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審決分類 審判 判定 同一 属さない(申立て不成立) E04D
管理番号 1224804
判定請求番号 判定2010-600027  
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 2010-11-26 
種別 判定 
判定請求日 2010-05-25 
確定日 2010-10-15 
事件の表示 上記当事者間の特許第2741655号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号説明書及びイ号説明書に記載された図面に示す屋根下地材は,特許第2741655号発明の技術的範囲に属さない。 
理由 1 請求の趣旨
本件判定請求は,イ号説明書及びイ号説明書に記載された図面に示す屋根下地材(以下,「イ号物件」という。)が特許第2741655号発明の技術的範囲に属する,との判定を求めたものである。

2 本件発明
本件特許第2741655号は,平成6年6月28日の出願に係り,平成10年1月30日に設定登録されたものであって,本件発明は,その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものであって,その構成,目的及び効果は,以下のとおりである。

(1)本件発明の構成
「軟質性合成樹脂のシート状基材の上下両面に紙を一体的に接合して成り屋根の野地板上に敷く屋根下地材において,上記シート状基材の上面には,下部が大径で上部が小径とされ所定の高さだけ2段階に突出した多数のすべり止め突部を一体的に形成すると共に,これらのすべり止め突部を所定の単位面積中に複数個存在するように配置して全面に等方的に設けたことを特徴とする屋根下地材。」

そして,本件発明は,分説すると以下の構成要件を備えるものである。
「A 軟質性合成樹脂のシート状基材の上下両面に紙を一体的に接合して成り屋根の野地板上に敷く屋根下地材において,
B 上記シート状基材の上面には,下部が大径で上部が小径とされ所定の高さだけ2段階に突出した多数のすべり止め突部を一体的に形成すると共に,
C これらのすべり止め突部を所定の単位面積中に複数個存在するように配置して全面に等方的に設けたことを特徴とする
D 屋根下地材。」(以下,「構成要件A」?「構成要件D」という。)

(2)本件発明の目的及び効果
本件特許公報によれば,本件発明は,
「【0003】【発明が解決しようとする課題】しかし,このような従来の屋根下地材3においては,その上面はおおむね平らに形成されていたので,野地板2上に敷かれた屋根下地材3の上面にのって瓦ぶき作業をするのに,作業者の足がすべることがあった。特に,図7に示すように,野地板2上に敷かれた屋根下地材3の上面に所定の間隔で瓦桟4,4,…を釘等で打ち付ける作業をするときは,平らな上面の屋根下地材3以外には何もなく,上記屋根下地材3の上面で作業者の作業靴がすべることがあり,安全性の確保が十分にできないものであった。」,「【0004】・・・前記実公昭54-32824号公報に記載された屋根下地材は,・・・この屋根下地材の上面にのって瓦桟を打ち付けたり,瓦を並べたりする作業において,作業者の足のすべり止めの効果はほとんど期待できず,やはり安全性の確保が十分にできないものであった。」という従来の問題点に鑑み,「【0005】・・・本発明は,このような問題点に対処し,野地板上に敷かれた屋根下地材の上面にのって瓦ぶき作業をするのに作業者の足のすべり止め効果を発揮して作業の安全性を向上することができる屋根下地材を提供すること」を目的とし,「【0019】【発明の効果】 本発明は以上のように構成されたので,シート状基材の上面に所定の高さだけ2段階に突出して一体的に形成された多数のすべり止め突部により,野地板上に敷かれた屋根下地材の上面にのって瓦ぶき作業をする作業者の足のすべり止め効果を発揮する。このとき,上記すべり止め突部の下部大径突部で踏み感の安定性を維持し,上部小径突部で作業者の作業靴下面にくいつき状となりすべり止め効果を増大させることができる。従って,作業者は,屋根下地材上でほとんどすべることなく,作業の安全性を向上することができる。また,上記すべり止め突部は,所定の単位面積中に複数個存在するように配置されていることから,屋根下地材の上面に打ち付けられる所定幅の瓦桟をその幅方向において複数個のすべり止め突部で支持することとなり,打ち付け状態の瓦桟が幅方向にぐらつかないように安定して固定できる。」,「【0020】また,図2から明らかなように,屋根下地材の上面に瓦桟を打ち付けた状態で該屋根下地材と瓦桟との間にすべり止め突部の突出高さにより,微小の隙間が形成されて通気及び排水のための手段を構成することができる。従って,瓦からの漏水が瓦桟の上角部に滞留したものを軒方向に通過させることができ,排水性を向上すると共に通気性も向上して,湿気による瓦桟の腐食を防止することができる。」 という効果を奏するものである。

