• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1225276
審判番号 不服2008-4097  
総通号数 132 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-02-21 
確定日 2010-10-13 
事件の表示 特願2002-367933「共有ドキュメント管理システム、メンバ端末装置、メンバ端末用ドキュメント共有処理プログラム、および共有ドキュメント管理プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 7月15日出願公開、特開2004-199446〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成14年12月19日の出願であって、平成19年7月25日付けで拒絶理由通知がなされ、同年10月9日付けで手続補正がなされたが、平成20年1月11日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年2月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年3月24日付けで手続補正がなされたものである。


第2 平成20年3月24日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成20年3月24日付けの手続補正(以下、「本件補正」と呼ぶ。)を却下する。

[理由]

1.補正内容

本件補正は、特許請求の範囲の補正を含むものであって、

「【請求項6】 複数のメンバにより共有される電子データ化されたドキュメントを、権限を持つメンバである管理者の指示にもとづいた修正処理または改版処理により管理するサーバを備える共有ドキュメント管理システムにおける前記メンバの端末装置であって、
前記サーバから、前記メンバにより共有される前記電子ドキュメントの内容を格納するオリジナルファイルと、前記オリジナルファイルに対する修正情報であって当該修正の対象となる語句、当該修正後の語句および当該修正依頼コメントを含む修正依頼内容、ならびに前記修正依頼内容が参照する修正依頼箇所の前記オリジナルファイルでの位置情報であるオリジナルファイル参照箇所情報を登録する修正依頼ファイルとを、ダウンロードするデータ送受信処理手段と、
前記オリジナルファイルの内容を表示するための内容表示データを生成し、前記オリジナルファイル参照箇所情報から求めた前記修正依頼箇所に前記修正依頼内容を表示するための修正依頼内容表示データを生成し、前記内容表示データおよび前記修正依頼内容表示データを重畳して表示するレイヤ表示処理手段とを備える
ことを特徴とするメンバ端末装置。」

を、

「【請求項5】 複数のメンバにより共有される電子データ化されたドキュメントを、権限を持つメンバである管理者の指示にもとづいた修正処理または改版処理により管理するサーバを備える共有ドキュメント管理システムにおける前記メンバの端末装置であって、
前記サーバから、前記メンバにより共有される前記電子ドキュメントの内容を格納するオリジナルファイルと、前記オリジナルファイルに対する修正情報であって当該修正の対象となる語句、当該修正後の語句および当該修正依頼コメントを含む修正依頼内容、ならびに前記修正依頼内容が参照する修正依頼箇所の前記オリジナルファイルでの位置情報であるオリジナルファイル参照箇所情報を登録する修正依頼ファイルとをダウンロードし、当該端末装置で生成したオリジナルファイル参照箇所情報および修正依頼内容を前記サーバに送信するデータ送受信処理手段と、
前記オリジナルファイルの内容を表示するための内容表示データを生成し、前記オリジナルファイル参照箇所情報から求めた前記修正依頼箇所に前記修正依頼内容を表示するための修正依頼内容表示データを生成し、前記内容表示データおよび前記修正依頼内容表示データを重畳して表示するレイヤ表示処理手段と、
前記内容表示データの表示上あるいは前記内容表示データおよび前記修正依頼内容表示データが重畳して表示されたレイヤ表示上で修正依頼箇所が指定された場合に、前記修正依頼箇所のオリジナルファイル参照箇所情報を取得し、前記内容表示データの表示上あるいは前記内容表示データおよび前記修正依頼内容表示データが重畳して表示されたレイヤ表示上に前記修正依頼箇所を基点とするデータ入力領域を生成し、前記修正依頼箇所のオリジナルファイル参照箇所情報および前記データ入力領域に入力された修正依頼内容を取得する修正依頼内容入力手段とを備える
ことを特徴とするメンバ端末装置。」

に変更する補正事項を含むものである。

2.補正の目的の適否について

本件補正の目的が、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に適合するか否かを検討するに、当審は、以下の理由で、本件補正の目的は、同改正前の特許法第17条の2第4項の規定に適合するものではないと判断する。

(1)上記補正事項のうち、「レイヤ表示処理手段とを備える」なる記載を「レイヤ表示処理手段と、
前記内容表示データの表示上あるいは前記内容表示データおよび前記修正依頼内容表示データが重畳して表示されたレイヤ表示上で修正依頼箇所が指定された場合に、前記修正依頼箇所のオリジナルファイル参照箇所情報を取得し、前記内容表示データの表示上あるいは前記内容表示データおよび前記修正依頼内容表示データが重畳して表示されたレイヤ表示上に前記修正依頼箇所を基点とするデータ入力領域を生成し、前記修正依頼箇所のオリジナルファイル参照箇所情報および前記データ入力領域に入力された修正依頼内容を取得する修正依頼内容入力手段とを備える」なる記載に変更する補正事項(以下、「本件補正事項」と呼ぶ。)について検討するに、本件補正事項が上記改正前の特許法第17条の2第4項でいう「請求項の削除」(第1号)、「誤記の訂正」(第3号)、「明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」(第4号)、のいずれにも該当しないことは明らかである。

(2)本件補正事項が、上記改正前の特許法第17条の2第4項第2号でいう「特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」(以下、「限定的減縮」と呼ぶ。)に該当するものといえるか否かについて検討するに、本件補正事項は、以下の理由で限定的減縮にも該当しないというべきである。
すなわち、本件補正事項は、補正前の請求項6には記載のなかった「前記内容表示データの表示上あるいは前記内容表示データおよび前記修正依頼内容表示データが重畳して表示されたレイヤ表示上で修正依頼箇所が指定された場合に、前記修正依頼箇所のオリジナルファイル参照箇所情報を取得し、前記内容表示データの表示上あるいは前記内容表示データおよび前記修正依頼内容表示データが重畳して表示されたレイヤ表示上に前記修正依頼箇所を基点とするデータ入力領域を生成し、前記修正依頼箇所のオリジナルファイル参照箇所情報および前記データ入力領域に入力された修正依頼内容を取得する修正依頼内容入力手段」なる手段を、「メンバ端末装置」に係る発明を特定するために必要な事項として新たに追加するものであって、補正前の請求項6に係る発明のいずれかの「発明を特定するために必要な事項」を限定するものではない。

