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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G11B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1225982
審判番号 不服2008-5018  
総通号数 132 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-02-28 
確定日 2010-10-28 
事件の表示 特願2006-245802「データ再生装置及びデータ記録装置、並びにデータ再生方法及びデータ記録方法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年11月30日出願公開、特開2006-324010〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件審判の請求に係る特許出願(以下「本願」という。)は、平成9年6月4日に出願された特願平9-146910号の一部を平成18年9月11日に新たな特許出願としたものであって、平成19年10月25日付け拒絶理由通知に対して、平成19年12月27日付けで手続補正がなされたが、平成20年1月23日付けで拒絶の査定がなされ、これに対し、平成20年2月28日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに、平成20年3月31日付けで手続補正がなされた。
その後、平成22年5月24日付けで前置報告書の内容を利用した審尋がなされ、同年7月20日付けで回答がなされたものである。

第2 平成20年3月31日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成20年3月31日付けの手続補正を却下する。

[理 由]
1.手続補正の内容
平成20年3月31日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲及び明細書についてするもので、特許請求の範囲については、本件補正前に
「 【請求項1】
コンピュータに接続されているか否かを検出する検出手段と、
記録媒体からデータ列を読み取る記録媒体制御手段と、
上記データ列を送出する送出手段と、
上記検出手段によって上記コンピュータに接続されていないと検出された場合に、上記記録媒体制御手段及び上記送出手段を制御して上記記録媒体からデータ列を読み取って上記コンピュータ以外の送出先に送出する制御手段とを具備することを特徴とするデータ再生装置。
【請求項2】
上記データ列は、画像データであることを特徴とする請求項1記載のデータ再生装置。
【請求項3】
上記記録媒体制御手段からのデータ列のフレーム先頭位置のヘッダを検出するヘッダ検出手段を有し、このヘッダ検出手段によりヘッダが検出された場合に上記データ列を上記送出手段からの出力を上記コンピュータ以外の送出先に送出することを特徴とする請求項2記載のデータ再生装置。
【請求項4】
上記記録媒体制御手段からのデータ列のフレーム先頭位置のヘッダを検出するヘッダ検出手段を有し、このヘッダ検出手段によりヘッダが検出されない場合には上記データ列はコンピュータデジタル信号であると判別して上記送出手段からの出力をミュートさせることを特徴とする請求項3記載のデータ再生装置。
【請求項5】
上記ヘッダ検出手段は、コンピュータファイル終了コード検出部、DV信号のフレーム先頭検出部、MPEG2信号のGOP先頭検出部、AVストリームのパケット先頭検出部を有することを特徴とする請求項3記載のデータ再生装置。
【請求項6】
上記記録媒体は、光ディスク、ハードディスクあるいはメモリストレージ媒体であることを特徴とする請求項1記載のデータ再生装置。
【請求項7】
コンピュータに接続されているか否かを検出する検出手段と、
データ列を上記コンピュータ以外の入力先から入力する入力手段と、
上記入力手段により入力されたデータ列を記録媒体に記録する記録手段と、
上記検出手段によって上記コンピュータに接続されていないと検出された場合に、上記入力手段及び上記記録手段を制御して上記コンピュータ以外の入力先からの上記データ列の記録を制御する制御手段とを具備することを特徴とするデータ記録装置。
【請求項8】
上記データ列は、画像データであることを特徴とする請求項7記載のデータ記録装置。
【請求項9】
上記コンピュータ又は上記入力手段からのデータ列のフレーム先頭位置のヘッダを検出するヘッダ検出手段を有し、このヘッダ検出手段により検出されたフレーム先頭位置に基づいて上記記録手段の記録を制御することを特徴とする請求項8記載のデータ記録装置。
【請求項10】
上記ヘッダ検出手段は、コンピュータファイル終了コード検出部、DV信号のフレーム先頭検出部、MPEG2信号のGOP先頭検出部、AVストリームのパケット先頭検出部を有することを特徴とする請求項9記載のデータ記録装置。
【請求項11】
上記記録媒体は、光ディスク、ハードディスクあるいはメモリストレージ媒体であることを特徴とする請求項7記載のデータ記録装置。
【請求項12】
コンピュータに接続されているか否かを検出する検出工程と、
記録媒体から記録媒体制御手段によりデータ列を読み取る記録媒体制御工程と、
上記データ列を送出手段から送出する送出工程と、
上記検出工程によって上記コンピュータに接続されていないと検出された場合に、上記記録媒体制御手段及び上記送出手段を制御して上記記録媒体からデータ列を読み取って上記コンピュータ以外の送出先に送出する制御工程とを有することを特徴とするデータ再生方法。
【請求項13】
上記データ列は、画像データであることを特徴とする請求項12記載のデータ再生方法。
【請求項14】
上記記録媒体制御手段からのデータ列のフレーム先頭位置のヘッダを検出するヘッダ検出工程を有し、このヘッダ検出工程によりヘッダが検出された場合に上記データ列を上記送出手段からの出力を上記コンピュータ以外の送出先に送出することを特徴とする請求項13記載のデータ再生方法。
【請求項15】
上記記録媒体制御手段からのデータ列のフレーム先頭位置のヘッダを検出するヘッダ検出工程を有し、このヘッダ検出工程によりヘッダが検出されない場合には上記データ列はコンピュータデジタル信号であると判別して上記送出手段からの出力をミュートさせることを特徴とする請求項14記載のデータ再生方法。
【請求項16】
上記ヘッダ検出工程は、コンピュータファイル終了コード検出工程、DV信号のフレーム先頭検出工程、MPEG2信号のGOP先頭検出工程、AVストリームのパケット先頭検出工程を有することを特徴とする請求項14記載のデータ再生方法。
【請求項17】
上記記録媒体は、光ディスク、ハードディスクあるいはメモリストレージ媒体であることを特徴とする請求項12記載のデータ再生方法。
【請求項18】
コンピュータに接続されているか否かを検出する検出工程と、
データ列を上記コンピュータ以外の入力先から入力手段を介して入力する入力工程と、
上記入力工程により入力されたデータ列を記録手段により記録媒体に記録する記録工程と、
上記検出工程によって上記コンピュータに接続されていないと検出された場合に、上記入力手段及び上記記録手段を制御して上記コンピュータ以外の入力先からの上記データ列の記録を制御する制御工程とを有することを特徴とするデータ記録方法。
【請求項19】
上記データ列は、画像データであることを特徴とする請求項18記載のデータ記録方法。
【請求項20】
上記コンピュータ又は上記入力手段からのデータ列のフレーム先頭位置のヘッダを検出するヘッダ検出工程を有し、このヘッダ検出工程により検出されたフレーム先頭位置に基づいて上記記録手段の記録を制御することを特徴とする請求項19記載のデータ記録方法。
【請求項21】
上記ヘッダ検出工程は、コンピュータファイル終了コード検出工程、DV信号のフレーム先頭検出工程、MPEG2信号のGOP先頭検出工程、AVストリームのパケット先頭検出工程を有することを特徴とする請求項20記載のデータ記録方法。
【請求項22】
上記記録媒体は、光ディスク、ハードディスクあるいはメモリストレージ媒体であることを特徴とする請求項18記載のデータ記録方法。」

