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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1225675
審判番号 不服2008-4367  
総通号数 132 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-02-22 
確定日 2010-10-18 
事件の表示 特願2000-362926「ホームページ作成更新装置、方法及びプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 6月 7日出願公開、特開2002-163251〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成12年11月29日の出願であって、平成20年1月17日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年2月22日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年3月6日付けで手続補正がなされたものである。


第2 平成20年3月6日付けの手続補正についての補正却下の決定

〔結論〕

平成20年3月6日付けの手続補正を却下する。

〔理由〕

1.補正内容
平成20年3月6日付けの手続補正(以下、「本件補正」と呼ぶ。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項18を引用する請求項20を、本件補正後の特許請求の範囲の請求項11のとおりに補正する補正事項を含むものと認められる。

<本件補正前の特許請求の範囲の請求項18及び請求項20>
「【請求項18】 ホームページを記憶する記憶手段、情報を表示する表示手段及び利用者による所望の情報の選択並びに所望の指示を受け付ける選択手段を備えたコンピュータが、
内蔵又は外部の記録手段に記録されている複数の画像を表示手段に表示するとともに、前記選択手段を介して利用者による所望の1又は複数の画像の選択を受け付け、
前記選択手段を介して、利用者が所望の画像を選択して新規のホームページ作成処理の開始の指示、所望の既存のホームページへの画像の追加の指示又は所望の既存のホームページの修正の指示を受け付け、
前記指示に応じ、前記選択された画像を用いて自動で新規のホームページを作成、所望の既存のホームページへ画像を追加又は所望の既存のホームページを更新し、前記作成又は更新されたホームページを前記記憶手段に記憶し、
利用者が所望の画像を選択してホームページ作成処理の開始を指示すると、画像ファイル内に記録されている画像情報に基づいて画像を配置して自動でホームページを作成又は更新し、前記作成又は更新されたホームページを前記記憶手段に記憶する、
ホームページ作成更新方法。
【請求項20】 前記画像情報は、画像の幅、画像の高さ、画像の方向、画像の解像度、トリミング及びズーミングのうち少なくとも1つを含む請求項18又は19に記載のホームページ作成更新方法。」

<本件補正後の特許請求の範囲の請求項11>
「【請求項11】 ホームページを記憶する記憶手段、情報を表示する表示手段及び利用者による所望の情報の選択並びに所望の指示を受け付ける選択手段を備えたコンピュータが、
内蔵又は外部の記録手段に記録されている複数の画像を表示手段に表示するとともに、前記選択手段を介して利用者による所望の1又は複数の画像の選択を受け付け、
前記選択手段を介して、利用者が所望の画像を選択して新規のホームページ作成処理の開始の指示、所望の既存のホームページへの画像の追加の指示又は所望の既存のホームページの修正の指示を受け付け、
前記指示に応じ、前記選択された画像を用いて自動で新規のホームページを作成、所望の既存のホームページへ画像を追加又は所望の既存のホームページを更新し、前記作成又は更新されたホームページを前記記憶手段に記憶し、
利用者が所望の画像を選択してホームページ作成処理の開始を指示すると、画像ファイル内に記録されている画像の幅、画像の高さ、画像の方向、画像の解像度、トリミング及びズーミングを含む画像情報に基づいて画像を配置して自動でホームページを作成又は更新し、前記作成又は更新されたホームページを前記記憶手段に記憶する、
ホームページ作成更新方法。」

2.本件補正に対する判断

本件補正のうちの上記補正事項は、補正前の請求項20に記載した発明を特定するために必要な事項である「画像ファイル内に記録されている画像情報」を、「画像の幅、画像の高さ、画像の方向、画像の解像度、トリミング及びズーミングのうち少なくとも1つを含む画像情報」から「画像の幅、画像の高さ、画像の方向、画像の解像度、トリミング及びズーミングを含む画像情報」に限定するものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項11に記載された発明(以下、「本願補正発明」と呼ぶ。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下検討する。

