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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M
管理番号 1226029
審判番号 不服2009-15699  
総通号数 132 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-08-26 
確定日 2010-10-28 
事件の表示 特願2008-157053「携帯型無線通話装置」拒絶査定不服審判事件〔平成20年10月 2日出願公開、特開2008-236797〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成5年9月10日を出願日とする出願である特願平5-224832号の一部を平成10年5月25日に新たな特許出願とした特願平10-143339号の一部を平成14年8月5日に新たな特許出願とした特願2002-227420号の一部を平成16年10月20日に新たな特許出願とした特願2004-305951号の一部を平成18年3月16日に新たな特許出願とした特願2006-073296号の一部をさらに平成18年7月21日に新たな特許出願とした特願2006-199480号の一部を平成20年6月16日に新たな特許出願としたものであって,平成21年5月19日付けで拒絶査定され,これに対し,同年8月26日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに,同日付けで手続補正がされ,これに対して当審において平成21年8月26日付け手続補正を平成22年6月2日付けで補正却下し,補正却下が確定したものである。

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成21年4月23日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

「【請求項1】
アンテナによって,公衆通信回線に無線によって接続され,該公衆通信回線を経由してデータの発信,または受信を行う無線通信手段と,
マイク及びスピーカを備え,前記無線通信手段を介して音声通話を実現する通話手段と,
所定の画像を表示する4角形状のディスプレイと,
前記無線通信手段,前記通話手段,及び前記ディスプレイを保持する4角形状の筐体と,
を備え,イヤー通話器を利用した無線電話通話が可能な携帯型無線通話装置において,
前記スピーカは,前記4角形状の筐体の長手方向の1方の端部側に配置され,前記マイクは,前記4角形状の筐体の長手方向の他方の端部側に配置されることで,前記スピーカと,前記マイクとが前記筐体の長手方向の両端に隔てられ,
前記筐体は,長手方向の前記1方の前記端部側に支持部材を備え,
前記スピーカは,前記支持部材に連結部材を介して連結され,
前記連結部材は,前記支持部材と,前記スピーカとを前記ディスプレイの4角形状の長辺と平行の回転軸によって,回動可能に連結され,
前記スピーカは,オンオフを行うスイッチに接続されたことを特徴とする携帯型無線通話装置。」

第3 引用刊行物
1.原審における平成21年2月18日付けの拒絶の理由に引用した特表平4-503436号公報(以下,「引用例1」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。

a.「技術分野
本発明は,データ伝送システム,ことにデータ伝送用の集積化コンピュータ(integrated computer)及びセルラー電話機(cellulae telephone)に関する。」(第2頁右上欄第4?7行)