とあったものを、

「 【請求項1】
記録媒体からデータ列を読み取る記録媒体制御手段と、
コンピュータに接続されているか否かを検出し、上記コンピュータとのデータ列の受け渡しを調整するコンピュータインターフェースと、
上記データ列を送出する送出手段と、
上記送出手段または上記コンピュータインターフェースを切換選択して上記記録媒体から読み取られたデータ列の経路を選択する切換手段と、
上記コンピュータインターフェースによって上記コンピュータに接続されていないと検出された場合に、上記記録媒体制御手段及び上記送出手段を制御して上記記録媒体からデータ列を読み取ってモニタに送出する制御手段とを具備し、
上記コンピュータインターフェースによって上記コンピュータとの接続が検出された場合に上記切換手段は上記コンピュータインターフェース側に切り替えられるデータ再生装置。
【請求項2】
上記データ列は、画像データである請求項1記載のデータ再生装置。
【請求項3】
上記記録媒体制御手段からのデータ列のフレーム先頭位置のヘッダを検出するヘッダ検出手段を有し、このヘッダ検出手段によりヘッダが検出された場合に上記データ列を上記送出手段からの出力を上記モニタに送出する請求項2記載のデータ再生装置。
【請求項4】
上記記録媒体制御手段からのデータ列のフレーム先頭位置のヘッダを検出するヘッダ検出手段を有し、このヘッダ検出手段によりヘッダが検出されない場合には上記データ列はコンピュータデジタル信号であると判別して上記送出手段からの出力をミュートさせる請求項3記載のデータ再生装置。
【請求項5】
上記ヘッダ検出手段は、コンピュータファイル終了コード検出部、DV信号のフレーム先頭検出部、MPEG2信号のGOP先頭検出部、AVストリームのパケット先頭検出部を有する請求項3記載のデータ再生装置。
【請求項6】
上記記録媒体は、光ディスク、ハードディスクあるいはメモリストレージ媒体である請求項1記載のデータ再生装置。
【請求項7】
コンピュータに接続されているか否かを検出し、上記コンピュータとのデータ列の受け渡しを調整するコンピュータインターフェースと、
データ列をカメラから入力する入力手段と、
上記入力手段または上記コンピュータインターフェースを切換選択して上記データ列の経路を選択する切換手段と、
上記切換手段からのデータ列を記録媒体に記録する記録手段と、
上記コンピュータインターフェースによって上記コンピュータに接続されていないと検出された場合に、上記入力手段及び上記記録手段を制御して上記カメラからの上記データ列の記録を制御する制御手段とを具備し、
上記コンピュータインターフェースによって上記コンピュータとの接続が検出された場合に上記切換手段は上記コンピュータインターフェース側に切り替えられるデータ記録装置。
【請求項8】
上記データ列は、画像データである請求項7記載のデータ記録装置。
【請求項9】
上記コンピュータ又は上記入力手段からのデータ列のフレーム先頭位置のヘッダを検出するヘッダ検出手段を有し、このヘッダ検出手段により検出されたフレーム先頭位置に基づいて上記記録手段の記録を制御する請求項8記載のデータ記録装置。
【請求項10】
上記ヘッダ検出手段は、コンピュータファイル終了コード検出部、DV信号のフレーム先頭検出部、MPEG2信号のGOP先頭検出部、AVストリームのパケット先頭検出部を有する請求項9記載のデータ記録装置。
【請求項11】
上記記録媒体は、光ディスク、ハードディスクあるいはメモリストレージ媒体である請求項7記載のデータ記録装置。
【請求項12】
コンピュータに接続されているか否かを検出し、上記コンピュータとのデータ列の受け渡しをコンピュータインターフェースにより調整する調整工程と、
記録媒体から記録媒体制御手段によりデータ列を読み取る記録媒体制御工程と、
上記データ列を送出手段から送出する送出工程と、
上記送出手段または上記コンピュータインターフェースを切換選択して上記記録媒体から読み取られたデータ列の経路を切換手段により選択する切換工程と、