2-1.本願補正発明
本願補正発明は、上記「1.」の<本件補正後の特許請求の範囲の請求項11>の欄に転記したとおりのものである。
ただし、該請求項11中の「前記選択手段を介して、利用者が所望の画像を選択して新規のホームページ作成処理の開始の指示、所望の既存のホームページへの画像の追加の指示又は所望の既存のホームページの修正の指示を受け付け、」なる記載は、その記載中の「利用者が所望の画像を選択して」なる記載の他の記載との関係が不明りょうであること等に起因して、その意味するところが必ずしも明りょうではないので、発明の詳細な説明の記載や技術常識を参酌して、「前記選択手段を介して、利用者による新規のホームページ作成処理の開始の指示、所望の既存のホームページへの画像の追加の指示又は所望の既存のホームページの修正の指示を受け付け、」といった程度の意味に解釈した。

2-2.引用例

原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-222325号公報(以下、「引用例」と呼ぶ。)には、以下の事項が記載されている。

「【0021】図1には、本発明に係るホームページ作成ならびに公開システムの概略構成が示されており、これは例えばパーソナルコンピュータ(PC)等のクライアント10とサーバ12とからなり、これらは例えば通信回線等からなるネットワーク14によって結合されている。クライアント10は、ホームページ作成・データ送信部16と、データ記憶部18とを備える。ホームページの内容は、HTMLファイルに記述されたテキスト及びHTMLファイルが参照するデータからなり、このHTMLファイルが参照するデータは、例えば、静止画像データ、動画像データ、音声データ等を含む。以下、本実施例においては、HTMLファイルが参照するデータは、画像データの場合を例にとり説明するが、本発明はこれに限るものではない。
【0022】ホームページ作成・データ送信部16は、ホームページ内容であるテキストおよび画像を作成、編集するための、画像入力部20、画像選択部22、画像編集部24、ホームページ作成部26、ならびにネットワークへの接続およびホームページデータの転送を行うネットワーク接続部28およびデータ送信部30、設定データの入力を行う設定入力部32とからなる。
【0023】データ記憶部18は、例えばハードディスク等のPC外部記憶装置からなり、前記ホームページ作成部で作成したHTMLファイルおよび画像データ、並びに設定ファイルを記録する。ネットワーク接続部28およびデータ送信部30は、例えば電話回線等のネットワーク手段を通じて、ネットワークへの接続と、前記データ記憶部18内に保存された設定ファイルに基づくHTMLファイルおよび画像データの送信を一体的かつ自動的に行うよう構成する。
【0024】サーバ12は、データ受信・ユーザ管理部34、ハードディスク等からなるデータ記憶部36、データベース38を備えている。データ受信・ユーザ管理部34は、アカウント認証管理部40、データ受信管理部42、ホームページ管理部44からなり、アカウント認証管理部40およびデータ受信管理部42はクライアント側のネットワーク接続部28およびデータ送信部30とネットワークを介して接続されている。さらに、アカウント認証管理部40はデータベース38のアカウントデータベース46と接続され、データ受信管理部42はアカウントデータベース46ならびにユーザ情報データベース48と結合され、このユーザ情報データベース48はホームページ管理部44と結合される。
【0025】さらに、データ受信管理部42およびホームページ管理部44は、データ記憶部36と接続され、ここにはユーザが作成したHTMLファイルおよび画像データ等がユーザ情報データベースのデータに従って記録される。このデータ記憶部36はさらにWEBサーバ50と結合され、このWEBサーバ50にホームページ閲覧者であるクライアント52がネットワークを通じてサーバにアクセスすることができる。
【0026】このような構成により、従来はユーザが別々に行っていたネットワークへのログオンとHTMLファイル等のホームページデータの送信が一体的かつ自動的に行われ、従ってユーザはファイル送信専用の、例えばFTPプログラム等を導入し、その使用方法を習得する手間が省ける。
【0027】図2は、図1のクライアント10におけるホームページ作成手段部分の操作を示すフローチャートである。
【0028】まず、図1の画像画像入力部20によりデジタルカメラまたはスキャナ等から画像を読み込み、読み込んだ画像を画像選択部22において選択し、さらに画像編集部24においてホームページへの掲載に適した形式およびサイズに画像を編集する。これらの機能は本発明システム構成要素としてソフトウエア手段等によって一体的に形成されているため、ユーザはそれぞれ異なった画像読み込み、編集および加工ソフトを使用する必要はない。読み込んだ画像は画像選択画面に出力することができ、ユーザは、例えば簡単なマウス操作またはボタン操作によって編集および加工する画像を選択することができる。選択した画像について、色補正、コントラスト調整、明るさ調整、トリミング、サイズ調整、ファイルサイズ調整、その他の画像効果加工をボタン操作等で行えるよう構成し、従って画像処理に関する知識が無いユーザでも簡単にホームページ素材用のオリジナル画像を作成することができる。さらに画質を自動的に補正する機能を付加することもできる。さらに、選択した画像を使用してユーザがオリジナルGIFアニメーションを作成する機能を付加することもできる。
【0029】次にホームページ作成部26において、画像およびテキストを含んだホームページを作成する。ここでは、ホームページ編集画面上で、予め用意された多数のホームページテンプレートの中から、好みのものをユーザが選択して、その上にテキスト、ならびに先ほど編集した画像を貼り付け挿入して、ホームページ原稿を作成することができる。このホームページ編集画面にはさまざまな機能がボタン形式で配置されており、例えば、ボタンを押すことによって、選択した画像に元画像、リンク、外部リンク等の属性を付加することができる。さらに、ホームページ編集画面には、アクセスカウンタ、掲示板、チャット、カウントダウン等のさまざまなコンテンツを得るためのCGIをサーバから呼び出すための命令を編集するCGI呼出命令編集手段が予め組込まれており、ボタン操作によって簡単にそれらを選択してホームページ原稿内に貼り付けることができる。貼り付けるリンクボタンのデザイン、また背景デザインも多数用意してあり、各ユーザがそれぞれ好みのものを選択して使用することができる。オリジナルのHTMLを作成したいユーザのためにテキストボックスを用意し、ヘッダの上、およびフッダの下にオリジナルHTMLを挿入することもできる。作成したホームページデータは、簡単なボタン操作によりデータ記憶部18内に保存することができる。」

