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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04B
管理番号 1225553
審判番号 不服2008-2037  
総通号数 132 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-01-25 
確定日 2010-10-21 
事件の表示 平成10年特許願第204005号「著作権管理装置および方法」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 2月 2日出願公開、特開2000- 36781〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成10年7月17日の出願であって、平成19年6月11日付けの拒絶の理由の通知に対して、同年8月13日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたが、同年12月25日付けで拒絶をすべき旨の査定がされ、これに対し平成20年1月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年2月25日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成20年2月25日付けの手続補正についての却下の決定
[結論]
平成20年2月25日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
平成20年2月25日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)により、平成19年8月13日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1(以下「補正前の請求項1」という。)は、平成20年2月25日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1(以下「補正後の請求項1」という。)に補正された。
補正前の請求項1及び補正後の請求項1は、以下のとおりである。

補正前の請求項1
「複数の受信装置にコンテンツを配信可能な配信方法により配信される配信コンテンツの著作権を管理する著作権管理装置であって、
前記配信コンテンツを特定するコンテンツIDと、前記配信コンテンツに関する著作権者情報および著作権料率情報を含む著作権情報と、を互いに対応させて蓄積する著作権情報蓄積手段と、
前記配信コンテンツを受信した受信装置から、その受信装置における配信コンテンツの視聴履歴データを受信する受信手段と、
複数の前記受信装置からの前記視聴履歴データを累積し、前記著作権情報蓄積手段に蓄積された前記著作権情報の中の前記著作権料率情報と累積された前記視聴履歴データとに基づいて著作権者ごとに著作権料を算出する著作権管理手段と
を備えたことを特徴とする著作権管理装置。」

補正後の請求項1
「放送波を利用した放送システムにより配信される配信コンテンツの著作権を管理する著作権管理装置であって、
前記配信コンテンツを特定するコンテンツIDと、前記配信コンテンツに関する著作権者情報および著作権料率情報を含む著作権情報と、を互いに対応させて蓄積する著作権情報蓄積手段と、
前記配信コンテンツを受信すると共にこの受信した配信コンテンツに関する番組情報の一部のデータを視聴履歴データとして蓄積する受信装置から、その受信装置において蓄積された視聴履歴データを受信する受信手段と、
複数の前記受信装置からの前記視聴履歴データを累積し、前記著作権情報蓄積手段に蓄積された前記著作権情報の中の前記著作権料率情報と累積された前記視聴履歴データとに基づいて著作権者ごとに著作権料を算出する著作権管理手段と
を備えたことを特徴とする著作権管理装置。」

本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「複数の受信装置にコンテンツを配信可能な配信方法」を「放送波を利用した放送システム」に限定し、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「受信装置」に「この受信した配信コンテンツに関する番組情報の一部のデータを視聴履歴データとして蓄積する」との限定を付加し、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「その受信装置における配信コンテンツの視聴履歴データを受信する受信手段」を「その受信装置において蓄積された視聴履歴データを受信する受信手段」に限定するものであって、特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。なお、「複数の受信装置にコンテンツを配信可能な配信方法」を「放送波を利用した放送システム」とする補正について、補正後の「放送波を利用した放送システム」とは、放送波を利用して複数の受信装置に配信コンテンツを配信するシステムを実質的に意味するため、補正後の「放送波を利用した放送システム」が補正前の「複数の受信装置にコンテンツを配信可能な配信方法」の一種であることは明らかであるから、当該補正により実質的に限定されていると認められる。また「その受信装置における配信コンテンツの視聴履歴データを受信する受信手段」を「その受信装置において蓄積された視聴履歴データを受信する受信手段」とする補正について、補正前の「配信コンテンツの」という構成が形式的に削除されているが、補正後の「視聴履歴データ」が配信コンテンツに関するものであることは明らかであるから、実質的に「配信コンテンツの」という構成が削除されたものとは認められない。
そこで、補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例の記載
原査定の拒絶の理由に引用された特開平4-180451号公報(平成4年6月26日出願公開。以下「引用例」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

A.「(1)配給者側装置と複数の需要者側装置とよりなり、上記配給者側装置は、著作権者または著作権管理者から提供された多数の情報を記憶する記憶装置と、需要者の注文を受信する手段と、この注文に対応して該当する情報を上記記憶装置に記憶されている中から選出してこれを注文をした需要者側装置に向け伝送路を経由して送信する手段と、この送信の都度送信回数または著作権料を上記著作権者または著作権管理者ごとに累算する手段と、上記送信の都度回数または配給費用を需要者ごとに累算する手段とを有し、上記需要者側装置は、上記配給者側装置へ向けて希望する情報を注文する手段と、送られてきた情報を受信してこれを記憶装置に記憶させる手段と、この記憶装置に記憶されている情報を再生する手段とを有することを特徴とする情報配給方式。」(第1ページ左下欄第5行目?同欄第20行目)