3.独立特許要件について(予備的判断)

上述したように、本件補正は、上記改正前の特許法第17条の2第4項の規定に適合しないものであるから、それだけで、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものであるが、仮に、本件補正が上記改正前の特許法第17条の2第4項第2号に該当するものと評価でき、本件補正は上記改正前の特許法第17条の2第4項の規定に適合するものであると言い得たとしても、上記補正後の請求項5に係る発明は、下述する理由で特許出願の際独立して特許を受けることができないものでもあるから、本件補正は、上記改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反し、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
以下説明する。

(1)上記補正後の請求項5に係る発明
上記補正後の請求項5に係る発明(以下、「本願補正発明」と呼ぶ。)は、上記「1.」の項に補正後のものとして転記したとおりのものである。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-131346号公報(以下、「引用例」と呼ぶ。)には、以下の事項が記載されている。

「【0013】
【課題を解決するための手段】図1に本発明の原理構成を図示する。1は本発明を具備する文書処理装置、2は文書処理装置1の備える端末、3は端末2の備えるキーボード等の入力手段である。この端末2は、複数用意されて、通信網ネットワークにより接続されることがある。
【0014】文書処理装置1は、作成機構10と、生成機構11と、表示機構12と、決定機構13と、修正機構14とを備えることに加えて、入出力制御手段15と、作成文書展開手段16と、修正指示展開手段17と、コメント展開手段18と、定義手段19と、管理手段20と、登録手段21と、判断手段22と、表示手段23と、発行手段24とを備える。
【0015】この作成機構10は、端末2と対話することで文書を作成する。この作成処理にあたって、作成機構10は、前回の作成文書を編集することで新たな文書を作成するときには、その編集文書部分を抽出する。更に、作成する文書に対してのコメント情報も生成することがある。
【0016】生成機構11は、端末2と対話することで作成された文書に対しての文書修正指示情報を生成し、更に、生成する文書修正指示情報に関してのコメント情報も生成することがある。ここで、作成機構10の抽出する編集文書部分と、生成機構11の生成する文書修正指示情報とは同一の機能を利用することで抽出/生成されるものではあるが、後述するように、作成機構10は作成者ID種別を持つユーザのみが利用でき、一方、生成機構11はレビュー者ID種別を持つユーザのみが利用できることから、構成上異なった機能となる。
【0017】表示機構12は、端末2のディスプレイ画面に、生成機構11の生成した文書修正指示情報を元文書に対して校正風に対応付けて表示する。そして、作成機構10が前回の作成文書を編集することで新たな文書を作成するときには、作成機構10の抽出した編集文書部分を元文書に対して校正風に対応付けて表示することがあり、更に、作成機構10の生成したコメント情報を作成文書部分に関連付けて表示したり、生成機構11の生成したコメント情報を文書修正指示情報に関連付けて表示したり、後述する決定機構13の生成したコメント情報を文書修正指示情報に関連付けて表示することがある。
【0018】決定機構13は、端末2と対話することで生成された文書修正指示情報に対しての採用/不採用を決定し、更に、端末2と対話することで、それらの文書修正指示情報/コメント情報に対してのコメント情報も生成することがある。この決定機構13の決定結果を受けて、表示機構12は、文書修正指示情報に対しての採用/不採用に応じて、その文書修正指示情報の表示態様を変えていくことがある。
【0019】修正機構14は、文書修正指示情報に対しての採用/不採用の決定結果を受けて、端末2と対話することで文書を修正する。例えば、決定機構13が採用を決定した文書修正指示情報を元文書にマージしていくときには、そのマージされた文書に対しての文書修正処理を実行し、決定機構13がマージ処理まで実行しないときには、マージ処理を実行してから、そのマージした文書に対しての文書修正処理を実行する。」

「【0027】25は端末2のディスプレイ画面に表示される最新文書画面である。この最新文書画面25は、作成機構10が文書を作成するときにディスプレイ画面に表示していくものであり、最新版の作成文書を表示する。26は端末2のディスプレイ画面に表示されるレビュー画面である。このレビュー画面26は、表示機構12がディスプレイ画面に表示していくものであり、校正風表示の文書修正指示情報を持つ文書を表示する。」

「【0028】
【作用】本発明では、定義手段19は、例えば、作成機構10/決定機構13/修正機構14は作成者ID種別の利用できる機構であり、生成機構11はレビュー者ID種別の利用できる機構であるというように定義する。ここで、作成機構10は、新たな文書の作成開始時には、全ての文書処理者IDに利用が開放されることになる。
【0029】以下、最も代表的となる文書作成手順に従って、文書処理装置1の実行する文書作成処理について説明する。文書作成者(以下、Aと称する)から新たな文書作成要求があると、作成機構10は、端末2と対話することで文書を作成して、その作成処理が終了すると、作成文書(以下、aと称する)を作成文書展開手段16に展開するとともに、端末2から入力されてくる文書作成者Aの作成者IDを管理手段20の作成者ID種別のエントリーに初期登録する。」