また、引用例には明示的記載はないものの、上記記載事項を技術常識等に照らせば、以下のことがいえる。
ア.引用例の「クライアント10」は、「情報を表示する表示手段」と呼び得る手段と、「ユーザによる所望の情報の選択並びに所望の指示を受け付ける選択手段」と呼び得る手段とを当然に有しており、引用例でいう「画像選択画面」や「編集画面」等は、当該「表示手段」と呼び得る手段に表示され、ユーザから「クライアント10」への各種指示等は、当該「選択手段」と呼び得る手段を介して受け付けられる。
イ.引用例の「ホームページ作成部26」におけるホームページの作成処理は、当然にユーザによる指示によって開始される。
ウ.引用例の「デジタルカメラまたはスキャナ等」は、複数の画像を記録する記録手段を当然に有しており、引用例の「画像選択画面」には、当該記録手段に記録された複数の画像が表示される。

したがって、引用例には、
「ホームページを記憶するデータ記憶部、情報を表示する表示手段及び利用者による所望の情報の選択並びに所望の指示を受け付ける選択手段を備えたクライアントが、
デジタルカメラまたはスキャナ等の記録手段に記録されている複数の画像を表示手段に表示するとともに、前記選択手段を介してユーザによる所望の1又は複数の画像の選択を受け付け、
前記選択手段を介して、ユーザによるホームページ作成処理の開始の指示を受け付け、
前記指示に応じ、前記選択された画像を用いてホームページを作成し、前記作成されたホームページを前記データ記憶部に記憶し、
ユーザが所望の画像を選択してホームページ作成処理の開始を指示すると、画像を配置してホームページを作成し、前記作成されたホームページを前記データ記憶部に記憶する、
ホームページ作成方法。」の発明(以下、「引用例記載発明」と呼ぶ。)が記載されているといえる。

