したがって、引用発明に周知技術を付加することにより、相違点2に係る特定事項を得ることは、当業者であれば容易になし得ることである。


さらに、本願発明が奏する作用効果も、引用発明および周知の技術から、当業者が予測できる範囲のものである。

よって、本願発明は、引用発明および周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


5. むすび

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-07-21 
結審通知日 2010-07-27 
審決日 2010-08-16 
出願番号 特願2004-220279(P2004-220279)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (H01L)
P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 杉浦 淳大熊 靖夫  
特許庁審判長 北川 清伸
特許庁審判官 橋本 直明
森林 克郎
発明の名称 半導体製造システム  
代理人 特許業務法人 武和国際特許事務所  
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