B.「〔産業上の利用分野〕
この発明は、配給者が著作権者または著作権管理者から提供されて記憶装置に記憶させている多数の情報の中から、需要者が希望する情報を伝送路を経由して送って貰い、これを需要者が保有する記憶装置に一旦記憶させた後に再生する方式に関するものである。」(第1ページ右下欄第2行目?同欄第8行目)

C.「第1図において、10は配給者側装置、20は伝送路を示し、伝送路20には多数の需要者側装置30が接続されている。
配給者側装置10は大容量の記憶装置を有し、これには多数の情報1a、1b、1c・・・・が記憶されている。これらの情報は、著作権者または著作権管理者から提供された音楽、映画、テレビジョン番組、気象情報、公的機関の広報、企業の広告のほか、或る需要者から1名または複数基の他の需要者に向けた私的な情報も含めることができる。そして、これらの情報には、著作権料の支払いが必要なもの、著作権料は不要で単に需要者から配給費用を徴収すれば足りるもの、配給費用を機関や企業が負担するものなどが含まれている。記憶装置1は、情報1a、1b、1c・・・・の目録1pも記憶している。
2は伝送路20を経由して需要者側から送られて来た信号の受信部で、受信された信号は先づIDコードを識別した後、照合部3において需要者情報バンク4が保有する需要者識別番号、料金の入金状況、契約有効期限等の情報と照合され、次に分析部5で受信信号の内容が分析され、その分析の結果、記憶装置11の記憶情報の注文であった場合は、情報検索部6を作動させて指定された情報を選び出し、これを高速で読出す。この情報がアナログ信号の場合はA/D変換部7でデジタル化し、圧縮部8でデータ圧縮を行った後、送信部9から伝送路20を経由して注文を行った需要者へ高速度で送信する。
これと同時に、著作権者レジスタ11では、上記情報の著作権者の口座に、送った情報の名称及びその著作権料が登録され、かつ著作権料の累算が行なわれる。また、需要者レジスタ12では、注文を行なった需要者の口座に、送った情報の名称及び配給費用が登録され、かつ配給費用の累算が行なわれる。この配給費用は、上記著作権料に配給者の手数料を加算したものである。
この著作権者レジスタ11の登録内容は、定期的に著作権者または著作権管理者に通報される。また、需要者レジスタ12の内容は、情報配給の都度または需要者から伝送路20を経由して要求があったときに、伝送路20を経由して送られ、かつ定期的に請求書の形式で需要者へ送られる。
伝送路20としては、例えば映画やテレビジョン画像のように情報量が多い場合は、光フアイバーケーブルなどを用いる必要があるが、静止画像や音声のように比較的情報量が少なければ、電話回線を利用することができる。
需要者側装置30は、IDコード及び識別番号や、注文信号などを入力するための入力部31と、この入力を伝送路20を経由して配給者側装置10へ送るための送信部32とを有する。更に、配給者側装置10から送られてきた情報及び需要者レジスタ12の登録内容を受信するための受信部33を有し、その受信信号は一旦記憶装置134に蓄えられる。そして、適当な時期に、これを読出し、データ伸張部35においてデータ圧縮部8で受けた圧縮を復原し、デジタル信号の場合はD/A変換部36においてアナログ信号に変換されて、再生部37において画像表示または音響再生される。また、この情報受信の都度、受信回数、情報の明細、配給費用等がレジスタ38に登録される。」(第2ページ右下欄第6行目?第3ページ左下欄第7行目)

以上の記載によれば、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「配給者側装置10と多数の需要者側装置30は、伝送路20により接続され、
需要者側装置30は、配給者側装置10から送られてきた情報を受信し、その受信信号は一旦記憶装置134に蓄えられ、適当な時期に、これを読出し、再生部37において画像表示または音響再生され、
配給者側装置10において、
大容量の記憶装置を有し、これには多数の情報が記憶され、
これらの情報には、著作権者または著作権管理者から提供された音楽、映画、テレビジョン番組などが含まれ、
これらの情報には、著作権料の支払いが必要なものが含まれ、
伝送路20を経由して需要者側から送られて来た信号の内容が分析され、その分析の結果、記憶装置11の記憶情報の注文であった場合は、指定された情報を選び出し、これを高速で読出し、送信部9から伝送路20を経由して注文を行った需要者へ高速度で送信し、
著作権者レジスタ11では、上記情報の著作権者の口座に、送った情報の名称及びその著作権料が登録され、かつ著作権料の累算が行なわれ、
需要者レジスタ12では、注文を行なった需要者の口座に、送った情報の名称及び配給費用が登録され、かつ配給費用の累算が行なわれ、この配給費用は、上記著作権料に配給者の手数料を加算したものである、
配給者側装置10。」