2-3.本願補正発明と引用例記載発明との対比
本願補正発明と引用例記載発明とを対比すると、以下の対応関係が成り立つ。
(1)引用例記載発明の「データ記憶部」は、本願補正発明の「記憶手段」に相当する。
(2)引用例記載発明の「クライアント」は、本願補正発明の「コンピュータ」に相当する。
(3)引用例記載発明の「デジタルカメラまたはスキャナ等の記録手段」は、本願補正発明の「内蔵又は外部の記録手段」に相当する。
(4)引用例記載発明の「ユーザ」は、本願補正発明の「利用者」に相当する。
(5)本件補正後の請求項11における「前記選択手段を介して、利用者が所望の画像を選択して新規のホームページ作成処理の開始の指示、所望の既存のホームページへの画像の追加の指示又は所望の既存のホームページの修正の指示を受け付け、」なる記載は、上述したように、「前記選択手段を介して、利用者による新規のホームページ作成処理の開始の指示、所望の既存のホームページへの画像の追加の指示又は所望の既存のホームページの修正の指示を受け付け、」といった程度の意味に解釈されるものであるが、そこでは、「新規のホームページ作成処理の開始の指示」と「所望の既存のホームページへの画像の追加の指示」と「所望の既存のホームページの修正の指示」とが「又は」で結合されているので、その記載が規定する手順は、利用者による、「新規のホームページ作成処理の開始の指示」、「所望の既存のホームページへの画像の追加の指示」、「所望の既存のホームページの修正の指示」、のうちのいずれか1つ以上の指示を受け付けることすべてを包含する手順であると解される。
したがって、引用例記載発明の「前記選択手段を介して、ユーザによるホームページ作成処理の開始の指示を受け付け、」という手順は、本願補正発明の「前記選択手段を介して、利用者が所望の画像を選択して新規のホームページ作成処理の開始の指示、所望の既存のホームページへの画像の追加の指示又は所望の既存のホームページの修正の指示を受け付け、」という手順に包含される。
(6)上記(5)と同様の理由で、引用例記載発明の「前記指示に応じ、前記選択された画像を用いてホームページを作成し、前記作成されたホームページを前記データ記憶部に記憶し、」という手順は、本願補正発明の「前記指示に応じ、前記選択された画像を用いて自動で新規のホームページを作成、所望の既存のホームページへ画像を追加又は所望の既存のホームページを更新し、前記作成又は更新されたホームページを前記記憶手段に記憶し、」という手順に包含され、引用例記載発明の「ユーザが所望の画像を選択してホームページ作成処理の開始を指示すると、画像を配置してホームページを作成し、前記作成されたホームページを前記データ記憶部に記憶する、」という手順は、本願補正発明の「利用者が所望の画像を選択してホームページ作成処理の開始を指示すると、画像を配置してホームページを作成又は更新し、前記作成又は更新されたホームページを前記記憶手段に記憶する、」という手順に包含される。
また、同様の理由で、引用例記載発明でいう「ホームページ作成方法」は、本願補正発明でいう「ホームページ作成更新方法」に包含される。

したがって、本願補正発明と引用例記載発明の間には、以下の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「ホームページを記憶する記憶手段、情報を表示する表示手段及び利用者による所望の情報の選択並びに所望の指示を受け付ける選択手段を備えたコンピュータが、
内蔵又は外部の記録手段に記録されている複数の画像を表示手段に表示するとともに、前記選択手段を介して利用者による所望の1又は複数の画像の選択を受け付け、
前記選択手段を介して、利用者が所望の画像を選択して新規のホームページ作成処理の開始の指示、所望の既存のホームページへの画像の追加の指示又は所望の既存のホームページの修正の指示を受け付け、
前記指示に応じ、前記選択された画像を用いて新規のホームページを作成、所望の既存のホームページへ画像を追加又は所望の既存のホームページを更新し、前記作成又は更新されたホームページを前記記憶手段に記憶し、
利用者が所望の画像を選択してホームページ作成処理の開始を指示すると、画像を配置してホームページを作成又は更新し、前記作成又は更新されたホームページを前記記憶手段に記憶する、
ホームページ作成更新方法。」
である点。