上記調整工程によって上記コンピュータインターフェースにより上記コンピュータに接続されていないと検出された場合に、上記記録媒体制御手段及び上記送出手段を制御して上記記録媒体からデータ列を読み取ってモニタに送出する制御工程とを有し、
上記コンピュータインターフェースによって上記コンピュータとの接続が検出された場合に上記切換手段は上記コンピュータインターフェース側に切り替えられるデータ再生方法。
【請求項13】
上記データ列は、画像データである請求項12記載のデータ再生方法。
【請求項14】
上記記録媒体制御手段からのデータ列のフレーム先頭位置のヘッダを検出するヘッダ検出工程を有し、このヘッダ検出工程によりヘッダが検出された場合に上記データ列を上記送出手段からの出力を上記モニタに送出する請求項13記載のデータ再生方法。
【請求項15】
上記記録媒体制御手段からのデータ列のフレーム先頭位置のヘッダを検出するヘッダ検出工程を有し、このヘッダ検出工程によりヘッダが検出されない場合には上記データ列はコンピュータデジタル信号であると判別して上記送出手段からの出力をミュートさせる請求項14記載のデータ再生方法。
【請求項16】
上記ヘッダ検出工程は、コンピュータファイル終了コード検出工程、DV信号のフレーム先頭検出工程、MPEG2信号のGOP先頭検出工程、AVストリームのパケット先頭検出工程を有する請求項14記載のデータ再生方法。
【請求項17】
上記記録媒体は、光ディスク、ハードディスクあるいはメモリストレージ媒体である請求項12記載のデータ再生方法。
【請求項18】
コンピュータに接続されているか否かを検出し、上記コンピュータとのデータ列の受け渡しをコンピュータインターフェースにより調整する調整工程と、
データ列をカメラから入力手段を介して入力する入力工程と、
上記入力手段または上記コンピュータインターフェースを切換手段により切換選択して上記データ列の経路を選択する切換工程と、
上記切換手段からのデータ列を記録手段により記録媒体に記録する記録工程と、
上記コンピュータインターフェースによって上記コンピュータに接続されていないと検出された場合に、上記入力手段及び上記記録手段を制御して上記カメラからの上記データ列の記録を制御する制御工程とを有し、
上記コンピュータインターフェースによって上記コンピュータとの接続が検出された場合に上記切換手段は上記コンピュータインターフェース側に切り替えられるデータ記録方法。
【請求項19】
上記データ列は、画像データである請求項18記載のデータ記録方法。
【請求項20】
上記コンピュータ又は上記入力手段からのデータ列のフレーム先頭位置のヘッダを検出するヘッダ検出工程を有し、このヘッダ検出工程により検出されたフレーム先頭位置に基づいて上記記録手段の記録を制御する請求項19記載のデータ記録方法。
【請求項21】
上記ヘッダ検出工程は、コンピュータファイル終了コード検出工程、DV信号のフレーム先頭検出工程、MPEG2信号のGOP先頭検出工程、AVストリームのパケット先頭検出工程を有する請求項20記載のデータ記録方法。
【請求項22】
上記記録媒体は、光ディスク、ハードディスクあるいはメモリストレージ媒体である請求項18記載のデータ記録方法。」
としようとするものである。

本件補正は、請求項7に記載した発明を特定するために必要な事項である「コンピュータに接続されているか否かを検出する検出手段」を「コンピュータに接続されているか否かを検出し、上記コンピュータとのデータ列の受け渡しを調整するコンピュータインターフェース」と限定し、これにともない、「上記検出手段」を「上記コンピュータインターフェース」と置き換えるものを含み、これは、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正における特許請求の範囲の請求項7に記載されている事項により特定される発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定する要件を満たすか)否かについて、以下検討する。

