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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1225586
審判番号 不服2009-5996  
総通号数 132 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-03-19 
確定日 2010-10-21 
事件の表示 特願2007- 12592「ディスク装置」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 8月 7日出願公開、特開2008-181575〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本件の審判請求に係る特許出願(以下「本願」という。)は、平成19年1月23日を出願日とする出願であって、平成20年12月5日付け拒絶理由の通知に応答して平成21年1月23日付けで手続補正がなされたが、平成21年2月12日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成21年3月19日付けで拒絶査定不服審判が請求されたものである。

2.本願発明

本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成21年1月23日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。

「【請求項1】
光ディスクにデータを記録再生するためにレーザ光を照射する光ピックアップと、
前記レーザ光のパワーを制御する制御部と、を備えたディスク装置において、
前記光ピックアップが前記光ディスクにデータを記録するとき、
前記制御部は、前記光ピックアップが前記光ディスクにデータを記録するのに適した最適レーザ光パワーを決定するために、前記光ピックアップに前記レーザ光のパワーを段階的に変化させながらテストデータを前記光ディスクに記録させ、
前記光ピックアップは記録された複数の前記テストデータを再生し、
前記制御部は、再生された各前記テストデータのアシンメトリとモジュレーションを算出し、複数の該テストデータの中から該モジュレーションが0.25より大きく、かつアシンメトリが0となる該テストデータを特定し、特定された該テストデータが記録された前記レーザ光のパワーを前記最適レーザ光パワーとして決定し、
前記光ピックアップは、前記最適レーザ光パワーで前記データを前記光ディスクに記録することを特徴としたディスク装置。」

3.引用例

原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-100045号公報(平成14年4月5日公開、以下「引用例」という。)には、図面と共に、以下の記載がある。(なお、下線は、当審で付与した。)

(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば追記型光ディスクや書換え可能型光ディスク等の光情報記録媒体に情報を記録する際にパワーキャリブレーションを行う情報記録装置と、情報記録の際のパワーキャリブレーションの方法と、パワーキャリブレーションを行うための情報を記録した光情報記録媒体に関する。」

(2)「【0006】また、上記のライトパルスストラテジーによって本来の情報記録を行うのに先立って、予め半導体レーザの射出パワーを調整するためのパワーキャリブレーションが行われている。」

(3)「【0012】このアシンメトリを調べる方法では、図13に示すように、記録ピットが形成されていないランドからの反射光の強度に該当するHF信号のトップピークレベルA1と、大きな記録ピットからの反射光の強度に該当するボトムピークA2と、小さな記録ピット間のランドからの反射光の強度に該当するトップピークレベルB1と、小さな記録ピットからの反射光の強度に該当するボトムレベルB2を検出し、各検出レベルA1,A2,B1,B2を次式(2)に適用することにより、アシンメトリの値(以下、「α値」という)を求めている。
【0013】
α={(A1+A2)-(B1+B2)}/{2×(A1-A2)}…(2)
そして、例えばα値=0をパワーキャリブレーションの目標とした場合に、α値が0となれば、半導体レーザの射出パワーPは目標パワーPwと等しいと判断し、α≠0となれば、P≠Pwと判断して、射出パワーPを目標パワーPwと等しくなるように、半導体レーザへの供給電流を制御している。
【0014】また、光ディスクにピットを記録形成した場合、次式(3)にて求められる変調度Mの規格も満足しなければならない。
M=(A1-A2)/A1 …(3)」