「【0032】この後、この文書修正指示情報の生成依頼を受けて、端末2を介して、レビュー者Bから、レビュー者IDを指定して作成文書aに対しての文書修正指示情報の生成要求があると、生成機構11の判断手段22は、管理手段20の管理データを参照することで、入力されてきたレビュー者IDが管理手段20に登録されているレビュー者ID種別に属することを判断する。この判断結果を受けて、生成機構11は、この判断結果と定義手段19の定義データとに従って、レビュー者Bの生成要求を受け入れて、端末2と対話することで、作成文書aに対しての文書修正指示情報を生成して、それを修正指示展開手段17に格納するとともに、管理手段20に管理される作成文書aの進捗状況データに対して文書修正指示情報が生成された旨を記録する。
【0033】この後、表示手段23は、この文書修正指示情報が記録された旨を端末2のディスプレイ画面に表示していく。この後、この表示を受けて、端末2を介して、文書作成者Aから、作成者IDを指定して生成された文書修正指示情報の採用/不採用の決定要求があると、決定機構13の判断手段22は、管理手段20の管理データを参照することで、入力されてきた作成者IDが管理手段20に登録されている作成者ID種別に属することを判断する。この判断結果を受けて、決定機構13は、この判断結果と定義手段19の定義データとに従って、文書作成者Aの決定要求を受け入れて、端末2と対話することで、生成された文書修正指示情報に対しての採用/不採用を決定して、採用の決定した文書修正指示情報を作成文書aにマージしていく。
【0034】この後、端末2を介して、文書作成者Aから、作成者IDを指定して作成文書aの修正要求があると、修正機構14の判断手段22は、管理手段20の管理データを参照することで、入力されてきた作成者IDが管理手段20に登録されている作成者ID種別に属することを判断する。この判断結果を受けて、修正機構14は、この判断結果と定義手段19の定義データとに従って、文書作成者Aの修正要求を受け入れて、端末2と対話することで、文書修正指示情報のマージされた作成文書aを文書作成者Aの希望するものに完成する。
【0035】このようにして、本発明に従う文書処理装置1では、紙面上で実行されている文書作成手順をそのままの形式で踏襲できるとともに、更新権を持たない者が作成文書を更新してしまったり、レビュー権を持たない者が作成文書に対してレビューしてしまうというような不都合を回避することができる。
【0036】そして、作成機構10や生成機構11や決定機構13や修正機構14が、最新版の作成文書を端末2のディスプレイ画面に最新文書画面25として表示するときにあって、表示機構12は、その最新版の作成文書の元文書に対しての文書修正指示情報を、その元文書に対して校正風に対応付けつつレビュー画面26に表示していく構成を採るものであることから、文書作成者は、最新版の作成文書をどのように修正していったらよいのかを一目で理解できて、文書作成を効率的に実行できるようになる。」

「【0041】図2に、このような機能を持つ本発明の文書処理装置1の実行する文書作成処理の全体構成、図3に、この文書作成処理の全体の流れを図示する。図2中、30は端末2のディスプレイ画面に表示されるマルチウィンドウ、31はマルチウィンドウ30に表示される文書編集画面、32はマルチウィンドウ30に表示される文書表示画面、40は作成文書展開手段16/修正指示展開手段17/コメント展開手段18の展開データを格納する外部記憶媒体である。
【0042】この文書編集画面31は、最新版原稿をロードするものであって、図2中に示すように、執筆者のみが作業できて、既存原稿を流用しつつ新原稿への作成処理を司る執筆メニューと、レビュー者のみが作業できて、原稿へのレビュー情報(図1で説明した文書修正指示情報)やコメント情報(質問や意見等)の生成処理を司るレビューメニューと、執筆者のみが作業できて、レビュー者により指示されたレビュー情報の各々に対しての採用/不採用の決定処理(各レビュー情報の持つ確定破棄フラグの設定処理)を司るとともに、採用レビュー情報の元原稿へのマージ処理と、レビュー情報等に対してのコメント情報(質問に対しての応答等)の生成処理とを司る確定破棄メニューと、執筆者のみが作業できて、原稿への最終的な修正処理を司る原稿修正メニューとを展開する。
【0043】これらのメニューは、図3の処理フローに示すように、先ず最初に、執筆メニューによる文書作成処理が実行され、続いて、レビューメニューによる文書作成処理が実行され、続いて、確定破棄メニューによる文書作成処理が実行され、最後に、原稿修正メニューによる文書作成処理が実行されるという順序に従って実行されることになる。
【0044】そして、この執筆メニューによる処理終了時には、変更前の原稿と、変更後の原稿と、その変更前原稿と変更後原稿との差分修正情報とが外部記憶媒体40にセーブされる。また、レビューメニューによる処理終了時には、レビュー対象の原稿と、その原稿に対してのレビュー情報とが外部記憶媒体40にセーブされる。また、確定破棄メニューによる処理終了時には、確定破棄フラグの設定されたレビュー情報と、レビュー対象原稿とが外部記憶媒体40にセーブされる。また、原稿修正メニューによる処理終了時には、採用レビュー情報のマージされた原稿と、その原稿の変更後の原稿と、その2つの原稿との差分修正情報とが外部記憶媒体40にセーブされることになる。」

「【0046】一方、文書表示画面32は、セーブされている変更前原稿と、その変更前原稿に対応付けられる差分情報(差分修正情報/レビュー情報等)とをロードして、最新版以外の原稿を校正風に表示するものであって、差分修正情報を元原稿に対して校正風に表示したり、レビュー情報を元原稿に対して校正風に表示したりするものである。この校正風表示は、例えば、図12に図示したように表示されるものであって、具体的には、図中に示すように、通番を表示することに加えて、表示色を変えて編集内容を明示することで実行される。なお、レビューメニューにより生成されるコメント情報(抽象的な修正指示等のコメント)や、確定破棄メニューにより生成されるコメント情報(レビュー者に対してのコメント等)については、別ウィンドウでもって表示する構成を採っている。
【0047】この文書表示画面32による校正風表示に従って、執筆者は、文書編集画面31の執筆メニューを実行するときにあって、前回変更した原稿部分を正確に把握しながら最新版原稿を作成できるようになるとともに、レビュー者の指示したレビュー情報を参照しつつ最新版原稿を作成できるようになる。そして、確定破棄メニューを実行するときにあって、レビュー者の指示したレビュー情報を正確に把握しつつその取捨選択を実行できるようになる。そして、原稿修正メニューを実行するときにあって、レビュー者の指示したレビュー情報を参照しつつ最終的な変更処理を実行できるようになる。
【0048】一方、この文書表示画面32による校正風表示に従って、レビュー者は、文書編集画面31のレビューメニューを実行するときにあって、他のレビュー者の指摘したレビュー情報を参照しつつレビュー情報を生成できるようになる。なお、複数のレビュー者がいるときには、レビュー情報をレビュー者対応に別画面で表示する構成を採ったり、同一画面に異なる表示態様で表示する構成を採ることになる。
【0049】このように、本発明を具備する文書処理装置1では、レビュー情報等の差分原稿情報を元原稿に校正風に対応付けて表示する構成を採りつつ、「執筆(修正)→レビュー→レビュー吟味→最終修正」という処理手順を踏む文章作成の各処理手順に携わることのできる者が、執筆者であるのか、レビュー者であるのかを規定する構成を採って、この規定された以外の者がその処理手順に携わることを禁止していくことで、正確な文書作成処理を実現する構成を採るものである。」