2.刊行物及びその記載
本願出願前に頒布された刊行物である特開平8-124294号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。(なお、下線は当審で付与した。)
(1)「【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の記録再生システムの一実施例を示した構成図である。図1において、23はオペレーションシステム(OS)におけるWindow3.1の環境で動作するコンピュータである。これは、図4のPC/WSに相当する。24は動画像データを記録再生することが可能な記録再生装置であり、例えば磁気ディスク装置(HDD)が使用されている。記録再生装置24は、動画像データの記録、再生を行うドライブ部のほかに詳しく後述するように動画像データを圧縮、伸張する動画像処理ブロックと、記録再生装置24とコンピュータ23または動画像処理ブロックの接続を切り換えるための切換ブロックを含んでいる。25はビデオ・カメラ(ビデオ・イン、ビデオ・アウト端子を持つ)を示している。また、1はコンピュータ23と記録再生装置24を接続するSCSIバス、8は動画像ビデオ信号を記録するためのビデオ・インの信号線、15は動画像ビデオ信号を再生するためのビデオ・アウトの信号線である。これらのビデオ・インの信号線8、ビデオ・アウトの信号線15によってビデオ・カメラ25と記録再生装置24内の動画像処理ブロックが接続されている。
【0015】図2は記録再生装置24を示したブロック図である。なお、図2では動画像データを記録、再生するドライブ部の構成については省略しており、これについては前述のように例えば周知の磁気ディスク装置(HDD)が用いられている。図2において、1はコンピュータ23と記録再生装置24を接続するためのホスト・インターフェースであるSCSIバス、2はSCSIバス1の終端に接続されたターミナル抵抗である。SCSIバス1は切換ブロック7を介して記録再生装置24内のドライブ部に接続され、動画像処理ブロック22も切換ブロック7を介して記録再生装置24のドライブ部に接続されている。従って、切換ブロック7の切換動作によって記録再生装置24のドライブ部とコンピュータ23または動画像処理ブロック22の接続が切り換えられるように構成されている。
【0016】切換ブロック7は、動画像処理ブロック22と記録再生装置24の間でデータの記録再生を制御するためのSPC(SCSIプロトコル・コントローラ)3.記録再生装置24とコンピュータ23あるいは動画像処理ブロック22のどちらを接続するかを選択するスイッチ回路5からなっている。また、4は動画像処理ブロック22と記録再生装置24を接続するSCSIバス、6はスイッチ回路5と記録再生装置24を接続するSCSIバスを示している。
【0017】動画像処理ブロック22は、前述のように動画像データを圧縮、伸張するためのデータ処理ブロックである。動画像処理ブロック22内の8はビデオ・カメラ等の機器からくるNTSC信号、9はNTSC信号を2値化して各8ビットに量子化したR、G、B成分を生成するRGBデジタル変換回路、10は画像圧縮処理をするフレーム・データを蓄えるフレーム・メモリである。また、11はフレーム・メモリ10に蓄えられたデータをMotionJPEG圧縮する圧縮回路、12は圧縮されたデータをMotionJPEG伸張する伸張回路、13は伸張された各8ビットのR、G、B成分データを蓄えるフレーム・メモリ、14はR、G、BデータからアナログのNTSC信号に変換するRGBアナログ変換回路、15はビデオ機器へ送るNTSC信号である。
【0018】16は圧縮したデータを記録再生装置24へ送る場合にデータを蓄えたり、記録再生装置24から送られてくる圧縮されたデータを蓄えたりするためのバッファ・メモリ、17は動画像処理ブロック22と記録再生装置24のデータ制御を行なうSPC3とを接続するデータ・バス、18は動画像処理ブロック22とSCSIバス1の切換ブロック7のタイミング制御を行なうタイミング制御回路、19は動画像処理ブロック22全体を制御するCPU、20は動画像信号の記録再生のモードを指定するスイッチからの信号、21は動画像信号の記録再生を開始/終了するスイッチからの信号である。
【0019】次に、上記実施例の具体的な動作について説明する。まず、動画像の記録動作について説明する。動画像を記録する場合は、スイッチ回路5により動画像処理ブロック22のSCSIバス4を選択し、動画像処理ブロック22と記録再生装置(HDD)24をSCSIバス4で直結する。動画像処理ブロック22内のCPU19はこのモードをポート入力信号を見ることで認識し、次いで動画像の記録再生モードを指定する信号20で記録モードであるかどうかを確認する。ここで、記録モードが選択されていれば、記録再生を開始/終了するスイッチからの信号21を待つ。その間に、CPU19は記録再生装置24に対して最大容量の記録を行なう準備をしておく。つまり、記録開始位置に記録再生装置24の記録再生ヘッドをアクセスしてウェイト状態にし、記録できる最大容量に相当する値をコマンドのパラメータとしてセットできるようにしておく。
【0020】そして、記録再生を開始/終了するスイッチが押され、記録再生の開始を指示する信号21が送られると、タイミング制御回路18が動作を開始し、そのタイミング信号に従ってNTSCビデオ信号8をRGBデジタル変換回路9に取り込み、RGBデジタル変換回路9内でビデオ信号をRGB各8ビットに量子化し、そのデータをフレーム・バッファ10に書き込む。一定量書き込むと、JPEG圧縮回路11によりデータを圧縮し、その結果をバッファ・メモリ16に書き込む。この量をCPU19が監視しており、ある一定量に蓄積し始めたら、すでに求めておいた記録できる最大容量の書き込みを行なうコマンドを記録再生装置24に対して発行し、記録再生装置24ではそのコマンドに従ってデータの書き込みを行なう。
【0021】図3はそのデータの書き込みを行なう場合の制御動作を示したフローチャートである。このデータの書き込みの制御は動画像処理ブロック22内のCPU19の管理のもとにSPC3を通して行なわれる。図3のS1?S8は図6のS1?S8と同じであるので詳細な説明は省略するが、本実施例では記録再生装置24で記録する場合、コンピュータ23と記録再生装置24を切り離し、動画像処理ブロック22と記録再生装置24を接続しているので、記録再生装置24をコンピュータ23の管理下ではなく、動画像処理ブロック22の管理下に置くことができる。従って、PC/WSのファイリング・システムの制約を受けることがなく、データを細切れに記しなくてもよいので、(3)項に挙げたようなコマンドなどのハンドリングによるオーバヘッド時間をなくすことが可能となる。つまりデータを記録する場合は、データを細切れに記録しなくてもよく、従って図3のS1?S8の処理を何回も繰り返す必要がないので、S1?S5やS7?S9のオーバヘッドをなくすことができる。」