(4)「【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)図1は、第1の実施形態の情報記録装置1の構成を示すブロック図である。同図において、この情報記録装置1には、スピンドルモータ2と、ピックアップ3と、ピックアップ3を載置するキャリッジ4とが備えられている。
【0030】スピンドルモータ2は、サーボ回路5によってスピンドルサーボされ、クランプ位置に装填された追記型又は書換え可能型の光ディスクDSKを所定の線速度で回転駆動する。
【0031】ピックアップ3には、図示していない半導体レーザと、対物レンズを備える光学系と、フォトダイオード等で形成された光検出器が備えられている。
【0032】情報記録の際には、ライトパルスストラテジーによって最適化した所定パワーの書込み用レーザ光を半導体レーザから射出し、そのレーザ光を光学系が収束することによって書込み用ビームを生成し、上記対物レンズを介して光ディスクDSKにスポット照射することで、光ディスクDSKの記録膜に記録ピットを形成する。
【0033】情報再生の際には、所定パワーの読取り用レーザ光を半導体レーザから射出し、そのレーザ光を上記光学系が収束することによって読取り用光ビームを生成し、上記対物レンズを介して光ディスクDSKにスポット照射する。そして、光ディスクDSKからの反射光を上記光学系で集光し、上記光検出器が反射光を光電変換してRFアンプ部7に供給することにより、光ディスクDSKの情報検出信号(以下、「HF信号」という)SHFを生成し、HF信号特徴抽出部6と変調度検出部16及び既記録部検出部17に供給する。」

(5)「【0036】更に、情報記録装置1には、上記のHF信号特徴抽出部6、RFアンプ部、変調度検出部16及び既記録部検出部17の他、デコーダ部8、出力部9、入力部10、エンコーダ部11、記録パワー調整部12、システムコントローラ13、記憶部14、操作/表示部15が備えられている。
【0037】システムコントローラ13は、マイクロプロセッサ(MPU)を有し、所定のシステムプログラムを実行することにより、後述のパワーキャリブレーションの制御を行う他、本情報記録装置1全体の動作を集中制御する。
【0038】記憶部14は、SRAM等の不揮発性メモリで形成されており、半導体レーザの射出パワーをn段階に可変設定するためのn個ずつの可変データ(Dc1k,Dc2k,……,Dcnk)が記憶されている。尚、本実施形態では、n=15段階としている。
【0039】更に、記憶部14には、図2に示すように、目標β値データβkと変調度閾値データTHDkが、光ディスクDSKの種類k毎に記憶されている。
【0040】ここで、目標β値データβkは、各種光ディスクの記録された状態が予め決められた規格を満足し、更に様々な記録状態のバラツキに対して十分なマージンが取れるような状態で記録されたHF信号に基づいて上記式(1)の演算をしたときのそれぞれのβ値を示すデータであり、予め実験によって求められている。
【0041】変調度閾値データTHDkについては、目標β値データβkを求めるのと同様に、各種光ディスクの記録された状態が予め決められた規格を満足し、更に様々な記録状態のバラツキに対して十分なマージンが取れるような状態で記録されたHF信号に基づいて上記式(3)の演算を行うことで、それぞれの目標の変調度(modulation depth)MMkを求め、それぞれの目標変調度MMkより所定値mkだけ小さな値の変調度(MMk-mk)を変調度閾値データTHDkとしている。尚、符号kは各光ディスクの種類を示している。」