「【0062】執筆者は、以下の手順に従って、このように表示されるしおり確定破棄画面310を用いて、レビュー者により指摘されたレビュー情報を採用するか否かを決定する。
【0063】すなわち、執筆者は、管理手段20に登録されている執筆者IDに従って、このしおり確定破棄画面310の開設を許可されると、しおりボタン311に従ってレビュー者により指摘のあったレビュー情報を順番に選択し、必要に応じてコメント情報を参照しながら、プルダウンメニュー311に設けられる破棄ボタンを用いて、レビュー情報を採用するか否かを決定していくのである。なお、このとき、執筆者の確認作業の便宜を図るために、採用となったレビュー情報はレビューメニューで付けられた濃い赤でそのまま表示し、不採用となったレビュー情報を薄い赤で表示していく構成を採っている。そして、採用/不採用の決定処理を終了すると、プルダウンメニュー311に設けられる修正後表示ボタンを用いて、採用レビュー情報を元原稿に組み入れて表示していくことになる。」

「【0067】また、文書処理装置1は、レビューメニューを開設すると、図10(b)の処理フローに示すように、先ず最初に、ステップ1で、端末2から入力されてくる文書処理者IDが、レビュー者IDか執筆者IDなのかを判断して、執筆者IDであるときには、レビューメニューを実行する権限を有しないので処理を終了する。一方、レビュー者IDであるときには、ステップ2に進んで、処理対象となる原稿ファイル(b)を指定させ、続くステップ3で、管理手段20の状況コードを参照することで、この原稿ファイル(b)が執筆済又はレビュー中のものか否かを判断して、執筆済又はレビュー中のものでないときは、ファイル指定を拒絶してステップ2に戻る。
【0068】一方、ステップ3で、原稿ファイル(b)がレビューメニューの処理対象となるファイルであることを判断するときには、ステップ4に進んで、原稿ファイル(b)を外部記憶媒体40から読み出してロードし、続くステップ5で、原稿ファイル(b)への追記、修正をすることでレビュー情報を生成するとともに、執筆者宛のコメントを生成する。続いて、ステップ6で、ユーザが終了ボタンをクリックしたか否かを判断して、クリックしないときにはステップ5の処理を継続し、クリックしたときには、ステップ7に進んで、元原稿にあたる原稿ファイル(b)と、変更後の原稿ファイル(c)との差分データであるレビュー情報Δ(b)をセーブする。そして、続くステップ8で、原稿ファイル(b)をセーブし、続くステップ9で、原稿ファイル(c)(≡(b)+Δ(b))をセーブして処理を終了する。上述したように、このレビュー情報Δ(b)は、レビュー対象の原稿ファイル(b)に校正風に対応付けられて表示されることになる。」

また、上記記載事項を技術常識に照らせば、以下のことがいえる。

ア.引用例の「文書処理装置」は、文書を、権限を持つ文書作成者の指示にもとづいた修正処理により管理するものといえるから、該「文書処理装置」は、「文書を、権限を持つ文書作成者の指示にもとづいた修正処理により管理するための装置」であるといえる。

イ.引用例の図12に示されるような文書の「校正風表示」は、段落【0068】等でいう「レビュー対象の原稿ファイル(b)」(段落【0017】でいう「元文書」ないし段落【0046】でいう「変更前原稿」を格納するファイル)と段落【0068】等でいう「レビュー情報Δ(b)」(段落【0017】等でいう「文書修正指示情報」ないし段落【0046】でいう「差分情報」)とに基づくものと認められるが、そのような表示のためには、「修正の対象となる語句」と「修正後の語句」と「修正箇所の元文書における位置情報」とが当然に必要であるから、上記「レビュー情報Δ(b)」(段落【0017】等でいう「文書修正指示情報」ないし段落【0046】でいう「差分情報」)は、当然に、「修正の対象となる語句」と「修正後の語句」と「修正箇所の元文書における位置情報」を含むものである。

以上によれば、引用例には、以下の発明(以下、「引用例記載発明」と呼ぶ。)が記載されているといえる。
「文書を、権限を持つ文書作成者の指示にもとづいた修正処理により管理するための装置であって、
外部記憶媒体から、『レビュー対象の原稿ファイル(b)』と、『「修正の対象となる語句」と「修正後の語句」と「修正箇所の元文書における位置情報」を含む「(セーブ済みの)レビュー情報Δ(b)」』をロードし、生成機構で生成した『「修正の対象となる語句」と「修正後の語句」と「修正箇所の元文書における位置情報」を含む「(未セーブの)レビュー情報Δ(b)」』を前記外部記憶媒体にセーブする手段と、
前記『レビュー対象の原稿ファイル(b)』と前記『(セーブ済みの)レビュー情報Δ(b)』に基づいて校正風表示をする手段と、
前記校正風表示をしつつ、『「修正の対象となる語句」と「修正後の語句」と「修正箇所の元文書における位置情報」を含む前記「(未セーブの)レビュー情報Δ(b)」』を生成する手段とを備える
装置。」

(3)対比

本願補正発明と引用例記載発明とを対比すると、以下のことがいえる。

ア.引用例記載発明の「文書」は、本願補正発明の「電子データ化されたドキュメント」に相当し、引用例記載発明の「文書作成者」と本願補正発明の「管理者」とは、「(修正処理の)権限を持つ者」である点で共通する。
したがって、引用例記載発明の「文書を、権限を持つ文書作成者の指示に基づいた修正処理により管理するための装置」と本願補正発明の「電子データ化されたドキュメントを、権限を持つメンバである管理者の指示にもとづいた修正処理または改版処理により管理するサーバを備える共有ドキュメント管理システムにおける前記メンバの端末装置」とは、「電子データ化されたドキュメントを、権限を持つ者の指示にもとづいた修正処理または改版処理により管理するための装置」である点で共通する。