3 イ号物件
(1)請求人によるイ号物件の特定
請求人は,下記甲第1号証を挙げて,判定請求書の2頁第25?34行において,イ号物件を次のように特定している。
甲第1号証 本件特許第2741655号公報

a 軟質性合成樹脂のシート状基材(1)の上下両面に紙材(2,3)を一体的に接合して成り屋根の野地板上に敷く屋根下地材において,
b 上記シート状基材(1)の上面には,外径が約2mm,高さが約1.5mmの円柱形状に形成された主たる部分(4)の上面に,該主たる部分(4)よりも小径で,所定高さだけ略半球状に形成された突起(5)が隆起することで,全体として2段階に突出した多数のすべり止め突部(6)を一体的に形成するとともに,
c これらのすべり止め突部(6)を所定の単位面積中に複数個存在するように配置して全面に等方的に設けた
d 屋根下地材。

4 当事者の主張
(1)請求人の主張
請求人は,イ号物件を上記「3(1)」に記載したように特定した上で,請求書3頁26行?4頁32行において,下記ア?ウの主張(一部省略)をしている。

ア イ号物件の構成a,c,dは,本件特許発明の構成要件A,C,Dを充足する。

イ イ号物件の構成bと,本件特許発明の構成要件Bを対比すると,構成bの「すべり止め突部(6)」の具体的構成は,全体として明らかに2段階に突出した形状となっており,主たる部分(4)と突起(5)とは,主たる部分(4)の上端面における平坦面状に形成された部分を境目として,それぞれが独立した存在として,明確に区別し得る構成となっており,この平坦面上に形成された部分を介して段階的に径が変化する段部を備えた2段構成となっていることから,イ号物件の構成bは「下部が大径で上部が小径とされ所定の高さだけ2段階に突出したすべり止め突部」ということができる。
本願明細書の【0003】,【0007】,【0013】,【0018】を参酌すると,構成要件Bの「すべり止め突部」は,作業者の足がすべるのを防止するすべり止め機能を有し,2段階に突出した形状のものであれば,平面形状や側面形状,高さ等はどのようなものでもよいことは明らかである。
よって, イ号物件の構成bは,本件特許発明の構成要件Bを充足する。

ウ 以上のとおり,イ号物件は,本件特許請求の範囲に記載の構成と同一であるから,本件特許発明の技術的範囲に属する。

(2)被請求人の主張
被請求人は,下記乙第1号証?乙第6号証を挙げて,判定請求答弁書2頁12行?9頁16行において,下記ア?ウの主張(一部省略)をしている。
乙第1号証 訴状
乙第1号証の2 準鑑定書
乙第2号証 写真撮影報告書
乙第2号証の2 写真撮影報告書
乙第3号証 判定2009-600022
乙第4号証 陳述書
乙第5号証 審判事件答弁書
乙第6号証 原告第3準備書面


ア 「7.答弁の理由(1)はじめに」(判定請求答弁書2頁12行?3頁16行)において

請求人はイ号物件の製品名を明らかにしていない。一方,請求人は,「本件についての訴訟中であり,裁判所に証拠として提出するために・・・判定を求めた次第である。」と述べているので,イ号物件は侵害訴訟事件(東京地方裁判所平成21年(ワ)第43334号特許権侵害差止等請求事件)における「商品名を『レボ1』とする屋根下地材」である。

イ 「7.答弁の理由(2)イ号説明書は「レボ1」を正確に説明したものではないこと」(判定請求答弁書3頁17行?4頁12行)において

請求人は「すべり止め突部6の主たる部分4は,外径が約2mmの円柱形状に形成されており,すべり止め突部6の突起5は,主たる部分4の上端面略中心部分において外径が約0.5mmと主たる部分4よりも小径であって,略半球状に形成されている。」と主張し,イ号物件におけるすべり止め突部の形状が【図1】のとおりであると主張しているが,「レボ1」におけるすべり止め突部は,その写真のとおり,【図1】とは異なる形状をしており,また,その形状も様々であって,【図1】のように一般化することは到底できない。また,「レボ1」を製造する際に使用する金型にも「突起5」については一切設計されていない。よって,イ号説明書は「レボ1」におけるすべり止め突部を正確に説明したものではない。