(3)対比
本願補正発明と引用発明を対比する。
引用発明の「配給」は、本願補正発明の「配信」に相当する。
引用発明において、配給者側装置10は一種のシステムであるといえるから、引用発明の「配給者側装置10」と本願補正発明の「放送システム」は、「システム」である点で一致する。
引用発明において、配給される情報は、音楽、映画、テレビジョン番組などであるから、引用発明の配給される「情報」は、本願補正発明の「配信コンテンツ」に相当する。
引用発明において、配給者側装置10は、著作権者レジスタ11により情報の著作権を管理しているから、引用発明の「配給者側装置10」は、本願補正発明の「著作権管理装置」に相当する。
引用発明において、著作権者レジスタ11では、上記情報の著作権者の口座に、送った情報の名称及びその著作権料が登録されることから、情報に関する著作権者情報を含む著作権情報が蓄積されていることは明らかである。したがって、引用発明と本願補正発明は、「前記配信コンテンツに関する著作権者情報を含む著作権情報を蓄積する著作権情報蓄積手段」を有する点で一致している。
引用発明の「配給者側装置10から送られてきた情報を受信する」「需要者側装置30」は、本願補正発明の「配信コンテンツを受信する」「受信装置」に相当する。また、引用発明において、配給者側装置10は、需要者側から送られて来た信号を受信し、その信号がデータであることは明らかであるから、引用発明と本願補正発明は「配信コンテンツを受信する受信装置から、データを受信する受信手段」を有する点で一致する。
引用発明において、著作権者レジスタ11では、上記情報の著作権者の口座に、送った情報の名称及びその著作権料が登録されることから、著作権者ごとに著作権料を算出していることは明らかである。したがって、引用発明は、本願補正発明の「著作権者ごとに著作権料を算出する著作権管理手段」に相当する構成を有している。

すると、本願補正発明と引用発明とは、次の点で一致する。
<一致点>
「システムにより配信される配信コンテンツの著作権を管理する著作権管理装置であって、
前記配信コンテンツに関する著作権者情報を含む著作権情報を蓄積する著作権情報蓄積手段と、
配信コンテンツを受信する受信装置から、データを受信する受信手段と、
著作権者ごとに著作権料を算出する著作権管理手段と
を備えたことを特徴とする著作権管理装置。」

一方、両者は次の点で相違する。
<相違点1>
本願補正発明では、著作権情報に著作権料率情報を含み、著作権料の算出が著作権料率情報に基づいているのに対し、引用発明では、この構成について記載がない点。
<相違点2>
本願補正発明では、配信コンテンツを特定するコンテンツIDと、著作権情報と、を互いに対応させて蓄積するのに対し、引用発明では、著作権情報を蓄積することは記載されているが、配信コンテンツを特定するコンテンツIDと互いに対応させて蓄積する構成について明確な記載がない点。
<相違点3>
本願補正発明では、配信コンテンツが放送波を利用した放送システムにより配信されるのに対し、引用発明では、この構成について記載がない点。
<相違点4>
本願補正発明では、受信した配信コンテンツに関する番組情報の一部のデータを視聴履歴データとして蓄積する受信装置から、その受信装置において蓄積された視聴履歴データを受信するのに対し、引用発明では、この構成について記載がない点。
<相違点5>
本願補正発明では、複数の受信装置からの視聴履歴データを累積し、著作権情報蓄積手段に蓄積された著作権情報の中の著作権料率情報と累積された視聴履歴データとに基づいて著作権者ごとに著作権料を算出するのに対し、引用発明では、著作権者ごとに著作権料を算出することのみ記載されている点。