イ.引用例記載発明における「外部記憶媒体」と本願補正発明における「サーバ」は、「外部装置」である点で共通し、引用例記載発明の「レビュー対象の原稿ファイル(b)」は、本願補正発明の「オリジナルファイル」に相当する。
そして、引用例記載発明における「外部記憶媒体からのロード」と本願補正発明における「サーバからのダウンロード」とは、「外部装置からの受信」である点で共通し、引用例記載発明における「外部記憶媒体へのセーブ」と本願補正発明における「サーバへの送信」とは、「外部装置への送信」である点で共通する。
また、引用例記載発明の「修正箇所の元文書における位置情報」は、本願補正発明の「オリジナルファイル参照箇所情報」に相当し、引用例記載発明の「(セーブ済みの)レビュー情報Δ(b)」と本願補正発明における「修正依頼ファイル」中の情報とは、「修正の対象となる語句」と「修正後の語句」と「オリジナルファイル参照箇所情報」を含む情報である点で共通する。
さらに、引用例記載発明の「(未セーブの)レビュー情報Δ(b)」と本願補正発明における「修正依頼内容」とは、「修正の対象となる語句」と「修正後の語句」を含む情報である点で共通する。
したがって、引用例記載発明の「外部記憶媒体から、『レビュー対象の原稿ファイル(b)』と、『「修正の対象となる語句」と「修正後の語句」と「修正箇所の元文書における位置情報」を含む「(セーブ済みの)レビュー情報Δ(b)」』をロードし、生成機構で生成した『「修正の対象となる語句」と「修正後の語句」と「修正箇所の元文書における位置情報」を含む「(未セーブの)レビュー情報Δ(b)」』を前記外部記憶媒体にセーブする手段」と、本願補正発明の「前記サーバから、前記メンバにより共有される前記電子ドキュメントの内容を格納するオリジナルファイルと、前記オリジナルファイルに対する修正情報であって当該修正の対象となる語句、当該修正後の語句および当該修正依頼コメントを含む修正依頼内容、ならびに前記修正依頼内容が参照する修正依頼箇所の前記オリジナルファイルでの位置情報であるオリジナルファイル参照箇所情報を登録する修正依頼ファイルとをダウンロードし、当該端末装置で生成したオリジナルファイル参照箇所情報および修正依頼内容を前記サーバに送信するデータ送受信処理手段」とは、「外部装置から、前記電子ドキュメントの内容を格納するオリジナルファイルと、前記オリジナルファイルに対する修正情報であって当該修正の対象となる語句、当該修正後の語句、ならびにそれらの前記オリジナルファイルでの位置情報であるオリジナルファイル参照箇所情報を受信し、装置で生成したオリジナルファイル参照箇所情報および『修正の対象となる語句』と『修正後の語句』を含む情報を前記外部装置に送信する手段」である点で共通する。

ウ.引用例記載発明における「校正風表示」と本願補正発明における「前記内容表示データおよび前記修正依頼内容表示データを重畳して表示するレイヤ表示」とは、「オリジナルファイルの内容を変えることなく、修正情報を付加した表示」である点で共通するから、引用例記載発明の「前記『レビュー対象の原稿ファイル(b)』と前記『(セーブ済みの)レビュー情報Δ(b)』に基づいて校正風表示をする手段」と本願補正発明における「前記オリジナルファイルの内容を表示するための内容表示データを生成し、前記オリジナルファイル参照箇所情報から求めた前記修正依頼箇所に前記修正依頼内容を表示するための修正依頼内容表示データを生成し、前記内容表示データおよび前記修正依頼内容表示データを重畳して表示するレイヤ表示処理手段」とは、「前記オリジナルファイルと、前記オリジナルファイルに対する修正情報であって当該修正の対象となる語句、当該修正後の語句、ならびにそれらの前記オリジナルファイルでの位置情報であるオリジナルファイル参照箇所情報から、前記オリジナルファイルの内容を変えることなく前記修正情報を付加した表示をする手段」である点で共通する。

エ.引用例記載発明においても、「(未セーブの)レビュー情報Δ(b)」における「修正箇所の元文書における位置」は、当然にレビュー者によって指定されるものであるから、引用例記載発明における「前記校正風表示をしつつ、『「修正の対象となる語句」と「修正後の語句」と「修正箇所の元文書における位置情報」を含む前記「(未セーブの)レビュー情報Δ(b)」』を生成する手段」と本願補正発明における「前記内容表示データの表示上あるいは前記内容表示データおよび前記修正依頼内容表示データが重畳して表示されたレイヤ表示上で修正依頼箇所が指定された場合に、前記修正依頼箇所のオリジナルファイル参照箇所情報を取得し、前記内容表示データの表示上あるいは前記内容表示データおよび前記修正依頼内容表示データが重畳して表示されたレイヤ表示上に前記修正依頼箇所を基点とするデータ入力領域を生成し、前記修正依頼箇所のオリジナルファイル参照箇所情報および前記データ入力領域に入力された修正依頼内容を取得する修正依頼内容入力手段」とは、「前記オリジナルファイルの内容の表示またはそれを変えることなく前記修正情報を付加した表示をしつつ、指定された修正箇所の『オリジナルファイル参照箇所情報』と『修正の対象となる語句』と『修正後の語句』を含む情報を生成する手段」である点で共通する。

したがって、本願補正発明と引用例記載発明との間には、以下の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「電子データ化されたドキュメントを、権限を持つ者の指示にもとづいた修正処理または改版処理により管理するための装置であって、
外部装置から、前記電子ドキュメントの内容を格納するオリジナルファイルと、前記オリジナルファイルに対する修正情報であって当該修正の対象となる語句、当該修正後の語句、ならびにそれらの前記オリジナルファイルでの位置情報であるオリジナルファイル参照箇所情報を受信し、装置で生成したオリジナルファイル参照箇所情報および『修正の対象となる語句』と『修正後の語句』を含む情報を前記外部装置に送信する手段と、
前記オリジナルファイルと、前記オリジナルファイルに対する修正情報であって当該修正の対象となる語句、当該修正後の語句、ならびにそれらの前記オリジナルファイルでの位置情報であるオリジナルファイル参照箇所情報から、前記オリジナルファイルの内容を変えることなく前記修正情報を付加した表示をする手段と、
前記オリジナルファイルの内容の表示またはそれを変えることなく前記修正情報を付加した表示をしつつ、指定された修正箇所の『オリジナルファイル参照箇所情報』と『修正の対象となる語句』と『修正後の語句』を含む情報を生成する手段とを備える
装置。」