ウ 「7.答弁の理由(3)イ号物件が,本件特許発明の技術的範囲に属しない理由」(判定請求答弁書4頁13行?9頁16行)において

(ア)仮に,イ号物件がイ号説明書に記載されたものであるとしても,イ号物件は,本件特許発明の技術的範囲に属しない。

(イ)本件発明の構成要件B「上記シート状基材の上面には,下部が大径で上部が小径とされ所定の高さだけ2段階に突出した多数のすべり止め突部を一体的に形成すると共に」について,「2段階に突出」の要件として,上部と下部との間に明確な区切りないし区別が存在すること,径が2段階ではなく高さにおいて2段階であることが必要である。
しかしながら,イ号物件の突起6の主たる部分4の上面には隆起があるのみで,この隆起は低く,平たいドーム状であり,略半球状ではなく,隆起は,主たる部分4の上面の平坦面状と比較して,高さにおいて明確な区切りないし区別があるわけではなく,2段階に突出していない。
また,主たる部分(4)と突起(5)とは,該主たる部分(4)の上端面における平坦面状に形成された部分を境目として,夫々が独立した存在として明確に区別し得る構成ではなく,両者は独立した存在ではない。
さらに,イ号物件の隆起部の高さは連続的に変化しており,「段階」を有するものではない。

(ウ)仮にイ号物件の突部6が「2段階に突出」したと評価できるとしても,突部6は上記構成要件Bにおける「所定の高さ」を有していない。
発明の詳細な説明【0009】,【0011】,【0015】,【0019】の具体的な数値を参酌すると,イ号物件は,先端部が丸みを帯び,鋭利な形状ではなく,高さも1?5mmよりも小さい0.2?0.5mmであるから,イ号物件の上部突起は,くいつき状となりすべり止め効果を増大させるほどの「所定の高さ」を有しているとは言えず,本件特許の構成要件Bを充足しない。

(エ)イ号説明書に示される突起の形状は,特定の1個の突起の形状を示すものであり,「レボ1」の他の突起の形状がいかなる形状かは不明であるから,イ号物件は構成要件Cを充足しない。

5 当審の判断
(1)当審によるイ号物件の特定
請求人によるイ号物件の特定は,上記「3(1)」の「a」?「d」に記載したとおりである。
ア 上記「a」及び「d」について被請求人は争っておらず,これらの構成については上記のとおり特定することとする。

イ 上記「c」について,イ号説明書において図1と図2の具体的な関係については記載されていないため,図2において複数の突部がほぼ等方的に配置されているということができても,図2におけるそれぞれの突部の形状を確認することはできず,図2において所定形状を有する「すべり止め突部」が「所定の単位面積中に複数個存在するように配置して全面に等方的に設け」られたものであると特定できない。しかしながら,すべり止め用突部を備えた屋根下地材において,同じ形状の突部を複数,等方的に配置することは技術常識である。よって,「c」については上記のとおり特定することとする。

ウ 上記「b」について,イ号説明書の図1において,「突起5」は,表面が曲面の形状を有するものではあるが,その高さと径は異なる数値となっており,「略半球状」ということはできない。また「突起5」の高さは径に比較して小さく,断面形状も扁平であるから,これを「突起」と表現することはできない。さらに,「主たる部分4」および「突起5」の構成が奏する作用効果についても明確ではないため,「主たる部分4」および「突起5」よりなる「すべり止め突部6」が,「全体として2段階に突出した」「すべり止め突部」であるということはできない。
「すべり止め突部6」を「多数」形成することについては,上記「イ」に述べたとおり技術常識である。
上記「b」における,その他の構成について被請求人は争っておらず,これらの構成については上記のとおり特定することとする。