b.「実施例
第1図に明らかなように本発明による携帯用コンピュータ(10)は,当業界にはよく知られているように相対的開放位置と閉鎖位置とに区画枢動ができるようにヒンジ装置(16)により互いに連結した第1及び第2の区画(12),(14)を持つハウジングを備えている。各区画(12),(14)が開放位置にあるときにコンピュータからの情報は取りはずし可能な液晶表示スクリーン(18)のような手段により表示する。又手動キーボード(20)によりコンピュータ内に情報を入力することができる。
第2図及び第3図に示すようにセルラー電話機は,携帯用コンピュータ(10)の一体部分を形成し,トランシーバ(22),セルラー電話機電池(24)及びセルラー電力盤(26)を備えている。変復調装置(28)は,セルラー電話機トランシーバ(22)に又これから送られる信号の変調/復調を行うように,ハウジングこの場合ハウジングの第2の区画(14)内に配置してある。好適とする構造ではセルラー・トランシーバ(22)は,コンピュータの残りの部分を放射線からしやへいするこれ自体のハウジング内に納めてある。1例ではこれは単にこれ自体のハウジングを酸化アルミニウムで被覆するだけのことである。蓄電池パック(30)及び電圧コンバータ(32)は残りのコンピュータ動作のために電力を提供する。この場合これ等は,コンピュータカード(34)のようにハウジングの第2の区画(14)内に位置させてある。
携帯用コンピュータ(10)は又,アンテナ(36)のような手段を備え,セルラー電話機トランシーバ(22)に対し信号を送信/受信する。好適な構造ではアンテナ(36)は,第1の区画(12)内に配置され普通の伸縮アンテナ構造を持ち,ハウジングの第1の区画(12)から伸長できる。放射線しゃへい(38)は,第1の区画(12)内のアンテナ(36)の部分のまわりに円筒体を形成する。現用の適当な形状の放射線しゃへいは,ゴム被覆アルミニウムであるが,トランシーバ及びアンテナの放射線から他の必要なコンピュータ要素を適当にしゃへいする,トランシーバ(22)のハウジングを覆う酸化アルミニウム層は,コンピュータ全体に対し可搬の軽い重量を保つことができるようにしなければならない。
好適な構造では第1の区画(12)従って取りはずし可能なLCDスクリーン(19)の姿勢は,図示の位置と指示位置(40)に戻る各連続位置との間で個人の好み及び照明のために調整可能である。
1例では携帯用コンピュータ(10)は又,内蔵のハードディスク(42)と,ポツプ・アップ・フロッピ・ディスク・ドライブ(pop-up floppy disk drive)(44)と,セルラー・トランシーバ(22)に接続する電話機送受器用のモジュラ・ジャック(36)と送受器用音響信号ジャック(48)とのような構成を備えている。好適な構造では携帯用コンピュータ(10)は又,音声信号の送信/受信のためにセルラー電話機トランシーバ(22)に動作可能に接続したポツプ・アップスピーカ・ホーン(50)のようなマイクロホン及びスピーカを備えている。又容易に持運びできるように引込み可能な取っ手(52)を設けてある。キーボード(20)の1構造では数字タッチ・パッド(21)は又セルラー電話機用のタッチ・トーン(tuch tone)電話機パッドとしても役立つ。
第4図に示すように本発明によるデータ回線網(54)は,複数のコンピュータ(56)を備え,そのうちの少なくとも1つは携帯用コンピュータ(10)と同様であり,この場合第1の区画(12)及び第2の区画(14)から成るハウジングと,このハウジング内に前記したように配置したセルラー電話機と,前記したようにハウジング内に配置されセルラー電話機に送られる信号及びセルラー電話機から送られる信号の変調/復調を行う変復調装置と,セルラー電話機からの信号を送信/受信するアンテナ(36)のような手段とを備えている。図示の実施例では全部のコンピュータがセルラー電話機により,データ回線網(54)に使う通信リンクの一部を形成するセルラー・ホン・ステーション(50)を介して通信する。」(第3頁左上欄第12行?左下欄第5行,なお,第3頁左下欄第8行の「モジュラ・ジャック(36)」は,「モジュラ・ジャック(46)」の誤記と認める。)

c.図面Fig.1には4角形状の液晶表示スクリーン(18)を備えていることがみてとれる。

d.図面Fig.1,Fig.3によれば,区画(12)に液晶表示スクリーン(18)が保持され,区画(14)にセルラー電話機トランシーバ(22)とポップ・アップスピーカ・ホーン(50)が保持されていることがみてとれる。

e.図面Fig.1?3によれば,電話機送受器用のモジュラ・ジャック(46)と送受器用音響信号ジャック(48)は区画(14)の長手方向の端部に設けられ,ポップ・アップスピーカ・ホーン(50)は区画(14)の長手方向の略中央に設けられていることがみてとれる。