(2)「【0027】更に、コンピュータ23上で作成された動画像データを記録再生装置24に記録再生する場合は、切換ブロック7内のスイッチ回路5によりコンピュータ23側のSCSIバス1を選択し、コンピュータ23と記録再生装置24をSCSIバス1で直結する。そして、コンピュータ23で作成された動画像データを専用プログラムを用いて記録再生装置24のフォーマットに変換して記録する。またデータを再生する場合は、前述のような動画像の再生動作と同じである。」

上記摘示事項を、図面とともに総合整理すると、刊行物1には次の発明が記載されているものと認める。
「動画像データの記録、再生を行うドライブ部と、動画像データを圧縮、伸張する動画像処理ブロックと、切換動作によってドライブ部とコンピュータまたは動画像処理ブロックの接続が切り換えられる切換ブロックを含み、
ドライブ部には磁気ディスクが用いられ、
コンピュータと記録再生装置を接続するためのホスト・インターフェースであるSCSIバスは切換ブロックを介して記録再生装置内のドライブ部に接続され、
動画像ビデオ信号を記録するためのビデオ・インの信号線によってビデオ・カメラと記録再生装置内の動画像処理ブロックが接続され、
動画像処理ブロックも切換ブロックを介して記録再生装置のドライブ部に接続され、
記録再生装置で動画像を記録する場合は、切換ブロックにより、コンピュータと磁気ディスク装置を切り離し、動画像処理ブロックと磁気ディスク装置を直結し、ビデオ・カメラ等の機器からくる信号を磁気ディスク装置へ書き込み、このデータの書き込みの制御は動画像処理ブロック内のCPUの管理のもとに行なわれ、
コンピュータ上で作成された動画像データを記録再生装置に記録する場合は、切換ブロックにより、コンピュータと磁気ディスク装置を直結し、コンピュータで作成された動画像データを磁気ディスク装置に記録する
記録再生装置。」(以下「刊行物1発明」という。)

3.対比
(a)刊行物1発明の「コンピュータ」は、本願補正発明の「コンピュータ」に相当する。

(b)刊行物1発明の「コンピュータと記録再生装置を接続するためのホスト・インターフェースであるSCSIバス」は、技術常識を参酌するにSCSIバスにおいてデータ列の受け渡しを調整するから、本願補正発明の「コンピュータとのデータ列の受け渡しを調整するコンピュータインターフェース」に相当する。

(c)刊行物1発明の「ビデオ・カメラ」は、本願補正発明の「カメラ」に相当する。

(d)刊行物1発明の「ビデオ・インの信号線」及び「動画像処理ブロック」は、「動画像ビデオ信号を記録するためのビデオ・インの信号線によってビデオ・カメラと記録再生装置内の動画像処理ブロックが接続され」及び「動画像処理ブロックと磁気ディスク装置を直結し、ビデオ・カメラ等の機器からくる信号を磁気ディスク装置へ書き込み」からすると、本願補正発明の「データ列をカメラから入力する入力手段」に相当する。