エ 以上を総合して,当審は,イ号物件を次のように特定する。

「a軟質性合成樹脂のシート状基材の上下両面に紙を一体的に接合して成り屋根の野地板上に敷く屋根下地材において,
b上記シート状基材の上面には,外径が約2mmで高さが1.5mmの下部と,外径が約0.5?1.0mmで高さが0.2?0.5mmの上部とを備えた多数の突部を一体的に形成すると共に,
c上記突部を所定の単位面積中に複数個存在するように配置して全面に等方的に設けた,
d屋根下地材。」(以下,「構成a」?「構成d」という。)

なお,請求人は判定請求書の1頁行21行?2頁4行において「(1)判定請求の必要性」として,「本件判定請求に係る特許発明『屋根下地材』(甲第1号証)の特許権者(判定請求人 株式会社チャンピオン)は,有限会社チャンピオン化成(被請求人)がイ号図面ならびにその説明書で示す『屋根下地材』(イ号物件)を製造していることを確認した。そこで,本件判定請求人は,本件についての侵害訴訟中であり,裁判所に証拠として提出するために,高度な専門的技術的知識を有する特許庁による,厳正中立的な立場からの判定を求めた次第である。」と述べている。
しかしながら,請求人は,侵害訴訟及び訴訟における対象製品を特定しておらず,上記対象製品とイ号物件との関係についても示しておらず,これらに関する物件も提出していない。そのため,侵害訴訟における対象製品とイ号物件との関連は不明であり,イ号物件の特定において,請求人の主張する上記対象製品の構成を参酌することはできない。

(2)両当事者間に争いのない点(構成要件A及びDの充足性)について
本件発明とイ号物件を対比すると,イ号物件の構成a及びdは本件発明の構成要件AおよびDを充足する。

(3)争点1(構成要件Cの充足性)について
本件発明とイ号物件を対比すると,構成要件Cの充足性については争いがあるが,イ号物件の構成cは上記「3(2)イ」に述べたとおりに特定されるので,イ号物件の構成cは本件発明の構成要件Cを充足する。

(4)争点2(構成要件Bの充足性)について
本件発明とイ号物件を対比すると,構成要件Bの充足性について争いがある。そこで,イ号物件の構成bが本件発明の構成要件Bを充足するか否かについて以下に検討する。
まず,構成要件Bの「下部が大径で上部が小径とされ所定の高さだけ2段階に突出した多数のすべり止め突部」の技術的意義について検討するに,上記「すべり止め突部」の作用について,本件特許明細書の段落【0009】には「このように構成された屋根下地材は,シート状基材の上面に所定の高さだけ2段階に突出して一体的に形成された多数のすべり止め突部により,野地板上に敷かれた屋根下地材の上面にのって瓦ぶき作業をする作業者の足のすべり止め効果を発揮する。このとき,上記すべり止め突部の下部大径突部で踏み感の安定性を維持し,上部小径突部で作業者の作業靴下面にくいつき状となりすべり止め効果を増大させる」と記載されている。
ここで,上記「くいつき状」とは,「作業者の作業靴下面」に対する「くいつき」であることから,作業靴下面に形成された凹部などに対して上部小径突部が噛み合った状態を意味するものと解される。
そして上記「すべり止め突部」の大きさについて,同段落【0011】には実施例として「下部大径突部11は,図3に示すように平面視で直径4mm程度の円形の台座とされており,図2に示すように側断面形状は矩形とされ,高さが約1.5mmとされている。また,上部小径突部12は,図3に示すように上記下部大径突部11の中心部にて平面視で直径2mm程度の円形の突起とされており,図2に示すように側断面形状は矩形とされ,高さが約1mmとされている。従って,上記のように2段に形成されたすべり止め突部10の全体では,突出高さH1が約2.5mmとされている。」と記載されている。
これらの記載からみて,本件発明における「すべり止め突部」は,その下部大径突部が踏み感の安定性を維持する作用を有し,上部小径突部が作業者の作業靴下面にくいつき状となりすべり止め効果を増大させる作用を有するものであるということができ,このような作用を実現するための具体的な大きさは,下部大径突部が平面視で直径4mm程度,高さ約1.5mm,上部小径突部12が下部大径突部の中心部にて平面視で直径2mm程度,高さ約1mmであるといえる。
なお,請求人は上記「4(1)イ」に記載したように,本件特許明細書の段落【0003】,【0007】,【0013】,【0018】の記載を参酌して,「構成要件Bの「すべり止め突部」は,作業者の足がすべるのを防止するすべり止め機能を有し,2段階に突出した形状のものであれば,平面形状や側面形状,高さ等はどのようなものでもよいことは明らかである。」と主張しているが,段落【0018】には,「平面視」が「四角形,六角形などの多角形」でもよいと記載されているのみであり,側面形状や高さ等については記載されていない。よって,請求人の上記主張は採用できない。