f.図面Fig.1,3によれば区画(12)及び区画(14)は略4角形状であることがみてとれる。

上記記載によれば,引用例1には以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されている。

「相対的開放位置と閉鎖位置とに区画枢動ができるようにヒンジ装置(16)により互いに連結した4角形状の第1及び第2の区画(12),(14)を持つハウジングを備え,
各区画(12),(14)が開放位置にあるときにコンピュータからの情報は区画(12)に保持された4角形状の液晶表示スクリーン(18)手段により表示され,
セルラー電話機は,携帯用コンピュータ(10)の一体部分を形成し,セルラー電話機トランシーバ(22),セルラー電話機電池(24)及びセルラー電力盤(26)を備え,これらは区画14に保持され,
アンテナ(36)を備え,セルラー電話機トランシーバ(22)に対し信号を送信/受信し,
セルラー電話機トランシーバ(22)に接続する電話機送受器用のモジュラ・ジャック(46)と送受器用音響信号ジャック(48)とを区画14の長手方向の端部に備え,
音声信号の送信/受信のためにセルラー電話機トランシーバ(22)に動作可能に接続したポツプ・アップスピーカ・ホーン(50)のようなマイクロホン及びスピーカを区画14の長手方向の中央に備えた,
携帯用コンピュータ。」

2.原審における平成21年2月18日付けの拒絶の理由に引用した実願昭58-170291号(実開昭60-79890号公報)のマイクロフィルム(以下,「引用例2」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。

g.「以下,本考案の実施例を第3図ないし第6図を参照して具体的に説明する。第3図には,左右一対のスピーカ本体8,14があり,正面には音抜け用の多数の孔を穿ったカバー9がそれぞれ設けてある。両スピーカ本体8,14には,互いに位置をかえて,入力用ピンプラグ12,15が設けてあり,これに対応して,それぞれピンプラグ挿入孔13が穿ってある。そして,両スピーカ本体8,14を,そのピンプラグ12,15を孔13に挿入することで一体に組合わせた形態にすると,ここで使用されるカセットテープの外形,大きさにすることができる。」(明細書第3頁第10行?第20行)

h.「このような構成では,通常,両スピーカ本体8,14を組合わせて一体化し,カセットテープの代りにカセットプレーヤ本体25のテープ挿入口からカセットテープ収容部に入れておく。これによって,外観上はスピーカを備えない小形なカセットプレーヤの形態にでき,携帯が便利である。
また,使用に際しては,上記テープ挿入口からスピーカ本体8,14を取出して分離し,第5図にみられるようにカセットプレーヤ本体25に対してピンプラグ12,15を挿入装着し,スピーカによる発音で楽しむことができる。」(明細書第4頁第13行?第5頁第3行)

上記記載によれば,引用例2には以下の技術(以下,「引用例2記載技術」という。)が記載されている。

「スピーカ本体にピンプラグを設け,カセットプレーヤ本体に対してピンプラグを挿入装着し,スピーカによる発音をすること」

第4 対比
引用発明の携帯用コンピュータは,セルラー電話機とアンテナを備えており,公衆通信回線に接続することは明らかであるから,本願発明の「アンテナによって,公衆通信回線に無線によって接続され,該公衆通信回線を経由してデータの発信,または受信を行う無線通信手段」に相当する構成を備えている。
引用発明は,音声信号の送信/受信のためにセルラー電話機トランシーバに動作可能に接続したポツプ・アップスピーカ・ホーンのようなマイクロホン及びスピーカを備えているから,本願発明の「マイク及びスピーカを備え,前記無線通信手段を介して音声通話を実現する通話手段」を有しているといえる。
引用発明の4角形状の液晶表示スクリーンは,本願発明の「所定の画像を表示する4角形状のディスプレイ」に相当する。
引用発明も,セルラー電話機,ポップ・アップスピーカ・ホーン,液晶表示スクリーンを略4角形状の区画に保持しているから,該区画は,本願発明の「前記無線通信手段,前記通話手段,及び前記ディスプレイを保持する4角形状の筐体」に相当する。
引用発明の携帯用コンピュータは,セルラー電話機を備え,音声信号の送信/受信のためにセルラー電話機トランシーバ(22)に動作可能に接続したポツプ・アップスピーカ・ホーン(50)のようなマイクロホン及びスピーカ備えているから,携帯型無線通話装置といえる。