(6)「【0062】次に、ステップS110において、再び情報記録の状態に設定し、システムコントローラ13が、記憶部14に記憶されているCD-Rに対応するn個の可変データ(Dc11,Dc21,……,Dcn1)を取得し、所定時間毎に各可変データ(Dc11,Dc21,……,Dcn1)を順に記録パワー調整部12に供給することで、半導体レーザの射出パワーPをPc1k,Pc2k,……,Pcnkの順に可変させ、テストエリアTAにn段階の記録ピットを記録形成する。
【0063】次に、ステップS112において、再び情報再生の状態に設定し、n段階の記録ピットを記録形成した場所にピックアップ3を移動させて再生することで、試し書きとして形成した各記録ピットの情報を検出する。
【0064】ここで、上記したようにHF信号特徴抽出部6が、HF信号SHFの波形をレベル検出し、記録ピットが形成されていないランド(Land)からの反射光の強度に該当するトップピークレベルa1と、記録ピットからの反射光の強度に該当するボトムピークレベルa2とを検出し、その検出結果を示す検出データDHFをシステムコントローラ13に供給する。尚、n段階の記録ピット毎に、トップピークレベルa1と、記録ピットからの反射光の強度に該当するボトムピークレベルa2とを示す検出データDHFをシステムコントローラ13に供給するようになっている。
【0065】更に、変調度検出部16からシステムコントローラ13へ、n段階の記録ピット毎に、HF信号SHFのトップピークレベルA1とボトムピークレベルA2の検出データDRFが供給される。
【0066】次に、ステップS114において、システムコントローラ13が、n段階の検出データDRFに基づいて、n段階の実際の変調度M1k?Mnkを演算する。これにより、図5に示すような、変調度M1k?Mnkの分布曲線が得られる。
【0067】次に、ステップS116において、記憶部14からCD-Rの変調度閾値データTHD1を取得し、変調度M1k?Mnkの中から変調度閾値データTHD1の値より大きな値の変調度を選択し、更に、選択した各変調度に対応する各射出パワーを選択する。
【0068】より詳細に述べれば、図6に示すように、実際の変調度M1k?Mnkより得られる変調度分布曲線と変調度閾値データTHD1とを対比し、変調度閾値データTHD1より大きな変調度の範囲内に属する射出パワーPs?Pcnkを選択し、更に、これらの射出パワーPs?Pcnkに対応する可変データをCD-Rの可変データ(Dc11,Dc21,……,Dcn1)の中から選択する。
【0069】次に、ステップS118において、選択した可変データ(すなわち、射出パワーPs?Pcnkに対応する可変データ)に対応して得られている上記の各検出データDHFに基づいて上記式(1)の演算を行うことにより、各パワー毎のβ値を求める。例えば、射出パワーPs?Pcnkに対応する可変データがDc7k?Dcnkであった場合には、それぞれの可変データDc7k?Dcnkに対応して得られた各検出データDHFに基づいて、可変データDc7k?Dcnkに対応したβ値を演算する。
【0070】次に、ステップS120において、記憶部14からCD-Rの目標β値データβ1を取得し、図7に示すように、選択した射出パワーPs?Pcnkに対応するそれぞれのβ値をこの目標β値データβ1(すなわち、βk=β1)と比較し、目標β値データβ1に最も近い値のβ値を選択する。そして、最も近い値のβ値に対応する射出パワーを最適な射出パワーPoptと判定し、更に、この最適な射出パワーPoptに対応する1つの可変データをCD-Rの可変データ(Dc11,Dc21,……,Dcn1)の中から選択する。そして、選択した上記の可変データを最適な射出パワーに設定するためのデータ(最適データ)とする。
【0071】次に、ステップS122において、上記の最適データを記憶部14に履歴データとして記憶させた後、その最適データを記録パワー調整部に供給することにより、実際の情報記録の際に最適データに基づいて駆動電流Idを調整するように指示し、ピックアップ3を光ディスクDSKのプログラムエリア側に移動して、実際の情報記録を開始するまで待機させることで、パワーキャリブレーションを完了する。」

(7)「【0074】更に、典型例としてCD-Rのためのパワーキャリブレーションについて説明したが、他の種類の光ディスクに対しても最適なパワーキャリブレーションが可能である。
【0075】更に、同一種類の光ディスクであっても、製造時の製造バラツキや、ユーザの使用環境等に応じて、情報記録時の環境状況が光ディスク毎に異なるのが一般的であるが、本実施形態によれば、実際の環境状況に応じて、半導体レーザの射出パワーを最適化するので、実際に即応した最適化を行うことができる。
【0076】尚、以上の説明では、β値を最適化の条件として適用したが、本発明はこれに限定されるものではない。β値の代わりに、図13を参照して説明したアシンメトリの値(α値)を最適化のための特徴情報として適用してもよい。この場合には、目標β値データは目標α値データとして記憶部14に予め記憶され、図4?図7に示した処理は、目標α値データを適用してパワーキャリブレーションが行われる。」