(e)刊行物1発明の「切換動作によってドライブ部とコンピュータまたは動画像処理ブロックの接続が切り換えられる切換ブロック」は、「コンピュータと記録再生装置を接続するためのホスト・インターフェースであるSCSIバスは切換ブロックを介して記録再生装置内のドライブ部に接続され」からするとドライブ部と切換ブロックとコンピュータとの接続がSCSIバスであるから、本願補正発明の「上記入力手段または上記コンピュータインターフェースを切換選択して上記データ列の経路を選択する切換手段」に相当する。

(f)刊行物1発明の「動画像データの記録、再生を行うドライブ部」は、「ドライブ部には磁気ディスクが用いられ」、「切換ブロックにより、コンピュータと磁気ディスク装置を切り離し、動画像処理ブロックと磁気ディスク装置を直結し、ビデオ・カメラ等の機器からくる信号を磁気ディスク装置へ書き込み」及び「切換ブロックにより、コンピュータと磁気ディスク装置を直結し、コンピュータで作成された動画像データを磁気ディスク装置に記録する」からすると、本願補正発明の「上記切換手段からのデータ列を記録媒体に記録する記録手段」に相当する。

(g)刊行物1発明の「CPU」は、「ビデオ・カメラ等の機器からくる信号を磁気ディスク装置へ書き込み、このデータの書き込みの制御は動画像処理ブロック内のCPUの管理のもとに行なわれ」からすると、本願補正発明の「上記入力手段及び上記記録手段を制御して上記カメラからの上記データ列の記録を制御する制御手段」に相当する。

(h)刊行物1発明の「切換ブロックにより、コンピュータと磁気ディスク装置を直結し」は、本願補正発明の「上記切換手段は上記コンピュータインターフェース側に切り替えられる」に相当する。

(i)刊行物1発明の「記録再生装置」は、本願補正発明の「データ記録装置」に相当する。

したがって、本願補正発明と刊行物1発明との[一致点]及び[相違点]は以下のとおりである。
[一致点]
「コンピュータとのデータ列の受け渡しを調整するコンピュータインターフェースと、
データ列をカメラから入力する入力手段と、
上記入力手段または上記コンピュータインターフェースを切換選択して上記データ列の経路を選択する切換手段と、
上記切換手段からのデータ列を記録媒体に記録する記録手段と、
上記入力手段及び上記記録手段を制御して上記カメラからの上記データ列の記録を制御する制御手段とを具備し、
上記切換手段は上記コンピュータインターフェース側に切り替えられるデータ記録装置。」

[相違点]
(相違点1)
コンピュータインターフェースにつき、本願補正発明は、「コンピュータに接続されているか否かを検出し」との特定があるのに対し、刊行物1発明は、そのような特定がない点。

(相違点2)
入力手段及び記録手段を制御してカメラからのデータ列の記録を制御することにつき、本願補正発明は、「上記コンピュータインターフェースによって上記コンピュータに接続されていないと検出された場合に、」行うのに対し、刊行物1発明は、記録再生装置で動画像を記録する場合に行う点。

(相違点3)
切換手段はコンピュータインターフェース側に切り替えられることにつき、本願補正発明は、「上記コンピュータインターフェースによって上記コンピュータとの接続が検出された場合に」行うのに対し、刊行物1発明は、コンピュータ上で作成された動画像データを記録再生装置に記録する場合に行う点。

4.判断
上記相違点について検討する。
(相違点1ないし3について)
カメラからのデータを記録媒体に記録するものにおいて、インターフェースにコンピュータが接続されているか否かを検出し、接続されている場合にコンピュータから記録媒体へアクセス可能とし、接続されていない場合にカメラからのデータを記録媒体に記録することは周知技術(例えば、特開平8-228321号公報の0015,0022?0024段落、特開平8-191410号公報の0039?0043段落等参照)であって、刊行物1発明においても、インターフェースを「コンピュータに接続されているか否かを検出」し得るようにすることは当業者が容易に想到し得ることである。
そして、刊行物1発明において、インターフェースをコンピュータに接続されているか否かを検出し得るものとした場合には、刊行物1発明は、「記録再生装置で動画像を記録する」前提として、「切換ブロックにより、コンピュータと磁気ディスク装置を切り離し」との制御を行っているのであるから「コンピュータインターフェースによってコンピュータに接続されていないと検出された場合に」記録再生装置で動画像の記録を行うのは当然であり、同様に、「コンピュータ上で作成された動画像データを記録再生装置に記録する」前提として「コンピュータと磁気ディスク装置を直結」するものであるから、「コンピュータインターフェースによってコンピュータとの接続が検出された場合に」コンピュータ上で作成された動画像データを記録再生装置に記録するのは当然のことであって、いずれも当業者が容易に想到し得ることである。