(相違点1)
本願補正発明においては、「電子データ化されたドキュメント」が「複数のメンバにより共有される」ものであり、「権限を持つ者」が「権限を持つメンバである管理者」であるのに対し、引用例記載発明においては、「電子データ化されたドキュメント」が「複数のメンバにより共有される」ものではなく、「権限を持つ者」が「権限を持つメンバである管理者」ではない点。

(相違点2)
本願補正発明においては、「管理するための装置」が「管理するサーバを備える共有ドキュメント管理システムにおけるメンバの端末装置」であり、「外部装置」が「サーバ」であり、「受信」が「ダウンロード」であるのに対し、引用例記載発明においては、「管理するための装置」が「管理するサーバを備える共有ドキュメント管理システムにおけるメンバの端末装置」ではなく、「外部装置」が「サーバ」ではなく、「受信」が「ダウンロード」ではない点。

(相違点3)
本願補正発明においては、「外部装置から受信する情報」が、「前記電子ドキュメントの内容を格納するオリジナルファイルと、前記オリジナルファイルに対する修正情報であって当該修正の対象となる語句、当該修正後の語句および当該修正依頼コメントを含む修正依頼内容、ならびに前記修正依頼内容が参照する修正依頼箇所の前記オリジナルファイルでの位置情報であるオリジナルファイル参照箇所情報を登録する修正依頼ファイル」であるのに対し、引用例記載発明においては、「外部装置から受信する情報」が、「前記電子ドキュメントの内容を格納するオリジナルファイルと、前記オリジナルファイルに対する修正情報であって当該修正の対象となる語句、当該修正後の語句および当該修正依頼コメントを含む修正依頼内容、ならびに前記修正依頼内容が参照する修正依頼箇所の前記オリジナルファイルでの位置情報であるオリジナルファイル参照箇所情報を登録する修正依頼ファイル」ではない点。

(相違点4)
本願補正発明においては、「装置で生成し、外部装置に送信する情報」が、「オリジナルファイル参照箇所情報および修正依頼内容」であるのに対し、引用例記載発明においては、「装置で生成し、外部装置に送信する情報」が、「オリジナルファイル参照箇所情報および『修正の対象となる語句』と『修正後の語句』を含む情報」ではあるものの、その「『修正の対象となる語句』と『修正後の語句』を含む情報」が、本願補正発明でいう「修正依頼内容」ではない(「修正依頼コメント」に相当するものを含まない)点。

(相違点5)
本願補正発明においては、「前記オリジナルファイルと、前記オリジナルファイルに対する修正情報であって当該修正の対象となる語句、当該修正後の語句、ならびにそれらの前記オリジナルファイルでの位置情報であるオリジナルファイル参照箇所情報から、前記オリジナルファイルの内容を変えることなく前記修正情報を付加した表示をする手段」が、「前記オリジナルファイルの内容を表示するための内容表示データを生成し、前記オリジナルファイル参照箇所情報から求めた前記修正依頼箇所に前記修正依頼内容を表示するための修正依頼内容表示データを生成し、前記内容表示データおよび前記修正依頼内容表示データを重畳して表示するレイヤ表示処理手段」であるのに対し、引用例記載発明においては、「前記オリジナルファイルと、前記オリジナルファイルに対する修正情報であって当該修正の対象となる語句、当該修正後の語句、ならびにそれらの前記オリジナルファイルでの位置情報であるオリジナルファイル参照箇所情報から、前記オリジナルファイルの内容を変えることなく前記修正情報を付加した表示をする手段」が、「前記オリジナルファイルの内容を表示するための内容表示データを生成し、前記オリジナルファイル参照箇所情報から求めた前記修正依頼箇所に前記修正依頼内容を表示するための修正依頼内容表示データを生成し、前記内容表示データおよび前記修正依頼内容表示データを重畳して表示するレイヤ表示処理手段」と呼び得るようなものとは限らない点。

(相違点6)
本願補正発明においては、「前記オリジナルファイルの内容の表示またはそれを変えることなく前記修正情報を付加した表示をしつつ、指定された修正箇所の『オリジナルファイル参照箇所情報』と『修正の対象となる語句』と『修正後の語句』を含む情報を生成する手段」が、「前記内容表示データの表示上あるいは前記内容表示データおよび前記修正依頼内容表示データが重畳して表示されたレイヤ表示上で修正依頼箇所が指定された場合に、前記修正依頼箇所のオリジナルファイル参照箇所情報を取得し、前記内容表示データの表示上あるいは前記内容表示データおよび前記修正依頼内容表示データが重畳して表示されたレイヤ表示上に前記修正依頼箇所を基点とするデータ入力領域を生成し、前記修正依頼箇所のオリジナルファイル参照箇所情報および前記データ入力領域に入力された修正依頼内容を取得する修正依頼内容入力手段」であるのに対し、引用例記載発明においては、「前記オリジナルファイルの内容の表示またはそれを変えることなく前記修正情報を付加した表示をしつつ、指定された修正箇所の『オリジナルファイル参照箇所情報』と『修正の対象となる語句』と『修正後の語句』を含む情報を生成する手段」が、「前記内容表示データの表示上あるいは前記内容表示データおよび前記修正依頼内容表示データが重畳して表示されたレイヤ表示上で修正依頼箇所が指定された場合に、前記修正依頼箇所のオリジナルファイル参照箇所情報を取得し、前記内容表示データの表示上あるいは前記内容表示データおよび前記修正依頼内容表示データが重畳して表示されたレイヤ表示上に前記修正依頼箇所を基点とするデータ入力領域を生成し、前記修正依頼箇所のオリジナルファイル参照箇所情報および前記データ入力領域に入力された修正依頼内容を取得する修正依頼内容入力手段」と呼び得るようなものではない点。

(4)判断

ア.(相違点1)について
「複数のメンバにより共有される電子データ化されたドキュメントを管理するための装置」自体は、本願明細書中に【特許文献1】として提示される特開2002-140344号公報にも示されるように周知であること、引用例記載発明が、そのような「複数のメンバにより共有される電子データ化されたドキュメントを管理するための装置」においても有用であることは当業者に自明であること、等の事情を勘案すると、引用例記載発明を「複数のメンバにより共有される電子データ化されたドキュメントを管理するための装置」に適用することは当業者が容易推考し得たことである。
そして、以上のことは、取りも直さず、引用例記載発明の「電子データ化されたドキュメント」を「複数のメンバにより共有される」ものとし、引用例記載発明の「権限を持つ者」を「権限を持つメンバである管理者」とすることが、当業者に容易であったことを意味する。