(相違点1)
本願補正発明においては、選択された画像を用いての「新規のホームページを作成、所望の既存のホームページへ画像を追加又は所望の既存のホームページを更新」の処理が「自動で」行われるのに対し、引用例記載発明においては、それに対応する処理(「前記選択された画像を用いてホームページを作成」の処理)が「自動で」行われるとは限らない点。

(相違点2)
本願補正発明においては、「画像を配置してホームページを作成又は更新」の処理が「画像ファイル内に記録されている画像の幅、画像の高さ、画像の方向、画像の解像度、トリミング及びズーミングを含む画像情報に基づいて」行われるのに対し、引用例記載発明においては、それに対応する処理(「画像を配置してホームページを作成」の処理)が、「画像ファイル内に記録されている画像の幅、画像の高さ、画像の方向、画像の解像度、トリミング及びズーミングを含む画像情報に基づいて」行われるわけではない点。

2-4.判断

(1)相違点1について
下記ア.、イ.の事情を勘案すると、引用例記載発明における「選択された画像を用いての『新規のホームページを作成、所望の既存のホームページへ画像を追加又は所望の既存のホームページを更新』の処理」に対応する処理(「前記選択された画像を用いてホームページを作成」の処理)を「自動で」行うようにすることは、当業者が容易に推考し得たことというべきである。

ア.各種処理の自動化はあらゆる分野で指向されることであり、引用例記載発明においても、「前記選択された画像を用いてホームページを作成」の処理が自動で行われることが望ましい場合があることは当業者に自明である。

イ.以下の事実を勘案すると、「選択された画像を用いてホームページを作成」の処理を自動で行わせるための技術は本願出願前に当業者に知られており、該処理を自動で行わせること自体は、当業者が容易になし得たことと認められる。
(ア)原査定の拒絶の理由に引用された「安蒜 泰樹 ,すべてのデジカメファンに新しい面白さを提供するアドビ製のフリーウエア,Mac People,日本,株式会社アスキー ,2000年 6月 1日,Vol.6 No.11,P.100-101」に「画像を掲載するには、通常、フォトレタッチソフトなどのグラフィックソフトで解像度やサイズを変更する必要があるが、アクティブシェアは投稿したい写真を選択し、画面の右上にある『Webで共有』ボタンをクリックするだけで一連の作業を自動処理し、アップロードまでしてくれる。このためHTMLなどの専門知識は一切不要だ。」(p.101上段第18行?同中段第5行)と記載されている。
(イ)本願補正発明は上記「選択された画像を用いての『新規のホームページを作成、所望の既存のホームページへ画像を追加又は所望の既存のホームページを更新』の処理」を「自動で」行うことを要件とするものであるが、そのような発明を当業者が実施可能な程度に記載されているはずの本願明細書の発明の詳細な説明には、当該処理を「自動で」行うための具体的手段や手順はなんら記載されていない(この事実は、「選択された画像を用いてホームページを作成」の処理を自動で行わせるための技術が本願出願前に当業者に知られていたという事実を推認させるものといえる。)。

(2)相違点2について
下記ア.?オ.の事情を勘案すると、引用例記載発明における「画像を配置してホームページを作成又は更新」に対応する処理(「画像を配置してホームページを作成」の処理)を「画像ファイル内に記録されている画像の幅、画像の高さ、画像の方向、画像の解像度、トリミング及びズーミングを含む画像情報に基づいて」行われるようにすることも、当業者が容易に推考し得たことというべきである。

ア.引用例の段落【0028】の「選択した画像について、色補正、コントラスト調整、明るさ調整、トリミング、サイズ調整、ファイルサイズ調整、その他の画像効果加工をボタン操作等で行えるよう構成し、従って画像処理に関する知識が無いユーザでも簡単にホームページ素材用のオリジナル画像を作成することができる。」なる記載によれば、選択した画像をホームページに配置するにあたり、元の画像に所望の画像効果加工を加えることは、引用例記載発明においても想定されていることである。