(8)「【0101】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、実際に得られる変調度を所定の閾値と比較し、その閾値より大きな値の変調度に対応する射出パワーであって、且つ目標特徴情報に最も近い特徴情報に対応する書込み光のパワーを適切な書込み光のパワーとすることで、パワーキャリブレーションを行うようにしたので、従来のβ値やアシンメトリの値に基づいてパワーキャリブレーションを行うのに較べて、極めて高精度且つ適切なパワーキャリブレーションが可能となる。」

上記摘示事項及び図面の記載を参酌すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。

「光ディスクに情報を記録再生するレーザ光を半導体レーザから射出するピックアップと、
半導体レーザの射出パワーを調整するためのパワーキャリブレーションの制御を行うシステムコントローラとを備えた情報記録装置において、
光ディスクに情報を記録する際に、
システムコントローラは、半導体レーザの射出パワーを順に可変させ、テストエリアにn段階の記録ピットを記録し、
ピックアップは、記録された各記録ピットの情報を検出し、
システムコントローラは、n段階の記録ピット毎に、アシンメトリと変調度を演算し、閾値より大きな値の変調度に対応する射出パワーであって、且つ目標アシンメトリに対応する射出パワーを最適データとし、
ピックアップは、最適データに基づいて情報を光ディスクに記録する情報記録装置。」

4.対比

そこで、本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「光ディスク」「情報」「レーザ光」「ピックアップ」及び「射出パワー」は、本願発明の「光ディスク」「データ」「レーザ光」「光ピックアップ」及び「パワー」にそれぞれ相当する。
(2)引用発明の「システムコントローラ」は、「半導体レーザの射出パワーを調整するためのパワーキャリブレーションの制御を行う」ものであるから、本願発明の「制御部」に相当する。
(3)引用発明の「情報記録装置」は、本願発明の「ディスク装置」に相当する。
(4)引用発明の「光ディスクに情報を記録する際には」は、本願発明の「前記光ピックアップが前記光ディスクにデータを記録するとき」に相当する。
(5)引用発明も光ディスクに情報を記録するのに適した最適レーザ光パワーを決定するものであることは明らかであるから、引用発明の「システムコントローラは、半導体レーザの射出パワーを順に可変させ、テストエリアにn段階の記録ピットを記録し」は、本願発明の「前記制御部は、前記光ピックアップが前記ディスクにデータを記録するのに適した最適レーザ光パワーを決定するために、前記ピックアップに前記レーザ光のパワーを段階的に変化させながらテストデータを前記光ディスクに記録させ」に相当する。
(6)引用発明の「ピックアップは、記録された各記録ピットの情報を検出し」は、本願発明の「前記光ピックアップは記録された複数の前記テストデータを再生し」に相当する。
(7)引用発明の「変調度」は、本願発明の「モジュレーション」に相当するから、引用発明の「システムコントローラは、n段階の検出データに基づいて、n個のアシンメトリと変調度を演算し」は、本願発明の「前記制御部は、再生された各前記テストデータのアシンメトリとモジュレーションを算出し」に相当する。
(8)引用発明の「閾値より大きな値の変調度に対応する射出パワーであって、且つ目標アシンメトリ値に対応する射出パワーを最適データとし」であるが、本願発明の「0.25」がモジュレーションの閾値であり、また、アシンメトリの「0」が目標アシンメトリであることは明らかであるから、引用発明と本願発明とは、「複数の該テストデータの中から該モジュレーションが[閾値]より大きく、かつアシンメトリが[目標アシンメトリ]となる該テストデータを特定し、特定された該テストデータが記録された前記レーザ光のパワーを前記最適レーザ光パワーとして決定し」で共通する。
(9)引用発明の「最適データ」は、本願発明の「最適レーザ光パワー」に相当するから、引用発明の「ピックアップは、最適データに基づいて情報を光ディスクに記録する」は、本願発明の「前記光ピックアップは、前記最適レーザ光パワーで前記データを前記光ディスクに記録する」に相当する。