以上から,本願発明と引用発明には次の一致点と相違点がある。

[一致点]
アンテナによって,公衆通信回線に無線によって接続され,該公衆通信回線を経由してデータの発信,または受信を行う無線通信手段と,
マイク及びスピーカを備え,前記無線通信手段を介して音声通話を実現する通話手段と,
所定の画像を表示する4角形状のディスプレイと,
前記無線通信手段,前記通話手段,及び前記ディスプレイを保持する4角形状の筐体と,
を備えた,
携帯型無線通話装置。

[相違点1]
本願発明は,イヤー通話器を利用した無線電話通話が可能な携帯型無線通話装置であるのに対して,引用発明は,送受器用音響信号ジャックを備えているが,イヤー通話器を利用した無線電話通話が可能かどうかは不明である点。

[相違点2]
本願発明では,スピーカは,4角形状の筐体の長手方向の1方の端部側に配置され,マイクは,前記4角形状の筐体の長手方向の他方の端部側に配置されることで,前記スピーカと,前記マイクとが前記筐体の長手方向の両端に隔てられ,前記筐体は,長手方向の前記1方の前記端部側に支持部材を備え,前記スピーカは,前記支持部材に連結部材を介して連結され,前記連結部材は,前記支持部材と,前記スピーカとを前記ディスプレイの4角形状の長辺と平行の回転軸によって,回動可能に連結されているのに対して,引用発明は,スピーカ及びマイクを備えているが,配置されている位置が相違し,スピーカが回転可能になっていない点。

[相違点3]
本願発明のスピーカは,オンオフを行うスイッチに接続されているのに対して,引用発明にはそのような記載がない点。

第5 判断
[相違点1]について
イヤホンとマイクロホンを兼ねたイヤホン型マイクロホンを無線機に使うことは周知(特開昭58-154937号公報の特許請求の範囲,実願昭50-79912号(実開昭51-159124号公報)のマイクロフィルムの考案の詳細な説明参照。)であるから,引用発明の携帯用コンピュータに上記周知のイヤホン型マイクロホンを接続して,相違点1のようにすることは当業者が容易に想到し得ることである。