イ.(相違点2)について
下記(ア)?(エ)の事情を勘案すると、引用例記載発明の「管理するための装置」を「管理するサーバを備える共有ドキュメント管理システムにおけるメンバの端末装置」とし、「外部装置」を「サーバ」とし、「受信」を「ダウンロード」とすることも、当業者が容易に推考し得たことというべきである。
(ア)引用例の段落【0013】の「この端末2は、複数用意されて、通信網ネットワークにより接続されることがある。」なる記載からも明らかなように、引用例記載発明は、複数の端末を有するシステムにおいても当然に使用され得るものである。
(イ)複数の端末を有する情報処理のためのシステムをサーバと複数のクライアント端末とで構成することはごく普通に行われていることであり、そのような構成とする際に、サーバとクライアント端末間の機能分担をどのようにするか(システム全体で実現すべき情報処理のうちのどの範囲をサーバに担わせ、どの部分をクライアント端末に担わせるか)は、当業者が必要に応じて適宜決定すべき事項である。
(ウ)引用例記載発明で実現されている情報処理についても、サーバと複数のクライアント端末とで構成されるシステムによって実現できない理由はない。そしてそのようにする場合に、引用例記載発明でいう「外部記憶媒体」が担っている機能をサーバに担わせ、引用例記載発明の装置が担っている機能を該サーバに接続される複数のクライアント端末に担わせることは、引用例記載発明における情報処理の内容からみて自然なことである。
(エ)以上のことは、取りも直さず、引用例記載発明の「管理するための装置」を「管理するサーバを備える共有ドキュメント管理システムにおけるメンバの端末装置」とし、「外部装置」を「サーバ」とし、「受信」を「ダウンロード」とすることが、当業者に容易であったことを意味する。

ウ.(相違点3)について
下記(ア)?(エ)の事情を勘案すると、引用例記載発明における「外部装置から受信する情報」である「前記電子ドキュメントの内容を格納するオリジナルファイルと、前記オリジナルファイルに対する修正情報であって当該修正の対象となる語句、当該修正後の語句、ならびにそれらの前記オリジナルファイルでの位置情報であるオリジナルファイル参照箇所情報」を、「前記電子ドキュメントの内容を格納するオリジナルファイルと、前記オリジナルファイルに対する修正情報であって当該修正の対象となる語句、当該修正後の語句および当該修正依頼コメントを含む修正依頼内容、ならびに前記修正依頼内容が参照する修正依頼箇所の前記オリジナルファイルでの位置情報であるオリジナルファイル参照箇所情報を登録する修正依頼ファイル」とすることも当業者が容易に推考し得たことというべきである。
(ア)引用例の段落【0016】、【0042】、【0046】等に示されるように、引用例のものにおいても、コメント情報は利用されており、該コメント情報が、段落【0048】に示されるように他のレビュー者の指摘したレビュー情報を参照しつつレビュー情報を生成する際にも有用であることは当業者に自明であるから、そのような態様でのレビュー情報の生成を実現するものである引用例記載発明において、「外部装置から受信する情報」に「コメント情報」を含ませることは、当業者が容易に推考し得たことである。
(イ)引用例のコメント情報は、修正依頼箇所毎に生成されるものか否かが定かでないが、レビュー情報が当然に有している「修正の対象となる語句」や「修正後の語句」と同様に修正依頼箇所毎に生成できない理由はないし、そうすることが有用な場合があることは当業者に自明であるから、引用例記載発明において「外部装置から受信する情報」に「コメント情報」を含ませるにあたり、該「コメント情報」を「修正の対象となる語句」や「修正後の語句」と同様に修正依頼箇所毎に生成するようにすることも、当業者が容易に推考し得たことである。
(ウ)引用例の記載では、引用例記載発明における「外部装置から受信する情報」のうちの「オリジナルファイルに対する修正情報であって当該修正の対象となる語句、当該修正後の語句、ならびにそれらの前記オリジナルファイルでの位置情報であるオリジナルファイル参照箇所情報」(「『修正の対象となる語句』と『修正後の語句』と『修正箇所の元文書における位置情報』を含む『(セーブ済みの)レビュー情報Δ(b)』」)が、ファイルに登録されるものなのか否かが定かでないが、複数の情報をファイルに登録しておくことはごく普通のことであるし、そのようにできない理由もないから、引用例記載発明における上記情報をファイルに登録されるものとすることも、当業者が容易に推考し得たことである。
(エ)以上のことは、取りも直さず、引用例記載発明における「外部装置から受信する情報」である「前記電子ドキュメントの内容を格納するオリジナルファイルと、前記オリジナルファイルに対する修正情報であって当該修正の対象となる語句、当該修正後の語句、ならびにそれらの前記オリジナルファイルでの位置情報であるオリジナルファイル参照箇所情報」を、「前記電子ドキュメントの内容を格納するオリジナルファイルと、前記オリジナルファイルに対する修正情報であって当該修正の対象となる語句、当該修正後の語句および当該修正依頼コメントを含む修正依頼内容、ならびに前記修正依頼内容が参照する修正依頼箇所の前記オリジナルファイルでの位置情報であるオリジナルファイル参照箇所情報を登録する修正依頼ファイル」とすることが当業者に容易であったことを意味する。

エ.(相違点4)について
上記「ウ.」の「(ア)」「(イ)」の事情によれば、引用例記載発明において、「装置で生成し、外部装置に送信する情報」を「オリジナルファイル参照箇所情報および修正依頼内容(「修正依頼コメント」に相当するものを含む)」とすることも、当業者が容易に推考し得たことである。