そして、本願補正発明の奏する効果は、刊行物1発明及び周知技術から当業者が十分予測可能なもので格別のものではない。

したがって、本願補正発明は、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.本件補正についての結び
以上のとおり、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成20年3月31日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1乃至22に係る発明は、平成19年12月27日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1乃至22に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項7に係る発明(以下「本願発明」)は、「第2[理由]1.」に本件補正前の請求項7として記載したとおりのものである。

2.刊行物及びその記載
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開平8-191410号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。(なお、下線は当審で付与した。)
(1)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、撮影レンズにより得られた光学像を可視像として保持することができる電子現像型記録媒体を備えた画像入力装置に関する。」

(2)「【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような電子現像型記録媒体を備えた画像入力装置は、多量のデータから成る画像を記録するため、ハードディスク等の大容量記録媒体を備えることが好ましい。
【0008】本発明は、電子現像型記録媒体を備えた画像入力装置において、大容量記録媒体の利用効率をさらに向上させることを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る画像入力装置は、画像を電子的に保持する電子現像型記録媒体と、この電子現像型記録媒体を副走査して、画像を検出するラインセンサと、ラインセンサの副走査を制御可能な副走査制御手段と、ラインセンサによって検出された画像に対応した画像データを記録可能であるとともに、コンピュータの外部記憶装置として使用可能な大容量記録媒体と、コンピュータから入力されるコマンドに応じて、大容量記録媒体に対する書き込み動作を制御可能な記録媒体書込手段とを備えたことを特徴としている。」

(3)「【0012】図2はスチルビデオカメラのブロック図である。システムコントロール回路20はマイクロコンピュータであり、このスチルビデオカメラの全体の制御を行う。」

(4)「【0017】光源42のオンオフ制御は照明光源駆動回路45により行われ、ラインセンサ44に発生した画素信号の読出し動作等の制御はラインセンサ駆動回路47により行われる。副走査機構50の移動の制御はスキャナ系駆動回路46により行われる。これらの回路45、46、47はシステムコントロール回路20により制御される。
【0018】ラインセンサ44から読み出された画素信号は、アンプ61により増幅され、A/D変換器62によってデジタル信号に変換される。デジタルの画素信号は、システムコントロール回路20の制御に従って、メモリ64に格納され、画像処理回路63においてシェーディング補正、ドロップアウト補正およびガンマ補正等の処理を施された後、画像データとしてインターフェース回路65または記録装置制御回路66に入力される。
【0019】インターフェース回路65において画像データは、フォーマットの変換等の所定の処理を施され、出力端子17を介して外部のパーソナルコンピュータ(図示せず)等に出力可能である。また画像データは、記録装置制御回路66において、画像圧縮あるいはフォーマットの変換等の所定の処理を施され、画像記録装置67において例えばハードディスクあるいはICメモリカード等の記録媒体に記録可能である。インターフェース回路65と記録装置制御回路66はシステムコントロール回路20からの指令信号に従って動作する。
【0020】システムコントロール回路20には、レリーズスイッチ14とスキャンスタートスイッチ16が接続され、これらのスイッチ14、16の操作に従って、撮像動作および画像信号の読出し動作等が行われる。またシステムコントロール回路20には、モード切替スイッチ19が接続されている。このモード切替スイッチ19は、このスチルビデオカメラにおける動作モードを第1の動作モードと第2の動作モードとの間において切り替えるために設けられている。第1の動作モードは、画像記録装置67に装着された大容量記録媒体を、出力端子17を介して接続されたコンピュータの外部記憶装置として使用するモードであり、第2の動作モードは、電子現像型記録媒体30に記録された画像を、装着された大容量記録媒体を介するのではなく、出力端子17を介してコンピュータに出力するモードである。」

(5)「【0039】図5に示すプログラムは、このスチルビデオカメラの電源を投入することによって起動する。ステップ101では、出力端子17にインターフェースケーブルが接続されているか否か、すなわちコンピュータが接続されているか否かが判定される。インターフェースケーブルが接続されていないとき、ステップ102に移り、通常カメラモードが設定される。すなわち撮像光学系12を介して被写体像を電子現像型記録媒体30に結像して記録し、スキャンスタートスイッチ16のオンによって電子現像型記録媒体30上の画像をラインセンサ44によって読み出し、装着された大容量記録媒体に画像データを記録する、通常のカメラとしての使用が可能となる。」

上記摘示事項を、図面とともに総合整理すると、刊行物2には次の発明が記載されているものと認める。
「画像を電子的に保持する電子現像型記録媒体と、この電子現像型記録媒体を副走査して、画像を検出するラインセンサと、ラインセンサの副走査を制御可能な副走査制御手段と、ラインセンサによって検出された画像に対応した画像データを記録可能であるとともに、コンピュータの外部記憶装置として使用可能な大容量記録媒体と、全体の制御を行うシステムコントロール回路とを備え、
システムコントロール回路には、レリーズスイッチとスキャンスタートスイッチが接続され、これらのスイッチの操作に従って、撮像動作および画像信号の読出し動作等が行われ、
出力端子にインターフェースケーブルが接続されているか否か、すなわちコンピュータが接続されているか否かが判定され、インターフェースケーブルが接続されていないとき、通常カメラモードが設定され、
通常カメラモードでは、撮像光学系を介して被写体像を電子現像型記録媒体に結像して記録し、スキャンスタートスイッチのオンによって電子現像型記録媒体上の画像をラインセンサによって読み出し、装着された大容量記録媒体に画像データを記録する、通常のカメラとしての使用が可能となる
画像入力装置。」(以下「刊行物2発明」という。)