イ.情報処理の技術分野一般において、ある情報に加工を加えた情報を利用する場合、加工済みの情報を記録手段に記録しておき、その記録手段に記録された加工済みの情報を利用するようにするか、記録手段には加工済みの情報ではなく、元の情報と加工に必要な情報とを記録しておき、利用する際に記録された元の情報と加工に必要な情報とを用いて元の情報に加工を加えるようにするかは、加工済み情報の利用頻度や、加工内容変更の可能性等を考慮して、当業者が適宜決定すべき事項であり、引用例記載発明においても、選択した画像をホームページに配置するにあたり、元の画像に所望の画像効果加工を加えた後の画像を記録しておき、それをホームページに配置するようにするか、元の画像と画像効果加工に必要な情報とを記録しておき、ホームページに配置する際に元の画像に対して所望の画像効果加工を加えるようにするかは、当業者が適宜決定し得たことである。

ウ.上記イ.に従い、元の画像と画像効果加工に必要な情報とを記録しておき、ホームページに配置する際に元の画像に対して所望の画像効果加工を加えるようにする場合には、画像効果加工に必要な情報は元の画像毎に記録しておくのが自然であり、それを画像ファイル内に記録しておくようにすることは当業者が容易に推考し得たことである。

エ.本願明細書には、画像情報を「画像の幅、画像の高さ、画像の方向、画像の解像度、トリミング及びズーミングを含む」ものとすることの技術意義は何も記載されていないこと、「画像の幅」、「画像の高さ」、「画像の方向」、「画像の解像度」、「トリミング」、「ズーミング」の各情報はいずれも、画像に関する情報として普通に想定される情報であること、等の事情にかんがみれば、それらの情報全てを画像効果加工に必要な情報として画像ファイルに記録しておき、「画像を配置してホームページを作成」の処理に利用するようにすることは、当業者が適宜なし得たことである。

オ.以上のことは、取りも直さず、引用例記載発明における「画像を配置してホームページを作成又は更新」に対応する処理(「画像を配置してホームページを作成」の処理)を「画像ファイル内に記録されている画像の幅、画像の高さ、画像の方向、画像の解像度、トリミング及びズーミングを含む画像情報に基づいて」行われるようにすることが当業者にとって容易であったことを意味する。

(3)本願補正発明の効果について
本願補正発明の構成によってもたらされる効果は、引用例記載発明及び周知技術から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。

(4)まとめ
以上によれば、本願補正発明は、引用例記載発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.むすび
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について

1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項18を引用する請求項20に係る発明(以下、「本願発明」と呼ぶ。)は、平成19年11月12日付けの手続補正書の請求項18及び20に記載された事項から把握されるとおりのものである。
そして、その平成19年11月12日付けの手続補正書の請求項18及び20に記載された事項は、上記「第2」の「1.」の<本件補正前の特許請求の範囲の請求項18及び請求項20>の欄に転記したとおりのものである。

2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及びその記載事項は、上記「第2」の「2.」の「2-2.」の項に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記「第2」で検討した本願補正発明から、「画像ファイル内に記録されている画像情報」を、「画像の幅、画像の高さ、画像の方向、画像の解像度、トリミング及びズーミングのうち少なくとも1つを含む画像情報」から「画像の幅、画像の高さ、画像の方向、画像の解像度、トリミング及びズーミングを含む画像情報」に限定する限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに特定の限定を施したものに相当する本願補正発明が、上記「第2」の「2.」の項に記載したとおり、引用例記載発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用例記載発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例記載発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-08-24 
結審通知日 2010-08-25 
審決日 2010-09-07 
出願番号 特願2000-362926(P2000-362926)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 浜岸 広明  
特許庁審判長 小曳 満昭
特許庁審判官 久保 正典
田口 英雄
発明の名称 ホームページ作成更新装置、方法及びプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体  
代理人 松浦 憲三  

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