オ.(相違点5)について
下記(ア)?(イ)の事情を勘案すると、引用例記載発明における「前記オリジナルファイルと、前記オリジナルファイルに対する修正情報であって当該修正の対象となる語句、当該修正後の語句、ならびにそれらの前記オリジナルファイルでの位置情報であるオリジナルファイル参照箇所情報から、前記オリジナルファイルの内容を変えることなく前記修正情報を付加した表示をする手段」を、「前記オリジナルファイルの内容を表示するための内容表示データを生成し、前記オリジナルファイル参照箇所情報から求めた前記修正依頼箇所に前記修正依頼内容を表示するための修正依頼内容表示データを生成し、前記内容表示データおよび前記修正依頼内容表示データを重畳して表示するレイヤ表示処理手段」と呼び得るようなものとすることも、当業者が容易に推考し得たことというべきである。
(ア)複数の情報について、各情報毎に「内容表示データ」と呼び得るデータを生成し、各「内容表示データ」を、相互の位置関係を規定する情報に従って重畳して表示する「レイヤ表示処理手段」と呼び得る手段は、周知である。
(イ)引用例記載発明における「前記オリジナルファイルと、前記オリジナルファイルに対する修正情報であって当該修正の対象となる語句、当該修正後の語句、ならびにそれらの前記オリジナルファイルでの位置情報であるオリジナルファイル参照箇所情報から、前記オリジナルファイルの内容を変えることなく前記修正情報を付加した表示をする手段」として、上記「レイヤ表示処理手段」と呼び得る手段が適していることは、当業者に自明である。

カ.(相違点6)について
下記(ア)?(ウ)の事情を勘案すると、引用例記載発明における「前記オリジナルファイルの内容を変えることなく前記修正情報を付加した表示をしつつ、指定された修正箇所の『オリジナルファイル参照箇所情報』と『修正の対象となる語句』と『修正後の語句』を含む情報を生成する手段」を、「前記内容表示データの表示上あるいは前記内容表示データおよび前記修正依頼内容表示データが重畳して表示されたレイヤ表示上で修正依頼箇所が指定された場合に、前記修正依頼箇所のオリジナルファイル参照箇所情報を取得し、前記内容表示データの表示上あるいは前記内容表示データおよび前記修正依頼内容表示データが重畳して表示されたレイヤ表示上に前記修正依頼箇所を基点とするデータ入力領域を生成し、前記修正依頼箇所のオリジナルファイル参照箇所情報および前記データ入力領域に入力された修正依頼内容を取得する修正依頼内容入力手段」と呼び得るようなものとすることも、当業者が容易に推考し得たことというべきである。
(ア)ある情報の表示上の指定された位置に別の情報を重畳して表示するようにするために、前記「別の情報」と前記「指定された位置」の情報を、前記「ある情報」の表示上で前記「指定された位置」を基点とするデータ入力領域に入力された内容と当該「指定された位置」の情報を取得することで得るようにすることは、原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-95965号公報の段落【0010】の「例えば、コメントを示す所定の枠を設け、その枠内にコメント内容を記述するように予め決められている場合には、その枠に基づきコメント部を分離抽出する」なる記載からも伺い知れるように周知である。
(イ)引用例記載発明における「前記オリジナルファイルの内容の表示またはそれを変えることなく前記修正情報を付加した表示をしつつ、指定された修正箇所の『オリジナルファイル参照箇所情報』と『修正の対象となる語句』と『修正後の語句』を含む情報を生成する手段」を具現化する際に上記(ア)に示した周知の方式が有用であることは当業者に自明であり、また、そのような方式で実現できない理由はない。
(ウ)以上のことは、取りも直さず、引用例記載発明において、「前記オリジナルファイルの内容の表示またはそれを変えることなく前記修正情報を付加した表示をしつつ、指定された修正箇所の『オリジナルファイル参照箇所情報』と『修正の対象となる語句』と『修正後の語句』を含む情報を生成する手段」を、「前記内容表示データの表示上あるいは前記内容表示データおよび前記修正依頼内容表示データが重畳して表示されたレイヤ表示上で修正依頼箇所が指定された場合に、前記修正依頼箇所のオリジナルファイル参照箇所情報を取得し、前記内容表示データの表示上あるいは前記内容表示データおよび前記修正依頼内容表示データが重畳して表示されたレイヤ表示上に前記修正依頼箇所を基点とするデータ入力領域を生成し、前記修正依頼箇所のオリジナルファイル参照箇所情報および前記データ入力領域に入力された修正依頼内容を取得する修正依頼内容入力手段」と呼び得るようなものとすることが当業者に容易であったことを意味する。

キ.本願補正発明の効果について
本願補正発明の構成によってもたらされる効果は、引用例の記載事項や周知の事項から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。

(5)まとめ
以上のとおりであるから、本願補正発明は、引用例記載発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。


4.むすび
よって、本件補正は、上記改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであるか、そうでないとしても、上記改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。


第3 上記補正却下の決定を踏まえた本願発明についての検討

1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項6に係る発明(以下、「本願発明」と呼ぶ。)は、平成19年10月9日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項6に記載されたとおりのものであり、上記「第2」の「1.」の項に本件補正前のものとして転記したとおりのものである。

2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及びその記載事項は、上記「第2」の「3.」の「(2)」の項に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記「第2.」で検討した本願補正発明から、「データ送受信処理手段」に「当該端末装置で生成したオリジナルファイル参照箇所情報および修正依頼内容を前記サーバに送信する」という内容を付加する限定事項と、補正前の請求項6に係る発明に「前記内容表示データの表示上あるいは前記内容表示データおよび前記修正依頼内容表示データが重畳して表示されたレイヤ表示上で修正依頼箇所が指定された場合に、前記修正依頼箇所のオリジナルファイル参照箇所情報を取得し、前記内容表示データの表示上あるいは前記内容表示データおよび前記修正依頼内容表示データが重畳して表示されたレイヤ表示上に前記修正依頼箇所を基点とするデータ入力領域を生成し、前記修正依頼箇所のオリジナルファイル参照箇所情報および前記データ入力領域に入力された修正依頼内容を取得する修正依頼内容入力手段」という内容を付加する限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2」の「3.」の項に記載したとおり、引用例記載発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用例記載発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例記載発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-08-05 
結審通知日 2010-08-10 
審決日 2010-08-24 
出願番号 特願2002-367933(P2002-367933)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 572- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 成瀬 博之  
特許庁審判長 小曳 満昭
特許庁審判官 池田 聡史
長島 孝志
発明の名称 共有ドキュメント管理システム、メンバ端末装置、メンバ端末用ドキュメント共有処理プログラム、および共有ドキュメント管理プログラム  
代理人 重久 啓子  
代理人 穂坂 和雄  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