[相違点2]について
引用発明に引用例2記載技術を適用して,引用発明の送受器用音響信号ジャックに引用例2記載技術のスピーカ本体のピンプラグを接続し,引用例2記載技術のスピーカを携帯用コンピュータに装着することは当業者が容易に想到し得ることである。そして,引用発明において上記ジャックは区画14の長手方向の端部にあるから,装着されたスピーカは,4角形状の筐体の長手方向の1方の端部側に配置された構成となることは明白である。また,ピンプラグの接続する送受器用音響信号ジャックは本願発明の支持部材に対応し,ピンプラグは,回動可能であるから,本願発明の連結部材に対応することも明らかである。
さらに,本願当初明細書等には筐体に取り付けられたマイクとスピーカに関して次の記載がある。
「【0036】
収容枠109には,マイク113と,ディスプレイ115と,オンスイッチ117と,オフスイッチ119とがペン入力デバイス103の近傍に取り付けられている。マイク113の近傍には,「マイク」レタリング113Aが施されており,オンスイッチ117の近傍には「オン」レタリング117A,オフスイッチ119の近傍には「オフ」レタリング119Aが施されている。オンスイッチ117と,オフスイッチ119とは,各々2個のスイッチパネル117AA,117BB,119AA,119BBを備えている。これらは,収容枠109の表面より3ミリメートル凹状態で配設されている。スイッチパネル117AAと,117BBとは,両方ともほぼ同時に操作された場合にオン信号を出力する。スイッチパネル119AAと,119BBとは,両方ともほぼ同時に操作された場合に,オフ信号を出力する。これにより,携帯時などに誤って手などが触れることによる誤操作が防止される。この結果,収容枠109の表面へのスイッチの取付が可能になる。
【0037】
無線電話装置107と,本体105とは,収容箱121に収容されている。収容箱121には,図9,図10,図17に示すように,CPU123と,音声解析プロセッサ124と,ROM125と,マスタコール126と,アンテナ126Aと,RAM127と,EEPROM129と,ペン入力コントローラユニット131と,入力インタフェース133と,蓄電池135と,電源ソケット137,139と,電話コントローラ141と,音声信号発生ユニット143と,入出力コントローラ145と,イヤー通話コントローラ147と,イヤー通話器149と,スピーカ151と,スピーカオンスイッチ152と,ディスプレイコントローラ153と,入力ペン155と,入力ペン収納孔157と,ペン取り出しボタン159と,出力インタフェース161と,モニタランプ163と,モニタスピーカ165と,アッテネータ166と,電話出力コントローラ167と,電話出力コネクタ169と,データ入出力コントローラ171と,データ入出力コネクタ173と,内蔵アプリケーションコネクタ174と,カードコネクタ175,177と,カード収納部179と,電源コントローラ181と,スピーカ収納部183と,イヤー通話器収納具185と,足187と,無線電話ユニット189と,アンテナ191と,アンテナ収納部193とが備えられている。データ入出力コントローラ171には,データバッファ171Aが設けられている。」
「【0041】
無線電話装置107は,無線電話ユニット189と,イヤー通話コントローラ147と,入出力コントローラ145と,イヤー通話器149と,スピーカ151と,マイク113と,アンテナ191とから構成されており,図示しない無線電話網との間で,発信,及び受信を行う機能を有する。電話コントローラ141は,CPU123からの指令に基づいて,入出力コントローラ145と,無線電話ユニット189とを制御する。音声信号発生ユニット143は,CPU123からの指令に基づいて所定の音声を合成し,入出力コントローラ145を経由して無線電話ユニット189に出力する。」
「【0044】
スピーカ151は,図9に示すように,スピーカ本体151Aと,支持部材151Bと,連結部材151Cとを備えている。スピーカ本体151Aと,支持部材151Bとは,連結部材151Cによって矢印YA,YB方向に回動可能に連結されている。スピーカ本体151Aと,支持部材151Bとは,矢印YC方向に押されることによって,スピーカ収納部183に収納される。また,スピーカ151は,スピーカオンスイッチ152に接続されており,矢印YD方向に引き出されると,「オフ」状態から「オン」状態に切り替わる。支持部材151Bは,図示しない排出機構に連結されており収納状態で,「押」レタリング部151Dを矢印YC方向に押し込むと,スピーカ本体151Aを使用位置まで飛び出させる。図示しない排出機構には,スピーカオンスイッチ152の図示しない操作リンクが取り付けられている。」
これらの記載によれば,本願当初明細書等には,スピーカは,4角形状の筐体の長手方向の1方の端部側に配置され,マイクは,前記4角形状の筐体の長手方向の他方の端部側に配置されることで,前記スピーカと,前記マイクとが前記筐体の長手方向の両端に隔てることについては,何らの特別な技術的意義の開示もなく,マイクとスピーカの配置は図面上,実施例として記載されているにすぎない。また,一般に携帯電話においてはマイクとスピーカを筐体の長手方向の一端部と他端部に配置することが周知(例えば,拒絶査定時に示された特開平4-180329号公報や特開平4-134952号公報参照。)である。したがって,マイクとスピーカとをどのように配置するかは必要により適宜実施し得る設計事項である。

[相違点3]について
スピーカをオン,オフするスイッチを接続することは周知技術(特開平5-76093号公報のスイッチ17,特開昭62-56072号公報のスイッチ23,実公平4-25020号公報のスイッチ10参照。)であるから,該周知技術を引用発明に適用して相違点3のようにすることは当業者が容易に想到し得ることである。

そして,本願発明のようにしたことによる効果も引用発明,引用例2記載技術及び周知技術から予測できる程度のものである。

第6 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明,引用例2記載技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-08-18 
結審通知日 2010-08-24 
審決日 2010-09-09 
出願番号 特願2008-157053(P2008-157053)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 聡史  
特許庁審判長 江嶋 清仁
特許庁審判官 廣瀬 文雄
篠塚 隆
発明の名称 携帯型無線通話装置  
代理人 名古屋国際特許業務法人  

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