(4)当審の判断
上記相違点について検討する。
<相違点1についての検討>
一般的に、著作権料の算出方法は、著作者とその著作者の著作物を販売する者との契約に基づいて決定されるものであり、著作権料の算出方法として、どのような算出方法を用いるかは、当業者が適宜決定し得る設計的事項である。したがって、引用発明において、著作権料の算出方法として、著作権料率情報を用いることとし、著作権情報に著作権料率情報を含め、著作権料の算出を著作権料率情報に基づくようにすることは、当業者が適宜なし得ることである。
<相違点2についての検討>
コンテンツ配信の分野において、コンテンツを特定するためのコンテンツIDを用いることは、文献を示すまでもなく、本願出願前周知である。また、引用発明において、需用者側に送った情報の著作権者の口座に、送った情報の名称及びその著作権料が登録されることから、情報と著作権者情報を含む著作権情報とが対応されて記憶されていることは明らかである。したがって、引用発明において、上記周知技術を適用し、配信コンテンツを特定するコンテンツIDと、著作権情報と、を互いに対応させて蓄積するように構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。
<相違点3?5についての検討>
ペイパービュー方式の番組配信システムにおいて、送信側から、番組(本願補正発明の「配信コンテンツ」に相当。)が放送システムにより配信され、受信側では、実際に視聴した番組に関する番組番号(本願補正発明の「番組情報の一部のデータ」に相当。)を視聴履歴として記憶し、送信側へ視聴履歴を送信し、送信側では、受信した視聴履歴に基づいて課金処理を行う技術は、原査定において示された特開平8-331542号公報(特に、第6ページ【0029】、第8ページ【0053】?【0054】及び第9ページ【0064】参照。)及び同査定において示された特開平9-46674号公報(特に、第4ページ【0024】、第7ページ【0051】?【0052】及び同ページ【0064】参照。)に記載されているように、本願出願前周知である。
また、放送される番組に著作権を有するものがあることは、一般によく知られている。
さらに、引用発明において、著作権者レジスタ11では、上記情報の著作権者の口座に、送った情報の名称及びその著作権料が登録され、かつ著作権料の累算が行なわれ、需要者レジスタ12では、注文を行なった需要者の口座に、送った情報の名称及び配給費用が登録され、かつ配給費用の累算が行なわれ、この配給費用は、上記著作権料に配給者の手数料を加算したものであることから、情報の課金処理とともに著作権者ごとに情報に関する著作権料の算出が行われているといえる。
加えて、上記<相違点1についての検討>で記載したように、著作権料の算出方法として、どのような算出方法を用いるかは、当業者が適宜決定し得る設計的事項であるから、引用発明において、上記周知技術を適用し、著作権料の算出を著作権料率情報と視聴履歴データとに基づくようにすることは、当業者が適宜なし得ることである。
そして、複数の装置からのデータを累積してから、その累積したデータに基づいて算出を行うのか、複数の装置からのデータを累積せずに、1つひとつのデータごとに基づいて算出を行うのかは、当業者が必要に応じて適宜選択し得る設計的事項であるから、複数の受信装置からの視聴履歴データを累積して、累積された視聴履歴データとに基づいて算出するようにすることは、当業者が適宜なし得ることである。
したがって、情報の課金処理とともに著作権者ごとに情報に関する著作権料の算出を行う引用発明において、上記ペイパービュー方式の番組配信システムに関する周知技術を適用して、配信コンテンツが放送波を利用した放送システムにより配信され、受信した配信コンテンツに関する番組情報の一部のデータを視聴履歴データとして蓄積する受信装置から、その受信装置において蓄積された視聴履歴データを受信し、複数の受信装置からの視聴履歴データを累積し、著作権情報蓄積手段に蓄積された著作権情報の中の著作権料率情報と累積された視聴履歴データとに基づいて著作権者ごとに著作権料を算出するように構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。

また、本願補正発明の構成によって生じる効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測できる程度のものである。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成20年2月25日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、補正前の請求項1に記載された事項により特定される、前記2.(1)に記載したとおりのものである。

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、前記2.(2)に記載したとおりである。

(2)当審の判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から「放送波を利用した放送システム」を「複数の受信装置にコンテンツを配信可能な配信方法」に戻し、「この受信した配信コンテンツに関する番組情報の一部のデータを視聴履歴データとして蓄積する」との構成を省き、「その受信装置において蓄積された視聴履歴データを受信する受信手段」を「その受信装置における配信コンテンツの視聴履歴データを受信する受信手段」に戻したものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記2.(4)に記載したとおり引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-08-25 
結審通知日 2010-08-26 
審決日 2010-09-07 
出願番号 特願平10-204005
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04B)
P 1 8・ 575- Z (H04B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 前田 典之  
特許庁審判長 江口 能弘
特許庁審判官 中野 裕二
清水 稔
発明の名称 著作権管理装置および方法  
代理人 藤島 洋一郎  

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