3.対比
(a)刊行物2発明の「コンピュータ」は、本願発明の「コンピュータ」に相当する。

(b)刊行物2発明の「出力端子にインターフェースケーブルが接続されているか否か、すなわちコンピュータが接続されているか否かが判定され」からすれば、刊行物2発明は、本願発明の「コンピュータに接続されているか否かを検出する検出手段」を備えている。

(c)刊行物2発明の「画像を電子的に保持する電子現像型記録媒体と、この電子現像型記録媒体を副走査して、画像を検出するラインセンサと、ラインセンサの副走査を制御可能な副走査制御手段」は、「ラインセンサによって検出された画像に対応した画像データ」がデータ列であることは明らかであるから、本願発明の「データ列を上記コンピュータ以外の入力先から入力する入力手段」に相当する。

(d)刊行物2発明の「大容量記録媒体」は、「ラインセンサによって検出された画像に対応した画像データを記録可能である」から、本願発明の「上記入力手段により入力されたデータ列を記録媒体に記録する記録手段」に相当する。

(e)刊行物2発明の「全体の制御を行うシステムコントロール回路」は、本願発明の「制御手段」に相当する。

(f)刊行物2発明の「画像入力装置」は、「ラインセンサによって検出された画像に対応した画像データを記録可能であるとともに、コンピュータの外部記憶装置として使用可能な大容量記録媒体」を備えるから、本願発明の「データ記録装置」として把握することができる。

したがって、本願補正発明と刊行物1発明との[一致点]及び[相違点]は以下のとおりである。
[一致点]
「コンピュータに接続されているか否かを検出する検出手段と、
データ列を上記コンピュータ以外の入力先から入力する入力手段と、
上記入力手段により入力されたデータ列を記録媒体に記録する記録手段と、
制御手段とを具備するデータ記録装置。」

[相違点]
本願発明の制御手段は、「上記検出手段によって上記コンピュータに接続されていないと検出された場合に、上記入力手段及び上記記録手段を制御して上記コンピュータ以外の入力先からの上記データ列の記録を制御する」を行うのに対し、刊行物2発明のシステムコントロール回路は、そのような特定がない点。

4.判断
上記相違点について検討する。
刊行物2発明の「出力端子にインターフェースケーブルが接続されているか否か、すなわちコンピュータが接続されているか否かが判定され、インターフェースケーブルが接続されていないとき、(通常カメラモードが設定され、)」は、本願発明の「検出手段によってコンピュータに接続されていないと検出された場合に、」に相当する。
また、刊行物2発明の
「通常カメラモードでは、撮像光学系を介して被写体像を電子現像型記録媒体に結像して記録し、スキャンスタートスイッチのオンによって電子現像型記録媒体上の画像をラインセンサによって読み出し、装着された大容量記録媒体に画像データを記録する、通常のカメラとしての使用が可能となる」
は、「入力手段及び記録手段」により「コンピュータ以外の入力先からのデータ列の記録」を行うものといえる。
さらに、刊行物2発明の「システムコントロール回路には、レリーズスイッチとスキャンスタートスイッチが接続され、これらのスイッチの操作に従って、撮像動作および画像信号の読出し動作等が行われ」及び「全体の制御を行うシステムコントロール回路」からすれば、前記「通常カメラモードでは、撮像光学系を介して被写体像を電子現像型記録媒体に結像して記録し、スキャンスタートスイッチのオンによって電子現像型記録媒体上の画像をラインセンサによって読み出し、装着された大容量記録媒体に画像データを記録する」を、システムコントロール回路により制御することは当業者が容易に想到し得ることである。

そして、本願発明の奏する効果は、刊行物2発明から当業者が十分予測可能なもので格別のものではない。

したがって、本願発明は、刊行物2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり、本願の請求項7に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-08-24 
結審通知日 2010-08-31 
審決日 2010-09-14 
出願番号 特願2006-245802(P2006-245802)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G11B)
P 1 8・ 537- Z (G11B)
P 1 8・ 575- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 丹治 彰  
特許庁審判長 山田 洋一
特許庁審判官 早川 学
小松 正
発明の名称 データ再生装置及びデータ記録装置、並びにデータ再生方法及びデータ記録方法  
代理人 伊賀 誠司  
代理人 野口 信博  
代理人 祐成 篤哉  
代理人 藤井 稔也  
代理人 山口 茂  
代理人 小池 晃  

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