一方,イ号物件における「突部」は,構成b「シート状基材の上面に」「一体的に形成」されたものであり「外径が約2mmで高さが1.5mmの下部と,外径が約0.5?1.0mmで高さが0.2?0.5mmの上部とを備えた多数の突部」である。

そこで,まず,本件発明の実施例における「すべり止め突部」とイ号物件における「突部」の大きさを比較すると,イ号物件における「突部」の「上部」は「外径が約0.5?1.0mmで高さが0.2?0.5mm」であるから,本件発明の実施例における「上部小径突部」の大きさ「直径2mm程度,高さ約1mm」と比較すると,その径は小さく高さも低い。同様に,イ号物件における「突部」の「下部」は「外径が約2mmで高さが1.5mm」であるから,本件発明の実施例における「下部大径突部」の大きさ「平面視で直径4mm程度,高さ約1.5mm」と比較すると,その径は小さい。このように,両者は,そもそも,その大きさ及び上下それぞれの部分における縦横の長さの比率において大きく異なるものである。また,イ号物件における「下部」の高さに対する「上部」の高さの比率は,本件発明の実施例における「下部大径突部」の高さに対する「上部小径突部」の高さの比率に比べ非常に小さく,両者は,「下部」に対する「上部」の高さの比においても,大きく異なるものである。
次に,イ号物件の「突部」の「上部」の有する作用効果について検討する。イ号物件の「突部」の「上部」は,曲面を描く滑らかな表面形状を有しており,その高さは径に比較して小さく断面形状は扁平であり,その高さは本件発明の「上部小径突部」の高さに比べて非常に低い。上記のとおり,イ号物件の「上部」の大きさは,本件発明における「上部小径突部」の大きさと比較して小さく,イ号物件の「下部」の大きさ「外径が約2mmで高さが1.5mm」が,本件発明の「上部小径突部」の大きさ「平面視で直径2mm程度」,「高さは約1mm」に近いものとなっている。これらの幾何学的な特徴を考慮すると,イ号物件の「突部」の「上部」が,本件特許明細書に記載された効果である,作業者の作業靴下面にくいつき状となりすべり止め効果を増大させる作用を有するものであるということはできない。そして,イ号物件における「突部」の「上部」が,どの様な目的で形成したものであるのか,不明であるといわざるを得ない。

以上を総合すると,本件発明の構成要件Bの「下部が大径で上部が小径とされ所定の高さだけ2段階に突出した多数のすべり止め突部」は,その「上部」が,作業者の作業靴下面にくいつき状となりすべり止め効果を増大させることにより,作業者の足のすべり止め効果を発揮するものであるのに対し,イ号物件の構成bの「外径が約2mmで高さが1.5mmの下部と,外径が約0.5?1.0mmで高さが0.2?0.5mmの上部とを備えた多数の突部」は,その「上部」が作業者の作業靴下面にくいつき状となりすべり止め効果を増大させる作用を有したものではないという点において相違するということができるから,構成bは,構成要件Bを充足しない。

6 むすび
以上のとおりであるから,イ号物件は,本件発明の技術的範囲に属しない。
よって,結論のとおり,判定する。
 
別掲
 
判定日 2010-10-06 
出願番号 特願平6-167550
審決分類 P 1 2・ 1- ZB (E04D)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 岡田 孝博
特許庁審判官 秋月 美紀子
横井 亜矢子
登録日 1998-01-30 
登録番号 特許第2741655号(P2741655)
発明の名称 屋根下地材  
代理人 木内 加奈子  
代理人 水沼 淳  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 渡邊 徹  
代理人 渡辺 光  
代理人 福田 信雄  
代理人 倉澤 伊知郎  
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