そうすると、本願発明と引用発明の<一致点><相違点>は次のとおりである。

<一致点>

「光ディスクにデータを記録再生するためにレーザ光を照射する光ピックアップと、
前記レーザ光のパワーを制御する制御部と、を備えたディスク装置において、
前記光ピックアップが前記光ディスクにデータを記録するとき、
前記制御部は、前記光ピックアップが前記光ディスクにデータを記録するのに適した最適レーザ光パワーを決定するために、前記光ピックアップに前記レーザ光のパワーを段階的に変化させながらテストデータを前記光ディスクに記録させ、
前記光ピックアップは記録された複数の前記テストデータを再生し、
前記制御部は、再生された各前記テストデータのアシンメトリとモジュレーションを算出し、複数の該テストデータの中から該モジュレーションが[閾値]より大きく、かつアシンメトリが[目標アシンメトリ]となる該テストデータを特定し、特定された該テストデータが記録された前記レーザ光のパワーを前記最適レーザ光パワーとして決定し、
前記光ピックアップは、前記最適レーザ光パワーで前記データを前記光ディスクに記録するディスク装置。」の点。

<相違点>
(a)「モジュレーション」について、本願発明は「0.25」と限定されているのに対し、引用発明はそのような限定がなされていない点。

(b)「アシンメトリ」について、本願発明は、「0」と限定されているのに対し、引用発明はそのような限定がなされていない点。

5.判断

そこで、上記各相違点について検討する。

相違点(a)について
引用例には、閾値の具体的な値は例示されていないものの、閾値は、各種光ディスクに応じて適宜決められることや情報記録時の環境状況が光ディスク毎に異なり、半導体レーザの射出パワーは実際の環境状況に応じて、最適化を行うことが記載されている(摘示事項(5)【0041】及び摘示事項(7)【0075】)。
そうすると、引用発明において、閾値は光ディスクの種類や環境状況等により決定されるべき設計的事項であるといえる。
そこで、本願発明においてモジュレーションの値を0.25と限定している技術的意義について検討する。
本願明細書の記載を参照すると、「モジュレーション閾値は、例えば0.25である。制御部は、モジュレーション閾値より小さいモジュレーションは、ノイズの影響を受けていると判断する」(段落【0021】)及び「モジュレーション閾値が0.25ではなく、例えば0.3とする構成であっても構わない」(【0025】)と記載されている。しかし、相違点(a)で特定されているモジュレーションの「0.25」の技術的意義について、本願明細書には何ら記載されていない。
よって、本願発明の、モジュレーションを「0.25」とすることはその数値の技術的意義があるとはいえないから、相違点(a)のモジュレーションを「0.25」とすることは、引用発明において当業者が適宜設定すべき範囲内の値にすぎないものである。

相違点(b)について
引用例には、アシンメトリの値(α値)として例えば0をパワーキャリブレーションの目標とすることが示唆されている(摘示事項(3)【0013】)。
そうすると、引用発明において、目標アシンメトリを「0」とすることは、引用例から当業者が適宜なし得るものである。
)。
そして、上記各相違点を総合的に判断しても、本願発明が奏する効果は引用例から、当業者が十分に予測できたものであって、格別なものとはいえない。

6.むすび

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-08-23 
結審通知日 2010-08-24 
審決日 2010-09-06 
出願番号 特願2007-12592(P2007-12592)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 古河 雅輝  
特許庁審判長 小松 正
特許庁審判官 早川 学
井上 信一
発明の名称 ディスク装置  
代理人 板谷 康夫  

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